もはや自衛ではない。今後の「北朝鮮問題」が大きく変わる可能性

北朝鮮の核問題について多くの関係国が公に言及し、厳しく非難しています。今回は、ASEAN+3の首脳会議で話された内容を、韓国在住歴30年を超える日本人著者が発行するメルマガ『 キムチパワー 』で詳しく解説しています。   

戦術核兵器

カンボジアの首都プノンペンで開かれている「東南アジア諸国連合(ASEAN)+3(韓中日)」首脳会議で、北韓の核問題が断然浮き彫りになっている。13日に韓日-韓米-韓日米首脳会談が開かれる前から、北韓の核脅威の当事国である韓国はもちろん、アメリカや中国、日本など関係国の高官が北韓の核問題について公に言及していた。

最も強力な発言はアメリカ側から出た。ホワイトハウスのジェイク・サリバン国家安保補佐官は11日、「習近平主席に北朝鮮が韓米だけでなく、地域全体の平和と安定に脅威になるとの見解を伝える」としたうえで、「北朝鮮が挑発を続ける場合、これは域内でアメリカの安保・軍事駐留(military and security presence)の強化につながるしかない」と述べた。この発言が「在韓米軍増強」を示唆したことが12日までに明らかになり、国際社会の関心が高まった。これについて大統領室の関係者は「アメリカ軍の増強ではなく、アメリカの戦略資産の展開と関連して、より積極的な措置について話したのではないかと思う」と言及した。

ウクライナ戦争を「予言していた人物」が、新たに世界へ伝えたこと

今までさまざまな予言を的中させてきたモスクワ国際関係大学元教授のヴァレリー・ソロヴェイ氏。ロシアの動向が気になる人達から大きな注目を浴びている彼が、新たな動画を公開して話題となっています。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、その動画の内容を公開。プーチンは本当に「詰んだ」のでしょうか。

【降伏せよ!】プーチンは【最後通牒】を受け取った?

今回の話、ネタ元は、モスクワ国際関係大学元教授のヴァレリー・ソロヴェイ氏です。ソロヴェイ氏は11月11日、自身のYouTubeチャンネルで非常に興味深い話をしていました。彼はこれまで、「ウクライナ戦争勃発」「ロシア軍苦戦」「動員」などを、それが実際に起こる数か月前に当ててきました。

今回の話、真相はわかりません。しかし、数々の予測を当ててきたソロヴェイ氏の情報ということで、皆さんにもシェアしたいと思います。

ネタ元動画はこちらです。

Путину предложили сдаться. Что происходит. Выпуск 36. Записан 11 ноября.

ここでソロヴェイ氏が何をいっているのか、要点を書いておきます。

・11月10日、クレムリンは、ウクライナとの取引に関する提案を受け取った
・その本質は、「ロシア降伏の提案」だ

ソロヴェイ氏は、「誰が提案したのか」を断言していません。しかし、常識的に考えると、提案の主体はアメリカ政府でしょう。ソロヴェイ氏によると、ウクライナ政府もこの提案に同意しているとのことです。

では、プーチンが受け取ったとされる提案の中身はどうなっているのでしょうか?

・ロシア軍は、ウクライナ領から全面撤退すること
・ルガンスク州、ドネツク州からも撤退する

ロシアが最近「併合した」と主張しているザポリージャ州、ヘルソン州には触れていません。しかし、ルガンスク、ドネツクから撤退するということは、当然ザポリージャ、ヘルソンからも撤退するということでしょう。

ホンマでっか池田教授が「命名行為」を一種の権力行使と考えるワケ

ウクライナの首都「キエフ」は「キーウ」や「キーフ」と言い換えられるようになり、既に馴染んでいるのではないでしょうか。病名では「痴呆症」が「認知症」になって定着。それまで使われてきた名称の変更が受け入れられるのはどんなときなのでしょう。今回のメルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』では、CX系「ホンマでっか!?TV」でもおなじみ生物学者の池田清彦教授が、生物学会や遺伝子学会の改称提案が受け入れられなかったケースを紹介し、改称の成否を決めるものが何かを考察。名称を変えようとする側には少なからず権力欲があると持論を述べています。

