高島屋の中元戦略は何が凄い?鍵となるメリハリ消費と来店促進

夏といえばお中元の時期。物価が高い昨今ですが、高額商品の売上が伸びる時期でもあります。今回のメルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』で、著者の理央さんが、この時期特有の「メリハリ消費」に目をつけた高島屋のお中元にフォーカスをあて分析しています。

人は行く理由がないと来店しない~高島屋の中元商品ラインアップに学ぶ、顧客視点の来店促進策

日本全国が熱気むんむんのこの季節、ビジネスにも中元商戦のタイミングがやってきます。

この時期、多くのお店では、物価高や消費環境の厳しさを跳ね返すように、高額商品の売り上げが伸びる、「メリハリ消費」が見られます。

メリハリ消費とは

「メリハリ消費」とは、消費者がお金を使う時に、必要最低限のものや、価格の安いものには節約をしながらも、自分が本当に欲しいものや、価値を感じるものには、高額でも積極的に、たくさんのお金を使うという消費の仕方です。

消費者はお金の使い方にメリハリをつけて、賢く消費しているという意味です。

この背景には、物価の高騰や生活環境の変化などにより、消費者は自分の購買行動を見直す傾向があります。

なので、節約する一方で、特別な体験や価値を感じる、商品・サービスに対しては高額でも出費する、というメリハリの効いたお金の使い方になる、ということになるのです。

高島屋のお中元の事例

高島屋では、このメリハリ消費に目をつけ、お中元商品のラインアップに、対応する商品を組み込んでいます。

以下は2023年6月8日日本経済新聞の、記事からの引用です。

大丸松坂屋百貨店は「鰻のひつまぶし」(1万800円)や「ゼリー寄せ3種セット」(7,200円)など有名店のシェフが監修した高価格帯のギフトを取りそろえた。店舗に行列ができる人気のスイーツなども用意した。

「消費を厳選する傾向がある。自分がよいと感じた商品は多少高くても購入してくれる」(ギフト企画担当)という。

高島屋が注目したのは猛暑関連の商品だ。

「冷感」や「さっぱり」「発汗」などのキーワードを掲げる。カフェ運営のアフタヌーンティー・ティールーム(東京・渋谷)の「アイス&シャーベット」(5,400円)や、奥芝商店(札幌市)の「竜宮の賄い海鮮スープカレー」(5,234円)
などをそろえた。電気代値上げで高まる節電志向に対応する常温で長期保存ができる食品も用意した。

小売業では、市場の流れをいち早く読み取り、品揃えやサービスに、その変化への対応策を、いち早く取り入れて、来店を促進する必要があります。

この記事の著者・理央 周さんのメルマガ

ベストセラー作家が教える、42の仕事時短術とサラリーマン処世術

雨も多く、ちょっと憂鬱になるこの時期はストレスもたまりがちですよね。仕事の時間を短くして、ストレスを発散するための時短術を集めた一冊を今回、無料メルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』で土井英司さんが紹介しています。

仕事における時短のコツ⇒『仕事を「短くやる」習慣』

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仕事を「短くやる」習慣

山本大平・著 クロスメディア・パブリッシング

こんにちは、土井英司です。

本日ご紹介する一冊は、ベストセラー『トヨタの会議は30分』の著者、山本大平さんが仕事における時短のコツを述べた一冊。

【参考】『トヨタの会議は30分

著者は、新卒でトヨタ自動車に入社し、新車開発のエンジニアとしてトヨタの効率化を学び、その後TBS、アクセンチュアでキャリアを積んだ人物。

現在は、企業のマーケティング戦略や組織改革に特化したコンサルティング会社を率いています。

本書では、仕事が遅い人がつまずきがちなポイントを指摘し、仕事が速くなるための考え方、手順、メンタルを指南しています。

挙げられているのは、計42個の時短のコツ。

・やり直しが多い人は仕事を「幹」と「枝」に分けてみる
・「関所」を設けてゴールまでのルートを逆算する
・「後日、メールをします」をやめて、その場で決める習慣を!

