小泉悠氏が解説。苦戦するロシアと粘るウクライナで「踏み込めない西側」の見えぬ出口

ロシアがウクライナ侵攻を開始してから1ヶ月。ウクライナの粘り強い抵抗により、将官が7人も死亡するなどロシアが苦戦し一進一退と見るのは、ロシアの軍事・安全保障政策が専門の軍事評論家・小泉悠さんです。今回のメルマガ『小泉悠と読む軍事大国ロシアの世界戦略』では、海外の情報機関やニュースサイトが伝える情報を分析。この先の戦いのカギとして、ロシアに対し譲歩しない代わりに、ゼレンスキー大統領が求める強力な軍事的支援にも踏み込めずにいるNATOが、4月の会合で具体的な支援策を出せるどうかに注目しています。

※ 本記事は有料メルマガ『小泉悠と読む軍事大国ロシアの世界戦略』2022年3月28日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール小泉悠こいずみゆう
千葉県生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修了(政治学修士)。外務省国際情報統括官組織で専門分析員、ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所(IMEMO RAN)客員研究員、公益財団法人未来工学研究所特別研究員などを務めたのち、現在は東京大学先端科学技術研究センター特任助教。

 

苦戦続くロシア、粘るウクライナ、踏み込めない西側

開戦1ヶ月で戦況は一進一退

ウクライナでの戦争は、開戦から1ヶ月を経ました。当初の予想を大きく裏切ってロシアはウクライナを攻めあぐね、戦争の出口はいまだに見えてきません。

この状態が膠着を意味するかどうかはまだわからないと前号(第169号(2022年3月21日)ロシアの非核エスカレーション抑止攻撃|note)では述べましたが、それから1週間を経ても、戦況は大きく変わっていません。相変わらずキーウやハルキウは陥落せず、むしろ前者の周辺ではウクライナ軍が部分的に反撃に出てロシア軍に防勢を強いてさえいます。

米国防総省によると、ロシア軍はキーウ北西部15-20km地点で前進を止め、塹壕を掘って防勢に入っており、東部では20-30kmまで迫っていたロシア軍が55kmのところまで後退したとされています。
Battle in Eastern Ukraine Heats Up as Russians Are Driven Back East of Capital > U.S. Department of Defense > Defense Department News

また、ベルジャンスクでは何らかの手段でロシア海軍の揚陸艦を撃沈するという成果を挙げたらしいことはNEW CLIPSのコーナーで紹介したとおりであり、さらに3月25日には6人目の将官(南部軍管区第49諸兵科連合軍司令官のヤコフ・レゼンツェフ中将)が戦死したという情報も出回りました(これ以外に国家親衛軍の将軍も一人戦死しており、ロシア全体では計7人)。ウクライナ軍がロシア軍の攻勢を凌ぎながら、可能な範囲で逆襲を続けていることが見て取れます。
ロシア軍将官7人死亡、1人解任 西側当局:AFPBB News

また、ロシア軍に関する公開情報分析で有名な『インフォルム・ナパーム』は、戦死した兵士に贈られる勲章のシリアルナンバーから判断するに、ロシア軍の戦死者は最初の1週間だけで4800人近くに上っていた可能性を指摘しています。
Medal count: OSINT analysis of real Russian losses for the first week of hostilities in Ukraine – InformNapalm.org

ただし、米国防総省によると、ロシア軍はアゾフ海に臨む要衝マリウポリの市内にまで侵入しているほか、東部のドンバス地方でも活動を活発化させているとのことです。また、ウクライナも占領地域を大幅に奪還できるほどの大攻勢に出られているわけではありません。3月28日はウクライナ軍が北東部のスムィでロシア軍の大隊戦術グループ(BTG)を撤退させたとされていますが、米戦争研究所(ISW)は再編成のための撤退であったとしています(それでもBTGを丸ごと撤退させるのはこれが初めてのようですが)。

全体として言えば、戦況は一進一退で、どちらも決め手を欠く状況が続いているということになるでしょう。

 

追い詰められたロシアが爆発。プーチンを疑心暗鬼にしたNATOの大罪

病院や学校といった民間施設が攻撃対象にされるなど、深刻な人道危機に晒されているウクライナ。許されぬ蛮行に走った独裁者として記憶されることが確実なプーチン大統領ですが、何が彼をここまで追い詰めたのでしょうか。今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では元国税調査官で作家の大村大次郎さんが、この戦争に関して絶対的に悪なのはロシアだとした上で、NATOの側にも大いに反省すべき点があるとし、その理由を解説。さらに今この段階で西側諸国とロシアが信頼感を構築する努力を怠れば、第三次世界大戦の勃発も否定できないと警告しています。

