ダニは梅雨の前に退治!布団クリーナーを使わず家から一掃する方法

これからの季節、多くの人を悩ます「ダニ」。刺されて痒いわ、ハウスダストの健康被害は怖いわ…。無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』では、晴れた日に効率的にダニ退治が出来るとっておきの裏ワザが紹介されています。

暮らしと科学:ダニ退治

これからの梅雨に向けてダニなどの害虫が本格的に動き出します。特に不衛生な畳や布団でなんだかわからないけど小さく刺されてすごくかゆい…、という場合はダニの可能性大でしょう。

家が古かったりすると、前に住んでいた人のせいでクリーニング後も発生しやすいことがあるので、借家の場合は特に気をつけなければいけません。

布団はかならず面倒でも毎日片付け、万年床は絶対避けましょう。そして換気と布団干しはきわめて大事です。最近はやりのダニがとれるという掃除機は一切とれず紫外線殺菌もクソ程の効果と消費者センターが発表しているくらいなので買わないで真面目に干して手入れしましょう。

殺虫剤としては、ミストタイプのものを外出時に目張りした部屋に置いて数時間薬剤を浸透させて、よく換気しておけば、バリア効果と殺虫効果があります。ただダニは深くに潜ることで難を逃れるものがいるために基本的には乾燥させるのが一番です。

【マンガ】2匹目の猫が来た!心を開かない子猫に漫画家一家の面々は

飲食店の店先で見かけたノラの子猫を拾ってきたという漫画家の大原由軌子さん一家。しかし「うまかつ」という一風変わった名前をつけられたその子は先住猫には喉を鳴らすものの、大原家の人々にはまったく心を許さず…。メルマガ『大原さんちの九州ダイナミック』に、一家4人それぞれの「猫たちとの接し方」が描かれています。

西の國から2016 各々

vol.187-1-入稿

入稿vol.187-2-入稿

ワインが「腸内フローラ」を整える? オランダの研究で新発見

仕事を終えて食事を摂って、そろそろ就寝という時にワインでも飲んでちょっとリラックス。そんな感じで、ゆったりとワインを楽しんでいる人は割と多いのではないでしょうか。そんな素敵なひと時に対して「なんかダラダラとムダな時間の使い方してるかも…」と思う方もいるかもしれませんが、そんなリラックスタイムの最中でも、腸内では意外なことにバクテリアが良い働きをしていること、ご存知でしたか?

オランダ人の便検査で微生物に関連する性質を発見 

科学ジャーナル『Science』で、「人間の微生物コミュニティの多様性に貢献する性質が検査された」という新たな調査結果が公開されたと、米TIMEが報道しています。

その記事によると、オランダを拠点とする団体「Lifelines-DEEP」に所属する1135人のオランダ人の便サンプルを分析した結果、ワインコーヒーお茶ヨーグルトが、その他の物質と比較して、腸の微生物の多様性に確実に貢献していることが判明しました。

ワインといえば、ポリフェノールが身体にいいということはすでにご存知の方も多いと思いますが、さらに腸にも良い効果をもたらす成分が含まれていたんですね。

では、具体的にどのような効果があるのかというと、これらの成分は活力のある「善いバクテリア」を維持させることが可能だと、Expressが伝えています。

腸内フローラの菌を増やして免疫力アップ

腸内では何兆もの「善玉菌」と「悪玉菌」が存在しています。

善玉菌炎症を抑制する働きをもち、一方で悪玉菌は炎症をもたらす働きがあるため、健康でいるためにはこのバランスを取ることがキーとなります。

つまり、こういった様々なタイプの菌は、肥満やその他の病気をもたらす原因にも回避する効果を与えることにもなり得るということです。

一方で、妊娠中に摂取する炭酸飲料の糖分やタバコは、この成分の多様性を減少させるということもわかりました。

オランダ・フローニンゲン大学の遺伝学者Jingyuan Fu氏は、LA Time紙にこう語りました。

「私たちが認知している限りでは、このように大きなスケールにおいて、腸のマイクロバイオーム(人の腸内に住む微生物群)に関連した環境要因などを、これだけ広い範囲で、しかも体系的に査定した初めての研究になります」