など、見出しだけ読んでも、仕事改善のヒントが得られると思いますが、しっかり読み込めば、どう自分の仕事に応用すればいいか、見えてくるでしょう。

サラリーマン処世術的な側面もあり、

・上司に話を持ちかけるタイミングはコーヒーを飲んだ後
・仕事相手と相性が悪ければ「間」に人を入れる
・「できない」のに「できる」と言わない

など、若手に向けた有用なアドバイスが書かれています。

新入社員研修などで使っても面白い本かもしれませんね。

 

傲慢で間抜けなトランプとバイデンの大罪。中国に「裏庭」を実効支配された米国の落日

長く「アメリカの裏庭」と呼ばれてきた中南米の国々で今、急速なまでの米国離れが進んでいます。何がこのような事態を引き起こしてしまったのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』ではジャーナリストの高野孟さんが、その理由を詳しく解説。さらにラテンアメリカの構造変動が世界を揺るがす可能性を指摘しています。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2023年6月12日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

トランプとバイデンの無能。アメリカの怠慢外交で中国に占拠された「裏庭」

米バイデン政権が「民主主義国vs専制主義国」という賞味期限切れの図式で世界を割り切り、その前者の陣営の「盟主」として振る舞うことで過去の栄光を取り戻せるかに錯覚していることが、世界の大迷惑であるだけでなく、残念なことに、米国自身の衰弱を早める結果ともなっている。

その米外交の残念な結果が集中的に現れているのが、かつて米国の「裏庭」とまで呼ばれたラテン・アメリカである。同地域の33カ国のうちカリブ海の英連邦傘下国を含む極小国12カ国を除いた主要な主権国家21カ国を見ると、キューバ、ニカラグア、ベネズエラ3カ国のあからさまな反米左翼政権以外にも、9カ国が非親米的な左派政権(注1)であり、さらに右派政権と見なされているグアテマラ、エルサルバドル、ウルグアイの3カ国も非親米的。つまり、主要21カ国中、米国の言うことに従順かと思われるのは残りの6カ国しかない(注2)ということになる。

(注1)メキシコ、コスタリカ、パナマ、コロンビア、ペルー、ブラジル、ボリビア、アルゼンチン、チリ

(注2)ベリーズ、ホンデュラス、ガイアナ、スリナム、エクアドル、パラグアイ

米国に代わってこの地域で存在感を増しているのは中国で、メキシコを除く中南米全域での貿易総額では21年にすでに中国が2,470億ドルで、米国の1,740億ドルを大きく上回っており、南米だけを取ればそれ以前から中国は米国を上回る最大の貿易相手となっている。また、2005年から19年までの中国の中南米諸国への投資額は累計1,380億ドルで、米国を大きく上回っている。それらを反映して、パナマ、エルサドバドル、ホンデュラスなどが次々に台湾と断交し中国と外交関係を開いている。ホンデュラスは上掲(注2)のように、基本的には親米国とされてきたが、米国の強い制止にも関わらず23年3月に台湾と断行し、中国と外交関係を結んだ。

米国が20世紀の延長上の惰性思考で、ラテン・アメリカは未だに自分の「裏庭」だと思って安心し切っているうちに、そこを丁寧に耕し種を撒き草木を育て、実効支配を広げてきたのは中国だった。これを、中国がけしからんと言っても始まらないことで、米国が自分の傲慢故の間抜けぶりを自省しすべきことである。

この記事の著者・高野孟さんのメルマガ

トラブル続出もマイナンバーカード導入を“ゴリ押し”する日本政府の恐ろしい最終目的

民間企業ならば何人もの人間の首が飛んでいてもおかしくないほど頻発する、マイナンバーカードを巡るトラブル。しかし岸田政権はあくまで導入ゴリ押しの姿勢を崩すことはありません。なぜ彼らはここまで頑なにマイナンバーカード制度にこだわるのでしょうか。今回のメルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図──政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』では投資コンサルタント&マネーアナリストの神樹兵輔さんが、その裏に隠された政府の思惑を解説。さらに彼らの「最終目的」を暴露しています。