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』の2022年4月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール大村大次郎おおむらおおじろう
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

 

ロシアは”仲間外れのジャイアン状態”だった

今回のロシアのウクライナ侵攻について、どうしてもお伝えしたいことがあり、今号では予定を変更してこのことについて少し述べさせてください。

まず今回の戦争について、筆者は絶対的にロシアが悪いし、ロシア軍は一刻も早く停戦し、撤退すべきだと思います。ウクライナの人々には、どうにか頑張って生き抜いていただきたいし、日本からも多くの人が心を痛めていることを伝えたいし、些少ながら筆者もウクライナ大使館に寄付をさせていただきました。

今回のロシアの侵攻というのは、まるで東西冷戦時代のソ連のような蛮行であり、今の時代にこういう所業が許されていいわけはありません。プーチン大統領は完全に判断を誤っていますし、歴史的な責任を負うことになるでしょう。

が、今回の戦争について反省しなければならないのは、プーチン大統領だけではないのです。NATOの側にも大いに反省すべき点があるのです。

今回の戦争の発端は、ウクライナがNATOに加盟しようとしたことに対してプーチン大統領が怒ったというものです。

あまり論じられることはありませんが、このNATOという存在は、時代錯誤気味なのです。そもそもNATO(北大西洋条約機構)というのは、第二次大戦後の東西冷戦時代に、ソ連や東欧諸国の共産圏国家群に対抗するためにつくられた軍事同盟です。仮想敵国は、ソ連や東欧諸国ということになっていました。

が、ご存じのように、ソ連は今や存在しない国ですし、東欧諸国には共産主義国家はなくなりましたので、NATOにとっての「敵」はいなくなったはずなのです。かつてNATOに対抗してソ連や東欧諸国でつくられていたワルシャワ条約機構という軍事同盟は消滅しています。つまり、NATOにとってもはや敵はいなくなったのです。

「敵はいなくなったけれど、国同士の同盟関係は大事だからこのまま続けていこうよ」ということで、NATOは今も続いているわけです。もちろんNATOがそれだけの存在であれば、あまり問題はないと言えます。

が、NATOは、仮想敵国としていたソ連がいなくなった代わりに、ロシアを事実上の仮想敵国として存続しているのです。NATOに「ロシアを仮想敵国とする」という明確な指針があるわけではありませんが、NATOのこれまでの経緯を見ると、「ロシアに対抗するための軍事同盟」という性質が如実にあるわけです。

ロシアから見れば、「自分たちはソ連とは違うんだし、東西冷戦のような西側諸国を敵対視する政策はやめたのだから、いつまでもロシアを仮想敵国とするのはやめてくれ」ということだったのです。

ソ連崩壊以降、ロシアは西側諸国と積極的に交流し、不完全ながらも民主化を進めました。貿易も年々拡大し、今ではヨーロッパのエネルギー資源の重要部分をロシアが賄うほどになっています。人的な交流も盛んですし、かつて鉄のカーテンで閉ざされた「東西冷戦時代」のソ連とは明らかに違います。

にもかかわらず、NATOは基本方針を変えずにここまで来てしまったのです。NATOというのは、ヨーロッパの大半の国々とアメリカが加盟している世界最強の軍事同盟です。その世界最強の軍事同盟から、いつまでも仮想敵国とされているのは、気味のいい話ではありません。

考えてみてください。第二次大戦で敵国だったからといって、アメリカ、韓国、中国が、日本を仮想敵国とした軍事同盟を保持し続けていたら、日本としては相当、気分が悪いですよね?もちろん、ロシアと日本ではかなり状況が違いますから、こういう比較は乱暴ではあります。ただ、周囲の国々から仲間外れにされるということは、その国としては絶対に面白くはないはずです。

しかも「世界最強の軍事同盟」から仲間外れにされ、敵視されているのです。恐怖さえ感じていたかもしれません。

今のロシアというのは「仲間はずれにされたジャイアン」のような状態だと言えます。ジャイアンといえども、みんなから仲間外れにされれば、不安になり恐怖を覚えるでしょう。そして、一番近くにいた奴をつかまえて殴りかかった、それが今回のウクライナ戦争ではないでしょうか?もちろん、ウクライナとしてはたまったものではありませんが。

 

