図書館ツイート“炎上”騒動で考える、他人を断罪して欲望を満たす「正しさ競争」から抜け出す方法

昨年11月、ツイッター上に投稿された、大阪府吹田市に完成した図書館を紹介するツイートが「炎上」しました。批判的な意見の中身は、「ガラス張りの図書館は本が焼ける」「そもそも図書館にガラス張りは似合わない」などといったものだったそうです。今回のメルマガ『東南アジアここだけのお話【まぐまぐ版】』では、マレーシアに11年以上滞在する文筆家で編集者の、のもときょうこさんが、この投稿が炎上したこと自体を疑問視。さらに、他人を断罪して欲望を満たす人を「徳の騎士」と呼んだ哲学者の言葉を引きながら、建設的な議論が行われるために「哲学が必要では?」と問いかけています。

終わらない「正しさ競争」から抜け出すためには、社会を良くする「哲学的思考」が重要かも

吹田市の図書館にて、こんな炎上事件があったようです。

批判の元になったツイートはこちらだそうです。

うーむ。そもそも、なんでこれが炎上するのか??と謎な方も多いと思います。

塩谷さんの圧倒的なフォロワー数がそうさせるのか、私には背景はよくわからず、詳細はnote(「一部がガラス張りの公共施設について、蔵書の紫外線対策などを行政に質問しました https://note.com/ciotan/n/n4471135d7b11」)を読んでほしいのですが……。

  • 図書館にガラス張りはあわない
  • バードストライクが起きたらどうするのだ
  • 本が焼けて可哀想
  • 飲食OKにすると本が痛むのでは
  • 高いところの本が地震で落下して危険では
  • Wi-Fiと電源があることで、「PC作業をする人が長時間居座ってしまうのではないか」

みたいなことらしいです。

言われてみれば確かに、と納得できる意見もあるんですが……。しかしなんだろうか。みんなが「正しさ競争」しているような、息苦しい感じ。

みんなが意見を言うのは、本来、いいことだと思うのですが、したことに対する反対意見や批判ばかりだったら、どうでしょうか。公務員の人たちだって「何もしない方がマシや……」と思ってしまうのでは?

言ってることはわかるけど、なんか建設的じゃないし、生きづらそうな社会。どうしたらいいんだろう。

この記事の著者・のもときょうこさんのメルマガ

「政府の犬」丸出し状態。知らん顔を決め込む原子力規制委員会の屁っ放り腰

政府が今国会で成立を目指す、原発の60年超の運転を可能とする内容が盛り込まれた法案。しかしこの「老朽化原発の運転延長」という重要事項に関しては、十分な議論がなされたとは言い難いのが現実です。そこに専門家の知見は反映されているのでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では著者で元全国紙社会部記者の新 恭さんが、原子力施設の安全をはかるはずの原子力規制委員会が示した、にわかに信じがたい見解を紹介。その上で彼らの無責任ぶりを強く非難しています。

老朽化原発の運転延期を容認。政府にも経産省にもモノ言えぬ原子力規制委員会の骨抜き

岸田首相は原発を60年をこえて運転できるようにするため、原子炉規制法と電気事業法を改正する法案を閣議決定した。今国会に提出するかまえだ。

安全審査で長期停止した期間分は延長可能という新解釈をひねりだして延々と既存原発を生きながらえさせようというのである。

そのための同意を求められた原子力規制委員会の会合で、今年2月13日、委員の一人が“反乱”を起こした。

「この改変、法律の変更というのは科学的・技術的な新知見に基づくものではない。安全側への改変とも言えない。審査を厳格に行えば行うほど、将来、より高経年化した炉を運転することになる。この案には反対いたします」

発言の主は、原子力規制委員会の5人のメンバーのうち、ただ一人、原子力の専門家ではない石渡明氏である。日本地質学会会長をつとめたことのある地質学の第一人者だ。

原発の運転期間については、福島第一原発の事故後、原子炉規制法の改正で原則40年とされ、規制委が認可すれば最長20年延長できることになった。つまり長くとも運転開始から60年経てば廃炉になるわけである。

電力会社など原発事業者はこの規定の撤廃を政府に要望してきた。日本には1970年代に稼働した老朽原発が多い。原発事故後の厳しい安全基準に適合するよう施設を改良し再稼働にこぎつけたとしても、残りの運転期間が短ければ、思うような収益が見込めない。

