JASRAC「やむなく告訴」38年ぶり逮捕にネット「悪質はどっちだ」

日本音楽著作権協会(JASRAC、以下ジャスラック)の許諾が必要な楽曲を歌謡ショーで無断使用したとして、掛川署と静岡県警生活保安課は4日、著作権法違反の疑いで静岡県袋井市の音楽イベント企画会社役員ら3人を逮捕したと、静岡新聞スポニチなどが報じた。ジャスラックが同日公表したという。スポニチによると、著作権法違反の疑いによる演奏事業者の逮捕は38年ぶりになるとしている。

静岡新聞によると、逮捕されたのは男3人で、認否を明らかにしていないという。スポニチによると、この事件は静岡県袋井市の演奏事業者「有限会社オフィスYUu」、東京都世田谷区の「株式会社サード・ビート」と、それぞれの代表者らが静岡県内で開催した歌謡ショーにおいて管理書作物を無断利用していたことから、ジャスラックが今年2月28日に静岡県掛川警察署に著作権法違反の疑いで告訴したものだという。

また、静岡新聞によると、2018年9月19日、3人は共謀して浜松市内の複合施設で有名演歌歌手が出演した「浜松歌謡祭」を開催し、ジャスラックの許諾が必要な楽曲を使用料も払わずに歌手に歌わせて著作権を侵害した疑いが持たれている。また、スポニチによると、この事業者らをめぐっては過去にもジャスラックが演奏差し止めと損害賠償を求める訴訟を提起し、2003年に東京高裁判決を経て和解したにも関わらず、その和解内容が履行されることはほとんどなかったという。その後15年以上にもわたり、法人名や代表者の変更、新会社の設立、主催名義を偽るなどしながら、全国各地で270件以上もの歌謡ショーを開催していたとしている。ジャスラックは「再三の警告を無視した極めて悪質な事案であり、やむなく刑事告訴した」と話しているという。

Twitter上では、今回の騒動について「今回はジャスラックが正しい」とする意見が多いものの、「それでもジャスラックという組織はぶっ壊したい」「悪質なのはどっちなんだ」「カスラックをぶっ壊す!」など、普段のジャスラックを批判するツイートが多く投稿されている。

Twitter上の投稿









※本記事内のツイートにつきましては、Twitterのツイート埋め込み機能を利用して掲載させていただいております。

sauce: 静岡新聞スポニチ

image by: Kamemaru2000 [CC BY-SA 3.0], ウィキメディア・コモンズ経由で

死角はあるか?コスパ最強の洋菓子店シャトレーゼ快進撃の秘密

苦戦を強いられているスイーツ取扱企業の中にあって、「低価格で高品質」を武器に好調を維持し続けているシャトレーゼ。9月にはついに銀座に出店を果たすなど、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いと言っても過言ではありませんが、何が同社の快進撃を支えているのでしょうか。フリー・エディター&ライターでビジネス分野のジャーナリストとして活躍中の長浜淳之介さんが分析・検証します。

プロフィール:長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)、『バカ売れ法則大全』(SBクリエイティブ、行列研究所名儀)など。

スイーツショップ受難の時代を跳ね返す、シャトレーゼのビジネスモデル

1本60円(税別)のアイスバー「チョコバッキー」をはじめ、高品質のスイーツを信じがたいほどの安さで提供するチェーンが、「シャトレーゼ」である。

全国の郊外に駐車場が付いた欧風のおしゃれな店舗を構え、約500店を展開。シャトレーゼではお菓子づくりに水が重要と考え、山梨県白州の名水にこだわる。名水の効果もあって、値段から想像される味を、良い意味で裏切り続ける商品のクオリティの高さを保っている。そのため毎日のようにSNSの投稿で話題になるほどで、熱烈なファンを多数獲得している。

そうした顧客からの高評価もあり、シャトレーゼは好調な業績を続けていて、成長性が高い。海外を含めた店舗数は、3月期の決算推移を見ると、2015年の461店から19年は578店へと、過去4年で100店を上回る増加となっている。

