東日本大震災を題材にした『すずめの戸締り』が韓国で人気のワケ

新海誠監督が手掛けた映画『すずめの戸締り』が現在、韓国でも上映され人気となっています。なぜ、東日本大震災を題材にしたこの作品が韓国でウケるのか。今回の無料メルマガ『キムチパワー』で、韓国在住歴30年を超える日本人著者がその理由を語っています。

『すずめの戸締り』韓国でも大人気

映画『すずめの戸締り』が韓国でも人気になっていることについて、朝鮮日報のコラムに載っていた。日本の関西外国語大学国際関係学部のチャン・ブスン教授という人の文章である。ご紹介したい。

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日本のアニメ『すずめの戸締り』が韓国で3月に封切されてから400万観客を突破した。驚くべきことだ。実は『すずめ』を見て、うまくできてはいるが果たして韓国で成功できるのか半信半疑だった。『すずめ』は日本人の集団体験を日本的文化コードに盛り込んで日本的背景の中に描き出すからだ。これほど「日本的」な映画が韓国の観客にアピールするだろうか。容易ではないと見た。しかし私の予測は見事に外れた。

『すずめ』は2011年3月の東日本大震災を題材とする。不可抗力的自然災害の前で日本人が感じる恐怖、そして悲しみがテーマだ。大地震や津波は私たち韓国人にはなじみのない経験だ。そのため、韓国人が共感するのは難しいと考えた。

『すずめ』は自然災害というテーマを日本的嗜好の中に盛り込んでいる。この映画で地震を起こす怪物は「ミズ」、日本語で「ミミズ」だ。古代日本人は地底の巨大な虫が地震を起こすと信じていた。反面、主人公の名前は「すずめ」、日本語で小鳥の「すずめ」と発音が同じだ。「ミズ」を封印しようと奔走する主人公はまさに「ミズ」の天敵であるわけだ。

主人公のすずめの姓は岩戸で、現在九州東南部宮崎県に住んでいる。実際、宮崎県には天岩戸という神社がある。日本の先祖神である天照大神がこの洞窟に隠れると世の中が光を失い、洞窟から出てくると光が戻ってきたという伝説の背景になる場所だ。

すずめと共に全国を駆け回る「閉じ師」の名前は宗像。道の安全を担う宗像三女神の名前に由来するという。映画の中で災難はスズメが扉の横の石片を抜くところから始まる。この石片が要石である。古代日本人は地面の下に大きなナマズがあって地震が起き、大きな石でナマズを押し込めることで地震を制圧できると考えていた。このように「すずめ」の人物と所在は日本神話に根ざしている。

『すずめ』はまたロードムービーの形式をとる。猫に変わった要石を追ってすずめは九州から出発し四国の愛媛県、関西の神戸、関東の東京を経て、ついに東日本大震災が発生した東北地方、福島、宮城、岩手県に至る。行く先々ですずめは扉を閉めて地震を防ぐ。しかし、ここは全て日本人の脳裏に生々しい痛みとして残っている巨大自然災害が発生した場所だ。現実では災害を防げなかったのだ。

すずめの旅の絶頂、東北ですずめは過去の自分と向き合う。幼い時に津波で母親を失い、途方に暮れている幼い自分をすずめは慰め、そっと抱いてあげる。日本列島を横切るこの大長征の目的は、忘れていた自分自身に出会って自らをなだめ理解し、真の大人に成長するところにある。

「ロシアは負けるかも」ロシア民間軍事会社のトップがこぼした本音

ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者であり、プーチンとも親交の深いプリゴジンという人物をご存知でしょうか。彼が爆弾発言をしたと紹介するのは国際関係ジャーナリストの北野幸伯さん。北野さんは無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で今回、 プリコジンの人物像からプーチンを裏切る発言の内容に至るまで、詳しく語っています。

ワグネルトップが「ロシア敗北」の可能性に言及

一般的に、日本でロシアはマイナーな存在です。普通の人に、「ロシア人で知っている人の名前を挙げてください」と質問すれば、政治家はプーチンしかでてこないでしょう。少しロシアに詳しくなると、メドベージェフ前大統領、ラブロフ外相、ショイグ国防相などでてくるかもしれません。ウクライナ侵攻前に知名度が上がったのは、「プーチンのための宮殿」動画を出したナワリヌイでしょう。