電力会社が原発の廃炉を先送りにしたいワケ

言うまでもなく、電力会社が原発稼働に躍起になるのは「総括原価方式」というシステムがあるからだ。必要経費に利潤を足して電気料金をはじき出す。利潤の額は、会社の資産額に一定の報酬率をかけて決める。原発という資産があれば利潤は大きいが、廃炉になると、たちまち巨額の不良資産に変わる。そのような事態を先延ばししたいのが原発事業者の本音だろう。

核燃料工学の第一人者とされる原子力規制委員会の山中伸介委員長は満場一致で合意をはかろうとした。ところが、2月8日の定例会でこの案件に石渡委員が一人反対したため、山中委員長は「来週あらためて議論をしたい」と、2月13日の臨時会を設定したのだが、臨時会でも石渡氏は「炉規法は規制委員会が守るべき法律だ」として譲らず、反対を貫き通した。山中委員長と事務局にしてみれば、この間の説得工作が実らなかったということだろう。

石渡氏の胸には、原発運転期間に関する不透明な意見集約についての疑念がふくらんでいた。

昨年8月24日に開かれた政府の会議で、岸田首相は2050年をめどに脱炭素社会を実現するとして、原発の運転期間を見直す方針を打ち出した。そのためには、原子炉規制法などの改正が必須であり、世間を納得させるためにも規制委員会の同意は欠かせない。

同10月5日の規制委員会で、政府方針について経産省資源エネルギー庁の説明を受けた山中委員長は「原発の運転期間は利用政策であり、規制委が意見を述べるべきではない」と語り、政府方針に従う姿勢を示した。

原発の運転期間に規制委員会は関与しない。この考え方が、いつの間にか委員会全体の合意事項であるかのごとく扱われているというのが石渡氏の疑念だ。石渡氏は「規制委員会がよく議論してこれを決めたかというと、そうではなかったのではないか」と指摘し、山中委員長の姿勢を暗に批判した。

この記事の著者・新恭さんのメルマガ

元国税調査官が解説。なぜ不動産会社の「タックスヘイブン脱税」はバレてしまったのか?

2016年の「パナマ文書」の流出をきっかけに、その存在が一般的にも知られることとなったタックスヘイブン(租税回避地)。そんな土地を利用した日本人による脱税事件が昨年末に報じられましたが、なぜ「租税を回避できる地域」を使ったにもかかわらず彼らの悪事は露呈してしまったのでしょうか。今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では元国税調査官で作家の大村大次郎さんが、タックスヘイブンの仰天的な実情と脱税が発覚してしまう「落とし穴」を解説しています。

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』の2023年3月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール大村大次郎おおむらおおじろう
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

「タックスヘイブン」を使った脱税事件にはどんな“落とし穴”があったのか?

先日、非常に興味深い脱税事件が報じられました。それは「タックスヘイブンを利用した脱税」です。

事の顛末はこうです。大阪の不動産会社2社と元社長二人が、約6,600万円を脱税した疑いで大阪国税局に告発されました。元社長らは、研修費や調査費などの名目でシンガポールやサモアの会社に送金し、いくつかのペーパーカンパニーを経由させるという手法で脱税していたのです。そして、最終的にそのお金を現地から持ち帰っていたのです。

このニュースを聞いて、「?」がいくつも浮かんだ方もいるはずです。まずタックスヘイブンって何?何のためにあるの?ということ。

それと、なぜ最終的にお金を現地から持ち帰らなくてはならなかったのか?送金ではダメだったのか?ということです。

それらの「?」について順に説明していきましょう。

シンガポールやサモアはいわゆるタックスヘイブンです。タックスヘイブンというのは、個人や法人の税金が著しく低く設定されている国や地域のことです。世界中の富裕層や大企業が、このタックスヘイブンに籍を置き、税金を逃れているのです。

たとえば、シンガポールでは、キャピタルゲインには課税されていません。つまり株式や不動産投資でいくら儲けても、税金は一切かからないのです。そのうえ、所得税は最高でも20%と日本に比べれば非常に低いのです。だからヘッジファンドのマネージャーなどがシンガポールに住んでいるケースも非常に多いのです。

シンガポールは国策として、海外の富豪や投資家などを誘致しようとしています。彼らがたくさん稼いで、多額の金を落としてくれれば、シンガポールとしては潤うからです。そのためさまざまな便宜を払っています。ちなみに、シンガポールでは贈与税や相続税もありません。

