バイデンも頼りにならず。すでに3選確実な習近平を前に無力な岸田首相の情けなさ

前例のない「国家主席3期続投」を目指していた習近平氏ですが、もはやその座は確実なものとなったようです。政治ジャーナリストで報道キャスターとしても活躍する清水克彦さんは今回、習近平国家主席が3期目を勝ち取ったと見られるさまざまな「状況証拠」を紹介。さらにこの先、権力を強化した習氏が日本の前に「アジアの怪物」として立ち塞がる可能性を指摘するとともに、国民からの信頼を失った岸田首相では到底太刀打ちできないとの見解を記しています。

清水克彦(しみず・かつひこ)プロフィール
政治・教育ジャーナリスト/大妻女子大学非常勤講師。愛媛県今治市生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。京都大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得期退学。文化放送入社後、政治・外信記者。アメリカ留学後、キャスター、報道ワイド番組チーフプロデューサーなどを歴任。現在は報道デスク兼解説委員のかたわら執筆、講演活動もこなす。著書はベストセラー『頭のいい子が育つパパの習慣』(PHP文庫)、『台湾有事』『安倍政権の罠』(ともに平凡社新書)、『ラジオ記者、走る』(新潮新書)、『人生、降りた方がことがいっぱいある』(青春出版社)、『40代あなたが今やるべきこと』(中経の文庫)、『ゼレンスキー勇気の言葉100』(ワニブックス)ほか多数。

3選をほぼ手中にした中国・習近平。日本の岸田首相では太刀打ちできない厳しい現実

着々と進む習近平総書記3選への布石

習近平総書記の3選がかかる中国共産党大会(10月16日開幕)まで3週間あまりとなった。

党大会では、最高規則である党規約を改正し、習近平総書記(国家主席)の権威を高める表現が明記される可能性が高い。

すでに、党中央政治局は今月9日の会議で、党規約に重大な戦略思想を盛り込む方針を確認した。

5年前の2017年10月、2期目に突入した党大会では、「習近平新時代の特色ある社会主義思想」が明記された。これが、習近平総書記個人崇拝への起点ともなった。

北京からの情報によれば、3期目に入る今回の大会では、「毛沢東思想」と同様、「習近平思想」という言葉や、これまで毛沢東にしか使われてこなかった「領袖」という呼称が、党規約の中に色濃く打ち出されるものとみられる。これらは、習近平総書記を、建国の父、毛沢東と同格に扱うことを意味するものだ。

不協和音を排除した習近平

中国では、厳格な「ゼロコロナ」政策に伴う行動制限への不満や低迷する経済への不安が根強い。ウクライナ侵攻で批判を浴びるロシアと共同歩調をとっている外交面への懸念もある。本来であれば、異例の3選に「待った」がかかるところを、習近平総書記は乗り切った。

通常であれば、8月上旬から中旬にかけ、河北省の北戴河で開かれた中国共産党の元指導者(江沢民政権や胡錦濤政権を支えた最高幹部)ら長老たちが集まる会議で、3選への批判が噴出しかねない状況であった。

しかし、習近平総書記は、アメリカのナンシー・ペロシ下院議長が台湾を電撃訪問したことへの対処を理由に、途中から参加し、「台湾統一は志半ばであり、もう1期続ける」と宣言したとされる。

長老たちも、アメリカの台湾関与の姿勢を見せつけられては「引退勧告」はしにくく、習近平総書記3選が固まったというのが、今年の北戴河会議の顛末である。

北戴河会議の直後、習近平総書記は、遼寧省錦州市にある遼瀋戦役革命記念館を訪問した。遼瀋戦は中国共産党と中国国民党による国共内戦の1つである。

私は、習近平総書記が、会議の後、最初にこの記念館を訪問したことについて、「自分こそが毛沢東路線の継承者であり、自分の代で必ず台湾統一を実現する」と誓ったものと受け止めている。

