横浜市立大学が快挙。新型コロナの抗ウイルス抗体検出に成功

横浜市立大学が新型コロナウイルスの抗ウイルス抗体の検出に成功した。横浜市は9日、会見を開き、新型コロナウイルスの患者血清中に含まれる抗ウイルス抗体の検出に、横浜市立大学が成功したと発表した。新型コロナウイルスによる感染者が世界的に拡大する中、感染症の診断など、早期の実用化が期待されている。

新型コロナウイルスの抗ウイルス抗体の検出に成功

横浜市立大学学術院医学群の梁明秀教授を中心とする研究グループは、新型コロナウイルス患者血清中に含まれる抗ウイルス抗体(IgG)の検出に成功。横浜市立大学のホームページによると、研究成果のポイントとして下記を挙げている。

●発症後7~10日程度経過した肺炎患者などへの使用に有効
●特別な装置を必要とせず、簡単な操作で短時間にウイルス感染の可能性を調べることが可能
●どちらも血液を用いる診断法のため、検体が採取しやすく、検体採取時の医療従事者などへの二次感染リスクが比較的低い
●PCR法と併用することで、より的確な診断を行うことが可能

今後は臨床的意義などの有用性を多数の患者検体で検証し、診断法の確立や試薬キットの開発、実用化を目指すとしている。

新型コロナウイルスの抗ウイルス抗体の検出に成功したことで、感染症の診断が簡便かつ迅速にできることになるという。騒動の収束に向かうきっかけとなるかもしれない。

日経平均2万割れの衝撃。「コロナショック」で値下がり1000円超

週明け9日午前、日経平均株価(225種)が急落。東京株式市場では朝から売り注文が殺到し、最終的に1000円以上も下げ、約1年2カ月ぶりに節目の2万円を割り込んだとNHKニュース共同通信朝日新聞産経新聞TBSニュースなどが報じた。午前の取引は前週末より1276円68銭安い1万9473円07銭で終え、終値は先週末と比べて1050円99銭安い、1万9698円76銭で取り引きを終え、記録的な値下がりとなった。


円相場急騰

東京外国為替市場は、一時1ドル=101円60銭台をつけ円高は加速、原油先物相場は大幅安となった。6日の米国市場ではダウ工業株30種平均が続落。世界経済に深刻な「コロナショック」が走った。

株価下落の予想

TBSニュースの報道の取材を受けた投資家は「これくらいで止まってくれればいいけど、もうちょっと下がると思う」「1万8000円台はありと思う」と話し、みずほ証券 末廣徹エコノミストは、倒産する企業が増え、株価下落が進むのではと警戒していた。 

Twitterの声








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source:共同通信朝日新聞産経新聞TBSニュース

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韓国政府「日本が過剰」。自国民も呆れる対抗措置に強気の反論

日本政府が韓国からの入国制限強化を決めたことへの対抗措置を取ったことに、韓国国内でも疑問の声が上がっている。日本に対しては烈火のごとく怒るが、中国に対しては何も言えないとは6日にお伝えした通りだが、その「日本だけに強硬に対応した」という世論を受け、韓国青瓦台(大統領府)は8日、2700文字にわたる反論文を発表したと中央日報が報じている。

韓国メディアすら呆れる対抗措置

カン・ミンソク報道官名義で「日本の消極的な防疫にともなう不透明な状況、地理的な隣接性および人的交流の規模、日本国内の感染拡散傾向などを総合的に考慮して決めた」「日本と中国に同じ特別入国手続きを適用することにした」などを論拠として挙げた。同時に「『中国はかばい、日本だけに超強硬』と主張するのは事実ではないだけでなく、このような非常局面で危機を克服することにも役に立たない」と述べているという。

しかし、依然として青瓦台が中国の防疫を信じられると主張し、中国の地方政府の隔離措置には特別な言及がない。さらに、対抗措置を取った韓国政府とは違い、中国は日本の措置に対して「理解できる」としたことには釈明していないという指摘があると記事では伝えている。