Дворец для Путина. История самой большой взятки

彼は逮捕され、今も刑務所にいます。

昨年2月24日ウクライナ侵攻がはじまると、ロシアーウクライナに関する報道が増えました。それで、何人かのロシア人の知名度が上がりました。たとえば、「プーチンのメンター」といわれる地政学者ドゥーギン(娘のダリアが爆殺されて、有名になりました)。チェチェン共和国の首長カディロフ。民間軍事会社「ワグネル」のトップ、プリゴジンなど。

「ChatGPTに仕事を奪われる」将来を不安に思う声に専門家の意見は?

ChatGPTの登場で、世の中はどう変わっていくのでしょうか。今回「自分の仕事がなくなってしまうのでは…」という読者からの相談に、メルマガ『『ゼロ秒思考』赤羽雄二の「成長を加速する人生相談」』著者で、世界的なコンサルティング会社マッキンゼーで14年間もの勤務経験を持つ、ブレークスルーパートナーズ株式会社マネージングディレクターの赤羽雄二さんが回答しています。

Question

shitumon

ChatGPTが爆発的な人気ですが、世の中はどう変わっていくのでしょうか。多くの仕事がなくなるという話もよく聞きますし、落ち着いて仕事ができません。家族も不安に思い、「あなたの仕事なんか最初になくなりそうね」と言われています。自分の将来をにらんで、どう考えておけばいいのか、どう準備すればいいのか、アドバイスお願いします。

 

 

赤羽さんからの回答

ご質問どうもありがとうございます。世の中は急激に変わっていきます。7、8年前、AIによって仕事の49%がなくなるという記事が出回って皆ちょっと心配しましたが、言うほどの変化はなかったと思います。

AIがチェスの世界チャンピオンに勝ったとか、囲碁の世界強の棋士に勝ったとか言われても、仕事にはあまり関係がないから、それほど気にならなかったのではないかと思います。

今回、ChatGPTがそれらとは全く違う反応を引き起こし、2ヶ月で月間アクティブユーザーが2億人を突破しました。毎日、テレビ、新聞でもネット記事でも取り上げられない日がないほどになったのは、大きな理由があると思います。

それは、ChatGPTは、人間と全く同じように日本語(あるいは英語)で質問したり、指示したりすると、即座に答えが返ってくるし、何回どういう指示をしても、魔法のように答えが返ってくるからです(もちろん指示のしかたに若干の工夫は必要ですが、それも十分理解できるものです)。

しかも、答えの中の間違いを指摘すると「大変申しわけありませんでした。再度確認したところ~~でした。改めてお答えしますと~」など、お詫びもそんじょそこらの人より丁寧にまともに返してくれるからです。

例えば、「あすプレゼンがあるのに自信が全くないので、どうしたらいいでしょうか」と聞くと、

プレゼンがあるということは、あなたはその分野について何かを知っているということです。まずは、自分が持っている知識や経験を整理し、それを分かりやすく伝えることを心がけてください。以下に、プレゼンの準備についての一般的なアドバイスをいくつか紹介します。

1.資料を作成する前に、まずはアウトラインを作成してください。何を伝えたいのか、どのような構成にするのかをまとめることで、プレゼンの方向性が定まります。

2.資料を作成する際には、文字だけでなく、グラフやチャート、画像なども使って視覚的に伝えるようにしましょう。ただし、あまりにも多くの情報を詰め込みすぎないように注意してください。

3.プレゼンの練習を積極的に行いましょう。自分で話すことで、どのような点が伝わりやすいのか、どのような点が伝わりにくいのかが分かります。

4.プレゼンの場では、自分が話すだけでなく、聴衆からの質問や反応にも注意を払いましょう。聴衆が理解しやすいように、適宜説明を加えたり、スライドを補足したりすることも大切です。

5.最後に、自信を持ってプレゼンに臨むことが大切です。自分が伝えたいことを明確にして、自分の意見や見解をしっかりと主張してください。他の人とは違うアプローチや視点を持っていることがあなたの強みです。

以上のようなアドバイスを実践することで、自信を持ってプレゼンに臨むことができると思います。がんばってください!

