「お客様からポジティブな面だけ聞く」営業マンが出世しないワケ

お客様から要望を聞き出すことが重要な営業マンですが、表面上の要望を聞くだけではトップにはのしあがれません。今回のメルマガ『菊原智明の【稼げる人、売れる人に変わる知恵】』では、著者で営業コンサルタントの菊原智明さんが、上位の営業マンがやっているディープヒアリングについて語っています。

この記事の著者・菊原智明さんのメルマガ

営業で結果を出すには「恐怖ポイント」と「モチベーションパーソン」を明確にしよう

営業で結果を出すには“お客様から要望を聞き出す”ことが重要になってくる。

そんなことは100も承知だろう。これは営業の基本だ。ただ、これを本当の意味で理解している人は少ない。

買う立場でいろいろと話を聞かせて頂く。営業スタッフや店員で「話が上手いな」と感じる人はけっこういる。

しかし、「この人はよく話を聞いてくれる」という人は少ない。

さらに「こんなところまで深掘りしてくれるのか」と感心する人は極めて少ないのだ。

お客様の奥底の考えを聞き取る。それができればトップ営業スタッフ。もしくはかなりの上位者だろう。

通常の営業スタッフもヒアリングはする。

・予算、月々の払い
・大きさ
・時期
・商品の要望

などなど。もちろんこういった項目も大切。基本的な情報も丁寧に聞き取る必要がある。

しかし、結果を出すために“ディープヒアリング”が不可欠になってくる。

トップ営業スタッフは例外なく“聞き取る技術”に長けているものだ。

トップ営業スタッフに会うと「どんな質問をしていますか?」と聞いている。

可能であれば質問リストを見せてもらうことも。質問リストを見せて頂くと「こんなことまで聞くの?」というような内容が含まれている。

これはポジティブことばかりではない。以前、お会いしたトップ営業スタッフは「お客様の恐怖ポイントなども聞き込みます」と言っていた。

その他にも

・何に一番腹を立てているか
・どうなったら後悔するか
・何か最悪の事態か
・今抱えている不安は
・どんな嫉妬心があるか

などなど。ネガティブな感情もしっかりと聞き込む。こういった内容は他の営業スタッフは聞いていない。だからこそ一味違った提案ができるのだ。

あなたの質問リストはおそらく

・ポジティブを引き出す
・購買意欲が上がる
・モチベーションが高くなる
・話をしてワクワクする

といった内容が多いだろう。その質問リストに“お客様のネガティブな感情”に関する項目を追記する。

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満面の笑みの裏で、岸田首相が米バイデンから突きつけられた「要求」の中身

満面の笑みを浮かべ、岸田首相の肩を抱き日米首脳会談の会場へと向かうバイデン大統領。しかしその席上では米国側から日本に対して、決して簡単ではない「宿題」が出されていたことは確実なようです。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤さんが、バイデン政権の主要スタッフがアメリカの外交専門誌に寄稿した記事の内容が、ほぼ米国の意向を表しているとしてその内容を紹介しています。

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岸田首相とバイデン大統領、日米首脳会談では何が話されたのか?

岸田首相がバイデン大統領と会談しました。

一体どのような事が話合われたのでしょうか?

ご紹介するのは外交専門誌フォーリンアフェアーズの1月12日寄稿記事です。

寄稿者はバイデン政権で東アジア担当ディレクターであり、オバマ政権では日本・オセアニア担当ディレクターとして国家安全保障会議に参加したクリストファー・ジョンソン氏です。

彼の意見は米国政府の意向をほぼ正確に示していると考えます。

まず第一の意向は、日本に軍事面で新しい組織を作ってほしいという事です。

同盟強化のためにバイデンと岸田がすべきこと

 

1月13日に行われる岸田文雄首相とジョー・バイデン米大統領との会談は、日本と米国の安全保障関係に新たなページを開く重要な機会となる。

 

12月中旬、岸田氏は新たな国家安全保障・防衛戦略を発表した。

 

この計画では、防衛費を5年間で60%近く増やし、1970年代から続いているGDP比1%という非公式な上限を打ち砕くことを要求している。

 

日本はまた「カウンターストライク」ミサイル、すなわち車両、航空機、船舶、潜水艦に搭載される長距離精密兵器を獲得することになる。

 

日米はより強固な同盟を構築するために指揮統制を見直すべきである。

 

日本国外の目標に対する武力行使を調整できるようにするためである。

 

