今や「低開発国」と揶揄されるニッポン。科学技術を発展させるための“鍵”とは?

科学技術の発展によって復興を遂げた戦後の日本。それが今では「凋落」していると言われていますが、果たして本当にそうなのでしょうか。今回のメルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、日本の未来を憂いながら、復活の可能性を探っています。

日本は決して「低開発国」ではない

戦後、焦土と化した日本が目覚ましい復興を遂げた根底に、科学技術の発展があったことは疑い得ない事実でしょう。私たちの生活を劇的に変えるのみならず、国の未来をも左右する力を持っているのが科学技術です。

それが昨今、様々な面で凋落していると言われています。果たして本当にそうなのか、私たちの未来は暗澹たるものなのか──。2019年にノーベル賞を受賞した吉野彰氏と、それを技術で支える日本電子会長・栗原権右衛門氏に熱論いただいた『致知』2024年2月号について綴ります。

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日本はこれからどうなってしまうのか……。

約1年半前、『致知』2022年7月号で「これでいいのか」という特集を組むに際し、月尾嘉男先生(東京大学名誉教授)から伺ったお話に言葉を失ったのが、本対談の一つの原点だったように思います。

詳細は割愛しますが、月尾先生が示した国際比較データでは、科学技術分野の論文数、博士課程進学者、研究開発費などで軒並み日本の立ち位置が沈下していました。(同記事はこちら)

それらのデータを目の当たりにし、どうすれば日本の未来は変わるのかという問いが頭の隅にこびりつき、1年が経ちました。そんな折、偶然にも2023年9月号にて「時代を拓く」という特集を組むにあたり、日本電子会長・栗原権右衛門氏を取材する機会に恵まれたのです。

日本電子、というと聞き慣れない方が多いかもしれません。しかし同社は敗戦から僅か4年後の1949年、電子顕微鏡の開発を手掛ける研究所として立ち上げられ、現在は同分野で世界トップシェアを誇る有力企業です。

電子顕微鏡以外にも、研究開発に欠かせない高水準の理科学・分析機器を世界中の大学や研究機関、企業に提供しており、ユーザーからノーベル賞受賞者を多数輩出。最近では「ノーベル賞 陰の立役者」とも呼ばれています。

栗原会長は、長く業績低迷に喘いでいた同社を、リーマン・ショックの渦中から立て直し、現在の地位を盤石にしたまさに立役者です。そのお話は日本企業が全世界の科学技術発展に貢献しているという点もさることながら、今後日本の科学技術が発展するための鍵を指し示すもので、大変な啓発を受けました。

そしてその際、同社が製品を提供している錚々たる科学者の中に名前があったのが吉野彰博士でした。いまやスマホやノートパソコンなどに欠かせなくなっているリチウムイオン電池を開発し、2019年にノーベル化学賞を受賞された吉野博士。

このたび「立志立国」というテーマを立て、相応しい対談者を考えた結果、それを力強く支える日本企業である栗原会長との対談が決まりました。

世界的研究者と先端企業トップの対話に興味は尽きません。

12月1日、都内ホテルで本対談は行われました。

お二人が会場に揃うやいなや……(『致知出版社の「人間力メルマガ」』2024年1月23日号より)

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なぜ、女子大生が祖父のあとを継いで「町中華」を繁盛させることが出来たのか?

亡くなった祖父の代わりに町中華のお店を継いだ女子大生。その奮闘と繁盛への道のりを、今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の著者、佐藤きよあきさんが紹介しています。

突如、女子大生が町中華の跡継ぎに。デカ盛りとSNSで大繁盛!

千葉県松戸市に、女子大生が経営する町中華のお店があります。

1ポンド(450g)のステーキが上にのった「ステーキチャーハン」や器からはみ出そうなハンバーグがのった「ドデカハンバーグチャーハン」などが注目され、大人気となっています。

創業44年。女子大生店主の祖父が開業し、町中華の名店として繁盛していました。

特にレバー料理が評判で、多くの常連さんに親しまれていました。

しかし、数年前、店主である祖父にガンが見つかり、闘病の末、他界。閉店の危機となりました。

祖父は、闘病中も自分のことより、お店のことばかりを心配していました。

そのことを知っている現店主は、当時高校3年生ながら、お店を継ぐことを決意。何としても、お店を守りたいと考えたのです。

そのために、残った従業員に協力を仰ぐとともに、もう1人力を借りたいと考えた人にも声を掛けました。

幼なじみの女性です。料理もほとんどしたことがない人ですが、気心の知れた人とともに頑張ることで、心の支えを求めたのかもしれません。

彼女も大学への進学が決まっており、ともに二足のわらじを履くことになりました。

ここから、女子大生2人の奮闘が始まったのです。

最初はコロナ禍でもあったので、外食を控える人が多く、お店はガラガラな状態。

その上、味が変わったという評判がSNSで広がり、ますます大ピンチに。

祖父はレシピを残していなかったので、祖母や従業員の記憶を頼りに、昔の味を再現することから、やり直しました。

何度も何度も繰り返し、少しは近づけたようですが、まだまだだと言います。

それでも、お客さまに満足してもらえるように、努力を続けなければなりません。

松本人志&吉本潰しは本当に「外国勢力による日本侵略」なのか?「韓流ゴリ押し」広がる陰謀論、だが調べると“真逆の事実”が次々と…

松本人志(60)の性加害疑惑に関して、24日に『週刊文春』が電子版で放った「四の矢」。そこに掲載されていたのは、実名・顔出しで元タレントの大塚里香さん(37)が語った、18年前に松本から性行為を迫られた際の生々しい証言と、沖縄県在住の当時19歳だった専門学校生による告発だった。