だからシンガポールで稼いで、その金をシンガポール在住の子供に贈与すれば、税金はまったくかからないということになります。そのためシンガポールには世界中から富豪が集まってきているのです。

またシンガポールに対抗して、香港でもほぼ同様の制度を敷いています。香港にも同じように移り住む金持ちが増えているのです。

この記事の著者・大村大次郎さんのメルマガ

もはや核しかない。それでもプーチンがボタンを押せぬ単純な理由

プーチン大統領による「3月末までのウクライナ東部完全掌握」との命令遂行のため、人的被害を厭わぬ攻撃を続けるロシア軍。しかし攻め切るまでには至っておらず、プーチン氏は核の威嚇を以前よりも増して強めています。はたしてウクライナ戦争に人類史上最悪の武器が使われることになるのでしょうか。今回のメルマガ『uttiiジャーナル』ではジャーナリストの内田誠さんが、その可能性について考察。さらに「プーチンのロシア」の行く末を占っています。

まだ核がある。否、もはや「核しかない」プーチン:「デモくらジオ」(2月24日)から

さて、ウクライナですけれども。1年経って数字的にロシアの戦車がこれだけ破壊されたとか、これだけ人が亡くなった、一般市民も数えられているだけで8千数百人ですか。そんな数字じゃないですよね。全然違う数字だと思いますけれども、そういう数字についても色々言われていますが、先週私がお話ししたことで、「プーチンの絶望」ということを確か言ったと思うのですが、それに対してキッカさんからもメールをいただいていまして、「あんたはウクライナが勝つみたいなことを言って楽観的すぎる」というご批判で、あとで紹介しますけれども。

ただ、私が思うのは、先週どう話したかということとは次元が違ってしまうので申し訳ないのですが、プーチンの絶望、プーチンが絶望せざるを得ないということは、仮にこの戦争に勝ったとしても、つまり何らかの段階でプーチンが目標にしていた三つのことがら、「非ナチ化」、「中立化」、「非軍事化」。これが達成されたとしても、プーチンさんおよびロシアには未来がないと絶望せざるを得ない状況なのではないかなと、実は思っているところがある。

一つ、ややこしい要素が加わってきて、中国が何か急にクローズアップされてきて、王毅さんという外務大臣、あの方、駐日大使をされていたことがあり、一度インタビューしたことが確かあったと思うのですが、日本語も大変お上手な方で、今、外務のトップですよね。その王毅さんがヨーロッパを歴訪し、最後にはプーチンさんにも会ったということがある。

何か、習近平さんが「平和演説」を行うとか。一方でアメリカが色々な事実を公表していて、中国は直接人を殺傷できるような兵器を送る、そのような意味での支援は今のところしていないが、部品の供給など、今の段階で分かっている限りはそのような内容の支援をロシアに対してしている。もしも殺傷能力があるような兵器を供与するようなことになったらとんでもないことになる、レッドラインを超えるぞというようなことをブリンケンは言っているそうでして、そのような問題が急にクローズアップされてきています。

また変数が増えて、連立方程式がどんどん複雑になる、分からん…世界に入っていきますけれど、ただ中国がどのようにロシアを支えたとしても、そしてロシアが中国との同盟関係とか強い連携とか通商関係の発展だとか、そのようなことがあったとしても、ロシアには希望がない。核を持っていることぐらいしか中国に対抗できる要素がない。ロシアは中国の…なんと言うんでしょうね、表現がうまく見つかりませんが、一段格落ちした同盟者という感じにならざるを得ない。

そういうことなのだろうと思うのですが、プーチンさんが、あれは9月の例の4州併合宣言の時だったか、その前にも常に言っていたことだと思いますが、「非ナチ化」と言った。ちょっと、いい神経しているなと思うのですよ。ナチスに一番似ているのはロシアだし、ヒトラーに一番よく似ているのはプーチンさん自身ですよね。まあ、似ているという範囲ですよ。全く同じだというわけではないですし、違うところもたくさんありますからね。でも、ウクライナはロシアと同じなのだ、ウクライナ自身の存在意義は無いのだということを論文に書いて、そして攻め込んでいる。それこそ、ロシア民族至上主義みたいなことになりますよね。