絶体絶命の独裁者。「プーチンが核シェルターに移動」が意味するもの

3月29日、トルコの仲介により対面方式の停戦交渉に望んだウクライナとロシア。ロシア側はキーフ周辺での軍事行動の大幅な縮小を表明しましたが、未だ攻撃が収まる気配はありません。この紛争を巡る非公式な協議に参加したという、メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』の著者で元国連紛争調停官の島田久仁彦さんは今回、その席上で驚きを禁じ得なかったという各国参加者の「関心」の推移を記すとともに、世界の目がウクライナに向いている間に悪化の兆しを見せる、北東アジア地域の安全保障環境の変化を解説。さらにプーチン大統領が核シェルターに移動したという、「最悪の事態発生を意味する可能性のある情報」を紹介しています。

 

ウクライナ紛争が引き起こした混乱の国際情勢

「いったい何がしたいのだろうか?もう分からなくなってきた」

これは私自身も抱く疑問と違和感なのですが、ロシアでもウクライナでも、そしてロシア包囲網を固めようとする国際社会でも、この疑問がそれぞれのコンテクストで大きくなってきているようです。

ロシアのプーチン大統領周辺の絶対的忠誠を誓う人たちと、国内で行われるプロパガンダ戦に影響されるプーチン大統領支持者という例外を除き、共通している点は【ロシアによる武力侵攻は、2月24日以前の環境に鑑みて、いかなる理由があったとしても、許されるものではない】というものです。私もその立場を取っています。

しかし、それ以外の点については、必ずしも統一された視点が存在していないようです。

特に顕著なのが、当事者たちも、各国の政府も、メディアも、そしてビジネスも、冒頭に挙げたように「いったい何がしたいのか?何のためにこんなことに付き合わされているのだ?」という違和感と疑問です。

この疑問は、ニューヨークにいるロシア人・ウクライナ人も含むかつての同僚から投げかけられました。事務総長以下、ロシアによる軍事侵攻に対して国連は激しい非難をロシアに加えていますが、同時に「ウクライナはよく持ちこたえている」と抗戦の健闘を称えるような見解に対して複雑な心境を隠せないそうです。

私自身、CNNのプログラムでコメントをした際、ウクライナ人の女性が2人の子供たちを避難させ、自らは対戦車砲を抱えて交戦し、欧米メディアのカメラの前で、嬉々として「私はキエフやウクライナのためのみならず、民主主義のために戦っている」と語っている姿を見て、とても複雑な気持ちになりました。

最近、よく話されている“もう一つの桃太郎”のお話ではないですが、この女性がミサイルを撃ち込む先にも“だれか”がいるわけで、物理的には見えなくても、確実にミサイルの先にいる生命や安全を脅かしているのも事実ですが、どこかその“事実”は、戦時特有のハイな感情でしょうか?それとも、旧ユーゴスラビア戦争以降、盛んになった情報戦のなせる業なのでしょうか?決して語られることはありません。

もちろん“最初に手を出した”のは、ロシアの国家安全保障への脅威を理由に武力侵攻したプーチン大統領とロシア軍ですが、今、ウクライナによる抗戦状況を称え、「ロシアは衰退している」という論調をベースに、善と悪という二分化が明確になってきていることに懸念を覚えます。

私自身、紛争調停の現場において、紛争現場ゆえのハイな感情と“自分の行動を正当化し、都合の悪いことは切り捨てる”という【確証バイアス】が戦争においてなせる業を何度も観てきましたが、今回も「憎きロシア人を殺してやった!!!」という論調を見るにつれ、何とも言えない気味悪さを感じています。

直接的な被害に遭い、終わらない悲劇に苛まれているのは、もちろんウクライナの一般市民で、そんな彼ら・彼女たちと連帯し、支援しているのは他国の一般市民ですが、それ以外の人たちの目的って何なのでしょうか?

 

京大教授と“宿敵”竹中平蔵との対談で判った新自由主義のヤバさ

先日掲載の「京大教授が暴露。元旦『朝生』CM中に立憲・小川淳也議員が口走った激しい言葉」では、期せずして竹中平蔵氏と「共闘関係」となった次第を明かした京都大学大学院教授の藤井聡さん。しかし自身の番組にゲストとして迎えた竹中氏との対談では、その思想に戦慄を覚えるに至ったといいます。竹中氏の主張の何が藤井さんにそこまでの感情を抱かせたのでしょうか。今回のメルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』に藤井さんがその一部始終を余すところなく記しています。

