岸田首相の「優柔不断」が丁度いい。絶対的な正解などない米中対立

先日掲載の「『すべて中国のせいにする病』の米国に服従する日本という重症国家」でもお伝えしたとおり、中国との対立を良しとする声が大多数を占める日本。しかしアメリカの主張を無批判なまでに受け入れることが、我が国の進むべき道なのでしょうか。今回のメルマガ『j-fashion journal』ではファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんが、日米中3国のこれまでの関係性を改めて振り返りつつ、日本が両国に対して取るべき外交姿勢を提示。さらに大量生産大量消費を前提としない、新しいライフスタイルについて考察しています。

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2022年以降、米国と中国の関係はどうなる?

1.米国と中国の関係はどうなる?

ネット上では、下記のような意見が支配的だ。

米国と中国は対立関係である。日本は米国の同盟国なので、米国側につくべきだ。

中国は尖閣諸島に圧力をかけ、少数民族の人権弾圧をする非人道的な国であり、許すべきではない。

もし、台湾が中国に制圧されれば、日本も中国に支配されてしまうので、台湾を守らなければならない。

私もこうした意見に基本的には賛成している。その一方で、どこか疑っている。米国と中国のどちらにつくべきかとか、米国は正義で、中国は悪である、という見方は単純に過ぎるのではないか。

例えば、私はバイデン大統領を信じていない。現在、バイデン大統領はアメリカ国民の支持を失いつつある。前回の大統領選挙についても不正があったと思っている。

今後、米国がどのようになのかは分からない。これまで、米国は日本を攻撃し続けてきた。戦争だけでなく、日本経済を何度も潰してきた。これが一貫した米国の対日戦略なのだろう。安全保障で協力していても、経済で協力するとは限らない。

そもそも、中国に投資し、中国経済の成長と共に莫大な利益を上げたのは米国である。従って、本当に米国と中国が敵味方に分かれて戦うのかは簡単には判断できない。

中国は軍事的に日本を威嚇している。しかし、米国ほど徹底して日本経済を破壊したことはない。日本は中国に莫大な投資を行ってきたし、多大な貢献をしている。中国を育てたのは、米国、日本とドイツなのだ。

中国を育て、中国の成長を支えてきたのは先進国の資本と技術と市場である。その関係が切られようとしている中で、中国経済は歴史的に危機に陥っている。それと共に、習近平総書記の政策も混乱している。米国との対立だけでなく、中国経済そのものを破壊しているように見える。

このまま習近平体制を続ければ、中国は崩壊していくだろう。その前に、習近平総書記は失脚するのではないか。そうしないと、世界経済のバランスが崩れてしまう。

もちろん、それが何年後のことか分からない。そして、習近平総書記の次の総書記がどんな政策を掲げるのかも未定だ。次期政権は改革開放路線、米国との関係修復に動くのではないか、と想像できるが、それも絶対とは言えない。

米国も中国も一枚岩ではなく、内部は分裂している。EUも同様であり、各国の思惑はバラバラだ。ロシア、インドも独自の外交を展開している。そして、日本国内も分裂している。

多分、絶対的な正解はない。そもそも世界の動きは、学校の試験ではないのだから、正解があるとは限らない。

そして、我々は状況を判断するための情報さえ十分に与えられていない。あらゆる勢力は自分の利益のために情報を操作し、行動を制限しようとする。我々は限られた情報の中で、自分の頭で考え、行動するしかない。

単純な二元論に立つべきではないし、単純に中国を敵視することにも賛成できない。そう考えると、岸田首相の優柔不断ぶりも丁度いいような気もするのだ。

米国についた方が得だから米国につく。中国についた方が得だから中国につく。そういう損得勘定で動くのは危険だ。損得で動く人は信頼できない。簡単に買収され、いつ裏切るか分からないからだ。

