タレント、司会者、ラジオパーソナリティ、YouTuberなど多方面で活躍する田村淳さんがプロデュースする、新ビジネスコミュニティメディア「XU(クロスユー)」。その「XU」と、福岡を拠点にするFMラジオ局「CROSS FM(クロスエフエム)」、そして日本初・国内最大級のメールマガジン配信プラットフォーム「まぐまぐ!」の3メディアが、それぞれの強みを活かしたクロスメディア展開プロジェクトが、2025年9月9日より開始されました。このプロジェクトでは、動画・音声・テキストという異なるメディア特性を活用し、一つのコンテンツをより多様な形で楽しんでいただける新しい取り組みです。

本プロジェクトは、「XU(クロスユー)」YouTubeチャンネルを起点に、革新的なメディア連携モデルで、YouTubeで配信される田村淳さんプロデュースのビジネス・経済コンテンツを、まぐまぐの無料メルマガ配信とWebサイト展開、CROSS FMのラジオ放送へと展開。一つのコンテンツを複数のメディア形式で楽しめる、新しい情報体験を実現するというもの。
プロジェクト開始記念コンテンツの第二弾となる「特別対談シリーズ」。今回、田村淳さんがお話を伺ったのは、名古屋にある加藤軽金属工業取締役社長の加藤大輝氏と、千葉発のベンチャー株式会社TERRAのCEO代表取締役の東光弘氏。「千葉のベンチャー企業」と「名古屋の町工場」という異色の組み合わせが、なぜ手を組むことになったのでしょうか。トーク動画の一部抜粋を、MAG2 NEWS誌上でお楽しみください。
ベンチャーと町工場、異色のタッグが生まれた背景は?
田村淳さん(以下、田村):本日はよろしくお願いいたします。それでは改めて、それぞれどういう会社なのかご説明していただけますか。
加藤軽金属工業取締役社長 加藤大輝氏(以下、加藤):弊社は1961年創業のアルミの押し出し形材を作っている会社です。加工と組み立てをやっていまして、メジャーな製品でいうと、アルミの窓サッシだったり、車のバンパー、ルーフレール、機械のレールなどを手がけています。多分、皆さんも一度は弊社のアルミ製品を触ったことがあると思います。
現在2000社ほどの企業様とお付き合いさせていただいている、胸を張って「町工場」と言える規模の会社です。

株式会社TERRAのCEO代表取締役 東光弘氏(以下、東):弊社は「ソーラーシェアリング」という、営農型太陽光発電を手がけています。高さ3メートル50センチぐらいのところに、幅が狭い太陽光パネルを藤棚のような形で隙間だらけに配置し、コンバインやトラクターが通れるようにした「畑の上の太陽光」システムです。

田村:お二人が手を組んでいるプロジェクトはどのようなものですか?
東:今回挑戦しているのは、難易度の高い沖縄でのソーラーシェアリングです。高いところにあるものですから、風との戦いなんです。重心もあるし、風を受ける面積も大きい。沖縄は日本で一番大きな台風が来る場所ですから。
実は沖縄は、家を低くして台風対策をしているにも関わらず、太陽光発電の導入比率が日本で一番低いんです。同時に、沖縄の電気代は東京電力の1.5倍ほど高く、所得は日本で一番低い。給料が低いのに電気代が高いという厳しい状況にあります。
さらに、サトウキビなど農業も経済的な理由で耕作放棄地がどんどん増えているという複合的な課題があります。
田村:加藤さんから見て、この難易度の高さはどの部分にあると感じますか?
加藤:台風に負けないようにということで、いろいろ試してみたんですが、オールアルミだとやっぱり持たない。風にも耐えられないという状況でした。現状では一度行き詰まっている状況です。
東:そこで注目しているのが、ペロブスカイト太陽光電池です。軽くて薄いので、今までとは全然違う構造にできる可能性があります。そういう時に、また加藤さんに入っていただく形で、一度スタートに戻った感じですが、2〜3年後を見据えて一緒に歩んでいます。
田村:一度手を取り合ったものは握ったまま、新しいことをやろうということですね。
東:環境の仕事は、いろんな側面で語れると思うんですが、パートナーシップの部分が一番大事だと思っています。技術的なことは日進月歩でいろんな新しいテクノロジーが出てきますが、それを取り入れると今まで無理だったことができるようになる。その連続だと思うんです。
でも重要なのは、5年後、10年後に一緒に信頼してやれるかどうか。うまくいった時にビールやお酒を一緒に飲めるかどうか、そこがベースになると思います。
グローバルアジェンダへの取り組み
田村:今後、どういった課題解決を考えていますか?
東:グローバルアジェンダということで、3つの物差しが大事だと思っています。1つは距離の問題で、宇宙船から見た鷹の目と、自分の身長で見た世界、顕微鏡で見た世界。次に時間を俯瞰する視点。何億年前から百年前、今、そして5年後、10年後という時間軸。そして異なる業種、経済と自然生態系など違うレイヤーのことを俯瞰してみる。
そうすると無限の答えが出てくるので、相手に合わせてお答えいただければ、こういうことができますよというリアクション型のアプローチを取っています。