また時事通信によると、韓国メディアから韓国政府を批判する意見が出ていることに対し、大統領府報道官は「韓国が強硬なのではなく、日本の措置が過剰だった」と反論。「(日本側の規制により)韓国人留学生約1万7000人と駐在員、旅行客が相当な困難を経験することになる」と説明し、「主権国家としてすべきことをした」と正当性を強調している。

新型コロナ大流行なら深刻な「病床」不足。日本が直面する大問題

新型コロナウイルスの本格的な流行が起きた場合、病床が足りなくなる恐れがあると朝日新聞が報じている。政府が確保したという感染症に対応できるベッドは、2月末時点であわせて5千床以上。厚生労働省は専門家の意見から、外来患者数などを推計するための計算式を示しており、それによると流行がピークを迎えるころの人口10万人あたりの1日の入院患者は、0~14歳で53人、15~64歳で18人、65歳以上で560人と推定されている。

コロナ大流行になった場合、まったく足りなくなる「病床」

朝日新聞はこの式に、総務省が示した2018年10月1日現在の人口推計をあてはめたところ、全国で最も感染者数が多い北海道は1日あたりの外来患者が1万8300人、入院患者が1万200人、重症患者が340人となったという。最も人口が多い東京都は、外来患者4万5400人、入院患者2万500人、重症患者700人にもなるとしている。政府が確保したという5千床では、まったく足りない計算になる。


流行のピークはいつ?

専門家によると、流行のピークは感染経路が追えないくらいに感染が拡大した時点から「おおむね3カ月後」にくると仮定されている。しかも、必ずしもピークがくるというわけではなく、時期も地域ごとに異なるという。

中国ではどんな問題が起きたか?

新型コロナウイルスの感染が拡大していた中国では、病床が足りず十分な手当てが受けられない患者が続出。わずか10日ほどで展示施設の敷地内に仮設病院を建設するなどの対応に追われていた。3月7日には、隔離施設として使用されていた福建省のホテルが倒壊し、8日午後4時(日本時間同5時)までに10人の死亡が確認されている。ホテル倒壊の可能性は別にして、日本も「隔離施設の確保」という問題に直面することは明らかだ。

「新型肺炎患者数ゼロ」と北朝鮮が虚偽報告してまで避けたい事態

南極を除く世界の大陸で猛威を振るう新型コロナウイルス。各国が懸命な感染拡大防止策を取る中、発生国の中国と国境を接する北朝鮮は、「感染者なし」とのにわかに信じがたい主張を繰り返しています。そこにはどんな意図が隠されているのでしょうか。北朝鮮研究の第一人者である宮塚利雄さんが、自身が主宰するメルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』で、北朝鮮がそう主張せざるを得ない裏事情を明かしています。

新型コロナウイルス感染マップが白地図状態の北朝鮮

中国武漢発の新型ウイルスの感染者数と死亡者数は全世界で9万人を突破し、国の数も63か国以上にまで拡大した。

発症国の中国以外にも日本や韓国、イラン、イタリアなどの感染者数が増大しており、テレビや新聞は毎日、その数の推移を発表している。

某民放テレビ局の昼のワイドショーニュースでは、世界地図に発症国に印をつけて報じているが、もはや南極大陸以外の大陸に拡散してしまった。「世界的な大事態にまで拡大した」と、司会の某氏が口酸っぱく言っているが、この世界地図の真ん中付近、つまり日本と韓国付近のところに発症国の発症と死亡者数などを示したテロップ(?)が出てくるので、日本や韓国の姿がよく見えない。

そこで、ある日、新聞の記事に同じような発症国の地図が出ていたので、よく見ると大国中国の周辺国家はみな発症国として識別されているが、さらによく見ると、中国大陸と地続きの朝鮮半島の北朝鮮だけは真っ白になっている。