日本は日本の考え方を確立させ、それを主張しておくべきだと思う。

例えば、中国に対して、「人権侵害はやめるべきだ」と主張すべきだと思う。だからと言って、米国のように経済制裁はできない。日本経済に多大な損害を与えるからだ。

経済制裁とは自国の経済の影響の少ない範囲で行うものであり、米国も同様である。米国と日本の損得は別なのだから、米国の経済制裁に追随すればいい、ということにはならない。経済は人々の生活を支えるものであり、それを制限することは人権を弾圧することにつながるのだ。

もし、中国が日本を制裁してきたら、それにも正々堂々と反論すべきである。そうしないと、日本は国際的に信頼されないだろう。

 

コロナ感染者急増もNYの人出は減らず。在米日本人社長が明かすNYの今

日本のメディアでは5日、アメリカで新型コロナウイルスの感染者が1日で100万人を超えたと大きく報道されましたが、元日のNYタイムズスクエアのカウントダウンは中止にならなかったようです。そして、昨年ほどの悲壮感もないというニューヨークの街。そのちぐはぐな現状の原因について、メルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』著者でニューヨークの邦字紙『NEW YORK ビズ!』CEOの高橋克明さんが現地から解説しています。

 

最新ニューヨーク事情 「2022年、NY最新コロナ事情」

冒頭、呑気にタイムズスクエアのカウントダウンの様子などをレポートしましたが、日本の方は「そんなことより、実際のコロナ状況はどうなっているの?」と思われている方も多いと思います。

事実、日本でのこの街に関する報道はコロナ一色だと聞きます。SNSでつながっている方々から「大丈夫ですか?ニュースで見たけど、とんでもない状況になってるみたいですね」といった個別のメッセージが毎日のように届いてきます。

その割には、タイムズスクエアの数万人の人混みの中で、笑顔で年越ししてる動画を配信している。

実際のところどうなの?そんな声をよく聞きます。

どっちが正しいの?やっぱりメディアは嘘をついてるの?

それともタイムズスクエアに集まった群衆が想像力を欠如したバカたちなの?と。

結論から言うと、すべて正しいし、すべて正しくないといったところです。

まず、実際のコロナ感染者数は確かに増えています。今月4日、州内のコロナによる入院患者数が、2020年5月以来、初めて1万人を超えました。そのうちの99%が、例のオミクロン株の感染者であるとも発表されています。そう、完全に増えています。それも過去最大ほどに。

ではなぜ、タイムズスクエアのカウントダウンは中止にならず、街は人で溢れかえり、昨年ほどの「悲壮感」がこの街にはないのか。

おそらく「悲壮感」より「疲労感」。もうコロナで色々我慢すること自体に疲れてきているのではないか、と(筆者の個人的な見解ですが)そう思います。

もともと刹那主義のニューヨーカー、感染したら、したで、もうその時考えよう、と思っているのかもしれません。

 

オーストラリアの中国領事館に留学生を監視する職員がいる現実

中国の工作活動は全世界で行われており、日本もいずれはスパイ防止法のような法案を作ることになるだろう─。そう話すのは、中国の秘密工作を拒否する法案を制定したオーストラリアの元国会議員です。無料メルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』では、彼が語る中国の秘密工作に立ち向かう術が書かれた一冊を紹介しています。

【一日一冊】世界の未来は日本にかかっている 中国の侵略を阻止せよ!

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世界の未来は日本にかかっている 中国の侵略を阻止せよ!

アンドリュー・トムソン 著 山岡鉄秀 訳/扶桑社

中国語と日本語を操るオーストラリアの元国会議員が、いかに母国オーストラリアが中国の秘密工作を受け、それを拒否し、その結果、経済制裁を受けているのか教えてくれます。

オーストラリアでは労働党の副党首であるダスティヤリ氏が「南シナ海での中国の活動に干渉してはならない」と発言し、調査してみると黄向墨という事業家から資金提供を受けていることが発覚。辞任しました。

オーストラリアは中国の秘密活動に気づき、2019年に外国干渉法を制定し、中国のオーストラリア属国化に対抗しています。

そして中国の工作活動は全世界で行われており、スパイ防止法のない日本もいずれはオーストラリアのような決断を求められると予想しています。

外国影響透明化法(外国干渉法)という法律が、オーストラリアで2019年に施行されました…目的は、政界へのサイレント・インベージョンを防ぐことで、中国などの外国政府によるあらゆる秘密工作を補足する非常に幅広い規定があります(p45)