このマイクロバイオームとは、大部分の善玉菌、菌類、ウィルスが住むコミュニティ、つまり微生物群のこと。最近、日本では「腸内フローラ」とも呼ばれています。(腸内フローラについては、こちらの記事でも詳しく紹介しています)

このマイクロバイオームは食べ物の消化免疫システム調整などの機能を果たすとも言われています。

さらに、専門家によれば、個々の微生物群の構成が、気分障害肥満過敏性腸症候群を含むその他の疾病に関与しているとも言われています。

今までお酒やカフェインの摂りすぎは良くないと思っていましたが、上記の結果を受けて、食生活から完全に除いてしまうことは必ずしも良いことばかりではないのかもしれません。

バランスを取ることが何よりも大事ですが、ワインやコーヒーをのむ度に、バクテリアが良い働きをしているかと思うと、少し今までとは違った角度から食生活を見直すことができそうですね。

この他にも果物、野菜、ヨーグルトなども良い影響を与えるそうです。

様々な効果があるということが分かった今こそ、各自の体質や体調に合った食事を再考してみるのもいいのかもしれません。

image by:  Shutterstock

source by: TIME, Science, LA Time, Express

文 / 臼井 史佳

新聞各紙は「五輪買収」疑惑をどう報じたか? そこに電通の名は?

突如降って湧いた、東京五輪誘致に絡む2億円以上の不正支払い疑惑。JOCの竹田恒和会長はあくまで「正式な契約に基づくコンサル料」との言を繰り返しますが、その真相は? メルマガ『uttiiの電子版ウォッチ』の著者でジャーナリストの内田誠さんが、この「疑惑」を新聞各紙がどう伝えたのか詳細に分析しています。

各紙は、五輪招致2億円支払い疑惑をどう報じたか

【ラインナップ】

◆1面トップの見出しから……。

《朝日》…「復興「見通せず」5市町」
《読売》…「小中2,143人 心のケア必要」
《毎日》…「アベノミクス再起動」
《東京》…「子ども貧困率調査1県のみ」

◆解説面の見出しから……。

《朝日》…「五輪招致2.3億円 使い道は」
《読売》…「与野党 見えぬ対立軸」
《毎日》…「コンサル費「必要」強調」
《東京》…「部分可視化は「冤罪生む」」

ハドル

熊本地震から1か月、そしてマイナス金利導入から3か月。新聞に限らず、こうした「節目」の重視は人間の性のようなものですかね。季節がめぐって一巡する1年には具体的な根拠があり、もちろん、月がめぐって一巡する1か月にも根拠はあるので、決して「こじつけ」ではありません。それに、マイナス金利はともかく、熊本地震の方は今も大勢の方が避難を続け、30日以上たった今も、まだ大きな揺れに対する恐怖のもと、原状復帰が見通せない不安の中で暮らしておられるということです。国会は補正予算を成立させつつあります。

さて、比較してみたいテーマは、五輪関係のスキャンダルです。1面と解説記事に扱いがない《読売》も社会面では大きく取り上げていますし、《東京》も解説面に準ずる大きな扱いです。というわけで…。今日のテーマは…「各紙は、五輪招致2億円支払い疑惑をどう報じたか」です。

基本的な報道内容

2020年東京五輪招致の不正疑惑で、招致委員会の理事長だったJOCの竹田恒和会長は衆院予算委員会に参考人として出席。2億3,000万円あまりを支払ったシンガポールのコンサルタント会社について、「ペーパーカンパニーではない」と疑惑を否定した。ただし、使途については「確認していない」という。

送金先の「ブラック・タイディングズ社」は、当時IOC委員だったディアク国際陸連前会長の息子の友人。票集めのために買収工作を行った疑惑が浮上している。

竹田会長によれば、招致決定2ヶ月前の2013年7月に開かれ、IOC委員が多く集まる陸上世界選手権の場を「決戦の場」と考え、電通に実績を照会した上で、ブラック・タイディングズ社と契約。IOC委員の動向と情報収集を委託し、対価として約9,500万円、五輪招致成功後の10月に約1億3,500万円、併せて約2億3,000万円を支払ったという。

ペーパーカンパニーでしょ!

