習近平にとって不都合。中国がイーロン・マスクの衛星を乗っ取る日

大量の衛星を打ち上げ、世界のどこからでも安価で高速ブロードバンドの利用が可能になるという、米スペースX社の「スターリンク」計画。しかし習近平政権にとってそれは、極めて「不都合」な技術のようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、中国寄りの発言を繰り返してきたイーロン・マスク氏が率いるスペースXを国連宇宙部に訴えた中国当局の思惑を解説。さらにスターリンクの技術を将来的に同国が乗っ取る可能性を指摘するとともに、世界の企業に対して中国と親密な関係を築く危険性を説いています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2021年12月29日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

 

【中国】イーロン・マスクの衛星が中国に乗っ取られる?

中国の宇宙ステーションと米スペースX衛星、あわや衝突 マスク氏に非難

12月27日、アメリカの実業家イーロン・マスク氏が率いる宇宙開発企業スペースXの衛星が、中国が建設中の宇宙ステーションとニアミスを起こしたとして、中国政府が国連宇宙部に苦情を提出しました。これを受けて、中国のSNSでもイーロン・マスク氏を批判する投稿が相次いでいるそうです。

中国が建設中の宇宙ステーションとは、2022年に完成予定の「天宮」。一方、スペースXは世界中に高速インターネットサービスを提供するために1万を超える小型衛星を打ち上げるという「スターリンク」計画を展開しています。そして、そのために打ち上げた衛星が2021年の7月と10月に天宮の軌道に入り、ニアミスが起こったとされています。

イーロン・マスクといえば、電気自動車(EV)のテスラ創業者でもあり、中国市場で工場を持ち、2020年にはテスラ車が中国市場でもっとも売れたEVとなりました。それだけに、「中国で儲けたくせに、中国の宇宙ステーションに危害をくわえるなんて」といった批判が殺到しており、不買運動にも展開しそうな勢いだそうです。

イーロン・マスクはこれまで、中国の自動車メーカーを称賛したり、中国の労働倫理を称賛するなど、中国寄りの発言を繰り返してきました。にもかかわらず、中国政府が一企業であるスペースXへの批判を国連にまで行ったのは、なぜでしょうか。

イーロン・マスクは中国の労働倫理を称賛し、アメリカ人の態度を批判する

前述したように、スペースXの「スターリンク」計画は、世界中のいたるところでインターネット接続を可能にしようというものです。これが実現すれば、アンテナさえ設置すれば良く、光ファイバーなどを引く必要もなく、きわめて安価で高速インターネットの環境が得られます。

そして国土の広い中国においても、内地や山奥など場所を問わずに世界とつながることができることになります。これは、国内で厳しいインターネット検閲を行っている中国共産党にとっては、非常に都合の悪いことです。

経営コンサルタントの竹内一正氏は、このスターリンクが言論統制を敷く中国やロシアなどの独裁国家に、ネット民主主義を広める起爆剤となるかもしれないと論じています。すでにロシアでは、スターリンクを利用した個人および法人に罰金を科す法案が議会に提出されているそうです。

イーロン・マスクの新事業「スターリンク」が習近平の悩みの種になりかねないワケ

 

「すべて中国のせいにする病」の米国に服従する日本という重症国家

2018年に本格化し、現在も収まる気配がないと言われる米中対立。あらゆる面で中国の「非」を攻め立てる米国ですが、はたしてそこに大義は存在するのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』ではジャーナリストの高野孟さんが、英国人政治評論家の論評を引きつつ米政府の中国に対する「誤った対応」を非難。さらにその米国の主張に吟味もせずに付き従う日本についても強い批判を記しています。

 

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2022年1月3日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

自分の衰退を中国のせいにしようとして罪をなすりつける米国の病的心理/ガネシュ記者の論説に学ぶ

今年は、米国ではバイデン政権の命運を占う中間選挙、中国では習近平体制の確立を賭けた共産党大会が開かれる。そのそれぞれが秋の山場までにどういう展開を迎えるか、2つの変数とその掛け合わせ次第で、それでなくともギクシャクが続く米中関係の行方が左右されていくことになろう。

