安保法制は60点。軍事評論家が総括する「安倍政権に欠けていたもの」

安倍首相の突然の辞任表明を受け、マスコミの注目は総裁選の行方に集まっています。首相が誰になったとしても長期間にわたった安倍政権の功罪を検証し、とりわけ「罪」の部分は改めなければなりません。メルマガ『NEWSを疑え!』を主宰する軍事アナリストの小川和久さんは、安倍政権のコロナ対応の拙さを招いた「官邸官僚」主導の限界を指摘。政治ドラマ『ハウス・オブ・カード(野望の階段)』などに見られるホワイトハウスの人材活用術に学ぶところがあると進言しています。

安倍政権、『官邸官僚』の限界

安倍首相の辞任表明を受けて、その評価をしなければならないのですが、長期政権を維持できたことで国際的な信頼を獲得できたことは間違いありません。オバマとトランプを相手にした日米関係の深化、サミットにおける存在感の発揮、それを受けた中国、ロシアとの一定の外交関係の維持…。これについてはプラスの評価を与えることができます。

私も衆議院で参考人として話した安保法制は、かろうじて60点でしょうか。経済政策でも、批判することは簡単ですが、就任時の倍以上になった株価だけを見ても、それなりの成果が生まれたとするのは、多くのエコノミストの言うとおりです。

コロナ対策については、これからお話しするような仕掛けが欠けていることで迷走した部分があるのは事実ですが、それよりもなによりも残念だったのは安倍首相の私的な問題の処理が上手にできなかったこと、政治を私するような事柄が目に余ったことです。

森友、加計、桜を見る会の問題は明らかにやり過ぎです。それでも、問題化したあと国民に素直に謝罪していれば、それで事なきを得た可能性があるのに、ガンコに強弁をしすぎた。これでは安倍シンパでさえ心証を害し、支持率が低下するだけでなく、安倍首相への評価まで引き下げる結果になるのは避けられませんでした。そこで、安倍政権に欠けていた仕掛けについてお話ししたいと思います。

安倍首相は今井尚哉首相補佐官兼首相秘書官、北村滋国家安全保障局長といった「官邸官僚」を駆使し、内政外交を進めてきました。文字通り官邸主導だった訳です。しかし、この「官邸官僚」たちだけで国家の運営がうまく行く訳はありません。国家安全保障会議(NSC)を機能させ、日本版FEMA(緊急事態管理庁)や情報機関を創設して動かすことまで行かなければ、巨大な国家の営みに目配りなどできる訳がありません。

安倍政権の「官邸官僚」による官邸主導は、うまくいった場合、失敗したケースを含めて、あくまでも個人プレーだったことを忘れてはならないのです。本当にNSCや日本版FEMA、情報機関などの司令塔に能力を発揮させようとすれば、それを動かすチームが首相を支えていなければなりません。安倍政権では、そのチームが「官邸官僚」だった訳ですが、当然ながら得手不得手があります。それを補う仕掛けが必要なのに、存在しませんでした。

どうすればよいのか。たとえば「官邸官僚」の中心にいる今井首相補佐官や北村国家安全保障局長は、NSCなどを機能させるだけの能力を備えた人材を、それこそ、とっかえひっかえ投入しなければならなかったのです。NSCがあるから大丈夫と丸投げしていては、NSCが機能する訳がありません。

「日本人はすごい」の幻想に溺れた愚策。コロナ5類感染症指定が危険な理由

新型コロナウイルスは、感染症法上の2類相当に分類されていて、感染が判明した場合の隔離や、濃厚接触者とされた場合のPCR検査の義務が生じます。ところが先月25日、加藤厚労相がこの分類を季節性インフルエンザと同等の5類に見直す考えがあることを匂わせました。これに対し「日本人の性質にまだ甘えるか」と声をあげるのは、メルマガ『8人ばなし』著者の山崎勝義さんです。山崎さんは、新型コロナのステルス性や指定格下げにより起こる「金の問題」を指摘し、安易な見直しに異を唱えています。

格付けのこと

不自然が当たり前になる。恐いことだ。日々更新されて行く数字に慣れ、ただの数字にしか見えなくなってしまう。本当はそうじゃないことは分かっているのに。コロナ感染者数はただの数字なんかじゃない。人間の命の数である。皆、誰かの子であり、誰かの親である場合も多いであろう。決して忘れてはいけないことである。