この記事の著者・内田誠さんのメルマガ

日本だけがノーガード。TikTokで「中国から情報を抜かれ放題」になった国家の末路

情報漏洩防止の観点から、世界各国が規制を強化する中国系企業運営のTikTok。しかしながら日本政府の危機意識は相変わらず低いと言わざるを得ないようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、欧米を始めとする各国のTikTokを巡る動きを紹介するとともに、日本の対応の緩さを指摘。その上で日本政府に対して、早期のスパイ防止法制定を強く訴えています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2023年3月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【中国】TikTokをめぐる日本の危機意識のあまりのお粗末さ

カナダ 政府端末でTikTokの使用を禁止 「安全性容認できない水準」

先週のメルマガでは、カナダの総選挙に中国が介入した疑惑を取り上げましたが、そのカナダ政府は2月27日、中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」について、政府が支給した携帯端末での使用を禁止すると発表しました。カナダ政府によれば、プライバシーや情報セキュリティの観点で「安全性が容認できないレベルのリスクがある」と判断したそうです。

【関連】もはや手遅れの日本。中国に「政治介入され放題」でも暴かれぬ不可解

TikTokについては、アメリカで昨年12月に、連邦政府のパソコンやスマートフォンでの仕様を禁止する法律が成立しましたが、バイデン政権はカナダ政府の発表の同日、連邦政府の機器からTikTokを30日以内に削除するように指示しました。

カナダ政府「TikTok」禁止、アメリカも30日以内に削除指示 「許容できないレベルのリスク」

こうした動きはヨーロッパでも加速しています。2月23日には欧州委員会が職員の携帯端末でのTikTok利用を禁止し、EU理事会でもこれに続きました。そして28日には欧州議会が職員の利用禁止を決定しています。

欧州議会も職員にTikTok利用禁止、中国への情報流出懸念拡大

もちろん、中国の直接の脅威に接している台湾やインドでも、TikTokをはじめとする中華アプリを公的機関が使用することを禁じています。情報漏洩の可能性があるのはもちろんのこと、フェイクニュースや民衆扇動の道具になってしまうからです。

台湾、公的機関でのTikTok使用を禁止=国家安全保障上の懸念で

もちろんTikTok側は事実無根と反論し、また、中国政府も「不当弾圧」と反発していますが、TikTokはかつて中国に批判的なコンテンツを検閲していた過去があります。その検閲は、中国のウイグル人イスラム教徒の窮状に関することにまで及んでおり、2020年11月に開催されたイギリス議会の公聴会では、TikTok側も検閲をしていたことを認めています。

イギリスのTikTok幹部、過去の検閲を認める…中国政府の関与は改めて否定

2022年11月、米連邦捜査局(FBI)のレイ長官は、数百万人に上るユーザーのデータやソフトウエアを管理する目的で中国政府がこのアプリを利用する恐れがあると警告、さらに、ユーザーが次にどの動画を視聴するかを決める推薦アルゴリズムは、「中国政府が影響力作戦を選択した場合に利用されかねない」と述べています。

FBI長官、TikTokに重ねて懸念表明-中国政府に利用される恐れ

この記事の著者・黄文雄さんのメルマガ

ChatGPTへのアクセスを制限。賢すぎるAIを警戒する中国政府のジレンマ

昨年12月の公開以来、ネット界隈の話題の中心となっているChatGPT。この対話型AIの登場により、AIの開発競争でもしのぎを削ってきた米中に、決定的な差がついてしまう可能性が指摘されています。どういうことなのでしょうか。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では、著者の大澤先生が、AI開発に取り組む中国企業の動向を伝えるNYタイムズの記事と、ChatGPTに対する中国政府の警戒ぶりを伝える香港英字紙の関連見出しを紹介。中国政府が抱えるジレンマについて解説しています。

ChatGPTに戸惑う中国

ChatGPTの勢いが止まりません。マイクロソフト社の出資する米国OpenAIが開発したチャットボットです。2022年12月1日に公開されて5日後にはユーザー数が100万人に達しました。1月のユーザー数は1億人を超えたといいます。

話し言葉で質問を入力すると自然な文章で回答が出力されます。例えば、「お母さんの誕生日に家族で行けるレストランを横浜駅周辺で教えて。その理由も。」などと質問することができます。

「校長先生の卒業生向けの感動的なスピーチを作って」などと打つと見事な原稿を作ってくれます。「AIに代替されない人の特徴を表にまとめてください」「英語の試験問題と模範解答を作ってください。」なんて質問もできます。