よく見ないと見過ごしてしまう小さな空間である。なぜ、ここだけが白いのか。中国の大半の周辺国家が発症国として色別されているのに、よりによってこの小さな白色の国だけは中国武漢発の新型コロナウイルスの発症国になっていないのだろうか。誰が考えても“いの一番”に「お前の国に感染者がいないなんていうことは考えられない。お前の国は中国と陸続きではないか(いちおうは鴨緑江と豆満江それに白頭山(中国名・長白山)で国境は遮られているとは言え)。それなのに感染者が1人もいないとは、おかしいではないか!」と言うだろう。

私は、この北朝鮮だけがわずかにぽつんと白色になっている地図を見て、3年前に発行された『Earth Night』という地図を思い出した。これは世界各国の電力事情を夜空の宇宙から見た(撮った)人工衛星がとらえた写真であるが、朝鮮半島とその周辺国家を見ると、この新型ウイルス感染国の地図とは対照的に、北朝鮮の周辺国は明かりが煌々(こうこう)としているのに、1人北朝鮮だけはわずかに平壌などがかすんで見えるが、「漆黒の世界」であり、韓国とは地続きなのに、韓国が「陸の孤島」に見える。

つまり、新型ウイルスの感染国なのに北朝鮮はしらを切って「わが国には感染者は1人もいない」と言うので、WHOも北朝鮮の発生者はいないということで地図にはゼロの空白地帯としているが、一方の夜に宇宙から撮った写真には北朝鮮の電力事情があからさまに晒されているのである。つまり、電力事情が貧弱であるために、煌々とした夜の世界を演出したくても北朝鮮にはそれができないので「漆黒の地域(暗黒の世界)」をさらけ出すしかほかになかったのである。

この「白の空白地帯」は、北朝鮮が実際には大量の発症者がいるにもかかわらず、「わが国には1人もいない」とWHOに虚偽の報告をし続けていることを意味している。

NHKの同時ネット配信で日本製スマホの「ガラパゴス仕様」も終焉か

ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんが、NHKが始める同時ネット配信サービス「NHK+」をひと足先に体験。「需要がありそう」と、メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』でレポートしています。石川さんは、民放も同時配信を進めることになり、ワンセグやフルセグ搭載という日本のスマホの「ガラパゴス仕様」も終わりを迎えるのではないかと予想します。また、今回のメルマガ後半では、需要に疑問符も付く、シャープの8Kカメラ搭載スマホを紹介しています。

同時ネット配信サービス「NHK+」は日本の「ガラパゴス仕様」にとどめを刺す

NHKは3月1日より、総合とEテレの同時ネット配信サービス「NHK+」を開始する。2月20日、メディア向けに「体験取材会」が開催されたので行ってきた。

サービスはスマホとタブレット、PC向けに配信される。スマホとタブレット向けには専用アプリ、PC向けはブラウザでの視聴となる。NHKとの視聴契約があれば無料で利用できる。視聴契約のある人に向けてIDが発行され、一つのIDで同時に5台のデバイスで視聴可能だ。

実際にアプリを体験してみたが、実によくできている。総合とEテレの同時配信だけでなく、1週間分の見逃し視聴が可能。また、番組にはタグ付けがされており、例えば「新型肺炎」といったタグで、ニュース番組やクローズアップ現代+などの特集番組をまとめてチェックすることもできる。

ニュース番組においては項目ごとにチャプターがつけられており、検索して自分の観たい項目だけをピックアップして視聴するといったこともできる。

3キャリアが5Gサービスをスタートする、このタイミングでサービスが開始されるというのがなんとも絶妙だ。NHKのニュースなどの番組がスマホで見放題となれば、かなり人気が出るのではないか。キャリアが「アンリミテッド」な料金プランを提供すれば、データ容量を意識することなく、NHKを視聴することができる。

通勤時間中にYouTubeをダラダラ観るよりも、ずっと需要があるように思う。個人的には、家族で外出しているときなど、子供にEテレの「おかあさんといっしょ」などの教育番組を見せることができそうで、かなり期待している。

