カリスマ稲盛和夫の教え。「人事を尽くして天命を待つ」の意味とは

多くの経営者がその言を生き方の指針とし、人生の師として名を挙げる稲盛和夫氏。マッサージチェア世界シェアトップの実績を誇るファミリーイナダの創業者・稲田二千武氏も、大きな影響を受けた一人です。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』ではそんな稲田氏ご本人が、稲盛和夫氏から学んだという「哲学」について語っています。

稲盛和夫に学んだ「人事を尽くして天命を待つ」

京セラ創業者・稲盛和夫さんの経営哲学、人生哲学を学ぼうとする経営者の勉強会・盛和塾は国内外に約2万人の会員を擁していました。

盛和塾に草創期から関わっていたのがマッサージチェアで知られるファミリーイナダの会長兼社長である稲田二千武(にちむ)さんです。

稲盛さんと40年近い交流を続ける中で、稲田さんは何を学んだのでしょうか。『致知』4月号の対談記事の一部をご紹介します。ご対談の相手は日本経営ホールディングス名誉会長の小池由久さんです。


小池 「稲田先輩がこれまでの経営のご苦労の中で、稲盛塾長の教えをどのように生かしてこられたのかというお話もぜひお聞かせください」

稲田 「塾長から教えられた哲学をひと言に集約すると『人事を尽くして天命を待つ』。これ以外にはないと思っています。

ここでいう『人事を尽くす』とはただの努力ではないんですね。前提となるのは『動機善なりや、私心なかりしか』、つまり自分自身の生き方が美しいかどうか、利他の思いで生きているかどうかですよ。そうやって人事を尽くしていさえすれば、あとは自然によくなるから、無駄に悩むことをしなさんな、という意味に私は捉えているんです。

実際、経営者はそのように開き直らなくては前に進むことができません。今般のコロナ禍でもそうですが、経営をやっていると全く予想もしない事態に直面します。そういう時でも、その苦労に感謝して人事を尽くすところに道が必ず見えてくる。

私自身、それを強く信じているからこそ、あまり悩むこともなく安心して経営ができると思っています」

小池 「稲田さんが事業の多面展開をやめてマッサージチェアに事業を特化されたのも、そういう利他の教えが背景にあってのことでしたね」

稲田 「ええ。私が43歳で入塾した時、私共の事業におけるマッサージチェアの割合は2、3割で、この他にプロポーションアカデミー、エステ、ウエイトトレーニングジムなど手広くやっていました。合わせて100億円ほどの売り上げがありました。

ところが、稲盛哲学に触れて『おまえは何のために生まれて、人のため世の中のためにどのような働きをしようとしているのか』と自問自答した時、このまま事業を拡大していくよりは人間として何を残せるかが重要だという思いが込み上げてきました。

マッサージチェアの下請けから歩んできた半生を振り返りながら、『このマッサージチェアこそが日本が生んだ唯一の文化的な健康製品だ。それを広げるのは自分にしかできない』と。それで他の事業は譲渡し、マッサージチェアに特化する決断をしました。それで正解だったと思っています」


メルマガが本になりました!新刊のご紹介 

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株も住宅もパンデミック以前より上昇。米国の凄まじい経済復興

新型コロナウイルス感染拡大の影響で2021年分の土地の路線価が下落した日本とは裏腹に、アメリカ経済はこれまでにない速度で復興を遂げつつあるようです。今回の『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』ではNY在住の人気ブロガー・りばてぃさんが、「過去に例のないほどに経済復興が進む」と報じたウォールストリート・ジャーナルの記事を紹介。さらにその理由として同紙が挙げた3つのファクターそれぞれについて、詳しい解説を記しています。

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予想以上に早く進むアメリカの経済復興

過去のメルマガで、広告専門のアドウィーク(AdWeek)が「リベンジ消費(復興消費)がやってくる、これがマーケターの準備方法」(Revenge Spend Is Coming. Here’s HowMarketers Can Prepare)と題した記事を5月半ばに掲載したとお伝えしたが、ウォールストリート・ジャーナルが過去に例のないほどに経済復興が進むという記事を掲載したので、ご紹介したいと思う。

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主に大きく3つの理由を挙げている。

  1. 莫大な消費者の貯蓄、または負債の少なさ
  2. 企業による雇用ニーズの高さ/新事業の増加
  3. 莫大な政策による支援

まず1つめの「莫大な消費者の貯蓄、または負債の少なさ」については、アメリカの家計の債務返済負担が税引き後の所得に占める割合が、記録が始まった1980年以来の最低水準に近い。

2つ目については、新規事業が記録的なペースで立ち上がっており、また、労働市場の信頼度を表す指標である離職率が少なくとも2000年以降で過去最高を記録している。

スタートアップの急増は、企業間の信頼が高まっていることを示しており、他の従業員を雇用する傾向がある一部の起業家の間での新会社の設立申請は、5月上旬までに83万件を超えている。これは、過去2番目に高かった2006年の同時期と比べても21%も高い水準とのこと。

加えて3つ目は事業者向けの給付金(PPPなど)に加えて、ニュースでも取り上げたが子どものいる家庭に対するの給付金(Child Tax Credit)など。

加えて、リーマンショック時のように金融機関がダメージを受けていないので、リスク資産への貸し出しも渋られることはない。

その結果、景気の先行きを予測する際に「先行指標」として重視される経済指標がかなりポジティブな状況になっており、ダウ工業株30種平均は、パンデミック前の2020年2月のピークから18%近く上昇。全国の住宅価格も14%近く上昇。

こうした状況から「過去に例がない。見たことない。」経済復興となるとみられている。

一方で、人材不足や休業していた期間が長かったため事業体制を整えるのが大変だったし、商品不足などに陥るという弊害もあるが、まぁ、前半的に経済が回復するのは良いことだろう。

 

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『ぼくたちのリメイク』原作者・木緒なち氏「大阪芸大時代の自分は地味な存在で。だからこそ裏方の熱意や苦労を描きたかったんです」アニメ化記念インタビュー

木緒(きお)なち氏 プロフィール:
MF文庫J刊『ぼくたちのリメイク』などをてがける小説家、ゲームシナリオライター、グラフィックデザイナー、Vtuber、経営者。多彩な肩書を持ち、アニメ『ご注文はうさぎですか?』などのロゴデザインでも知られるが、自身原作のアニメ化は今回が初。大阪府出身の福岡県育ち、大阪芸術大学芸術学部映像学科卒業。