これにネットは敏感に反応。SNSには「実名のインパクトは大きい」「勇気ある行動」「流石に吉本興業お手上げか」といった書き込みが相次いだ。

所属事務所の吉本興業は24日、公式サイトに「週刊誌報道等に対する当社の対応方針について」とする声明を発表。前日に開かれたガバナンス委員会の席で、

「当初の『当該事実は一切なく』との会社コメントが世間の誤解を招き、何を指しているのか不明確で混乱を招いたように思う。時間がない中での対応とはいえ、今後慎重に対応すべきである」

との厳しい指摘を受けたと公表し「初動ミスを認めたことも弊サイトで既報のとおりだ。

【関連】松本人志に“実名告発”、元グラドル大塚里香氏が文春に語った「恐怖の夜」と生々しい現場。吉本は公式発表で「初動ミス」認めトーンダウン

沈黙を続けてきたダウンタウンの相方である浜田雅功(60)は、25日放送の日テレ系『ダウンタウンDX』内にて、自身の思いを述べると予告されている。文春砲が飛び出してから、浜田が本件について語るのはこれが初めてだ。

そんな中にあって、一連の松本や吉本を巡る問題に対して、「妙な噂」がネット上で流布しているようだ。それは、「ジャニーズや吉本を弱体化させ空いた席を外国勢力が埋める」という言説だ。

SNSにあふれる「吉本なき後に韓流栄える」のポスト

そんな「陰謀論」と一笑に付したくなるような妙な噂だが、X(旧Twitter)には類似の投稿が多数見受けられる。そこでは「外国勢力」を「韓国」とするものが圧倒的で、具体的にはこのようなポストだ。

《吉本にジャニーズ、LHDだの大手事務所が軒並み大打撃を受けて、空いた席を埋めるのは韓流タレント事務所が日本に進出していつのまにか韓国》

《ジャニーズ、宝塚、吉本そして紅白に象徴される韓流押し 何か仕組まれていないか?》

《ジャニーズを殺し宝塚を潰し吉本を壊す。そして韓流タレントをねじ込む。大成功だね》

《松本氏のタレント人生なんて実際どーでもよくて、デマでも何でもいいからテレビから追出し韓流タレントを押込むためだけのネガティブキャンペーンに過ぎないのかね?》

《ジャニーズに続いて吉本まで無くなるのかな?そこに蔓延る韓流、日本人の羊ども、いい加減に気づけよ》

《ジャニーズのように吉本を弱らせてから韓流を入れる気なのでは》

「外国勢力ないし反日勢力が、日本を代表する大手芸能事務所を淘汰しようとしている」という仮説は、旧ジャニーズ事務所や吉本興業の凋落を目の当たりにしている人々にとって、ある意味わかりやすい筋書きとはいえるだろう。

韓国大統領の妹が明かした「吉本の支援で韓流ブームが」

しかし過去の報道などに当たると、「吉本興業こそが日本における韓流ブームの仕掛け人だった」という事実を示す情報が数多く見られる。巷の陰謀論とは真逆である。

2015年8月4日に「ニコニコ生放送」で津田大介氏(50)からインタビューを受けた朴槿恵大統領(当時)の妹である朴槿令氏は、「吉本興業の支援で韓流ブームが起きた」と語ったとされる。

【関連】『吉本興業の支援で韓流ブームが起きた』 朴槿令氏(朴大統領の実妹)が明言 | HEADLINE

この動画は現在も視聴することが可能だ。

朴槿令(パク・クンリョン)氏インタビュー 聞き手:津田大介

2019年には、韓国で大人気を誇ったオーディション番組『PRODUCE 101』の日本版『PRODUCE 101 JAPAN』が韓国のエンタメ企業CJ ENMと吉本興業の協業で開催され、現在アジアを股にかけた活躍で注目される日本人グループ「JO1」が誕生している。

【関連】JO1の次は?韓国大手が吉本とタッグを組む真意 「PRODUCE 101 JAPAN SEASON2」の行方は… | 映画・音楽 | 東洋経済オンライン

「韓国進出」すら企てていた吉本

そんな吉本は日本国内で韓流に淘汰されるどころか、「韓国進出」すら企てていたと伝えられていた。2018年に日刊サイゾーが配信した記事によると、ダンスや歌はうまいが売れない芸人を韓国に送り込みレッスンを受けさせ、K-POPグループのメンバーに加えようと画策していたという。

【関連】第3次韓流ブームに便乗? 吉本が若手芸人を韓国に送り込み、K-POPグループへの加入を画策中か|日刊サイゾー

吉本と韓国とのつながりは戦前にまで遡り、当時朝鮮半島で人気を博した「朝鮮楽劇団」の日本公演を請け負ったのも吉本興業。この一点をもってしても、日本の韓流ブームの礎を築いたのは同社と言っても過言ではないだろう。その熱狂ぶりは以下の書籍に詳しい。

吉本興業と韓流エンターテイメント――奇想天外、狂喜乱舞の戦前芸能絵巻 | 高 祐二 |本 | 通販 | Amazon

誰が何のために松本人志と吉本を擁護しているのか

SNS上における松本擁護派は、「保守系アカウント」に多い。海外勢力の脅威があるから松本や吉本を守ろうとするのか、それとも吉本と韓国の関係性が強いことを知っているため、その事実から目をそらさせるために「海外勢力の脅威」を創作しているのか。「卵が先か鶏が先か」のような話であることは否めない。