しかし、米国の韓国との同盟とは異なり、日米同盟は統合的な軍事作戦を可能にするようには設計されていない。

 

以前は日本が米国の重要な軍事的パートナーになることは想定されていなかった。そのため、日本の自衛隊と在日米軍は、並行かつ別々の指揮系統を構築した。

 

この仕組みは、日本が過去20年間に自衛隊の役割、任務、能力を徐々に拡大、強化してきたにもかかわらず、現在も維持されている。

 

日本が新たな防衛戦略を進めるにあたり、こうした既存の仕組みを変えなければならない。統合軍事作戦を計画・実行するための常設のメカニズムが必要であろう。

 

日本における統合指揮統制を強化するために、ワシントンと東京が適応できるモデルは数多くある。

 

韓国モデル(戦時中の米軍と韓国軍を米軍司令官が指揮する複合構造)は、自衛隊が米軍の指揮下に入る法的根拠がないため、今日の日本ではおそらく政治的に容認できないだろう。

 

しかし、日本の新しい能力を効果的に活用し、米国と緊密に連携するためには、より統合された構造が不可欠であろう。

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科学者が大絶賛。自分の感覚を変化させて「時間を超越」する方法とは

時間を超越する方法があったら、あなたはそれを経験してみたいと思いますか? 今回、メルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』で土井英司さんが紹介するのは、 科学者が絶賛しているという「限られた時間を超越する方法」を記した一冊です。

時間の捉え方が変わる?⇒『限られた時間を超える方法』

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限られた時間を超える方法

リサ・ブローデリック 著/尼丁千津子 翻訳 かんき出版

こんにちは、土井英司です。

人生に時間の制約があることは、誰もが認識していると思いますが、その限られた時間を超越する方法があるとしたらどうでしょうか?

本日ご紹介する一冊は、プリンストン大学、スタンフォード大学をはじめ、著名な科学者が絶賛する、注目の話題書『All the Time in The World』の邦訳。

帯に茂木健一郎さんがこのように推薦の辞を寄せています。

「まさに、時間の捉え方に対するコペルニクス的転回!時間と空間を超える量子論の考え方がシンプルにわかる」

こう書くと、科学者の時間に関する考察が出てくるんでしょ?とピンとくる人はいると思うのですが、本書が面白いのは、その理論の先にあります。

なんと、読者が「超越した感覚」を再現できるようになるためのトレーニング方法が書いてあるのです。

著者は、本書を書くのに先立ち、アリゾナ州セドナのバイオサイバーノート研究所で実験に参加したのですが、ここで光と音を利用した即時フィードバックで、ガンマ波、ベータ波、アルファ波、シータ波、デルタ波など、ほぼすべての種類の脳波を意図的に出せるようになったそうです。

本書には、その経験に基づき、これらの脳波を意図的に出す方法が書いてあるのです。

平静さ、頭脳の明晰さ、集中力、過去のトラウマからの脱脚…。

読者が時間を超越し、理想的な精神状態を実現するための方法が、本書には書かれています。

週3回2時間だけ開店する東京・神楽坂「夜のパン屋さん」を取材して見えてきたこと

東京・神楽坂に、週3回、たった2時間しか開いていない「夜のパン屋さん」があるのをご存知でしょうか。このパン屋さん、ただ夜に営業しているだけではありません。実は、コロナ禍以降に問題となっている食品販売店や飲食店の問題を解決するヒントが込められているのです。今回、フリー・エディター&ライターでジャーナリストの長浜淳之介さんが、この「夜のパン屋さん」をはじめ、余ったパンの耳から作る地ビール、あまり野菜の「野菜炒め」で成功している飲食店などを取り上げ、日本の新たな「食品ロスビジネス」の可能性を取材し紹介しています。

プロフィール:長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)、『バカ売れ法則大全』(SBクリエイティブ、行列研究所名儀)など。

東京・神楽坂に2時間だけ開店する「夜のパン屋さん」は、なぜここまで人気なのか?