この夏の新番組アニメ『ぼくたちのリメイク』が早くも話題となっています。10年前にタイムスリップし、大学一年生から人生をやり直す主人公の姿に「私もあの頃に戻りたい」「僕も人生をリメイクしてみたい」と共感の声が湧きあがっているのです。

主人公橋場恭也(はしば・きょうや)は28歳の売れないゲームディレクター。勤めていた会社が奔放経営により2016年に倒産し、遂に無職に。落ち込んでいたある日、ふと自分が「10年前にタイムスリップしている」と気がつきます。手にしていたのは、かつては進まなかった芸術大学の合格通知でした。

こうして冴えない無職男・橋場の「人生のリメイク」がスタート。「映像学科」の同級生である女子二人&男子二人のシェアハウス生活を始めたところ、自分以外の三人はその後「プラチナ世代」として名を轟かせる超有名クリエイターたちの前身であると判明します。橋場は10年長く生きた知見と経験を駆使しながら、未来のクリエイターの卵たちを危機から救うため尽力。そうして他の学生をサポートしつつ、自らの人生をやり直してゆくのです。

 この『ぼくたちのリメイク』の原作はロングセラーを記録する同名のライトノベルシリーズ。書いたのは、ゲームシナリオライター、小説家、アートディレクター、グラフィックデザイナーなど多彩な顔を持つ木緒(きお)なちさん(45)。美声を活かし、バーチャルYouTuber「葉山みど」の中の人としても活躍しています。

実は若き日の木緒さん自身もまた、小説の登場人物たちが通う「大中(おおなか)芸術大学」のモデル「大阪芸術大学」へ通う学生でした。1990年代半ば、故郷の福岡県から大阪へとやってきた木緒さんは、小説の彼らと同じ「映像学科」へ進み 「美術研究会」に所属していたといいます。

実体験も反映したほろ苦い青春作り直しストーリー『ぼくたちのリメイク』は、どのような想いで書かれたのか。アニメ化される心境は? 原作者の木緒さんにうかがいました。(取材・文/吉村 智樹)

誰しも考える「もしもあの日、別の道を選んでいたら」

――『ぼくたちのリメイク』のテレビアニメ化、おめでとうございます。

木緒なち(以下、木緒)「ありがとうございます。いつかアニメ化されたらいいな、と夢見てはいました。けれども、まさか実現するとは。驚きましたね。いろんな方が力を尽くしてくださったおかげです」

――『ぼくたちのリメイク』は、「クリエイターもの」と呼ばれるジャンルのなかに「タイムスリップ」というSF要素が加わっている点が魅力だと感じました。どういうところから発想されたのですか? 

木緒「後悔のない人生を生きるのって本当に難しい。『あの頃に戻って、人生をやり直してみたい』『あの時、もしも別の道を選んでいれば、自分はいまどんな仕事をしていただろう』。そんなふうに思っている人って想像以上に多いんです。だったら『タイムスリップして人生をリメイクできたら面白いんじゃないか』、そう考えたのがきっかけでした」

――主人公が人生をやり直すにあたって、「大学を選択する時期へ戻る」のがリアルですね。多くの人が大学受験の時期に岐路に立たされます。どの大学へ進むかで卒業後の人生が変わる場合もありますものね。 

木緒「もしも別の大学へ進んでいたら――と、私も実際に考える日があるんです。『大阪芸術大学ではなく、故郷である福岡の一般私大へ進学していたら、いまごろどんな暮らしをしていただろうか』と」

――木緒さんご自身は、どうなっていたと思いますか?

木緒「現在も福岡に住んでいたかもしれません。私が高校時代まで暮らしていた福岡には大きな私大がいくつかあります。そこへ通うのはやっぱり地元の学生が多いんですよ。そして『大学を卒業すると地元の企業に就職し、地元の人と結婚して家庭をもつ』生き方が定番パターンなんです。それも幸せのあり方の一つですよね。私も福岡で進学していたら、きっと定番な生き方をしていただろうなって。『もしもあの日、別の大学を選んでいたら』と考えた経験が、ストーリーに反映されています」

ネットとメディアに大変革がもたらされた「2006年」が舞台

――主人公の橋場恭也は2006年にタイムスリップし、大学一年生となります。舞台を2006年に設定したのは、どうしてですか。

木緒2006年から2008年にかけて、オタクメディア、ネットメディアにおいて、かなり大きな変革があったんです。たとえば『初音ミク』が登場し、音楽産業が一気に様変わりしました。誰でもヴォーカル入りの音楽をつくれる土壌ができたんです。主人公が過去へタイムスリップするのなら、やはり刺激的な2006年~2008年あたりだろうと」

――音楽のありようが「初音ミク以前・以降」くらい変わりましたね。

木緒「そうですよね。変わったといえば、やっぱり『ニコニコ動画』のサービス開始も特筆すべきポイントです。『ニコ動』によって一般の人たちが動画を撮ったり編集したりして、作品を世に問えるようになりました。YouTubeが日本で知られ始めたのも、この頃。作品を発表するハードルが下がったし、反面、酷な意見も表現者へダイレクトに届く。ユーザーが表現者を育てることも貶めることもできる。『そういった激変の時代に学生生活を送る若者たちは、時代の変化をどんなふうに感じるんだろう』と思い、作品のスタート地点を2006年にしたんです」

――確かに。重要キャラクターの一人で、のちに人気ヴォーカリスト「N@NA」になる同級生の小暮奈々子も、動画配信サービスを使った「歌ってみた」によって人生が変わりますね。

木緒「2006年からのネットメディア界隈の大変革によって、音楽シーンも顕著に変わりました。そういった時代の空気感を大切にしています」

「スマホがない時代」を若者たちはどう生きたか

――2006年からさまざまな新しい文化が花開く一方、主人公たちが“ガラケー最後の世代”として描かれているのも真に迫っているなと感じました。

木緒スマホの普及は『すべてを変えてしまった』くらいのインパクトがありましたね。現在(2021年)だったら、スマホで簡単に4K、5Kの画質で動画を撮れます。『動画を撮影するカメラがない? だったらiPhoneで撮っちゃおうよ』って気軽に撮影ができる。下手したらビデオカメラよりずっときれいに撮れてしまう。でも2006年頃は、学生はまだみんなガラケーでしたから――」

