【対中国戦略】ソ連冷戦の歴史から日本の取るべき道を学ぶ

『Japan on the Globe-国際派日本人養成講座』2015年3月1日配信号より

■1.共産中国への対処法をソ連崩壊の歴史から学ぶ

共産中国がチベット、ウイグルの人民を弾圧し、土地を奪い、資源を収奪している。同時に南シナ海や東シナ海で海上覇権を狙って、ベトナム、フィリピン、そして日本と摩擦を繰り返している。

アメリカはグアムまで後退するシナリオも考えているようだが、そうなるとわが国は「中国の海」に浮かぶ孤島となり、日本国民を待ち受けているのは、チベット人やウイグル人のような悲惨な運命である。

これが現代日本の直面する最大の問題であるが、これに対する対処法を我々は歴史から学ぶ事ができる。中国がやっている事は、かつてのソ連の勢力拡張と同じである。しかし、日米欧の西側諸国は団結してソ連を崩壊させた。

ソ連がどのように勢力を拡張し、それをいかに西側諸国が打倒したのか、今回はその軌跡を辿ってみよう。

■2.アジアにおける「ドミノ現象」

アジアにおける共産主義陣営の勢力拡張を許したのは、国共内戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争の3つの戦争である。この3つの戦争により、中国大陸から北朝鮮、ベトナム、カンボジア、ラオスまで共産圏の手に落ちた。

一国が共産化すれば、周辺諸国が次々と共産化していく有様は「ドミノ現象」と呼ばれた。まさに一列に並べたドミノ牌が次々と倒れていくように、「ドミノ現象」がアジアでも起こっていた。

国共内戦については弊誌441号「中国をスターリンに献上した男」で詳細に述べた。ソ連スパイの暗躍した当時の民主党政権下で、陸軍参謀総長、国務長官を歴任したジョージ・マーシャルが蒋介石政権への支援を妨害し、中国共産党の勝利を助けたのである。

■3.民主党政権が招き、勝利寸前で投げ出した朝鮮戦争

朝鮮戦争のきっかけは、1950年1月12日、マーシャルの副官で、後任の国務長官となったディーン・アチソンが、「アメリカのアジア地域の防衛線には南朝鮮を含めない」と発言したことだった。

韓国は共産陣営に侵略されてもアメリカは関与しない、というメッセージの5ヶ月後に、北朝鮮が38度線を越えて南侵を開始した。ダグラス・マッカーサー率いる国連軍が反撃して、北朝鮮と中国の国境である鴨緑江まで到達した処で、中国軍が参戦した。

マッカーサーの鴨緑江を越えて戦うという主張で、中国との戦争を恐れたトルーマン大統領は、マッカーサーを解任した。アン・コールター女史の『リベラルたちの背信 アメリカを誤らせた民主党の60年』は、こう述べている。

マッカーサーの解任でアメリカ国民の盛りは爆発した。トルーマンの逃避政策にはうんざりだった。全米各地でトルーマンの人形に火が放たれ、国際港湾労励者組合はマッカーサーの解任に抗議してストライキを決行した。

帰国したマッカーサーがサンフランシスコの空港に降りたつと、空蕗から市街まで沿道を埋めつくした五十万人が、英嘩の帰還を出迎えた。ニューヨーク市では七百万人が紙ふぶき舞う大パレードに参加し、マッカーサーに歓声を送った。第二次大戦後にヨーロッパから帰国したドワイト・アイゼンハワーを迎えた数の二倍もの人出だった。

ギャラップ世論圃査によると、国民の66パーセントがマッカーサー解任に不満だった。
(『リベラルたちの背信 アメリカを誤らせた民主党の60年』より)

結局、民主党のトルーマン政権は、北朝鮮に侵攻の機会を与えて朝鮮戦争を招き、戦争勝利の可能性を自ら放棄して、現在の38度線の膠着状態に戻しただけに終わった。

■4. 民主党政権がベトナム戦争を始め、南ベトナムを献上した

ベトナム戦争を始めたのも民主党政権だった。ケネディ大統領はキューバの解放を目指す反革命軍をピッグス湾に侵攻させたが、米軍による航空支援を自ら禁じたため失敗。

ソ連は報復としてキューバに核を送り、核戦争寸前までいった。キューバ危機は回避できたが、そもそも、この危機はケネディ政権の及び腰のキューバ侵攻が生み出したものだった。

キューバでの汚名を晴らそうと、ケネディは北ベトナムの攻撃にさらされていた南ベトナムに米軍を送り、ベトナム戦争を始めた。ケネディ大統領が暗殺された後、政権を引き継いだジョンソン大統領は、十分な兵力の投入が必要とする軍部の進言を拒否し、限定的な爆撃作戦に固執した。

当時の米国内の世論を、アン・コールター女史はこう述べる。

左派が戦意をそごうと執拗に努力したにもかかわらず、アメリカ国民の大半は一貫してベトナム戦争を支持していた。反戦運動が国を席巻したという神話など、愚の骨頂である。・・・

ベトナムからの撤退直前まで、この戦争に反対するアメリカ人は20パーセントに満たなかった。・・・

ベトナム戦争の指揮のまずさが禍して、ジョンソンの再選運動は始まる前に終わっていた。ニューハンプシャー州の予備選が惨憺(さんたん)たる結果だったため、大統領選から身を引いたのだ。不支持層は支持層の2倍にのぼった。ベトナム戦争にもっと強硬姿勢でのぞむべきだという理由からだった。

ベトナム戦争を「名誉あるかたちで終わらせる」と公約して、政権をとった共和党のニクソン大統領は1973年1月のパリ協定で停戦を実現した。その停戦協定を北ベトナム側が破ったら、アメリカは北への爆撃を再開し、南ベトナムを援助する、という歯止めをニクソン大統領はかけていた。

しかし、同年6月に、ニクソン政権が民主党本部に盗聴装置をしかけたと疑われたウォーターゲート事件が起こり、その渦中で議会側が、爆撃再開には議会の事前承認がいると要求した。この時とばかり北ベトナムは停戦協定を破って数ヶ月のうちに南に侵攻した。