東京・新宿区の神楽坂商店街に夜7時から9時まで、火曜・木曜・金曜の週に3回、2時間だけ開店するパン屋がある。その名も「夜のパン屋さん」。主に都内の個人営業のベーカリーショップより、その日に売れ残ったパンを調達して、本屋「かもめブックス」の軒先にて販売している。

東京メトロ東西線・神楽坂駅前、出入口がすぐ近くにあって立地の利便性も高い。

顧客からの反響は上々。「いろんなお店のパンが気軽に買えて楽しい」、「お得な値段で買えるパンセットがある」、「駅前なので、帰宅前に立ち寄れて助かっている」などと、好意的な意見が大半だ。次々に売れて、閉店の頃にはほぼ売り切ってしまう。

好評につき、飯田橋と田町にも「夜のパン屋さん」が広がっている。飯田橋では集合住宅の駐車場でキッチンカーにて週に1回、火曜の午後5時から8時。田町ではJR田町駅前の新田町ビル、スターバックスコーヒー横でキッチンカーにて週に2回、水曜と木曜の午後5時半から8時まで、販売している。

焼き立てパンを販売するベーカリーショップでは、基本的に売れ残ったパンは、翌日に持ち越さず廃棄する。ラスクなどの商品に再利用されるものもあるが、商品として販売されてしかるべきパンが、毎日無駄に捨てられているのだ。「夜のパン屋さん」はこのような「食品ロス」の解決に、第一歩を踏み出した試みだ。

コロナ禍では需要の予測が立てにくく、感染が拡大して、緊急事態やまん防(まん延防止等重点措置)が発出するのではないかと報道されただけでも、外出を控える人が増えて売れ行きが突然鈍ることがある。

セーフティーネットとして、「夜のパン屋さん」という第二の売場が存在する安心感は、ベーカリーショップにとって非常に大きい。

生活者は、新型コロナの感染を抑えるため、政府・自治体から外出を極力控え、買物に行く回数を減らすように要請されている。そのため、コストコのような郊外の大規模店に車で出かけて大量に買いだめする、ライフスタイルにシフトした。皮肉なことに感染症対策の観点から、食品の大量生産・大量消費が拡大。新常態で、従来より食品ロスが出やすい社会へと変化した。

新型コロナが撲滅されない限り、ベーカリーショップのみならず、徒歩や自転車で買物に行く小規模な街の商店が苦戦する状況は、感染症に怯える人たちの声に搔き消され、長らく続く模様だ。「夜のパン屋さん」は街の商店の売上を支え、地域コミュニティの崩壊から守っていく注目すべき視点を提起している。

中国と衝突、ロシアに資金援助。外交的取引で復権を狙うトルコ・エルドアン大統領の企てと焦り

混迷を極める国際社会において、大きな存在感を放っているトルコのエルドアン大統領。かつては「アラブの父」とも呼ばれた彼の最終目標は、一体どこに設定されているのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では元国連紛争調停官の島田さんが、昨今のトルコの外交的取引を詳しく紹介。その上で、エルドアン氏の「狙い」がどこにあるのかを考察しています。

この記事の著者・島田久仁彦さんのメルマガ

 

米露中相手に一歩も引かず。ロシアの裏庭荒らす元“アラブの父”

「衝突前夜とまで言われたサウジアラビア王国と急に和解することとなった」

サウジアラビア人の反政府系ジャーナリストと言われていたカショギ氏がイスタンブールの在トルコサウジアラビア王国領事館内で殺害されて以降、その“証拠”を盾にサウジアラビア王国政府に圧力をかけ続け、経済・安全保障・エネルギーなど複数フロントでの妥協を求めていたトルコのエルドアン大統領とトルコ政府が昨年、急にサウジアラビア王国との和解を、サウジアラビア王国と共に発表し、実質的にカショギ事件を闇に葬ったことには驚きましたが、昨年夏ごろから現在に至るまで、様々な外交フロントで“問題解決”を急いでいるのはどうしてでしょうか?

大きな理由の一つとして考えられるのは、今年6月までに実施される大統領選挙と総選挙前に懸案事項を整理し、国内の有権者に対してリーダーシップを示すことでしょう。

首相から大統領になり、大統領権限を自ら強めることで、実質的に独裁的な態勢を確保したかに思われたエルドアン大統領とその政権ですが、年々、国内でのエルドアン大統領批判が強まり、必ずしも立場が安泰とは言えないのが現状となってきました。

エルドアン大統領といえば、首相当時、secular politics(宗教色の弱い政治形態・世俗的な政治)を実施することで国内の広い支持を集め、アラブ諸国からも、アメリカ政府からも評価されていましたが(中東ではエルドアン大統領は“アラブの父”を呼ばれて、地域のリーダーとして評価されていました)、年々、イスラム色が濃くなり、評価にもばらつきが出てくるようになりました。