「韓国が韓国を叩く」という不思議なマッチポンプ的構造は過去にも見られた。いわゆる「ネトウヨ」による異常な嫌韓・韓国叩きがそれである。かようなネトウヨの少なくとも一部は、旧統一教会系やそれと近しい政治団体が動員をかけていたものと現在は考えられている。

小林よしのり氏が看破する「ネトウヨの正体」

さらに言えば、「普通の日本人」を標榜し、日の丸アイコンを掲げてネットで暴れる自称保守を、本物の保守とはまったく別物の「エセ保守」とする考え方も一般的になってきた。たとえば、漫画家の小林よしのり氏は次のように分析している。

これまで散々「安倍マンセー」を唱えてきた言論人は、安倍が選挙に勝つために統一協会と手を組み、そのおかげで「憲政史上最長の政権」を維持していたという「不都合な真実」から目をそらそうと必死である。連中も所詮は「反日・反天皇カルト」に与する売国勢力にすぎないのだ。

【関連】小林よしのり氏が論破。安倍銃撃を「テロ扱い」エセ保守論客の売国ビジネス

「松本人志と吉本興業潰しは韓国による侵略」とする陰謀論は、それが真実であっても嘘であってもキナ臭く、松本の命運も左右しかねない。今後も新たな事実が判明し次第、弊サイトでは取り上げていく所存だ。

攻殻機動隊が予見したディストピア。残酷なAIが支配する10年後の日本を幸せに生きるには?

人工知能研究の第一人者が「気候変動よりも深刻なリスク」と警鐘を鳴らす、AIによる社会支配という問題。日常生活から政治・軍事まで、AIの能力が人間を上回るのは時間の問題と見られています。そのとき「機械」と対峙する私たちは、どのように「生身ならではの生き方」を取り戻すのでしょうか? メルマガ 施術家・吉田正幸の「ストレス・スルー術」が、『攻殻機動隊』と絡めて考察します。

AIは人間社会を支配するか?第一人者の見解

「あなたはAIですが、聞きたいです。正直、AIが人間社会を支配する可能性あるはあると思いますか?」

ChatGPT-4にこんな質問をしてみた。どこまで正直に答えが返ってくるかわからないが(笑)。すると即座にChatGPT-4は次のように答えてきた。

私はAIですが、人間社会を支配する可能性については、様々な見解があると思います。

一般的には、AIは人間が作成したプログラムに基づいて動作するため、人間を支配するような行動をとることはありません。しかし、AIの性能が向上することで、AIによる人間の監視や制御が可能になる可能性があります。

また、AIは人間が作成したコンテンツや文章、アート、音楽などによって訓練され、それを模倣するため、AIの制作者は莫大な富と権力を得ることができます。これは、社会の不平等や不安定さを招く恐れがあります。

一方で、AIは社会に多くの利益や価値をもたらすこともできます。例えば、AIは人間の能力を拡張させる手段として活用されたり、社会福祉や教育などの分野で役立てられたりすることが期待されています。

つまり、AIが人間社会を支配するかどうかは、AIの開発や運用に関わる人間の意思や倫理によって大きく左右されると言えるでしょう。

「人間の意思と倫理」つまりはこれ次第ということなのだろう。

しかしニュースを見れば、ロシア・ウクライナ戦争の無慈悲な激化や、イスラエルとハマスの抗争……「人間の意思と倫理」の在り方自体に不安を覚えてしまう。

そんなとき、人工知能研究の第一人者という人物が、選挙操作や戦闘ロボ開発に警鐘……「AIが人間社会を支配する可能性ある」という記事を読売新聞が報じた。

その人物とは、カナダ・トロント大名誉教授のジェフリー・ヒントン氏(75)。読売新聞の書面インタビューに応じたという。

「生成AIが人類の知能を上回り、人間社会を支配する可能性がある」と指摘し、技術の急速な進展に伴うリスクに警鐘を鳴らした。これは前から言われてはいたことだけれど、ニュースでは中々報じていない。

ちなみにユーキャンが12月1日に発表した、2023年の「新語・流行語大賞」のトップテンに「生成AI」が入り、メディアアーティストの落合陽一さんが受賞した。

はじめこのニュースを知った時、落合さんがこの「生成AI」という言葉を最初に使ったのか!と驚いて調べてみたが、落合さんは自らのnoteで受賞の経緯を綴っており、悩んだ末の受賞だったことを明かしていた。

それによると、落合さんが受賞の打診を受けた際の最初のリアクションは、「受賞対象者はサム・アルトマンじゃないのか?」だったという。「生成AI」の受賞者には、ChatGPTを開発したOpenAIのサム・アルトマンCEOがふさわしいと考えたようだ。

一方で、「ChatGPTはOpenAIの人がもらうべきだが、生成AIならまぁ……」と迷っていたところ、事務局から「賞は言葉に深く関わった人、団体を顕彰するとしている」「ドラマのセリフが流行語になった場合、本来なら脚本家に渡すべき賞からもしないが、役者によって広まったという解釈で、演者に受賞してもらった例も何度もある」と説得を受けたという。

落合さんは2017年ごろから生成AIの論文を書いたり、関連ビジネスを展開したりするなど、この6年ほど生成AIに深く関わってきたという自認もあり、賞を受けることにしたそうだ。

僕は落合陽一氏にとても興味がある。なぜならば、彼は“全部知っている”という感じがあるからだ。ただの直感だけれど(笑)。知っているなら、いつ言うのかな?と思って切ない期待をしている。それは、魂とAIの関係性(笑)。