中国の国内メディアが、習近平総書記を礼賛し、最高指導者として君臨してきた2期10年の成果を強調し始めたのはこの頃からである。

「AI安倍晋三」の裏に統一教会?ズブズブ自民議員の大絶賛で深まる疑念、「東大」騙る悪質手口、ネット工作から漂うキナ臭さ

安倍元首相「国葬」のタイミングに合わせたように「故安倍元総理追悼AIプロジェクト」というサイトが出現した(27日午後10時に公開終了)。そのサイトではAIが再現した安倍元首相そっくりの音声で、国民へのお別れのメッセージを聴くことができたのだが、このサイトを公開したのが「東京大学AI研究会」と名乗る団体だ。まるで東京大学の関連団体ような名称だが、東大電子情報工学科が「当学科の団体ではない」と否定したことで、この団体の正体に関して様々な憶測が広がっている。統一教会との関連を指摘する声もあるが実際のところはどうなのか?

「AI安倍晋三」を発表した「東京大学AI研究会」の正体は統一教会?

「故安倍元総理追悼AIプロジェクト」という特設サイトが出現したのは、国葬2日前の9月25日。 安倍元首相の声をシステムに学習させた上、新たにテキストを学習させて再現した「AI安倍晋三」というコンテンツが7本公開された。この特設サイトとYouTube上にアップされた合成音声動画は27日午後10時に公開終了し、現在は「こころより、安倍晋三元総理のご冥福をお祈りします。」というメッセージだけが残っている。

このAIプロジェクトを企画・主催した団体は「東京大学AI研究会」と名乗り、 悪質なことに東大電子情報工学科のサイトまでリンクされていた。誤解を恐れた東大電子情報工学科は「学科の団体ではない」と慌てて声明を発表した形となった。

そこで浮上したのが、統一教会やその学生下部組織である「原理研究会」(通称「原理研」)がこのAIに関与しているのではないかという疑惑だ。

原理研といえば古くから学生新聞の発行で知られるが、「東大新報」「京大生新聞」など、あたかも大学側が公式に発行しているかのような紛らわしい名称を使用する厄介な特徴がある。

これらの学生新聞はもちろんまがい物で、本物の国立大学の新聞サイトでは、「山形大学生新聞」「東北大学生新聞」などの紛らわしい名前で配布されている統一教会・原理研系新聞に注意を促している。

ちなみに、アメリカ本土で発行されている「ワシントン・タイムズ」という新聞も、権威と伝統のある新聞のように錯覚してしまうが、実は統一教会が発行している新聞である。

自らの正体を隠し、紛らわしい名称でそこかしこに潜り込むのは統一教会の常套手段だ。多くの人が「東京大学AI研究会」=「原理研」を疑ってしまうのも無理はない。

【関連】元電通マン。国葬や統一教会、五輪汚職のすべてに関わる自民党議員の名前

人民の選択に口を出すな。中国が米国に発したイラ立ちメッセージ

人権問題や台湾の安全保障を巡り、過去例にないほど緊張が高まっている米中関係。しかしこれまで強気一辺倒だった中国サイドに若干の変化もあるようです。今回のメルマガ『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』では、著者で多くの中国関連書籍を執筆している拓殖大学教授の富坂聰さんが、ニューヨークを訪問した王毅外相の発言を紹介するとともに内容を詳細に解説。その上で「米中関係を改善へと向かわせたいという意図が見える」との分析結果を記しています。

この記事の著者・富坂聰さんのメルマガ

 

それでも米中が首脳会談に向けて調整に入る理由

今週は久しぶりにコロナ関連のトピックにたくさん触れた。

まず出演したテレビ朝日の『ビートたけしのTVタックル』で、「2ch.sc」の開設者のひろゆき氏の疑問に答えて中国のワクチンについて話した。中国ワクチンが効き目がないという指摘に対して「中国はコバックス・ファシリティーに加盟して途上国を中心にたくさんワクチンを提供しているので、問題があれば……」と解説した。付け加えれば、世界で死亡率の高い国や地域のワクチンがまず問題にされるべきで、例えば、台湾だ。台湾はむしろ中国がワクチンを提供すると言っても拒んだ地域だ。これこそ回答だろう。

続いて9月25日にはロイター通信が、「ファイザーCEOがPCR検査で二度目の陽性になった」と報じたことだ。うかつなことに一度目の「陽性」のことを知らなかったために、心から驚かされた。

