帳簿だけ見ていると気が付かない「簿外負債3兄弟」はドコにいる?

中小企業のM&A時に発覚する主要な「簿外負債」。これを無料メルマガ『税金を払う人・もらう人』。今回は著者の現役税理士・今村仁さんが、以前のヒット曲になぞらえて「簿外負債3兄弟」と命名しました。いったいどんなものか、その内容を解説しています。

簿外負債3兄弟

■だんご3兄弟

「だんご3兄弟」は、NHK教育テレビの『おかあさんといっしょ』のオリジナルナンバーとして発表されました。

タンゴのリズムで、串だんごのキャラクターが印象的ですが、1999年発表ですので、25年前になるんですね。

もちろんですが、タンゴとだんごは掛かっています、作ったのは今も有名な佐藤雅彦さんです。

■簿外負債3兄弟

これを文字って勝手に命名した「簿外負債3兄弟」とは、下記です。

1.退職金負債

2.未払残業代負債

3.社会保険未加入負債

どれも人にまつわる負債と結果的になっていますが、中小企業のM&Aで最終契約前に行う、買い手による売り手会社を対象とした「財務調査(デューデリジェンス=DD)」時に発覚する主要な簿外負債となっています。

因みに、簿外負債の簿外というのは、帳簿の外という意味ですから、売手の財務諸表には載っていないけれど現時点で既に存在している負債のことを簿外負債といいます。

■3兄弟の中身

簿外3兄弟をそれぞれ説明します。

まずは、退職金負債とは、M&A時に全従業員が退職すると仮定して、その時点で発生している売り手会社にとっての退職金債務のことです。

次に、未払残業代負債とは、過去適正な残業単価で分単位にて残業代を支払っていれば、特に問題ないのですが、そうでない場合には、最大過去3年間の支払い義務が売り手会社に残りますので、その負債のことです。

最後に、社会保険に入るべき人をきちんと加入させていれば、こちらも問題ないのですが、そうでない場合に、過去2年分を買い手がいずれ払わないといけない可能性があるため、その負債のことです。

M&A時には、簿外負債に留意しましょう。

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シイタケにしか入っていない唯一の成分“エリタデニン”がスゴイ?

椎茸には意外な健康効果があること、知っていましたか? 今回の無料メルマガ『美容と健康ひとくちメモ』では、その栄養を体に取り入れられる食べ方を紹介しています。

栄養の宝庫「シイタケ水」

椎茸には、この食材にしかないエリタデニンという成分が含まれ、血液中のコレステロールを減らして、動脈硬化を予防する働きがあるそう。

生の椎茸、干椎茸、どちらからも摂取することができるそうですが、その成分が濃縮しているのが、干椎茸の戻し汁なのだそうで、エリタデニンがたくさん溶け出して、栄養の宝庫らしいです。

「シイタケ水」として飲むとよいそうですが、飲みにくいという方は、料理のだしにしたり、お湯で割って、梅や自分の好きなものを入れて楽しんでも良いらしいです。

また椎茸には、エルゴステロールという紫外線(太陽光)に当たるとビタミンDに変わる成分や食物繊維、ビタミンB1・B2、カリウム・亜鉛・鉄などのミネラル成分もバランス良く含まれ、しかも低カロリー。

椎茸は健康に、ダイエットに効果的な食材といえそうですね。

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最も多いケースは「不安」の意外。瞑想の“副作用”に関する調査を実施した結果…

忙しない日々を過ごす人たちの中に、ヨガなど「瞑想」を取り入れる人が増えているそうです。特に欧米では、教室に通いさまざまなメディテーションを実践する人が多いと耳にします。しかし、期待している効果とは真逆とも言える「副作用」を感じる人もいるのだとか。今回のもりさわメンタルクリニックの無料メルマガ『精神医学論文マガジン』では、瞑想の副作用に関して調査した欧米での研究結果を紹介。実践方法で頻度も程度も差があるものの、「副作用」の可能性を考え、自分に合う方法を見極めた方がいいと伝えています。