また、持株会社シャトレーゼホールディングス(本社・山梨県甲府市)の連結売上高も、15年の540億400万円から、19年は662億3,400万円へと2割以上伸びている

近年のスイーツ店は、個人経営の店や不二家、銀座コージーコーナーなどの老舗チェーンが不振と言われ、コンビニなどに顧客を取られているとされるが、シャトレーゼには無縁の快進撃ぶりである。

今年9月には、都心型の新ブランド「Yatsudokiヤツドキ)」1号店を銀座にオープンし、郊外ばかりでなく東京をはじめとする都市部への侵攻を開始した。シャトレーゼのスイーツショップ受難の時代を跳ね返す、ビジネスモデルを追った。

シャトレーゼが低価格で高品質の商品を販売できる大きな理由は、農場、工場、店舗が一体となった「ファームファクトリー」という独自のビジネスモデルにある。

中間に商社や問屋を通さないから、その分の費用が発生せず、市場の商品よりも安く売ることができるのである。

要は契約農場から素材を直接仕入れ、自社工場でお菓子をつくる。お菓子は全国の直売店に、専用便で配送している。生産から物流販売までコントロールする、ファームファクトリーのシステムこそが「おいしいものを、お値打ちで」という同社の理念を支えている。

これは、アパレルになぞらえれば、ユニクロ、ギャップ、ワークマンなどと同様な製販が垂直統合された、製造小売業のスイーツ版だ。

しかし、シャトレーゼは当初から製造小売業を目指していたわけではなく、当初は量販店、つまりスーパーマーケットに商品を卸して売っていた

ところが1984年に本社工場が竣工して、これから本格稼働という時に、従来からあった主力工場が火事で焼失してしまった。懸命に建て直しをはかっている間に、他のメーカーの商品が代わりにスーパーの棚を埋めてしまった。

そこでやむなく85年、甲府市内に工場直売店を出店するのだが見事にピンチをチャンスに変えた。けがの功名と言えよう。値段は卸売価格そのままとしたので、市場よりも2割~3割安く売った。だから人気が爆発した。

実際に工場直売店をオープンしてみると、顧客からの反響がストレートに売上に跳ね返ってくる面白さがあることがわかってきた。スーパーに販売していると、顧客よりもスーパーの意向で商品を出していかなければならず、顧客本位の商売をしているとまでは言い切れないもどかしさがあった。

取引先のカスハラで社員が死亡した場合、労災認定はおりるのか?

顧客からの理不尽な要求や暴言などを指すカスタマーハラスメント(カスハラ)。このカスハラによって「実害」が生じた場合、法律的にはどのような判断が下されるのでしょうか。今回の無料メルマガ『「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理』では著者で特定社会保険労務士の小林一石さんが、 カスハラを巡るとある裁判を紹介するとともに、企業が注意を払うべき2つのポイントを記しています。

取引先からのストレスは過労死の原因と認められるのか

最近、「〇〇ハラスメント」という言葉を聞くことが多くなりました。いったい何種類くらいあるのかと思い検索してみると

「全35種類のハラスメント一覧」
「ハラスメントの種類 全部で50以上!」
「ハラスメントの種類が52個もあることをあなたは知っていますか」

など、バラバラでしたが非常に多くあるのは間違いないみたいですね。その中で、私のお客様に接客業が多いからかも知れませんが「カスハラカスタマーハラスメント=顧客からの理不尽な要求や暴言など」という言葉をよく聞くようになりました。

では、実際に顧客からの無理な要求や暴言があった場合それは労災の原因としては認められるのでしょうか。それについて裁判があります。

ある医薬品販売の会社でその営業担当者が営業車の中で意識不明の状態で発見されました。救急搬送されましたが急性心不全のため死亡しました。遺族は労災申請をしましたが労基署は死亡前の残業時間が過労死ラインを下回っているとして労災の認定をしなかったのです。そこで納得がいかなかった遺族が裁判を起こしました。