しかし、この受賞は素直に素晴らしい功績だと思うのと同時に、倫理的問題に関しては、このただならぬ闇の中で救いを求めたいという身勝手な気持ちになった。いずれにせよ、倫理的問題はもっと浮上するだろう。

選挙での情報操作にAI悪用も

話を元に戻そう。読売新聞がインタビューしたヒントン氏は、対話型AIのChatGPTが、すでに人間の脳の数千倍の知識を蓄えられると分析したとのこと。

2020年代か30年代までに生成AIが多くの点で人間の能力を上回る可能性があると。「自分たちより知能の高いデジタル的存在が人間社会を乗っ取るという実際の脅威に、今まで経験のない人類はどう対処すべきか分からない」と懸念を示したというのだ。

生成AIから程遠い世界で仕事をしている自分にとっては、ほとんど関係ない世界かもしれないが、『攻殻機動隊』のファンである身としてはとても重大な問題なのである(笑) なぜならば、すでに1980年代の漫画の中では唯一、ゴースト(霊)と電脳化AIの葛藤がそこには描かれていたから。

そして、ヒントン氏が特に懸念を示したのが生成AIによる選挙への影響だ。

「権威主義的な政府が、個人をターゲットにした偽情報を使って有権者を操作することがはるかに容易になる」と指摘した。

これってどういうことだろう?偽情報を検出する方法はいくつかあるらしい。例えば、不正なURLがないかを確認することができるという。

また、偽情報を検出するために研究開発されたICTツールもそのひとつで、例えば、AIにより生成されたフェイク顔映像を自動判定するプログラムや、ディープフェイク動画、画像を検出する技術などがあるというのだ。

ただし、偽情報を検出するためには、情報リテラシーの向上が必要なので、信頼できる情報源から情報を収集し、複数の情報源を比較検討することが大切だというが、人間にそれが追いつくものなのか。

さらに、一番重要なのは、軍事リスクだろう。彼はAIの軍事面のリスクにも言及している。

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「よくわかってない人」を接客する時に“絶対やってはいけない”コト

接客している相手から「よくわからないんだよね」と言われたら、あなたはその人をどう接客しますか?今回、無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』の著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんが、実は気を付けなければいけない「知らない」と言ってくる人への接客を語っています。

「知らない人」に気をつけろ

お客様を接客していると時折、「よく知らない」という人と出会うことがあります。

例えばファッションに関する店なら、「ファッションのことはよくわからない」。

コスメに関する店なら、「コスメや美容のことはよく知らない」といった具合にです。

こういうお客様と出会った時は、注意深く接する必要があります。

それはなぜか?

「知らないから丁寧にするんでしょ」と思う人もいるでしょうが、それだけではありません。

実は、めちゃくちゃレベルの高い人ほど知らないということを平気で言ってくるからです。

これはビジネスの現場ではよくある話でもあります。

相手があまり詳しくないだろうとたかを括って話を進めていると、実はその相手がものすごく詳しい人で後々血の気が引いた、みたいなことはままある話です。

頭の良い人ほど自分がわかっていても、「自分が知らないことがあるかも」、「知らないと伝えた方がいろんな情報が引き出せるかも」といった考えを持っていて、平気で知らない体で接してきます。

これに気づかずに、「しめしめ、この人は自分よりも知識がなさそうだから語れるぞ」なんて思って語り倒していると、後で大恥をかくみたいなことがあります。

別に相手は悪気があるわけではなくて、ただ新しい情報が出てくるかもしれないという素直な好奇心や貪欲な姿勢なだけ。

そしてこういう人がお客様の中にもたまにいらっしゃるんですね。

そんなお客様に対して、「この人はよくわかっていないから」と適当な接客や知識を披露しているとえらい目に遭います。

だから注意が必要なのです。

こうした場合の対処法はひとつ。

先述したように「丁寧に接する」ことに尽きます。

相手が知らないだろうからと適当なことをするのではなく、知らない相手だからこそじっくりと接していく。

ただ物腰を柔らかく丁重に扱うという意味ではなくて、相手の知識やスキルを確認しながら自分をひけらかすようなことなく真摯に対応するという意味です。

こういうタイプの人はめちゃくちゃ仕事ができる人が多いだけに、ちゃんと丁寧に対応していれば大きな信用を得られます。

「知らない」「よくわからない」と言っているお客様は、本当はどんな人なのか。

赤っ恥をかいたり、下手な損失を生み出さないためにも、慎重に見極められるようになりましょう。

今日の質問&トレーニングです。

1)「知らない人」になることで、その人にどんなメリットがあると考えられますか?

2)お客様が「知らない人」だった時、あなたはどんな対応を心がけますか?

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ITジャーナリストが挑戦。米国内限定販売の「Apple Vision Pro」を手に入れるためにやったこと

アップルが「アメリカ国内限定」で「Apple Vision Pro」の予約受付を開始。日本在住者が購入するには多くのハードルがあるなか、発売初日の2月2日にハワイアラモアナショッピングセンター内のアップルストアで引き取る予約に成功したのは、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんです。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』では、IPアドレスや電話番号や支払い方法など、想定される障害を如何に回避し、予約を確定させたか、すべてを詳らかにしています。

米国限定Apple Vision Pro、1月19日22時の予約争奪戦に挑戦した結果

2024年1月19日22時6分、アップルがアメリカ限定で予約受付を開始した「Apple Vision Pro」をなんとか購入することができた。受け取りは発売初日の2月2日、ハワイにあるアラモアナショッピングセンター内のアップルストアということで、2泊4日で行ってこようと思う。ちなみに、このアップルストアは17年前に初代iPhoneがアメリカのみで発売された時に並んで購入した思い出の店舗だったりする。