今、政府ではCOVID19を指定感染症2類相当から5類相当へ格下げすることが検討されているという。終息はおろか、収束の目処すら立っていないのに敵を低見積もりとは随分大きく出たものである。この報に触れた時、本当にこう思った。「我が政府、終に狂せり」と。

しかし蓋を開けてみれば何のことはない。苦し紛れの数字操作に過ぎないことが分かる。要は病院がパンク寸前(あるいはパンク同様)なので入院の勧告・措置の必要がない5類にしてしまえということなのである。そう、患者数のデノミである。批判を覚悟の上で敢えて不穏当な比喩を用いると「刑務所がいっぱいなので窃盗までは罪に問わない」と言うのと理屈の上では同じである。こんなバカな話があるか。

そもそも5類相当と言えば、季節性インフルエンザと同格である。むろんインフルエンザもシーズンごとに多くの死者を出す恐ろしいウイルス性感染症であることは疑うべくもない。ただインフルエンザには(知る限りにおいてだが)無症状感染者はいない。突然の高熱、疼痛、疲労感に襲われ仕事や学校どころではなくなり、2、3週間は通常の生活には戻れない。故に多くの人がそれを警戒し、さまざまな予防策を講じる訳である。

この季節性インフルエンザとCOVID19が同日の論である筈がない。片や極めて潜在性の高いステルス感染症である。このウイルスは相手が弱いと見るや忽ち顕在化し、重症化させ命をも奪い去ってしまう。逆に相手が強ければ感染を拡げるという仕事をさせるだけさせてそのまま消えてしまう。

仮に季節性インフルエンザが無症状だったら、一体誰が仕事や学校を休むだろうか。そもそも病院にすら行かないだろうから、自分が感染しているかどうかさえ終に知らないままであろう。COVID19はまさにこれである。無自覚にして拡大する感染症なのである。

【書評】なぜ能力が低い人ほど自分の脳力を著しく過大評価するか

能力がないのに自信満々な人、かならず話をややこしくする人など、世の中は「面倒くさい人」に溢れています。そんなタイプと日常的に付き合うことを余儀なくされているという方、多いのではないでしょうか。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』の編集長・柴田忠男さんが紹介しているのは、読めば「面倒くさいと感じる身近な人の心理に理解が深まる」という一冊。さらに本書には、「自身が面倒な人と思われないためのヒント」も記されています。

偏屈BOOK案内:榎本博明『かかわると面倒くさい人』

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榎本博明 著/日本経済新聞出版

なぜあの人は他人を疲れさせるのか?職場からご近所、親戚関係まで、社会に蔓延する「面倒くさい人」のメカニズムを、心理学博士が徹底的に解剖する、と謳った新書。タイトルに興味を持ったので読んだが、もはや隠居の私は他人とリアルで関わることが殆どなくなったので、この本に出てくる「あー、ホント面倒くさい」と思う相手は存在しない。妻は別だが、そこはおいといて。

なにしろわたしは過去何十年も「面倒くさい人」といわれてきた。理由はわからない(ウソ)。著者も、ある種の人たちにとっては、「ものすごーく面倒くさいヤツ」のようだ。心理学を専門にしていると、単に人を観察するだけでなく、人の反応を参考にしながら自分自身を振り返ることが多いため、そうした自己認識もちゃんとあるというが、自分なりのこだわりはもちたいという。

悪い人じゃないんだけど「面倒な人」は確かに存在する。何年も関わっている市の委員会では、主流派にとってわたしはそういう存在だ。それはおいといて、周囲の人がとても面倒くさがっているのに、本人は平然としていて、そもそも自分が面倒くさい人物になっているという自覚がない。周囲を苛つかせているということに気づかない。だから困る。いるんだな、今も昔も、そういう人が。

そんな人物のために生活をかき乱されてはたまらん。何とかうまくかわす術を身につければ、心のエネルギーを吸い取られずにすむ。そのためには、身近によくいる面倒くさい人の行動パターンや、その背後で作動している心理メカニズムを知ることが必要だ。って、素人には無理な話だから、MP人間科学研究所の代表が、10タイプある「あの人」の正体をわかりやすく説明してくれる。

さらに、その面倒な人の背後に潜む心理メカニズムを解説する。手がつけられないくらい「話をややこしくする天才」とどうつきあうかをアドバイスし、最後は「面倒な人と思われないために」はどうすべかを示唆する。現役向けの本だから、わたしが読んでもあっそーなの、で終わってしまいそうだが、実はわたしも「面倒くさい人」を卒業した好々爺ではないことを実感するのだった。