【関連】京大教授が暴露。元旦「朝生」CM中に立憲・小川淳也議員が口走った激しい言葉

(この記事はメルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』2022年3月26日配信分の一部抜粋です)

 

竹中平蔵氏とのTV対談が示す新自由主義の「ヤバさ」の本質~政府がPBや新自由主義に拘る謎を解く~

この度、MXテレビの東京ホンマもん教室に、「新自由主義者」の象徴としばしば言われる経済学者・竹中平蔵氏をゲストにお迎えしました。

テーマは「(1)成長は必要か?」「(2)財政拡大は必要か?」「(3)新自由主義は必要か?」の3つ。この内(1)の成長必要論は両者完全合意、(2)については総論合意だが各論(とりわけPB規律についてのみ激しく)対立、そして(3)の新自由主義の必要論については、激しく対立する討論となりました。

こうした展開は事前に想定していた通りでしたが、今回のハイライトはやはり、(3)の新自由主義です。

※ 子細は下記をご視聴下さい。ちょうど対談箇所からの再生となります。
→ 【東京ホンマもん教室】3月26日 放送見逃し動画 ウクライナ侵攻と尖閣~“他人事”を決め込む日本人の危ない現状認識~ ゲスト:竹中平蔵

当方、改めてこの討論動画を拝見し、竹中氏の発言を精査し、分析いたしたのですが、ここではその分析結果をご報告差し上げたいと思います。

この分析は、竹中氏のみならず、経済政策を巡る「新自由主義」的な一般的議論にどういう種類の「詭弁」が含まれているのか、さらにはどういう恐るべき「反社会的」思想が混入しているのかを改めて浮き彫りにするものでもありますので、是非ともご一読いただきたいと思います。

まず(1)の成長必要論は、今回の対談のきっかけとなった今年の朝生元旦スペシャルでの論争をなぞるもので、(立憲民主の小川政調会長が主張する様な)反成長論こそが国民を不幸にし、かえって環境を逆に「破壊」し得るという点について概ね合意となりました。この点は特に追加で申し上げる事もありません。

【関連】京大教授が暴露。元旦「朝生」CM中に立憲・小川淳也議員が口走った激しい言葉

そして、(2)についても成長のために財政政策が必要であり、それを阻止する財務省は極めて危険である、という点までは合意できました。しかし竹中氏は、PB目標だけは撤廃してはならないという論調に終始されました。

当方は、

「今やもう、PB規律が一番キツイ規律になっているのであり、これをやめ、より柔軟な規律(債務体GDP非やインフレ率、成長率による財政規律)に規律を改変しなければ、国民を救う財政が展開できない」

と主張したのですが、竹中氏はこの主張に徹底的に反対し、PB規律堅持を主張し続けたのです。

なぜ、竹中氏がそこまでPBにこだわるのか、是非、皆様もじっくりと下記動画の前半部分の竹中氏の発言をお聞き頂ければと思いますが……。

【東京ホンマもん教室】3月26日 放送見逃し動画 ウクライナ侵攻と尖閣~“他人事”を決め込む日本人の危ない現状認識~ ゲスト:竹中平蔵

要約すると以下の3点を竹中氏は主張しておられました。

  • PB規律を導入したのは私である
  • 多様な規律があっても良いが、その内の一つとして財政の総量規制を導入することが必要であり、そのためにもPBは必須だ
  • PBよりもキツイ規律があり(キャップ規制)、それを私が緩和させてPB規律を導入したのだ。

この3点は、上述の当方の主張の反論になっているかといえば、一切なっていないことは一目瞭然です。

 

落語家が明かす、イソップ童話「うさぎとかめ」でウサギが亀に負けた本当の理由

イソップ童話として名高い「うさぎとかめ」ですが、この話は何を伝えたいのかと聞かれたら、誰でも「うさぎにはいつでも勝てると油断があり、人生は油断をしてはいけないという戒め」と答えるのではないでしょうか。しかし、今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、 落語家の四代目 三遊亭圓歌さんが、ある企業の社長から聞いたという「うさぎとかめ」が本当に伝えたいことについて紹介しています。

うさぎは、なぜ亀に負けたのか? 四代目 三遊亭圓歌(落語家)

私が、笑いを交えながら人生や経営、子育てなどについて、私なりの考えを盛り込んだ、いまの落語や講演のスタイルを確立したきっかけを与えてもらったのは、遠縁に当たるジュポン化粧品本舗の故・養田実社長です。