さらに民主党の支配する米議会は南ベトナムへの援助をすべて拒否した。アメリカに見捨てられた南ベトナムは、北ベトナムに征服された。

結局、ベトナム戦争は民主党のケネディ政権が始め、そして民主党の議会が南ベトナムを見捨てて共産側に差し出したのである。

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『Japan on the Globe-国際派日本人養成講座』
著者/伊勢雅臣
購読者数4万3千人、創刊18年のメールマガジン『Japan On the Globe 国際派日本人養成講座』発行者。国際社会で日本を背負って活躍できる人材の育成を目指す。

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弘中勝

【おもてなし】カードが使えないことを鼻で笑う外国人観光客

カードと経営

『ビジネス発想源 Special』第231号より一部抜粋

今、日本の各地で外国人観光客を呼び込もうと、インバウンドだ、インバウンドだとやたら躍起になっています。

で、そういう観光セミナーのようなものが地方自治体や観光団体などの主催でよく開催されているのですが、そこで内容を聴いていても、どうも決定打に欠ける気がしています。

私の中では、まず地方がインバウンドに本気で取り組むとしたら、まず真っ先にやらなければいけないのは、

タクシーのクレジットカード端末搭載義務化

だと思っています。

東京や大阪などの都市圏では、タクシーでクレジットカードは当たり前ですが、地方に行くと、はっきり言ってまだまだです。

いまだにクレジットカードが使えなかったり、手書きでカード番号を写していたりします。

飲食店や雑貨店なども使えないケースは多いですが、こういうのは、タクシーのような外国人ならばすぐに使ってしまうものにクレジットカードが使えるようにならなければ、そこに波及していかなくなります。

そして、タクシーでカードが使えるということは、今度は鉄道やバスの券売機などでもカード決済ができる仕組みが当たり前になっていかなければなりません。

私はよく、地方でタクシーに乗った時に、「どうしてクレジット端末を導入しないんですか?」と、運転手さんに尋ねます。

すると、だいたい返ってくる答えは、

「だって、カード会社への手数料がかかるから、利益が小さくなっちゃう」

「使う人があまりいないかもしれないのに、設備と手間だけが増えちゃう」

と、自分たちのことばかりで、「お客様が便利かどうか」という視点の回答は1回たりとも聞いたことがありません。

お客様視点ではないということは当然、お客様の信頼は得られないということになります。

インバウンドを成功させたいと思ったら、まずは海外に実際に足を運んでみて、「どういうことが一般的なのか」を実際に確かめてみることです。

1区間だけの電車の運賃でさえも、数品目のスーパーの支払いでさえもササッとクレジットカードで済ますことができる海外の実情を実際に体験すればいいでしょう。

これだけ「お金を持ち歩かない」ことがいかに一般的かを実際に体験してみれば、外国人観光客に現金を払わせるということがどれだけ負担を強いているかが、すぐに分かるはずです。

交通機関だけではなく、あらゆる店がそうです。

クレジットカードが使えないということが海外の人にとってはどれだけ下に見られるか、どれだけ鼻で笑われるかというのは、海外で買い物をすればすぐに分かります。

「手数料を取られちゃう」とか「自分たちの利益が減っちゃう」とか、そういう自分たちの取り分のことだけを考えるから、誰も来てくれなくなるのです。

クレジットカードの手数料というのは、「本来、それだけのパーセンテージの手数料を取ってもきちんと経営が成り立つべきだ」という理論の上に、業種ごとに算定されているもの。

それで自分に損失を感じるということは、その人は世界的な一般感覚から脱落している、経営の素質がないと言っているのと同じことです。

手数料を取られることが問題なのではなく、その手数料分で、お客様と自分たちはどのようなことにプラスになっているのか、という考え方を持つようにしたいものです。


【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)————

・クレジットカードの仕組みと、その手数料の割合の根拠について、ノートにまとめる。

 

『ビジネス発想源 Special』第231号より一部抜粋

著者/弘中 勝
読者数10万人のメールマガジン『ビジネス発想源』の著者。全国の企業にマーケティングを指導している。研修・講演等実績・著書多数。まぐまぐ大賞2014・有料部門ビジネスジャンル第一位のメルマガ、ぜひ一度サンプルをお読みください。
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辺真一

【日米韓に大被害】核をもった北朝鮮をアメリカは攻撃できない

開戦直前だった1994年との状況の違い

『辺真一のマル秘レポート』 Vol.42より一部抜粋

米国の北朝鮮政策の究極的目標は、北朝鮮の核放棄にある。そのためには米国はクリントンからブッシュ、オバマ政権にいたるまで「先制攻撃の選択肢は排除しない」と言明してきた。米国にはその能力はある。だが、イラク戦のような手法が取れるかというと、現実的には不可能に近い。

米国はクリントン政権時代(1992-2000年)の1994年に一度だけ、北朝鮮への攻撃を真剣に検討したことがあった。卓上プランで終わったが、北朝鮮の核施設への空爆だ。

全面戦争という最悪のシナリオに備えクリントン大統領は1994年5月19日、シュリガシュビリ統合参謀本部議長らから戦争シミュレーションのブリーフィングを受けた。シミュレーションの結果は「戦争が勃発すれば、開戦90日間で▲5万2千人の米軍が被害を受ける▲韓国軍は49万人の死者を出す▲戦争費用は610億ドルを超える。最終的に戦費は1千億ドルを越す」という衝撃的なものだった。

当時、極東に配備されていた在日米軍3万3千4百人と在韓米軍2万8千5百人を合わせると、約6万2千人。なんとその約8割が緒戦3か月で被害を受けることになる。駐韓米軍のラック司令官にいたっては「南北間の隣接性と大都市戦争の特殊性からして米国人8万~10万人を含め(民間人から)100万人の死者が出る」と報告していた。