日本のマスメディアでは、中国をことさらに醜悪に描き上げ、それに対して米国を盟主とし日本を副官とする「民主主義陣営」が立ち向かって行くといった、米国直輸入の冷戦思考そのままの勇ましい論調が主流を占めているけれども、その中にあって、12月31日付日本経済新聞に載った英「フィナンシャル・タイムズ」米政治担当の首席評論員=ジャナン・ガネシュの「中国台頭、米の責任ではない」と題した論評は、珍しく(と言っては失礼かもしれないが)正気を保ったもので、私の意見とも多くの部分で合致する。

中国の台頭は必然

ガネシュは要旨次のように言う。

1.米国は1990年代には世界で唯一の覇権国だった。中国が今後、米国を追い抜くかどうかはともかく、米国は90年代当時の地位は既に失った。そのトラウマを癒そうと米国は、一体何をどうすればよかったのかとくよくよと考え続けている。

2.だが、どこで失敗したのかと模索するのは「逃げ」とも言える。現状を自分たちが過ちを犯した結果だと捉えるのでなければ、米国よりはるかに巨大で長い歴史を持つ中国が、世界で再び台頭するのは必然だったと認めることになるからだ。

3.欧米はある程度、犠牲を払えば中国台頭を遅らせられたかもしれないが、それを阻止することなどもとより不可能だった。己の無力を認めることは、罪を認めるよりもつらい。米国以外の西側諸国も、中国台頭を阻止できないと認めるのは米国と同様にできていない。「欧米はいかに簡単に中国の台頭を許したか」という見出しが米フォックスニュースで踊っても驚かないが、英BBCのサイトに10日、似たタイトルの記事が載った〔本誌注:How the West invited China to eat its lunch〕。

4.これらの見出しには、自分たちの無力さを認めたがらない欧米のメンタリティが反映されており、2つの前提が含まれている。第1は、中国のWTO加盟は阻止できたはずだという考えだ。だがそれは当時、市場開放に向け改革を進めていた世界人口の5分の1を占める中国を世界経済から排除するなどできるはずがなかった。第2は加盟を阻止していれば西側諸国が不利益を被ることがなかったという考え方だが、あれだけ多くの西側企業が中国の安い労働力をてこに大きく成長した事実を忘れているのか。

5.中国の台頭はその長い栄枯盛衰の歴史からみれば驚くべきことではない。いまの中国台頭を異常現象のように捉えること自体が時代錯誤だ。

6.米国がこれだけ衰退しているのに、まだ覇権国と自負していることが米政府の矛盾した対応につながっている。対中強硬派のポンペオ前米国務長官は、ニクソン大統領が中国を国として承認したことさえ甘かったとみていた。こうした薄っぺらな強硬姿勢の問題は、そもそも中国には自力で繁栄する力はないと言いたげな点である、中国に力がないのなら、なぜかくも中国に強硬姿勢をとるのか……。

 

スポーツ指導の現場で「罰」を求める保護者たち。どう対応すべき?

時代とともに変化する、子供や若者の指導法。しかしながら教える立場の人間や指導を受ける側の保護者の中には、その流れに乗り切れない向きも多いようです。今回のメルマガ『久米信行ゼミ「オトナのための学び道楽」』に読者の方から届いたのは、厳しい指導を求める親御さんへの対応に悩む少年野球チームのコーチからのご相談。iU情報経営イノベーション専門職大学教授を務める久米さんは、複数の大学で教鞭を執った経験から得た若者を伸ばす指導法を伝授するとともに、「罰的指導」を求める保護者へかけてみるべき言葉を紹介しています。

 

オトナの放課後相談室:「罰」はスポーツ指導の現場で本当に必要か?