ではこの裁判はどうなったか。

この裁判で遺族側が主張したポイントの1つが「取引先の社長の叱責」です。この社長は機嫌が悪いときには自社の社員や取引先の担当者に理不尽に怒ることもあり、取引先を出入り禁止にしたり取引量を大幅に減らすことがたびたびあったのです。

実際にはこの死亡した営業担当者は、同社長からの信頼は厚く取引量も伸びてはいましたが、営業報告には「自分が出入り禁止になってもおかしくなかった」などと記載していました。これを遺族側は「相当な負担だった(だから労災である)」と主張したのです。

では、これは労災と認められるのか。

裁判の結果、労災と認められました。具体的には裁判所は以下のように判断しました。

  • 過労死ラインを超える時間外労働は認められないが、相当な長時間労働が継続していた
  • 重要な取引先に対する精神的緊張があり、肉体的、精神的負荷の大きな業務を長期間継続していた

いかがでしょうか。実務的には注意すべきポイントが2点あります。

1点目は自社の社員が取引先から理不尽な要求などで過度な負担が発生していないかの確認です。今回の裁判が労災と認められたということはもし自社でこのようなことが起こったら会社が「安全配慮義務違反」で訴えられる可能性もあります。

もちろん、そのような事実があったからといってすぐにその会社との取引を中止できるかというとそれも難しい場合が多いかも知れません。ただ、もしそうであれば他の業務を割り振って負担を減らすとか改善出来る方法を話し合う等、できることはあるのではないでしょうか。過度な負担が続く状態だと社員の早期退職にもつながりかねません

もう1点が自社の社員が取引先に対して理不尽な要求などをしていないかの確認です。もしそのようなことがあると万が一の場合は、その社員とともに会社も訴えられる可能性があります。

今回の裁判は、(叱責していた)社長の直接の罪を問うものではないため実際の裁判になったらどう判断されるかはわかりません。ただ、労災認定されている以上、全くなにも問われないとは考えづらいでしょう。

取引先を含めた職場環境を整えることは社員のモチベーションアップやモラルの向上にもなります。一度、確認してみてはいかがでしょうか。

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NYCマラソンが障がいを持つランナーに優しい訳と支援団体アキレス

毎年11月の第1日曜日に開催されるニューヨークシティマラソンは、数多くの障がいを持つランナーも含む5万人を超えるランナーが参加する世界最大級の市民マラソンです。今年の大会で、視覚障がいランナーのサポートをするという『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』の著者でニューヨーク在住のりばてぃさんが、この大会の魅力と、障がい者ランナーを支えるNPO団体アキレス・インターナショナルについて紹介してくれます。

障がいを持つランナーを支える団体アキレス

今年も世界的に有名なニューヨーク・シティ・マラソンの季節がやってきた。長く走ると腹痛になるなど体調不良が続いたので今年は出走しないが、日本からやってくる盲目ランナーさんのお手伝いをすることになっている。

せっかくなので、過去に書いた体験談を加筆・修正する形で以下改めて障がいを持つランナーさんたちを支える非営利団体のアキレスについてお届けする。

(1)世界最大規模のNYCマラソン

11月3日、毎年恒例の世界最大規模の市民マラソンであるニューヨーク・シティ・マラソン(以下、NYCマラソン)が開催される。参加ランナーは毎年5万人超。ニューヨークの地元のランナーたちはもちろんのこと、世界中から数多くのランナーが集結する一大イベントだ。

コースは、ニューヨーク市の5つの区を走り抜けるというもので、マンハッタンからフェリーで川を越えて渡った先にある「スタテン・アイランド」からスタート

そして、アメリカ国内の吊り橋としては最長のベラザノ橋を走り抜け、「ブルックリン」、「クイーンズ」、「マンハッタン」、そして「ブロンクス」にわたり、再びマンハッタンに戻って、セントラル・パークを抜けてゴールするというもの。

沿道の応援は途切れることがない。沿道どころかコース沿いに立つビルやアパートのバルコニーや屋上からも手を振って応援してくれる人たちがたくさん。

小さい子どもからお年寄りまで手を振り、ハイタッチをしてくれる。切れ間のない励ましが続くのだ。しかも、声だけじゃない。カードボードに勇気付けるメッセージを書いて掲げた応援も。

例えば、「Keep it up!!」(頑張れ!!)とか、「You can do it!!」(君ならできる!!)、「This is the last damn bridge!!」(これがにっくき最後の橋だ!!)