クリントン大統領はそれでも将来米国を核攻撃するかもしれない北朝鮮を今のうちに叩くのが得策と判断し、一か月後の6月16日、ホワイトハウスでの安全保障会議で空爆を指示した。ところが、ほぼ同時に訪朝中のカーター元大統領から「金日成(主席)が核開発の凍結を受け入れた」との一報が入り、幸いにも攻撃は中止された。

ブッシュ政権下(2001-2008年)でも武力行使のオプションが排除されることはなかった。ブッシュ政権下で国務副長官を務めたリチャード・アミテージ氏は1999年3月に発表した自身の報告(「アミテージ報告」)で「北朝鮮が核とミサイル開発を放棄しない場合は、核やミサイル基地に対する空爆も考慮すべし」と提言していた。

アミテージ報告に基づきブッシュ大統領は2003年2月、米陸軍士官学校の卒業式で「我々は自由と生命を守るため先制措置(先制攻撃)を取るなど積極的で断固とした態勢を備える」と、「悪の枢軸」扱いした北朝鮮を威嚇し、翌年の2月10日に訪米した中国の江沢民国家主席(当時)に対し「(北朝鮮の核問題が)外交的に解決できなければ、北朝鮮への軍事攻撃を検討せざるを得ない」と密かに通告していた。このことは退任後の2010年11月に発売されたブッシュ大統領の回顧録「決断の瞬間」の中でも明らかにされている。

北朝鮮が2006年、2009年と二度にわたって核実験をした後も米国の先制攻撃のオプションは排除されることはなかった。現に今のオバマ政権下(2009年~)でも米太平洋軍のロックリア司令官がソウルの米韓連合司令部での会見(2012年4月17日)で「北朝鮮が3度目の核実験を試みた場合、基地に対して局地攻撃を加える可能性もある」と発言していた。

オバマ政権下ではテポドン・ミサイルへの迎撃の可能性も再三示唆している。北朝鮮が人工衛星と称して2009年4月にテポドン2号を発射した際にはゲーツ国防長官が「迎撃も辞さない」と言明していた。この時、迎撃の意思をロシア政府に事前通告していたことも米国務省がロシア駐在の米大使館に送った秘密公電で明らかにされている。

【3/3 Blu-ray&DVD発売】映画野郎達が『プロミスト・ランド』を徹底レビュー!(ネタバレ有り)

2014年8月に公開されたガス・ヴァン・サント監督作品『プロミスト・ランド』のBlu-ray&DVDが発売されました。

『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』のマット・デイモンとガス・ヴァン・サント監督のコンビが手を組んだ社会派ドラマとして注目を浴びた作品。次世代エネルギーとして注目を浴びるシェールガスの採掘のため田舎町を訪れたスティーブ(マット・デイモン)がその土地の人々との交流、反対派との対立を通して自らの生き方について見つめなおしていく姿を描いた作品です。

この発売に合わせて、大人の男性目線で観て楽しめる映画をメインで扱う「野郎」向け映画情報をお送りする『映画野郎【無料メルマガ版】』3/3号から本作品のレビュートークをご紹介!ストーリーだけでなく、監督・脚本の過去作品、そして映画の尺まで突っ込んでくるざっくばらんなレビューを読めばあなたの『プロミスト・ランド』自宅映画鑑賞会もより一層楽しめること間違いなし!

 

(3) 映画野郎クロニクル ■クロスレビュートーク:第13回『 プロミスト・ランド 』

【コラム一番星】◆『爆言! シネトーク最前線!!』 特別編!

■クロスレビュートーク:第13回『 プロミスト・ランド 』

じょ~い小川(以下、小川):さて、「クロスレビュートーク」ですが、今回はガス・ヴァン・サント監督最新作『プロミスト・ランド』。

ガス・ヴァン・サント監督は『エレファント』(03)や『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(97)の監督ですが、今回はその『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』の主演マット・デイモンと監督ガス・ヴァン・サントによる最新作ということで話題となっています。

トークに入る前に作品のさわりですが、舞台はアメリカのオハイオの近くの田舎でしたね。そこでシェールガスの営業マンのスティーブとスーが営業として乗り込んで来て。

原口一也(以下、原口):ま、地上げ屋みたいな。日本で言うと。

小川:そうですね、その土地を買収してそこでガスの採掘をして、そこで得たお金を町の人に還元するという。で、その営業マンが買収をする土地の人々に説明をするけど、地元の年老いた高校教師や環境団体の若者に邪魔をされるというストーリーであります。

原口:その営業マンが奮闘していくヒューマン・ドラマ。

小川:ヒューマン、社会派というか。

原口:環境問題とかそういう目線を含んだ社会派ではあるんですが。

KANTO:アメリカっていう国は本当は石油が豊富にあるんですよ。『ジャイアンツ』(56)っていう映画でも描かれていたように。ところがアメリカはそれに対してお金をかけることよりも、サウジアラビアとかあっち(中東)から買った方が全然安い。だから、アメリカは石油を輸入することでまかなってきた。
ところが、90年代にシェール層っていうすごく浅い層から採掘するという技術が開発されたんですよ。それでアメリカのほとんどの所で石油か天然ガスが採れることがわかっちゃったんです。そうすると、今度はアメリカが何を始めたかっていうと、実は輸出を考えたんですよ。

原口:自国で消費しないで。

KANTO:シェールガスっていうのは天然ガスなんだけど、そこから何が出来るかというと水素ガスっていうのが作れるわけですよ。それで今ちょうど水素ガス自動車という環境にいい燃料が向こう100年以上存分にある、と。だからアメリカは輸入を止める。サウジアラビアとかああいう国からの輸入を止めて自国でまかない、さらに輸出するっていう新しい動きを2020年までに初めてしまおう、という背景がこの映画にはあるんですよ。
それでそこに手を出してる会社のマンモスさというか大きさが90億ドルっていう、会社の規模として1つの国ぐらいの大きさがある。その中で一社員として働いているのがテーマとしてあって。