Question

shitumon

近所の少年野球チームでコーチをしています。自分が子供の頃は、試合に負けると罰として走らせたり、ノックしたりと、何かにつけて「罰」を与える指導が当たり前でしたが、うちのチームは監督の方針で勝っても負けても、行うのは反省会のみで「罰」的な練習は一切ありません。

確かに試合で疲れ、集中力が切れた後にもう1回練習をさせるのは非効率な気もしますし、何より「負ける」と罰を与えるというのも、変な話だと気付いたワケです。

ただ、そのやり方に不満を持つ保護者もいて、「そんなに甘いやり方じゃ勝負の厳しさが学べない」と、監督がいないところで陰口を聞くことも少なくありません。

ちなみに監督は、「一生懸命練習して負ければ、子供だって悔しいはずだから、必要なのは罰じゃなく、うまくなるための反省とそれを踏まえた課題克服だ」と以前に話していたので、私はそれに共感しています。

何とか監督をフォローしたいのですが、不満を抱える保護者を納得させるいいアプローチはないでしょうか?(神奈川県・45歳、男性)

久米さんからの回答

罰よりも褒めて自発性と創意工夫を育むことが大切。監督も他の保護者に変わって褒めましょう

一応、私も子どもたち(といっても大学生ですが)の指導者の端くれで、日々、試行錯誤を続けております。

そんな私にとって、今年は「大いなる気づき」がありました。

簡単に言うなら「イマドキの子供に一方的で強圧的な指導は効かない。自分で体や心を動かすキッカケを作って、その行動を指導者と仲間とが一体になって褒め続けて、初めて学び始める」ということです。

私は、もともと大学で教え始める前から、経営者向けの講師を25年近く続けてきました。振り返ってみれば、自分自身も中小企業経営者でしたから指導するのは楽だったのです。

経営者のみなさんは、どんな聴衆だったかというと

  1. 誰もが危機に晒され将来に不安を抱いているので命がけで学びに来ている
  2. 自分のお金と時間を使ってきているので一つでも多く学ぼうとしている
  3. どんなことでも言われたことは自分で「すぐやる」覚悟ができている
  4. その新行動が社外や社内から批判され笑われることでも意に介さない
  5. 一度良いと思って始めたら、成果が出るまで「やり抜く」根性がある

経営者向けの講演で話すのは、どこかの教科書に書いていることではなく、すべて私自身が試して成果を出したこと、やろうと思えば今日からお金をかけずに始められる実践的なことばかりでした。だからこそ、誰もが真剣に聴いてくれて、眠る人などいませんし、講演後も 私のブログやSNSなど真剣に読み続けてくれる人がほとんどでした。

つまり、私が2006年に明治大学で教え始めて以来、3つの大学で顔を合わせる学生たちとは、ほぼ真逆と言ってもいい「意識高い系」で「前のめりな人」たちばかりだったのです。

明治大学は今や人気大学で偏差値も高いはずです。しかも私の授業は夜だった上、ベンチャービジネス論というテーマからして、意識高い系しか集まらないような選択科目でした。それなのに、私やゲスト講師が熱く語る授業に参加し続けてくれる学生は最終的に半分ぐらいに減り、レポート提出を続けられず単位を取得できない学生が半分近く出てしまうのです。

いわんや、新興勢力の多摩大学やiU情報経営イノベーション専門職大学では…。

 

やる気マンマンの同僚たちに囲まれ疲れた自分を元気づける方法は?

自分自身が少し落ち込んでいるときに、周囲がやる気に溢れた人ばかりだと、ついていけずにますます落ち込んだり焦ったりしてあまりいいことはないですね。そんなときには、無理に合わせるより、ストレスになっている人たちを理解しようとする方が効果的なようです。メルマガ『『ゼロ秒思考』赤羽雄二の「成長を加速する人生相談」』著者で、世界的なコンサルティング会社で14年間もの勤務経験を持つ、ブレークスルーパートナーズ株式会社マネージングディレクターの赤羽雄二さんは、ベストセラーになった著書で提唱している「A4メモ書き」による方法をレクチャー。その上でロールプレイングをすると、周囲の見え方が変わってくると伝えています。