ちなみに、視聴契約をしていなくても、アプリは利用可能で、同時配信も観ることができる。ただし、テレビと同じく、画面の隅に「契約してね」というメッセージが出続けることになる。ただし、災害時などはそうしたメッセージは消えて、テレビ放送と同様にひたすら被害状況などを伝える配信が流れるという。

この「NHK+」を使ってみると、NHKが本気でネット配信に取り組んでいるのがよくわかる。このアプリによって、特に大人がスマホでNHKを視聴するようになるだろうし、民放各局は相当、危機意識を持ったほうがいいように思う。現在、TVerを提供しているが、民放も見逃しだけでなく、同時配信にも取り組まなければいけないのではないか。

これまで「スマホでテレビを観るならワンセグもしくはフルセグ対応のスマホ」であったが、NHK+の登場により、ワンセグやフルセグに対応する必要はなくなってくるだろう。NHK+は、日本のスマホの「ガラパゴス仕様」にとどめを刺すことになりそうだ。

ウイルス蔓延は大規模テロと同じ。危機管理のプロが3つの提言

危機管理の専門家としての立場から、新型コロナウイルスの問題についてさまざまなアイデアを発信している軍事アナリストの小川和久さん。今回、自身が主宰するメルマガ『NEWSを疑え!』では、新たなウイルスの蔓延は奇襲的な大規模テロを受けた状態と同じであるととらえ、対策においてもテロへの備え同様3つのアプローチが必要だと訴えています。

テロ対策から新型肺炎をとらえる

いま、新型肺炎(新型コロナウイルス感染症)について色々な角度から眺め、考えを整理しているところです。まず、今回の新型肺炎は各国とも全土が同時に奇襲攻撃を受けたような状態ですから、奇襲攻撃の極致でもある大規模テロへの備えを当てはめて考えてみたいと思います。

テロ対策を考えるとき、まず第1に、テロリストは100%の主導権を握っているという点を肝に銘じなければなりません。いつ、どこで、何を目標として、どんな方法で実行するかは、すべてテロリストの胸先三寸にかかっているからです。そして、攻撃される側は常に不意を衝かれることになります。だからこそ、2001年9月11日の同時多発テロのように、米国のような超大国を少数の集団が震撼させることが可能になるのです。感染症も、まさに同じです。

これをみれば、テロ根絶に特効薬などないことがわかると思います。それを前提としたテロ対策の基本は、奇襲攻撃を受けても被害が局限されるように備え、そのことを通じてテロに走っても無駄だということを知らしめることによって、テロを抑止することを最優先する一方、有効なテロ対策を不断に開発し、テロの原因を取り除く取り組みを愚直に推進し続けるしかないのです。新型肺炎も、感染力を上回る備えと対策が収束を早めるのです。

過去30年、私が提唱してきたテロ根絶のための思想は、医学用語を借りて表現すると、公衆衛生学的アプローチ、予防医学的アプローチ、対症療法的アプローチです。

1つ目の公衆衛生学的アプローチは、伝染病の発生を防ぐために蚊やハエを駆除するなどの環境の改善が図られることを危機管理にあてはめ、内戦やテロ、そして感染症が生まれる原因を取り除いていこうという考え方です。

世界から内戦やテロ、感染症が根絶されない背景には、貧困や差別、民族対立といった構造的問題が存在しています。そうした問題が世界から一掃されるように、日本は政府開発援助(ODA)にしても明確な投入の構想を描き、効果的な手段を講じていくのです。この対象には大量の移民を抱える国々も含まれます。

2つ目の予防医学的アプローチは、世界にはどのようなテロリストやゲリラのグループ、そして感染症があるのか、それらはどのような傾向を持つ組織、疾病なのか、日本国、日本人、日本企業をどのように眺めているか、どのような方向に持っていけば封じ込めることができるのか、などについて明らかにして、関係国と連携し、情報を共有しながら個別に有効な対策を開発していくわけです。

