M&Aは業界大手とメインバンクのどちらに依頼すべきか?事業再生コンサルが一銭の得にもならぬが敢えて書く

M&Aの売り手企業サイドとして頭を悩ますのが、どこの誰に手続きを依頼するかという問題。その道のプロはどのような考えを持っているのでしょうか。今回のメルマガ『『倒産危機は自力で乗り越えられる!』 by 吉田猫次郎』では、著者で事業再生コンサルタント、作家、CTP認定事業再生士の顔を持つ吉田猫次郎さんが、M&Aの成功例と失敗例をそれぞれ挙げ、その依頼先選びについてのアドバイスを記しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:メインバンクにM&Aを委ねるという選択肢

メインバンクにM&Aを委ねるという選択肢

今回は私にとって一銭のトクにもならないことを書きます。

昨今、中小企業のM&Aが盛んになってきていることは、皆様もご承知のことと思います。かくいう私も、事業再生や事業承継の相談を数多く受けている中で、その手段のひとつとしてM&Aをおすすめする場面が年々増えていますし、国のM&A支援機関にも登録しています。

M&A支援機関は現在、3,000社以上あります。業界大手、中小のM&A専門、コンサル、会計事務所、金融機関など、その系列はさまざまです。どこに依頼すべきか、悩ましいですね。

そんな中、対照的な事例を2つ目の当たりにする機会がありましたので、ここで取り上げたいと思います。

1.業界大手にM&Aを依頼して、不幸になったA社

この会社は年商8億円、当期純利益4,000万円ほどの規模ですが、DM営業でよく知られている大手M&A仲介会社に依頼して買い手を探し、結果、2億円ほどで売れました。

成約までに要した時間は5か月と、かなり短いほうでした。手数料は、あれこれ合わせて2,500万円ほどかかったそうです。社長は全株式を手放し、その対価として、手取り1億ウン千万円を手にし、さらには、売却後も取締役として仕事に関わらせてもらうことができました。

ここまでは良かった…。

しかし、本件では「買い手」のほうに問題がありました。通常、M&Aの実務では、売り手のことをじっくり調べるのは当然ですが、買い手の調査については、売り手ほどは入念ではありません。

また、大手のM&A仲介会社は手数料で稼ぐビジネスモデルですし、担当者も成約件数に応じて給料が大きく変わりますので、とかくスピード成約に向けて躍起になりがちだと思います。

その結果、買い手の企業体質に問題があるのを見過ごして、M&A後に不幸な結果をもたらしてしまうこともあるようで、実際、A社はM&A後にヒト・モノ・カネの全てにおいて、かなり苦労を強いられています。

にもかかわらず、M&A仲介会社はアフターサービス無しです。

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「いつまでも若手気分」な高齢者は嫌われる。周囲に“扱いづらさ”を感じさせるシニア社員の幼稚な振る舞い

先日掲載のこちらの記事をはじめ、これまでたびたび我が国の高齢者をめぐる問題の考察を重ねてきた、健康社会学者の河合薫さん。「老害」なる言葉についても「シニアvs.若者という対立を鮮明にするために使われているようにしか思えない」とするなど、鋭い分析を展開してきました。そんな河合さんは今回、自身のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』で、世界的に注目されているという「エイジズム」の概念とその問題点を紹介するとともに、「シニア社員は扱いにくい」と苦言を呈する人があとを絶たない理由を推測しています。

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※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:超高齢社会の稼ぎ方

プロフィール河合薫かわいかおる
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

超高齢社会の稼ぎ方

「年齢は単なる数字」という人たちがいます。しかしながら、若々しさを保っていることと、成熟してない大人でいることは別。いつまでも「若手気分」でいるシニアは嫌われます。

そんな中、最近世界的に関心を集めているのが「エイジズム」です。

エイジズムは1969年に、アメリカの老年医学者ロバート・バトラーが提唱した概念で、「高齢であることを理由とした体系的なステレオタイプ化と差別のプロセス」と定義されています。当時のアメリカ社会は公民権運動が最高潮に達し、フェミニズム(女性解放運動)の第2波が始まった時期でもありました。エイジズムもその流れで生まれ、その他の差別同様「ステレオタイプ」として社会に定着し、生きづらさへとつながっていくのです。