――映像作品の製作中に予想外のトラブルに見舞われ、主人公の橋場が機転を効かせてアクシデントを切り抜けるシーンは胸が高鳴りました。名場面の一つですね。

木緒「作中で描いたあのトラブルは、現在ならばiPhoneさえあれば解決できるかもしれません。でも、当時はガラケーしかなかった。動画機能なんておまけのおまけくらい。画質は粗いし、しかも十数秒くらいしか撮れないですから、本格的な撮影の現場ではまったく使いものになりません。彼らはそういった制限のなかでものづくりをしなければならなかった最後の世代。その限られた条件下でどうやって危機を乗り越えるのか。このあたりは、おもしろさだけではなく、時代の記録としても書き残しておきたかったんです

――小さな頃からスマホに親しんできたデジタルネイティブ世代の読者は、どう読むんだろうという興味もあります。 

木緒「あの場面は世代によって受け取り方が違うんですよ。私たちの世代だと『不便だったあの時代』を主軸に置くでしょう? 懐かしいあの頃、ですよね。けれども若者は画質の粗さを活かした『新しい表現』として受け取るんです。『ああ、こうやって“ウケる”感覚は移り変わってゆくんだな』と勉強になりました。ただ、ものづくりに向き合う気持ちは昔も現在も変わらない。変わってゆく部分、世代を超えて共通する部分、いろんな要素が盛り込まれたシーンになりました」 

――木緒さんご自身の学生時代は、そういった変革はなかったのですか。

木緒「僕の学生時代の大きな出来事と言えば、やっぱりMacとの出会いですね。『ジョブズ前Mac』と呼ばれる、アップルが瀕死になってた頃のPower Macintoshを買ったんです。それで友達から頼まれてイベントのフライヤーを作成したり、デザイン学科のやつに頼まれてオペレーションをやったり。Macと向き合いながら将来の自分がものづくりをする態勢を静かに整える、そんな日々でした。振り返ればひじょうに重要な時期だったのですが、とはいえ地味な毎日でしたね。キラキラした青春とは無縁でした」

あえて「世の中にたくさんいる人」を主人公にしたかった

――地味といえば、主人公の橋場は映像学科へ進んだのに、映画監督でも出演者でもなく、裏方の「製作」ポジションに配置されます。主人公をもっとも地味な役割にしたのは、なぜなのですか。

木緒「選ばれた人ではなく、『世の中に、たくさんいる人たち』を主人公にしようと考えたからなんです。アニメやテレビ番組、映画など、スタッフロールに名前が載るか載らないかくらいの目立たない存在の人たちっているじゃないですか。でも、そういう人たちがいないと作品はできあがらない」

――そうですね。橋場は撮影場所の許可取りに走りまわったり、監督と脚本担当との板挟みになったり。映像作品からは見えない陰の努力をずっとしている。そうしないと作品が仕上がらない。こんなに主人公が胃を痛める作品も珍しいのでは。

木緒「裏方って苦労するんですよ。なかには身体を壊してしまったり、人間関係を崩してしまったり。それでも作品づくりに魅了されてやめられない人々を学生時代から今日までたくさん見てきて、私は素敵だなと感じていました。『ぼくたちのリメイク』を通じて製作に携わる人たちにエールを送りたかった。読者には、作品は光が当たる場所にいる人たちだけではなく、姿を見せない多くのスタッフの熱意によって生まれているんだと伝えたかったんです」

『ぼくリメ』では「女子キャラ」「男子キャラ」を分けて考えていない

――『ぼくたちのリメイク』には魅力的な女子が多数登場します。将来人気イラストレーターになる志野亜貴、ヴォーカリストとしてブレイクする小暮奈々子、映画を愛するあまり周囲と衝突しがちな河瀬川英子など、みんな個性豊かでチャーミングです。実際、木緒さんは大学時代、女子に囲まれる環境にいらっしゃたのですか。

木緒「まあ、ないですよね(苦笑)。ないんですけれど、大阪芸術大学って女子の比率が高い大学なんです。私が通っていた頃は全校でおよそ女子6:男子4の割合だったと記憶しています。とにかく女子がみんな元気で。化粧っ気はないし、舞台芸術学科だったら汗だらけ、工芸学科だったら土まみれなんです。でもそんなふうに全力で創作にぶつかっている姿が本当にカッコよくて。あのときに彼女たちに感じたまぶしさは、作品のなかに自然と出てきているのかもしれないですね」 

――女子たち全員が全力投球で、いわゆる「ヒロイン」的な描き方とは一線を画していますね。

木緒「大阪芸術大学は、女子だから、男子だからという差がまるで感じられない大学です。全員が同じ課題をして、同じ実習をする。シビアなことを言うと、作品のクオリティでしか評価されない。それもあって『女子だから』『男子だから』というキャラ設定をぜんぜんしていないんです」

――シェアハウスのシーンも女子と男子が普通に鍋を食べているなど、距離感がいいなと感じました。木緒さんご自身の学生時代はどんな場所に住んでいたのですか。

木緒「私が住んでいた場所は、いま考えるとムチャな学生寮でした。いまはもうないんですが、築年数不詳の昭和な木造で。『なんだここは。まるで物置じゃないか』と狼狽していたら、本当に農機具倉庫として登録されていたという。四畳半一間の部屋だったんですが、ベッドが壁に打ち付けてあるから実質は2畳くらいしかない。ほぼ、囚人でした(笑)。お金がなかったので鍋ばかり食べてはいましたが、作中のシェアハウスのシーンは僕の理想です」

大阪芸大で目の当たりにした「プラチナ世代」の輝き

――そもそも木緒さんが福岡から大阪芸術大学へ進学を希望した理由はなんだったのでしょう。

木緒「サブカルが好きだったんです。中学時代はラジオに夢中で、投稿しまくるハガキ職人でした。そして漠然と『業界』に憧れたんです。放送作家だった景山民夫さんの小説や、広告マンだった中島らもさんのエッセイなどをよく読んでいました。雑誌だったらテレビブロスや宝島などサブカル誌。そういう時代に育ったものですから。とはいえ、どこを目指せば業界に入れるのかがわからない。調べてみると大阪芸術大学の映像学科が総合的に教えているらしいと。『だったら、どっかの業界に引っかかるんじゃないか』と思って受験しました。芸大とはいえ映像学科なら受験にデッサンも必要なかったですし」

――『ぼくたちのリメイク』では主人公の橋場が、入学早々に同級生たちの映画の知識に圧倒されるシーンが出てきます。木緒さんはいかがでしたか。

木緒「あのシーンの橋場は、そのまんま僕です。いざ入学してみると、周囲は映画に異常に詳しい人たちばかり。『しまった!』と焦りましたね(笑) 自分はまだまだ半端だったんだと自覚させられました」