3つ目の対症療法的アプローチは、テロをやっても無駄だと思わせるほどの被害局限などの対策が講じられ、それによって高度な抑止力が生み出されることに尽きるでしょう。

感染症については、今回の新型肺炎への取り組みを進めながら、次なる致死性が高く、感染力が強い疾病のパンデミックを想定した施設、装備を備え、大規模災害を想定した訓練と重ね合わせて実行していくのです。

こうした3つのアプローチを実践していくなかで初めて、テロを起こさせず、感染を拡大させないだけの抑止力が国と社会に備わることになるのだと思います。(小川和久)

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なぜ老舗の日本橋三越がビックカメラをテナントに入れたのか?

2月7日、日本橋三越本店新館の6階にオープンした「ビックカメラ 日本橋三越」が話題です。「三越のおもてなしと、ビックカメラの家電に関する専門的品揃えを融合した『家電の新スタイルショップ』」との触れ込みですがどのような店舗なのでしょうか?メルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』発行人の理央周さんが、老舗百貨店の顧客を意識した品揃えや接客などの特徴を紹介。単なるシャワー効果狙いではない三越とビックの狙いを解説します。

日本橋三越本店のチャレンジ~ビックカメラを入れてビジネスモデルを変換

三越伊勢丹ホールディングスが、2月7日に三越の日本橋店の中に、ビックカメラをオープンしました。三越の日本橋店といえば、日本で初めての百貨店と言われている老舗です。外観もかなり歴史のある趣がありますし、中に入ってもディスプレイや売り場の感じも、エレベーターまでもが、高級感あふれる、ザ・デパートといった雰囲気があります。

当然売っている商品も同じで、ラグジュアリーなブランドが揃っていますし、デパ地下も少し高めの美味しそうなものが売られています。私の好きなカフェ「ウインナ」も入っていますが、やはりヨーロッパ調のインテリアで、落ち着けるお店です。

このような中に、家電量販店であるビックカメラが、テナントとして入居する、ということになるので、「おや、珍しいな」というような感覚もありました。

ここ何年か、百貨店など大型の小売店舗は、ネット通販が出てきたこともあり、売り上げに関しては苦戦しています。そこで、ブランド力のある店を自店舗の中に置くことで、集客をしていこう、と考えることになります。

小売業では、「よく売れるブランドやショップ」が自店舗の中にあると、そこから他のフロアなどに売り上げが波及することを狙ったりできますよね上の方のフロアに集客力のある店、例えば飲食店などがあると、お客様はまずはそこに行き食事をしてから下の階で買い物をすることがあります。これを上から下へ、という意味でシャワー効果などといったりします。

名古屋にJR高島屋がありますが、飲食店のフロアには東京の有名店など、名古屋にはないお店があるのが人気で、いつも混んでいますし、日本一のバレンタインイベントと呼ばれている、「アムール・デュ・ショコラ」はなどもこれに当たります。

逆に、地下などの下層フロアに集客力のある店舗があると、まずそこで買い、ついで上の方のフロアにも行く、というパターンもあります。これを噴水効果などといったりします。

ネタではなかった。韓国にリアルに存在している「半地下の家族」

カンヌ国際映画祭の最高賞パルム・ドールとアカデミー賞の作品賞受賞を果たし、日本でも『パラサイト 半地下の家族』として注目されている韓国の映画『Parasite(原題:기생충=寄生虫)』。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴31年目の日本人著者が、この作品内でセンセーショナルに描かれている「半地下にある住居」が、韓国に実存する背景や社会問題について記しています。

寄生虫

韓国語のタイトルは『寄生虫(キセンチュン)』。韓国で2019年5月30日に公開され観客動員数は1,000万人を突破している。今現在もまだ上映中だ。日本では『パラサイト 半地下の家族』として公開された。日本では2020年の1月10日ごろに公開されてるからまだ1か月余りだ。筆者はそれほど映画を見ないほうだけれど、去年の夏頃、妻といっしょに映画館にいって見た。おもしろかったけど、この映画が全世界にこれほどまでの旋風を巻き起こすとはそのときは思ってもいなかった。