ステレオタイプの最大の問題は、「ステレオタイプ脅威=ステレオタイプの内面化」として、社会の損失に発展すること。

例えば、「高齢者は能力が低い」「高齢者は物覚えが悪い」「高齢者は考え方が古い」「高齢者はITに弱い」といったステレオタイプが、「やっぱり高齢者に質の高い仕事を任せるのはリスクが高いよね~」という機会の喪失につながり、高齢者自身も「どうせ年だから」「どうせ誰も期待してないから」とやる気を失ったり、「どうせ高齢者をバカにしてんだろう!」と乱暴に振る舞ったりと、孤立していく。これらはすべて「人」という社会のリソースの欠損を意味します。

「ステレオタイプ脅威」にさらされると不安感が過剰に高まるため、自尊心が著しく低下し、心身の健康が脅かされるケースも少なくありません。超高齢社会の日本では医療費の増加が懸念されていますが、エイジズムが医療費増額の要因の一つにもなっているのです。

この記事の著者・河合薫さんのメルマガ

アメリカでは大学スポーツ選手の自死が急増しているという研究結果

アメリカでは、大学スポーツ選手の自死が問題となっています。今回のもりさわメンタルクリニックの無料メルマガ『精神医学論文マガジン』では、20年間の自死の割合について調べた研究を紹介しています。

アメリカの大学スポーツ選手の自死が急増している

◎要約:『アメリカの大学スポーツ選手で特に近年、自死による死亡が増加している』

今回は、アメリカにおける大学スポーツ選手の自死について、20年間の経過を調べた研究をご紹介します。

Suicide in National Collegiate Athletic Association athletes: a 20-year analysis

全米大学体育協会の選手における自死:20年間の分析

2002~2022年の20年間における全米大学体育協会所属選手の死亡者1,102人が分析の対象となりました。

結果として、以下の内容が示されました。

・上記のうち128人(11.6%)が自殺によるものでした(男性98人、女性30人)。

・最近10年間で、自死は2番目に多い死因となっていました。

・最近10年間とその前の10年間を比較してみると、自死による死亡の割合は倍増していました(7.6%→15.3%)

・男性でほぼ直線を描いて自死による死亡が増加しており、女性では2010~2011年で最も低下した後に増加していました。

・男性のクロスカントリー選手で、最も自死による死亡率が多くなっていました。

・競争力が高く、奨学金の額も高い第1部門の選手で(第2、第3部門と比較して)自死による死亡が最も多くなっていました。

増加の傾向が大きくなっており、今後の対応を検討する必要性を強く感じる内容でした。

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あなたのお店は大丈夫?ただの「いらっしゃいませ」ではまったく意味がない

あなたのお店では、どんなあいさつを導入していますか? 逆に、あなたが客として他のお店にいったとき、印象に残るあいさつはあったでしょうか? 無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』の著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんは、ショップでのあいさつの意味を掘り下げて、目的に応じたあいさつの仕方を考えてみようと促します。

お客様に「顔を上げてもらう」には

ショップで行なうあいさつにはいろんな意味があります。

お客様を歓迎していることを伝える意味もありますし、ちゃんと気づいていると伝える意味もありますし、印象を良く見せる意味もありますし、あまり言いたくありませんが、防犯につながる意味もあります。

それらをまとめてできるのがショップで行なうあいさつです。

この日常的に行なっているあいさつにも、いくつかの言い方がありますよね。

「いらっしゃいませ」が最も代表格ですが、時間帯に合わせた「こんにちは」や「こんばんは」と言ったあいさつもできます。

両方を使っても良いわけで、何をどう使うかはその店のルールや個人の判断に任せられています。

だから別に何と言おうと自由です。

ただせっかくなら、あいさつでできるもう一つのことにも目を向けてみると良いかもしれません。

あいさつでできるもう一つとは、『お客様の顔を上げる』ことです。

店の作りなどにもよるのですが、(商品がどう並んでいるかとか)お客様って店員の顔を見ながら入店することはあまりありません。

普通は商品に目が向くもので、陳列されている商品を見ながら、「何か良いのあるかなー」と入ってきます。

この商品は多くの場合、見やすい位置にレイアウトされているものですから、位置としては少し低いことが多い。

つまりお客様の目線や顔は下がっていることが実は結構多いのです。

販売員が接客をする時には、販売員に目線を向けてもらえるかどうかはこれまた大事なポイントになります。

声をかけても目線を向けてもらえないとどうしてもコミュニケーションが取りづらくなるからです。

そのためにあいさつを活用して、顔を上げてもらい目線をもらえるようにするということなんですね。

本当はプロボウラーになるハズだった落合博満に起きた「予期せぬ妨害」

落合博満さんといえば、プロ野球のスーパースターであり、監督としても名をはせましたよね。無料メルマガ『【スキル×運】で年収1000万円を目指せ!』の著者・佐藤しょうおんさんは、彼が野球という道につく一因となったお話から「方位と速度が大切である」と語っています。