能力の低い人ほど自分の能力を著しく過大評価しており、逆に能力の高い人は自分の能力を過小評価する傾向があることを実証したのが「ダニング=クルーガー効果」である。能力の低い人は、ただ何かをする能力が低いというだけでなく、自分の能力がまだまだ低いことに気づく能力さえ低いということだ。

まさに、このことが、なぜか仕事のできない人ほど不釣り合いな自信をもっている理由といえる。そうだったのか。できないくせに「できるアピール」をする妙な自信を持つ部下に手を焼いている人よ。本人は自覚していない、できるつもりでいる。だからこそ面倒なのである。バカは死ななきゃ治らない。

「本書を読むことで、面倒くさいと感じる身近な人の心理に理解が深まり、イライラが軽減し、寛容になれた。自分がどんな人を面倒くさいと感じるかをはっきりさせることで、自分の弱点や偏りに気づくことができた。そんな反応を期待したい」と後書きにある。働き盛りの人にお奨めしたい。

編集長 柴田忠男

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辞任の安倍首相に中国人が「好意的」は本当か?現地SNSを調べた結果

安倍晋三首相は去る8月28日、持病の潰瘍性大腸炎が悪化したことなどから国政に支障が出る事態は避けたいとして、総理大臣を辞任することを正式に表明したのは周知の通り。実は、このニュースを日本国内とほぼ同じタイミングで速報した国がある。香港情勢や米国との対立などで、昨今やたらと国際社会を賑わせているお隣の大国、中華人民共和国だ。

安倍首相「辞任」のニュースは世界各国でも速報されたが、どこよりも早く報じた国が中国だった。9月1日に公開されたダイヤモンドオンラインの記事によると、中国国内では安倍晋三首相の辞任の報を受けて、多くの国民が「好意的」なメッセージをSNSなどに投稿しているという。

その中身は、「お疲れ様」とねぎらうものから、今までの「功績」を称えるものまで数多くあり、中国人の安倍首相の辞任劇への関心の高さが窺われる、としている。また、健康上の理由とはいえ、一国の権力者が潔く(?)辞任したことが中国人に衝撃的だった、とも伝えている。

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しかし疑問なのは、中国国内は本当に「安倍首相礼讃」ムードなのか?という点だ。つい最近まで、安倍首相は中国や韓国に「タカ派」「右翼」などというレッテル貼りで語られていたことは、日本国民もよく知っているはず。

さらに、「桜を見る会」や「モリカケ問題」などの疑惑は世界中で報じられており、国会の答弁でしどろもどろになっていた安倍首相の様子を見たことがある中国人も少なくないに違いない。中国で好意的な書き込みばかりが目立っている、とする報道には違和感が残る。

まるで半沢直樹のよう。パナソニックのお荷物部署を救った立役者たち

社員たちの先頭に立ち、企業を引っ張っていく経営者にはどのような思想や姿勢が必要なのでしょうか?メルマガ『戦略経営の「よもやま話」』では著者の浅井良一さんが、松下電器(現パナソニック)を支えた三人の逸話を紹介した前回のメルマガ「なぜ松下幸之助は、26人中25番目の取締役を社長に大抜擢したのか」を踏まえ、経営者の基本姿勢である「人一倍の努力」について語っています。

人一倍の努力とは何か?パナソニックの人一倍

ピーター・ドラッカーは「企業の目的は顧客とともに企業の外にある。企業が何であり、何を生み出すかを規定し、企業が成功するか否かを左右するものは、顧客である」「明日とは機会のことである」と言っています。“顧客の視点(アウトサイド・イン)”から人一倍考え、人一倍努力しないならば、大きな成果を得ることなど期待しようがありません。

「人一倍」の思想は、すべての成果をもたらす経営者の基本姿勢です。それと、対価を支払ってくれる顧客の視点に立った財・サービスを提供することもまた経営者の基本姿勢です。

このことを確認するために、前回の「なぜ松下幸之助は、26人中25番目の取締役を社長に大抜擢したのか」との関連で、松下電器(現パナソニック)の二人、高橋荒太郎さん(編注:松下電器産業元会長)と山下俊彦さん(編注:松下電器産業元社長)の「人一倍」の足跡を見て行きたいと思います。