中国の秘密工作はあまり秘密ではなく、えげつないことがわかります。

例えば、バイデン大統領の息子に投資ファンドを通じて賄賂を渡す。オーストラリアの労働党副党首には資金提供、献金する。現在はオーストラリアからの大麦、石炭、ワイン、牛肉の輸入を制限しています。製品ボイコットや輸入制限をしたり、観光客、留学生を制限したり、明らかな嫌がらせでわかりやすい。

中国はこのように対抗する国には、武力だけではなく輸出入などの経済活動、政治家への資金提供、国連やNGOへの工作、マスコミによるプロパガンダ、法律、サイバー攻撃、ウイルス等中国の持つすべての総合力で攻撃したり、懐柔作戦を実行しているのです。

2013年、ジョー・バイデンは公式に中国を訪問し、中国によるアメリカ企業のハッキングを阻止し、中国の南シナ海への侵攻を阻止するために、習近平と交渉しました…中国は…南シナ海の不法占拠を強化しました。しかし、ハンター・バイデンは、高収益投資ファンド(中国からの出資)の30%の株式を手に入れました(p147)

オーストラリア人が中国と世界情勢をどう見ているのか、よくわかりました。

中国は着実に南シナ海に拠点を作り、台湾侵攻の準備をしつつ、日本、オーストラリアの政治家、実業家、マスコミ、学者などをエージェントとして獲得している。2013年に習近平氏がオバマ大統領にハワイを境に東太平洋を米国が、西太平洋を中国が統治することを提案しましたが、それは本気だったのです。恐ろしいことです。

トムソンさん良い本をありがとうございました。

大統領選も韓流ドラマ?「雨降って地固まる」を地でゆく韓国野党和解劇

先日掲載の「焼肉屋で手打ち?韓国大統領選前に野党を襲った危機と電撃的和解」でもお伝えしたとおり、党分裂の危機を乗り越えた韓国の最大野党「国民の力」ですが、またも難局に直面していたようです。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、再び対立していた党代表と大統領候補との二度目の劇的な和解劇を紹介。大義のため自らを抑制した、36歳という若き代表者の姿勢を高く評価しています。

【関連】焼肉屋で手打ち?韓国大統領選前に野党を襲った危機と電撃的和解

尹錫悦と李俊錫、劇的和解

6日のメルマガでもご紹介したように、野党「国民の力」党の内部騒動が激しさを増し、6日夜の会議で対立の極大値をむかえた後、なんと劇的に和解した。まるでテレビドラマを見ているような1日だった。

尹候補と李代表は、選挙キャンペーンの方式などをめぐり2週間以上対立した。「国民の力」議員たちは6日午前10時、李代表の辞任を求める問題をめぐって議員総会を開き、李代表の辞任案を準備していた。しかし、夜遅くまで李代表の進退問題をめぐって議論が難航し、終盤になって李代表と尹候補が順に参加することで和合の場が演出された。

尹候補は同日夜、李代表辞退決議案をめぐって激しい討論が行われた議員総会会場を訪れた。李代表が議員らの前で「また逃げれば党代表を辞任する」とし、もう選挙運動から離脱しないという意思を明らかにした直後だった。尹候補は「李代表を、皆さんが、国民が、選んだ」とし「わたしと代表と皆さんが、力を合わせて3月の大統領選挙を勝利に導こう」と熱く語った。尹候補は続いて「すべてが候補である私のせい」とし「大義(大統領選挙での勝利)のもとで、過ぎ去ったことは全部忘れて、新たに出発しよう」と語った。

尹候補と李代表は、発言を終えて別室に席を移し陪席者なしに数分間対話を交わしてから、再び会場に登場してきて、お互いに抱き合い、葛藤収拾を形で演出する格好となった。議員らは「ユン・ソンヨル!」と叫びながら拍手を送った。壇上に上がった李代表は、「今日、尹候補は議員総会直後に平沢に行く日程があると聞いている。わたしが『国民の力』の代表として、またタクシー運転免許証を持つ者として、候補をお客さんとして遇し案内してもいいだろうか」と述べると、尹候補は席を立って親指を立てて応え、議員たちは大きく歓呼した。すると李代表は、「こんなに簡単なんですよね」と微笑みながら答える。