【朝日】は2面の解説記事「時時刻刻」。見出しは以下の通り。

  • 五輪招致2.3億円 使い道は
  • 「確認してない」「業務正当」
  • JOC会長 国会説明
  • コンサル 薬物関連の疑惑

uttiiの眼

《朝日》はブラック・タイディングズ社(以下、BT社)について取材している。同社は2006年設立。「シンガポール市街地に近い築50年以上の集合住宅4階の一室を事務所として登録していた」が、14年7月に閉鎖されているとして、同じ集合住宅一階玄関付近の写真を掲載。まあ、これは、「現場にはここまで近付きましたよ」という証文のようなもの。ただし、記事内容と相俟って、BT社が極めて胡散臭い会社との印象を強める効果を生んでいる。

因みに、「Tidings」は吉報とか悲報というときの「報」にあたる言葉で、「知らせ」とか「報せ」ということだから、差し詰め、ブラック・タイディングズは黒い報せ」。なんとも胡散臭い。

《朝日》記事に戻ると…BT社の経営者はシンガポール人のタン・トンハン氏。電通スポーツ部門をサポートしているスイスのマーケティング会社がタン氏をコンサルタントとして契約していたというから、電通にとっては既知の人物だったことになる。また、氏は定期的に国際陸連の会合に出席し、ディアク前会長の息子とも関係が深かったという。

一連の疑惑は、そもそも、ディアク前会長がロシアのドーピング隠しに関わった疑いでフランスの検察当局が捜査を開始し、モナコの国際陸連本部を捜索した過程で、今回の振り込みが発覚したという経緯。さらに、世界反ドーピング機関独立委員会の第2回報告書は、「東京の招致委側が国際陸連に協賛金400万~500万ドルを支払った」という関係者の証言を紹介していて、ただし、この問題は反ドーピング機関の調査対象外とし、フランス当局やIOCに調査を委ねていた。

《朝日》に成り代わって、事件の構図を判りやすく読み解けば、こうなるだろう。

東京の招致委は、招致を勝ち取るため、おそらくは売り込みを掛けてきたBT社の実績について電通の助言を求め、また、BT社が何か根拠を示すことによって、その影響力を信じた。そして、指示されるまま、国際陸連に対して5億円もの協賛金を支払い、さらに会長個人に対して渡ることが確実な2億円以上の賄賂をBT社の口座に振り込んだ。カネの大半はBT社からディアク氏の息子、さらに父親であるディアク陸連会長本人に渡った。会長側は影響下にあるIOC委員を説得するなどして「東京支持」を固めた。

つまり、東京五輪はカネで買ったものだったということになる。

捜査機関はこんな筋書きを脇に置きながら、捜査をしているに違いない。大変なことになった。

黒歴史を忘れない。日本人に突きつけられた「21世紀の不平等」

共産主義・民主主義を問わず「万人、万国が平等」という建前はとうに崩壊、個人や国家間の格差に様々な場所から怒りの声が上がり続けています。そんな世界を我々は、そして日本はどう生き抜いていけばいいのでしょうか。無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者・北野幸伯さんが、歴史を紐解きながらその術を提示しています。

「平等」な民主主義の大ウソ

私の住んでいるロシアは、1991年まで共産主義国家でした。共産主義国家は、「すべての人は平等である」という理想をもって建設されたのです。

ところが、建前どおりには行きませんでした。やはり特権階級が登場した。「すべての人は平等である。しかし、ある人々は、『より平等』である」。ソ連の民は、ぜいたくな暮らしをする共産党幹部をこう皮肉っていました。