高橋荒太郎さんは“経営の基本方針”を最も重視しています。「事業部長たちは、みな個性豊かな経営者である。自らの特徴を生かして事業部の運営を行っている。もちろんそこには『製品の性能、品質コスト、サービスについて、消費者に喜ばれる仕事をし、社会に貢献するという基本ポリシーが決まっている』ので、これに反したことはやってはならない。しかし、これに反しない限りは、それぞれの特徴を生かした創意工夫でやっている。これが一本の柱に集中されて、力強いものになっている」と“顧客視点”と”基本ポリシー”を焦点にします。

綾瀬はるかが「封印」した黒歴史…エロ路線だった恥ずかしい過去とは

女優の綾瀬はるかが31日、コカ・コーラゼロの新CMイベントに出演、一部週刊誌で出ていた韓流タレント、ノ・ミヌとの交際を明確に否定した。これまでに大沢たかおや松坂桃李などとの恋愛が噂され、恋多き女性として知られる綾瀬だが、どうやら今回は空振りだったようだ。そんな綾瀬の過去を紐解いていくと、大女優となった今では考えられないような黒歴史がわんさか出てきた。

ナイスバディを売りにしていたグラビアアイドル

綾瀬は15歳の時、ホリプロスカウトキャラバンで審査員特別賞を受賞し、芸能界デビューする。身長165cm、スリーサイズ88-61-91というナイスバディをいかし、当時はグラビアアイドルとして活動。週刊誌や写真集で大胆に肌を露出し、たわわな胸を「これでもか!」とぶるんぶるんさせていた。

その豊満なバディを武器に、ローカル番組のレギュラーの座を掴む。2002年に放送された東海テレビ系『コスモ★エンジェル』で、メイド喫茶の店員に扮した綾瀬は、水着でビーチフラッグをしたり、椅子取りゲームをしたりとさまざまな体当たりゲームに挑戦した。

極めつけは、“目隠しをされてシュークリームを食べさせられる”という企画。もちろん、バラエティ番組なのできちんと食べさせてもらえない。口の周りはクリームだらけ。わざとピチャピチャと音を立てて食べるという、まるでAVまがいのような企画だ。

いくら下積み時代の仕事とはいえ、確かにこれは恥ずかしい。綾瀬が封印したくなるのも納得だ。

ぽっちゃりボディでダイエット企画に挑戦

また、綾瀬はあの伝説の番組にも出演していた。事務所の先輩でもある和田アキ子が司会をしていた『ビューティーコロシアム』だ。“美しく生まれ変わりたい女性の願いを叶える”という正義感あふれる番組だが、実際には出演者を「お岩さん」「フランケン」「アゴ娘」「ガイコツギャル」呼ばわりするなど、酷いあだ名をつけることで人気を博していた。

そんな番組に綾瀬は、デビュー後に8kg太り、このままではアイドルを続けられない女性として登場。『もし1ヵ月で7kg痩せなかったら芸能界を引退する』と公約し、ダイエットに挑戦した。

番組の中で綾瀬はくびれの全くないたぽたぽなお腹、肉付きが良すぎる太ももなど、恥ずかしいぽっちゃりボディをあらわに…。とてもアイドルとは思えない体だが、ビフォアーアフターの前振り体形としてはぴったりだ。

運動や食事制限などで何とか目標をクリアした綾瀬。よほどこの企画が辛かったのだろう。これ以来、綾瀬が激太りすることはなく、現在の素晴らしいバディを長く維持している。

他にも、綾瀬はお笑い芸人・品川庄司の冠番組「品庄内閣」(TBS系)でアシスタントを担当。当時16歳だった綾瀬が初めて掴んだレギュラー番組だった。この中で綾瀬は、品川の局部を見せられたり、半ケツ状態のお尻を擦り付けられるなど、散々2人におもちゃにされていた。

今では考えられない下積み時代を経験してきた綾瀬はるか。彼女からすれば、思い出したくもないし、触れられたくもない過去の黒歴史なのだろう。これらの仕事は綾瀬はるかのプロフィールには一切書かれていない。

安倍マジックの正体。保守もアベガー勢も騙される次期総理と解散の行方

日本中が驚いた、安倍首相の突然の辞任表明。会見で首相は「このタイミングしかない」と口にしましたが、これにはどのような深謀遠慮が込められているのでしょうか? そして、約8年の在任期間中、有権者からの「不思議な支持」を拡大しつづける一方で、反対派から極端に強烈な反感を買った最大の理由とは? メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』を発行する米国在住作家の冷泉彰彦さんは、これらの点を踏まえて自民党総裁選や解散総選挙のゆくえを分析。「安倍マジック」とも言える政治術の本質を考察しています。

緊急特集、安倍政権崩壊

(第一部)何故、このタイミングだったのか?