原口:その「シェールガス」が本作で扱われているけど、その裏にある環境問題っていうのは実際にあることなのかはよくわからないですが。

KANTO:所々はそんなに言及してなくて、どっちかっていうとアメリカの中の社会・企業の在り方みたいな部分とそれとその中での一社員との話ですね。

原口:社会派目線で語るんだったら、この映画で面白いなって思ったのは、いわゆる普通の環境問題を訴える堅い社会派映画だったら、被害者側から語っていくのが普通じゃないですか。「俺たちの土地を奪いやがって!」みたいな、農場の人たちが社会・企業に立ち向かうという形で描くが自然な流れでしょう。

そこを巨大企業の一末端のセールスマンが企業の看板を背負って、コツコツと土地を買収していくっていう立場・視点で描いていて、こういう設定は案外他に見たことがない。それが面白いし、だからドキュメンタリーとか実話の映画化とはならなくて創作なんだけど、創作でないとこの立場の主人公は描けないよ。しかもマット・デイモン自身が共同で脚本も書いている。見て思ったけど、企業側からこの主人公を描けたら面白いなと思ったんじゃないですかね。

KANTO:見て思ったのは昔の黒澤明の『悪いやつほどよく眠る』(60)っていう映画があって、あれが一社員と会社との関係を描いた映画で、もちろんそれと重なる物っていうのはあるっていう風に言うわけじゃないけど、基本的には今のシェールガスのやつは完全に背景なんだよね。
それで本当に社会派でこういう反対派の人がいる、賛成派の人がいるという対立の話になっちゃうとサスペンスが生まれないんだよね。考えも及ばないキャラクターっていうのが中に1人いて、「え? そういうキャラクターはいままでにそういうジャンルにはないよ」っていう部分が凄かった。

原口:そうなのよ。しかも、実話映画っぽい話の流れで終わるのかなって思ったら「そっか、だからこれをフィクションで描いたんだな」っていう捻りがあったのもびっくりした。単なるヒューマン・ドラマでは終わらないシナリオの面白さを凄く感じましたよ!

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《採点まとめ》
原口 評価:★★★★
MUNE 評価:★★★★
小川 評価:★★★★★
KANTO 評価:★★★★

『プロミスト・ランド 』(原題:PROMISED LAND)
・2015年3月3日(火)、Blu-ray&DVD発売!
(2014年8月22日ロードショー/配給:キノフィルムズ)
人生はいつでもやり直せる。次世代エネルギー”シェールガス”の最前線で何が起こっているのかーー。今のアメリカが直面する社会問題を背景に、男の人生の転機を描く感動作。


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【ISIL】「イスラム国」は安倍首相のイスラエル国旗前会見を無視

日本で一般的な図式では説明も予測も出来ない「イスラム国」の行動

『NEWSを疑え!』第374号より一部抜粋

日本人人質を殺害した過激派組織「イスラム国」は2月12日、英字機関誌『ダビク』第7号を公開し、「イスラム国」活動地域の周辺諸国を支援する「日本政府の高慢をくじくことが目的だった」と述べ、日本国民を脅迫した。巻頭の声明文は次のとおりで、安倍政権への日本国民の支持を失わせることを目的としている。

「安倍晋三は勇気を出して、カリフ国(「イスラム国」)に対する戦争への支持を中止すると発表できるだろうか。まずできないだろう。彼の統治下の国民には、アラー以外を崇拝する日本人に対し、アラーの力によってカリフ国の剣が抜かれたことを知らせよう」

この目的のためには、安倍首相が1月20日にエルサレムでイスラエル国旗を背景に記者会見したことも非難するのが、「イスラム国」にとって合理的であった。日本では、安倍首相による「イスラム国」活動地域の周辺諸国への2億ドルの支援表明とともに、日本・イスラエル両国国旗の前での記者会見が、「『イスラム国』を挑発し、日本人人質2人の殺害を招いた」として批判されたからである。

しかしながら、安倍首相の言動に対する「イスラム国」の非難は、次のとおり、「イスラム国」活動地域の周辺諸国に対する支援を、エジプトでの演説で発表したことに集中している。

「この無思慮な発表を、カリフ国シナイ州の兵士たち(シナイ半島の「イスラム国」戦闘員)を攻撃しているタグート(棄教を強制する権力者、客観的には「イスラム国」を取り締まっているスンニ派の権力者)のシーシ(エジプト大統領)が立てた演壇で行なった」

シーシ大統領以外に、この声明文が非難している中東の権力者は、「ヨルダンのタグート」つまりアブドラ2世国王だけである。

要するに、今回の対日声明文は、まず「タグート」または「異端」(シーア派)である他のイスラム教徒の政権を倒して、イスラム社会を純化してから、イスラエルなど非イスラム教国に進攻するという、「イスラム国」の構想をそのまま表しているにすぎないのである。

「イスラム国」の対日声明文が、日本国内の「イスラエル国旗問題」を利用しなかったことは、「イスラム国」がこの問題の存在を知らなかったこと、ひいては日本語による情報収集能力がほとんどなかったことを示している。

同時に、「イスラム国」の声明と日本の論争のずれは、「イスラエル対アラブ・イスラム」という日本で一般的な図式では、「イスラム国」の行動を説明も予測もできないことを物語っている。

その点では、日本メディアの能力不足の問題は大きい。声明文の英単語humiliateを「日本政府に恥をかかせる」と訳したメディアは、「イスラム国」の価値観どころか中東の一神教を理解していないことを露呈してしまった。

恥とは人間に対してかくものだが、声明文のhumiliateは、「日本政府が神に対する立場をわきまえていないので、『イスラム国』が神に代わって日本政府の高慢をくじく」という、神と人間の関係についての立場で書かれているのである。メディアもまた、アラビストの確保と育成が急がれているのではないか。

静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之

 