解説:このコース内に出てくる橋はたいがいアップダウンが激しく、橋の先には永遠にコースが続くという過酷さの象徴となっているため、橋に対する憎しみと橋を渡って頑張ったという想いを込めた冗談まじりの応援。

…などなどと大きく書いてある。だいたいその年に話題になったことをもじった言葉や文章も登場する傾向にあるので、今年は総じてトランプ大統領への何かしらの皮肉めいたものが出てくるのではないかと思う。このあたり毎年写真付きでニュースになるので、面白いものがあったら後日ご紹介しよう。

あと、ランのウェアに自分の名前を書いておくと見ず知らずの人たちが名前を呼んでくれるので将来走るという方はぜひローマ字で大きく名前を書いておくと良い。

他にも、大会主催者側が用意する飲み物やバナナなどの補助食以外に、一般人も蜂蜜や飴などを用意して渡してくれる。日本人が多く応援するエリアにはおにぎりも登場する。

未払賃金の消滅時効が5年に。そのタイミングで何が起こるのか?

2020年春「民法」が改正され、現在では一般的に2年とされている未払賃金の消滅時効が5年に引き伸ばされる可能性が高くなりました。今回の無料メルマガ『新米社労士ドタバタ日記 奮闘編』では、それによってみなさんの勤めている企業側は何に注意しなければならなくなったのかをわかりやすく会話形式で解説しています。

未払賃金消滅時効5年?

未払賃金は、現行民法では消滅時効1年だが、民法の特別法である労働基準法第115条の2年の消滅時効が一般的である。

来春、民法が改正される。特別法として労働基準法の2年が消滅時効となる意見もあるが、合理性がないとして改正民法の5年の消滅時効が適用される可能性が高い。

労働基準法第37条(割増賃金)不払は、労働基準法第119条に基づき、6ヵ月以下の懲役又は30万円以下の罰金。労働基準監督署の支払命令は、今まで通常最大2年遡及だったが、これからははてさてどうなる…?


新米 「そうそう、ちょっと聞いたんですけど、来春から賃金の時効が2年から5年に延びるってホントですか?」

大塚 「あぁ、民法の改正のことね?」

深田GL 「今回の改正で、これからの未払残業代の請求は1人当り数百万円から1,000万円台の時代になりそうだね」

新米 「え?1人当たりで、そんなにー?」

深田GL 「未払残業代の時効5年への変更をきっかけにたくさんの弁護士やユニオンが、今まで以上に未払残業代請求事件をターゲットにしてくるだろうからね」

大塚 「来年、2020年の4月1日から改正民法第166条によって、賃金等の消滅時効は5年、って考えればいいんですよね?」

深田GL 「一般法、つまり民法は、特別法に比べて、より広範囲の人・場所又は事柄について適用される法だよね。それに比べて、特別法は、一般法より狭い範囲の人・場所又は事柄について適用される法とされている。現行民法第174条の賃金の消滅時効が1年では、労働者の保護に欠けるという理由で労働基準法第115条では2年の消滅時効となっている。今回、改正民法第166条で賃金等の一般債権が5年の消滅時効となると、労働基準法第115条の賃金2年の消滅時効より長くなる。労働者保護の観点から『ねじれ』が生じることになるんだよ」

E子 「労働政策審議会では『将来にわたって消滅時効期間を2年のまま維持する合理性は乏しく、労働者の権利を拡充する方向で一定の見直しが必要ではないかと考えられる』としているそうよ」