そして9月23日。やはりロイター通信が、WHO高級顧問の話として「もしいま世界の先進国が新型コロナウイロスへの対策を怠れば、両手は血にまみれるだろう」と発言したことを伝えた記事だ。

先進国を中心に、もはやコロナは終わったという雰囲気が広がり、ジョー・バイデン大統領もCBSの「60ミニッツ」に出演し「(コロナは)もう終わったようだ」と述べるなど先進国はすでに本格的な対策から離れつつある。そうした雰囲気にくぎを刺す目的だ。

冬にはインフルエンザの大流行も予告されていて、残念ながら世界が感染症に一息付けるのは、まだ先の話かもしれない。

前置きが長くなったが、今週のタイトルに掲げた米中首脳会談の話題を始めたい。

メインは何といってもアントニー・ブリンケン米国務長官と王毅国務委員兼外相の会談(9月23日)だ。これは、11月15日からインドネシアで行われるG20サミットにおいてバイデン大統領と習近平国家主席が初の対面の首脳会談を行うか否かを占う会談とされたからだ。

外相会談で王毅は、ブリンケンに対し「最近のアメリカの誤った台湾政策に対して中国側の厳正な立場を伝えた」という。台湾は中国の一部で内政問題であることや、アメリカが「3つのコミュニケの内容を厳守することを」求めたという。

中国側のいら立ちがより鮮明に表れていたのは、これより1日前の外交部報道官の定例会見である。

王毅に代わって解説した汪文斌報道官は、「われわれはアメリカ国民の選択した発展の道を尊重し、アメリカが自信を持ち、発展し進歩することを楽しみにしている。だからアメリカも中国人民の選択した発展の道を尊重してほしい。これこそ中国の特色ある社会主義なのだから。(中略)中米関係の最もベースとなるのは平和共存への期待である。(中略)アメリカの一部の人々の間には、かつてのソ連封じ込めと同じやり方で中国に圧力をかけるべき、とする声もある。(中略)だがそういう試みは徒労に終わるだろう。(中略)協力ウィンウィンは可能であるというだけでなく必須である」と語った。

この記事の著者・富坂聰さんのメルマガ

 

ウクライナ戦争が変えた地政学。重要性が増してきた産油国を守る国の名前

建国以来70年以上に渡り中東各国といがみ合いを続けてきたイスラエルですが、2020年の「歴史的和解」を期に地域の主導的役割を担うまでの変化を見せています。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤先生が、ウクライナ戦争により湾岸諸国の地政学的重要度が格段に上がった現状と、イスラエルを中東における「アメリカの代理人」に指定したと言ってもいいアブラハム合意について、英国誌の内容を引きつつ紹介。さらにこの合意に基づき形成されつつある経済圏が、EUと並ぶほどの規模に成長できるか否かについて考察しています。

この記事の著者・大澤裕さんのメルマガ

 

地政学的に見る湾岸諸国とアブラハム合意

ロシアのウクライナ侵攻にともない世界の地政学が大きく変わってきています。

とくに重要性が増したのが、エネルギー資源を豊富にもつ中東の湾岸諸国です。

湾岸諸国とはアラビア半島に位置するサウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、の6か国です。

英誌エコノミストの最新号がそれら湾岸諸国の重要性の高まりを論じています。抜粋して解説しましょう。

参考:The war in Ukraine has reshaped the world’s fuel markets

以前はエネルギー価格の下落ため、湾岸諸国の重要性が薄れるという予想があった。

 

しかしロシアのウクライナ侵攻は、世界の地政学を変えつつある。

 

ロシアから欧州へのエネルギー供給が停止されたれ今、湾岸諸国は大きなエネルギー供給源となる。今のところ、ヨーロッパの渇きを癒すのは、湾岸諸国しかいないからである。

 

サウジアラビアとアラブ首長国連邦は石油への投資を拡大している。両国は、昨年の日産1,300万バレルから1,600万バレルへの増産を目指している。

 

石油・ガスの分野では、ヨーロッパの輸入に占める湾岸諸国の割合は、現在の10%以下から20%以上に増加する可能性がある

 