安倍総理はどうして8月末のこのタイミングで辞任表明をしたのでしょうか?表面的には総理の健康問題があるわけですが、その裏には勿論、政治的な理由があるわけです。ヒントとしては、その総理自身が「このタイミングしかない」と言っていることです。

このタイミングで内閣を終わらせなくてはならない、その意味は非常に単純です。

それは、安倍総裁で総選挙を戦う選択はないということです。その上で、任期満了を来年に控え、与党が解散総選挙に打って出るには年内の早期というタイミングしかない、ということです。

つまり、安倍総理ではない新政権で早期に解散を行う、そのためには逆算するとこのタイミングしかないということになります。

タイミングという話をもう少し詰めるのであれば、まず、普通に考えると5つの要素が指摘できます。

1つはコロナ問題です。安倍総理はドサクサに紛れて、「指定感染症2類相当の解除」と「PCR検査の20万件体制」ということを辞任会見の前半で述べていますが、これは非常に重要な判断です。検査を拡充する、しかし無症者の隔離は穏やかにするというのは、より経済活動を拡大するという政策とのセットです。

上手くいくかもしれませんが、下手をすれば感染拡大や偽陽性、偽陰性によって社会が混乱する危険もあります。ですが、新政権が改めて胸を張ってこの方針を進め、結果が出ないうちに、解散してしまうという計算はあると思います。

2つ目は、河井夫妻の問題です。裁判が進行するにつれて、マズい事実が出てくるのは避けられそうもありません。この裁判で、仮に党本部からのカネの流れが明るみに出れば、安倍、菅の両氏が、また河井案里の政敵であった溝手の陣営が汚いということが分かれば岸田氏が傷つきます。裁判が進行する前に解散してしまいたいという動機はありそうです。

3番目は、景気の問題です。日本経済は観光、運輸だけでなく、やがて世界的な自動車販売不振の影響を受けて、第3四半期以降のGDPは相当に悪くなる可能性があります。また、地方の観光関連産業などで倒産が相次げば、青息吐息の地銀はどんどん追い詰められるということもあるでしょう。また世界同時株安、あるいはアベノミクス終了を見越した円高なども可能性はあります。そうなる前に解散しておくという判断はありそうです。

4つ目は、五輪です。どこかの時点で、2021年度のオリパラも解散断念という事態になるかもしれません。ですが、これは多くの国民が積極的になった結果として誘致したものですから、政局にはあまり関係はないでしょう。もしかしたら、一番気にしているのは小池陣営かもしれません。中止発表の前に解散の方が有利ということです。どういうことかというと、中止になった場合には「捨て金の責任問題」という泥試合があり得るからです。

5番目は、米大統領選のタイミングです。仮にトランプが一期で落選ということになり、バイデン=ハリス政権となれば、安倍さんでも勿論対応可能ですが、岸田さんが微妙に有利になります。その前にということは、多少要素としてあるかもしれません。

以上の5つの要素ということが言えますが、それに加えてもう一つ、今回のタイミングを決定した要因としては自民党総裁選の規則という問題があります。

仮に、安倍総理の下で解散総選挙を行い、そこで万が一大きく負けて内閣退陣となると、選挙後の総裁選は通常の選挙になります。ということは、自民党の衆参両院議員に加えて地方党員票が乗ってきます。そうなると、石破氏が有利になってしまいます。

また、仮に総理の健康問題で辞任するにしても、「平時」であれば通常の選挙になります。ですが、現在はコロナ危機の渦中です。ですから緊急時だということにして、両院議員総会+各県3票の簡易方式で押し切ることができるわけです。

コロナ危機に関しては、危機が本当に深刻であれば、たとえ健康問題があるにしても「政権投げ出しへの批判」が出ます。ですが、今回は、「2類指定解除+大量検査体制」を切り札に「収束へ向かわせつつ経済を再開」というトレンドの中ですから、結局そうした批判はできませんでした。ですが、緊急時が続いているから地方票の投票は省略するということで、「石破封じ」が可能になったわけです。