「……やっぱり、ソ連はロクなもんじゃないですね!」

その通りです。私は、共産主義者だったことはありません。しかし、こっちに来てみて、「やっぱ共産主義はダメだ!」と実感しました。

「やっぱり民主主義ですよね!」

そのとおりです。私も独裁より民主主義の方がずっとマシ」だと思います。しかし一方で、「民主主義は、『みんな平等』」というのも幻想です。

どこにでもいる、「より平等」な存在

私は、毎年開催される、「ユーロビジョン」という歌コンテストを楽しみにしています。今年は5月14日、スウェーデンで開催され、42か国の代表が歌を披露しました。1位ウクライナ、2位オーストラリア、3位ロシアという結果。

どうやって勝者を決めるのか? 投票で決まるのです。視聴者が、気に入った人に電話で投票する。そうなると、「人口の多い国」が毎回勝ってしまいます。それで、「自国の代表には投票できない。自国以外の人に投票しなければならない」という規則がある。たとえば、ロシアに住む人は、ロシア代表に1票入れることができません。

「視聴者が勝者を決める歌コンテスト」、なんとも「民主主義的」ですね。しかし、ここにも「より平等」な存在がいます。ユーロビジョンには、予選と本選がある。普通の国は、予選でトップ10に入らなければ本選に進めない。しかし、「BIG4」と呼ばれる4か国は、予選に出ず、毎年本選に直行できるのです。イギリス、ドイツ、フランス、スペインです。

「すべての国は平等である。しかし、ある国は、『より平等』である」。こういう欺瞞は、どこにでもあります。たとえば、全加盟国が平等に1票をもつ「国連総会」。

総会の決議には、「強制力」がありません。強制力があるのは、「国連安保理」。そして安保理には、「常任理事国」がいて、「拒否権」をもっている。拒否権をもつ常任理事国とは、アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国。そして、この5大国は、「核兵器拡散防止条約」(NPT)で、「合法的」に核兵器保有を許されている。

NPTは、「5大国以外の核兵器保有を禁止する」「不平等条約」なのです(インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮は、NPT体制に入らず核兵器を保有している)。

ビタミンEが高齢者の体力維持に強く関与。エール大学が報告

このほどアメリカの名門・エール大学医学部が「ビタミンEが高齢者の身体機能の低下を予防する」との調査結果を報告しました。無料メルマガ『Dr.ハセのクスリとサプリメントのお役立ち最新情報』ではこの結果を受け、高齢者だけでなくすべての成人がビタミンEを積極的に摂るべきと提言しています。

ビタミンEは高齢者には特に大切

日本はもちろん、世界中の先進国では寿命が大幅に延びてきましたね。栄養の改善はもとより、抗老化のためのいろいろな研究が功を奏していると思います。特に最近の研究で、抗酸化物質が老化防止に重要であることは常識となりました。

そこで今日は、抗酸化物質のビタミンEが高齢者の体力維持にも強く関係しているという話題です。

これは、エール大学医学部Benedetta Bartali博士らが、米国医学協会発行のJournal of the American Medical Associationに報告したものです。

Serum Micronutrient Concentrations and Decline in Physical Function Among Older Persons

研究は、イタリアフロレンス近郊に住む65歳以上の698名を対象とした調査で、これらの方から血液サンプルを採取し、葉酸、鉄、ビタミンB6、B12、D、Eを測定しました。そして、これら参加者の歩く速さ、椅子の繰り返しの上り下り、立位バランスなどの体力測定を3年間にわたって調べました。

その結果、血液中のビタミンEレベルが体力測定成績と強く関連しており、ビタミンEレベルが低い人の体力は、高い人に比べて1.62倍早く体力低下が起こっていることがわかりました。

エネルギー摂取量やほかの栄養素のレベルには変化が見られず、ビタミンEレベルのみ強い相関が見られたことから、ビタミンEの適切な摂取は高齢者の身体機能の低下を予防すると結論しています。

なお、この研究ではビタミンEサプリメントを摂っていた人はわずか1名だけだったので、サプリメントの服用が効果があるかどうかはわからないようですが、サプリメントや食品などからも多く摂れば効果があることを示しています。