しかし、石油、ガスなどのエネルギー資源には限りがある。

 

そのため湾岸諸国は、現在、気の遠くなるような経済軌道を辿ろうとしている。

 

二十数年間は化石燃料の生産を拡大し、2045年以降は削減する計画だ。

 

湾岸諸国は再生可能エネルギー、水素、海水淡水化システムなどを基盤とするハイテク経済に、膨大な金額を迅速に再投資する必要がある。

解説

ロシアがヨーロッパへの天然ガスパイプラインを停止しています。

近い将来、ウクライナ戦争がなんらかの形で収束するにしても、ヨーロッパ諸国はロシアへのエネルギー依存を減らしたいでしょう。

それで湾岸諸国の重要性がますます高まってきています。

しかし、石油は有限です。それで再生可能エネルギー、水素、海水淡水化システムなどのハイテク経済を自国にも育てたいのです。そのための投資もしているという記事です。

ここで登場するのがイスラエルです。

イスラエルはアラブ諸国とは不和の関係でした。

しかしイランとの緊張を感じているアラブ首長国連邦などとイスラエルは共通の利害があったのです。

それを利用したのがトランプ前大統領が仲介した 2020年8月のアブラハム合意です。

アブラハム合意は、中東と世界平和の維持と強化を認識する事を大義としています。宗教の自由、人間の尊厳、相互理解と共存に基づいてです。

その合意の名前はユダヤ民族とアラブ民族(イシュマエル)の共通の父祖であるアブラハムの名に因んでつけられたそうです。

これによりアラブ首長国連邦とイスラエルは国交を回復したのです。

イスラエルはアラブ首長国連邦や他の湾岸国に技術を供与することもできます。

この記事の著者・大澤裕さんのメルマガ

 

“アベ友”高島市長の動向は?広島にG7を奪われた福岡市長選の気になる行方

11月6日に告示される福岡市長選では、4選を目指し出馬すると見られていた現職の高島宗一郎市長の動向がにわかに注目を浴びているようです。国政への鞍替えはあるのでしょうか?今回のメルマガ『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』では、著者でジャーナリストの伊東森さんが高島氏による市政3期を振り返り、高島氏が“アベノミクスの申し子”と呼ばれるようになった経緯や、G20に続いてG7サミットの招致にも失敗した背景を紐解いています。さらには、再開発が進む福岡市の直下に危険な断層があることを記し、留意すべきと伝えています。

この記事の著者・伊東森さんのメルマガ

どうなる11月の福岡市長選挙“アベ友”高島市長の運命は?G7招致失敗、都市再開発の直下で“日本一危ない活断層”が蠢く

11月20日投開票の福岡市長選まで、2ヶ月。関係者はさぞや、ざわついているだろう。現職の高島宗一郎氏(47)は、4選の出馬が固いとみられる反面、さまざまな憶測も。高島氏が出馬への態度の表明を10月まで先延ばしたことを受け、「実は不出馬で、既に後継を指名している」。県内の政界情報を取り扱うネットメディアは今月、「うわさ」と称し、こんな記事を相次いで配信した。

記事中、後継と指摘された人物は西日本新聞の取材に「そのような事実はない」と否定。市長周辺も一笑に付した上で「市長を追い出したい勢力が流しているだけでは」
「福岡市長選、高島氏が電撃的に後継指名? 「うわさ」の人物に取材」(2022年9月20日付 西日本新聞me)

高島氏が“アベ友”であったことを受け、安倍晋三氏の死去にともなう来年4月の予定の衆院山口4区補欠選挙の候補者に名前が挙がることも。高島氏は、10月7日の福岡市議会決算特別委員会最終日以降に、「進退を決断する」としている。

市長選は11月6日に告示。今のところ市議の田中慎介氏(44)=立憲民主党、会社員の熊丸英治氏(52)がいずれも無所属で立候補する意向。

アベ友 アベノミクスの申し子「福岡から自民ののろしを上げる」

ここ10年の福岡市ほど、安倍・自民党政権下の知世を体現した自治体はないだろう。それほど、高島市長と安倍晋三元首相との関係は深かった。

高島氏が初当選した2010年当時、自民党は野党。高島陣営を仕切ったのは、福岡に選挙区をもつ麻生太郎氏。麻生氏は選挙前、安倍氏を呼び出し、政治経験ゼロの当時36歳の高島氏を指し、こう予言したという。「福岡から自民ののろしを上げる」