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権力と命名

昔「僕は猫と話ができる」と題するエッセイを書いたことがある(『虫の目で人の世を見る』平凡社新書 所収)。家に時々遊びに来ていた野良猫を、次男が「ネコマン」と名付けたが、当のネコマンは、当たり前のことだが自分の名前を知らないという話を枕に、ネコマンと我が家の交遊を書いた。

命名行為はその名を自分以外の他人に対しても周知させようという、一種の権力行使なのだが、誰もその名を使わなければ、権力行使は空振りに終わってしまう。私の家族は皆ネコマンという名を使ったので、次男の命名権力は家族には到達したが、ネコマンをはじめ家族以外の他者には及ばなかった。

ウスバシロチョウという原始的なアゲハチョウの仲間がいる。このチョウはシロチョウ科ではなく、アゲハチョウ科に属するので、ウスバアゲハと改名すべきだという意見が、チョウの分類のさる権威筋から出されたことがあり、実際それに従っている図鑑もある。しかし、ほとんどのアマチュアのチョウ愛好家は、ウスバシロチョウという以前から馴染んでいる名称を使っていて、権威筋による改名は空振りに終わったみたいだ。名称で一番重要なのは安定性なのだ。

生物の命名法は国際命名規約によって、厳密に定められており、生物の学名は同じ対象を指し示す限り、勝手に改称することはできない。しかし、生物の和名や英名をどう付けるかは、命名規約に縛られていないので、自分が考える基準に従って、現在一般的に使われている名を改名しようという権力欲の強い人が、時々現れてくる。正しい学名は存在しても正しい和名は存在しないにも関わらず、自分が提唱する和名こそ、正しい和名であると主張する人がいるわけだ。

改名を提唱している本人は、合理的な理由によって改名するので、権力行使であるとは露ほど思わないことが普通であろうが、改名の正当性を判断する超越的な審級はないのだから、新しい名称をあまねく行き渡らせようとするのは、権力欲のなせる業に他ならない。

学名以外の名は自然言語なので、多くの人が習慣的に使っている名が時代と共に自然に変わることもある。しかし通常は、国や学会といった権威筋が、改名を提唱して多くの人がそれに従うことで、自然言語の名は、新旧入り乱れながら変わるのである。

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なぜ、日本製デニムは世界的に高評価なのに市場拡大できないのか?

日本製のデニムの世界的評価がとても高いことをご存知でしょうか。その理由をメルマガ『j-fashion journal』の著者でファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんが紹介。世界への市場拡大に向けて、日本が何をすればよいかという提案もしています。

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日本のデニムの技術を活かすには

1.日本のデニムが素晴らしい理由

世界中から日本のデニムは素晴らしいと評価されています。この評価には明確な裏付けがあります。

第一に、藍染めの伝統と技術があること。江戸時代から日本人は藍染め木綿の着物を着用してきました。そして藍を栽培し、すくもに加工する「藍師」、すくもから藍を建てて染色する「紺屋」がいて、それぞれが産業として成長しました。

こうした技術があったからこそ、ロープ染色の構造や技術を素早く理解し、再現することができました。

第二には、日本の糸作りの技術と綿紡績の存在です。日本の綿紡績は混綿技術、細い糸を引く技術に長けています。優秀な綿紡績から高性能の綿糸が供給されたことで、日本の綿織物は世界に輸出することかできたのです。

第三は、日本の織の技術、織機メーカーと機屋の存在です。江戸時代には各藩が特産品を開発するために技術を競い合いました。明治以降は、輸出のために世界各国の織物を研究しました。

それと共に織機も進化し、機械メーカーの技術も進化したのです。

こうした各工程の歴史と技術の積み重ね、研究熱心な技術者の存在により、日本製の織物は世界最高水準に達しました。

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現役精神科医が伝授、ホームページで判る「行ってはいけない病院」