情報漏洩だけでは済まない。マイナカード普及で国民が被る大損害

政府は、これまでマイナンバーカード普及に躍起となってきました。

昨2022年6月からは、「公金受け取り」をエサに、預貯金口座をマイナンバーカードに紐づけすれば、登録者に7,500円分のポイントを付与し、最大で2万円分を受け取れるマイナポイント事業第2弾を本格化させています。

そして、政府はなんと、この大バカな事業に総額2兆円を超える予算をつぎ込んできています。

いずれ国民全員にマイナンバーカードを普及させる目的でありながら、一部の先行取得の国民だけを利するという不平等・不公平な「アホの極みの事業」なのです。
しかも、2兆円といえば、年間消費税率換算で、1%分に相当する額です。とんでもない税金の無駄遣いなのに、マスメディアも一向に批判してきませんでした。

政府は、マイナンバーカードの制度設計の段階から、電機・通信関連の大企業に業務委託し、所管の総務省などからの天下りを受け入れさせています。一部の企業に利権をもたらす構図は、いつものことなのでした。

かつて、コロナ感染拡大の一因になった──といわれた、一連の「Go To キャンペーン」時の総額1兆7,000千億円の予算づけといい、民間事業者の利権を絡めた、こうしたバラ撒き事業の際には、政府もずいぶん気前よくどーんと予算を付けるものなのです(自民党幹部が業界から年間数百万円の献金を受け取っていた旅行業協会会長だったために、献金額の100万倍近い1兆7,000億円の予算がすぐに決まったのでした)。

コロナ危機の際には、消費税率引き下げの減税を一気にやればストレートに国民が潤うのに、わざわざ政治献金絡みの民間事業者を経由させ、事業費を中抜きさせる税金バラ撒き事業を、必ずこうしたやり方で行うことが政府・自公政権のお約束事になっているわけです。

こうした税金バラ撒き事業に関わる事業者の実名をマスメディアも公開しないため、いつも緊張感のないユルユルの杜撰事業となって、たいてい後から「不正請求」やら「不正受給」といった横領・窃取・着服・横奪などの醜い事例が発覚して問題になるのです。

国民が望まぬ「マイナ保険証」強制取得に賛成した連中

ところで、国民の大半が反対しているのに、来年秋には健康保険証を廃止し、マイナンバーカードへの紐づけ保険証を強要することになる「マイナンバー法等改訂法」は、「意味不明の新しい資本主義」を標榜し、「聞く耳をもたない」「丁寧な説明をしない」──岸田文雄(世襲3代目)政権によって6月2日に国会で成立してしまいました。

マイナンバーカードは任意取得のはずが、事実上の「強制取得」にしたのです。寝たきりで動けない高齢者は、どうやって窓口でマイナ保険証を取得するのでしょうか。

そして、この法案に賛成したのは、自民、公明の連立与党に加えて、日本維新の会、国民民主党の「ゆ党(や党でもよ党でもない党)」だったのですから、よく覚えておきたいものです。

こうした「ゆ党」は、きっと自民党にすり寄って甘い汁が吸いたいだけの政党なのでしょう。

アメとムチで無理やりカード取得へと駆り立ててきた政府

ところで、総務省によれば、今年6月4日時点で、マイナンバーカードの申請受付数は、9,707万枚で、人口の77.1%に達したそうです。

コロナ禍に突入する直前の2019年11月には2,000万枚にも届かなかったのが、この3年間でグーンと伸びてきたのでした。

それもそのはずなのです。

ほとんどの国民が、マイナンバーカードに必要性を感じていないのに、政府がアメとムチで、無理やり取得へと駆り立ててきたからに他なりません。

マイナンバーカードを取得しない理由は、内閣府の世論調査(2018年)でも、「必要性が感じられない(58%)」「身分証明書は他にもある(42%)」「個人情報の漏えいが心配(27%)」「紛失や盗難が心配(25%)」と続いていたのです。