と答えてくれます。これは単純な質問なので、人によってはそこまで参考にならないかもしれませんが、もう少し工夫して条件設定や質問を繰り返すと、自分に役立つ貴重なアドバイスを数分の間に得ることができます。

これはびっくりです。これに近いものはこれまでのパソコンにもスマートフォンにも全くありませんでした。「何でも質問したら、即座に答えてくれる」という感動体験が世界中を席巻したのです。

この記事の著者・赤羽雄二さんのメルマガ

ここにも竹中平蔵の悪影響。京大教授が懸念する「テロ多発国家」に成り下がった日本の現状

4月15日に和歌山市で発生した、岸田首相襲撃事件。世界一安全と言われる我が国は今、安倍氏銃撃から1年足らずの間に政治家を狙った凶行が再び起きてしまう異常事態となっていますが、何がかような状況を招いてしまったのでしょうか。今回のメルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』では著者で京都大学大学院教授の藤井さんが、昨年11月に襲撃を受け重症を負った社会学者の宮台真司氏が、自身との対談で語った「日本がテロ多発社会となった原因」を要約して紹介。その上で、テロ対策の強化だけを叫ぶメディアが認識すべき現実を提示しています。

(この記事はメルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』2023年4月16日配信分の一部抜粋です)

岸田首相も襲撃の的に。なぜ令和ニッポンは「テロ多発社会」となってしまったのか

和歌山に選挙応援のために訪れていた岸田文雄首相をターゲットに爆発物を投げ込むテロ事件が起こりました。岸田首相に投げつけられた「鉄パイプ爆弾」と見られるものは爆発したものの、それは投げつけてから約50秒後の事であったということから、岸田氏は無事避難できました。

まだ、犯人の「木村隆二容疑者(24)」の動機については明らかにされていませんが、この事件で、誰もが昨年7月の奈良での安倍暗殺事件を思い起こしたものと思います。安倍暗殺事件の時は誠に不幸にも犯人の意図は完遂される結果となりましたが、今回は未遂に終わり、岸田文雄氏という一人間の命が失われなかったという災い中の幸いに、ほっと胸をなで下ろした方は多かったものと思います。

松野官房長官からは「選挙の中で今回のような暴力行為は断じて許されない」との声明が出されておりますが、政府としても、そして我々一般社会としても、政治家を狙ったこうしたテロ行為に対して毅然とした厳しい態度をとり続けることが必要であることは論を待ちません。

しかし、昨年11月には、当方の言論仲間でもある宮台真司氏がナイフで切りつけられるというテロ事件も起こっていることも踏まえれば、昨年7月の安倍暗殺事件、昨年11月の宮台襲撃事件、そしてこの4月の岸田襲撃事件と、今やもう、数ヶ月おきに政治家や著名人を狙ったテロ事件が連発していることになります。

戦後日本においては少なくとも昭和後期から平成期の日本においてはこうしたテロが多発、連鎖することはなかった事を思い起こせば、隔世の感を禁じ得ません。

令和日本がこんなにテロが多発する「テロ多発社会」となったのは一体なぜなのでしょうか…?

この問題について、当方は表現者クライテリオンにて、年末年始特集の「『反転』の年 2022-2023:戦争、テロ、恐慌の時代の始まり」で詳しく論じたところです。

一言で言えば、もう今の日本は、昨年7月の安倍暗殺事件を象徴ととする「テロ」が頻発する時代になっているのであって、(政府が一言で言うならネオリベ的=新自由主義的な軽薄な政治を続けている限り)その時代の流れは避けることができない状況にあるのだ、という事を、論じていたのです。

この記事の著者・藤井聡さんのメルマガ

「遺伝子組み換え」の文字を消したがる米国。日本の食品表示が“変更”された深い闇

食品のパッケージに記されている遺伝子組換え表示に関する制度が、今年4月1日から大きく変わっていたことをご存知でしょうか。今回のメルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図──政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』では投資コンサルタント&マネーアナリストの神樹兵輔さんが、遺伝子組み換え食品の表示変更が行われた理由を紹介するとともに、その危険性を徹底解説。さらに日本では表示義務の対象外となっているゲノム編集食品のうち、国内で流通している3品の「実名」を挙げています。