なんとか探し当てて行ってはみたものの診察室で待っていたのは理想とは程遠い医者で、診られる方が気を遣ってしまうなどというケース、少なからず耳にするものです。そんな「地雷医者」を回避する方法はないものでしょうか。11月初旬に創刊されたばかりのメルマガ『バク@精神科医の医者バカ話』では今回、現役の精神科医で内科医としての実績も持つバク先生が、行かない方がいい病院のホームページの見分け方を伝授。「医者ガチャ」の成功率を上げる方法をレクチャーしてくださっています。(この記事は音声でもお聞きいただけます。

この記事の著者・バク@精神科医さんのメルマガ

 

「初診でかかる時の病院選び」について知ってるとちょっと得するかもしれないお話

皆さんこんにちは!メルマガ初心者のバクです。不定期発行としている理由を最初に書きたいと思います。基本的には現在の私の業務予定(勤務医ですので病院から言われた雑用?業務でどうしても忙しい曜日が発生します……というか忙しくない日があること自体「ええ!?」という感じだと思いますが、病院によっては一日座れない日々もありました。今はマシです……)的に現状水曜日か木曜日に発行されることが多いのではないかと思われますが、あくまでも病棟が平和であることが前提なので多少の前後はしそうです(現に今回ずれております)。2回以上は更新しますのでゆるゆるお付き合いください。

さて前回は「精神科カルテに基づく自己紹介」をしましたが、読者の皆様におかれましてはどう思われたでしょうか。普通に生活していると学歴や職歴を聞かれることは就活の時以外はあまりないと思います(時々謎の距離なしマウンターから聞かれることがあるかもしれませんが)が、精神科では大きな診断材料の一つになっています。精神科は前回もお話しした通り外科や内科のように検査結果が明確にドーン!と出ることが少ない分野です。むしろ匠の技のような「熟練した精神科医が感じることができる奇妙さ」というのが診断基準になっている病気もあります(これは統合失調症の患者さんとお話ししているときに我々が「ん?」と感じるプレコックス感というものなどです)。こう聞くと「ええ!?フィーリングなの!?」と感じますよね。

その通りです。

だからこそ精神科医はある程度体系だった病気への治療経験が非常に重要だと個人的には思っています(内科医でもやはり最初は給料が安くても大学病院などの大きな医局で働きながら経験を積んでいる先生の方が信頼度が高いと思います。……習得度はまぁ人それぞれ、人格に至っては修正が効きませんけれど……)。もしも読者の皆さんが体や心に不調をきたした時に変な医者に当たってしまうと物凄く多くの損害を被ってしまいますよね。今回は「初診でかかる時の病院選び」についてちょっとだけ私見を述べたいと思います。残念なことに「これさえ読めば地雷医者を回避できる!」訳ではないのですが、「こんな話もあるんやね……」程度にお話を聞いてくださると嬉しいです。

この記事の著者・バク@精神科医さんのメルマガ

 

諸悪の根源。大企業が自民党議員に握らせる“政治献金”という名の合法ワイロ

政治家個人に対する寄付は禁じられているものの、政党や資金管理団体を通じて彼らの懐に入る政治献金。「議員に便宜を図ってもらうためのカネ」としか思えない政治献金は、実際にどのような弊害を生んでいるのでしょうか。今回のメルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図──政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』では投資コンサルタント&マネーアナリストの神樹兵輔さんが、その全貌を詳細に解説。さらに「合法ワイロ」でしかない政治資金が認められている現状と、そんなカネにあっさり転ぶ自民党所属議員を強く批判しています。

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「政治献金」は諸悪の根源! 直ちに禁止して国民の声(投票結果)が政治に反映される仕組みに転換すべし

今回のテーマは、「諸悪の根源である政治献金はただちに禁止し、大企業優遇に偏る自民党政治にストップをかけ、国民の声を政治に正しく反映させる仕組みに転換すべし!」というテーマでお届けしたいと思います。

みなさまは、以下のような国民を窮乏化させる「今日の状況」が生まれた背景には、どのような経緯があったかをご存じでしょうか。

「労働者派遣法」「消費税導入」「外国人技能実習制度」は、すべて大企業が「政治献金」を自民党に食らわせて作った制度!