瞑想の副作用について

◎要約:『瞑想で不安などの副作用が出現することもあるが、実践の方法によっても頻度に差があり、出現したとしても多くは一時的で軽度である』

マインドフルネスやボディ・アウェアネス(身体意識)を重視する方法等、方法として瞑想を取り入れている実践が多く存在します。今回は、瞑想の副作用について調べた研究をご紹介します。

求めていない影響:瞑想には悪影響があるか?
Unwanted effects: Is there a negative side of meditation? A multicentre survey

英語、スペイン語、ポルトガル語を含む多くのウェブサイトで、瞑想についての調査を行い、342人の参加がありましたが、今回の調査では副作用について報告した87人が分析の対象となりました。

実践のタイプとして、ボディ・スキャン(身体感覚重視)、フォーカス・アテンション(注意集中)、オープン・モニタリング(リラックスした観察)、マントラ(呪文や言葉用いた方法)、ヨガなどが含まれ、副作用についての報告がまとめられました。
結果として、以下の内容が示されました。

  • 参加者のうち、25.4%に副作用を認め、その程度は様々でした。
  • 副作用の症状として不安、疼痛、現実感低下、軽躁、情動変化、視覚焦点の問題、覚醒度の低下、めまい等がありました(最も多かったのは不安で13.8%)。
  • 副作用はほとんどは一時的で、瞑想をやめるほどではなく、医療の援助は必要ないものでした。
  • 副作用を体験する場合で比較的多い条件は、フォーカス・アテンション(注意集中)、20分以上、単独での実践でした。

単独での実践には軽度の副作用も考えられるので、短時間から、自分に合うか見極めながら行うか、指導を受けながら行うほうが、より安全と言えるかもしれません。

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水俣病被害者マイク音オフ問題で露呈した、岸田自民「謙虚さ」も「聞く力」も喪失した深刻な現状

5月1日に行われた水俣病の患者・被害者らと伊藤環境相との懇談の際、被害者の発言中にマイクの電源を切り大きな批判を浴びることとなった環境省。何が彼らをかような「暴挙」に走らせたのでしょうか。今回、毎日新聞で政治部副部長などを務めた経験を持つジャーナリストの尾中 香尚里さんは、謙虚さを失った自民党の姿勢に原因があると指摘。その上で、聞く力を喪失した同党にはもはや「ごく普通の政権運営ができる能力」すら見出すことはできないとの厳しい見方を示しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:環境省の「マイク切る」問題

プロフィール:尾中 香尚里おなか・かおり
ジャーナリスト。1965年、福岡県生まれ。1988年毎日新聞に入社し、政治部で主に野党や国会を中心に取材。政治部副部長、川崎支局長、オピニオングループ編集委員などを経て、2019年9月に退社。新著「安倍晋三と菅直人 非常事態のリーダーシップ」(集英社新書)、共著に「枝野幸男の真価」(毎日新聞出版)。

以前から準備していたシナリオ。何が環境省「水俣病被害者マイク音オフ」問題を招いたか

水俣病の患者・被害者らと伊藤信太郎環境相との懇談の席(1日)で、環境省の職員が被害者の発言中にマイクを切って発言を遮り、1週間後の8日になって伊藤環境相が謝罪に追い込まれた問題が、大きな批判を受けている。マイクオフ自体もさることながら、さらに驚かされたのは、同じ8日の衆院内閣委員会で、環境省が今回の対応について「以前から準備しており、今回初めて発動した」ことを認めたことだった。

今回の問題でまず思い出したのは、前身の環境庁時代の1977年、石原慎太郎環境庁長官が水俣病患者に対し「IQが低いわけですね」などと差別発言し、謝罪に追い込まれたことだったが、あれは多分に石原氏個人の資質の欠如とみることもできた。環境省が「以前から準備していた」のを認めたことで、今回のマイクオフ問題は、より組織的な問題だったことになる。

百歩譲って「官僚が勝手に暴走した」としても、現場にいた伊藤氏は「私はマイクを切ったことについては認識しておりません」と述べ、事務方をたしなめることも、患者側に改めて発言を促すこともせずにその場を立ち去った。こうなるとそれはもう閣僚としての問題だし、岸田文雄首相が伊藤氏の続投を認めたのは、内閣全体の姿勢の問題と言わざるを得ないだろう。この問題を国会で取り上げた立憲民主党の中谷一馬氏は「岸田政権の『聞く力』のなさを体現している」と批判したが、同感だ。