養田社長は若いころ、柳亭痴楽師匠に弟子入りし、落語家を目指した経歴の持ち主だけに、私の気持ちをよく理解してもらい、「これからの時代、落語だけで食べていくのは難しいから、半分は落語、半分は講演にして企業を回ってみたらどうか」と、いろいろな異業種交流会などに連れていってくださったのです。

私はここで学んだ多くの経営者の言葉や、本で読んだ中村天風、森信三、石川洋といった先哲の言葉にヒントを得ながら、それをどう落語家の自分なりに消化し、人々を笑わせ、元気づけていけるかということに知恵を絞りました。

古典落語を基礎にこれらを取り入れた私の芸風の確立は、すなわち私の人生観の確立でもありました。

養田社長から教わった忘れられない話があります。

私が真打ちになったのは昭和62年5月。

林家こぶ平さんと一緒の昇進でした。

真打ちが発表されると、二人がいる部屋に一斉にマスコミが押し寄せたのです。

ところが、フラッシュを浴びたのはこぶ平さんだけ。数メートル横に私がいたのですが、どこの社も見向いてもくれませんでした。

考えてみれば、こぶ平さんは正蔵、三平と続いたサラブレッド、一方の私は、いわば落語界には何の縁もない田舎生まれ、田舎育ちの駄馬でした。

私はくやしくて涙を抑えられなくなって走って外に飛び出し、電車に乗りました。そこに偶然にも養田社長がいたのです。

「歌さん(※当時は三遊亭歌之介)、浮かぬ顔してどうしたんだ」

と聞かれ、私は理由を話しました。すると養田社長はこう切り出したのです。

「うさぎとかめの童話があるだろう。うさぎは、どうしてのろまなかめに負けたのか。言ってごらん」

私は答えました。

「うさぎにはいつでも勝てると油断があったのです。人生は油断をしてはいけないという戒めです」と。

養田社長は

「本当にそう思っていたのか。零点の答えだ」

と語気を強めて、静かにこのように話したのです。

かめにとって相手はうさぎでもライオンでも何でもよかったはずだ。なぜなら、かめは一遍も相手を見ていないんだよ。かめは旗の立っている頂上、つまり人生の目標だけを見つめて歩き続けた。一方のうさぎはどうだ、絶えずかめのことばかり気にして、大切な人生の目標をたった一度も考えることをしなかったんだよ。君の人生目標は、こぶ平君ではないはずだ。賢いかめになって歩き続けなさい」

さらに養田社長は言葉を続けました。

「どんな急な坂道があっても止まってはだめだよ。苦しいときには、ああ何と有り難い急な坂道なんだ、この坂道は俺を鍛えてくれているではないか、と感謝しなさい。有り難いというのは難が有るから有り難いんだよ」と。

私は社長のこの一言で迷いが吹っ切れたのです。そして、自分の人生の目標に向かって黙々と歩き続けよう、と思ったのです。

image by: Shutterstock.com

ダメな営業マンがたった1カ月で全国トップに躍り出た「雑談力」とは

コミュニケーション力はどんな仕事にも必要不可欠な要素ですが、特に営業担当の方には必須ともいえる能力。なかでも、何気ないトークを普通にできる「雑談力」が大切なようです。そこで今回は、メルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』の中で、25万人の人生を変えた“雑談のカリスマ”による最強の雑談術をご紹介していきます。

【一日一冊】すごい雑談力 25万人が自信をつけた話し方・聞き方のルール

41InQ6s1WzL._SX338_BO1,204,203,200_

すごい雑談力 25万人が自信をつけた話し方・聞き方のルール

松橋良紀 著/秀和システム

まったく売れないダメ営業マンが心理学と雑談術を学んだところ、いきなり全国トップ営業マンになったという著者が教える雑談術です。

信頼関係を築くための雑談術はすでに体系化されていますので、これを学べばよいのです。

例えば、自己開示する、笑顔を磨く、相手の名前を会話に入れる、質問で話し終える、オーバーリアクションで驚きを伝える、自己紹介用のキャッチフレーズをつくる、などのテクニックがありますが、みなさん、どのくらいできているでしょうか。

「グットアンドニュー」:「よかったこと(Good)」と、「新しい発見(New)」を1人ずつ発表して、全員で共有すればOKです(p49)

特に営業では、相手にしゃべらせて話を盛り上げるのが王道です。そのためには、相手が話題を切り出したら、自分を出さずに、その話題を深く聞いていくことが大事になります。