またも国民の命を売り渡し。アメリカの圧力に屈して食品表示を大幅変更の消費者庁

皆様よくご存じの通り、安保条約で同盟関係にある日本は、アメリカの「属国」も同然です。

防衛費をGDPの1%(5.4兆円=2022年)から、2%(11兆円=2027年)にしろーーといわれれば、唯々諾々と日本政府は従います。専守防衛もへったくれもありません。

敵基地攻撃のために、米国の旧式ミサイルでも、何でも買わされ放題だからです。

このため、とうとう米国の「オフショアコントロール戦略」に乗せられて、中国による台湾侵攻の有事が起きた際には、日本の自衛隊が先頭に立って対処しなければならなくなりました。米中の正面衝突を避けるためです。

ちなみに、日本のこの大軍拡に明確に反対の立場をとる野党は、「日本共産党」と「れいわ新選組」だけです。このことはよく覚えておきたいものです。他の野党は条件付きで政府に追従しているのですから。

日本の食品表記から「遺伝子組み換え」という言葉自体を消したい米国

日本の食品表示方法で、アメリカの要請で大きく変更されたものに、1995年4月の「製造年月日表示」の廃止があります。

その時点から「賞味期限」と「消費期限」の記載に変更になったのです。

製造年月日表示では、米国から輸入される食品の輸送期間が長いため、日本の店頭に商品が置かれた時には、製造年月日が日本製食品よりも古いことになります。

それでは、米国の食品販売が不利になるため、変更を迫られたからでした。

今回の遺伝子組み換え食品の「表示変更」も米国からの要請です。「遺伝子組み換えでない」という表記の食品が多いと、遺伝子組み換えの米国産大豆が使われにくいからです。

米国は、日本の食品表記から「遺伝子組み換え」という言葉自体を消したいのです。

大豆の加工食品である「豆腐」「納豆」「味噌」「醤油」「つゆ」などの食品表示から、「遺伝子組み換えでない」という表記がほとんど消え、「分別生産流通管理済み」とか「遺伝子組み換え混入防止管理済み」という 意味不明の表記に代わったのです。

「何のこっちゃ?」という消費者の戸惑いが増えているでしょう。

消費者団体や生協などからも、「わかりにくい」という否定的な声が上がっています。

消費者庁が、米国の圧力に屈して、表記をわざわざわかりにくくした──と批判されているのです。

全輸入量の7割。米国産大豆の93%が遺伝子組換えという衝撃

日本での大豆の年間需要量は350~360万トンですが、国産自給率はわずか6%にすぎません。

ただし、国産大豆の遺伝子組み換え比率は、ほぼゼロです。

つまり、大豆加工食品の多い日本ですが、そのほとんどが輸入品なのです。

大豆の輸入先は、米国73%、ブラジル16%、カナダ10%の順ですが、このうち遺伝子組み換えの生産比率は、米国93%、ブラジル90%、カナダ80%となっています。

海外での農産物の主流は、すでに遺伝子組み換え(GM)なのです。

家畜の飼料になるトウモロコシにおいても同様です。

家畜が遺伝子組み換えのトウモロコシを食べて育ち、人間に食べられるわけですが、その時の肉の表記には、遺伝子組み換えの穀物を食べて育った家畜──といった表記は、まったくありません。

この記事の著者・神樹兵輔さんのメルマガ

日本のキャリアが「分かりやすいキャンペーン」でスマホを売れない理由

サムスン電子が世界的に展開している新型ハイエンドスマートフォンGalaxy S23 Ultraの「Wストレージキャンペーン」。どうやら日本のキャンペーンだけが複雑な仕立てになっているようです。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』では、著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんが、総務省の規制のために回りくどくなっていると、KDDIのケースを例に解説。誰も喜ばない「値引き2万円上限」規制をなくすことが国民のためになると声をあげています。