その他の調査でも、「申請手続きが面倒」「銀行口座との紐づけが心配」「情報漏洩の懸念」などが毎回のように回答に上がり続けました。

カードの魅力が乏しい上に情報漏洩に不安を感じる人が多かったのです。

政府に個人情報を一括丸抱えで握られることへの反発も少なくなかったのは当然でしょう。

この記事の著者・神樹兵輔さんのメルマガ

AIでも半導体でもない。世界的エンジニアが日本再生のために投資すべきと提案する「5つの産業分野」

以前掲載の「シリコンバレーに勝てるのは「高専」だけ。世界的エンジニアが重大提言、日本を救うIT学園都市構想の中身」等の記事で、たびたび我が国が再び立ち上がる術を考察してきた、Windows95を設計した日本人として知られる中島聡さん。そんな中島さんが近々、河野太郎デジタル大臣と対談する機会を得たといいます。そこで今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では中島さんが、総理大臣候補としての河野氏への提案を考えているアイディアを紹介。日本再生のために力を入れるべき5つの産業分野を具体的に記しています。

【関連】シリコンバレーに勝てるのは「高専」だけ。世界的エンジニアが重大提言、日本を救うIT学園都市構想の中身

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

私が考える日本再生計画。今やるべきは「社会のニーズ」を解決する産業を育てること

以前から是非ともやりたいと考えていた河野太郎デジタル大臣との対談ができそうな気配になってきたので、どんな話をするかを考えています。行政のデジタル化の話だとか、マイナンバーカード関連のトラブルの話などは、他の人でも十分に出来るだろうから、私にしか出来ない話をしたいと考えています。それも、デジタル大臣である河野太郎氏に向けてではなく、総理大臣候補としての河野太郎氏に向けてのメッセージ、というかアイデアを送りたいと考えています。

アイデアは大きく分けて二つから構成されています。一つ目は、以前、このメルマガにも書いた、日本独自の高専を活用した、日本の教育改革であり、理科系人材の育成です。今の日本の教育は、企業による新卒一括採用とセットになり、大学受験の時点で子供達を「ふるい」にかけ、「学歴」を利用して大学卒業時に「正社員の地位」を得ることがゴールである、とても保守的なシステムになってしまっています。そのため、子どもたちは、貴重な中高の時期を過酷な受験勉強に費やし、創造性を伸ばす、さまざまな機会を通じて夢中になれるもの・得意なものを見つける、などの最も大切なことが出来なくなっています。

大学は、「研究機関」でもなければ「職業訓練校」でもない、単なる「受験の時点で優秀な生徒を集めて就職まで預かっておく」だけの付加価値の低いものに成り下がってしまいました。

この状況を打破するには、ソフトウェア・エンジニアを中心に、即戦力のエンジニアたちを5年間で育成する全寮制の高専を日本各地に作り、そこに理系頭を持つ子どもたちを幅広く受けた上で、英語で理数教育をし(オンラインコースとAIを使った個別指導を最大限活用します)、彼らを受験勉強から解放すると同時に、世界に通用する即戦力のエンジニアを大量に育成するしかないのです。

同時に「受験により子どもたちを『ふるい』にかけるだけ」のぬるま湯大学には消えてもらい、残った大学(および大学院)には、研究の道に進みたがる一部の学生だけを受け入れて「研究者」を育てる「研究機関」としての役割を果たしてもらいます。

日本政府は、私立助成金という形で莫大な税金を教育に流し込んでいますが、それは、大量の生徒を集める私立校ビジネスを補填しているだけであり、優秀な人材を生み出すことには全く繋がっていないことを反省すべきです。そのお金を、公立の高専に流し込み、そこで即戦力の理系エンジニアを大量に生み出すことこそが、日本の成長に繋がります。