「A4メモ書き」とは:赤羽さんが考案したA4用紙を横置きにして左上にタイトル、右上に日付、本文を4~6行、各20字前後を1分で書き上げることで“もやもや”が消えていくという方法を使用したストレス軽減策

 

会社の同僚のやる気が高くてついていけません

Question

shitumon

サービス業での本社勤務の32歳です。花形職場ということもあって、同僚のやる気が高く、全くついていけていません。残業や休日出勤もいやがりませんし、ノリがすごいので合わせづらいです。5年前に転職してきた際は頑張って彼らの仲間のフリをしていたのですが、もう疲れました。どうしたら、もう少し元気が出るでしょうか。

赤羽さんからの回答

お気持ち、大変よくわかります。疲れますよね。人にはそれぞれペースがあるのに、そういう同僚が周囲に複数以上いたら、人それぞれとか言っていられません。

まずは、もやもやを整理するため、次のようなA4メモ書きをしてみてください。やる気の高い同僚をAさん、Bさんとします。

  • Aさん、Bさんはなぜあそこまでやる気が高いのか
  • Aさん、Bさんはいつ頃からやる気が高くなったのか
  • Aさん、Bさんはどういう価値観だからやる気が高いのか
  • Aさん、Bさんにはいいロールモデルがいたのか
  • Aさん、Bさんはどういう両親で、どういう育ち方をしたのか
  • Aさん、Bさんには、失敗がないのか
  • Aさん、Bさんがやる気を失うとしたらどういうときか
  • Aさん、Bさんは上司とどういう関係を築いているか
  • Aさん、Bさんは後輩とどう接しているか
  • Aさん、Bさんはお互いにどう思っているか、ライバルか

その上で、もし可能なら他部署の同期や、学校時代の友人などに頼んで3人でロールプレイングを実施すると、彼らの気持ちがかなりよくわかります。やる気の高いAさん役、やる気が出ないご自身の役、オブザーバーの3役です。

「どうしてそんなにやる気があるのか」というテーマで、3分間、Aさんに質問をし、答えてもらうようにします。3分は短いようですが、十分なやりとりができます。

その後、2分間、フィードバックタイムとして、Aさん役、自分役、オブザーバー役から順次、感想をいいます。その後、役割交代を2度行ってロールプレイングを実施すると、わずか15分で多くの発見があります。

こういうロールプレイングをやってみると、実は彼らにも悩みがあることがわかったり、ご自身のことを実はうらやましく思っていることなどに気づいたりするので、かなり見え方が変わってきます。

 

image by: Shutterstock.com

あのユニクロが国内ECのパートナーに「アンドモール」を選んだ理由

昨年11月8日、三井ショッピングパーク公式通販サイト「&mall(アンドモール)」にユニクロが参加。自社のオンラインサイトの認知度も高いユニクロが、他社の運営するECサイトに初めて出店し話題となりました。今回のメルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』では、著者の理央さんが、ユニクロのメリットと狙いを解説。ネット通販があって当たり前になった今、どこででも探せ、買え、受け取れる「オムニチャネル」を合理的に推進する姿勢を評価しています。

 

なぜ、ユニクロは国内ECのパートナーをアンドモールにしたのか?

ユニクロが、国内で初めて自社のホームページ以外で、インターネット通販を始めたことが話題になりました。組んだ通販サイトは、三井不動産が運営する、三井ショッピングモールの公式通販サイトの、アンドモールです。

三井ショッピングモールというと、アウトレットモールやららぽーとのような、リアル店舗のある巨大ショッピングモールを運営しています。また、六本木や日比谷にある、ミッドタウンも、三井不動産がタウンマネジメント、のコンセプトで開発した、リアルな「場」です。

そのアンドモールの特徴の1つは、ららぽーとや、アウトレットの各店舗にある、「在庫を発送する」という点です。リアル店舗を持っている企業が、インターネット通販をやる場合、通常は別な場所に倉庫を持ち、そこに在庫を積むのですが、その必要がないのです。

ユニクロのような製造と販売が一体になっているSPA、というビジネスモデルの業態の企業にとっては、通販用の別在庫を持ってしまうと、売れなかった時のリスクがでます。しかし、この業態であれば、そのリスクを減らせるので、ありがたいネット通販の形と言えます。