ビタミンEは抗酸化物質として、身体の機能の低下をもたらす体内のフリーラジカルの発生を防ぐといわれています。また、筋肉やDNAダメージを抑制し、動脈硬化などの発生を予防することもわかっています。

これらの効果が総合して身体機能の低下を抑制すると考えられますので、皆様おおいにビタミンEを摂るようになさってください。

image by: Shutterstock

親日の足かせに?台湾・馬総統の置き土産「沖ノ鳥島は岩」発言の狙い

台湾は今月20日、現在の国民党・馬英九総統から、民進党・蔡英文新総統への政権交代を迎える。馬総統は任期の終盤に、南シナ海・スプラトリー(南沙)諸島だけでなく、沖ノ鳥島について、台湾の見解をはっきりと主張するようになった。沖ノ鳥島は、国連海洋法条約(UNCLOS)で言うところの「島」ではなく「岩」だとの主張だ。周辺海域での自国の漁業を正当化するというのが第一義だが、日本との間に解決しなければならない課題を設定することで、新政権の政権運営に縛りを与える効果も持ちそうだ。馬総統のこれらの動きは中国を利する可能性がある。

南シナ海問題で自国の立場を主張。中国の援護にも?

スプラトリー諸島に関しては、中国やフィリピン、台湾などが権利を主張している。台湾は同諸島中、天然地形としては最大の太平島を実効支配している。台湾はこの太平「島」の周囲に排他的経済水域(EEZ)を将来設定したいと考えている(ウォール・ストリート・ジャーナル紙)。

一方、フィリピンは、南シナ海での中国の権利主張の一部が法的に無効だと確認する狙いで、ハーグの常設仲裁裁判所に国際仲裁手続きを申し立てている。その中で、スプラトリー諸島について、同諸島の地形はいずれも「島」ではないという主張も行っている。これは台湾にとっては受け入れられないものだ。「島」でなければ、周囲にEEZは認められないからである。

そこで、馬総統は1月に自ら太平島を訪問、また3月には海外メディア記者を上陸させるなどして、太平島が「島」の要件を満たすことをアピールしてきた。

さらに、台湾政府と緊密な関係にある団体「中華民国国際法学会」が仲裁裁判所に陳述書を提出し、先月、同裁判所がそれを承認したことが判明した(ロイター)。台湾は国連加盟国でもなければ、UNCLOS締結国でもない。それでも同裁は台湾の陳述を検討するという。

かつて馬総統はこの団体の理事長を務めたことがあり、現在も理事を務めているという。馬総統のスポークスマンはロイターに、陳述書は台湾政府に代わって提出されたものではないが、その所見は政府公式の立場と一致したものだと語っている。

台湾がフィリピンの主張に反対することは、中国にとって追い風となりうる。

「沖ノ鳥島は岩だから、周囲で漁をさせよ」という主張

台湾は、太平島に関しては「岩ではなく島」だと主張したが、現在、沖ノ鳥島に関して「島ではなく岩」だと声高に主張している。

4月25日に、沖ノ鳥島周辺の日本のEEZ内で操業していた台湾漁船を、海上保安庁が拿捕(だほ)したのが事の発端だ。これを機に、台湾当局は、沖ノ鳥島は島ではなく、よってその周囲に日本のEEZは存在せず、台湾漁船が自由に操業できる公海だと強く主張するようになった。

現在は、日本のEEZ内に台湾の沿岸警備隊(海岸巡防署)の巡視船などを派遣し、そこで操業する自国の漁船を保護しているという。台湾国営通信社「中央社」ウェブサイト「フォーカス台湾」によると、これらの巡視船は、7日と10日に日本の海上保安庁の巡視船と遭遇している。しかし10日、海保は追尾するだけで、操業中の台湾漁船に対する妨害などは行わなかったそうだ。ただしこのとき遭遇した場所は沖ノ鳥島の南西200カイリとされており、EEZの境界付近だった可能性がある。