営業成績は「相対価値」で上がり子どもは「絶対価値」で伸びる訳

組織や社員、子どもたちを成長させたい場合、「何かとの比較を提示する方法」をとる場合があります。しかし、その成長させたい相手によって、比較する対象を使い分ける必要があるとするのは、無料メルマガ『起業教育のススメ~子供たちに起業スピリッツを!』の著者の石丸智信さん。石丸さんは、比較対象として「相対価値」と「絶対価値」をバランスよく登場させるべき、と記しています。

2つの価値とは

価値には、「絶対価値相対価値」があると言われています。個人としても、組織としても、それぞれに、絶対価値、相対価値があるように思います。本号では、絶対価値、相対価値とは、どういったものなのかについて考察していきたいと思います。

まず、相対価値について考えていきます。

相対価値とは、競合する人、企業等と比較することや優劣を競うことによって生じる価値だと捉えます。例えば、「○○ちゃんと比べて足が速い」「○○クンと比べてカッコいい」「自社は競合先と比べて売上・利益・シェアが高い」などといったものが挙げられます。

相対価値は、誰かと競うことや比較することでしか価値は生み出されないので、常に誰かと比較したり、競争したりすることによって、その比較対象や競争相手などよりも上回ることが必要だと言えます。

切磋琢磨という言葉がありますが、自分と他者とがお互いに競い合うことによって、お互いに今あるところから向上させていくことで、お互いに価値を高めることができるのであれば、誰かと比較したり競争したりすることは悪いことではないと言えるのではないでしょうか。

しかし、自分が成長、向上することなく、他者の足を引っ張る、相手を蹴落とす、他者を貶めることによって、自分の価値を高めるというのは、本当の意味で価値が高まっているとは言えないのではないでしょうか。

自分の価値は現状維持なのに、相手を低めることによって、自分の相対価値を高めても、自分自身は成長、向上していないわけですから、いずれ行き詰まることになると思います。また、常に誰かと比較、競争を強いられると不安感を持ったり、焦燥感を抱いたりするなど、自分、自組織においても、消耗してしまうことにもつながると思うので、注意が必要ですね。

次は、絶対価値について考えていきます。

絶対価値とは、自分自身、自組織の想いや理想理念ビジョンなどといったものを追求することによって生み出される価値だと捉えます。すなわち、自分や自組織にしか生み出すことができない価値だと言えるでしょう。

例えば、自分の中で、「こうありたい、こうしたい」などといった理想像やビジョンなどに基づく活動によって生み出す価値、自組織における理念やビジョンなどに基づく商品やサービスなどを開発し、お客様、社会に提供することによって生み出される価値、などが絶対価値になるのではないでしょうか。

過日、ノーベルウィークとして、各受賞者が発表されましたね。ノーベル化学賞では、吉野彰氏が受賞されました。今までの受賞者それぞれだとは思うのですが、きっと、何らかの想いなどを持ってその分野において様々な価値を生み出したのではないかと思います。まさに、絶対価値を生み出してきた方々なのでしょうね。

それ銀行にきいてみよ。親から子へ事業承継で注意すべきポイント

企業が、特に中小の規模であるならば避けて通れない「事業の引き継ぎ」。しかし、事業承継がその企業にとって初めての場合は、どこからとりかかればよいのでしょうか。今回の無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』では経営コンサルタントの梅本泰則さんが、跡を継ぐ立場の人間が留意すべき3つのポイントを記しています。

優れた後継者になる方法

あなたは先代であるお父さんから経営を引き継いで、何年も経ってはいません。ようやく経営のむつかしさが分かって来たころではないでしょうか。きっと「親父はこんな大変な思いをしてきたのか」と、実感しているかもしれませんね。

ところで、先代は経営を引き継ぐまでの間に、何か経営や経営者についてそれらしいことを教えてくれましたか。おそらく無かったのではないでしょうか。親子はそうしたものです。ここに事業承継のむつかしさがあります。これはあなたのお店ばかりでなく、中小企業にはそうした引継ぎをした会社が多いようです。