『NEWSを疑え!』第374号より一部抜粋

【374号の目次】
◎ストラテジック・アイ(Strategic Eye)
◇◆テロ事件における人権
◆バスジャックの解決は3時間以内
◆解決手段は何を指標に決めるか
◆容疑者より人質の人権が最優先
◎セキュリティ・アイ(Security Eye)
・「イスラム国」はイスラエル国旗前の会見を無視
(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之)
◎ミリタリー・アイ(Military Eye)
・ロシアに押しまくられるスウェーデン(西恭之)
◎編集後記
・このくらいの訂正記事は出そうよ

『NEWSを疑え!』
著者/小川和久(軍事アナリスト)
地方新聞記者、週刊誌記者などを経て、日本初の軍事アナリストとして独立。国家安全保障に関する官邸機能強化会議議員、、内閣官房危機管理研究会主査などを歴任。一流ビジネスマンとして世界を相手に勝とうとすれば、メルマガが扱っている分野は外せない。
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【相場展望】春~夏で日経平均が暴落?黒田バズーカ第三弾は夏~秋か!?

米国株は波乱の年となろうが5~8%ほどの穏やかな上昇を辿るだろう

『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』2月27日号より一部抜粋

今年2015年の日経平均は、年間を通すならば、アメリカ株の上昇率を上回る可能性もあるかもしれない。

ただし、これから大相場になる可能性が高い。日経平均はあっという間に上昇して、そして、春から夏にかけて日経平均にして20%~30%くらい暴落する可能性が高い。その後、夏から秋にかけて、日本の個人投資家が大きく動き始めれば、自然反転。個人投資家が動き出さなければ、黒田日銀の第三のバズーカ砲発射で、日本株は反転。

日本政府は今年後半にも「デフレ脱却」宣言を行う。企業業績も1ドル100円~120円の円安と原油安に支えられて、大幅改善。日本経済は実質GDPで1.0%台後半の成長。年末に向けて日経平均は2万2000円前後を目指すことになる。

【アメリカ株式市場】

今のアメリカ株はバブルであり、バブル崩壊の懸念が一部の人々の間でささやかれ始めている。

イエレンFRBは、マーケットを驚かせないように、バブルが崩壊しないように、その反対に、壊滅的な大型バブルに変化(へんげ)しないように、マーケットとの対話に大変苦心している。

が、「サブプライム危機後 はじめてのFRBの利上げ」「11年ぶりのFRBの利上げ」という「壮大なセレモニー」を、マーケット関係者が利用(悪用?)しないわけがない。

「FRBの利上げ」懸念と「利上げ先延ばし」期待が引きがねになって、今年の春から夏にかけて、アメリカ株は、5%~10%、大きければ15%くらいは調整する可能性が高い。

もしかしたら、ウクライナロシア危機がこういった「リスクオフ」の引き金になるかもしれない。

この時、内外の株式市場は、リスクオフモードになり、アメリカ株は5%~10%、ウクライナ危機が重なれば、15%くらいの大幅調整になる。

為替市場でも、春から夏のリスクオフ時には、1ドル100円くらいの円高が起こる可能性がある。

さりとて、1年間を通せば、アメリカ株は5~8%くらいの穏やかな上昇を辿る。あるいは、横ばいか???(この「穏やかな上昇」は、イエレンFRBもアメリカ政策担当者も望んでいること)。

ヨーロッパ株式市場もほぼアメリカに準じる動き。ただし、2015年の場合は、ユーロ圏の株式の方がアメリカ株よりも上昇率は高そうだ。

新興国株式市場は、やはり、アメリカ株式市場以上に、大波乱になる可能性がある。為替差損も含めて、30%~50%の下落は覚悟しておいたほうがよい。とは言え、新興国の通貨危機が起きる可能性はかなり低い。

『藤井まり子の資産形成プレミアム・レポート』2月20日号より一部抜粋
著者/藤井まり子
京都大学経済学部卒。東京銀行調査部産業調査室資源エネルギー担当、トヨタFS証券マクロ金融担当などを経て、現在、ウーマンソフィー経済研究所室長を務める。
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SIMフリーにすればポイント4倍? 楽天が仕掛ける新たなMVNO戦略【石川温】

楽天モバイルが「楽天経済圏」を生かしたサービスを投入

『石川温の「スマホ業界新聞」』 Vol.120より一部抜粋

3年間で1000万契約を目指す楽天モバイルが、ようやく個性を発揮し始めた。

楽天モバイルへの申し込みでポイントを還元。さらに利用料金に応じてもポイントを付与するようになる。さらにポイントでの料金支払いが可能となる。

また、春の新規加入者向けキャンペーンとして、楽天モバイルの契約をすれば2倍、プラチナ・ダイヤモンド会員なら3倍、楽天カードでの支払いであれば4倍にもポイントがアップするという。

単に楽天モバイルだけではなく、楽天トラベルも対象になるなど、徹底した「楽天経済圏の活用」により、他のMVNOとの差別化を強化してきた。

ポイントの活用と言えば、期待されるのが先週、発表のあったカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)とフリービットとの業務提携だ。新たに「トーンモバイル」という会社を設立し、技術開発はフリービット、販売面はCCCのリソースを使っていくとした。

もちろん、CCCがいると言うことは、Tカードの活用が期待される。詳細は発表となっていないが、料金支払いでTポイントが貯まり、Tポイントで支払いができることになりそうだ。

これまで、MVNOは「いかに料金が安いか」という点で競争しているが、それも限界に近づきつつある。接続料が改定され、さらに値下げさせる余地もありそうだが、やはり「格安料金」だけの競争では、意味が無い。MVNO市場は楽天モバイルやトーンモバイルのように、「ポイント活用」でお得感を訴求するという、新たなステージに入ってきた感がある。

面白いのは、楽天モバイル、トーンモバイル共に二子玉川に今春にできる商業施設「二子玉川ライズ」にショップを出店する計画があるという点だ。

トーンモバイルは、CCCが運営する「蔦谷家電」が出店するため、その中にショップを出すと言うことが明らかになっている。また、楽天モバイルは、楽天の本社がこの二子玉川のオフィスビルに引っ越してくるということもあり、商業施設にショップを出すとのことだ。