2020年にイスタンブールのアヤソフィアをイスラム化し、かつてのアタチュルク氏の世俗化政策を全面否定して、東西融合のシンボルとしてユネスコの文化遺産登録されていた“博物館”をモスク化したのはその一例で、自らの権力基盤確立のために国内のイスラム勢力の取り込みに走ったのが理由だと考えられています。

またアメリカのオバマ政権末期からトランプ政権時代にかけて、徹底的にアメリカに反抗する政策を推し進め、NATO加盟国でかつ国内の空軍基地にアメリカの核弾頭を有する国であるにも関わらず、思い通りにならないアメリカへの当てつけとして、ロシアからS400ミサイルを購入して国内に配備するという大きなギャンブルに出ました。結果、欧米諸国からの経済制裁に直面することとなりました。

それに加えて、自らのraison d’etreとも言えるクルド人勢力への攻撃は、人権重視の欧米諸国の怒りを買い、結果として制裁の厳格化が行われましたが、それがどうもエルドアン大統領にとってはwakeup callになったようです。

対トルコ制裁が発動されてすぐ、エルドアン大統領は「これまで欧州連合への加盟を夢見、トルコをヨーロッパの仲間にしようとEUの要請にも応え、機嫌取りをしてきたが、金輪際、それを求めず、代わりにトルコ系民族の再結集に方針転換する」とトルコ外交の方針転換を行いました。

この記事の著者・島田久仁彦さんのメルマガ

 

Twitterで異臭騒ぎ。会社の鼻つまみ者となったイーロン・マスク

昨年10月末のツイッター社CEOへの就任以来、赤字の同社を立て直すべく次々と経費削減策を実行に移してきたイーロン・マスク氏。しかしそのあまりの徹底ぶりが、社内に大きな混乱を招いているようです。今回のメルマガ『浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』では著者で国際政治経済学者の浜田和幸さんが、過激なまでの「マスク流」が引き起こした騒動を紹介。さらにマスク氏の野望である「火星移住計画」が頓挫しかねない理由を記しています。

この記事の著者・浜田和幸さんのメルマガ

 

ツイッターで巻き上がった“トイレットペーパー”異臭騒動

ぶっちゃけ、つい1年前まで世界1の大富豪だった人物の行動とは思えないことが相次いでいます。

何かといえば、鳴り物入りでツイッターを買収したイーロン・マスク氏のことです。

買収直後から人員整理と経費削減の大鉈を振るっています。

最初は本社の警備サービスを廃止し、次には清掃サービスも中止しました。

そのため、トイレから異臭が漂い始め、廊下やオフィスでも「我慢できない」と社員の悲鳴が聞こえる有様に。

とどめは、トイレットペーパーの配給停止です。

「必要なものは各自、自前で用意しろ」というのが「マスク流」というわけでしょうか。

これまで経営幹部は全員、首を切られました。

その上で、「社員の在宅勤務は認めない。必ず出社して仕事に励め」と檄を飛ばすのがマスク新社長です。

ツイッター社は累積赤字が膨らんでおり、マスク氏は大胆なメスを入れなければ会社は持たないと危機感を強めたに違いありません。

とはいえ、ソフトウェア開発の専門家や技術者は次々に解雇されるか、自分から進んで退職してしまったようです。

これでは会社の立て直しどころか、足元から崩壊するのでは、と危惧する声が出てきました。

ほとほと嫌気がさしたのか、マスク氏は「俺に代わって経営トップを引き受けてくれるようなアホな人物が見つかれば、すぐにツイッターからオサラバする」と息巻く事態に。

その結論を得るために、彼はツイッターのフォロワーに「自分は残るべきか?それとも去るべきか?」とアンケートを取ったのです。

案の定、投票したフォロワーの57.5%は「去るべき」と答えました。

しかし、経営トップが自らの出処進退をSNSの反応で決めるというのは、実に無責任な言動としか思えません。

実は、ツイッターのゴタゴタ騒ぎのせいもあり、本業の電気自動車「テスラ」の収益も株価も急落してしまいました。

テスラの株価は昨年65%も下落。

年末に向けて大幅な値下げキャンペーンを打ったのですが、逆効果で、他のEVにお客を奪われたようです。

ブルムバーグによれば、「マスク氏は2,000億ドルの資産を失った」とのこと。

日本のアニメが大好きで、絵文字使いが得意のマスク氏ですが、このままでは自慢の「火星移住」計画も夢で終わりそうです。

ぶっちゃけ、社員にトイレットペーパーを持参させるようでは鼻つまみ者としか言いようがありません。

果たして、こんな体たらくでマスク氏のカムバックはあるのでしょうか。

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マスコミが報じぬ中国「日本へのビザ発給停止」真の意図。日本企業が恐れる邦人拘束と輸出入停止

