広末涼子の“交換日記流出”に苦言。視聴率が取れるならやるテレビの姿勢に有田芳生氏が感じたこと

連日メディアが報じる、女優・広末涼子(42)と鳥羽周作氏(45)の不倫問題。今回の騒動にメルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』を発行するジャーナリストの有田芳生氏は、広末と鳥羽氏2人だけの交換日記が“世に出たこと”に注目し、過去に世間を賑わせた将棋の中原誠永世十段と林葉直子女流五段の“愛憎テープ流出”騒動と絡めつつ、関係者たちの声から「コンプライアンス」が問題になっていなかった時代と現代のテレビの姿勢の比較、報道の社会的意味について語っています。

広末涼子さんとワイドショー社会

女優の広末涼子さんは私の知人が高校時代の教師をしていた。道を歩いていても気づかれないほど普通の雰囲気だったという。

その広末さんがミシュラン星一つ料理人としてドキュメンタリー映画の主人公にもなった鳥羽周作さんと不倫関係だと『週刊文春』が報じた。有名女優のスキャンダルのため、テレビのワイドショーやスポーツ新聞でも大きく報じてきた。広末さんの夫が会見し、離婚に発展するというので、まだまだ報道は続くのだろう。私たちの暮らしに何の関係もないが、芸能ネタとしては格好の内容だからだ。

いつごろからだろうか、テレビ局でも「コンプライアンス」(法令遵守)というカタカナ言葉が使われるようになり、番組内容への法律的チェックが厳しくなっていった。私が関心を持つのは、テレビ局の姿勢が変わっているかという疑問だ。

「俗情との結託」とは作家の大西巨人の言葉だ。スキャンダルは大衆の「俗情」であり、週刊誌の売れ行きやテレビの視聴率に直結している。テレビのコメンテーターをしていたとき、あるスキャンダル報道に関わったことがある。将棋の中原誠永世十段(既婚)と林葉直子女流五段(独身)の愛憎を『週刊文春』が報じたのは、1996年だった。

「今から突入しまーす」「もしもし?もしもし?私は林葉直子の愛人でしたっつうんで週刊誌に売ります。それではよろしくー。今から突撃!」

「お前みたいなのは早く死んじまえ!」

これは中原名人が林葉直子さんの自宅にある留守番電話に吹き込んだ声だった。『週刊文春』はこの音声を文字起こしして報じた。まだネットがいまのように発展していなかったから、『週刊文春』が音声を配信する時代ではなかったのだ。

私は編集部と懇意にしていたので、編集者を通じて当事者の林葉さんに了解をとって音声を入手した。出演していた『ザ・ワイド』(日本テレビ系)で、連日にわたって音声を報じて話題になった。林葉直子さんにスタジオ出演していただいたこともあった。

中原名人と林葉さんの個人的な会話を、当事者のひとりの了解があったとしても、おそらくいまなら音声は使えなかったという見方がある。「とてもムリですよ」(ワイドショーのスタッフ)というのだ。そこで広末ケースである。当事者2人だけの交換日記や手紙が流出したのだ。

誰が『週刊文春』に渡したのか。それは当人でなければ家族しかいない。

テレビ局の対応を検討する。かつて中原誠名人が林葉直子さんの留守番電話に吹き込んだ音声をテレビは流した。いまのように「コンプライアンス」などが問題になっていない時代だ。

では、いまならどうか。芸能リポーターのヴェテラン石川敏男さんに疑問を聞いた。「いまでも放送したでしょうね。広末の交換日記や手紙も、週刊誌が報じたもので、それが訴えられれば別ですが、いまも昔も視聴率が取れればやりますよ」という。ただし、と石川さんは言う。

「中原さんの音声を放送すれば、藤井聡太の取材はさせませんよ。将棋連盟からそう通告されたら、すぐやめるでしょう。ジャニーズ問題といっしょです。いまは報道していますが、かつては多くのタレントを抱えているジャニー喜多川さんはタブーでしたから」。