この記事の著者・中島聡さんのメルマガ

日韓との違いは明確。アメリカの“駒”になどならない中東諸国の姿勢

アメリカのブリンケン国務長官がバイデン政権としては初めて北京を訪問する見通しとのニュースが大きな話題となりました。しかし、当の中国側の反応は静かなものだったと伝えるのは、多くの中国関連書を執筆している拓殖大学の富坂聰教授です。今回のメルマガ『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』では、その理由として、中国を「価値観の共有できない国」とすべく“宣伝工作”を続けるアメリカに対して拭えない不信感があると指摘。しかし“工作”の効果は限定的で、サウジアラビアを筆頭に中東諸国が中国との関係を深め、アメリカに加担しない姿勢を示していることに注目しています。

少し陰りが見えた中国の貿易統計にも顕著な中国の新興国・発展途上国シフト

今週は、アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官の訪中が大きな話題となった。しかし、当の北京は思いのほか静かだ。先進7カ国(G7)広島サミットでジョー・バイデン米大統領が、「(中国との)雪解けは近い」と発言したときも同じように反応は鈍かった。

根底には中国外交部報道官が「言行不一致」と繰り返すアメリカへの不信がある。事実、中国のイメージを悪化させるためと思われる動きは、アメリカやその同盟国の間で一向に止む気配はない。

今月8日には米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』が「キューバに中国がスパイ施設を設置しようとしている」と報じてワシントン周辺が騒がしくなった。疑惑は間もなく、ジョン・カービー米国家安全保障会議戦略広報調整官によって「正確ではない」と否定されたものの中国は反論に追われた。

中国が世界各国に持つとされた「秘密警察署」の疑惑もそうだ。人権団体が「秘密警察署」と指摘したことで英警察が調査を断行。最終的には「中国政府による違法行為は確認されなかった」(トゥゲンハット安全保障担当相)との結論が導き出された。

いずれのケースも最後は「白」と判断されたが、騒ぎが拡大するなかで中国のイメージが大きく損なわれたのは言うまでもない。一旦独り歩きした情報の否定は容易ではなく、中国を「価値観の共有できない国」とするのには十分な効果があったと考えられた。

宣伝工作において欧米側に一日の長があることを思い知ら去られるエピソードだが、一方で情報コントロールを国家権力が一手に担う中国の「弱さ」も露呈した。

もっとも国際世論戦でソフトパワー不足のため劣勢に立たされる中国も、国際社会で自らの生存空間を広げるという競争では、確実に得点を重ねているようにも見える。

例えば、ブリンケン国務長官のサウジアラビア訪問(6月6日から8日)である。筆者はもちろん中国とサウジアラビアの接近が直ちに中東地域におけるアメリカのプレゼンスの大幅な低下を意味しないことは承知している。安全保障の視点で見ればアメリカの存在感が相変わらず巨大である。

ただ一方、中国がサウジアラビアとイランの仲裁をやってのけた事実も、過小評価してよい話ではない。中東に吹く風は確実に変っているからだ。

この記事の著者・富坂聰さんのメルマガ

「鈴木邦男さんを偲び語る会」のスピーチで感じた辛淑玉氏の復活

2017年に放送されたTOKYO MXの番組「ニュース女子」を名誉毀損で訴えた辛淑玉(シンスゴ)さんの勝訴が、5月1日に確定しました。番組側による沖縄の反基地運動を煽っているとのデマにより、ドイツに避難するほど傷ついた辛さんが「ようやく元気になってきた」と語るのは、共に市民団体「のりこえねっと」の共同代表に名を連ねる評論家の佐高信さんです。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では、「鈴木邦男さんを偲び語る会」でのスピーチや、衆議院法務委員会で放った鋭い発言を紹介し、その人柄を伝えています。