例えば、相手が「〇〇に行ってきた」と話題を提供したら「へえ、○○に?」 一言で返すのです。相手が「悩んでいるんです」と言ったら、「すごく悩まれているんですね…」と沈黙するわけです。

つまり、自分を出さずに相手に合わせる、ペーシングで相手の波長に合わせることで印象が良くなるのです。言葉だけでなく、動作や表情も合わせましょう。

一言で返そう…「雷門に行ってきたんだよ」「へえ、雷門に?」(p101)

まずはポテンヒットを狙え。会社や上司の期待値を高める賢い出世術とは

「給料を上げたい」「出世したい」と思うのは働いていれば多くの人が考えること。でも、何もやらずにそんな願いが叶うことはありません。会社や上司の期待に応えることが大切でしょう。そこで今回は、メルマガ『サラリーマンで年収1000万円を目指せ。』の著者・佐藤しょ~おんさんが期待値を高める方法を伝授。とんとん拍子に出世する人には当然の理由があるようです。

期待値を高めろ

出世する人のパターンは、周りの人の期待値が高いことです。大きな問題が起こったり、新しいプロジェクトが立ち上がったりした時に、

 ● あの人ならなんとかしてくれるだろう

って考える人が多いということです。つまりみんなが期待をしているということですね。ツーアウト満塁でバッターボックスに入るようなもんですよ。

ここで期待に応える働きをするから、

 ● もうあいつを昇格させる以外にないだろう

って雰囲気が作られるんですね。

そうなるためには、あなたに対する期待値を高めることを考えなきゃダメですよ。

業務スキルや、仕事力を身に付けたら、次に考えるべきはどうやって他の人から期待される存在になるかなんです。つまりあなたが注目される存在になる必要があるんです。

もちろん誰しも最初は、期待値なんてゼロなんですよ。そもそもあなた誰?ってところにいるわけですから。

しかしその状態でもヒットを打ったり(つまりそれは成果を出すということです)するわけでしょ。それが業務スキルがあるとか、仕事力があるということですから。

ちょこちょこと色々な場面でヒットを打てるようになったら、意識して大勢が見ている場面、ステージに立つことを考えるのです。ここで日和って、

 ■ イヤイヤ、私なんてまだまだでして…

みたいなつまらない謙遜をしてはいけません。日本人はこれをやっちゃうんですよ。何本かクリーンヒットを打ったのなら、

 ● 我こそが将来のクリーンアップ候補なり

って気構えを持たないと。つまり、この組織を将来は私が背負って立つのだという意識を持つのです。

これだけで、あなたの態度が変化するのです。

露プーチン政権への“クーデター”を恐れる習近平。絵空事ではない中国大崩壊

3月30日に行われた外相会談で協力関係の強化を確認した中ロですが、習近平政権サイドが抱えるジレンマは相当に深刻なもののようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、ロシアの政変が中国崩壊に直結しかねない理由を解説。それ故に習近平国家主席は、ロシアとプーチン大統領を支援せざるを得ない苦しい立場に追い込まれていると指摘しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2022年3月30日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

 

【中国】ロシアでクーデターが起これば習近平政権も中国も大崩壊

中国資産巡る警戒感、強まるばかり-中ロ首脳の結束で政治リスク

ロシアのウクライナ侵略以降、中国に対する投資家の警戒感が高まりつつあります。ブルームバーグによれば、外国投資家が中国投資の際に参照するMSCI中国指数が、他国の株価指数に対して、過去20年余りで最大に近い定位で推移しているということで、外国投資家が中国株から逃避していることがわかります。

習近平もプーチン同様に全体主義国家の独裁者であり、何をしでかすかわからないという不気味さがあるからです。ロシアへの軍事協力により西側諸国の制裁対象になる可能性もあり、また、台湾侵略を強行するかもしれないという懸念があるため、外国人投資家は手を出しにくくなっているのです。

中国政府は株式市場の安定や経済成長を支える政策を打ち出し、また、これまで行ってきた巨大IT企業などへの締め付けを早期に終わらせるとアナウンスすることで、外国人投資家の懸念を払拭しようとしています。

中国は株式市場を安定維持へ、国外上場も支持-本土・香港株急騰

これにより一時的に株価は上昇に向かったようですが、冒頭の記事によれば、外国人投資家は利益を確定するための準備に入っており、持ち直しは長くは続かないと予測しています。

いずれにせよ、習近平政権のリスクについて、投資面でも世界は気づき始めたということなのです。つい数年前まで、外国企業も外国政府も中国にどっぷり浸かっていたことから考えると、隔世の感があります。