たとえば、1986年に「労働者派遣法」 という法律が生まれ、ひとつの企業の中に、正規社員と派遣社員という、ほとんど同じ仕事を行うにもかかわらず、2つの身分的差別を生じてさせている問題があります(2020年時点でパートやアルバイト、契約社員などの非正規雇用2,090万人中の6.6%の138万人が派遣社員)。

劣悪な雇用条件で働く派遣社員のほうは、3割から4割もの賃金を派遣会社にピンハネされるという、それまで禁じられていた第三者企業による 中間搾取」が合法化された事例なのです。

戦前「タコ部屋奴隷労働」を生じさせた反省に鑑み、戦後は労働基準法などで禁じられてきた「中間搾取」を再び合法化し、「有期雇用」「間接雇用」を解禁したのでした。

これによって、不景気の時には、派遣会社による労働ダンピングが行われ、ただでさえ低賃金の派遣労働者の収入を引き下げる仕組みも完了したわけです。

それでいて「中間搾取」を合法化された派遣会社の多くは、今でも違法行為のオンパレードを続けています(無許可・無届営業・禁止業種派遣・偽装請負・二重派遣・女子容姿ランク付け・派遣先企業への履歴書開示や事前面接・マージン率非開示などなど)。

むろん、こうした派遣社員制度というものが、人件費を圧縮抑制するために大企業からの要望で生み出された仕組みであることは、すでに皆さまがご存じの通りなのです。

「消費税率アップ」によって、所得税の累進税率を緩和し、法人税率も引き下げてきた大企業の思惑!

また、1989年には「消費税」という逆進性の高い(収入が低い人ほど負担が重い)税金が、はじめは3%という小さな税率で導入されています。小さく導入して大きく育てる──のが政府のいつもの手口です。

その後2019年10月には税率を10%にまでアップさせ、国民を苦しめます。今や税収の中では、最も大きい額となり、法人税や所得税よりも多いのです(2021年度の消費税収は約22兆円)。

政府は、今後15%から20%超えを目指し、庶民の暮らしをますます圧迫する方向を向いています。

これによって消費需要は、これからもどんどん減衰し、GDPも縮小していくことでしょう。

この消費税の導入を目論んだのも、むろん大企業でした。

併行して、富裕層や経営者層向けには、所得税の累進課税率を緩め、また大企業向けには数多の税率優遇措置を講じさせ、法人税の実行税率を引き下げさせさせたわけです。

結局、消費税収の7割強が、所得税率や法人税率の軽減分の穴埋めに使われただけだったのです。

そもそも消費税によって庶民が苦しくなるのは、所得税や社会保障費(健保や年金など)を支払ったあとの「可処分所得(自由に使えるお金)」の消費に対してまでも「課税」するという二重課税だからです。

この国は、ただでさえ、二重、三重課税だらけです。

ガソリン、酒、タバコなどにはすでに、高率の税が課せられています。

その上に加えて消費税までを課すわけですから、本当に矛盾だらけの政策なのです。

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露軍に10万の死傷者。負けしか見えぬプーチンが受け入れる「和平案」

プーチン大統領による9月末の一方的な併合宣言から40日余りで、ウクライナ南部のヘルソンから撤退したロシア軍。死傷者10万人以上とも報じられるなど苦戦を強いられているロシアですが、停戦を巡り意外なアクションを起こしたようです。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、露側が米国に示したという驚くべき提案を紹介するとともに、和平交渉実現の可能性を検討しています。