奇しくも、二子玉川が「ポイントMVNOの聖地」 になろうとしているのだ。

今回、楽天モバイルは二子玉川だけでなく、仙台にも出店する計画を明らかにしている。当然、仙台と言うことは東北楽天イーグルスの本拠地であり、おそらく、イーグルスのグッズショップなどに出店するのだろう。

MVNOとしても、単にネットだけで売るのには、ユーザー獲得に限界がある。やはり、いかにリアル店舗にリソースを割けるかが重要になってきそうだ。

 

『石川温の「スマホ業界新聞」』 Vol.120より一部抜粋

著者/石川 温(ケータイ/スマートフォンジャーナリスト)
日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。
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《vol.120号目次》
1.KDDIが「丸型Firefoxデバイス」企業に出資を表明
2.楽天モバイルが「楽天経済圏」を生かしたサービスを投入
3. NTTドコモが225Mbpsサービスを3月27日に開始
4.今週リリース&ニュース
5.編集後記

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【ちょっと横になるわー】風邪のウイルスでも原因になる、30代、40代の突然死

若くして突然死の謎

最近twitterなどでも話題になっていた、まだ30代、40代といった年代にも関わらず、突然原因不明の体調不良から突然死に至る・・・という話。健康だった人が、病気をすっ飛ばして死に至るというのは、なかなか鬼気迫るホラーです。実際に亡くなっている人の体の中では何が起こっていたのでしょうか?

実際に筆者の身の回りの人間や、知人の知人という範囲で3、4人、「最近具合悪いんですよねー」と言っていたのを最後に最近話聞かないなと思っていたら、急逝しまして・・・という笑えない話もあり、わりと「今そこにある恐怖」といえます。

さて、この一見健康そうな人がいきなり死ぬというのは、にわかには信じがたいですが、蓋を開けてみれば、実は不摂生と不健康の積み重ねの結果、悪く言えば自業自得とも言える場合が大半です。亡くなった人を悪く言うのは憚られますが、とはいえ、不健康の積み重ねは「死」というツケで回収されることがあるということです。

運動、食事、睡眠。この3つは生活を作る上で欠かせないことは誰もが知っています。しかし、無茶をするときに最もないがしろにする部分でもあります。

この「無茶をする」が日常になったとき、デス13・・・じゃなかった、死神の足音が後ろから聞こえてくるわけです。

まず、病的なまでの運動不足。スタジオや仕事場から一歩も外に出ていない、10m歩いただけで足の裏が痛いといった人までいます。

食事は3食カップラーメンやコンビニパンといった、カロリー過多、低栄養の食事の人も。または、病的な食べ過ぎ、食べない過ぎも当たる人が多く、突然死する人は痩せているのに内臓脂肪がたっぷり(下腹部がパンパンに張っている)といった体型になっていることもあります。

睡眠に関しては、2、3日の徹夜は当たり前、平日はほぼ寝ないので、週末寝だめするとか言い始めると危険な兆候です。逆に、睡眠時間が昼夜逆転でも数時間程度であれば問題ないのですが、1日12時間以上寝るといった睡眠リズムなども危険な兆候です。また昼夜逆転で、睡眠時間をとっても眠かったり、イライラするような精神的不調が出始めている人は決壊の兆しありです。

こういった不摂生を積み重ねるとどうなるかというと、まず正常な体の再生自体が阻害され続け、本来1日に××時間しか稼働してはいけない臓器が必要以上に酷使され、耐用時間を過ぎてしまうことにあります。

当然再生にかかる時間は膨大なはずなのに、それを無理矢理起きて精神力だけで動くようにしてしまうと、人間の「適用」という能力が悪く働き「慣れ」が起きてしまい、茹でガエル状態に陥っていきます。

結果的に、あらゆる臓器が壊れだし、免疫系の機能も失われていきます(風邪の状態でステロイド注射をして無理をしている状態に近い)。そうすると、本来ただの風邪で終わるようなウイルスや細菌が、あり得ないところで感染拡大を許してしまうことになります。また腸内で発生した普通の有害物(肝臓で無毒化できるので本来は無害)が放置されて体を破壊することもあるようです。

結果的に、脳や心臓といったところに急激に炎症が広がります。急性心筋炎や急性脳炎といった症状を引き起こします。この始まりが「あー今日は特に具合悪いなー」という程度のシグナルで、正直なところ、ここで病院に行ったとしても、助かる可能性は実際高いとは言えない気がします。

そして「ちょっと横になるわー」・・・が今際の言葉になってしまうわけです。
(文/くられ)

第2回:【突然死の科学】“不眠を気合で克服”は原始時代まで?意外と知られていない「睡眠」の重要さ

著者/くられ
シリーズ15万部以上の不謹慎理系書「アリエナイ理科ノ教科書」著者。別名義で「本当にコワい? 食べものの正体」「薬局で買うべき薬、買ってはいけない薬 」などを上梓。学術誌から成人誌面という極めて広い媒体で連載多数。まぐまぐ!からは、無料メルマガ「アリエナイ科学メルマ」を絶賛配信中。
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【昨年比2倍の花粉症】3月から旬!春キャベツで作る花粉症に強い身体

花粉舞い散る季節になってきました。この時期になるとまぐまぐ編集部・まつこは鼻呼吸ができなくなって目が覚めるのですが、皆さんはいかがでしょうか。ところで花粉症やアトピー、ぜんそくなどのアレルギーをお持ちの方は是非取り入れておきたい春が旬の野菜をご存じでしょうか。

それが今回のテーマである春キャベツです。

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キャベツと言えば葉野菜の中でも比較的安く料理のアレンジがしやすく、しかも一年中手に入る主婦のミカタ的な存在。中でも暖かくなるこの時期に出回る春キャベツは柔らかくみずみずしく、冬のキャベツより好き!という方も多いのではないでしょうか。栄養価も高く、ダイエット食としても人気のキャベツですが、その他にも注目したい効果がもりだくさん!今回は栄養たっぷりのキャベツの中でも旬を迎える春キャベツに注目です。