落合博満に学ぶ「方位と速度」

いきなり方位という単語を使うと、これは九星気学の方位取りか?って思うかもしれませんが、左に非ず。

ここでいう方位とはどちらに向かっているのか、つまり何をやろうとしているのかということです。そして速度は達成するまでのスピード。この掛け算で未来が決まるわけですね。

ここで最も大事なことは方位で、これはどこに向かっているのか、何をやろうとしているのかですから、これが正しくなければ、永遠に目指すべきゴールに辿り着くことはできないんですね。

厄介なのは速度でして、多くの人は最短時間で、つまり最速でゴールに向かいたいと考えるわけです。これは当然なんですが、ところがこの速度というのはなかなか思い通りにはいかないモノなんですよ。進んでいる道が、キレイなアスファルトで舗装されている道なら、80キロでも100キロでも出せますが、デコボコだったり、砂利道だったり、段差があったりしたら、どうしても速度を落とさなきゃならないわけですよ。

そしてこの道路の状況というのは、自分の意志ではどうにもならないこともあるわけ。むしろ、自分の意志でどうにもならないことの方が圧倒的に多いわけです。

その時に、力技で速度を上げようとするのは実は得策とは言えなかったりするんです。そこになんらかの意志、怪しい系でいえば、ハイヤーセルフの意志を感じたりすることができたら、人生のアヤというか奥深さを感じることができたりするんです。

何の話をしているのか分からないと思うので、ここで著名人の例を出してみましょう。

プロ野球の世界に、落合博満という有名人がいまして、この人は史上初めてとなる3回の三冠王を獲ったスーパースターです。しかしこの人は、PL学園の清原や桑田のように、アマチュアの頃から有名で注目されていたわけではありません。というか、完全に無名の人で、野球部員としても幽霊部員として有名で、試合の時にフラッとメンバーにいたかと思えば、試合が終わったら退部しているみたいな感じだったらしいです。

このあたりの話はWikiにも書かれていますが、これは高校を卒業してプロに入ったわけではありません。大学に入って野球部に入部したんですが、ケガをして退部しそこから中退となってしまうわけです。その後は、特にやりたいこともなく、ブラブラとしていまして、実兄が支配人をしているボーリング場でバイトをしていたようです。ところがボーリングに天性の才能があったようで、あっという間に上達しプロになろうと考えたんです。

とんかつ定食が「ざるうどん」よりも食後血糖値が低いのはなぜ?

とんかつ定食とざるうどん、糖質量は同じなのですが、実は食後の血糖値に差があるそうなのです。メルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』著者で糖尿病専門医の江部康二先生は、その差について詳しく解説しています。

とんかつ定食とざるうどん、糖質量は同一でも食後血糖値に差

Question

shitumonとんかつ定食など、たんぱく質や脂質が多い食事を摂ると、食後2時間の血糖値は140mg/dlくらいです。

ざるうどんを食べると、2時間後血糖値が240mg/dlくらいになります。量は、普通の1人前です。

食前の血糖値は、96mg/dl前後、糖質量は、どちらも70g程度です。

糖質制限をしている背景もありますし、とんかつ定食の場合、GLP-1やGIPにより、インスリンが分泌されているから食後の血糖値が低くなっているのだと思います。

しかしそもそもインスリンが出ているのであれば、酸化ストレスやAGESのことを考えると、食後の血糖値が140mg/dlくらいでもご飯は食べない方がいいのでしょうか?