辛淑玉への卑劣な攻撃

辛淑玉が彼女への卑劣な攻撃に勝訴した。2017年に東京MXテレビが沖縄の反基地運動を辛がカネを出して煽っているような報道をし、「在日という出自を利用して沖縄差別をあおるデマ」に怒って彼女が訴えた。

しかし、彼女への脅迫は強まり、家族まで危険にさらされるような状態になって、一時、彼女はドイツに避難した。自分たちがカネをもらってやっているから、身銭を切って反対する気持ちが攻撃する者たちにはわからないのだろう。

その辛がようやく元気になってきたなと思ったのが、4月2日の「鈴木邦男さんを偲び語る会」でのスピーチだった。

「私の隣に佐高信、そして宮崎学、そっちに鈴木邦男とセクトたち。この面子でいつも盗聴法反対とか暴対法反対とか様々な記者会見や集会の時に並ぶんですね。どう見ても朝鮮人にヤクザに右翼に左翼に過激派じゃないですか」

と笑いをとった彼女は、講演会の打ち上げで鈴木と歌ったことがあると言い、何を歌ったかと松元ヒロに問いかけた。ヒロが「アリラン」と答えると、首を横に振り、「ここが左翼の限界かもしれませんね」と笑う。

会場から「ふるさと」と声がかかったら、やはり首を振り、「これも右翼の限界かも」といなした。「イムジン河!」には「まったくダメですね」で爆笑。

「君が代」にようやく彼女は頷いて「大きな拍手をお願いします」と言った。

「では、もう一曲は?」に会場は沈黙したので、彼女が「金日成将軍の歌」を一緒に歌ったというのはちょっとした驚きだった。

鈴木には“邦男ガールズ”と呼ばれる親衛隊がいた。それで彼女は友人と、なぜ自分たちは入れなかったんだろうと話したという。それには会場から「年齢制限!」と野次がとんだ。

差別を乗り越えるネットワークの「のりこえねっと」を辛が発足させる時、鈴木も私も共同代表になった。鈴木は辛の依頼にイエスと即答したが、理由は「辛淑玉が怖いから」だったとか。

1999年8月3日、辛は衆議院法務委員会に参考人として呼ばれて、こう言った。

「呼んでいただいて、本当にありがとうございます。来た瞬間から、何と面白い所だと思いました。寝ている人はいるわ、他の仕事をしている人はいるわ、お話している人はいるわ、遅刻する人はいるわ、出たり入ったりする人はいるわ、これは学級崩壊そのもので、子供は真似たのでしょう。二度と来ないと思いますが、私の手元に皆さんの座席表がありますから、態度の悪い人はちゃんと覚えておくつもりです」

『AERA』の「現代の肖像」からの引用だが、私はそこで「彼女を倒れさせたら我々日本人の恥だよ」とコメントしている。

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年金のプロが疑問視。なぜ経済の専門家たちは非現実的なベーシックインカムを推すのか?

数年前に話題になったベーシックインカム。すべての国民に毎月一律でお金が支給される制度ということもあり、導入を望む声は多いです。しかし、これは本当に現実的な政策なのでしょうか?人気メルマガ『事例と仕組みから学ぶ公的年金講座』の著者で年金アドバイザーのhirokiさんは、この財源の調達にフォーカスをあて考えています。