台湾の琉球区漁会(漁協に相当)の代表者によると、一部の船主は、巡視船の保護のおかげで、沖ノ鳥島近海でも操業できるようになり、7日分の漁獲量が4日で確保できたと喜んでいるという(フォーカス台湾)。これまで以上に日本のEEZ内で大胆に振る舞うようになっているのかもしれない。

また台湾は海軍艦を付近の海で待機させ、問題が起きた場合には現場に向かい巡視船を支援する態勢を取っているという(同)。

台湾はあくまで漁業権という実利目的との見方

このように、台湾は沖ノ鳥島に関して、これまでになく強硬な姿勢を示すようになってはいるが、同時に、対話による解決を求めていることもアピールしている。ウェブ誌ディプロマットは両国が巡視船を繰り出したことについて、その応酬にもかかわらず、冷静さが優勢だったと語っている。そして、台湾当局高官らが、平和的に解決することを望んでいるという旨の発言をしていることを伝えている。

この件に関して、台湾の狙いはあくまで実利にあるようだ。米シンクタンク「ストラトフォー」は、台湾の主要な関心は商業面だと語っている。台湾の水産庁によると、年間100隻以上の台湾漁船が、枯渇してない漁業資源を求めて、沖ノ鳥島近辺まで乗り出しているという。ディプロマットによると、台湾側は日本に対し、この問題を政治的に利用する気も、謝罪を要求する気もないらしい。

台湾が日本を交渉のテーブルに引っ張り出して何を目指しているかというと、沖ノ鳥島周辺海域での漁業協定を日本と結ぶことのようだ(ディプロマット)。これにはすでに前例がある。日本は2013年、尖閣諸島付近の海域について、漁業権をめぐる「日台漁業取り決め」を結んでいる。

馬総統は6日、訪台した自民党の岸信夫衆院議員との会談で、日台がもしこの問題をめぐる争議を解決できないのなら、両国はこの問題を国際調停、仲裁に付託するべきだと語ったという(フォーカス台湾)。すなわち、国際仲裁裁判所に提訴するということだ。台湾が望むように解決できなければ、という脅しのようにも感じられる。日本は、どちらがより国益にかなうかを慎重に検討する必要がある。

また仮に、フィリピンのケースでの仲裁判断の中で、太平島は島であるという台湾の主張が否定される事態になれば、沖ノ鳥島について仲裁を申し立てれば今度は自分たちが優位に立てると台湾側は考えるのではないか。馬総統は、太平島には淡水が湧き、人が居住できることを重要な論拠としている。一方、沖ノ鳥島は人の居住を維持できない。馬総統はこの点を岸議員との会談でも強調していた。うがった見方をすれば、台湾にとって沖ノ鳥島は一種のヘッジとなる。

日本との関係が低調だと、それだけ中国に対して強気に出られない?

馬政権のこれらの動きは、20日に発足する次期政権に大きな宿題を残しそうだ。ストラトフォーは、沖ノ鳥島をめぐる日本との緊張のために、海洋問題が、新政権下の台湾の最上位の政治課題であり続けるだろう、と語っている。

民進党は海洋問題には比較的関心が低いにもかかわらず、退陣する馬政権はいまだに、新総統の政策課題を設定する上で投票権がある、とストラトフォーは語り、馬総統が新政権の方針を誘導していると示唆している。

さらにストラトフォーは、日本との関係がぎくしゃくすることで、蔡政権の行動に足かせがはめられる可能性を指摘している。中国は、独立志向の強い民進党の新政権を警戒しており、「一つの中国」を蔡政権に受け入れさせるため、国際的に孤立させて圧迫をかけることも辞さない。だが日台が親密な関係を築くことができれば、中国のそのような試みの効果を打ち消すことができる。

日台関係が強固だと、台湾は中国に対して強気な政策を取ることができる、というのがストラトフォーの読みだ。反対に、日台関係が低調だと、「台湾が中国を怒らせるような行動を取る能力が直ちに制限される」としている。

ひょっとすると馬総統は、新政権発足後も親中路線を継続させたいと考えて、沖ノ鳥島を問題化したのだろうか。

(田所秀徳)