名誉毀損が争われるとき、公共性、公益性、真実相当性が課題となる。芸能人のスキャンダルは、訴えられたとき、真実あるいは真実相当性が争点となる。中原名人の音声は被害者の林葉直子さんが公開した。広末涼子さんの手紙類は、本人たちではなく、家族から流出したようだ。だから裁判にはならない。『週刊文春』の顧問弁護士もそう判断しただろう。

この問題に社会的意味はあるのか。広末さんの夫であるキャンドル・ジュンさんの会見をテレビは肯定的に報じた。それを見た女性たちは、彼の行動と発言にモラハラ、支配欲を見てとって否定的な見解を語る人たちも多い。

この記事の著者・有田芳生さんのメルマガ

YOASOBIのビジネスプロデューサーが明かす、現代に必須な「瞬考」というスキル

ビジネスの構想作りからその成果を出すところまでをプロデュースするビジネスプロデューサーという仕事をご存知でしょうか。無料メルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』で土井英司さんが紹介するのは、現代のビジネスにおける「これからのスキル」を有名ビジネスプロデューサーがYOASOBIやK-POP、ITなどの自身の仕事内容を紹介しながら語る一冊です。

AI時代のビジネスプロデューススキルとは?⇒『瞬考』

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瞬考』山川隆義・著 かんき出版

こんにちは、土井英司です。

本日ご紹介する一冊は、横河ヒューレット・パッカード、ボストン・コンサルティング・グループを経て、ドリームインキュベータ創業に参画、のちに社長を務めた山川隆義さんによる一冊。

著者は、エンジニア、戦略コンサルタントを経て、韓国のK-POPアーティストの権利に投資を行い、現在はビジネスプロデューサーとして活躍中の人物で、本書にはその異色の経歴とノウハウが活かされています。

どうすれば本書の主題である「瞬考」(仮説思考)ができるのか、どうすればすべてがつながった時代の必然としての「ビジネスプロデューサー」職で成功を収められるのか、ユニークな視点が示されています。

正直、最近出されているどのビジネス書を読んでも、これからの時代に求められる「スキル」が見えてこなかったのですが、本書は確実に未来のキャリアを創るビジネス書だと思いました。

著者がビジネスプロデューサーとしてITや韓国のエンターテインメントに携わっているため、事例が今どきなのもとてもいい。

※登場する事例

・YOASOBI
・K-POP
・半導体開発会社アーム
・AMD
・西野カナ

これはぜひ、読んで欲しい一冊です。

キャリア視点では、これから注目されるであろう、「ビジネスプロデューサー」に求められる要件や具体的スキルが書かれており、ビジネスプロデューサーとして一花咲かせたい人に、おすすめの内容です。

優秀な他者と協働して、成果報酬を受け取る、そんな働き方を目指す個人に、何をすべきか明確に示してくれる一冊だと思います。

売上が伸びない人たちが捨てるべき「どうすれば売れるか?」の考え

接客業に従事する人は社交性の高いイメージがありますが、客に売り込みをかけることが苦手な接客員も当然います。今回、メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』の著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんは、そんな人たちに「考え方を変えるとがらりと売れるようになる」とアドバイスをしています。

「買いやすくなる」で考える

接客販売をしていてお客様に売り込みをかけることが苦手な人は、「どうすれば買いやすくなるか?」で考えてみると良いです。

とてもシンプルな考え方ですが、こう考えるだけであらゆることが違った見え方をしてきます。

元来、販売という仕事はモノ(=商品やサービス)を売る仕事です。

そのためどうしても、「どうすれば売れるか?」を常に考えることが当たり前になってしまいがち。

売るために仕事をしているので、売るための手段を考えるのは普通です。

しかしこの考え方だと、お客様に買わせるという思考からなかなか抜け出すことができません。

そうすると、「こうすれば売れそう」「こうすれば決められそう」と、お客様の購買をコントロールすることに躍起になってしまいます。

個人的にこれが悪いとまでは思いません。

元来のモノを売るという考え方の上では、こういう思考の元に成り立つことは多く、それなりに効果もあるからです。

ただ、こういうやり方が向かない人も当然います。

それは自分自身が売り込まれるのが苦手だったり、モノを買うかどうかを決めるのを他者にコントロールされるのが苦手という人です(というかこっちの人の方が圧倒的に多いんですが)。