李代表はさらにこの場で、任命問題で衝突した李哲圭(イ・チョルギュ)新戦略企画副総長に対し、「党本部に野戦ベッドを置いてほしい」とし「党代表ではなく党員(一兵卒)として党本部の中で寝食を解決し、率先垂範の姿勢で選挙に臨む」と述べた。すると議員たちからはさらに大きな拍手が李代表に送られた。

李代表に続いて演壇に立った尹候補は「ひたすら3月の大統領選挙と6月の地方選挙での勝利のために、その勝利を通じて党が再建され、国が正常化し、国民に幸せな未来を約束できる政権政党として回復できるよう、ともに走ろう」と述べた。尹候補は李代表、議員らと「再スタート」「初心に」「国民だけを見つめ、ワンチームに」と掛け声をかけながら議員総会を終えた。

アバターが働く「仮想オフィス」だからこそ管理職の育成が必要なワケ

リモートワーク化が進む企業では「仮想オフィス」の活用が増え、市場規模は今年8倍にもなると予想されているようです。社員のアバターが“出社”し、会議や相談事などコミュニケーションに役立つと期待は大きいものの、ミドル層の管理職の中には戸惑う人たちも多いのだとか。メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』著者で健康社会学者の河合薫さんは、会社が「場」としての役割を失いつつあると憂慮。新たな働く場として「仮想オフィス」を設けるのなら、そこでもメンバーの力を引き出せるように、管理職をどう育成するかが大切になると訴えています。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

 

アバターで事足りる世界?

2022年がスタートしました。今年はコロナ感染拡大以降、急速に進んだ「新しい働き方」が本格化する1年になりそうです。そこで2022年1回目の今回は、昨年末に受けた「新しい働き方」に関する取材を取り上げます。

みなさんは「仮想オフィス」をご存知ですか?これは自宅にいながら「会社に出社」し、仮想空間でアバターがやり取りするオフィスのこと。つまり、「私」という存在そのものではなく、自分の分身となるキャラクター、すなわち「アバター」が働く、「新しい働き方」です。

矢野総合研究所が21年10月に公表した調査結果によると、仮想オフィスの導入は急拡大しており、21年度の市場規模は20年度の8倍にあたる20億円に達すると予測。特に、コミュニケーション不足を課題にあげる企業が導入を進める傾向が高く、25年度には180億円規模まで急増するという見通しを示しています。

アバターが会社に出社するだなんて、「映画の中の世界」のよう。かつて手塚治虫氏が描いた「21世紀の物語」が現実になったように、技術の発展は私たちの想像をはるかに超えるスピードで進んでいるのです。

実際、オフィスの役割を見直す企業は多く、規模を縮小する動きは加速しています。フリーアドレスにした企業も増えていますが、私が知る限り、社員には不評です。結局、力のある人が「いい席」を取り、仲のいい人たちと「固定席」を作る。自分の席が決まっていれば居場所があった人が、居場所を失うのです。

そもそも「会社」とは、単なるコミュニティではなく、「場」としての役割が極めて大きい。しかし、その「場」が、効率化という耳触りのいい言葉で消滅しつつある。今こそ、「会社が存在する意義」が問われているのに、その問いの答えを自問する経営者はどれだけいるのでしょうか?