春キャベツの特徴

名称:春キャベツ(新キャベツ)
旬:3月~7月初め

春キャベツは丸くて比較的小さく、葉の巻きがゆるく柔らかいです。冬キャベツに比べて水分が多く甘みもある春キャベツは、サラダや漬物などに向いていますが、葉が薄いため、火を通すと形がくずれやすく、加熱調理には不向きです。

栄養素

キャベツの主な栄養成分はビタミンC、ビタミンU、ビタミンK、カロテン、葉酸、カリウム、亜鉛など。健康や美容に効果的な栄養素がたくさん含まれていますが、春キャベツは一年の中でももっとも栄養価が高いと言われており、特に美肌に効果的なビタミンC・カロテンの含有量が非常に高いのが特徴。

花粉症の体質改善に最適

キャベツに含まれるイソチオシアネートには、ガンなどの異常化した細胞の増殖を防ぐ効果があり、これは花粉に対するアレルギー反応も抑えてくれます。このイソチオシアネートは野菜の中ではキャベツにもっとも多く含まれているそう。また、キャベツを食べたときに感じるほのかな苦み成分グルコシノレートは解毒作用が強力で、がん予防だけでなく花粉症などのアレルギー疾患も抑えてくれるんだとか。さらに、キャベツに含まれるルテインという成分には、目の粘膜を強化する効果があるので、花粉症の季節に起こる深刻な目の痒みにも効くそうです。

春キャベツのビタミンCは1.3倍、カロテンは3倍!美容効果もたっぷり

春キャベツのビタミンCは通常のキャベツの約1.3倍、カロテンに至っては通常の約3倍も多く含まれています。成人に推奨される1日のビタミンC摂取量は約85mgなので、春キャベツなら3枚ほどで摂取できますね。ビタミンCはシミやソバカスを身体の内側から防いでくれるだけでなく、イライラを緩和する効果もあるので、仕事が忙しくて、心と身体のケアができていない人は積極的に取り入れて一石二鳥の効果を期待!

また、キャベツに含まれるビタミンKは骨を丈夫にする働きがあるため、骨粗しょう症予防にもおすすめです。過激なダイエットを繰り返すと女性は骨粗しょう症になる恐れがあるので、ダイエット中はキャベツを積極的に摂取しておきたいですね。

胃腸にいいことづくし!ビタミンKで粘膜保護、食物繊維でお掃除も

キャベツはビタミンUも豊富です。ビタミンUとは「キャベジン」でもおなじみのアミノ酸の1種で、傷ついた細胞を修復して代謝を促す効果が期待できます。”キャベツは胃腸に良い”と言われますが、このビタミンUが胃腸粘膜を保護修復し、胃酸過多を防いでくれています。さらに肝臓の働きを活性化する効果、蓄積された余分な脂肪を減らす効果もあると言われています。

さらに、キャベツには食物繊維も豊富な上、不溶製食物繊維も含まれているので、胃腸を掃除して便秘解消するだけでなく満腹感をキープしてくれます。

春キャベツを美味しく食べるために大切なこと

選び方のコツ

全体的に緑色が濃く弾力があり、芯の切り口が小さく黒ずんでいないものがオススメ。巻きがゆるく軽いもののほうが良いので、レタスを選ぶイメージに近いですね。

保存方法

春キャベツは長期保存に向いていません。

保存する際は、小さくカットすると断面から傷んでくるので切ったりせずまるごとポリ袋に入れて野菜室に入れましょう。料理で使う時は、外側からはがしながら使うと長持ちします。

効果的な食べ方~生で食べて栄養素をたっぷり吸収

キャベツに多く含まれるビタミンCは水溶性で熱にも弱いので、長時間水にさらしたりせず、できるだけ生で食べるか、加熱を控えめにするのがオススメ。

 

千切りキャベツ5522223生でキャベツを食べるなら、まずはこれ!サラダとしてだけでなく、揚げ物に添えたりと大活躍の千切りキャベツ。春キャベツで作ればいつもよりみずみずしくシャキッとした食感が楽しめますよ。

コールスロー

千切りキャベツを応用して作れるコールスローは、キャベツと調味料をあえているので、しんなりしてたくさん食べられます。ケンタッキー風にマヨネーズを入れるのもおいしいですが、ドイツのザワークラウト風にお酢とスパイスでさっぱりいただくのもオススメです。

グリーンスムージースムージー葉が柔らかい春キャベツは、スムージーにすると余すところなくいただけます。春キャベツにバナナやリンゴ、オレンジ、グレープフルーツなどの果物をいれてミキサーで混ぜるだけ!

その他さっと加熱してもおいしい春キャベツのレシピもご紹介します。

ピクルス
箸休めに最高なピクルスは、いつも冷蔵庫に入れておきたい一品。こちらのレシピは火を通していますが、キャベツだけなら調味液をさましてから入れてもおいしくいただけそう。
レシピはこちら⇒『【今日の調理力!】 』

回鍋肉
お肉もキャベツもたっぷりとれる回鍋肉、春キャベツは火がすぐ通るのでいつもより炒める時間を短くしましょう。
レシピはこちら⇒『【主婦の味方】料理の裏技』 

味噌汁
板前暦22年の著者の食べる味噌汁でキャベツをたっぷり摂取!キャベツは最後に入れてさっと湯がくだけ。
レシピはこちら⇒『独身男性が自分で作る簡単!腹いっぱい!ガッツリレシピ』

ロールキャベツ
キャベツが主役のロールキャベツ。春キャベツは煮込みに向かないので冬キャベツで作りましょう。ここではありとあらゆるロールキャベツレシピが紹介されていますよ。
レシピはこちら⇒『たんと食べまい! 甘藍巻 <ロールキャベツ>』

 