何代も続いているお店や企業ならば、十分に引継ぎの苦労をしていますからそれなりにうまく引継ぎが行われるでしょう。しかし、先代が創業者の場合は事業を引き継いだ経験がありませんから、どのように引き継いだらいいかよく分からないというのが正直なところです。

それどころか、親子の考え方の違いでトラブルになってしまうこともあります。お互いに生きてきた時代が違うので、考え方が違うのは仕方ありません。

「先代のやり方は古い。今の時代に合った経営がある」と考える後継ぎもいます。後継ぎが自分の考えに沿って経営をしていくと、先代はついつい口を出したくなるようです。これが親子ゲンカのもとになってしまいます。

そもそも、経営を引き継ぐときに経営の心得や経営者のあり方について話をしていないのですからいまさら口を出してはいけません。これが経営を引き継がせる側の態度です。では一方、後継ぎの方はどうしたらいいでしょう。

3つの方法

先代からは経営や経営者については教えられていません。そうした状態で、どうしたら一日も早く経営の力が身につくでしょうか。方法は3つあります。それは

  • 外部の機関で経営の勉強をする
  • 経営について第三者から学ぶ
  • 銀行にたたかれる

というものです。順番に説明します。

外部の機関で経営の勉強をする」というのは、経営についての基礎知識を体系的に学ぶ機会を作るということです。いわゆる座学をするということですね。

例えば、商工会や行政機関は経営理論や実例についての講座を定期的に開いています。単発の講座ではなく連続したカリキュラムがあるものです。それらを受講して経営の基本知識を学びます。民間団体やコンサルティング会社でも、そうした講座を設けているところがありますので自分に合いそうなものを選びましょう。多少の費用は掛かりますが、体系的な基礎知識があると実際の経営に役立ちます。また、講座に参加することで積極的な人たちとの交流が出来、いい刺激にもなりますし、人脈作りにもなるでしょう。

次の「経営について第三者から学ぶ」というのは、経営コンサルタントや師とあおぐ人など、適切なアドバイスをくれる人から学ぶということです。

最初の「外部講座とは違って、彼らからのアドバイスは一般論ではありません。その経営者や企業が抱えている問題や課題についてそれぞれの状況に応じた解決方法を教えてくれます。第三者はその解決方法とともに、将来のあり方についても示唆をしてくれるはずです。そうした人を見つけて、経営を学んでいきましょう。

さて3つ目の「銀行にたたかれる」というのは、どういうことでしょう。

日野原重明氏が子供に訴え続けた「命とは君達が持っている時間」

「命は大切」と言うのは簡単ですが、では「命とは何か」、となると難解な哲学的問題となってきます。この難しい命題を10歳の子供たちに伝え続けていた、元聖路加国際病院院長の故日野原重明先生。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、100歳を越えても現役の医師を貫いた先生の2008年のインタビューを通して、小学校での「命の授業」の様子と手応えが紹介されています。

日野原重明先生の「命の授業」

100歳を過ぎても現役の医師を貫かれた聖路加国際病院の日野原重明先生。『致知』2008年12月号にご登場された際に語られた「命の授業」についてのお話をご紹介します。

命とは君たちが持っている時間である 日野原重明(聖路加国際病院名誉院長)

僕はいま人生において最も大切だと思うことを次の世代の人に伝えていく活動を続けているんです。僕の話を聞いた若い人たちが何かを感じ取ってくれて、僕たちの頭を乗り越えて前進してくれたらいいなと。

その一つとして僕は2年前から2週間に1回は小学校に出向いて、10歳の子どもを相手に45分間の授業をやっています。最初に校歌を歌ってもらいます。前奏が始まると子どもたちの間に入って、僕がタクトを振るの。すると子どもたちは外から来た年配の先生が僕らの歌を指揮してくれたというので心が一体になるんですね。

僕が一貫してテーマとしているのは命の尊さです。難しい問題だからなかなか分からないけれどもね。でも「自分が生きていると思っている人は手を挙げてごらん」と言ったら、全員が挙げるんです。「では命はどこにあるの」って質問すると、心臓に手を当てて「ここにあります」と答える子がいます。

僕は聴診器を渡して隣同士で心臓の音を聞いてもらって、このように話を続けるんです。

「心臓は確かに大切な臓器だけれども、これは頭や手足に血液を送るポンプであり、命ではない。命とは感じるもので目には見えないんだ。君たちね。目には見えないけれども大切なものを考えてごらん。

空気見えるの?
酸素は?
風が見えるの?