むろん、リモートワークも、仮想オフィスも、フリーアドレスも、使い方次第ではプラス面も大きいので否定する気はさらさらありません。

しかし、「会社=COMPANY」の語源は、ラテン語のcompāniōnで、ともに(com)パン(panis)を食べること(ion)。「一緒にパンを食べる仲間」です。果たして「仮想空間」は、その仲間が集う場になりうるのでしょうか。

 

京大教授が暴露。元旦「朝生」CM中に立憲・小川淳也議員が口走った激しい言葉

先日掲載の「竹中平蔵の起用は“逆走”だ。京大教授が指摘する岸田首相『決別』のウソ八百」で、目玉政策として「新しい資本主義」を掲げたにもかかわらず、竹中平蔵氏を首相直属委員会のメンバーに任命した岸田氏を強く批判した、京都大学大学院教授の藤井聡さん。しかし年明け早々出演した討論番組で、その竹中氏と「共闘」する事態となってしまったようです。藤井さんはメルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』で今回、そのような展開となってしまった顛末を紹介。さらにオンエアされなかったCM中の論敵との会話もリークしています。

【関連】竹中平蔵の起用は“逆走”だ。京大教授が指摘する岸田首相「決別」のウソ八百

(この記事はメルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』2022年1月1日配信分の一部抜粋です)

 

「朝まで生テレビ 元旦スペシャル」で浮き上がった緊縮・改革派に次ぐ新しい反日勢力「人新世」派と「反積極」派

新年、あけましておめでとうございます。

今年の元旦は年明け早々から、『朝まで生テレビ 元旦スペシャル』に登壇し、コロナの問題、経済の問題について、タップリ討論致しました。

これで三度目の朝生となりましたが、今回は4時間という拡大枠ということもありこれまで以上にしっかりと議論できたように感じました。この機会を作っていただいた田原総一朗さん、スタッフ、共演者の皆様に心から感謝申し上げたいと思います。

今回の議論が円滑に進んだ一つのポイントに、冒頭で、各登壇者が一番大切だと思う論点を、フリップをそれぞれ出して数分かけてしっかりお話しした、という点がありました。当方はその「フリップトーク」では、「世界唯一のデフレ国家からの脱却」というキーワードの下、各パネラーが言及した経済復興・競争力強化・賃金向上といった目標を実現するためにこそデフレ脱却が必要であり、そのためには「緊縮が必要だ~」「兎に角改革しろ~」という二つの「固定観念」の打破が不可欠だとお話し差し上げました。

その後、本格的な議論に突入していくのですが、当方は当初、「竹中平蔵」氏と対立する展開になるのではないかと……想定していました。

しかし…蓋を開けて見れば驚くべき事に、竹中氏とは対立するよりもむしろ、融和的に議論する局面が大半を占める結果となったのです!

なぜこうなったのかというと、竹中氏ですら「そりゃダメでしょ」というツッコミを入れてしまう議論を声高に主張する論者が二人もおられたからです。

そんな論陣を張ったお二人の一人はまず、立憲民主党の政調会長である、小川淳也衆議院議員。

小川氏は上述の様に野党第一党である立憲民主党の政策をとりまとめる政務調査会の会長。

したがって、彼の政策思想は、日本の国会運営において巨大な影響を及ぼし、野党といえども日本の政治そのものにそれなりに影響を及ぼす、という重要なお立場にある先生です。

それほどの要職に就きながら、彼は、次の様に発言したのです。

「先程から、二人の先輩方(藤井&竹中)の議論を聞いていると、GDPが成長すればそれで良いかのような、バブル世代の古いイメージで議論されているが、そんなのはダメだ。今の新しい時代の我々世代が求めているのは、環境制約の中で、GDPで測れない価値を見据え、成長をしないで国民が幸せになる国家を目指す事なんだ!」

いろいろな事をおっしゃってましたが、彼の「論旨」はこういうものでした。

 

サクラ不起訴で逃げ切り成功。はしゃぐ安倍晋三元首相が取るべき「責任」

以前掲載の「安倍氏『桜を見る会』責任は全て秘書。118回の嘘で固めた悪の顔」でもお伝えしたとおり、「桜の会」問題を巡っても頑なに自身の責任を認めない姿勢を貫いてきた安倍元首相。昨年末に東京地検が不起訴としたことで、捜査は終結、安倍氏の罪は問われない結果に終わりました。この決定に異を唱えるのは、元全国紙社会部記者の新 恭さん。新さんは自身のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』で今回、当案件の悪質性と元首相の罪の重さを指摘。さらに、政治的な存在感を誇示するかのような言動を繰り返す安倍氏とその内容について、強く批判しています。