さらに、流通のための倉庫が災害にあって、送れなくなってしまったというような、不確実性も避けられます。また、生産した場所からその倉庫までの、横持ちの運賃のような物流コストも、下げることができるため、効率的なバリューチェーンとも言えます。

さらにユニクロにとってみると、アマゾンや楽天のような巨大なプラットフォーム上で販売をすると、自社でお客様のリストを管理することができない上に、ブラットフォーマー側への手数料がコストとしてかかってしまいます。たとえば、アマゾンで売る場合はアマゾンの倉庫への物流費がかかるし、楽天の場合は、自社で別途発送するのでその管理をしなければいけません。

ただ、自社の通販サイトだけでは新しい顧客を得ることが限られてしまうので、他社のサイトからの顧客獲得や、店舗で買えなかった分をそのままネットで買ってもらえるような仕組みを作りたかったはずです。

このような中で、今回のこのアンドモールの仕組みを使うことによって、ららぽーとなどに入っている、自社の店舗から、そのまま直送ができたりするという仕組みは、ユニクロにとってやってみる価値があったのだといえます。

 

東京・小笠原村で震度5強。懸念される伊豆・小笠原海溝アウターライズ地震と巨大津波発生

気象庁は4日、東京・小笠原村の父島近海で午前6時8分頃、マグニチュード(M)6.1、深さ77km、最大震度5強の地震を観測したと発表した。この地震による津波の発生はなかったものの、震源近くの母島で震度5強、父島で震度4の揺れを観測したという。

「なんだ、はるか離島の地震か」と安心してしまった関東住民は多かったのかもしれないが、今回の地震によって「ある懸念」が現実のものとなる可能性がでてきた。それは、「伊豆・小笠原海溝アウターライズ地震」である。

今回の震源地よりも本州寄りで、同じく「伊豆・小笠原海溝」沿いの鳥島(東京都青ヶ島村)近海では現在、過去に例がないほどの群発地震が頻繁に発生している。独立行政法人防災科学技術研究所(NIED)が公表している、気象庁一元化震源要素(2日前以前)およびHi-net地震観測システムによる自動処理結果(前日・当日)の震源要素を使用して作成された「Hi-net自動処理震源マップ」によると、ここ30日間で鳥島近海で群発地震が発生していることがわかる。

つまり4日に発生した小笠原村震度5強がトリガーとなって、鳥島近海の伊豆・小笠原海溝でアウターライズ地震が発生する可能性、あるいはその前兆である可能性が出てきたのである。

アウターライズ地震とは、海溝の外側付近でおきる地震のことを指す。この「アウターライズ」とは、海洋プレートが折れ曲がって海溝から沈み込む際にできる隆起帯を指し、その部分を震源域とする地震を「アウターライズ地震」と呼んでいる。この鳥島近海で群発地震が起きているエリアは、伊豆・小笠原海溝のアウターライズ(外側)にあたり、もしこのエリアでM8クラスの地震が発生した場合、東日本大震災で発生したものと同規模の巨大な津波が発生し、房総半島や東京湾、伊豆半島などの関東周辺から南は九州まで津波被害が出る可能性がある。

昨年12月21日には、内閣府が北海道から東北地方の太平洋沖に延びる「千島海溝」と「日本海溝」沿いでマグニチュード(M)9級の巨大地震が発生した場合の被害想定を公表し、あの東日本大震災の死者数約1万8000人を10倍以上も上回る19万9000人と発表したばかり。もし、この伊豆・小笠原海溝アウターライズ地震による巨大津波が発生すれば、その被害規模は千島・日本海溝地震の想定をはるかに上回るだろう。

● 日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の被害想定について(内閣府、2021年12月21日発表)

MAG2 NEWSでは2020年8月、地質学者の「日本沈没」に関する可能性について学会発表された論文に関する記事を公開したが、その中で「今後、マリアナ諸島は沈没するかもしれない」という仮説を紹介した。

【関連】地質学者が懸念する「令和関東大震災」と日本沈没の可能性。首都直下地震は近いのか?