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ロ軍、ドニエプル川西岸から撤退

ロ軍は、補給が困難なドニエプル川西岸から撤退の命令をショイグ国防相が発出した。ロシアも長期戦に向けて体制を整備するようだ。今後を検討しよう。

ウ軍は、ルハンスク州で交通の要衝のスバトボに向かっているが、前進できていない。しかし、ヘルソン州ドニエプル川西岸では、ロシア軍のジョイグ国防相が撤退命令を発したことで、ロ軍は流れを打って、ノバ・カホフカに向かって移動している。これに対して、ウ軍は追撃戦をして、州都ヘルソンを奪還した。ドニエプル川西岸をすべて奪還したようである。

今までの流れを見ると、

  • 2月24日 開戦
  • 3月下旬 キーウ防衛成功
  • 4月中旬 巡洋艦モスクワ撃沈
  • 5月中旬 マリウポリ陥落
  • 6月下旬 セベロドネツク撤退
  • 6月下旬 ズミイヌイ島奪還
  • 9月中旬 ハルキウ全土奪還
  • 9月下旬 ロシア部分動員令(強制徴用で反戦運動が起こる)
  • 11月初旬 州都ヘルソン奪還

開戦1カ月で首都キーウ防衛に成功し、開戦7カ月後にハルキウ州を奪還し、開戦8カ月後に州都ヘルソンをも奪還することになった。ウ軍の勝利ではあるが、その裏には米国の助けがあった。この米国に変化が出てきた。

もう少し、詳しく言うと、

  • 9月27日:ロシアがウクライナ4州の併合を問う住民投票を実施
  • 9月30日:一方的な併合宣言
  • 11月11日:ヘルソン州ヘルソン市をウクライナ軍が奪還

で、約42日間しか、ヘルソン市をロシア領にできなかったということである。

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劇場版スラムダンクが“大炎上”?往年のファンが「声優交代」以上に許せなかった理由が判明

声優が交代したことで大炎上している、大人気漫画「SLAM DUNK」(スラムダンク)の新作映画「THE FIRST SLAM DUNK」。しかし、炎上の「真の理由」は、そこでは無かったようだ。「キャンセル不能」の前売りチケットを販売した後にフルCG化を発表したり、今回の声優交代の発表など、長年のアニメ版ファンから総スカンをくらっている本作だが、一体何が一番問題なのだろうか。

ズルいプロモーション手法に批判も

「SLAM DUNK」は、1990年から約6年間にわたって『週刊少年ジャンプ』に連載された井上雄彦原作の人気漫画。1993年からはテレビアニメ化されたが、意外にも放送期間は2年間と短い。今回27年振りに原作者自身が自らメガホンをとり、アニメ化されるということで、アニメファンから期待がかかっていた。

27年を経っても「SLAM DUNK」という作品がファンの「見たい」を刺激するのは、漫画もアニメも、ストーリーが完結しないまま尻切れトンボで終わっていることが、その理由の1つだろう。

漫画版では、全国大会に出場した主人公・桜木花道所属の湘北高校が全国大会に出場。二回戦の山王工業の試合に勝利すると、あっさり次の試合で敗退し幕を閉じた。これは作者の強いこだわりで、「ダラダラ連載を続けるより、一番盛り上がったときに終了したい」という意向だったという。

一方、アニメの方は連載が終了した1996年、クライマックスの「山王戦」が描かれないまま放送終了している。アニメファンは「幻の山王戦」を見ることのないまま、「長いお預け」をくらっていたのだ。

27年ぶりのアニメ「SLAM DUNK」製作発表があると、往年のファンは「あの山王戦が見れるかも……」と期待したのも無理はない。その期待を煽るように、東映動画のYouTubeチャンネルでアニメ版の無料再放送がおこなわれた。ここでファンはてっきり、アニメの最終回からの続き「山王戦」が見られると勘違いしたはずだ。

前売り券が発売された後になって、11月に解禁になった予告にて、以前のアニメの絵柄とは程遠いフルCGであることが判明。さらに、テレビ版の声優が一新されていることも判明する。テレビアニメの続編を期待したファンは、冷や水を浴びせられた気持ちになったに違いない。ファンの中で、アニメのキャラクターと声優の声はガッチリと固定されており、これには違和感をおぼえずにはいられない。