 

【関連記事】

初のイスラム系市長誕生の英国に再発した「反ユダヤ主義」という誤算

左派と称されるリベラル主義者たちが最も忌み嫌うのが「差別」だということはもはや常識ですが、イギリスの左派を代表する「労働党」内に、近頃「反ユダヤ主義」が急速に広がっているそうです。ロンドンでは先日、欧州主要都市として初めてのイスラム系市長が誕生したばかり。そんなイギリスで何が起こっているのでしょうか? 無料メルマガ『日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信』の著者で戦略学者の奥山真司さんが詳しく分析しています。

「寛容」を志したら「反ユダヤ主義」が…というパラドックス

おくやまです。パナマ文書の内容が一部公開されたり、オバマ大統領の広島訪問が決定したりと、国際的なニュースにおいては気になる話題が多いですが、今回はイギリスの左派のユダヤ問題について少し。

この話の元ネタは、ニューヨーク・タイムズ紙のコラム欄に掲載された意見記事なのですが、そこで紹介されていた意見が、戦略論的にもなかなか考えさせてくれる内容だったのでとりあげたというわけです。

The British Left’s ‘Jewish Problem’

すでにご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、つい先日行われたイギリスの市長選で、欧州の主要都市としては初の、イスラム系の市長サディク・カーン氏が誕生しました。

これは極めて画期的なことであり、国際的にも大きな話題になったところは記憶に新しいところですが、一般的には移民によって変わりつつあるイギリス社会の姿を象徴した出来事という見方や、イギリスという国のリベラル的な寛容性を示したものとして紹介されておりました。

ところがその一方で、ニューヨーク・タイムズの意見記事では、イギリスの左派を代表する労働党の中に、深刻な反ユダヤ主義anti-semitismが広がっている実態が紹介されております。

「え? 左派って人種差別には厳しいんじゃなかったっけ?」とお感じになった方もいらっしゃるかもしれませんが、それは実は正しい感覚です。というのも、伝統的に「左派」というのは、人権のような「普遍的価値」(universal value)や「平等主義」(egalitalianism)を目指す、リベラルで寛容さを主張する考えを持つ人々のことを指すわけです。

彼らの「」は、特権階級のもたらす不平等や不公平であり、だからこそ一般的な労働者の立場にたって、人種差別のないリベラルな社会を政策で実現していこうと考えるわけです。

イギリスの労働党というのは、まさにこのような思想に立って活動をしている二大政党の一つであるわけですが、ニューヨーク・タイムズ紙のコラムで紹介されていたのは、この労働党の実力者たちの間に最近「反ユダヤ主義的な失言があったということ。

具体的には、イングランド北部のブラッドフォード地区選出のナシーム・シャー労働党所属議員の「イスラエルを国ごとアメリカに移してしまえ」という失言や、ケン・リヴィングストン前ロンドン市長が「ヒトラーは30年代までユダヤ人国家建設を目指すシオニスト運動を支援していた」という誤った歴史認識を披露したというものです。

「左派って、ナチスがやったような反ユダヤ主義には厳しいはずじゃ…」という感想はまさにその通りでして、左派のリベラルというのは、本来このような人種差別を、「人権」や「平等」という概念を掲げながら徹底的に攻撃する役割を持っていたのです。

けんしょう亭

試写会招待状もペーパーレス時代?不正転売に対応する懸賞の最新事情

月刊誌『懸賞なび』で「懸賞ほう・れん・そう」を好評連載中のマンガ家、蛸山めがねさんが懸賞に関するアレコレを教えてくれるメルマガ『新鮮な懸賞情報お届け!!『けんしょう亭』』。今回は懸賞の中でも人気の高い映画の試写会の当選ハガキについて。実際に出演者が登壇することも多い試写会は当選後の不正転売が多いのは周知の事実です。そこで最近の当選ハガキにはいろいろと工夫が施してあるようです。

懸賞応募シール転売防止策と試写会ハガキ

『新鮮な懸賞情報おとどけ!!けんしょう亭』30回目の配信です!