今回の小笠原周辺の地震発生により、日本近海では今後何が起きても不思議ではないのかもしれない。ドラマの中で描かれたような「日本沈没」は無いにしても、3.11で多くの被害を出した津波地震の脅威がまだ完全に払拭されたわけではない。今後も、遠方の地震とたかをくくることなく、伊豆・小笠原海溝周辺の地震に注意を払う必要があるだろう。

【関連】関東で地震の発生相次ぐ。江戸から伝わる「前兆」現象は本当か?
【関連】浅間山で火山性地震が増加。1931年「西埼玉地震」に酷似する前兆

貴乃花光司「死ぬことの方がずっと楽だった」苦悩に満ちた言葉から得た未来

現役時代から圧倒的な強さを誇っていた元横綱・貴乃花こと貴乃花光司氏。戦う男の代表ともいえる彼の人生についてメルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』著者でニューヨークの邦字紙『NEW YORK ビズ!』CEOの高橋克明さんが、独占インタビューしました。誰よりも“濃い”人生を歩んできた男が抱えた苦悩、そしてこれから突き進もうとする未来とは?

 

“感謝”の心こそが最強の武器・貴乃花光司

一昨年夏、元貴乃花親方、貴乃花光司さんにインタビューした。マンハッタンのニューヨーク大学で中高生向けの特別講演「稽古と心」で来米された時のことだ。

貴乃花さんは僕の1歳年上。僕たちの世代の戦う男の代表はICHIRO選手と貴乃花関の2トップ。もちろん現役時代の取り組みも進行形で見てきた特別な存在。

日本中が次の取り組みに注目したあの経験があるからこそ、今、子供達に伝えたい何かが貴乃花さんにはあった。

「15(歳)で入門して、30年間やり切って、部屋も持って、後進を育成して…、あと自分に何が残されているかと考えた時、優しい言い方をすれば、もう天国に行ってもいいんじゃないかなって気持ちにもなったんです。もうやり残したことはないなって。その時に、自分が生い立ってきたモノを今度は子供たちに伝えようと。それしかないと思ったんですね。血縁とか身内だけじゃなく、お子さんたちに返す。自分がもらってきた幸せを返して、その親御さんたちに喜んでもらう。これからは、ご縁のある方々にことごとくお返ししていくスタンスで生きようと思っています」

スルっと飲み込んでしまい、その場ではこの話は流れてしまったが、翌日、シャワーを浴びている際に、その時感じた違和感を思い出した。

「自分に優しい言い方をすると」。親方は確かにそう言った。どうして、そのような表現をしたのだろうか。

自分に優しい言い方をすると、人生を終わらせてもよかった。でも…、と。

貴乃花さんにしてみれば死ぬことの方がずっと楽だったのではないか、と。15から戦って、戦って、戦ってきた。取り組みで闘い、世間と闘い、人生と闘ってきた。親方ほど、戦ってきた人生を送った男を僕は知らない。

そんな闘いだらけの人生に身を置いた男にしてみれば、死ぬことよりも生きることの方がずっとハードなことだった。

10代から国民的ヒーローになり、挫折と栄光を交互に繰り返した平成の大横綱。父とも、叔父とも、兄とも比べられ、対戦相手とも比べられた。何をしても話題になり、誰よりも憧れられ、誰よりも叩かれた男の半生は、同世代の男の中ではおそらく日本一、濃い。

彼にとっては、自分の戦ってきた人生よりも、死ぬ方が楽だったのではないか。

彼自身が、それを自覚しているかどうかはわからないけれど、無意識下でもそう思っているから出てきた表現なのではないか。そのくらい闘いの半生だった。

 

鬱々とした現代の日本社会を生き抜くために養うべき“眼力”とは

新型コロナウイルスが蔓延し、私達の生活は大きく変化しました。それにともない、社会で見過ごされてきた問題が顕在化してきています。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では健康社会学者の河合薫さんが、 現代の日本社会で働く「私」たちにとって今何が求められているのかを論じています。

 

「私」はどんな人間か?