でもその空気があるから僕たちは生きている。このように本当に大切なものは目には見えないんだよ

と。それから僕が言うのは

「命はなぜ目に見えないか。それは命とは君たちが持っている時間だからなんだよ。死んでしまったら自分で使える時間もなくなってしまう。どうか一度しかない自分の時間、命をどのように使うかしっかり考えながら生きていってほしい。さらに言えば、その命を今度は自分以外の何かのために使うことを学んでほしい」

ということです。

僕の授業を聞いた小学生からある時、手紙が届きましてね。そこには「寿命という大きな空間の中に自分の瞬間瞬間をどう入れるかが私たちの仕事ですね」と書かれていた。

10歳の子どもというのはもう大人なんですよ。あらゆることをピーンと感じる感性を持っているんです。僕自身のことを振り返っても、10歳の時におばあちゃんの死に接して、人間の死というものが分かりました。子どもたちに命の大切さを語り続けたいと思うのもそのためです。

頭が痛い。5G普及の邪魔する総務省「格安スマホも5G」のお門違い

スマホに対する大幅な割引き規制を決定したことも記憶に新しい、総務省の有識者会議。その会議で出た「MVNO(格安SIM)が5Gサービス提供するためには5Gが普及しなければ意味がない」との発言に「お門違いだ」と怒りをあらわにするのは、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さん。石川さんは自身のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』で、総務省や有識者による発言と施策の「矛盾」について疑問を投げかけています。

「5Gが普及するかどうか」を心配するのはお門違い

10月21日、総務省でモバイル市場の競争環境に関する研究会」の第19回会合が開催された。

日曜日と即位礼正殿の儀の行われる日の間の月曜日、夕方5時からの開催となって、有識者の欠席が目立った会合であった。議論が行われた時間も1時間弱と短く、「わざわざ、こんな日、時刻にやらなくてもいいのでは」と思わせる内容であった。

携帯電話料金の値下げに向けた施策が一段落したこともあって、5G時代におけるMVNOへの接続料のあり方について議論があった。

そのなかで有識者からは、接続料の考え方について、「(MVNOが)5Gのサービスを提供する上では、5Gが普及していかなければ意味がない」という発言が印象的であった。

MVNOが5Gのサービスを提供しようと思えば、当然のことながら5Gに対応したスマホなどのデバイスが必要になってくる。しかし、昨今の有識者会議による議論によって、スマホに対する割引に大幅な規制が入った。これにより、比較的、高価になりそうな5Gスマホに対しても、ほとんど割引がない状態で提供されることになりそうだ。

いまさら「5Gが普及しなくては意味がない」と心配するのは、お門違いではないか。

有識者が「5Gが普及するかどうか」という心配をしているが、そもそも、5Gの普及に向けて足を引っ張る施策を作ったのは総務省と有識者ではないのか。

日本で本格的に5Gを普及させたいのであれば、いますぐに、これまで展開してきた施策を辞め、5Gの普及を促進するようなガイドラインに改定すべきだ。このままで、日本の5Gは世界に比べてさらに遅れることになるのではないか。

5G時代にもMVNOという存在を残し、MNOとの競争関係を作りたいのであれば、5Gスマホの普及を後押しする割引施策が必要なはずだ。

有識者会議は、自らの過ちに気が付き、方針を展開する考えはあるのか。本当にこの人達に日本の通信行政の未来を語らせていいのか。

改めて、有識者会議の行く末に頭が痛くなるのであった。

【書評】日本人研究者の終焉。ノーベル賞がもう日本から出ぬ理由

 2019年のノーベル化学賞を受賞した日本人の吉野彰さん。日本全体がその受賞に大いに盛り上がりましたが、今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』で編集長の柴田忠男さんが紹介する本で嘆かれているのは、「日本は今後ノーベル賞が取れなくなるかも」という懸念について。日本の科学者が抱える「問題」とは何なのでしょうか?