そこで考え方として登場してくるのが、「どうすれば買いやすくなるか?」という考え方です。

これは販売員である自分自身がお客様の購買をコントロールするという考えではなく、お客様自身がモノを買いやすくするという考え方を指しています。

ちょっとした言葉遊びに聞こえるかもしれませんが、よくよく考えてみていただくと、その違いには気づいていただけるはず。

例えばある商品Aがあったとして、「どうすれば売れるか?」という思考だと、

・全てのお客様に必ず提案をする
・商品説明はこのようにする
・目立つ位置に商品を並べる

などのアイデアが浮かんできますよね。

それは本当に不要?“捨てるために買う”までする「断捨離中毒者」たち

みなさんは断捨離をしたことがありますか?数年前に話題になったこともあり、一度や二度は経験があるという人も多いかもしれませんが、実はこの断捨離の「中毒」になってしまっている人もいるようです。今回の無料メルマガ『システマティックな「ま、いっか」家事術』の著者である真井花さんが、断捨離中毒の原因と解決策について語っています。

要らない要らない要らない!

さて、本日はチュードクのお話。

片付けに関して、断捨離という言葉が根付いて早数年経ちましたね。みなさんも一度や二度は断捨離して要らないものをゴミ袋に詰めたことがあるんじゃないでしょうか。

ところが、最近断捨離にハマりすぎる人が出現しているようです。片付ける…というより捨てるのが気持ち良くなって

・チュードク

になっちゃう。大切なものや必要なものまで捨てたり家族のモノさえ無断で捨てたり。まあ、何をか言わんやです。

おそらくモノを所有していること、モノに囲まれていることに依存的だったのが

・モノを捨てること、モノが無いことに依存

するようになってしまったということでしょう。依存の対象が違うだけですね。

まあ…ちょっとだけ分からなくもナイんですよ。モノを捨てるときには

・何か解放感を

感じますよね。それは多分そのモノにくっついていた執着を手放すからなんだろうと思います。この解放感が、上手く行かない日常生活の中で一瞬の清涼剤のように感じられてしまうんでしょう。で、繰り返し捨てて中毒ぽくなっていく。

・自分のモノだけじゃなく家族のモノまで
・捨てられるものがないかいつも探してる

こういう感じになっていくんですよ。

当然ですが、モノをガンガン捨てていれば、そのうちには

・必要なモノまで

捨ててしまうようになります。

・そんなはずない…つもりだけどなあ…

と思うなら、最近

・不便になった
・新しいモノをしょっちゅう買い直している

かどうかを思い出してみてください。

これらに該当するようなら、必要なモノまで捨てているんじゃないかと思いますね。

断捨離って捨てさえすればいいんじゃないですからね。不必要に多すぎるものを適正な数に減らすことです。それ自体が目的ではなく、モノに依存せず必要十分なもので豊かに暮らしていくのが目標ですから。

片付けるのはいいけど、ほどほどに。不便になって新しいものをいつも買い直しているのは溢れかえるモノを持て余しているのと、たいして変わりませんよ。

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世界がウクライナを見捨てる日。戦況次第で支援から手を引く米国の裏切り

6月18日に訪中し、翌19日に習近平国家主席との面会を果たしたブリンケン米国務長官。しかしアメリカの「軍幹部同士の対話再開」の要求に中国側は首を縦に振ることはありませんでした。この結果に対して憂慮を示すのは、元国連紛争調停官の島田久仁彦さん。島田さんはメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』で今回、中国との軍事的な対話チャンネルの再開が見通せなくなった米国がウクライナ支援から手を退く可能性を危惧するとともに、そのような状況下で日本がどのように動くべきかについて考察しています。