中国とビジネス関係にある日本企業に衝撃を与えた、日本から中国への「ビザ発給停止」というニュース。中国側は「日本の水際対策強化への対抗措置だ」としていますが、この理由を懐疑的に見ているのは、外務省や国連機関とも繋がりを持ち、国際政治を熟知するアッズーリ氏。今の中国は、日本人が描いているような貧しいかつての中国ではなく、今後も日本人の拘束や輸出入の停止などで揺さぶりをかけてくる可能性を指摘しています。

中国・習政権、日本から中国への渡航ビザ発給停止。原因は「日本側の水際対策の強化」ではない

今年に入り、さっそく日中関係に衝撃が走った。ゼロコロナ終了によって中国で新型コロナ感染が爆発する中、日本が空港での水際対策を強化したことに対し、中国政府は日本から中国に渡航するビザの発給を一時停止した。

突然のことに日本企業の間では不安や混乱が拡がっている。筆者周辺でも、新たに中国渡航向けビザをもらおうと申請所にやってきた人が驚きの声を上げ、既にビザをとってこれから中国に向かう人は「中国政府の意図が分からない、向こうに着いてからの滞在が不安だ。無事に帰って来られるか」などと不安を示している。

しかし、これは別に驚く話ではない。近年の中国の政策や行動、習国家主席の言動を日々チェックし、それを政治的に考える習慣があればなおさらだ。

これを“日本が水際対策を強化したから起こったことだ”と解釈していては、「真のリスク」は絶対に理解できない。これは偶然起こったのではなく、近年の日中関係や米中対立という全体的背景からすれば、「起こるべくして起こった」出来事で、それが「水際対策を強化→ビザは発給停止」という事実になったに過ぎない。

この件について日本のメディアは大々的に報じているが、筆者はそのことに大変驚いている。今回の出来事から、以下のことをお伝えしたい。

もはや中国は「昔の貧しい中国」ではない

まず、我々は昔の中国と今の中国が大きく異なることを自覚する必要がある。

昔、戦後復興を遂げ世界有数の経済大国になった日本は、当時経済的には貧しかった中国をODAで支援し続けた。1989年に「天安門事件」があって欧米が一斉に中国へ制裁を科したが、日本は制裁を避け支援を続けた。よって今でも日本人の中には「日本>中国」というベクトルが無意識のうちに強い。

しかし、21世紀以降に急成長を続け、今日ではいつ米国を追い抜くかといわれるまで成長した中国は、その間に国家としてのプライドと自信を大きくつけた。習氏が、これまで繰り返し“台湾独立を絶対に阻止する”、“中華民族の偉大な復興を進める”、“2049年までに社会主義現代化強国を貫徹する”、“太平洋には米国と中国を受け入れる十分な空間がある”、“アジアの安全保障はアジア人で行う”などと言及してきたことが、その証左だろう。

要は、既に中国は日本からの支援を必要としておらず、自らは日本より大きな大国という自信をつけており、日中関係は自らに有利な環境で進めることができると判断している。南西諸島周辺では中国空母が太平洋に向かう姿が頻繁に確認されるが、日本はそれらを強く懸念している一方、中国は日米同盟においても米国のことしか気にしていない。それだけ日本を競争相手とは見なくなっており、そこには大きな差が生じるようになっている。

また、経済面でも、日本は米国の絶対的同盟国である一方、依然として中国が最大の貿易相手国である。近年は「チャイナリスク」が内外で報じられ、脱中国を目指す日本企業も見られるが、中国依存が深すぎるため「脱中国ができない日本企業」が殆どである。

言い換えれば、日本経済は中国なしにはやっていけず、そこには一種の上下関係のようなものが生じている。当然ながら、中国にとっても日本は貿易相手として重要なことは言うまでもないが、我々日本人は、“だから中国が過剰な行動を示すことはない”と思ってはならない。

ビザ発給停止は「1つの事例」に過ぎない

日本は自由民主主義国家だが、中国は一党独裁の「権威主義国家」である。日本の国家指導者は国民による選挙によって選ばれるため、指導者は政権運営の中で国民への聞く耳を捨てることはできない。

しかし、中国ではそうではない。3期目に入った習国家主席のように、そこに政治的自由はなく、習氏が中国人民からの反発を常に警戒しているものの、日本と中国との間には“どれだけ国民の自由・人権を重視するか”、“国家緊急事態になった際、どれだけ国民に負担を押し付けることができるか”で大きな差がある。