すると高島氏は現職を破り、初当選。2012年には安倍氏が自民党の総裁に返り咲き、麻生氏の予言通り、衆院選で政権交代をはたした。

高島氏と安倍氏との関係が決定的になったのは、14年の2期目の市長選投開票日。
「アベノミクスの成長を福岡で実感できるようにしていく」
当選後のインタビューでこう宣言した高島氏に対し、安倍氏はすぐに「ありがとう」と電話。以降、2人の間には携帯電話とメールのホットラインが通じた。

しかし福岡市OBは、こう語る。「官邸から(福岡市の案件で)指示が降ってくるので、霞が関(の省庁)は良い印象を持っていない。自治体は『全方位外交』をした方が良いんだが…」
「独走のリーダー【中】アベノミクスの申し子 高島市政の実像に迫る」(2018年11月8日付 西日本新聞me)

この記事の著者・伊東森さんのメルマガ

コロナ禍で乗客の減った電車が、新しく載せることにした「人間以外」のモノ

コロナ禍の運動不足解消や、人混みを避ける目的で起きた空前の「サイクリング」ブーム。少し遠くへ行きたいと思った時のための「自転車を丸ごと運べる電車」が登場し、いま話題を集めています。今回のメルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』では著者の理央さんが、このサイクルトレインについてビジネス的に分析しています。

この記事の著者・理央 周さんのメルマガ

有休設備を稼働させるサイクルトレイン~事業再構築の決め手は定義から

サイクルトレインが流行っています。

サイクルトレインとは、自転車をそのまま電車に持ち込めるサービスのことです。

日経新聞によると、京阪電気鉄道が6月に走らせたサイクルトレインでは、チケットを発売開始してから、1週間もたたないうちに完売したそうです。

利用者は、40~60代の男性が多いようで、記事には写真が載っているのですが、本格的なサイクリングのヘルメットや、ウエアを着て、自転車もまた本格的な、スポーツサイクルを持ち込む様子でした。

電車は普通の車両に、自転車を分解などせずに、そのまま持ち込むことができるのが便利なのだそうです。

大阪から京都まで走る電車だったので、利用者は「途中の駅で降りて、京都の嵐山までサイクリングする」とのこと。全部の道のりはきついけれど、これなら楽そうですよね。

運賃は1人1,000円と通常(440円)の2倍以上だそうですが、完売したのも納得です。

このサイクルトレインは、全国各地に広がっていて、ポータルサイトまであります。私の出身の愛知県でも、豊橋鉄道渥美線がやっています。平日は、10:00発~14:59発までの全列車土日祝は、一部お祭りの日は除外ですが、終日全電車持ち込めるようです。

コロナ禍で人の多いところにいくことができず、運動不足にもなりがちな中、自転車で楽しもうという人も増えたようで、自転車の販売の市場も、ここ数年右肩上がりで伸びています。

そこに目をつけての新しい取り組みですよね。

鉄道会社としても、コロナで利用者が減っている中で、空いている電車の空間を、人間を運ぶのではなく自転車を運ぶことで、売り上げの機会損失を埋めることができます。

コロナで人の動きが減り、鉄道も一時期かなり大変でしたが、とても面白い取り組みだと思います。

サイクルトレインは、鉄道を「人を運ぶもの」と決めつけず、「便利な移動手段」と考えて、サービスの発想の幅を広げました。

使っていない施設や土地をどう使うかと考える時には、このように「鉄道は人を運ぶものだ」という固定観念から離れてみて、ユーザーの便益は何か、競合がやっていないことは何か、という具合に多方面から考えをめぐらせていくといいでしょう。

私も実はドコモのバイクシェアにハマっていて、これから秋にかけて、過ごしやすい季節の中で、ますます、自転車で走る爽快さを改めて感じています。

このニュースを見て私も自転車を買って、電車の旅に行きたくなりました。

この記事の著者・理央 周さんのメルマガ

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まさに「トラック野郎の聖地」。千葉のドライブインが愛されている秘密

昭和時代、国道沿いのドライブインには多くの自動車が集っていましたが、多くの高速道路が整備されると、その賑わいは遠い昔の話となってしまいました。しかし、今なぜかドライブインが再び注目を集めていると言います。その理由をメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の中で、繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが紹介しています。  

健在、ドライブイン!トラック野郎の聖地は、今日も旨い!