Galaxy S23 Ultra「Wストレージキャンペーン」に違和感

サムスン電子「Galaxy S23 Ultra」が4月20日に発売となる。現在、「Wストレージキャンペーン」を展開しており、製品を予約、購入、応募することで、例えば1TBを買うと512GBの差額、512GBなら256GBとの差額相当の「Amazonギフト券」をもらえるという内容になっている。

KDDIでは512GB、1TBはオンライン限定となっている。本来であれば「512GBを予約、購入したら1TBが届く」というのがわかりやすいキャンペーンの立て付けであり、実際、海外でも同様の仕組みで展開されているという。

しかし、日本では「キャリアの流通関連で難しい」とのことのようだが、そこにはどうやら総務省の規制が絡んでいる気がしてならない。

一部、メディアは「キャリアのオンラインショップでは単体購入の予約ができず、キャンペーンが起用されない」という点を突っ込んでいる。これにより「通信契約を紐付いた前提の割引はおかしい」という話になってくる。

ただ、この点に関しては、KDDIの5G機種変更おトク割の1万6500円はキャリアが負担しているが、Wストレージキャンペーンに関しては、サムスン電子によるメーカー独自キャンペーンだから「電気通信事業法第27条の3等の運用に関するガイドラインの2万円のルール対象外になる」としている。

これがpontaポイントで付与すると、特定キャリアでの利用に限るポイントだと突っ込まれる可能性があるため、あえてAmazonギフト券でキャッシュバックしたと思われる。

おそらく、Wストレージキャンペーンを海外と同じ仕組み、つまり、512GBを購入すると1TBが送られてくるという仕組みにしてしまうと、その差額が2万8320円となり、余裕で規制の範囲を突破してしまう。これでは総務省に指されてしまうので、「Amazonギフト券を使ったキャッシュバック」という回りくどいやり方になっているようだ。

キャリアとサムスン電子としては、ハイエンドスマートフォンを買ってもらうと、なんとかガイドラインの穴を突いたキャンペーンを仕掛けてきているだろう。こうしたスキームを考えてくるのには頭が下がるばかりだ。

一方で、意味の無い「2万円上限ルール」なんてとっとと取っ払ってしまって、もっとわかりやすいキャンペーンを提供できる方が、国民のためになるのではないだろうか。

20万円以上もするハイエンドスマートフォンを購入し、アクティブに通信をするユーザーは当然のことながらキャリアにとっては「優良顧客」であるわけで、そうしたユーザーが予約して購入するのだから、もっと優遇されてもいいはずだ。

航空業界にはフルサービスキャリアの上級会員として旅を楽しみたい人もいれば、LCCでできるだけ安く目的地につければいいという人もいる。上級会員にはマイルがざくざく貯まる仕組みが存在し、結果、顧客満足度が上がり、継続して優良顧客であり続けてくれる。

通信業界も2局化しているにも関わらず、総務省はなぜすべてユーザーに同一のルールを課そうとするのだろうか。

この記事の著者・石川温さんのメルマガ

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結婚した親友と会えない。モラハラを心配する気持ちへの対処法は?

結婚した親友と1対1で会えなくなってしまった。理由は親友が旦那さんにお伺いをたてるから。「モラハラを受けているのでは?」と心配する読者からの相談が、メルマガ『公認心理師永藤かおるの「勇気の処方箋」―それってアドラー的にどうなのよ―』著者で公認心理師の永藤かおるさんに届きました。永藤さんは、本当にモラハラなら相談があるはずなので、問い詰めない方がいいとアドバイス。それぞれの生活が変われば疎遠になる時期があることも受け入れて、時間の過ごし方を見つめ直すことを勧めています。

ちょっと御相談がありまして:友人と1対1で会いたい

皆様からお寄せいただいたご相談や質問にお答えしたり、一緒に考えたりしていきます。

Question

shitumon

30代女性。既婚で会社員です。私には高校時代からの親友がいます。彼女も去年結婚しています。お互い結婚前は、遊びに行ったり、ご飯を食べに行ったり、年に1~2回は旅行もしていました。とても気の合う友人です。