さ、今回は先週配信した懸賞応募シール転売から続く話をば。

さて懸賞をやっている方はご存知かと思いますが、試写会当選のお知らせは試写状になっているハガキで届くことが多く、先日私のところにも某映画の試写状が届いたのですが転売防止シールが貼ってあったのでした。

映画の試写会を実施する企業側から考えると、試写会ハガキが転売され高値がつくことへの対策と、出演者登壇の際は特に、試写会参加者の身元が判明していたほうが安心というのも考えられます。

他にも映画の鑑賞券が当たった際は、カードが届いて

シリアルナンバー付き鑑賞券
 
記載されているシリアルナンバーをチケット購入サイトに入力して、鑑賞券を入手する方法であったり、試写会当選もメールでもらって、試写会場に入場する際も当選メールを提示する方法が増えてきていると実感しております。

上記のように試写状転売防止の理由もあるでしょうが、応募者のデータ管理の面からいっても、映画の試写状もペーパーレスが進むかもしれませんね。

はっ!柄にもなく、なんか真面目なことを書いてしまいました。
では、また木曜日にお会いしましょう!

 

新鮮な懸賞情報お届け!!『けんしょう亭』

著者/蛸山めがね
月刊誌『懸賞なび』で「懸賞ほう・れん・そう」を好評連載中のマンガ家が懸賞に関するアレコレを一コママンガとともに書き綴ります。
<<登録はこちら>>

ケンタッキーはKFCじゃなかった。こんなにも違う!海外のKFC事情

「KFC」の名で世界中で長年愛され続けている、ケンタッキーフライドチキン。 日本では1970年代にお店がオープンし、現在に至るまで老若男女問わず、支持されています。日本のみならず、世界で展開されているKFCですが、呼び方や、メニューは各国で違うです。今回は各国のKFC事情を探りました。

カナダはKFCではなくPFK!? 

ときどき無性に食べたくなるもの…。

そう、日本でもおなじみのケンタッキー。

日本でも海外でもKFCの表記で有名ですが、世界のある一部のエリアだけは「PFK」というらしいのです。

皆さん、どこかわかりますか?

正解はカナダのケベック州

「PFK」とは、Poulet Frit Kentuckeyの略で、フランス語名称の頭文字です。

3861407872_168ca92bfa_z

 

カナダの中でもフランス語圏であるケベック州のみが、こう呼んでいるんだそうです。

ジェラード王国イタリアKFCは、スイーツメニューが豊富

ファストフードの店が少ないイタリアでは、なんと2014年に初上陸のKFC。

イタリア国内では、2016年4月時点で6店舗運営されています。

そしてイタリアといえば毎日でも食べたい名物ジェラート

イタリアのKFCメニューも、他の国に比べるスイーツメニューが豊富な点がイタリアKFCの魅力です。

KFC-base-quadrata-SundaeFragola

thumbnail_610_gel_KreamBallCaramello2

シンガポールではライスメニューも

西洋と東洋文化が融合されたエキゾチックな雰囲気が魅力のシンガポールでは、なんとチキンと一緒にライスがついてくるメニューも

牛肉よりも鶏肉が人気がある東南アジアのシンガポールでは、モーニング・メニューだけでなく、平日限定メニュー、週末限定メニューなど幅広く展開されているのが特徴です

メープルシロップの産地カナダには日本の定番のビスケットはない!?

日本ではおなじみのビスケット。

22_main

メープルシロップをたくさんかけて食べるこのメニューも、メープルシロップの産地カナダにはないという驚きの事実が。

カナダのKFCの特徴はポテトなどにつけるソース類がとにかく豊富。

そして定番メニューにはグレービーソースやチーズがトッピングされているチキン・ボールも。

その国の人々の嗜好にあわせてメニューも変えている柔軟性が、全世界で展開されているKFCの魅力なのかもしれません。

海外に行った際には、ぜひその国ならではのKFCメニューを食べてみるのも面白いかも!

image by: Ken Wolter / Shutterstock.com

記事提供:海外留学のEF