ドライブイン。この懐かしき響きが、いま再び注目を集めています。

昭和の時代。地道を走るトラックドライバーたちが、ひとときの癒しを求め、国道沿いのドライブインに集まってきていました。

ドライブインとは、広い駐車場のある休憩場所のような施設で、主に飲食店のことを指します。長距離ドライバーのために、仮眠する場所やシャワーのあるお店もあります。

高度成長期に爆発的に増えましたが、高速道路の整備によって、徐々にその姿を消し、生き残ったお店は静かに営業を続けています。

ところがいま、巷のレトロブームのひとつとして、ドライブインが脚光を浴びつつあります。見ための古臭さ、店内の昭和感が、“映える”“エモい”と、若い人たちに受けているようです。

千葉県香取市にある「与倉ドライブイン」もそのひとつ。

大型トラックがたくさん止まることのできる大きな駐車場の中にポツンと建つこのお店は、見るからに昭和の建物。

「与倉ドライブイン」という文字の下のオーニング、昭和チックに言うなら「日よけテント」には、「ドライバーのオアシス・働く人のお食事処」というフレーズが書かれています。懐かしい言葉・表現が残っていることに、感動してしまいます。

入口横の営業中を知らせる木札には、「やってる」の文字が。小さな遊び心が、笑わせてくれます。

露国民は猛反発。なぜプーチンは「部分的動員」の暴挙に踏み切ったのか?

ロシアが兵士の「部分的動員」をすると発表し、同国内は動揺を隠し切れていません。以前は「動員はない」と言い、停戦を望んでいたはずのプーチンですが、今回の決定に踏み切った理由とは? 無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、その裏事情を詳しく語っています。

動員で完全崩壊するプーチン神話

9月21日、プーチンは、「部分的動員」を発令しました。

皆さんご存知のように、私は1990年から2018年まで、28年間モスクワに住んでいました。当然、ロシアにたくさんの友人、知人がいます。彼らが動員され、ウクライナ戦争に送られる可能性があることを思うと、実に悲しくなります(動員されるのは「予備役の人たち」とされています。ロシアでは、1年間の徴兵期間があるため、ほとんどすべての成人男性が「予備役」にカウントされます。そして、「最大2,500万人まで動員できる」とされています)。

プーチンは「部分的動員」という言葉を使っています。これは、「戦争」を「特別軍事作戦」という用語におきかえたのと同じ「詭弁」。「総動員令」を出すと、あまりにも社会の動揺が大きい。それで、「部分的動員」という言葉を使い、「たいしたことない」と思わせようとしている。しかし、実際は「100万人規模なのではないか」といわれています。

読売新聞オンライン9月25日。

ロシアのプーチン政権が、ウクライナ侵略の兵員を補充するため発令した部分的動員を巡り、強引な招集の実態が次々と明らかになっている。動員規模についても、セルゲイ・ショイグ国防相が21日に言及した30万人にとどまらず、100万人規模との報道が相次ぎ、国民の不満は高まるばかりだ。

ロシアでもっとも人気のあるメッセンジャー・SNS「テレグラム」には、全ロシアから、大量の成人男性が動員されていく様子が投稿されています。その数はあまりにも多く、規模が大きく、「100万人規模でウクライナに送られるのだろう」と感じます。正確な数は、もちろんわかりませんが。

シベリアのメディアによると、ブリヤート共和国にある人口約5,500人の村では、プーチン大統領が部分的動員を発令したテレビ演説から数時間後の21日夜、対象者宅の訪問を担当者が始め、翌日午前4時に集合するよう指示した。午前10時には男性約700人が、訓練施設に向け出発した。