――「大阪芸術大学」「映像学科」「アニメ化」と言えば、同学科出身者である庵野秀明さんは大先輩にあたりますね。庵野さんについて、学生時代はどのように受け取っておられましたか。

木緒「高校時代に『トップをねらえ!』『ふしぎの海のナディア』の放送があり、『すごい作品だ』と感動して観ていました。庵野さんの名前はその2作品で憶えたんですが、自分が進学する大阪芸大のOBだとまでは知らなかったんです。そして映像学科に進学したのち、先輩から『すごい人おるんやぞ』と聞き、それが庵野さんでした。周囲には強烈なアニメオタクがたくさんいましたから、庵野作品のビデオやムックなどを、言えばいくらでもホイホイ貸してくれたんです。そこへさらに、エヴァンゲリオンがどーん! ときた。当時の学科内は、かなり盛り上がっていましたね」

――庵野さんより下の学年でも、大阪芸大の映像学科といえば熊切和嘉監督(※1)をはじめ多数のクリエイターを一気に輩出した黄金時代がありましたね。『ぼくたちのリメイク』でも、優秀なクリエイターたちが奇跡的に同学年に集中する「プラチナ世代」が重要な要素となっていますが、実際にそのムーブメントは体験されたのでしょうか。

木緒「私がちょうど2年生の頃でした。熊切さんが卒業制作の課題『鬼畜大宴会』(※2)で学生映画の登竜門であるPFF(第20回ぴあフィルムフェスティバル)の準グランプリを受賞したんです。当時PFFといえば『次は商業映画か?』というほどの栄誉ある賞でしたから、『二つ上に、すごい先輩がいるぞ!』と大騒ぎになって。ほかにも『二十歳の微熱』の橋口亮輔監督ですとか、のちにメジャーになる監督が僕たちのすぐ上にいました。それは誇りだったし刺激だったし、でも『同じ学科で学んでいるのに自分は冴えないなあ』なんて凹みもしました」

(※1)熊切和嘉(くまきりかずよし)監督……数々の映画賞を受賞した『海炭市叙景』をはじめ世界的に評価が高い映画監督。のちにハリウッドデビューを果たす菊地凛子、加瀬亮の初主演作はいずれも熊切監督作品。大学卒業制作『鬼畜大宴会』は学生の卒業課題ながら異例の劇場公開作品となり、ロングランヒットを記録(過激な内容だったためR18指定に)。さらにタオルミナ国際映画祭でグランプリを受賞。メジャーへの足掛かりとなった。

(※2)『鬼畜大宴会』……連合赤軍のリンチ殺人をスプラッター映画として描写。往時は教授だった映画監督の中島貞夫は脚本を読んで「本当にこれを撮るつもりか」と驚いたという。映画監督の山下敦弘、カメラマンの近藤龍人、脚本家の宇治田隆史や向井康介ら参加スタッフがのちに邦画界を背負って立つプロとして活躍していることから、黄金時代の象徴的作品と謳われる。『ぼくたちのリメイク』でも伝説の映画として描かれている。

――血まみれの卒業課題『鬼畜大宴会』はキャンパスで撮影されたらしいですね。

木緒「私の同期にも熊切組の手伝いに行った学生がいて、みんな瞳をキラキラさせて戻ってくるんです。『すごいわ、あそこ』『弾着がばんばん鳴ってるし、血がバケツで飛び散ってるし』と。学生映画らしからぬレベルの高さを見せつけられたし、手伝いに呼ばれた同期の学生に対する嫉妬心も正直ありましたね」

――この作品は、現在も活躍しているバンド「赤犬」(※3)が音楽をやっています。赤犬の演奏は実際にご覧になりましたか。

木緒「もちろん観ました。学園祭のメイン会場にメンバーがオープンカーで乗りつけてきて、うわーって盛り上がった。学園祭ライブの光景は、『ぼくたちのリメイク』の小暮奈々子が歌うシーンを書くうえで、とても参考になりました。そんなふうに在学中はちょうど先輩たちの活躍が華々しかった時期。私たちはそれを間近で見られた世代でしたね」

(※3)「赤犬」(あかいぬ)……1993年に大阪芸術大学の学生を中心に結成された歌謡色が強い大所帯バンド。現在も活動中。渋谷すばるが初主演した映画『味園ユニバース』は赤犬がストーリーの中心となり、メンバーは本人役で出演する。

大学時代に学んだ「自分で道を切り拓く」覚悟

――木緒さんは大阪芸大で学んだことは、いまの仕事に役立っていますか。

木緒「ものすごく活かされています。『自分を作ってくれた大学だな』って感じます。そうでなければ、そもそも母校を舞台にした小説は書かないです」

――大阪芸大で学び得た大事なものを挙げるとするならば、なんでしょう。

木緒『自主性』ですね。自分一人で道を切り拓いていく、自分自身をプロデュースしてゆく、そういう校風が大阪芸大の大きな特色だと感じます。正直に言うと、企業人であるとか、団体の中に属して何かをするのは、みんなあんまり向いていない。独立傾向がすごく強い。在学中からフリーランスとして活動したり、卒業後に会社を自分で起ち上げたり。そのような気風が、すぐれたクリエイターをたくさん輩出するという成果に結実しているのだと思います。みんな、実にたくましいです」

『アイデアがあれば、必ず困難に打ち克てる』

――悩みながら難局に立ち向かってゆく大学生たちの姿を描いたアニメ版『ぼくたちのリメイク』が、奇しくも新型コロナウイルス禍の年に放送されます。キャンパスへの通学すら容易ではない現役の大学生たちに、何かアドバイスはありますか。

木緒「現在の学生さんたちがいかに困っているかを察するにあまりあり、言葉が見つからないのが正直なところです。けれども『ピンチはチャンスにもなる』。私自身が氷河期世代で、景気や時流に左右される仕事を長くやってきましたが、『アイデアがあれば、必ず困難に打ち克てる』、そう信じていたからこそ打開できた場面は幾度もありました。リモートだからできない、ではなく、リモートという制限された状況を使っておもしろいことをやろうという気持ちで挑めば、ハードな局面を乗り切れたり、新しい発想を生み出すことができるかもしれません」

――あがきながらも少しでもよい方向へ歩もうとする登場人物たちの姿は、観る人に勇気を与えてくれると思います。

木緒「そうなればいいですね。『ぼくたちのリメイク』という作品を通じて、『考え抜けば乗り切れる』『失敗してもやり直せる』という気持ちを伝えたいです」 

――ありがとうございます。いいお話をお聴きかせいただいた最後の最後にもう一つ、訊きにくい質問なのですが……主人公の橋場がタイムスリップするきっかけが「勤務していたゲーム会社の倒産」でした。社長の放漫経営が原因でしたが、ゲーム業界には実際にああいった事例はあるのでしょうか。