こういう場面に接するたびに思い出してしまうのが、中谷氏の「師匠」でもある菅直人元首相の、民主党政権時代の対応だ。東京電力福島第一原発事故で避難を強いられた住民の避難所を訪ねた時に、避難所を去ろうとした菅氏に被災者から「もう帰るんですか!」と声をかけられた場面である。

この場面は当時から、テレビやネットなどで何度となく繰り返された。「被災者に冷たい首相」のイメージが、これでもかとばかりに喧伝された。現在でもこのイメージを持ったまま、今回の伊藤氏の姿と重ねる人もいるかもしれない。

しかし、このエピソードには「続き」がある。

【関連】ほぼ国民への宣戦布告。岸田自民が導入図る「インチキ連座制」のふざけた正体 日本を欺く集団に #政権交代 の裁き下るか

あくなき性欲が好景気を呼んだ?11代将軍・徳川家斉が江戸にもたらした「イエナリノミクス」の源泉

50年にも渡り将軍の地位を守り、征夷大将軍を退いてからも権力を握り続けた11代将軍・徳川家斉。彼はまた、大奥に入り浸り多くの子供をもうけたことでも知られています。そんな家斉のエピソードを取り上げているのは、時代小説の名手として知られる作家の早見俊さん。早見さんは週刊で配信中の『歴史時代作家 早見俊の無料メルマガ」』で今回、家斉の夜の生活を紹介するとともに、彼のあくなき性欲が江戸に好景気をもたらした可能性を指摘しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:中国の後宮「香妃」非話と将軍・徳川家斉「大奥」秘話

中国の後宮「香妃」非話と将軍・徳川家斉「大奥」秘話

中国の清朝は六代乾隆帝の頃に全盛期を迎えます。乾隆帝は60年皇帝として君臨し、清の領土を最大に広げました。10回の外征全てを成功させ、「十全老人」と自称します。

そんな偉大な皇帝をもてなす為に、満漢全席という中国料理ができました。100品もの御馳走を3日間食べ続けるのです。その食材として重宝されたのが日本から輸出された干し鮑、フカヒレ、煎り海鼠などの俵物でした。

宮廷は贅沢華美でしたが、祖父康熙帝、父雍正帝の頃は質素であったのです。浪費の典型である後宮は清朝の前、明朝時代の1日分で年間の費用を賄ったといわれている程です。それが乾隆帝の頃に守られるはずはありません。

多くの美女を皇帝は侍らせました。その中でも伝説の美女がいます。乾隆帝最後の外征、遊牧国家ジュンガルを滅ぼした時に連れ帰った女性です。彼女はウイグル族の族長の夫人であったのですがジュンガル滅亡の際に夫を亡くしました。

北京で彼女を見た乾隆帝は息を呑みます。美貌に加えて何とも言えぬ甘い香が立ち上っていたからです。一説によると砂ナツメの香だったそうです。

乾隆帝は一目、いや、一嗅ぎ惚れをし、香妃と名づけ、夫を亡くした悲しみから死を願ったにもかかわらず、後宮に入れました。

父や祖父の頃の質素さは何処へやら。乾隆帝は香妃のためにウイグル式の宮殿を建て、アーチ型の屋根をつけたトルコ風呂を設けました。更には香妃の美貌と美匂を保つため、羊の乳で入浴させました。

それでも、香妃は皇帝になびきませんでした。皇帝は香妃の気をひこうと、皇帝と皇后、皇太后しか持っていない鍵まで与えましたが、香妃は心を許しません。乾隆帝は気もそぞろとなり政務も疎かになります。

傾国の美女となった香妃を危ぶみ皇太后が彼女を呼び出します。香妃は夫と一族の仇である乾隆帝を殺そうと短刀を隠し持っていました。皇太后は香妃に自殺を勧めます。香妃は皇太后から貰った毒を仰ぎます。知らせを受けて乾隆帝は飛んで来ましたが、香妃は甘い香を残したまま命絶えていました。