【関連】安倍氏「桜を見る会」責任は全て秘書。118回の嘘で固めた悪の顔

 

サクラ不起訴の安倍元首相。日本有事を煽るより道義的責任をとれ

御用納めの昨年12月28日、東京地検特捜部は公職選挙法違反と政治資金規正法違反の疑いで告発されていた安倍元首相を、再び不起訴処分とする旨の発表をした。

公的な行事であるはずの「桜を見る会」を、総理大臣があたかも支持者集会のごとく私物化してきた事件の捜査は、安倍氏の後援会代表だった元公設第一秘書を略式起訴しただけで終結するかたちになった。

しかし、これで醜悪きわまる政界劇の幕引きをさせてはならない。アベ・スガ政権でまかり通ってきたウソとゴマカシによる「逃げるが勝ち」の成功法則を打ち砕き、腐敗と堕落の病根を取り除かなければ、この国に民主主義をとり戻すことなどできないからだ。

安倍元首相は、「桜を見る会」前夜パーティーで、参加者が個別にホテルと契約して会費を支払ったなどと、国民を小馬鹿にした荒唐無稽な答弁を100回以上も国会で繰り返した。

2020年2月17日の衆議院予算委員会で、その件に関し野党議員から「事実と違ったらきちんと責任をとられるということですね」と問われた安倍首相はこう答えていた。

「私がここで総理大臣として答弁するということについては、全ての発言が責任を伴うわけであります」

しかし、ウソはすぐにバレる。東京地検特捜部は、2016~19年の政治資金収支報告書に、計約3,022万円の収支を記載しなかったとして、政治団体「安倍晋三後援会」代表の公設第一秘書を略式起訴した。

後援会が訂正した収支報告書によると、例えば19年前夜祭の場合、参加者767人から集めた金額は383万5,000円なのに、約644万円がホテルニューオータニに支出されている。

これにより、実際には一人当たり8,400円ほどかかり、5,000円の参加費では足りない分を後援会が補てんしていたことが明らかになった。そして、ホテルから出ているはずの領収書は無くなったとして「亡失一覧」が添付されている。

これだけの事実があっても、安倍元首相は、議員辞職をすべきという声を拒んだ。その理由について、秘書が事実を隠していたから自分は知らなかったとか、検察が自分を不起訴にしたから問題はないとか言っている。誰がみても、ウソの上塗りであり、ごまかしだ。民主主義国家の国会で首相たるものがウソをつき続けた罪は重い。

モリ・カケ・サクラ。いずれの疑惑でも総理の関与は明らかである。しかるに、安倍氏はいっさい責任をとっていない。それどころか、安倍氏は政治的な存在感を誇示するかのごとき言動を繰り返している。とりわけ「やっぱり、安倍さんだ!」(「月刊Hanada」特集)などと右派論壇を沸かせたのが、台湾防衛に関する対中発言だった。

 

「逃げるは恥」なんてむしろ逆。Netflixに学ぶ失敗を許容する重要性

近年よく耳にするようになった、エマージェントストラテジーなる言葉。「戦略を持たない戦略」と言われますが、それではどうもピンとこないというのが実情ではないでしょうか。そんなエマージェントストラテジーを徹底解説してくださるのは、Google、マッキンゼー、リクルート、楽天の執行役員などを経て、現在はIT批評家として活躍されている尾原和啓さん。尾原さんはメルマガ『尾原のアフターデジタル時代のモチベーション革命』で今回、メディア界の新興勢力・Netflixの事例をもとに、エマージェントストラテジーの何たるかをレクチャーしています。

 

変化の時代に大切なのは初志貫徹ではない?エマージェントストラテジーを解説

今日は、失敗を許容することの大事さについて解説します。

初志貫徹することよりも過ちに気づいたら、さっと謝って、次のスタイルにどんどん変えていくことが大事みたいな話を以前させていただいていたのですが、実はこれが、この5年ぐらい、ベンチャーとか新規事業をやるときに、非常にに大事な戦略、「エマージェントストラテジー」として立ち上がってる分野なので、この解説をしたいと思います。