江部先生からの回答

とんかつ定食とざるうどん、合計糖質量は同一なのに食後血糖値の上昇に大きな差があるとのことです。

可能ならば、もう一度実験されて、とんかつ定食摂取1時間後血糖値とざるうどん食後1時間血糖値を測定してみましょう。

食前 ⇒ 食後1時間血糖値 ⇒ 食後2時間血糖値

の測定ですね。

さて、GLP-1には、インスリン分泌促進やグルカゴン分泌抑制以外にも、脂肪分解を促進したり、心機能を保護したりする効果があります。

また、GLP-1は骨格筋における筋組織の血流増加やGLUT4の発現増加を促します。

このように、GLP-1はいろんな作用で血糖値を下げてくれるとてもいい奴なのです。

GIPは、GLP-1に比べると、効果はかなり小さいです。

次に、

1) 一価不飽和脂肪酸

2) 多価不飽和脂肪酸、

3) 食物繊維

の効能について考えてみます。

例えば、オリーブオイル豊富な地中海料理は、糖尿病食としてすでに一定の評価を得ていますが、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、食物繊維が豊富なのです。

この3つの栄養素が、GLP-1の分泌を高めてくれることが大きなプラスとなっているのです。

中国製EVの関税を4倍に!バイデン追加関税に見る民主選挙の弊害

5月14日、アメリカのバイデン政権は電気自動車(EV)や半導体など7分野に追加関税を課すことを発表。EVに関しては現行の25%から100%に引き上げるとしました。こうした刺激的で短絡的な政策を取ってしまうことについて、民主選挙の弊害の一つと論じるのは、多くの中国関連書を執筆している拓殖大学の富坂聰教授です。今回のメルマガ『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』では、「関税を負担するのはアメリカ国民である」と、トランプ時代の制裁関税を否定していたバイデン氏の主張を紹介。産業界からの要望もないのに政治が先行する事態を冷ややかに観察しています。

制裁や嫌がらせでは中国を止められないことの証明となりかねないバイデンの追加関税

民主選挙のない国──。中国の政治体制を西側先進国が批判するときの常套句だ。裏側には民意を汲み取る制度を持つ国の優越感と自負が滲む。もちろん、政治に民意を反映させるシステムは大切だ。だが、方法は一つではない。しかも高い理念とは裏腹に、民主選挙には弊害も多い。どの政治家もライバルを倒すことに拘泥するあまり、短絡的で刺激的な政策に走る傾向を帯びるからだ。

今年11月に予定されるアメリカ大統領選挙は、そうした弊害が顕著となるケースかもしれない。世界を巻き込んで行われる選挙であり、常に攻撃の対象を求める。現状、その最高のターゲットは中国だ。

5月14日、バイデン政権は中国からの輸入品のうち電気自動車(EV)や半導体、太陽光発電関連製品など7分野について、制裁関税を大幅に引き上げると発表した。日本のメディアも反応し、「バイデン政権、中国製EVの関税を4倍の100%に引き上げ…対中強硬姿勢アピールか」(読売新聞)などと報じた。

今回の追加関税が中国のEVを狙ったものであることは言を俟たない。だが一方で政治的な要因も小さくない。アメリカのメディアの多くは、むしろ後者にスポットライトを当てた。

バイデン関税が発表された直後には、早速ドナルド・トランプ前大統領が、「もっと前にやるべきだった。ほかの自動車や多くの製品にもやらなければならない」とけん制。ガソリン車にも関税をかけるべきだ、とバイデンの手緩さを攻撃した。確かにアメリカ市場における中国の新エネルギー車のシェアは僅かに2%しかなく、狙うならガソリン車の方が効果的だ。しかし中国車の対米輸出は22年が最高で14764台。昨年は10970台と存在感は薄い。

EVはこれからの市場で、のびしろのある産業だ。それを中国に奪われたくないとするバイデン政権の動機は理解できる。米通商代表部(USTR)のキャサリン・タイ代表は、「中国がメキシコ経由でアメリカにEVを輸入する動きを厳しく監視する」とまで語った。

だが、追加関税が妙手だと報じた米メディアは少ない。そもそも数年前までバイデン政権は、トランプ時代の制裁関税に否定的な考え方を示してきた。米公共放送PBSは、ジャネット・イエレン財務長官を迎えた番組(「NewsHour」5月15日)のなかで、「長官の見解は以前と変わったのか?」とこう突っ込んでいる。