乾隆帝は彼女の絵を眺め続けたそうです。

旧ジャニ事務所はなぜ「キムタクの高身長」に“強気”だったのか?芸能記者が語る木村拓哉“身長サバ読み疑惑”22年目の真実

歌手・俳優の木村拓哉さん(51)に“身長サバ読み疑惑”が再燃しています。主演ドラマ『Believe-君にかける橋-』放送開始をキッカケに再注目される“20年来の謎”。結局のところキムタクは大きいのか、それとも小さいのか?ナマで実物の木村さんを見たこともあるという芸能記者歴30年のベテランジャーナリスト・芋澤貞雄さんの見解は?

ジャニーズ事務所がキムタクの身長に「強気」だった裏事情

『Believe-君にかける橋-』のキャストたちのオフショットが火を点けたのでしょうか、木村拓哉の今さらながらの“身長疑惑”が盛り上っているようですね。

これに便乗!?したのが『週刊女性PRIME』です。今から21年前の2003年、勃発したキムタクの“身長サバ読み疑惑”で、『週刊新潮』がジャニーズ事務所に投げかけた取材の答えを掲載していました。

「何なら測りに来てもらってもいい」

このコメントで、『週刊新潮』の記者がキムタクの元へメジャーを持って直撃しなかったことが残念ではありますが、当時のジャニーズ事務所に対して、そんな勇気のある記者や編集部は皆無でしたから、それを見越しての事務所の開き直りに、今さらながら苦笑いするばかりです。

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木村拓哉“身長サバ読み疑惑”の21年史

最初に“身長サバ読み疑惑”が囁かれた2003年といえば、キムタクが『GOOD LUCK!!』に出演していた年で、このドラマの相手役は柴咲コウ、平均視聴率は驚異の30.6%(ビデオリサーチ社調べ、関東地区)を記録しました。

今でこそ言えますが、当時私がドラマ製作関係者から聞いていたのは“キムタクの相手役選びの基本中の基本条件は女優の身長”という衝撃的な話でした。

“相手役に見下ろされるキスシーンを物凄く嫌がっている…”という。

この話を聞き、『HERO』が松たか子、『ビューティフルライフ』の相手役が常盤貴子だったのもすんなりと理解できたことは、今でも鮮明に記憶しています。

この関係者は当時こんなことも言っていました。

「そもそも事務所が、宣伝材料の資料に176㎝と記したのが疑惑を大騒動にしてしまった原因だよ」と。

少しでも身長を高く見せたいタレントたちには、そのカメラアングルや、ヘアスタイルにかなり高度なテクニックを要する…というのは昔から伝えられている“技”です。

パッと見、わからないようにシークレットブーツを履くとか…。

私の知っている限り、それは芸能人にとどまらず、外見を気にする政治家などにも当てはまる事がままあります。

ただその魔法が解けたとき…シークレットブーツを脱いだとき、気を抜いていると事実を指摘されることもあったりして…。

パーソナル・トレーナーを付けて体重のコントロールをしたり、化粧で肌荒れやシミ、シワ、パーツはカバーできても、いかんせん身長だけは難しいですからね…。

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ナマで見る実物のキムタクは大きかった?小さかった?

私が実際に肉眼でキムタクを見たのは、2019年1月に公開された『マスカレード・ホテル』の収録現場でした。

ロケは公開から1年程前、東京・日本橋蛎殻町にある老舗ホテルを使って行われていました。

私が見かけたキムタクは、ロケ終わりでホテルを後にする時と、自宅に着いて送迎車から降りる時という僅かな時間だけでした。

それでも送迎車の車体や、運転手とのコントラストから“ドラマやテレビからは大きく見えるけど、意外に…”という印象を持ったものです。

当時自宅に張り付いていたカメラマンからもその話は聞いていました。

愛犬の散歩中に一般人とすれ違うと、その人は必ず振り返って確かめる…と。

もちろん「えっ! 今の…えぇ~…もしかしてキムタク?」という印象も含めて。

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全世界が失望。ハマスが受け入れたガザ戦争「停戦案」を突っぱねるネタニヤフ首相が国際社会に突きつけたモノ