“失言癖”で反撃。バイデンが習近平を「独裁者」呼ばわりした訳

バイデン政権が発足してから初めて中国を訪れた閣僚となったブリンケン国務長官。

到着後、秦剛外相、実質的な外交トップを務める王毅政治局員と長時間にわたって会談・協議し、国際社会の注目は【果たして習近平国家主席はブリンケン国務長官に会うのか?】という一点に向けられました。

結果的には習近平国家主席とブリンケン国務長官の“面会”は実現したのですが、その“面会”の設えは非常に印象的なものでした。

冒頭の握手こそ横に並んで行われましたが、実際の“面会”は、習近平国家主席が全体を仕切る位置に座り、カメラから見て左側にアメリカ政府代表団、右側に中国政府高官が座るという設えでした。

これが何を意味するのか?

「ブリンケン国務長官は、習近平国家主席のカウンターパートではなく、直接会談や協議を行う対象ではない」という強いメッセージではないかと考えます。

CNNやBBCは「習近平国家主席はまるで皇帝のような印象を与え、アメリカの国務長官の訪問・謁見を受けているようにふるまっていた」と伝えているように、習近平国家主席はブリンケン国務長官に対して“何をすべきで、何をすべきでないか”を説くことはしても、ブリンケン国務長官の意見は求めないという姿勢を貫いたように私は見ました。

ある描写ではイギリス政府からの使節団を迎えた中国皇帝の姿(注‐これに激怒した英国政府がアヘン戦争を中国に仕掛けたと言われている)と重ね合わせるような表現がなされていましたが、今回はどうだったでしょうか?

これでアメリカ政府が怒っていきなり中国に対して戦争を仕掛ける可能性はないですが、“失言癖”を持つバイデン大統領は早速、演説の中で習近平国家主席を独裁者と表現をし、しっかりとカウンターパンチをお見舞いし、「アメリカは中国の上から目線の姿勢を許容しない」ことを示したと思われます(ただし、どの口がいうのか?という冷淡な皮肉が各国から寄せられていることは、報じられていませんし、ただの失言だったという可能性は決して否定できません)。

しかし“習近平国家主席がブリンケン国務長官に会った”という事実は、中国側の強硬な姿勢の中で、本当にぎりぎりの線で放ったメッセージで「中国としてもアメリカとの直接対決は望まず、互いに敬意をもって、それぞれの意思を尊重する付き合いをする」という姿勢を表現したものだと考えます。

アメリカ政府側がそのメッセージをそのように受け取ったかどうかは分かりませんが、経済面での歩み寄りや緊張緩和、そして気候変動問題への取り組みといった分野では協調に向けた協議を進めることとなったようです。

この記事の著者・島田久仁彦さんのメルマガ

中国ならやりかねない。習近平が描く日本の“息の根”を止める「最悪のシナリオ」

犬猿の仲と言われてきたサウジアラビアとイランの国交正常化を仲介し、世界を驚かせた中国。その後パレスチナ問題の解決にも言及するなど、中東における中国の存在感は強まるばかりです。このような状況を危険視するのは、国際政治を熟知するアッズーリ氏。アッズーリ氏は今回、中東の覇権を手に入れた中国が我が国のエネルギー安保を脅かす可能性を指摘するとともに、彼らが描きかねない「日本にとって最悪なシナリオ」を紹介しています。

中東で影響力を強める中国、日中関係悪化で日本向けの石油輸出制限を中東諸国に要請か。脅かされる日本のエネルギー安全保障

日本の関心は米中対立や台湾有事、ウクライナ侵攻に集まっているが、日本のエネルギー安全保障を脅かしかねない事態が刻々と進行している。中東における米国の存在力が低下するなか、最近、中国が中東で覇権活動を強化している。