でも、最近は、遊びや旅行に誘っても、「〇〇君(彼女の夫)に確認してみるね」「〇〇君も一緒でいいかな?」という答えばかり返ってきます。

彼女だって働いているんだし、子どもがいるわけでもないんだし、別に相手の都合に合わせなくてもいいんじゃないの?と思います。私は、彼女と会う時くらいは、学生時代の楽しい話をしたり、普段の嫌なことを忘れたり、旦那の愚痴を言ったりしたいので、前みたいに彼女と1対1で会いたいです。

彼女は夫に支配されていて、友達付き合いも制限されているんじゃないか、モラハラを受けているんじゃないかと心配でもあります。何と言ったら彼女はわかってくれるんでしょうか。

【永藤より愛をこめて】

そうですかそうですか。あなたは彼女と1対1で会いたいけれど、どうやら彼女はそうではない。これはね、とても残念かもしれないけれど、しばらくは1対1で会うのはきっぱりあきらめた方がいいと思います。

あなたは彼女がモラハラに遭っているんじゃないかと心配していますが、おそらくそうではなく、彼女自身がパートナーと一緒にいたい、パートナーとの時間を大切にしたい時期なんじゃないでしょうか。

人生にはなんというか、いくつかのステージがあって、このステージでご一緒する人、次のステージでご一緒する人というのがどんどん変わっていきます。お芝居でも一幕目、二幕目と進むにつれ、主人公以外の登場人物ががらりと変わったりするでしょう?

あなたにだって、今までそういうことがあったのではないでしょうか?保育園や幼稚園の頃の仲良しさんとだけ、30代になってもずっと変わらぬお付き合いを続けている、ということはめったにないと思います。

この記事の著者・永藤かおるさんのメルマガ

陸自ヘリ墜落を「撃墜」と騒擾。安易な“陰謀論”提唱が意味すること

4月6日に発生した自衛隊ヘリの墜落事故から約2週間。懸命な捜索が続けられていますが、未だ不明者全員の発見には至っていません。この事故に関する「陰謀論」を取り上げているのは、ジャーナリスト・作家として活躍中の宇田川敬介さん。宇田川さんは自身のメルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』で今回、「撃墜説」を振りかざすことが何を意味するのかについて解説するとともに、陰謀論的言説を唱える向きに対して否定的な姿勢を示しています。

自衛隊ヘリ墜落事件と「陰謀論」

軽々しく撃墜などと言わない方が良いのでは

陰謀論の人々は、何が楽しいのか、「他と変わったことを言いたい」という目立ちたがりの精神があるのかもしれません。

しかし、例えば今回の件で「撃墜された」というようなことを言った場合、それはどのようなことを意味しているのでしょうか。

私自身は「撃墜」ではないと思いますが、一応そのようになった時の場合何が起きていたのか、ということを見てみましょう。

まずは「撃墜の主体」です。

潜水艦であるのか、または、他の航空機であるのか、まあ、どの国とは申しませんがなんとなく、そのような話が出てくるのではないかと思います。

SF漫画であれば、時空を越えたり、突然何かが現れるなどと言うこともありますが、ここは現実社会ですからそのようなことはありません。

同時に、下が海であるので、「漁船」などから発射されない限り「陸上」ということは考えにくいのではないかと思います。

そのように考えれば、潜水艦か航空機、または宇宙からというような話になるのかもしれません。

宇宙からということ以外であれば、航空機、潜水艦が我が国領空領海の中に入り武器を使用したということになります。

逆に言えば、「日本の海は、宮古島の湾内まで、全くレーダーも何も効かない」ということを意味しています。

同時に、そのヘリコプターに師団長が乗っていたというために狙われたということになれば、当然に「その飛行計画をどこかが事前に漏洩させ、そのうえで、その計画に有った飛行ルートで狙った」ということになります。