エマージェントストラテジーとは

この「エマージェントストラテジー」を一言で説明すると何かというと、戦略を決めないことが戦略って言うものなんですね。エマージェントストラテジーをそのまま日本語訳にすると創発するする戦略とか、新しく現れてくる戦略みたいな意味なんですけど、何かって言うと、

今までの時代ってまるで問題集を解くように正解がわかって、その正解をひたすら実装するのが早くて、すごいところが勝つ。という、比較的正解がわかってた時代から、今っていうのはどちらかと言うと、昨日までの正解が、今日は正解じゃなくなるかもしれない。

そして新しいテクノロジーとか、新しい変化が起きることによって、新しい正解がどんどんどんどん現れてくるかもしれない。

そんな時代の中で、あらかじめこれが正解だからこっちに向かって進もうということが、危険で、いかに次に現れてくる正解を呼び込もうとするような形に戦略を決めずに、でも新しく生まれる正解というものを、呼び込むためにはどうすればいいか、ってことが大事になってくるんですね。

これ非常にわかりやすいのが、「Netflix」。もうディズニーに次ぐ、コンテンツの投資規模の大会社ですね。

この事例が、わかりやすいので、それを中心に説明をしていければです。

 

2022年も注目の「NFT」。業界人が決して口にしない根本的な疑念

デジタルアートが超高額で取引され、2021年に急激に注目度が上がった「NFT」(非代替性トークン)。日本でも昨年数社がサービスを開始し、2022年はメルカリや楽天も加わる予定で、ますます注目されそうです。そんな「NFT」に対し、以前から疑念の声を上げているのは、「Windows95を設計した日本人」として知られる世界的エンジニアの中島聡さんです。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では、中島さんが抱く3つの根本的疑念を裏付け補完する資料から、注目点を抜き出し詳しく解説。NFTを成立させる「ブロックチェーンの安心安全」すらも幻想かもしれないと指摘しています。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

※本記事はメルマガ『週刊 Life is beautiful』2021年12月28日号より一部抜粋したものです。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

 

エンジニアから見たNFT

NFTについては、このメルマガでも何度か触れて来ました。実際にソフトウェア・エンジニアとして、アプリケーションを作った結果、NFTに対する根本的な疑念がいくつか見えてきました。代表的なものは、次の3つです。

  • トランザクションコスト(ガスコスト)が高すぎて使い物にならない
  • Decentralized Appのほとんど全てが、実際にはDecentralizedではない
  • ユーティリティ・トークンは通常のデータベースで実装した方が良い

私には、それらの疑念が、あまりNFT界隈で話題になっていないのが不思議でなりませんでした。私の理解が間違っているという可能性もありますが、NFT業界の人たちは、自分たちに不利になる発言はしない(ポジショントークをしている)という可能性も十分にあります。

そこで、私と同じようなエンジニアが、ポジション・バイアスを抜きにして純粋にNFTを評価している資料を探していたところ出会ったのが、「An Engineer’s Hype-Free Observations on Web3(and its Possibilities)」というドキュメントです。

シアトルからハワイ島に遊びに来たゴルフ友達の奥さんが、たまたまPioneer Square LabsというシアトルのVC(ベンチャーキャピタリスト)のCFOで、彼女が、私に是非ともこのドキュメントを読んでフィードバックが欲しいと頼んで来たのです。

内容はとても濃いので、興味のある方には全文を読んでいただきたいところですが、私なりに注目に値すると感じた点を列挙します。

何よりも貴重だと思う情報は、ブロックチェーンがデータを格納するのは、とても非効率で高価だという点です。筆者によると、Ethereum上に256-bitの整数を格納するのに、約$7.50かかるそうです。

まさにこれが、私が「トランザクションコストが高すぎて使い物にならない」と感じた理由であり、市場にある「自称Decentralized App」のほとんどが、ブロックチェーンにはURLやIDだけを格納し、実際のデータは通常のデータベースに格納している理由なのです。