2021年は、「日常の中にある仕事」について、考えさせられることが多い一年でした。働くこと、家族と暮らすことの難しさを突きつけられる報道も多かったですよね。最後の、最後まで。

27日(月)の日経新聞朝刊の社会面には、ずらりと以下の見出しが並びました。
「困窮相談 コロナ前の2.5倍 30万件非正規や女性なお苦境」
「高齢者への虐待 家族から1.7万件」
「心の不調で求職2.1万人 全国自治体職員」

コロナの出現により、社会で見過ごされてきた問題が次々と顕在化しましたが、いずれの問題も根が深く、混迷を極めていると言っても過言ではありません。

本メルマガでも、事件や問題が起きるたびに取り上げてきましたが、大手メディアの報道熱は日を経るごと冷めてきたように感じています。

社会の急激な変化は、“弱き者”を置いてけぼりにしがちです。リソースが元々欠けている人たちは、変化に対応できず、声を上げることもできない。
一方、“強きもの”たちは、自分たちに有利な新しい社会を作ることに躍起になる。状況が厳しくなればなるほど、その傾向は強まります。人間が生まれ持つ、心の歪みがそうさせるのです。

そして、気づけば「自分」も雨の冷たさに悲鳴を上げることになってしまったのが、2021年だったように思えてなりません。そして、おそらく来年はもっともっと厳しくなる。暴風雨になるかもしれません。

本来、働くという行為は幸せになるための最良の手段です。

が、今度はもっともっと働く人たちだけが譲歩を迫られ、ある日突然、つかまっていた“綱“を切られたり、あるいは、放すことを余儀なくされるのです。

 

明らかに“マズい”新商品をメーカーが出し続けなければならないワケ

定番か、新商品か。あなたはスーパーやコンビニでラーメンやパンを選ぶときにどちらにしますか?今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では、繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、現在の消費者の傾向とメーカーへのちょっとした“苦言”を語っています。

なぜ“変な”インスタントラーメンばかり発売されるのか?

どこのメーカーとは言えませんが、「よくこんなものを売っているなぁ」と思えるほどのマズい袋入りインスタントラーメンを次から次へと新発売しています。

袋入りに限らず、カップ麺にも、次々と新商品が登場しますが、中にはこうしたマズい商品も多々あります。私の好みの問題ではなく、どうひいき目に見ても、マズいのです。

メーカーの開発担当が味音痴なのでしょうか。それとも、別の事情があるのでしょうか。

これはあくまで私の推測、裏読みなのですが、「煽り型新商品マーケティング」が存在するのではないでしょうか。

次々に目新しい商品を投入し、消費者の興味を惹き、買わせる。最初から生産ロットは決まっており、売り切れば、それで終わり。また、次の商品を出す。消費者は、常に新しいものを求めているので、新商品が出ればすぐに手を出します。

昔なら、ラーメンと言えば、定番品がよく売れ、家庭には決まった商品が常備されていました。しかし、消費者の食に対する興味はめまぐるしく変わり、次々に新商品を出すことが、要望に応えることになるのです。それが、新商品の連続技に繋がり、味の追求がおろそかになった理由です。

なぜ消費者は、そこまで新商品を求めるようになったのでしょうか。

原因としては、コンビニの存在が考えられます。コンビニの宿命とも言えるのですが、小規模店舗では、定番品ばかりを売っていては、お客さまが寄りつかないのです。定番品なら、スーパーに行けば良いのです。行くたびに新しい商品があるからこそ、それを楽しみに来店するのです。

“何か新しいものがあるかも”という期待を持っています。ちょっと時間が空いた時にも立ち寄って、新商品を探します。それが楽しいことを消費者は知ってしまったのです。

常に新しい商品を求める消費者の志向は、コンビニによって作られたのかもしれません。たとえ、お気に入りの商品がすぐに消えてしまっても、それに固執する間もなく、次の商品が出てきて、試す楽しみを与えてくれるのです。つまり、次々に商品が変わってしまうことに、消費者が慣れてしまったのです。