安倍総理の言う「このタイミングしかない」というのは、そういう意味だと思います。

なぜ子供に不人気?「面白くて豪快に儲かる」エンジニアという職業の話

我々が生きる情報化社会に欠かすことができない、ソフトウェア・エンジニア。しかしながらその職については正しく理解されているかと言えば疑問符が付き、子供たちの人気も決して高いものではなく、日米ともにスポーツ選手やYouTuberの後塵を拝しているのが実情です。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では、「Windows 95を設計した日本人」として知られる世界的エンジニアの中島聡さんが、ソフトウェア・エンジニアがどれだけ恵まれた職であるかを、米国の大学でトップクラスの成績を残したテニス・プレーヤーとの比較を交えつつ紹介しています。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

ソフトウェア・エンジニアという職

先日、「シリコンバレーで働いてわかった『日本人がお金持ちになれない』納得の理由」という記事を目にしました。魅力的なタイトルの割に、あまり中身はないのですが、要約すると、

  • シリコンバレーでソフトウェア・エンジニアとして働けば年収1億円も無理じゃない
  • 日本企業はコア製品を外注するからダメ

となります。どちらもそれなりに正しいことを言っていると思いますが、「日本人がお金持ちになれない」理由にはなっていないと思います。

まず最初の点に関して言えば、「ソフトウェア業界が非常に恵まれている」ことに尽きると思います。90年代から始まった、情報革命は今でも続いており、今や、あらゆる業界がインターネットやソフトウェアを活用する時代になっています。

結果として、優秀なソフトウェア・エンジニアは引く手数多で、中堅どころのエンジニアが、基本給で年収15万~20万ドル(1,500万円~2,000万円超)を稼げます。それに加えて、この業界にはストック・オプションという素晴らしボーナス・システムがあり、会社での成績と会社の株価次第では、数千万円から数億円のボーナス収入を手に入れる可能性すらあります。つまり若くして、ミリオネラ(100万ドル以上の資産を持つ人、日本語で言えば「億り人」)になることが十分に可能なのです。

少し前に、米国の大学でトップクラスのテニス・プレーヤーと話す機会がありましたが(ジュニアの世界大会で2度ほど優勝経験がある人です)、プロになってランキングのトップ100に入ったとしても食べていくのはやっとなので、自分は大学を卒業したらプロにはならずに普通の会社に就職すると言っていたのが印象に残りました。

ソフトウェア・エンジニアで大学時代にそのレベルで活躍していたら、どこにでも高給で雇ってもらえ、すぐに上に書いたような「エリート・エンジニア」の仲間入りをすることが出来ます。つまり、テニス・プレーヤーと比べたらはるかに敷居は低いのです。

菅義偉は「安倍路線」の敵か味方か?次期総理に立ちはだかる4つの課題

安倍首相の辞任表明から4日、自民党総裁選の方式が決まったことを受け、 岸田政調会長、石破元幹事長が1日、正式に出馬を表明しました。その2人に圧倒的な差をつけ、次期総理の座はほぼ決定的としている菅官房長官は、安倍政権の路線をどこまで継承し、発展させることができるのでしょうか?メルマガ『j-fashion journal』著者でファッションビジネルコンサルタントの坂口昌章さんは、今年度末頃には、世界の行方はある程度見通せると説明。その上で外交と内政面で進むべき道を提案しています。

1.米国につくか?中国につくか?

日本は、安全保障では米国と軍事同盟を結んでいます。米国がアメリカ第一主義を唱え、日本に防衛上の自立を迫っています。米国の核の傘の下に隠れているだけでは済まなくなりました。

経済面では、日本は中国との互恵関係を守ってきました。尖閣の問題もありますが、日本は日中間に領土問題は存在しないとしています。本来ならば、今年は習近平首席が国賓として来日する年でもありました。

その後、東京オリンピックで世界の人々を迎えれば、米国、中国に加えてロシアとも良好な関係を築いていたと思います。少なくとも、安倍総理はそういう外交ビジョンを考えていたでしょう。

しかし、米国と中国の対立が激化しました。最初に貿易問題が表面化し、関税の掛け合いが始まりました。

米国は、5Gにおけるファーウェイ社等を制裁対象にしました。ファーウェイの通信機器にはバックドアがついており、全てのビッグデータが中国共産党に流れているとの主張です。同時に、中国は先端技術を米国から盗んでおり、そのスパイの拠点がヒューストンの中国領事館であるとして、閉鎖を命じました。