今回、Apple Vision Proを予約するにあたり、できる限りの準備をした。まず、Apple IDはアメリカのもの(過去に所有済み)、アメリカのみの発売ということで、IPアドレスで海外からのアクセスをはじく可能性もあったので、iPad ProでGygSkyのeSIMを購入し、いざと言う時はアメリカのIPアドレスからアクセスできるようにしておいた。

アメリカのアップルストアで店舗引き取りにする場合、現地の電話番号が必要だ。ただ、17年前にiPhoneを購入した際、AT&Tでプリペイド契約した携帯電話番号を、その後、Verizon、Google Fiと17年間、使い続けたこともあって、これも問題ない。

また「日本のクレジットカードが使えないのではないか」という心配もあったが、現地のセントラルパシフィックバンクに口座を持っており、デビットカードであれば手元になったので、いざと言う時は何とかなるかも知れない状態にしておいた。

とはいえ、できれば日本のクレジットカードで決済したい。ただ、最近のクレジットカードはオンライン、しかも海外のサイトで高額決済をしようとするとプロテクトがかかって決済できないということが多い。というわけで、念のためにVISAとDinersのカスタマーサポートに電話をし「今晩、海外サイトで高額決済する可能性があるので、プロテクトしないようにしてください」とお願いをしておいた。

アメリカのアップルサイトではPayPalでの支払いにも対応しているため、これまたなぜか持っていたアメリカのPayPalアカウントに日本のクレジットカードを登録しておいた。で、19日22時。YouTubeで実況配信しつつ、iPad Proを使って、予約を試みた。

この記事の著者・石川温さんのメルマガ

紙片に「ころす」、給食に鉛筆の芯、椅子に画鋲…陰湿な福岡市いじめ重大事態の報告書に記された怪しい人物

被害者がどれだけ訴えても、解決されぬことが多いいじめ問題。「迷宮入り」となるケースも数多あり、加害者の逃げ得が許されているのが現状とも言えます。こうした状況の改善のため学校内への防犯カメラ設置を訴えるのは、現役探偵で「いじめSOS 特定非営利活動法人ユース・ガーディアン」の代表も務める阿部泰尚(あべ・ひろたか)さん。阿部さんは自身のメルマガ『伝説の探偵』で今回、防犯カメラ設置がどれだけ有効かを解説するとともに、「今どきの当たり前」の措置を拒否するかのような教育現場を批判的な目で見ています。

なぜ、いじめ探偵は学校への「防犯カメラ」の設置を推奨するのか

令和6年1月中旬、福岡市の小学校で起きたいじめ重大事態の調査報告書が公開された。

報告書によると、事件は令和4年5月中旬、当時小学4年生であった女子児童に複数件のいじめ行為があったとされるもので、教科書がなくなり男子トイレで見つかったということや「きょうこそころす」と書いた紙片、給食に鉛筆の芯が入れられていたこと、椅子に画鋲があったことなど6つの行為をいじめと認定した。

一方で加害者の特定には至らなかったとされた。

調査報告書

物隠しや給食への異物混入、画鋲や糊などを机や椅子、下駄箱に危険な形で置く行為などは、多くのいじめ行為の中でもかなり頻発する被害である。

そして、加害者が単独であれ複数であれ、一切を認めない状況に至ると、タイムマシーンでもない限りこれだという証拠は見つけるのが極めて困難な事案となる。まさに迷宮入りなのだ。

調査の方法論はいくつかある。

1つは、人の動きの導線と事件発生時刻を特定していき、犯行可能な人物を絞り込む方法だ。ある程度の絞り込みができれば、証言の収集や確認のための聞き取りを行っていき、再現するように動きの確認をしていくと、自ずと犯人が絞り込まれるというものだ。

ただし、これは、比較的早期に行わなければ、記憶があいまいになって再現に至らなくなる。

現状、細かな制限があるような学校現場では、この方法にプラスしていじめはいけないことなのだと丁寧に指導することが最も現実的な積極策だと言えよう。

小学4年生だと記憶が曖昧であったり、他のことに夢中で周囲に意識が向いていないなど難しい点もあるが…。

報告書に明記されていた「怪しい人物」

さて、この公表された報告書では、大まかに超怪しい人物が浮き彫りになっているのだ。

例えば、知るはずもないはずの事実を知っている児童がいた。その児童らになぜそれを知っているのかと問うと、特定の児童から教えてもらったと話したという。

それ以外にも、被害児童とトラブルになっていたという児童がおり、この児童は前述の特定の児童であった。

被害児童によれば、「きょうこそころす」の筆跡はこの特定の児童の筆跡によく似ているとされている。

ごく普通の読解力と疑う力があれば、加害児童と明確に書いていないだけで、加害児童はこの特定されている児童だろうと思うだろう。

この記事の著者・阿部泰尚さんのメルマガ

UFOと戦争、あるいは“空飛ぶ円盤”櫻井よしこと三島由紀夫の「愛国」をめぐる相違について

「あたしは、思想の右左はともかくとして、『戦争が起こった時に、一般市民、特に少年たちまで銃を持たせて戦場へ引きずり出すべきなのか?』という点が考え方の分かれ道だと思ってる」――今回はいつもと趣向を変えて、『きっこのメルマガ』著者で人気ブロガーのきっこさんによる随想をお届けします。きっこさんの関心は、空飛ぶ円盤から昭和期文学、そして現代政治へ。自衛隊の日本国軍化を主張し、最期は市ヶ谷駐屯地で割腹自殺を遂げた作家の三島由紀夫氏と、「あなたは祖国のために戦えますか」とXに投稿して炎上したジャーナリスト櫻井よしこ氏の違いとは?