木緒「社長が借金の取り立て人に連れ去られる描写は、私が美少女ゲーム業界にいたときに『ヒドイな』と感じたエピソードをかき集めたものなんです。いろんな『やらかした』ケースがあって、それを一人の男性に集約させました。だから現実味があるみたいで、読んでくれた友人から『これ、あそこの社長がモデル?』と訊かれたこともあります。でも、あくまでエンタメとして面白く脚色していて、実在する人物がモデルではないです。実際には、あそこまでヤバい経営者はいない……いないはずだと信じています」 

アニメ第一話は7月3日放送スタート、原作最新刊は7月21日発売

この夏一番の話題作『ぼくたちのリメイク』は7月3日午後10時よりTOKYO MXにて放送スタート。ほかサンテレビ、KBS京都、BS日テレ、動画配信サービスにて順次放送。さらに、アニメ原作のMF文庫J最新刊『ぼくたちのリメイク9 怪物のはじまり』は7月21日発売予定。まだ、やりなおせるかもしれない。これからの人生を、変えられるかもしれない。新たな挑戦へ背中を押してくれる、元気になれるアニメです!

アニメ『ぼくたちのリメイク』公式サイト

KADOKAWA MF文庫J『ぼくたちのリメイク』公式サイト

新垣結衣に妊娠の兆候?『ドラゴン桜』に “ちょいポチャ” 出演、星野源は意味深発言で近日中にも発表あるか

世間をあっと驚かせた女優・新垣結衣(33)と歌手で俳優の星野源(40)の電撃婚。今年1月に放送されたドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)では新垣演じるみくりが妊娠&出産する姿が描かれたが、それが現実になる可能性が出てきたかもしれない。

『ドラゴン桜』で発覚?新垣結衣に妊娠の兆候か

俳優・阿部寛(57)主演のドラマ『ドラゴン桜』(TBS系)の最終回にサプライズ登場した新垣。同ドラマでは前シリーズに出演した紗栄子(34)や小池徹平(35)、中尾明慶(32)が登場。さらに不可能と思われていた山下智久(36)まで声のみで出演するなど、ドラマファンを歓喜させた。

最終回放送前に一部週刊誌が新垣の出演情報をスクープしてしまったため、サプライズ感はやや減少したものの、そこは新婚ホヤホヤで話題性十分の新垣。ドラマが放送されると、SNSは“ガッキー祭り”と化した。

そんな中、一部のファンたちから、「ちょっぴり太ったかな」「もしかして妊娠?」などの声が…

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ドラマを見てみると、確かに新垣は少しふっくらした顔つきとなり、いくらか太ったようにも見える。

新垣といえばシャープな輪郭でほっそりとした顔立ちが特徴的だが、やや丸みを帯び、特に笑った時の表情が以前の印象と異なる。

これだけで新垣が妊娠したとは断定できないものの、あれだけスレンダーだった新垣が結婚を機に太ったとすれば、妊娠説が出てしまってもおかしくはないだろう。

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妻を“結衣ちゃん”と呼ぶ星野源は意味深発言

一方、夫の星野源は6月30日に放送されたトーク番組『あちこちオードリー ~春日の店あいてますよ?~』(テレビ東京系)にゲスト出演。

新垣との新婚トークはタブーかと思われたが、MCの若林正恭(42)が絶妙な言い回しで、星野から新垣との結婚生活について引き出した。

若林は「一人暮らし長いじゃないですか?一緒にご飯食べてる時、感動しません?奥様と」とさりげなく質問。すると星野は「結衣ちゃんと。はい。そうですね、感動します。すごく感動します」とサラリと答えた。

これに対し、視聴者は騒然。まず、星野が“結衣ちゃん”と言ったことに驚いたようだ。

さらに星野は「ご飯食べてる時に今日あったことを話したりとか。相談でも今後一生一緒にいるって決めた相手だから、全部言えるじゃないですか。心の底から『これどう思う?』って相談する時間を、たとえば深夜の1時とかにお茶とか飲みながらできるのはすごく感動しますよね」とコメント。

これほど星野が具体的に新垣との新婚生活を語ったことはなく、2人の様子が垣間見れる貴重なトークとなった。

また、星野は新垣と同居はしておらず、互いの家を行き来している状態であることも明かしている。

新婚なんだから仲が良いのは当たり前と思う人もいるが、星野の発言を聞いている限り、何でもない日常に喜びを感じられる2人の結婚生活は順調のようだ。

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現在星野は40歳、新垣が33歳と年齢的にみれば、子供のことを考えてもなんらおかしくはない。新垣の妊娠説もあながちない話ではないだろう。

今こそ学ぶべき渋沢栄一の「日本型資本主義」そこに隠された本当の意味とは?

「日本資本主義の父」といえば、現在放送中のNHK大河ドラマ『青天を衝け』の主人公・渋沢栄一です。そんな渋澤が提唱してきた“日本型資本主義”が最近見直され始めているといいます。なぜそのような風潮になってきたのでしょうか?渋沢栄一の子孫で、世界の金融の舞台で活躍する渋澤健さんが解説していきます。

プロフィール:渋澤 健(しぶさわ・けん)
国際関係の財団法人から米国でMBAを得て金融業界へ転身。外資系金融機関で日本国債や為替オプションのディーリング、株式デリバティブのセールズ業務に携わり、米大手ヘッジファンドの日本代表を務める。2001年に独立。2007年にコモンズ(株)を設立し、2008年にコモンズ投信会長に着任。日本の資本主義の父・渋沢栄一5代目子孫。

日本型資本主義を壊す「日銀ETF問題」

謹啓 ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

最近、「日本型資本主義」や「新しい資本主義」への関心が政界でも高まっていて、国会議員の勉強会などの講師としてお招きいただいています。様々な側面で時代が激変する現代において、150年程前の激動の時代に資本主義を通じて未来を拓いた渋沢栄一の思想を勉強したいという考えが経済界だけでなく、政界でも広まっていることに時代の潮流を感じます。

しかし現在、資本主義は「格差を生む」「環境を破壊する」悪であるという考えを抱く若者世代が少なくありません。

特に感化されやすい若い時期に2011年3月11日の東日本大震災および福島原発事故を体験し、「日本の社会システムが壊れている」と感じた世代が、今は30代になってきています。