中国も報復措置として、成都の米国領事館を閉鎖しています。

また、中共政府は、香港国安法を施行し、平和的なデモ参加者を逮捕し、過去の活動を含めて国安法違反として香港の民主活動家らを次々と逮捕しました。

香港の人権弾圧だけでなく、ウイグルやチベット、モンゴル等でも中共政府が人権弾圧を行っており、その監視システム等を支えているファーウェイ社等も制裁対象となっています。

更に、南沙諸島埋め立て工事等に参加した企業も制裁対象となりました。今後、制裁対象に追加される中国企業は増えていくでしょう。

ICTを活用した監視、洗脳システムとして、TikTokやWeChat等のアプリ及びサービスを提供している企業も制裁の対象としました。

更に、米国は「クリーンネットワーク構想」により、インターネットでも完全に中国を遮断すると宣言しました。ここまで来ると、日本の米中バランス外交は不可能です。米国につくか、中国につくか、の二者択一を迫られています。

しかし、安倍総理は日本政府の明確な姿勢を示していません。香港国安法については反対し、自衛隊はアメリカ、インド、台湾の海軍と合同演習を行っていますが、それ以外は沈黙を守り、中共政府を刺激するような発言はありません。

「暑いですね」はNG。この時期、接客の一言目で注意すべきこと

まだまだ暑さが続くこの時期。例えば来店してくださったお客様に対して何気なく、「今日も暑いですね」などと声かけをしてしまいがちですが、暑さをきっかけに会話を始めるのはNGとするのは、無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』の著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさん。一体なぜなのでしょうか。坂本さんがこの時期だからこその「納得の理由」を明かしています。

きっかけの言葉

8月25日に、気象庁から秋の3ヶ月予報が発表されました。9月から11月にかけての予報ですが、今年はラニーニャ現象発生の可能性もあるということで、全国的に概ね高い気温になることが予想されています。

特に9月、10月は平年よりも高い気温の見込みになっていて、11月頃からようやく平年並みの気温に戻るのだとか(ラニーニャ現象発生時は、日本付近では夏の気温が高くなり、冬の気温が低くなる傾向にあるのだそうです)。

すでに今現在も毎日うだるような暑さが続いているわけですが、こうした時期に販売員として注意したいことがあります。それは、接客の最初の一言です。

お客様を「いらっしゃいませ」「こんにちは」と迎えるまでは良いのですが、その後に、「今日も暑いですね」といった暑さをきっかけに会話を始める人がたくさんいます。

これが夏になる前や、夏の最盛期くらいならば何の問題もないのですが、このくらいの時期、晩夏や初秋と呼ばれるような時期に、あまり多用しすぎてしまうと、厄介なことになります。お客様の先物買いムードを止めてしまうのです。

例えば、お客様が秋物のアイテムが欲しいと思ってご来店されていると考えてみます。「少しずつ秋に近づいてきたし、秋物の新作も増えてきているから見に行こうかな」と考えて来店してくれたようなお客様です。

そのお客様に接して早々に、「今日も暑いですね」「まだまだ暑さが続きますね」などといった暑さを前面に押し出したような会話が始まってしまうとどうなるか。お客様の心理に「まだまだ暑い」という意識が残ってしまいます。すると、秋物への購買意欲が下がってしまうのです。

販売員からすると、単なる会話のきっかけのつもりなのかもしれませんし、お客様もそこまで深く考えているわけではありません。ただ、目的意識の低いお客様の場合は、「暑い」という刷り込みにより、「秋物はもっと後でも良いか」とどこかで考えてしまいがちなのです。

これは当然、冬の寒い時期から春物に切り替わるときなどにも同じことが言えます。ですから、最初の一言など、会話のきっかけとして使う言葉にも実は細心の注意を払って声かけをする必要があるのです。

たしかに今の時期「暑い」という言葉を使うのは、使い勝手も良く誰もが同意してくれる言葉ですから、つい使いたくなります。ですが、それによって自分から売れにくくしてしまっている可能性もあります。

だとしたら、どんな言葉で会話をスタートするべきなのか?

これを考えるのが、売れる販売員になるための考え方です。

今日の質問です。

  • 今からの時期、「暑い」以外の言葉で会話のきっかけを作るとしたら、どんな言葉をお客様にかけますか?

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