中国の「ゼロコロナ」と日本の「ウィズコロナ」の差はそれを証明するもので、日中関係がこじれた際、中国は日本以上に対抗措置を取ることが容易だろう。今回の「水際対策強化」と「ビザ発給停止」においても、明らかに中国側からの方が“攻撃度”が高い。

以上のような事実を踏まえれば、今回のビザ発給停止は「1つの事例」に過ぎない。周知のように、台湾情勢はこれまでになく緊張状態が続いており、中国も米国も台湾問題で譲歩する姿勢を見せず、この問題は米中対立や日中関係を今後大きく悪化させる起爆剤になってしまっている。

米中も日中も外交ルートでは対話の継続を語っているが、その対話は関係を改善させるための対話ではなく、危機を何とかして抑えようとする対話である。要は、何かしら偶発的衝突でも起きれば、対話の機会は失われる可能性が非常に高い。それだけ台湾情勢の核心は重いのである。

反スパイ法の改正で「日本人拘束」が増える可能性

では、今後はどのようなシナリオが考えられるのか。1つに、中国国内における「日本人の拘束」がある。

中国全人代の常務委員会は昨年末、国内でのスパイ活動の摘発強化を目的とした「反スパイ法」の改正案を発表した。改正案は今夏には可決される見込みだが、スパイの定義が大幅に拡大され、摘発対象となる範囲も現行の機密情報から、機密情報に関連する資料やデータ、文献も含まれるようになり、中国国家安全当局の権限やスパイ行為による罰則も強化される。

習政権は発足以来、権力基盤を固めるために、2014年の「反スパイ法」をはじめ、2015年の「国家安全法」、2020年の「香港国家安全維持法」などを次々に施行し、拘束される日本人が後を絶たない。

最近でも、昨秋に懲役6年の刑期を終えた男性が帰国し、男性は「中国が持つ北朝鮮に関する機密情報を日本政府に意図的に提供しようとした」などと全く聞き覚えのない内容の判決を聞かされ、トイレ時も含め24時間監視状態という過酷な環境を語った。

「スパイ法改正」の目的は、国民の反政権的行動を抑えるため、また台湾や米国との関係が悪化する中、軍事・安全保障に関する情報の漏えいを抑えるためだが、日中関係が悪化すればするほど、中国にいる日本人への監視の目が強化されるだろう。

日本経済を揺さぶる、中国の「輸出入停止」「関税引き上げ」

また、もっとマクロな視点からは、日本経済への攻撃という形で重要品目、日本が中国から輸入しないと困る品目を中心に、輸出入規制、関税引き上げなどを強化してくる恐れがある。

中台関係が完全に冷え込み、中国は台湾に対して柑橘類やパイナップル、高級魚やビールなど台湾が重要輸出品とする物に対して一方的に輸入停止にしたが、その矛先が日本に向かうことは十分にあり得る。

以前、尖閣諸島における漁船衝突事件の際、中国側は報復措置として日本向けのレアアース輸出を突然ストップしたことがあるが、重要資源ほど規制対象になる可能性が高いだろう。

今日、日本社会は中国が次に何をしてくるかを不安視している。この時点で日中関係のボールは常に中国側にあることになるが、この環境は今後一層拍車が掛かることだろう。

いずれビザ発給停止が緩和、凍結されたとしても安心するべきではない。中国は「盾と矛」を柔軟に使い分けることで日本を揺さぶり続ける。今回の出来事から、我々はそれを自覚するべきだろう。

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残るは核使用のみ。総司令官にラスボス就任で透けるロシア軍の窮地

昨年2月24日の侵攻開始以来300日以上を費やすも、遥か格下と見ていたウクライナ相手に苦戦するロシア。ここに来て制服組のトップを軍事作戦の総司令官に任命するに至りましたが、この人事は何を表しているのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、ロシア軍の「ラスボス」ともいうべきゲラシモフ参謀総長出陣の意味を解説。プーチン大統領が戦術核を使用する可能性についても言及しています。

ロシア軍の【ラスボス】登場!総司令官交代でどうなる?