「21年7月、長官はトランプ時代の関税について訊かれ、『関税は消費者への課税である。場合によっては国民に痛みをもたらすかもしれない』とおっしゃっていますよ」

ジム・ロジャーズ氏「最後の米株ラリーを経て世界恐慌は2025-26年、私の生涯で最悪の事態になるでしょう」ダウ史上最高値からの暴落を回避するQ&A

世界三大投資家の一人、ジム・ロジャーズ氏のメルマガ『Make Japan Great Again』では、5月限定で初月購読料無料キャンペーンを実施中。そこで今回はその中から、アメリカ株式市場ドル円相場に関するQ&Aをピックアップしてご紹介する。メルマガではジム・ロジャーズ氏への直接質問も可能、あなたからの質問を楽しみにお待ちしている。

プロフィールジム・ロジャーズJim Rogers
ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロスと並び世界三大投資家と称される。1942年、米国アラバマ州生まれ。イェール大学で歴史学、オックスフォード大学で哲学を修めた後、ウォール街で働く。1970年代にジョージ・ソロスとクォンタム・ファンドを設立し、10年間で驚異的なリターン を上げる。37歳で引退した後、コロンビア大学で金融論を指導する傍ら、テレビやラジオのコメンテーターとして活躍。株式や債券・為替など金融市場への造詣が深くその投資判断に大きな注目が集まる。

ジム・ロジャーズ氏のメルマガ

「世界恐慌は早ければ2025年にも。私の生涯で最悪の事態になるでしょう」

読者からの質問

近年中に世界恐慌は起こるでしょうか?今のバブルはいつはじけるでしょうか?私は金先物ダブルブルで積立を始めようと思っています。いい投資だと思いますか?円安はどこまで進むのでしょうか?

ジム・ロジャーズ氏の回答

大きな問題が起きたときに備えて、私は金も銀も保有しており、売るつもりはありません。何か問題が起きると、世界はいつも金と銀に目を向けてきましたよね。そして、これからもそうし続けるでしょう。だから私は、もしまた世界が大きな経済問題を起こしたときに備えて、金と銀を保有しています。

おそらく来年か再来年に世界恐慌は起きるでしょう。というのも、2008年からの歴史を見てください。2009年以降、いたるところで負債が急増しています。アメリカだけでなく、どこの国でも食べることに困っている方がいます。中国でさえ、負債を抱えています。だから、次に問題が起きたら、私が生きている間で最悪の事態になるでしょう

だから心配してください。でも皆さん、何が起きているのかを理解すれば、心配にはなるでしょうが、備えはできるはずです。そして、何が起きても大丈夫なように準備すれば、おそらく上手くいきます。どんなに悪い状況でも、いつも上手くいく人たちはいます。あなたがその一人になることを願います。私も生き残ることを願っています。

金先物に関して、トレードの仕方によっては、誰にでもできるものではない気がします。しかし、自分のやっていることが分かっていれば、先物で大金持ちになることはできるでしょう。

レバレッジは破産することもあるので気をつけてほしいです。ほとんどの人が苦しみますが、自分のやっていることが分かっている人にとっては、レバレッジはすぐに大金持ちになれる手段です。そのことを十分に理解せずに先物を見ている人のために、このような注意書きを入れておくべきだと感じました。

もし、あなたが自分のやっていることを十分に理解し、わかっているのであれば、先物は素晴らしいものです。

バブルが弾けるという点では、私たちは何も時間を計ろうとしているわけではありません。今度、株式市場の問題、経済の問題が起きたら、私の生涯で最悪の事態になるでしょう。というのも、前回問題が起きた2008年と比較すると、負債が大きな問題になっているからです。

2008年のリーマンショック時には中国が世界を救済してくれました。しかし今、中国でさえ莫大な負債を抱えています。日本もアメリカも驚異的な負債を抱えています。つまり、世界を見渡しても、これほど多くの負債を抱えた時代は、世界の歴史上ほとんどないのです。しかも、それは毎日増え続けています。

アメリカや日本の現状を見れば、人間が物理的に返済できる方法はありません。これは持続可能な状況ではありません。

それと円安は対ドルでどこまで進むのかという質問ですが、私の生涯の中で、対ドルでの375円という数字を見たことがあります。円相場が375円だった時、日本は健全だと誰もが思っていました。健全な国で、経済もうまく回っていました。しかし、375円以降、日本の借金は急増し、人口は減少しています。

では、なぜ円は再び375円にならないのでしょうか?なぜなら、日本の銀行家たちは毎日、目を覚ますと全力でお金を刷り始めるからです。彼らはそれが得意なのです。日本人は決心すればいろいろなことができます。