百歩譲って、絵柄やキャストが変わるのは構わない。しかし、大問題なのは「続編が見られるかも、という期待をさせておいて、前売り券を売る」という姑息なプロモーション手段だ。この方法を、原作者であり監督である井上氏は知っていたのだろうか? たとえ山王戦が見られることになっても、声優交代とフルCG化を後出しするのはズルいと言わざるを得ない。

声優交代に「誰が見に行くの?」厳しい声も

今回の声優交代で特に問題になっているのが主人公の声だ。花道の声が草尾毅から木村昴に変更されており、「ドラえもん」のジャイアンや「呪術廻戦」の東堂葵など「既存キャラのイメージが強すぎて入りこめない」と批判の声が多くあがっている。しかも、SNSには今回の予告映像を、オリジナルのキャストの声に入れ替えた動画が広く拡散する始末だ。ネット上には「誰が見に行くの?」と、厳しい声があがっている。

今回の声優交代の炎上で、映画「THE FIRST SLAM DUNK」の公式サイトはコメントを発表。

「私たちは、スラムダンクを昔から愛してくださってる方も、はじめて見る方も、とにかく楽しんでもらいたい、という思いで制作を続けてきました」

としている。しかし、アニメが放送されていたのは27年以上前であり、当然、現在の10代、20代でその存在を知っている人は少ない。とすれば、わざわざ前売り券を買う人はリアルタイムで見ていた「昔から愛してくださってる」30代、40代であることは明白だ。

最初からフルDGの製作であることや、声優交代の情報を公開していれば、この大炎上は防げていたはずである。

トランプ劇場も“終幕”か。米中間選挙で不発に終わった「赤い津波」

多くのメディアが共和党の圧勝を予想したものの、蓋を開けてみれば民主党の大善戦となったアメリカ中間選挙。なぜトランプ前大統領率いる共和党の「赤い津波」は起こらなかったのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では著者でジャーナリストの高野孟さんが、その大きな要因はZ世代の投票行動にあると分析。さらにこのような現実を知ってか知らずか次期大統領選への意欲を示しているバイデン大統領に対しては、「錯乱的」との厳しい見解を示しています。

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※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2022年11月14日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

トランプも、もはやこれまでか?/それにしても見えてこない米国のアイデンティティ喪失症の治療方法

米中間選挙の最終結果は、12月6日のジョージア州での決選投票を経ないと確定しない。しかし、上院では民主党がすでに50議席を確保。仮にジョージア州で敗北しても50:50となり、上院議長を兼ねる副大統領の1票があるので法案は通る。下院では共和党が恐らく過半数の218議席を超えるだろうが圧勝と言えるほど強くはなく、つまりは民主党が恐れていたトランプ前大統領による「赤い津波」は起きなかったということである。

トランプの馬鹿騒ぎ散々の結末

トランプは、自らが落選した2020年大統領選は「不正選挙だった」という主張を支持することを条件に200人ほどの共和党候補を推薦し、実際に選挙応援に駆けつけるなどして8割超を当選させることに成功した。とは言え、その多くは、トランプ支持勢力に擦り寄ることなしには予備選も本選も到底勝ち抜くことが出来そうになかった資質優秀とは言えない弱小候補であり、選挙戦に生き残る方便としてトランプの主張を口先で支持して見せただけという者も少なくない。従って、彼らが1つの大きな塊となって共和党の主流を形成し、2年後のトランプ再登場の舞台を用意する流れになるかどうかは、かなり疑わしい。

むしろ話は逆で、21年1月のトランプ支持者による連邦議会襲撃事件以来これだけの馬鹿騒ぎを繰り広げてきた挙句のこの結末を見て、「トランプは終わった」という感想を抱く共和党支持者もかなり多いと言われる。とすると、例えば今回のフロリダ州知事選でトランプへの媚びなど見せることもなしに悠々と再選を果たしたロン・デサンティスのような真っ当な共和党的保守人士が一気いに浮上して24年の大統領候補となる可能性がむしろ強まったのかもしれない。