今回は、久しぶりに「ロシア―ウクライナ戦争」について。

皆さんご存知のように、ロシア軍は苦戦しています。ロシア軍は、2022年2月24日の侵攻開始からこれまで、3回大きな敗北を喫しています。

1回目は、首都キーウ攻略に失敗したこと。プーチンは当初、「ウクライナ侵攻は、2~3日で終わる」と見ていた。「ゼレンスキーは逃亡し、キーウは速やかに陥落するだろう」と。しかし、ロシア軍はキーウを落とすことができませんでした。

2回目は2022年9月11日、ハルキウ州での戦いに大敗したこと。プーチンは、この敗北に衝撃を受け、二つの重要な決断を下しています。9月21日に「動員令」を出したこと、そして9月30日にルガンスク州、ドネツク州、ザポリージャ州、ヘルソン州をロシアに併合したことです。

3回目の敗北は、11月11日にヘルソン州の首都ヘルソン市を失ったこと。ロシアは、9月末に「併合した」州の州都を、40日後に奪われてしまった。この事実は、これまでプーチンを支持してきたロシア国内の極右勢力をも激怒させています。

プーチンの世界観に大きな影響を与えたとされる地政学者アレクサンドル・ドゥーギンも、ついにプーチン自身を批判しはじめました。時事通信11月14日。

ドゥーギン氏は10日、通信アプリでヘルソン市撤退について「ロシアの州都の一つ」を明け渡したと指摘し、完全な権力を与えられた独裁者は、国民や国家を守るものだと強調。失敗時には、英人類学者フレイザーの古典「金枝篇」中の「雨の王」の運命をたどるとした。干ばつ時に雨を降らせられない支配者が殺されるとの内容を指しているとみられる。

つまりドゥーギンは、「領土を守れないプーチンは、殺される」といっているのです。このように、「ロシア軍の劣勢」は明らかです。

ロシア軍劣勢の証拠=総司令官が頻繁に代わる

昨年2月24日にウクライナ侵攻がはじまったとき、この戦争を指揮する「総司令官」はいなかったようです。プーチンは、「ゼレンスキーが逃亡し、政権は崩壊する。ロシア軍はキーウを2~3日で陥落させることができる」と見ていたからです。

そのため、プーチンは、「戦争」という用語の使用を禁じました。「特別軍事作戦」という言葉を使わなければならない。意味は、「これは、戦争なんて大げさなものではない。2~3日で終わる作戦なんだよ」という意味です。

ところが、ロシア軍は勝てず、戦闘が長期化していく。その為、この戦争の総司令官が必要になったのです。

一人目の総司令官は、2022年4月に任命されたドヴォルニコフ上級大将です。この方は2015年、ロシアによるシリア内戦介入の指揮をとり、名を挙げました。西側メディアは、「シリアの虐殺者」と呼んでいます。

二人目は、ゲンナジー・ジドコ軍政治総局長。アメリカの「戦争研究所」が6月26日、ドヴォルニコフと交代したとの分析を明らかにしました。

三人目。2022年10月、「アルマゲドン将軍」と呼ばれるスロヴィキン上級大将が、総司令官に任命されました。ちなみにBBC2022年10月13日は、スロヴィキン任命について、

ロシアがウクライナでの軍事作戦全体を担う総司令官を正式に指名したのは、今回が初めてのようだ。それまでは、アレクサンドル・ドヴォルニコフ将軍が、総司令官だと複数メディアが報じていた。

としています。スロヴィキン以前は、「事実上の総司令官」ということなのでしょうか。この「アルマゲドン将軍」、クレムリンもロシア国民も非常に期待していたのですが、たった3か月で交代することになりました(これからは、副司令官になるそうです)。

そして、出てきたのが、ロシア軍の【ラスボス】です。

2033年までにロシア崩壊。167人の専門家が予想する10年後の世界

「この先10年以内にロシアは崩壊し、中国は台湾を力で併合する」。米シンクタンクが167名の専門家に行ったアンケートの結果は、私たちに冷酷な現実を突きつけるものでした。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、現地紙が伝えた「2023年までの未来予想」を詳しく紹介。核兵器が使用される可能性や、民主主義の行方についての専門家たちの見立ても取り上げています。

ロシアは10年以内に崩壊するかも

著名な国際外交・安全保障専門家167人のうち半分近くが2033年のロシアの未来をタイトルのように診断した。米国のシンクタンクアトランティック・カウンシルは9日(現地時間)、米国など30国の政府・教育機関・非営利団体に属する国際外交・安全保障専門家を対象に2033年の国際社会の様子についてアンケート調査を行った結果を発表した。中央日報が詳しく伝えているので今回は韓国、日本と直接的には関係のない話だけれど、今後10年間を占う上で多少は参考になるかと考え、ご紹介したい。