それどころか、音楽、小説、詩、歌詞などのクリエイティブな活動も行えます。すでに米国アマゾンではChatGPTを使って作った本が多数販売されています。

あらゆる分野に大きなインパクトをもたらしそうで「ChatGPTはAI界の月面着陸だ」と評する報道もあります。国際関係にも大きな影響を与えそうです。とくにAI分野で米国と覇権を争う中国の動向が注目されています。以下、ニューヨークタイムズの2月23日の記事です。

ChatGPTの成功を追いかける中国

 

今、テクノロジー業界で最もホットな話題は、ChatGPTの台頭と、MicrosoftやGoogleなどのテクノロジー大手による、A.I.を活用した独自のサービス提供の競争です。しかし、AI競争は米国に限ったことではありません。他の国々も自分たちがビッグプレーヤーであることを示そうと躍起になっています。

 

中国はその代表です。中国の巨大インターネット企業、バイドゥは昨日、ChatGPTに似たErnieを来月に展開する予定であると発表しました。バイドゥのCEOロビン・リーは、Ernieは1,000億以上のデータポイントを使って訓練され、中国の顧客にサービスを提供することに重点を置いて構築された、と自慢しています。

 

中国のハイテク企業でAIへの取り組みを強調しているのは、バイドゥだけではありません。Tencent、Alibaba、NetEase、JD.comは、具体的なスケジュールを明示しないものの、ChatGPTスタイルの製品に取り組んでいると述べています。しかし、彼らはまた、自国の政府という大きなハードルにも直面しています。

 

中国政府がブレーキを踏んでいるのです。規制当局はインターネット企業にChatGPTの閲覧を許可しないよう伝えたと言われています。中国政府が消極的な背景には政府の課した検閲から逃れるかもしれないという懸念があるのです。

この記事の著者・大澤裕さんのメルマガ

健康社会学者が激怒。聴覚障害児童の「命の価値」を軽んじる日本

聴覚に障害のあった児童が事故で亡くなり「逸失利益」を争った民事訴訟で、大阪地裁は「すべての労働者の平均賃金の85%」を元に賠償額を算定すると言い渡しました。この判決に「裁判官が人の可能性を否定している」と憤るのは、健康社会学者の河合薫さんです。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では、「命の価値」と言われる「逸失利益」を障害の有無で算定するのは時代に逆行していると批判。障害者への「合理的配慮」を社会の問題と考え取り組むアメリカの例をあげ、法律はできても実質的な差別が続く日本のあり方に疑問の声をあげています。

プロフィール河合薫かわい・かおる
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

裁判官が「人の可能性を否定」した判決。命の価値とは何なのか?

5年前、聴覚に障害があった女の子(当時11歳)が重機にはねられ死亡し、両親が運転手らに損害賠償を求めた裁判で、大阪地裁は、女の子が将来得るはずだった収入(逸失利益)について、「すべての労働者の85%」とする判決を言い渡しました。

今回の裁判の焦点だった「逸失利益」は、損害賠償額を算出する柱の一つです。交通事故などで亡くなったり、重い障害を負ったりした人の「命の価値」にも例えられます。そして、今回。聴覚に障害があった女の子の「命の価値」は、「全労働者平均の85%」だと判決が下されたのです。

これまでの裁判でも、障害者のそれは健常者よりも低く認定されてきました。2021年、名古屋地裁は交通事故で亡くなった聴覚障害のある国立大1年の男性(18)の「命の価値」を、大卒男性の平均年収の9割が相当と判断。判決は「聴覚障害がある以上、職業選択の幅に一定の制約があった」としつつも、同じ大学の出身者が大企業などに就職していることや、IT機器の発達で就労環境の整備が期待されることなどを考慮したとされています。

また、高校時代の交通事故で重い障害を負った全盲の女性の民事裁判では、2審で広島高裁が21年に「潜在的な稼働能力を発揮して健常者と同様の賃金条件で就労する可能性が相当あった」と指摘。全労働者の平均年収の7割を基礎に逸失利益を算出した1審判決を変更し、平均年収の8割に増額しました。過去には「命の価値」をゼロとする判決もありましたから、どちらの裁判も「時代の流れに即している」との評価もあります。

しかし、なぜ、「障害がある」というだけで、命の価値が低く見積もられてしまうのか。「人」には無限大の可能性があるのに、なぜ「障害者」というだけでその可能性が信じてもらえないのか。私は合点がいかないのです。