スーパーに並ぶ、菓子パンや惣菜パンでも同じことが起こっています。メーカーとしては、定番品だけでは利益を上げられないので、味は二の次となっても、新商品を次々に発売するのです。

味を追求した商品をメーカーにじっくりと開発してもらうためには、消費者が冷静になって、商品を見極めなければなりません。新しいものを試す楽しみか、本当に美味しいものを探す楽しみか。世の中のスピード感を考えると、もう戻れないのかもしれませんが。

メーカーの人へ。せめて明らかにマズい商品は売らないで欲しい。

image by: Shutterstock.com

日本が“我慢”することで世界に負けた。渋沢栄一が説く「道理ある希望」とは

「我慢は日本人の美徳」とされてきました。確かに事実である側面もありますが、必ずしもそれがグローバル化する社会で競争力につながっているとは言えません。渋沢栄一の子孫で、世界の金融の舞台で活躍する渋澤健さんは、ただ我慢させるだけでは優秀な人材がどんどん海外へ流出してしまうと危惧しています。

「我慢は美徳」とされる日本で失われてしまったもの

謹啓 新春のお慶びを申し上げます。

常に視界に靄がかかったような状態のウィズコロナ生活に慣れてきた感じがしますが、やはり今年はすっきりとした青天を望みたいものです。この二年間、特に大学進学や就職などの人生の新しいステージに入った若者たちが気の毒でした。オンライン事業やウェブ会議など、「デジタル」は機能として便利ですが、新たな人間関係をつくり、深めるには心身で体感できる「アナログ」な空間が大事です。

一方、どの時代でも「最近の」若者たちは、常に「最近の」新しい環境に適応する力があると思います。既存の固定概念から解かれているからこそ、過去でも現在でも、若者の存在が重要であり、彼らが活躍できる社会は活気ある社会になるのです。コロナ禍は若者たちにとって厳しい現実であったことに間違いはないですが、そこから生まれた果実もあったようです。つまり、「コロナ果」です。

「コロナ果」という言葉は、読売新聞元文化部長で早稲田大学文化構想学部教授の尾崎真理子さんが指導されている演習の学生たちが発案した表現です。就活の時期が3年生の秋まで早まった上にリモートで面接が進むなど、かなりの異変に戸惑う学生も少なくなかったようでした。

しかし、学生たちが提出した「ポストコロナの文化」レポートを拝読させていただいたところ、新しい時代への希望の兆しも読み取れます。

例えば、「コロナ『果』の演劇」という題名でレポートを提出した大学4年生は、「『コロナ禍だから』と後ろ向きになるのではなく、逆にコロナ禍だからこそできること、コロナ禍によって実ったものは何なのかを考えるきっかけになった」ようです。

他に、「無観客ライブ」や「バーチャル博物館」というコロナによる色々な新しい工夫を評価しつつ、「展示物のオーラ」は変わらないという指摘、あるいは、「劇場は地域社会における『ハコ』ではなく文化から生まれる対話の連なりの『場』」であると、むしろリアルな体感に対する感度が高まったことを示唆する学生たちもいました。

このように感性が豊かな学生たちでありますが、彼らは「日本企業にかなり失望」しているようです。

その理由を問うと、それは就活を通じて見えた日本企業の姿が、「型にはめられる」とか「賃金が安い」などというイメージがあるからだそうです。このような若者たちの懸念に、「彼らは若くて我慢できないから」と肩をすくめることしかできない企業は、新しい時代に乗り遅れるでしょう。

我慢は日本人の美徳であることは間違いありませんが、その我慢が日本企業の競争力につながったというエビデンスは、直近の数十年では乏しいのではないでしょうか。

忍耐強く努力することは、「型にはめる」ことや既存の固定概念に囚われることではなく、自身の道理に反して口をつぐむことでもありません。また、ただひたすら我慢するのではなく、その先には何らかの形での報いが必要でありましょう。