仲介国によって示されハマスが受け入れの意思を表明するも、イスラエルが突っぱねたガザ停戦交渉案。もはやこの先、ガザ地区に平穏な日々が訪れることはないのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では元国連紛争調停官の島田さんが、イスラエルとハマスの直接交渉こそが停戦のカギとなるとした上で、その実現可能度について考察。さらに調停の実施にあたり障壁となっている二国の実名を挙げています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題:終わらない戦争と世界の分断‐出口の見えない混乱の時代

またも停戦交渉決裂。イスラエルとハマスの戦いは世界を分断するのか

「ついにイスラエルとハマスの終わりなき戦いにピリオドを打つことが出来るかもしれない」

主張の隔たりが大きく、双方が必要とする条件がとても相容れないものとの理解から、解決のための糸口は見いだせないだろうと思われていた紛争に一筋の“希望の光”が差したのではないかという見解は、ゴールデンウイーク明けのニュースとして伝えられました。

エジプトとカタールによる仲介努力の成果として戦闘停止と人質解放に向けた合意案が、カタールを通じてイスラエルとハマスそれぞれに提示されました。

アメリカのブリンケン国務長官は4月29日に「これはイスラエルによる非常に寛大な提案」とイスラエルを持ち上げ、ハマスに合意を迫り、いくつかの重要な修正が加えられたのち、ハマスは基本的に受け入れる方針を示しました。

最初の楽観的な認識は、その頃、多くの人たちから提示されました。

しかし、結果としてイスラエル政府は強硬姿勢を崩さず、「イスラエルとハマスの提案の間にはまだ大きな隔たりがある」と合意機運を突っぱね、国際社会が考えを改めるようにイスラエルに迫るラファへの作戦を強行しました。

これでまた緊張が高まり、さらにはイスラエルに対する国際社会からの非難も強まりました。

当初、イスラエルが合意可能とした一時休戦期間は40日間で、その間に“無条件に人質全員の開放を行うこと”が条件でしたが、ハマスは恒久停戦に向けた交渉を視野に、42日ずつの3段階に分け、段階ごとに人質解放を実施するというものでした。

この停戦案が示された際、個人的には「これはイスラエル政府的にはひとまず受け入れることが出来るのではないか」と感じましたが、ネタニエフ首相は「これはハマスの体制の立て直しに利用され、結果、さらなる悲劇をイスラエルにもたらすことになる」として、合意しませんでした。

しかし、これまでと違うのはイスラエル交渉団を引き返させるのではなく、そのまま協議が行われているエジプト・カイロに留め、必要に応じて休戦交渉に臨む姿勢を示しています。

このことから、今回、ネタニエフ首相による合意拒否と、国際社会からの非難の強まりを覚悟してでもラファへの侵攻の継続を示唆したのは、ハマスからさらに多くの譲歩を引き出そうという思惑も見え隠れしているように感じます。

個人的には、今回、イスラエルはハマスから寄せられた合意案への返答内容を一旦受け入れ、少なくとも女性や子供、病人などハマスにとらえられている人質の一部を取り戻すことにつなげ、同時に国内各都市で毎週行われる反政府デモを鎮静化させるきっかけを作れたかもしれません。さらには、ガザ地区における人道危機の深刻化に対するイスラエル批判を和らげ、“同盟国”アメリカの顔を立てることもできたかもしれません。

実際にカイロに派遣されているバーンズCIA長官も同様のことを言っていたようですし、国内大学などでパレスチナ支援および反イスラエルデモが繰り広げられ、国論が二分化されていることに危惧を抱く米議会の面々も、従来のイスラエル支持の姿勢に戻ることが出来たかもしれません。

この記事の著者・島田久仁彦さんのメルマガ

日本は今や「デジタル後進国」に。かつて先頭集団にいた我が国はなぜDXで出遅れてしまったのか?