ロン・デサンティスは、イタリア系で、イェール大学歴史学科で学びつつ同大学野球部のキャプテンを務めた。卒業後、歴史の教師や野球のコーチをしながらハーバード大学ロースクールで博士号を取得し、途中海軍に入ってイラク戦争に従軍、12年に連邦下院議員に当選という、まさしく文武両道を絵に描いたような44歳。こういう人が出てきてくれないと米共和党もお終いと誰もが思うのではないか。

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統一教会と35年も闘う山口広弁護士が明かした教祖・文鮮明の本性

メディアや国民の声により、ようやく質問権行使の道筋がついた旧統一教会の問題。その成り行きが注目されますが、改めて統一教会とはどんな宗教団体なのか、35年も闘ってきた山口広弁護士との対談で聞いた驚きの事実を伝えるのは、メルマガ『佐高信の筆刀両断』著者で評論家の佐高信さんです。佐高さんはさらに、2019年の統一教会系のイベントに国会議員や地方議員が200人も参加し、地方議員の夫婦36組が教団の儀式「既婚祝福」受けたことや、関連団体「勝共連合」の成り立ちなど、政界に深く侵入する実態を伝えています。

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統一教会との35年の闘い

自宅に1日200件もの嫌がらせ電話を受けながら、めげずに35年も統一教会と闘ってきた弁護士の山口広と私の対談を含む『統一教会との闘い』(旬報社)が刊行された。執筆したのは全国霊感商法対策弁護士連絡会の弁護士たちだが、山口は次のように文鮮明の正体を暴く。

1920年に現在の北朝鮮で生まれた文は1953年に釜山で避難生活をしている時、17歳の高校生をレイプし、男の子が生まれたが、その子を部下の朴普煕の子として朴に育てさせた。アメリカで育ったサミュエル・パクというこの子は、文に人生を台無しにされたとして、文や統一教会を訴えたりしているという。

文は1960年に23歳下の17歳の韓鶴子と結婚し、7男7女、計14人の子が生まれたが、自殺した子も多い。

統一教会関連の『ワシントン・タイムズ』はアメリカで共和党のブッシュ親子やトランプの愛読紙で、彼らは統一教会に協力している。

1997年11月29日にワシントンで行われた合同結婚式でホイットニー・ヒューストンが歌うという情報をキャッチした全国弁連は「あなたの歌が被害者を苦しませることのないよう願っています」と申し入れた。すると彼女は出演をドタキャンしてくれたという。

高野孟が『マスコミ市民』の11月号で、今年の8月15日付『毎日新聞』の記事に触れている。

2019年に常滑市の愛知県国際展示場で「考情文化祝福フェスティバル 名古屋4万名大会」という統一教会系のイベントが行われたが、安倍晋三を撃った山上徹也はそこで韓鶴子をねらうつもりだった。しかし、検問が厳しくて入れず、標的を安倍晋三に替えた。

それはともかく、高野はそのイベントに東海地方と信越地方の一部の国会議員や地方議員が200人も参加したことに驚く。そして、その地方議員の中から36組の夫婦が選ばれて「既婚祝福」(すでに結婚している夫婦が改めて愛を誓う行為)という教団の儀式を受けたことに危機感を抱く。

小林よしのりが「反日カルト」と呼ぶ統一教会について1970年代末にフレイザー委員会(米下院国際関係委員会国際機構小委員会)がアメリカにおける統一教会の動きを調査した。

韓国に朴正熙の軍事政権ができてまもなく、KCIAが創設され、初代長官として金鐘泌が任命された。そして金は勝共連合をKCIAの指揮下においてアメリカと日本の政界工作を行う機関として位置づける。霊感商法というのは、その工作資金を得るための手段だった。だから、親日か反日かはそれほど重要ではなかったのである。

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