ご存じのとおり第72回カンヌ国際映画祭では韓国映画初となるパルム・ドールを受賞。さらに世界最大の権威、第92回アカデミー賞では作品賞を含む6部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の最多4部門を席巻した。非英語作品(Foreign-Language Film)の作品賞受賞は史上初めてのことというから、すごい快挙なのだ。またアカデミー作品賞とカンヌの最高賞を同時に受賞した作品は『マーティ』(1955年)以来、65年ぶりとなるという。

世界中からいろいろの評価がなされている。トータル的には「タイムリーな社会的テーマを多層的かつ見事に描いていてしかも、ボン・ジュンホ監督の作家性が強く刻印されている」といったところで、「緊張感と驚き、そして、富裕層と貧困層の階級に対する怒りが込められているという点で、ジョーダン・ピールの『アス』と通じるところがある」といった評や、「この作品が一つのジャンルに収まることを望むかもしれないが、ジャンルは絶えず変わり続ける。まるで、本物の寄生虫が寄生相手を絶えず変えるように。見終わった後も魅惑的なラスト・イメージが頭から離れない支配的な傑作になっている」との評も(Wikipedia)。

ボン・ジュンホ(奉俊昊/BONG JOON-HO)監督は、1969年生まれの51歳。これまでの作品には、『殺人の記憶』(2003)、『クエムル』(2006)、『マザー』(2009)、『雪国列車』(2013)、『オクチャ』(2017)などがあり、今回の『寄生虫』は2019年発表の作品。『寄生虫』もそうだけど、彼の作品は社会問題、時事問題からヒントを得て作品として昇華しているケースが多いようだ。

日本語のタイトルにもなっている「半地下」。こういうスタイルの家は日本にはたぶんないかと思う。少なくとも筆者が日本にいる間は見たことがなかった。韓国ではこの半地下というのは、けっこうどこにでも見られるスタイルで一般の人はなんとも思わないわけだが、筆者がはじめてその存在を知ったときにはさすがに小さかったけれど、いくばくかの衝撃を受けたことを思い出す。

道路にそって半地下の窓がとられていることが多いので、歩いていても「あ、ここ、半地下の家だ」とすぐにわかる。見た瞬間感じたのは、こんなところに窓があったら、道路に浮遊しているホコリやごみなどが部屋の中にどっと入っていくんじゃないのかということだった。実際それは正しくて窓を開けっぱなしにしておけば砂ぼこり、綿ホコリとありとあらゆるホコリが入ってくるそうだ。

だから普通は窓は閉めきっておくことになる。そしてはじめは気づかなかったことが、部屋に生じる湿気。地下を掘って部屋を設けることになるので、太陽の光を浴びることがない。ために常に湿気が多い。体には当然よくない。家賃が安いから半地下に住むわけで、経済的問題がなければ普通はそういったところに住むことはない。映画の主人公が半地下に住んでいるのも、貧困層の象徴として描かれているわけだ。

韓国のマスコミのインタビューを受けて、新海誠監督が「こんなおもしろい映画ははじめてだ」と答えていたのが印象的だった。また『半沢直樹』の香川照之が、ボン・ジュンホのあだ名を知っているかという問いに対して、「知ってるよ、もちろん。ボン・テイルっていうんだよ」と答えていたのも面白かった。ボン・テイルというのは、「ボン・ジュンホ+ディテール」ということで、ボン・ジュンホの映画作りのそのディテールを大切にするスタイルを評してこういったあだ名がついたのであるが、こんなあだ名まで知っているとはいくら同じ映画畑同志だからといっても香川照之、ただものではないなと思った次第だ。ボン・ジュンホ監督自身はこのあだ名をそんなに好んではいないということであるけれど。自分は穴も多いしポカもよくやる。そんなディテールだなんて、というわけだ。謙遜して「好きじゃない」って言ってるんだと思う。