しかし、なぜ円が崩れないのか私にはわかりません。今後数年のうちに――それを防ぐことができるのは、ドルがさらに悪化した場合だけでしょう。米ドルが大惨事になることです。それに比べれば、終わりは良く見えるだろうが、良くはないでしょう。

ジム・ロジャーズ氏のメルマガ

解散総選挙なら自民大敗「衝撃の予想議席数」…政局マニア岸田総理が上川「うまずして」発言の揚げ足を取るしかない理由

多くの有権者から政権交代を望む声が上がる中、岸田総理がそれでも衆院解散・総選挙に打って出る可能性は現時点でどの程度か?その場合、各陣営の議席数はどう変化するか?米国在住作家の冷泉彰彦氏が、直近の政局分析をもとに予想する。一方、解散は当面できないと情勢判断した場合、岸田総理にとっては自身の延命と保身が課題に。そこで注目されるのが上川外相の「うまずして」発言だ。自民党内で麻生氏を牽制したい岸田氏の“秘策”を探る。(メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:日本の政局を考える

ポイント1:自民の派閥や裏金は嫌われても、地盤は維持される

あまりバラバラに考えても仕方がないので、今回は現時点(2024年5月20日時点)での日本の政局について考えてみます。具体的には、解散総選挙の可能性と、その場合の結果の予想、そして当面描けるシナリオという順で議論してみましょう。

まず、全体を考える上での留意点を3つ確認しておきたいと思います。

1つ目としては、当分の間は自由民主党という看板、そしてそのサブブランドとしての旧清和会安倍派とか、志帥会二階派という名前、あるいは裏金議員といった名指しは、有権者からは強く嫌われるでしょう。

ただ同時に、この裏金問題の本質である、地方組織のタカリという問題、つまり宴席でのオゴリから冠婚葬祭、観劇や桜を見る的なイベントに至る「地盤側」の収賄構造が暴かれることもないのだと思います。

ということは、裏金議員たち本人は強烈な被害者意識と居直りの姿勢を維持、一方で問題の本質を突いた改革もなしということで進むと思います。

【関連】日本人が知らない自民党議員の大義と「被害者意識」なぜ彼らは世論をいとも容易く無視できるのか?

ポイント2:有権者は政権交代の意欲あり、ただし世代間で温度差も

2つ目は、これに対して有権者は「乗り換え意欲満々」という感じであることです。これは、細川内閣を誕生させた1993年や鳩山内閣を誕生させた2009年の総選挙時と類似の状況があります。選挙前の雰囲気ということでは、自民党に政権奪還をさせた2012年の選挙とも似ています。

どうして政権交代を期待しているのかというと、これはアメリカや欧州の選挙とはやや異なる事情があります。

まず、多くの有権者は現役世代か年金受給者です。現役世代の中で終身雇用が保証されている層は、政策の変更により解雇されるとか構造不況業種に陥るという危険よりは、雇用先で出世できるかという組織内の「政治」のほうが直接の利害に繋がります。そのため、選挙での「浮気」が可能です。

年金世代も収入はほぼ確定していますので、こちらも投票行動には自由度があります(物価問題は別ですが)。この間、自民党は年金世代の利害を意識した政策を採ってきましたが、だからといって年金世代が恩義を感じているとは限りません。

一方で、もしかしたら政策で大きく利害が変わるかもしれない非正規雇用の若年層などは、集結する政党もイデオロギーも持たないし、そもそも政治への期待値が低いので投票率は低く、今後も低いままと考えられます。

状況の変化という問題もあります。93年や90年と比較すると、人口問題も、財政もかなり行き詰まっており、政策の自由度の幅は狭まっています。ということは、本当は「まとも」な政党に入れないといけないという心理になるはずですが、もしかしたら政策の幅が狭いという感覚があるのなら、かえって自由度が高いと思う層もありそうです。

ポイント3:円安・物価高が大胆な投票行動を招く可能性

3番目は、単に裏金問題による自民党への怒りや反発というだけでなく、一向に回復しない日本経済、そして下がり続ける円と上がり続ける物価という状況の中で、「不連続な変化」を期待する心理はありそうです。ということは、より大胆な投票行動へ動くような深層心理もあるかもしれません。