どの世代も豊かな生活や社会を望んでいますが、資本主義でそのような未来を描くことへの失望が特に多い世代なのかもしれません。

「日本資本主義の父」は「一滴一滴が大河になる」ことで日本の豊かな社会が実現する未来を描きました。それぞれが未来に希望を抱き、一滴一滴の金銭的資本、人的資本を合わせる「合本」によって、より良い明日をみんなでつくること。

これが、「日本型資本主義」の原点であり、そこに回帰し「日本発資本主義」として世界に提示することで、失望を希望へと再び転換するためには、まず「壊れている」ところから直すべきでしょう。

日本型資本主義が最も顕著に「壊れている」ところは日本銀行の株式ETF(上場投資信託)買いではないでしょうか。

先進国の中央銀行が間接的にも株式を保有することに2013年から違和感を抱いていましたが、当時の一般的な意識は「株が上がれば良いんじゃない」というものでした。

アベノミクスへの期待が高く、その主たる「矢」であった日銀の「バズーカ砲」に異議を問いかけることすらタブーであったかもしれません。

GPIFは株式市場の「クジラ」かもしれませんが、日銀のETF買いは異質です。2016年に公開された映画にかけて、人為的に生まれた異次元な「シン・ゴジラ」とでも呼びましょうか。

けれども「出口なき」状態が長年続き現在に至り、日本銀行はGPIFを超えて、(間接的に)日本企業の最大な株主になっています。

株主は企業へガバナンスを行使することが必然ですが、その最大株主が「国」になる日本型資本主義では問題となります。

また、国の中央銀行のバランスシートに莫大なリスク資産を抱えている状態で予期せぬ大ショックが起こり、歯止めが効かない市場の大暴落が起こった時、どのようなリスク・シナリオが考えられるのか。

日本銀行の純資産(2020年9月末)は4.2兆円です。一方、株式ETFだけでも(同)簿価ベースで34.2兆円を保有していて、現在の時価総額ベースでは45兆円から50兆円程度で推移していると思います。自己資本と比べて8倍?12倍の超高レバレッジです。私は90年代後半に大手のヘッジファンドに勤めていましたが、株式というリスク資産をヘッジ無しで、これほどレバレッジをかけているファンド(で破綻していないところ)は聞いたことがありません。

もちろん政府機関である日銀はヘッジファンドや企業とは異なります。資産が痛んでも政府が借金を増やして資本注入すればすみます。

ただ、通貨の番人であるはずの中央銀行に資本注入が必要となるシナリオにおいて、通貨の価値はどうなるのか。著しく価値を棄損するはずです。エネルギーや食糧を輸入している国の通貨が大暴落したら、物価急上昇に賃金上昇が全くついていけず、国民生活が困窮に陥ることは明らかです。

「情報収集」に時間をとられて仕事が進まん!30万部ベストセラー著者が編み出した解決法は?

30万部のベストセラー『ゼロ秒思考』など22冊の著書があり、年間100回のセミナーで数々の悩み相談を受けてきた、ブレークスルーパートナーズ株式会社マネージングディレクターの赤羽雄二さん。この『ゼロ秒思考』とは、米大手コンサル企業「マッキンゼー」で14年間、その後も多くの企業・個人を支援してきた赤羽さんが独自に生み出した『「A4メモ書き」によって思考と感情の「言語化」をトレーニングすることで誰でも確実に頭がよくなり心も鍛えられる』という思考法です。「A4メモ書き」とは、赤羽さんが考案したA4用紙を横置きにして左上にタイトル、右上に日付、本文を4~6行、各20字前後を1分で書き上げることで“もやもや”が消えていくという方法を使用した、画期的なストレス軽減策。その赤羽さんが発行するメルマガ『『ゼロ秒思考』赤羽雄二の「成長を加速する人生相談」』では、「情報収集をすることに時間をとられすぎて本来の仕事に集中できず、資料をまとめることができない」というお悩みに回答しています。『ゼロ秒思考』の赤羽さんが、この疑問に導き出した“答え”とは?

※本記事は有料メルマガ『『ゼロ秒思考』赤羽雄二の「成長を加速する人生相談」』2021年6月28日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

 

情報収集に時間ばかりとられて、資料をまとめることができません

Question

shitumon

Googleアラートなどで情報収集することはわかりましたが、今度は読みたい記事が多すぎて、本来の仕事に集中できません。どうしたら、必要な情報収集をしつつ、アウトプットを出すことができるでしょうか。上司がやや微妙な顔をしてこちらを見ています。

赤羽さんからの回答

よく聞かれるご質問です。普段からご自身のお仕事、関連業務、関心領域などに関して30~50のキーワードをGoogleアラートに登録して毎朝毎晩30分は記事を読むことをお勧めしています。

その上で、あるプロジェクトにアサインされた場合、次のステップを踏めば、おっしゃられるような問題点はほぼ解消すると思います。

  1. 課題について10個程度記事を読み、詳しい人2、3人に15分ずつでも話を聞く。これで全体像がおおよそ見えてくる。
  2. 期待されるアウトプットがパワーポイントで何ページ程度のものなのか、どういう内容をカバーすべきか、どのくらいのレベルまで踏み込むべきなのか、上司あるいはプロジェクトリーダーに確認する。その際、口頭ではなく、1ページに箇条書きにして確認する
  3. それをもとに、最初にまずアウトプットイメージを作成する。20ページと言われたら表紙、目次、各章のトップページ、各章の説明ページなど、実際に20ページざっと書く(最初は1時間ほどかかるが、慣れると30分程度でできるようになる)
  4. 手書きでいったんできたら、すぐパワーポイント化する。内容はスカスカなので、慣れれば20~30分かからずにできる
  5. これでかなりイメージが湧いているので、関連の記事を20~30読む。良記事があれば、その著者のバックナンバーなども読む。特に大事と思われる記事はまず印刷し、印刷後に黄色のラインマーカーなどで線を引きながら読む(一度画面で読んでから印刷すると、新鮮な気持ちでもう一度読むのがむずかしい)
  6.  記事の中の使える図などはすぐにコピペしてパワーポイントの該当ページに貼る
  7.  記事を読んで埋められるページからどんどん埋めていく
  8.  情報不足を感じたら、また検索して記事を探す(最小限)
  9. パワーポイントがほぼ埋まったら、全体メッセージを何度も見直す

つまり、情報収集に先んじて、アウトプットを明確にし、それを仕上げるために情報収集をする、というように主従を変えることです。目的なしの情報収集には無駄が多すぎますので。