アトランティック・カウンシルは「今回のアンケート調査で最も驚くべき結果はロシアが今後10年内に崩壊する可能性が高いと挙げたこと」と伝えた。167人の回答者のうち46%が、ロシアが今後10年以内に失敗または解体されると予想した。その原因として40%が革命、内戦、政治的崩壊などを挙げた。このような危機に追い込まれたロシアが核兵器を使用できる(14%)と見た専門家もいた。

アトランティック・カウンシルのピーター・エンゲルケ副局長はフィナンシャル・タイムズ(FT)に「ウクライナ戦争がロシア社会を内部的に揺るがすなどロシア社会全体にブーメランとして戻ってくる可能性がある」と分析した。

回答者の70%が、中国が10年内に台湾に侵攻し強制的に奪還すると予想した。この場合、米国が台湾を支援する可能性が高く、大国間の戦争は欧州ではなくアジアで起こりうるとアトランティック・カウンシルは伝えた。ウクライナ戦争を通じて紙トラ(ハリボテ)になったロシア軍の実態が明らかになり、ロシアと北大西洋条約機構(NATO)は軍事的衝突がないと予測した。

今後10年間、核危機も深刻化する可能性があると考えていることもわかった。回答者の77%が新国家が核兵器を保有すると予想したが、1位はイラン(68%)だった。サウジアラビア(32%)、韓国(19%)、日本(14%)なども取り上げられた。ただ、半分以上が2033年まで核兵器は実際に使用されないと答えた。

日本人数学博士の女性率たった6%の異常。恐ろしい「無意識バイアス」の現実

日本の大学の理工系学部は男子だらけ。進学する女子が少ないので当然ですが、理系の博士号を取得する女子比率は低く、数学博士に至っては女子比率6%とのこと。世界では56%のルーマニアを筆頭に40%台の国も多く、6%は異常な数字です。理系を志す女子高校生が増えているとの報道に接し、これまでの異常さを伝えるのは、メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』で、健康社会学者の河合薫さん。日本のこうした極端な状況を作ったのは、親世代の思い込みや偏見のせいと指摘。「無意識バイアス」のために可能性の芽を摘んではいないか、価値観を疑う必要があると訴えています。

プロフィール河合薫かわい・かおる
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

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数学って楽しい!?「リケジョ」に関する話題2つ

今回は「リケジョ」に関する話題を2つ取り上げます。1つ目は、大手予備校の分析で「女子受験生で理系志向が高まっている」というニュースです(朝日新聞朝刊1月10日付)。昨年10月に行われた模擬試験のデータで、男女を問わず難関大や「医」「理」「工」などの理系学部への志望者が増えているというのです。

理系を目指す若い女性の少なさは、かねてから問題になっていました。たとえ理系の成績のいい女子生徒がいても、親から理系に進むのを反対されたり、難関大に進学できる成績でも、親から「女の子だから」と言われ、泣く泣くレベルを落として地元に残る女子学生が少なくありませんでした。

つまり、女子学生の進路は「親世代の価値観」と深く関係していたのです。その結果、諸外国に比べて、圧倒的に日本の女性の科学者、理系研究者や教授職の数は少ない状況になっていました。

以前、日経ビジネスで、北海道大学大学院理学研究院の黒岩麻里教授と対談した時も、「体感としては、この10年ほぼ変わらない、10年というかもっと以前から国立大学などで理系の女性の教員を増やそうと試みがされてきていますけど、全く変わらない」と嘆いていました。

これらはすべて「無意識バイアス」によるものです。「女性は理数系が苦手」という無意識の刷り込みが、周りの評価だけでなく、本人の自己評価を下げ、挙げ句の果てに「成績」まで影響します。

今回、理系を積極的に目指す女子学生が増えた背景には、コロナ禍で親の在宅勤務により親子の対話が増えたことや、親世代の価値観にも変化が出てきたことが影響した可能性が高い、とのこと。

無意識バイアスは、あくまでもイメージでしかないので、理系に進む女子学生が増えれば、「理系=男子」というイメージや、「女性=理数系が苦手」というイメージが消え、女子学生の理系志望者が増えていくことが期待できます。

もっと自由に、自分の価値判断で進学する大学や学部を決められるようになれば、低迷する日本の科学の起爆剤になるかもしれません。女性がノーベル博士になる日も近いかもしれない。少しでもいい流れにつながればいいと、心から願います。

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