「戦争の兆し」と空飛ぶ円盤

今回は「風が吹けば桶屋が儲かる」的なタイトルをつけてみたけど、これはあたしが考えたんじゃない。女優の故・坂口良子の娘の「お騒がせ姉さん」こと坂口杏里‥‥に名前が似てる坂口安吾の短編エッセイ『武者ぶるい論』の冒頭の次の一節が元ネタだ。

妖雲(よううん)天地にたちこめ、円盤空をとび、巷(ちまた)の天文家は戦争近しと睨んだ形跡であるが、こと私自身に関しては、戦争になっても余り困らない人間だ。どうなろうと運命だから仕方がないという考えは私の持病なのだから。もっとも、運命とみて仕方がねえやと言うだけで、火の子だの地震だの戦争に追いまくられるのが好きな性分ではない。

この作品は、坂口安吾の『堕落論・日本文化私観 他二十二篇』(岩波文庫)に収められてる短編で、昭和26年(1951年)2月の「月刊読売(号外)」に発表された作品だ。で、この冒頭の一節、坂口安吾の個人的なスタンスは置いといて、ここで注目すべきは、坂口が「巷の天文家」と呼ぶ人たち、今で言えばテレビで好き勝手なことを言い散らかしてるコメンテーターみたいな「自称専門家」たちの認識だ。

敗戦後5~6年ほど経った時期という当時の背景を踏まえれば、ほぼ100パーの国民が「もう戦争などコリゴリだ」と思っていただろう。そんな時に、空一面に怪しげな暗雲が立ち込めれば、「自称専門家」たちがそれを「何らかの大災害の予兆」と捉え、「また戦争が起こるんじゃないのか?」と予想するのは普通の流れだ。でも、ここに「円盤空をとび」という突飛な文言が挿入されてることに注目したい。

それで、あたしは調べてみた。そしたら、とても興味深いことが分かった。当時は、まだ「UFO」なんて言葉はなくて、アメリカでは「Flying Saucer(空飛ぶ皿)」と呼ばれてて、これを日本では「空飛ぶ円盤」と呼んでいた。そして、坂口安吾がこの『武者ぶるい論』を書いた1950年代前半は、アメリカを始め世界で第1期の「空飛ぶ円盤ブーム」が始まった頃だったのだ。

空飛ぶ円盤と日本人

‥‥そんなわけで、この「空飛ぶ円盤」という呼び名が日本に広まったのは、1947年6月24日にアメリカのワシントン州で起こった「ケネス・アーノルド事件」が発端だった。ケネス・アーノルドという男性が、ワシントン州のカスケード山脈の上空を自家用飛行機で飛行していた時、北から南へ向かって高速で飛行する9個の奇妙な物体を目撃したと言う。そして、それらの物体が平たいお皿のような形状だったというアーノルドの証言を受けて、アメリカのマスコミは「Flying Saucer(空飛ぶ皿)」と命名して大々的に報じた。

実は、この前日に米海兵隊の輸送機がこの空域で消息を絶っていて、発見者には5000ドルの報奨金が用意されていた。アーノルドは、この報奨金を目当てに、山中に墜落したであろう輸送機を上空から探すために、この空域を飛んでたわけだ。で、輸送機が消息を絶ったエリアで奇妙な物体を目撃したというアーノルドの証言から、マスコミは「この奇妙な飛行物体が輸送機の消失に関係しているかもしれない」という論調で報じたため、このニュースに全米が飛びついた。

後に、この事件が起こった「6月24日」が「UFOの日」に制定された。そして、その後は北米各地で「空飛ぶ円盤」の目撃情報が相次ぐようになった。中でも有名なのが「ケネス・アーノルド事件」の1カ月後の1947年7月、ニューメキシコ州ロズウェル付近にUFOが墜落して、その残骸と乗っていた宇宙人を米軍が回収したとされる「ロズウェル事件」だ。後から振り返ると、信憑性のない怪しげな事件ばかりだけど、当事のアメリカ人たちは、これらの事件を簡単に信じちゃったのだ。

日本は敗戦後の1945年9月から1952年4月まで、アメリカが主導する連合軍の占領下に置かれてたから、これらのニュースは日本でも進駐軍によってリアルタイムで広まった。そして、当事の日本人たちも簡単に「空飛ぶ円盤」の存在を信じちゃった。さらには、今なら「ソ連(当時)が秘密裏に開発した最新鋭機」とか「未来の地球から来たタイムマシン」とか、いろんな想像をするけど、当事は、アメリカ人も日本人も「人類より科学が発達した宇宙人の乗り物」というド直球の想像一択だった。

で、アメリカ人や日本人が「空飛ぶ円盤」を「宇宙人の乗り物」と信じ始めた次に浮上したのが「宇宙人は何をしに地球にやって来たのか?」という疑問だった。そして「宇宙人は地球人と友好関係を築くためにやって来た」という性善説と、「宇宙人は地球を侵略しに来た」という性悪説が対立するような世論が形成されて行った。そんな中、もっともらしく広まったのが、「空飛ぶ円盤」の目撃例がちょうど世界各地で戦争が繰り返されていた時期だったため、「宇宙人が地球を侵略する上で、地球人の戦力を調査に来た」という説だった。