また、不動産などの取引の記録にブロックチェーンを使うというアイデアはありますが、実際の取引の段階では、今と同様に「信頼出来る第三者」が必須であり、その部分に関しては、ブロックチェーンは何も解決してくれない、という指摘もとても鋭いと感じました。

 

「年末年始らしい気分」とは「準備」への「対価」だと気づいた話

子どもがいる家庭といない家庭で大きく違うことの一つに、年中行事を楽しむか否かがありそうです。正月に凧を上げ、かるたや福笑いで遊ぶ大人ばかりの世帯や、節分の豆撒きで鬼役をするDINKs世帯の夫の話はほとんど聞いたことがありません。それでも年末年始くらいは「らしい気分」を味わいたいという人も多いのではないでしょうか。今回のメルマガ『8人ばなし』では、著者の山崎勝義さんが、何年も「年末年始らしい気分」を経験していないと告白。その理由を掘り下げて、人生に彩りを添えるには「準備」が必要だったのだと述懐しています。

 

気分のこと

もう何年も年末年始らしい気分を経験していない。この原因については実は自分でも疾うに分かっている。自分が悪いのである。誤解のないように一応断っておくが、別にクリスマスから年末年始にかけて続くどことなく明るい感じを嫌悪している訳ではない。むしろこの間どことなく明るいままに変化していく街の雰囲気は逆に好きなくらいである。

では何故、特段厭世的になった訳でも、原理主義的宗教観に目覚めた訳でもない人間が「年末年始らしい気分」になれないのか…理由は存外簡単である、私が横着になったからである。

どの年中行事においてもそうだが「らしい気分」になるために欠かせないことが一つあって、それが横着者にとってはなかなかに高いハードルなのである。他でもない「準備」である。

クリスマスならツリーを飾り、家を電飾し、そこら中を赤と緑と白にする。年末ならまずは大掃除、同時進行で新年の準備のあれこれ、そのほとんどが所謂縁起物と呼ばれるものだから作法もそれなりには厳しい。ギリギリでの辻褄合わせは通用しない。しかもどんなに金に余裕があっても他人や業者任せでは意味がない。どんなに面倒でも自分たち自身の手でやることが大事なのである。

そうやって手間と暇を十二分にかけた人だけがその瞬間、あるいはその期間に感じることができるのが、この「らしい気分」なのである。「らしい気分」とはある種のご褒美なのである。あるいは特殊な労働対価と言ってもいいのかもしれない。子供がはしゃぐのも当然である。誰よりも準備(子供にはこれが全く苦にならない。それどころかむしろ楽しいまである)期間が長いのだから。

逆に、これらの手間暇を惜しめば惜しむほどに「らしい気分」は小さくなって行くというものである。例えば、餅も個別包装された袋詰めの物をスーパーで買って来るのではなく、自分の家でホームベーカリーか何かででも作ってみればきっと楽しいに違いない(横着者の想像に過ぎないのだけれど)。さらに杵と臼で搗いてみたらもっと…(これこそ絶対にあり得ないレベルの横着者の想像に過ぎないが)。

このように横着になるということは、まあまあそれなりの代償を支払うということなのである。とは言っても、前にも述べた通りある種労働対価的なものでもあるから別に損をしている訳でもない。何もしていないから何もないだけのことである。

ただ人生から色味が抜けていくのは確かだ。自分は横着者だから、と嘯いて手間や暇をかけることを省くほどに少しずつか、あるいは一色ずつ、その色味は消えて行ってしまっている。この調子でいけばジジイになる頃にはすっかりモノクロームであろう。

ならばもっと準備に手間と暇をかければいい、となるのではあるが、どうしても(本当にどうしてもなのである)自分が笑顔で餅搗きをしている画など全くもって想像の埒外なのである。それどころかリアルに気持ち悪いレベルである(これも一周回って滑稽まで行けば、まだましなのだろうが)。

幸い自分は白黒映画は嫌いではない。くすんだカラーも割と好きだ。そういう訳で、これからも土日祝日盆暮正月クリスマスも「as usual」で行くのであろう。きっと死ぬまでそれで行くのであろう。

 

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