極東沿海地方は約7,700人の招集を24日までに終える予定だ。地方政府の迅速な対応が際立つが、粗さも目立つ。ブリヤートでは、動員対象外のはずの大学生にも招集令状が渡された。南部ボルゴグラード州では、63歳で糖尿病などの持病も抱える退役軍人が、身体検査を受けずに招集された。
(同上)

 

なぜバイデンは株価を故意に暴落させるのか?「景気後退は早いほど良い」2大理由

世界の株式や商品相場が急落しています。アメリカではS&P500が約2年ぶりとなる安値を更新、NYダウも年初来安値をつけるなどリスク回避の動きが鮮明に。28日の日経平均株価終値は前日比397円89銭安の2万6173円98銭となり、取引時間中には一時、節目の2万6000円を割り込む場面も見られました。
メルマガ『マンさんの経済あらかると』の著者でエコノミストの斎藤満氏は、今回の株価急落の原因として、「2期目を目指すバイデン大統領の選挙戦略」を指摘。バイデンはなぜ今、意図的な株価暴落を起こす必要があるのかについて、当面の見通しとあわせて解説しています。

逃げるが勝ち? 下げ相場はこれからが本番

米国株式市場が高値から概ね2割下げ、ベアマーケット入りし、連休明けの東京市場も大きく下げるなど、市場が一段と不安定になりました。

本日28日は3月決算企業の権利確定最終日です。今後の株式市場環境を考えて、「押し目」を拾うのか、傷が大きくならないうちに逃げるか、いずれにしても、投資戦略を練るには重要な時期になりました。

岸田総理はニューヨーク証券取引所で講演し、日本市場への投資を呼びかけました。政府が「新しい資本主義」実現のために、期限のあるNISA(少額投資非課税制度)の恒久化、拡充の可能性を示し、誘いました。

しかし円安もあって、ドルペースの日本株が長期低落傾向にある中で、海外の投資家を日本に呼び込むには、とても力不足です。むしろ、米欧の異例の金融引き締めのなかで、日本の株式市場にも嵐が吹いています。

特に市場が期待する「パウエル・プット」(※後述)が裏切られたように、市場の思惑とFRBとの間に、金融政策に対する大きな認識ギャップがあります。中でも、バイデン政権の意向を受けたインフレ抑止姿勢の強さを、市場は思い知らされました。単にインフレに対する意識だけではありません。その政治的背景を理解する必要があります。

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「ソフトランディングでは間に合わぬ」バイデンの皮算用

金融市場には長年培われた認識が根強くありました。それは「グリーンスパン・プット」、「バーナンキ・プット」と呼ばれるもので、金融市場がピンチの際には、FRBが何とか助けてくれる、という信頼感ともいえます。

この裏には、FRBが民間株式会社で、大株主が欧米の国際金融資本という事情があります。FRBが市場に不利になるようなことはしない、と信じています。

ところが今回はFRBが「市場への配慮」より「インフレ抑制」への強い姿勢を見せたことで、市場には大きな動揺が起きています。この動揺はしばらく収まりそうもありません。

その原因の1つが、バイデン政権の再選戦略にあります。2期目を目指すバイデン政権にとっては、インフレも問題ですが、同時にインフレ抑止のための引き締めが、次の選挙戦に逆風になるのを恐れています。

具体的には、金融引き締めで景気後退になるなら、なるべく早く突入し、早く脱して24年の大統領選挙の時は、現職に有利な金融緩和、景気好調の環境にしたいはずです。

今ソフトランディングを意識して緩やかな引き締めにした場合、その効果出現に時間がかかり、インフレの長期化、次期大統領選時の経済悪化を招きかねません。

FRBは経済を犠牲にしてでもインフレ抑制が優先されると言います。バイデン政権の支持率低下にインフレが大きくかかわっているだけでなく、24年の大統領選を考えた経済誘導を考えて、急激な引き締めで早めの「あく抜け」を図りたいはずで、FRBもこれに協力している面があります。