毎年花粉症で薬漬けになっている方は、旬の春キャベツをたっぷり食べて体の中から体質改善してみませんか。

(まぐまぐ編集部/まつこ)


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佐谷恭

【乾杯】やりたがる人がほとんどいないが、やってみると最高に価値のあること

声の掛け方だけで場の空気が全く変わる

『佐谷恭の「パクチー起業論」』より一部抜粋

やりたがる人がほとんどいないが、やってみると最高に価値のあることについて書いてみる。

それは乾杯の発声だ。

僕は小学校のとき、日直が嫌いだった。大勢の前で連絡事項を伝えたり、話をしたり、日直の日はずる休みしたいといつも思っていた。とにかく人前で話すのは絶対に避けたいと思っていた。高校を卒業するまではその気持ちは変わらなかった。

大学入試に失敗したので、予備校に通うことになった。行く前は「浪人」という響きがイヤで、絶対に浪人生にはなりたくないと思ったが、行ってみると神奈川県全域からいろいろなタイプの人が集まっており、たくさんの友達ができて素晴らしい場所だった。僕は京都大学を目指していたが、関東には京大より東大を目指す人が圧倒的に多いので、東大志望のクラスに所属した。

浪人生のイメージとはほど遠く、親しくなった僕たちはホントによく遊んだ。生まれて初めての、1時間もの電車通学だったが、行くのが楽しみだった。そして、仲良かった友人たちが、夏になり急に焦り始めた。8月中旬の東大模試に向けて、急に勉強を始めたのだ。昼ご飯もそそくさと切り上げるし、廊下で立ち話を長くすることもなくなった。僕には東大模試は関係ないので、とても退屈な時間となってしまった。

それまで誰かが呼びかける「遊び」に参加していた僕は、そのヒマな時間に、「遊び」の企画を立てることにした。「模試が終わったら遊べるよね」と友人たちに呼びかけた。ボウリングにするか、カラオケにするか、それともバスケかサッカーかなと思っていたのだが、結局出した結論は「飲み会」だった。僕が初めて企画した飲み会だ。

友人たちに呼びかけてみたら、みなとても関心を示した。結局、親しい友人たちだけでなく、クラス全体に呼びかけたら、ほとんど話をしたことのない人たちも参加したいと言ってきた。たしか80人ぐらいのクラスだったが、60人ほどが参加した。模試は3時ごろ終わるので4時からスタート。飲みつけないお酒で酔っぱらい、2時間制を終えて出たとき、まだ日差しがまぶしかったぐらいだ。「幹事」だった僕は、そのとき、緊張しつつ初めての乾杯の発声をした。

翌年大学に入学した。総合人間学部の一期生の受験に失敗して二期生となった。先輩のいない一期生はいろいろな苦労があったらしく、「茶話会」などを開いて二期生を歓迎してくれるとともに、大学生活のハウツーをいろいろ教えてくれた。それはとても役立った。一年後、三期生のために誰がやるんだろうと傍観しようとしたら、誰もやっていそうな気配がなかったので、急遽僕がやることにした。私的オリエンテーションと、懇親会などを開いた。そこで僕は初めて、世の中は自主的な活動で成り立っているのだということを知った。それがないと世界は回らないわけではない。他の誰かがやるかもしれないし、そんなことが起こらなくても何の支障もないかもしれない。でも、「やる」ことは確実に、対象者の未来を変える。「やる」ことは人の人生を動かせる。

挨拶をし、乾杯と叫んで誰かとジョッキをぶつけるときにはいつも手が震えていた。緊張で震えることをかつては恥ずかしいことだと思っていたが、その頃からそれを終えた後にある充実感を知っていった。

「海外放浪ネットワークBEEMAN」の立ち上げメンバーは僕以外に4人だった。でも、乾杯の音頭を取るのは“会長”の僕だけだった。旅先で会った人と「もう一度出会う」ことと、旅先と同じように日本にいても旅人と出会うことを目的とした集まりだったので、毎回いろいろなひとが交差する素晴らしいパーティができた。その口火をいつもいつも切っていたことは、本当に幸せなことだった。もっとも、当時はまだまだそういうのが苦手で「役割を果たす」という意識が強かったと思うが。

回数を重ねまくったので、さすがに慣れた、というのが僕の学生時代の大きな収穫だ。そして、緊張しながらも乾杯を終えただけで感じられる充実感や、乾杯の発声をしただけで、初めて会う人が僕に話しかけてくれるというのが、役得だなと思うようになった。

人が集まるのは面白いことが起こる前提条件だし、そのときにやる声の掛け方だけで場の空気が全く変わるということも学んだ。その後奇跡的に「社会人」になるのだが、「会社の飲み会って面白くない」という大多数の人の思い込みを、「面白いやり方もあるのではないか」と発想を転換できたのはこうした体験が大きい。

「新人だから幹事」と思い込まされている人が多く、後輩が来るとすぐにその座を譲ってしまう人が多い。しかし、幹事こそ場のすべてをコントロールできる最高の役割だ。僕は「つまらない」とされる会社の飲み会で、毎回必ず幹事としてその日を盛り上げるスピーチをした。誰もが窮屈に思うお酌を自然になくすために先輩の反対を押し切って立食パーティにしたこともある。

いろいろなタイプの人を一つの「場」に集めるのが、大学を卒業してからすぐに僕のライフワークになった。夜な夜な飲む時間を、愚痴をいうためでなく、ポジティブなつながりを生むために利用できたのだ。そのすべての「パーティ」の、最初の第一歩に「乾杯の発声」があった。

 

『佐谷恭の「パクチー起業論」』より一部抜粋

著者/佐谷恭(株式会社旅と平和・代表取締役)
京都大学卒。世界初のパクチー料理専門店・パクチーハウス東京、東京初のコワーキングスペース・PAX Coworkingを運営。コミュニケーションのある空間をゼロから生み出してきた。企業に限らず生き方そのもののヒントが溢れるメルマガは読めば元気が出る人生のビタミン。
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