(メルマガ『『ゼロ秒思考』赤羽雄二の「成長を加速する人生相談」』2021年6月28日号より一部抜粋。全文はメルマガ『『ゼロ秒思考』赤羽雄二の「成長を加速する人生相談」』を購読するとお読みいただけます)

 

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2021年6月配信分
  • 2021年6月28日号「情報収集に時間ばかりとられて、資料をまとめることができません」(6/28)
  • 2021年6月21日号「仕事が忙しくて彼女の話を聞けずにいたら、振られてしまいました」(6/21)
  • 2021年6月14日号(6/14)
  • 2021年6月7日号/創刊号「お世話になっている先輩が上司や同僚の悪口を言うのでストレスです」(6/7)

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大臣を辞めて横浜市長選へ出馬の異常。小此木氏の背後に“ハマのドン”と菅首相の影

6月末に突如国家公安委員長の職を辞し、8月に投開票が行われる横浜市長選に「IR誘致反対」を公約に掲げ出馬する意向を表明した小此木八郎氏。菅首相の側近中の側近と言われる小此木氏が、首相の肝いりのIR誘致に否定的な立場を明らかにした裏にはどのような事情があるのでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、「小此木氏が菅首相に反旗を翻した」との見方を否定するとともに、現職の林文子市長に代え、小此木氏を横浜市のトップに推す決断を下した菅首相の思惑を推測し解説。その上で、壮大な「出来レース」が繰り広げられている可能性を示唆しています。

 

【関連】「ハマのドン」激怒。横浜のカジノ誘致を強要した「黒幕」の正体

大臣を辞め横浜市長選に出馬する小此木八郎氏の事情とは

国家公安委員長は大臣がつとめ、警察庁を管理する重職だ。ことに現下、迫りくる東京五輪の警備を担い、その準備に追われているはずである。

しかるに、現職の国家公安委員長たる小此木八郎氏は、閣僚と国会議員の地位をかなぐり捨てて、横浜市長選に立候補すると言い出し、辞任した。自身の政治判断だという。

どういうことか。日本の市区町村トップ、378万人もの人口を誇る政令指定都市、横浜。その市長は、政治家の主観的なランクでは、国家公安委員長を上まわっているかもしれないが、あまりにも大臣の立場が軽んじられてはいないか。

決断の背後に、“影の横浜市長”といわれてきた菅首相がいるのは明らかである。「側近を失う菅義偉首相は痛手だ」(時事ドットコム)とか、小此木氏が菅首相に反旗を翻したとか報じるメディアもあるが、そんなことはあるまい。お互い、十分話し合ったうえでのことだろう。

小此木氏の父、彦三郎氏の秘書から横浜市議となり実力政治家への扉を開いた菅首相にとって、16歳年下の八郎氏は子供のころから知る弟のような存在だ。

現職の林文子市長は、菅首相の意をくんで、カジノを含むIR(統合型リゾート)の実現をめざしており、世論調査では市民の大多数がカジノに反対していることもあって、林氏が出馬しても勝てる見込みが薄いとみられている。

そこで、自民党神奈川県連会長でもある小此木八郎氏が担ぎ出されたというわけなのだが、だからといって小此木氏が林市長と違うところは何もない。

「私の最初の仕事はIRの誘致を取りやめることであります」。

6月25日の出馬会見で、小此木氏は早くも横浜市長になったかのように言ったが、実はカジノ推進派なのである。「IR自体は賛成だが、横浜では信頼が得られず、環境が整っていない」とも語り、環境さえ整えば姿勢転換もありうることを示唆した。選挙に勝つため、ひとまず「カジノ反対」を唱える。林氏と同じ姑息なやり方だ。

林氏は2017年の選挙でIR誘致の白紙化を掲げた。しかしそれは、IRが争点になることを避けるためにすぎず、当選から2年を経た19年8月には案の定、IRの誘致に乗り出した。この公約破りが市民の反発を呼び、不人気のもとになった。

林市長をそうさせたのも、そもそも菅首相のせいだ。安倍前首相が最高顧問を務めていた超党派のIR議連が、カジノ法案を国会に提出したのは2013年。その翌夏、当時の菅官房長官は夜の会合で、「候補地はお台場が有力なんですか」という政界関係者の問いに、「お台場は土地が狭すぎる。横浜ならできるんだよ」と語っていた。当然そのころまでには、林市長に考えを伝えていたはずだ。

実際、林市長が「IR導入は横浜の持続的成長に必要」とカジノ推進の姿勢を明確にしたのは2014年ごろからだ。

 

反体制派の中国人を同胞が暴行。海外にスパイを送る中国共産党の卑劣

監視社会として知られる中国ですが、その「網」は国内のみならず他の民主国家にまで広げられているようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、中国当局による自国留学生を利用した、海外在住の反体制派中国人や香港人への暴行脅迫の実態を紹介。その上で、中国共産党の監視強化は他国の民主主義や学問の自由を脅かす存在であると警告しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2021年6月30日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

 

【中国】民主国家に滞在する中国人の口封じのため暴力恫喝する中国共産党

人權觀察:中國政府持續騷擾恫嚇澳洲中國學生 致廣泛自我審査(ヒューマン・ライツ・ウォッチ:中国政府によるオーストラリアの中国人学生に対する脅迫で自己検閲が蔓延)

6月30日で、中国政府が香港への国家安全維持法を成立させてから1年が経ちます。また、7月1日には中国共産党100周年を迎えますが、党の功績を強調するプロパガンダ番組がさかんに流され、さまざまな式典が行われています。

そうしたなか、国際的な人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチは6月29日、オーストラリアの中国人学生が中国政府から嫌がらせや脅しをかけられ、自己検閲せざるを得ない状況に追い込まれているというレポート「They don’t Understand the Fear We Have」(彼らは我々の恐れを理解していない)を発表しました。

オーストラリアには香港返還時に多くの香港人が移住しました。また、その後も中国から投資移民が入り込み、いまや中国系オーストラリア人は人口の3.9%にまでなっています。

豪、多文化主義の危機(中国化進む世界)

そのため、オーストラリアの政治が、中国共産党の指令を受けた中国系移民によって乗っ取られてしまうのではないかという懸念が広がっていました。もっとも、中国系といっても多様で、香港系移民などは、中国人留学生に民主主義や言論の自由を教えようという市民団体もあります。

オーストラリアの大学には現在16万人の中国人学生が通っていますが、ヒューマン・ライツ・ウオッチのレポートでは、民主主義を支持する香港系や中国人学生が、同じ中国人同級生から暴力を振るわれたり、さまざまな脅迫、中国当局へ通報されるといったケースが相次いでおり、香港の民主化を支持するデモに参加したことで、中国人クラスメートから標的にされることも起こっているとしています。