つまり、自衛隊の中に裏切り者がいて、外国に味方しているスパイがいるということを意味しています。

日本はそのような国なのでしょうか。

次に、その方法ですが、ミサイルであれば爆発してしまいますから、そこは大きな問題になります。

一方、それ以外の物であれば、例えば機銃等であれば、同様のことになりますが、それほど推進力や飛距離(射程)があるような物を作ることができません。

自分で推進力を維持できるものではないと、そこは「距離(射程)」の問題が出てくるのです。

このように考えれば、「そのような新兵器ができた」可能性があるということになります。

では、そのような情報がないということになったのです。

同時に、相手は「攻撃の意思がある」ということになります。

陰謀を叫ぶ人は、それならば、その陰謀に対してしっかりと対策を提言すべきではないでしょうか。

もちろん本人が防衛に動くことや情報を入手することも当然です。

実際に、そのような話になるのでしょうか。

この記事の著者・宇田川敬介さんのメルマガ

読む人の心をざわつかせない。なぜ文筆家は「静かなサイト」を作ったのか?

文筆家の倉下忠憲さんが今月立ち上げたばかりのWebサイト「Knowledge Walkers」。その名の通り「知をわたる人たちの総合サイト」を称するKnowledge Walkersですが、倉下さんはあえて「静かなサイト」として作り上げたといいます。その理由はどこにあるのでしょうか。今回倉下さんは自身のメルマガ『Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~』で、サイトを必要最低限の機能で構成した狙いを解説。さらにその試みが提起するであろう問題を記しています。

静かなサイトをつくる。昨今のWebが騒がしくなりすぎていることに対するアンチテーゼとして

Knowledge Walkers」は、静かなサイトを目指しています。英語で言えばカーム(calm)・サイト。

昨今のWebが騒がしくなりすぎていることに対するアンチテーゼとして、そうした概念を立ち上げてみました。

ではカーム・サイトとは、具体的にどんなサイトなのでしょうか。

■視覚的に静か

まず上げられるのが、視覚的にうるさくないサイトです。Knowledge Walkers(とR-style)をご覧になればわかるように、画像的要素はできるだけ入れないようにしています。書影画像など、入れておかないと読む人がわかりにくいものについては画像を使いますが、「別になくてもいいんじゃね」的なものについては画像を使いません。

また、ボタンをクリックしたときの動作などUI的なアクションも省きました。大きな動きがまったくないサイトは、使っていても認知的に静かなものです。同様にサイドバーにもフッターにも何も情報がありません。ただ、画面の真ん中にテキストが置いてあるだけです。

以上のように、サイトはただ文章を提示し、読者はそれを読むという以外のことがほとんど何もできないサイトが、カーム・サイトです。

■ごく部分的な広告

上記の発展として、広告的な情報も掲載していません。Googleアドセンスや他のサービスの自動的な広告、画像的な広告、動画的な広告はどのように工夫したとしても「うるさく」なってしまうので、一切を排除しています。

また、たいへん素晴らしい情報が記載されているサイトであっても、本文の段落と段落の間に画像広告が入り込むと途端に認知資源が消耗してきます。読み飛ばせばいいわけですが、人間の「目に入ったものを処理する」力は無意識のものですし、文章を読もうという気持ちが高まっているときほど画像などを無視するのは難しくなります(逆に言えば、ほぼ本文を読んでないサイトでは広告も目に入っていないと言えます)。

だからこそ、文章を読んでもらおうとするのならば、広告的情報は少なくとも本文内に入れるのは避けた方がよいでしょうし、もっと言えば視野には入れない方が良いのだと思います。

これは別に「インターネットに広告を入れるべきではない」という先鋭的な意見ではありません。たとえば、書店で売っている雑誌にはさまざまなページに広告が入っていますが、それがうるさいと思うことはないでしょう。もともと雑誌という媒体が「ぱらぱら読む」ことを想定しているからです。

しかし、文庫本の小説の本文の途中に広告が入っていたらさすがにげんなりするでしょう。

つまり、インターネット上のWebサイトを作る際、そのサイトが何を目指しているのかを考えて広告の有無を判断したほうがいい、という話になります。文章をじっくり読んでもらいたいなら、できうる限り(経済的に無理がない限り、という意味です)広告的要素は減らしていく。少なくとも本文の中に入れ込むようなことは避ける。そういう心がけが必要でしょう。