その「人」ならではの可能性を見せてくれたのが、まさに冒頭の女の子です。女の子は生まれた時に医師から「言葉を話すのは難しいだろう」と言われたのに、人前で堂々と話せるようになりました。彼女は聴覚支援学校に通い、日々努力した。彼女は「自分の可能性」を決してあきらめませんでした。…なのに裁判官は「人の可能性を否定した」のです。

そもそも「障害者」という存在は、社会が生み出したものです。「生産性」という言葉が、人の労働力と天秤にかけられるようになったことに起因しています。労働のスタンダードが「バリバリ元気に働ける人」である以上、誰もが「障害者」になりうるわけです。

この記事の著者・河合薫さんのメルマガ

勝手に愛人と同棲を始めた配偶者が妻に対して離婚請求をしてもいいの?

いまから70年以上前にもなる昭和27年の判決が、今でも弁護士の勉強になっているというのをご存じでしょうか。今回のメルマガ『探偵の視点』では、著者で現役探偵の後藤啓佑さんが、「踏んだり蹴ったり判決」と呼ばれるこの判決について詳しく紹介しています。

「踏んだり蹴ったり判決」

探偵や弁護士の中では、浮気が絡む離婚に関するお話には「有責配偶者」という言葉が出てきます。

有責配偶者とは、離婚に至る原因を作った配偶者のことを言います。責任が有る配偶者、ということですね。

浮気をした人も、証拠や要件が揃えばこれに当たります。

そんな「有責配偶者」が絡む判決で、面白い判決があります。その名も「踏んだり蹴ったり判決」です。

昭和27年なので昔の判決になりますが、弁護士の方は今でも全員この判決は勉強するようです。

内容は、勝手に愛人をつくり同棲を始めた夫から、特に非のない妻に対して、離婚請求が許されるかが争点になりました。

これに対し、最高裁判決(最判昭和27年2月19日)は、妻以外の女性と同棲関係にある夫からの離婚請求について、「もしかかる請求が是認されるならば、妻はまったく俗にいう踏んだり蹴ったりである。法はかくのごとき不徳義勝手気侭を許すものではない」として請求を棄却し、以来、有責配偶者からの離婚請求は許されないという判例理論が確立したのです。

これが「踏んだり蹴ったり判決」です。

しかし、この内容はそこから30年経った今、最高裁判決で「有責配偶者からの離婚請求の可否については、別居期間、未成熟子の存在、苛酷状態等の事情を“総合的に考慮”し、有責配偶者の離婚請求が信義則に照らし許されるか否かを判断する」つまり、一定の要件のもとで有責配偶者からの離婚請求も許される場合があるというように変更されたのです。

踏んだり蹴ったりにならない範囲なら、可能ということですね。すごくわかりやすい法律なので、覚えておくと面白いかもしれません。

現場を見ていると、有責配偶者からの離婚請求は“難しい”ですので、有責配偶者にならないようにしましょう!笑

この記事の著者・後藤啓佑さんのメルマガ

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話題のAIに「歴史を学ぶ意義って何なの?」と聞いてみた結果

公開以来、大きな話題を呼んでいる人工知能ChatGPT。ユーザーと会話形式によって自然な日本語で答えてくれるため、SNSでも多くの人がさまざまな質問をしているようです。作家でユーチューバーの顔も持つ、ねずさんこと小名木善行さんは自身のメルマガ『ねずさんのひとりごとメールマガジン』の中で、このChatGPTに「歴史を学ぶ意義」と「学ばないデメリット」について聞いてみた結果を明かしています。

AIが答えた歴史を学ぶ意義

ChatGPTに、「歴史を学ぶ意義を教えて下さい」と聞いてみました。

以下がその回答です。

歴史を学ぶ意義は多岐にわたりますが、以下に代表的な意義を挙げてみます。

1 過去の出来事や人物について学ぶことで、人間の本質や社会の仕組みなどについて理解を深めることができます。

2 過去の失敗や成功、偉人たちのエピソードを学ぶことで、自分自身の人生や将来に向けた選択に役立てることができます。

3 歴史は、権力や政治、経済、文化の発展に大きな影響を与えた出来事の記録でもあります。それを学ぶことで、現在の社会や世界情勢を理解し、未来を見通すための判断力を養うことができます。