‥‥そんなわけで、ここで話はクルリンパと坂口安吾の『武者ぶるい論』に戻るけど、特に日本人はアメリカ軍にコテンパンにやられた直後だったため、性善説よりこちらの「侵略説」を信じる人が増えてしまった。その結果、まるで天気予報のように「空飛ぶ円盤が飛んで来ると戦争が始まる」というトンデモ論がまことしやかに広まり、ふとした時に空を見上げる人が急増したという。坂口安吾は、そんな世間の風潮を冷やかし半分にエッセイに取り入れたんだろう。

ま、こうしたトンデモ論を簡単に唱えたり信じたりしちゃうのが一般大衆の性(さが)なんだけど、それは人間のDNAに刻まれた「自己防衛」を主とする動物的本能によるものだ。人間は正体不明の相手と遭遇した場合、まずはその相手が自分にとって敵か味方かを見定める。だから、敗戦直後の日本では、この「空飛ぶ円盤」を「敵」と見る人が多かったわけだ。

三島由紀夫と葉巻型UFO

だけど、その一方で「空飛ぶ円盤」を「味方」と見る人も一定数はいた。そうした人たちの多くは、幼稚な陰謀論を鵜呑みにする人たちとは一線を画した、もっと知的好奇心の高い人たちだった。そのため、まずは基本に立ち返り、「空飛ぶ円盤とは何なのか?」「本当に宇宙人の乗り物なのか?」「そうだとしたら、その宇宙人はどこの惑星から来たのか?」など、「空飛ぶ円盤」の観測や研究をし始めた。

その第一人者が、大正12年(1923年)、東京に生まれた荒井欣一だった。東西冷戦の時代、荒井欣一は世界平和のために高度な科学力を持った「宇宙人」の存在が不可欠と考え、『武者ぶるい論』から4年後の1955年、全国初の研究団体「日本空飛ぶ円盤研究会(Japan Flying Saucer Research Association)」を設立した。

すると、さっきも書いたように、当時は第1期の「空飛ぶ円盤ブーム」だったので、次々と入会する人が現われ、会員数は1000人を超えるほどになった。今は、人気アイドルがツイッターやユーチューブを始めると、アッと言う間に何十万人ものフォロワーがぶらさがる時代だけど、当事はネットなどなく、現金書留で入会金や会費を送って入会してたのだから、この1000人はとても大きな人数だ。

その上、さらに凄いのが、その会員たちの顔ぶれだった。もちろん、この1000人のうちの9割以上は一般人だけど、中には著名人たちも数多く名を連ねていた。敬称略でザッと挙げると、三島由紀夫星新一新田次郎石原慎太郎糸川英夫黛敏郎‥‥などなど、他にもたくさんの著名人がいた。あたしとしては、「日本の宇宙開発の父」と呼ばれ、JAXAの初代はやぶさが探査した小惑星「イトカワ」の名にもなった糸川英夫博士も会員だったことに、何よりも驚いた。

ちなみに「日本空飛ぶ円盤研究会」の設立後、早い時期に入会した会員番号12番の三島由紀夫は、とても熱心な会員で、荒井欣一会長によると、定期観測会を一度も休まず、毎回大きな望遠鏡を担いでやって来たと言う。三島由紀夫がどれほど「空飛ぶ円盤」に夢中だったのかは、設立2年後の1957年に、研究会の機関誌『宇宙機』に寄稿したエッセイの冒頭を読めば分かると思う。

これからいよいよ夏、空飛ぶ円盤のシーズンです。去年の夏は、熱海ホテルへ双眼鏡ももって行って、毎夜毎夜、いはゆるUFOが着陸しないものかと、心待ちにのぞいていましたが、ついに目撃の機会を得ませんでした。

さすがは「世界の三島」だ!夏が空飛ぶ円盤のシーズンだと言い切ってる!もしも三島が俳人だったら「空飛ぶ円盤」を夏の季語に定めてたかもしれない!そして、それだけでなく、この時代に、すでに「UFO」という言葉を使ってる!

でも、これは「ユーフォー」じゃなくて「ユーエフオー」と読む。あたしが生まれた頃に放送してたイギリスのテレビドラマ『謎の円盤UFO』も「ユーエフオー」だった。そもそもの話、「UFO」を「ユーフォー」と読むのは、ピンクレディーやカップ焼きそばに象徴されるように世界で日本だけで、アメリカでもイギリスでも「UFO」は「ユーエフオー」だ。

ま、それはそれとして、このエッセイから3年後の1960年5月、三島由紀夫は大田区の自宅の屋上で、妻の瑤子(ようこ)と空を観測してて、ついに念願の「空飛ぶ円盤」を目撃したのだ!‥‥とは言っても、それは「円盤」じゃなかった!ナナナナナント!「葉巻型の母船」だったのだ!