少子化と年金とその重要な背景

1.国民みんなに生活できるだけの所得を無条件に支給するという幻想

何年か前にベーシックインカムという言葉が流行りました。なんとなく経済の専門家のような方々もそれを支持していたような感じでした。

生活保護とは違う、国民みんなに生活資金を支給するという、そんなオイシイ話があるんだろうかと思いました。

まずすぐに頭に浮かんだのは財源ですね。どんな政策もそうなんですが、財源が調達できないと全く意味がありません。

どんなに凄く理想的な政策を叫んでも、じゃあどこからその財源を持ってくるの?という事になります。国がやるんなら絶対に税収を上げないといけない。

さっきのベーシックインカムは今の日本人1億2,000万人に無条件に生活資金を支給するという事は、1人につき10万円くらいを毎月支給する感じかなと。

という事は月に12兆円かかる。年間にして144兆円。そんな財源あるわけないし全く、考える価値の無い政策だなって思っていました。

まず今の国の一般歳入は110兆円ほどです。あまりにも巨額なお金だからイメージしづらいと思いますが、1万円札を重ねた距離にして1,100キロほどになります。では1,000億円だとどのくらいの距離なのかというと、1キロメートルくらい。1,000億円の1,100倍が110兆円ですね。

そんなにあるんだーと思われたかもしれませんが、この110兆円は全部税金で賄われていません。その中のせいぜい60~70兆円が税収で、残りの40兆円ほどは借金(つまり国債)で予算を組んでます。

予算を組むためには税金が足りないから、借金してどうにかこうにか予算を組んでいます。

この記事の著者・hirokiさんのメルマガ

原爆資料館だけじゃなかった。岸田総理のG7サミット「真の目的」とは

広島で開催されたG7サミット。この本当の目的は「グローバルサウスを巻き込んだ結束強化」だったと、メルマガ『j-fashion journal』の著者でファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんは見ています。今回のメルマガでは、 グローバルサウスとは何か、日本が目指すべき支援の内容について語っています。

日本が目指すべきグローバルサウス支援

こんにちは。

広島で開催されたG7サミットは、各国首脳を広島の原爆資料館に案内するのが目的だと思っていましたが、実は、グローバルサウスを巻き込んだ結束強化が目的だったようです。日本のテレビを見る限り、岸田さんが世界の指導者を自分の選挙区に招待した意義ばかり強調されていたように思います。

そこで、グローバルサウスについて考えてみました。

1.G7とグローバルサウス

西側先進国と呼ばれるG7(カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、英国、米国)に将来性はあるのでしょうか。高齢化と人口減少。経済は成熟し、成長は鈍化しています。

一方で、グローバルサウスと呼ばれるアフリカ、中東、中央アジア、南アジア、東南アジア、中央アメリカ、カリブ海地域、南アメリカの一部などに位置する発展途上国は、人口は増加し、経済は成長しています。豊富な天然資源を持つ国も多く、資源国としても注目されています。

更に、国際的な政治課題である、「持続可能な開発と国際協力」の中心に位置しており、先進国も無視できない存在となっています。

G7諸国は中国、ロシアと対立し、様々な経済制裁を課しています。グローバルサウス諸国にも制裁を呼びかけていますが、反応は冷やかです。食糧や兵器をロシアに頼る国が多く、産油国の連帯もあります。

中国も一体一路でグローバルサウス諸国に対して積極的な支援を行っています。「債務の罠」があったとしても、何もしない西側先進国よりは頼りになると思われています。

2.中東で高まる中国の存在感

サウジアラビアは、長年、米国と有効な関係を築いてきましたが、現在は距離が拡大しています。

バイデン大統領は、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子に対して、ジャマル・カショギ氏殺害の容疑があると非難していましたが、22年6月に原油価格が上がると、サウジに飛び、原油増産を依頼しました。しかし、サルマン皇太子は、原油価格上昇につながる原油減産を決定。バイデン大統領は、これをロシアに肩入れしていると非難しました。

22年12月、中国とサウジアラビアが人民元によるクロスボーダー取引を行ったことが発表されました。これまで原油取引は米ドルで行うことがルールであり、それがドルの基軸通貨として裏付けでした。

更に、23年3月、中国の仲介でサウジアラビアとイランが外交関係の正常化で合意しました。また、中国とサウジは初の人民元建て融資協力を実施しました。

明らかに世界に対する米国と米ドルの影響力は低下しているのです。

この記事の著者・坂口昌章さんのメルマガ