4 歴史は、ある地域や国家の文化やアイデンティティ形成にも関わっています。自分たちの文化やアイデンティティを理解し、それを守るための手段を考えるためにも、歴史を学ぶことが大切です。

以上のように、歴史を学ぶことは、自分自身や社会、世界について理解を深め、未来を見通すための重要な手段の一つと言えます。

まさに、その通り!です。

そこで今度は、「歴史を学ばないことによるデメリットは何ですか?」と聞いてみました。

歴史を学ばないことによるデメリットは以下のようになります。

1 過去のミスを繰り返すリスクが高まる
歴史を学ばないことにより、同じ過ちを犯し、同じ失敗を繰り返す可能性が高まります。歴史は、過去に何が起こったかを知ることで、同じ種類の問題に対する解決策を見つけるための洞察を提供します。

2 社会的な誤解が生じるリスクが高まる
歴史を学ばないことにより、特定の社会的グループに対する誤解や偏見が生じる可能性があります。歴史的な出来事は、文化や政治、人々の生活に大きな影響を与えてきました。歴史を学ぶことで、人々は自分たちの文化的な背景やアイデンティティを理解することができます。

3 国際関係の悪化のリスクが高まる
歴史を学ばないことにより、国際関係が悪化する可能性があります。過去に起こった出来事に対する不理解や誤解が、現在の国際政治に影響を与えることがあります。歴史を学ぶことで、国際的な関係や対立を理解し、平和的な解決策を見つけるための洞察を得ることができます。

4 自己アイデンティティの欠如が生じるリスクが高まる
歴史を学ばないことにより、自己アイデンティティの欠如が生じる可能性があります。人々は、自分たちがどこから来て、どのような文化的な背景を持っているのかを知ることで、自分たちのアイデンティティを理解することができます。
歴史を学ぶことで、自分たちが属する文化や社会の起源や歴史を知り、自己アイデンティティを構築することができます。

以上のように、歴史を学ばないことには、多くのデメリットが存在します。歴史を学ぶことで、人々は過去の出来事から学び、現在や未来に役立つ洞察を得ることができます。

これまた見事な回答です。

ただ、色々質問をしてみると、基本的にすべて教科書的な答えになっていることがわかります。

まだ世に知られていないこと、常識化されていないこと、つまり「考察系」の事柄については、まだ回答ができないようです。

それにしても、歴史を学ばなければ「自己アイデンティティの欠如が生じる」、歴史を学べば「自分自身や社会、世界について理解を深めることができる」、これは大切な視点であろうと思いますし、それがある意味AIでも回答するような常識であるならば、我々日本人は、まさにその常識を取り戻していかなければならないのであろうと思います。

日本を豊かに!

この記事の著者・小名木善行さんのメルマガ

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社員から「給料の前借り」をお願いされたら会社は支払うべきなのか

なんとなく昔の漫画やドラマに出てくるイメージのある「給料の前借り」という行為。今の時代にそれをできる会社はあるのでしょうか? 今回の無料メルマガ『採用から退社まで!正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』では、著者で社会保険労務士の飯田弘和さんが、もし社員から給料の前借りを頼まれたらどうすべきかを解説しています。

社員が「給料の前借り」をすることは可能なのか?

従業員から給料の前借りをお願いされたとき、御社はどうしていますか?

前借りの申し入れについて、それに応じるかどうかは、原則、会社の自由です。しかし、労基法で、前借りの申し出に必ず応じなければならない場合を定めています。

労基法25条に“非常時払い”についての定めがあります。

従業員や“その収入によって生計を維持している家族”の、「出産、疾病、災害、結婚、死亡、やむを得ない理由による帰郷」の費用に充てるために、給料の前借りを申し入れてきたときは、たとえ給料日前であっても、“すでに働いた分の賃金”については支払わなければなりません。

これは労基法に定められているので、支払わなければ労基法違反となり、監督署からの行政指導の対象になります。

しかし、この“非常時払い”以外の理由での前借りについては、会社は応じる義務はありません。応じる・応じないは、会社で定めていただいて結構です。

ここからは、前貸しした給料の回収についてです。

まず、労基法25条の定めに従って“非常時払い”として前貸しした場合、本来の給料日には、残りの給与を支払えばよいです。

また、“非常時払い”でなかったとしても、“すでに働いた分の賃金”を前貸ししたのであれば、これは、給与の一部を早めに支払っただけですので、本来の給料日には、残りの給与を支払えば済みます。

当然といえば当然です。