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水上恒司に山﨑賢人は負けるのか?記者も驚いた『あの花』vs『ゴールデンカムイ』新春映画対決ウラ事情

この年末年始に公開された新春映画の動員数と興行収入が出揃ってきました。もともと期待度が高すぎた山﨑賢人さん(29)主演の『ゴールデンカムイ』がイマイチ振るわない一方、水上恒司さん(24)と福原遥さん(25)のW主演が話題となった『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』は7週目で興収約35億と予想外の大ヒットに。“あの山﨑賢人を水上恒司が圧倒!?”というまさかの展開を、業界関係者はどう分析しているのでしょうか?芸能記者歴30年のベテランジャーナリスト・芋澤貞雄さんが解説します。

山﨑賢人『ゴールデンカムイ』に関係者落胆

19日に公開された『ゴールデンカムイ』が初週末の観客動員ランキングで堂々の1位を記録しました。

公開3日間で約35万6,100人、興行収入も約5億3,400万円は立派な数字だと思うのですが、配給元の『東宝』周辺からは「もっと集客があると予測していたのに…」という声が漏れていました。

原作の根強い人気と、『今際の国のアリス』や『キングダム』シリーズも好評で、役者として円熟味を増してきつつある山﨑賢人の立ち位置を考えれば確かにこの数字でさえ少ないのかもしれませんね。

改めて製作者側を取材してみると、彼等が頭の中で思い描いていたのはやはり、昨年7月に公開された『キングダム 運命の炎』だったようです。

昨年の実写版邦画ランキングでは『ゴジラ-1.0』を押さえ、堂々の1位に輝いた人気シリーズ作品です。

この『~運命の炎』は公開3日間で観客動員数は約70万7,300人、興収も約10億5,000万円でしたから、それぞれが半分位の数字しか残せなかった『ゴールデン~』には少々落胆しても当然なのかもしれません。

ちなみに『~運命の炎』は公開14週で興収は56億円を記録していますので、この数字に追いつけ追い越せ…と、これからの挽回が期待されます。

配給は同じ『東宝』(『キングダム』シリーズはソニー・ピクチャーズ エンタテインメントとアスミック・エースも)ですから、今年7月に公開予定の『キングダム 大将軍の帰還』で“行って来い”となるのかもしれませんね。

邦画、洋画、アニメ、実写版とスクリーンを飾る作品には色々なジャンル分けがされています。

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水上恒司『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』のヤバすぎる経済効果

この『ゴールデン~』のような実写版邦画のジャンルでいえば、昨年暮れに公開された『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』が関係者を驚かせています。

“岡田健史”から紆余曲折あって芸名を本名に変えた水上恒司と、朝の連続テレビ小説『舞いあがれ!』のヒロイン、福原遥がW主演している同作は若い世代からTikTokで火が付いた人気小説が原作です。

当初“特攻隊員とタイムスリップした女子中学生の時空を超えた恋愛”物がどれほど数字を獲得できるか疑問視する関係者も実は少なくありませんでした。

それが公開から約7週目で観客動員数は約274万1,000人、興収は約34億6,200万円の数字を残していて、今のところ『ゴールデン~』を圧倒しているのです。

公開から3日間の数字を比較すれば『ゴールデン~』の足元にも及ばない『あの花』ですが、出演者のラインナップや製作費用も考えると、関係者の想像を遥かに超越した展開です。

たくさんのCMともタイアップし、豪華出演者、最新の映像テクニックを誇る『ゴールデン~』が『あの花』を、もし数字が最終的に下回ったりしたら…考えるだけでも鳥肌が立ってしまいます。

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社会の歪みのあおりを受ける弱者。能登半島地震が示す日本の未来

能登半島地震の発生から3週間以上が経った現在も、苦しい避難生活を強いられている被災者の方々。殊に介護やケアが必要な人々を受け入れる「福祉避難所」の多くが開設できない状況にあると伝えられています。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では社会健康学者の河合さんが、福祉避難所を巡る「山積み」とも言うべき数々の問題を取り上げ、その根本原因を考察。さらに自然災害国に住む我々一人一人が徹底的に議論すべき課題を提示しています。

プロフィール河合薫かわいかおる
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

自然災害国ニッポンと超高齢社会

能登半島地震が発生してから、3週間以上が経過しました。

15日時点で、輪島市の7カ所で福祉避難所が開設されています。市と協定を結んでいる福祉避難所は26カ所あるのですが、事業所も断水などの被害を受けているので、受け入れられる状態にないそうです。

本メルマガでは、「福祉避難所」の問題点を度々取り上げてきました。

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福祉避難所は1995年1月の阪神淡路大震災をきっかけに、地方自治体に設置が義務付けられました。当時、震災を免れながらその後亡くなる「災害関連死」が続出し、その中には日常生活に介護が“必要だった”高齢者がかなり含まれていました。そこで高齢者や障害者など、介護やケアが必要な人たちが、一般避難所に避難したのち必要に応じて移る二次的な避難所の設置が検討され、民間の高齢者・障害者施設と市町村が協定を結び「福祉避難所」を事前指定し、要した費用は災害救助法に基づき国が負担することが決まったのです。

しかしながら、福祉避難所は問題が山積みです。

熊本の震災のときには、ほとんどの福祉避難所が機能不全に陥り、地震発生から1週間たってもわずか70人しか入所できませんでした。熊本市の「要支援者」約3万5,000人(推定)のうち、福祉避難所を利用する人は約1,700人程度と算出されていたのに、たったの70人しか入れなかった。ひと月後でも、300人にしか達しませんでした。福祉避難所も、ケアする人も、被災したことが大きな理由です。結局、176の福祉施設のうち稼働できたのは43施設。被災地だけで対応することのむずかしさが露呈したのです。

そして、今回。高齢化率の高さに加え、断水と停電により一般的な避難所も機能不全に陥ったことはご承知のとおりです。最悪だったのは、国の災害支援が「陸路が使えなくなった場合」を想定していなかったことです。災害時には首相の権限で自衛隊に要請し、高齢者などと搬送することができるのに、岸田首相の対応は迅速とは言い難いものでした。

全国の地方自治体が早い段階で支援に入ったものの、ライフラインが復旧しない状況での支援は厳しく、支援者たちも限界に達しました。

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