加藤:私のグローバルアジェンダは、少し国内に寄ってしまっていますが、日本の製造業の後継者不足が一番の危機感です。二社につき一社が後継者がいないという状況で、このままでは国力が弱まってしまいます。
そこで、共感を集めるような事業でなければ人も物も金も集まってこない。製造業が世の中の課題にちゃんと向き合って解決していることを正しく発信し、正しく収益を上げて事業成長させていく必要があると考えています。
田村:お二人とも信頼し合って、新しい課題にトライしようという気持ちまで来ているということですね。
東:加藤さんのすごいところは、危機をちゃんと認識できていることです。危機感がある人の方が、このまま死滅していってしまうので変わらなきゃいけないという意識がある。その人類全体として変わらなきゃいけない状態が、信頼のベースになっていると思います。
東:実は電気の解決方法は結構簡単で、例えばソーラーシェアリングを日本の農地の1.6%に設置すると、日本の電気は足りてしまうんです。400ギガワットでも足りる計算になります。
または日本の耕作放棄地の10%ぐらいに設置すれば、畑に復活して米も食べ物もたくさん取れるようになります。あとはもう意思決定とマインドの問題だと思っています。
田村:そのマインドは育ってきていると感じますか?
加藤:まだまだハードルは高いと思っています。農地にソーラーシェアリングを設置するときに農地法をクリアしないといけませんし、地場の人たちの理解を得る必要があります。まだソーラーシェアリング自体の理解が進んでいないんです。
ただ、ソーラーシェアリングを設置すると、1ヘクタールで大体年収200万円程度だった農地が、1500万円から地域によっては2000万円ぐらいの追加収益が得られるようになります。農業もちゃんとやりながら、生活の糧になるような電力の売電収入を得るというモデルを提案していきたいと思っています。
農業に「新たな可能性」?
田村:これがうまくいくと、農業復活と電力問題を一気に2つとも解決するということですね。
東:そうです。今までは農業というと農産物製造業、ジャガイモをどれくらい採って美味しいから高く売る、それだけでした。しかし江戸時代の干拓事業のように、農村全体を俯瞰的に見ると、最近ではJクレジットというCO2削減のクレジットも付くんです。
例えば、水田でソーラーシェアリングを設置すると気温が下がり、メタンの量が3分の1から半分ぐらい減るという研究結果があります。今まで農家さんの収入にならなかったものも、農家さんの収入にしてしまえばいい。

ソーラーシェアリングで作ったお米を、ENEOSやSBIなどと一緒にお仕事させてもらっているのですが、できたお米はカーボンファーミングという環境配慮米として、企業の社食で少し高めに買ってもらうということも多角的に考えています。
田村:今まで諦めていたところで電気を作りつつ、農業を復活させて、食料安全保障にも貢献できるということですね。
東:電気や食べ物を対立する価値で捉えないで、1つのメディアとして捉えて、企業と企業を結ぶツールにする。加藤さんのアルミも、今でも多分皆さん一度は触ったことがあるはずです。それだけのことをやられているので、その価値をもう一回違う角度で見てみたら、まだまだ可能性があるじゃないか。そういうのを掘り起こしていくのが環境ビジネスの面白いところだと思います。
(YouTube動画より一部抜粋、続きや全編をご覧になりたい方は以下の動画をご視聴ください)
新ビジネスコミュニティメディア「XU(クロスユー)- X innovation empowers U」とは
社会とビジネスの“交差点”をつくる、新たなメディア構想

「XU(クロスユー)」は、タレントであり事業家としても活動する田村淳氏をエグゼクティブプロデューサーに迎え、業界・世代・立場を超えて挑戦者たちが出会い、相互に刺激し合いながら価値を生み 出す越境型ビジネスプラットフォームです。
大企業の経営者、新規事業責任者、スタートアップ創業者、地域で活躍するプレイヤーなどが立場を超えて集い、「課題発見からアクションまで」を共創します。
【2025年9月9日開局!】XU(クロスユー)公式YouTubeはコチラ。
image by: XU公式YouTubeチャンネル