この記事の著者・倉下忠憲さんのメルマガ

日本の選挙を“つまらない”ものにするボンボン世襲議員の存在

前半戦が終了した統一地方選挙。メルマガ『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』の著者でジャーナリストの伊東森さんは、日本の選挙制度の問題について、韓国やフィンランドと比較しながら解説しています。

統一地方選前半戦終了 韓国の世襲議員、わずか5%程度 求められる主権者教育、フィンランドの場合 選挙制度の問題も

第20回統一地方選挙は4月9日、前半戦となる9の道府県知事選と6の政令市長選の投開票を迎えた

大阪の府知事、市長の「ダブル選」は日本維新の会系の大阪維新の会が再び制す。自民党の支持層が割れた保守分裂選挙となった奈良は維新候補、徳島は無所属で新人の元衆議院議員後藤田正純氏(53)が当選を決めた。

与野党対決となった北海道、大分は自民党候補が勝利。神奈川、福井、鳥取、島根の4つの知事選は与野党相乗りの現職が勝利を収めた。

なお、41の道府県議選、17の政令市議選も投票が行われる。結果、道府県議選では女性の当選者が過去最多となった(*1)。

しかし奈良県知事選の結果は、今後、影響が残りそう。現職と県連推薦の元総務官僚が自民党支持層を奪い合い、結果、維新候補の完勝を招く。

元総務官僚は、県連の会長を務める高市早苗経済安全総務担当相の、総務大臣当時の秘書官だった。5選を狙う現職に対し、「世代交代」を訴えた高市氏が押し切った形に。

自民党内では年内の衆議院解散もささやかれるなか、地方組織に“しこり”を残した。

目次

・韓国 世襲議員、わずか5%程度
・求められる主権者教育 フィンランドの場合
・改革待ったなし 選挙制度の問題も

韓国 世襲議員、わずか5%程度

日本の選挙を“つまらない”ものにしている要因の一つが世襲議員の多さだ。日本の衆議院では26%(2017年)で、自民党に限ってみれば40%に達するという(*2)。

また、日本では世襲議員の当選率が7~8割と、極めて高いというデータもある。

一方、来年4月に総選挙を控える韓国のでは、国会議員の世襲議員の割合はわずか5%程度。韓国メディアによると、アメリカ上下両院の6%(2015年)よりも少ないという。

その理由を、韓国建国大学の李鉉出教授(政治学)は、西日本新聞の取材に対し、

「韓国社会は機会の平等に極めて敏感。議員との血縁を特権とすることは許さない」(*3)

と指摘した。公正・公平に敏感な背景には、韓国社会の厳しい競争と兵役があるという。

学歴社会の韓国では子どもの頃から厳しい受験勉強を強いられる。兵役も回避できない国民の義務だ。親などの力によってこうした競争を避け、特別な地位を得ることには強い反発がある」(*4)

とする。

李教授は、

「韓国は植民地支配や軍政から、民主化運動を経て今の政治体制を築いた。既得権益を変えようという意識も強く、世襲もその対象になる」(*5)

と分析する。

求められる主権者教育 フィンランドの場合

主権者教育の在り方も大いに問題がある。日本で主権者教育が“解禁”となったのは2015年。2016年の18歳選挙権実現に向けて通知を出し、1969年から続いていた「政治教育の原則禁止」の方向性から大きく舵を切った。

他方で、いまだ教員に対し、“政治的中立”性を強く求めており、現場の教員は萎縮、一部の私立学校を除き、多くの学校現場では現実的な事象を取り扱うことができないでいる

諸外国の場合は、政党やさまざまな問題・立場を取り扱うことで“政治的中立”を目指す。これを「積極的政治中立性」という。

たとえばフィンランドでは、教員が一方的に教える方式ではなく、生徒が教科書やパソコンなどを使いリサーチを行い、プレゼンテーションをしながら学んでいくスタイルが一般的だ(*6)。

教科書の内容も違う。以下のようなものがフィンランドの教科書に記載されてある。

右翼、またはブルジョアの政党は、自分自身に対する努力と個人の責任を強調しています。彼らの意見では、たとえば、地方自治体は必ずしもすべての基本的なサービスを自社で作成する必要はありませんが、合理的な場合には民間企業からそれらを購入する必要もあります。(*7)

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