偏屈BOOK案内:岩本宣明『科学者が消える ノーベル賞が取れなくなる日本』 

618wR0GqQ6L科学者が消える ノーベル賞が取れなくなる日本
岩本宣明 著/東洋経済新報社

2019年のノーベル化学賞は、リチウムイオン電池を開発した吉野彰さんら。よかった。こういっては失礼だが、まだ過去の遺産があったのだ。今の大学制度や研究環境では、若手研究者に将来のノーベル賞につながるような独創的な研究はできない。筆者はまえがきで「本当に酷い。無茶苦茶です。このままでは、ノーベル賞受賞はおろか、日本から科学者はいなくなってしまう」と嘆く。

ノーベル賞は基礎研究を重視している。発明より発見、応用より基礎である。その象徴が、発明の父と称されるエジソンが受賞を逸していることだ。そして、授賞理由の大半は若手時代の研究である。最も若いのは2002年に化学賞を受賞した田中耕一と、2014年に物理学賞を受賞した天野浩で、いずれも26歳時の研究が評価された。天野と同時受賞した赤崎勇(名大)は天野の指導教官だ。

ノーベル賞日本人初受賞の湯川秀樹の授賞対象となった研究は27歳で、2008に物理学賞を受賞した小林誠が「小林・益川理論」を発表したのは28歳、同時受賞の益川敏俊は同じ京大の研究室の先輩助手。30歳代の研究が授賞対象となったのは、江崎、福井、利根川、益川、下村、南部、中村、梶田の8人。この傾向は世界的にも同様で、受賞者の高齢化が進んでいるのは、授賞候補者の数が多くなりすぎて、順番待ちの期間が長くなっているからだと言われる。

2016年に生理学・医学賞を受賞した大隅良典・東工大栄誉教授が、「このままでは将来、日本からノーベル賞学者がいなくなる」と警鐘を鳴らしているのは、若手の研究者が自由に基礎研究に没頭できる環境がなくなっている、というのがその理由だ。さらに、ノーベル賞を目指すトッププレイヤーが年々減少しているという大問題がある。学者を目指す若者の数の減少という深刻な事態に陥っているのだ。

科学技術白書2018では「若手研究者を巡る状況は危機的」と書く。大学院博士課程の学生は、将来、ノーベル賞を受賞する可能性を秘めた「博士の卵」である。日本では、近年その数が減少の一途を辿る。日本の基礎研究の危機である。理工系博士課程入学者はピーク時の2/3と、理工系博士の卵は激減した。

なぜそうなったのか。修士課程学生にとって、博士課程に進学するのは経済的負担が大きい上に、博士になっても努力や投資に見合った高収入を得られる安定した就職先が保障されるわけではないからだ。それどころか、博士課程修了者の9割以上が安定した研究職に就けず、6割が非正規雇用かポスト待ちだ。

博士課程への進学者が減っているだけでなく、優秀な人材ほど企業に行ってしまう。これまでのノーベル賞受賞者はみな若くして定職を得て、研究に打ち込むことができた。若手研究者の安定的ポストの確保が最も重要なのだ。優秀な人材は博士課程に進学しなくなった。大学院の博士課程は空洞化している。

論文数、研究費、研究者数、大学ランキングのすべての指標が、日本の科学技術の「基盤的な力」の低下を示している。研究現場は研究予算の削減で疲弊しきり、「忙しくて研究できない」状況が蔓延している。とくに基礎研究の分野のそれは激しく、大学で「基礎研究ができない」状況が生まれている。30年後には、日本人ノーベル賞受賞者は5年に1人になってしまう……かも。

編集長 柴田忠男

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