海外の中国人留学生や学者がスパイ活動を行っていることはよく知られています。トランプ政権では、中国人留学生の審査厳格化を行い、入国を制限しました。

アメリカの「中国人留学生外し」が示す深い確執

そして彼らは、他の中国人留学生や香港人留学生、そして移民に対するスパイでもあるのです。民主主義や言論の自由を支持し、中国政府を批判する中国人や香港人、中国系移民に対して、さまざまな嫌がらせや脅迫を行い、口をつぐませようとしているわけです。

中国に親族がいる中国人は、親兄弟などに危害が及ばないかを心配し、自己検閲でものを言えなくなるケースが増えていると、レポートでは論じています。

 

「観光は不要不急?」悩むホテルマン志望の若者に助言すべきこと

長引くコロナ禍のため、目指し憧れていた職業に疑念を生じさせ悩む若者が多くいます。周囲で見守る大人も同様に悩み、旅行や観光が「不要不急」とされるいま、ホテルマンになりたがっている甥にどのようなアドバイスをしたらいいのか、『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』の著者で人気コンサルの永江一石さんに助言を求めてきました。永江さんは、観光業だから、ホテルだから「不要不急」とは限らないと回答。まずは、その仕事に憧れ、やりがいを感じる源泉から確認し、答えに見合った導き方をすべきと伝えています。

ホテルマン志望の甥にどのようなアドバイスをすべきか

Question

shitumon

お疲れ様です。いつもTwitter無双、拝読しています。高3の甥の将来の夢はホテルマンですが「不要不急と最初に言われる業種よりも、新型コロナウイルスや震災の影響を受けないような業種にした方がいいのか?」と悩んでいるようです。

小さい頃からの夢ですので永江さんのようにデータや需要を用いて希望の持てる話をしてあげたいのですが(そして彼も面接でアイデアを言えるようになって欲しい)。

  • 高齢者&健康に気を使う人への糖質制限メニューを増やす
  • ジャングルクルーズのような名物スタッフを育成し、ツアー(観光、アウトドア、夏場は怪談や肝試しがあってもいいかも)をサービスに加える
  • 海外の方向けに習字の体験からTシャツ(浅草のお土産屋さんにありそうなもの)にしてくれるサービス。他にもお年玉(現金NGならホテル内の商品券など)など、日本の子供がしてもらう日本の習慣をサービスに入れてみる

「これだ!」という境地に辿りつきません。「諦める前にホテルのこれから、こんな考え方もあるよ」というアドバイスをいただけましたら幸いです。宜しくお願い申し上げます。

永江さんからの回答

まず、甥っ子さんがどうしてホテルマンになりたいのか、何にやりがいを感じるのかをよく考えてもらうことが先だと思います。

まずホテルだから「不要不急」と括ってしまうのが間違いで、ホテルだって必死に仕事して休暇のリラックスやレジャーを求めている利用者や、かけがえのない家族の思い出になるような滞在をしたい人にとって断じて不要なものではありません。役所でダラダラと公務したり、立法もしないのに国会に通っている議員よりよっぽど必要です。

観光業だから不要不急→不要不急だから就職できない、なんて考えたら、民間企業ではライフラインに関連する会社にしか就職できなくなってしまいます。実際、星野リゾートは今でも満室が続いています。確たる価値を提供しているホテルをユーザーは不要と思っていないんです。

また、ホテルの企画や旅行体験のアイデアですが、甥っ子さんがやりたいのが現場のホテルマンだとしたら、ぶっちゃけそれほど求められていないし面接でも重視されないと思います。ホテルマンに求められるのは目の前のお客さんを接客してサービスに満足してもらうことで、事業やサービス企画をするのは現場ではなく経営や企画です。もし企画をやりたいなら、ホテル専門のコンサル会社や旅行代理店、ホテルでも経営企画の部署に進む方が現実的で、それなら良い大学に行った方が近道になります。

甥っ子さんと話すなら、甥っ子さんがホテルマンになりたいのは目の前の人に喜んでもらいたいのか、自分が企画した旅行体験を楽しんでもらえるのが嬉しいと思えそうなのか、何が自身のやりがいになるのか一緒に考える方が、将来の進路選択のためになるはず。
仮に目の前の顧客の満足を高めたいホスピタリシティ思考→現業のホテルマン
自分の考えた企画で集客したい企画思考→企画職、旅行代理店、ホテル経営コンサル会社

以前、若者が進路選択を考えるにあたって考えるべきことをブログに書いたので参考までにご一読ください。
自分に向いてる仕事を探すシミュレーション的思考について – More Access! More Fun

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周りの声を「聞きすぎる」人は、いつまで経っても成長などしない

いくつもの企業のコンサルティングを担当し、改善のアドバイスをおこなってきた人気コンサルタントの中久保浩平さん。そんな中久保さんは「周りの声に惑わされやすい人は成長しない」と断言。その理由はなぜか、自身の無料メルマガ『ビジネス真実践』で明かしています。

ブレない人が生き残る あなたは大丈夫?

「周りのみんなが反対するから、自分も」「業界ではこれが常識だから、この方が無難だ」とか、「ライバル店もやってるから、うちでもやってみるか」などと自分の意思を持たずに判断や決断をしたり、周りの意見や声が気になって仕方がないという人のほとんどが「ブレる」人です。

こういう人のビジネススキルや成長は難しいものがあります。こういう経営者の会社は伸びませんし、そこで働く人も育ちません。

  • まわりが反対するから、止めておこう
  • まわりがこんなことをやってるから、うちでもやることにしよう
  • みんながそういうなら、そうしよう

そんな判断基準しかないということは、言い換えれば、自分で決断することから逃げている状態。責任感が希薄しているか、あるいは全く無いので、いつまで経っても楽な方へ逃げたがります。

コンサルタントの現場でも過去にそういったことがありました。

ある専門飲食店の業績が悪化していたのでメニューを拝見すると、○○が専門なのに、もう何屋さんか分からないくらいのメニューになっていたので、「メニューにある、これと、これとこれ、を止めてください」と提言すると、「えっ、そんなに?それじゃ90%は要らないってことじゃないですか」「そうですよ、だって、これじゃ何屋さんか分からないじゃないですか」「…分かりました。料理長と話し合います」。

結局、返ってきた返事は、厨房スタッフみんなに反対されて現状のメニューを減らすことはしないということでした。その数ヵ月後、このお店は静かに閉店しました。