先進国の中で大きく遅れを取っている日本のDX化。政府はその推進を図ろうと2021年にデジタル庁を新設しますが、DX化は遅々として進んでいないというのが現状です。その根本的な原因はどこにあるのでしょうか。今回のメルマガ『『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』~時代の本質を知る力を身につけよう~』では、『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』等の著作で知られる辻野さんが、マイナカードを事例として何が日本のDXを阻害しているかについて解説。DX推進における「意識改革」の重要性を説いています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:DXとは何か:その1「意識改革の重要性」

プロフィール辻野晃一郎つじの・こういちろう
福岡県生まれ新潟県育ち。84年に慶応義塾大学大学院工学研究科を修了しソニーに入社。88年にカリフォルニア工科大学大学院電気工学科を修了。VAIO、デジタルTV、ホームビデオ、パーソナルオーディオ等の事業責任者やカンパニープレジデントを歴任した後、2006年3月にソニーを退社。翌年、グーグルに入社し、グーグル日本法人代表取締役社長を務める。2010年4月にグーグルを退社しアレックス株式会社を創業。現在、同社代表取締役社長。また、2022年6月よりSMBC日興証券社外取締役。

DXとは何か:その1「意識改革の重要性」

「DXとは何か」などとあらためて問い掛けるのも今更感がありますが、ひと頃から、「DX」「デジタルトランスフォーメーション」という言葉が世の中に溢れるようになりました。しかしながら、その本質も正しく理解されないまま、世の中は既に次のステージである「AIX」「AIトランスフォーメーション」の時代に移行している、というのが私の解釈です。

デジタルやAIなどのテクノロジーの動向については、本メルマガでもこれまで何度も取り上げてきましたが、現代の技術革新の本質を正しく理解しておくことは、今を生き、未来に備える上でも非常に重要なことなので、これから何回かに分けて私の解釈をあらためて整理してお伝えすることにしたいと思います。

世の中のデジタルシフトは、もちろん昨日今日始まったわけではありません。古くは、私が在籍したソニーなどが中心になって、1980年代初頭にオーディオの世界にコンパクトディスク(CD)を誕生させましたが、その辺りが本格的なデジタル時代の幕開けだったと言えるかと思います。ただ、この頃はまだ、従来アナログ処理されてきたものがデジタル処理に移行するという単純なデジタイゼーションのレベルでした。

それが本格的なデジタライゼーションやデジタルトランスフォーメーションという形で世の中を大きく変革し始めたのは、言うまでもなくやはりインターネットの登場がきっかけになっています。

もともと、米DARPA(国防高等研究計画局)が開発したARPANETが原型になったインターネットは、1980年代末に民間開放されてから瞬く間に世界の新しいインフラとして普及しました。もちろん、インターネットの進化にも複雑な歴史がありますが、WWW(ワールド・ワイド・ウェブ)が登場し、Ajaxなどのウェブテクノロジーが飛躍的に進化していわゆるWeb2.0といわれる時代になってからは、検索エンジンやSNSなども登場して我々の生活にも仕事にもなくてはならない重要インフラになったと言えます。

我が国も、当初はこの世の中の大きな流れの先頭を走っていたのは間違いないのですが、どういうわけだか、いつの間にか徐々に遅れ始めて、今や「デジタル後進国」などとも呼ばれるようになり、その出遅れは決定的になっています。特に、オープンなネットワークインフラの整備が進んでいわゆるクラウドの時代を迎え、ビジネスモデルにしても営業スタイルにしても業務プロセスにしても、従来のやり方を根本から見直して刷新するという意味でのDXについては、未だに十分な理解や実行が進まず戸惑いすら残っている感があります。

クラウドコンピューティングの時代以前、大型コンピュータの時代やパーソナルコンピューティングの時代には、しっかり世界にキャッチアップし先頭集団にいた日本は何故DXで出遅れてしまったのでしょうか。

この記事の著者・辻野晃一郎さんのメルマガ

中島聡氏も興味津々。ChatGPTに研究論文を添削・執筆させた結果、世界の「暗部」が炙り出されたかもしれない話

ビジネスシーンや日常において、今や当たり前の存在になった人工知能(AI)ですが、思わぬ影響が可視化され始めているようです。「Windows95の父」として知られる日本人エンジニア・中島聡さんのメルマガ『週刊 Life i…

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