これが市場の予想を上回る大幅利上げの背景にあり、市場の負担になります。

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株価暴落は、対中国・ロシア戦略の「切り札」

もう1つの政治的狙いとして、敵対する中国、ロシアへの経済戦略カードとして金融引き締めを利用している面があります。

引き締めは米国にも負担ですが、それ以上にロシア、中国への打撃が大きければ、武器としての経済戦略カードになります。CFR(外交問題評議会)系のバイデン大統領は、軍事力で直接ロシア、中国を叩くことは避けようとしています。

その分、経済戦略を介して、ロシア、中国の経済力を落とし、軍事力に資源を回す余裕をなくそうとしています。

見えてきた信じ難い実態。渋沢栄一の子孫が懸念する、アフリカの期待に全く応えていなかった日本

干ばつによる飢餓や各国の紛争などから経済危機に陥っていた1980年代のアフリカ。その頃から惜しみない経済支援を続けてきたのが我が国、日本です。現在は中国や韓国もアフリカ進出を目指し始めていますが、日本に先見の明があったと語るのは、渋沢栄一の子孫で、世界の金融の舞台で活躍する渋澤健さん。しかし、渋澤さんは、昨今の日本が「アフリカの期待に全く応えていなかった」という現状を憂いています。

プロフィール:渋澤 健(しぶさわ・けん)
国際関係の財団法人から米国でMBAを得て金融業界へ転身。外資系金融機関で日本国債や為替オプションのディーリング、株式デリバティブのセールズ業務に携わり、米大手ヘッジファンドの日本代表を務める。2001年に独立。2007年にコモンズ(株)を設立し、2008年にコモンズ投信会長に着任。日本の資本主義の父・渋沢栄一5代目子孫。

日本として大切なアイデンティティとは

謹啓 ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

8月下旬に初めて北アフリカに渡航しました。経済同友会アフリカProject Teamのミッションの団員として、チュニジアで開催されたTICAD 8に関連する様々なサイド・イベントに参加するためです。

TICAD(Tokyo International Conference on African Development)は日本政府が1993年から主催しているアフリカ首脳クラスとのハイレベルな政府間の会議です。同会議が発足した頃のアフリカは、干ばつによる飢餓(クイーンなど著名パフォーマーたちが出演したチャリティーコンサートLIVE AIDは1985年に公演)や外国政府からの軍事介入で多発した紛争などから経済危機に陥り、1980年代は「失われた10年」と言われていました。一方、1993年の日本はバブルが崩壊し「失われた時代」に突入していた時代でもあります。

そのような時期に、アフリカ大陸への長期的支援を意思表明した当時の政治決断は評価すべきだと思います。もちろんアフリカ大陸には54か国あるので、国連で数多くの味方をつけたいという国際政治の戦略的な意図もあったかとは思います。ただ当時のアフリカに対し国家としてまず日本が手を差し伸べ、その後に中国、韓国やその他の国々も類似のアフリカ向け開発会議を設け始めたことからすると、日本に先見の明があったことは確かです。

私自身がTICADの存在を知ったのは2008年に開催されたTICAD IVの時でした。地理的、歴史的、文化的、意識的にも遠いアフリカ向けに開発会議を日本政府が長年かけて主催していることに驚きを覚え、少なからず誇りも感じました。

当時の私は、アフリカ大陸の54か国の総人口が13億人に迫っていて、中国やインドに匹敵する数であり、2050年までには24~25憶人に倍増して世界の1/4がアフリカ人で占められるという推計を知り、アフリカの長期的な成長の可能性に関心を持ち始めていました。人口年齢の中央値が20歳以下である若いアフリカと強固な協力関係を築くことは、少子高齢化が顕著になる日本にとって大切、且つ、当たりまえのことであると思いました。

またTICADの性質は年を重ねて変化しています。2013年に開催されたTICAD Vではアフリカ首脳から「今までの長年の支援に感謝します。これから是非とも投資もお願いします」と政府間支援だけではなく、民間ビジネスの参画にも期待が示されました。更には、5年ごとの開催ではなく、3年ごとに是非現地でというアフリカ勢の依頼に日本政府は応えて2016年のTICAD VIはケニアで開催され、今回のアフリカ現地の開催は2回目になります。

しかし、経済同友会アフリカPTの討議で信じ難い実態も見えてきました。