今年3月、驚くべきニュースが飛び込んできた。中東の大国であるサウジアラビアとイランが中国の仲裁で6年ぶりに国交を正常化させると発表したのだ。

サウジアラビアが2016年にイスラム教シーア派の宗教指導者を処刑し、その後テヘランのサウジアラビア大使館が襲撃されたことを受け、サウジアラビアはイランと外交関係を断絶した。実に7年ぶりの国交回復となり、既にイランとサウジアラビアは相互の大使館業務を再開している。4月上旬にも、サウジアラビアのファイサル外相とイランのアブドラヒアン外相が北京で会談し、関係改善を進めていく方針を示した。

そして、サウジアラビア政府は3月、中国やロシア、インドや中央アジア諸国によって2001年に結成された地域的協力枠組みである上海協力機構に対話パートナーとして参加する方針を決定した。今年にはイランが上海協力機構の正式な加盟国となるが、上海協力機構は中国やロシアが主導する政治フォーラムで、G7とは真っ向から対立するものだ。サウジアラビアが中国との関係を密にする背景には、バイデン政権への不満や経済の多角化を進めたい狙いがある。

人権問題に首を突っ込むバイデンと距離を置くサウジ

人権重視のバイデン大統領は昨年10月にサウジアラビアを訪問したが、国内での石油価格高騰を抑える狙いでサウジアラビアに石油増産を打診したものの、その確約を得られなかった。サウジアラビアは国内の人権問題に首を突っ込むバイデン政権への不信感を持っており、バイデン政権以降両国の関係は極めて冷え込んでいる。

そして、石油に依存しない経済の多角化を狙うサウジアラビアは、中国路線に舵を切っている。昨年、中国の習国家主席がサウジアラビアを訪問した際、その待遇はVIP待遇そのもので、ムハンマド皇太子は習国家主席を精一杯もてなし、様々な分野での経済協力を進めていくことで両者は一致した。

中国主導によってイランと和解したサウジアラビアは、同国領土へ長年ミサイルやドローンを打ち込んできたイエメンの親イラン武装勢力フーシ派との関係改善にも動いている。サウジアラビア政府の代表団とイエメンの親イラン武装組織フーシ派の幹部が4月、イエメンで和平に向けて会談を行った。仮に和平が順調に進めば、サウジアラビアの安全保障にとって大きな進展となるだけでなく、長年続くイエメン内戦の終結に向けても大きな兆しとなる。

全米が激怒したコカ・コーラ1985年の大失敗。ニュー・コーク騒動に学ぶマーケティングの醍醐味

1985年、「新しい味」のコカ・コーラを巡り米国で起きたニュー・コーク騒動。入念なマーケティングの末に市場投入された新しいコーラは、なぜ消費者の反発を買ってしまったのでしょうか。その原因を探るのは、神戸大学大学院教授で日本マーケティング学会理事の栗木契さん。栗木さんは今回、ニュー・コーク騒動の概要を紹介するとともに、そこから学べる「優れた経営者の条件」を考察・解説しています。

プロフィール栗木契くりきけい
神戸大学大学院経営学研究科教授。1966年、米・フィラデルフィア生まれ。97年神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了。博士(商学)。2012年より神戸大学大学院経営学研究科教授。専門はマーケティング戦略。著書に『明日は、ビジョンで拓かれる』『マーケティング・リフレーミング』(ともに共編著)、『マーケティング・コンセプトを問い直す』などがある。

怒りと抗議の標的に。なぜ「ニュー・コーク」販売は失敗したのか?

騒動のなかの経営者

凡庸な経営者は、失敗をして消え去る。本当に優れた経営者は、転んでからも本領を発揮する。傷口を広げず、失敗を逆手に取って事業を成長に導く。

ニュー・コーク騒動は、マーケティングの古典的ケースである。1985年にコカ・コーラ社が、100年続いた伝統の味を新しい味に変更したところ、全米から抗議が殺到し、数ヶ月後に元の味のコカ・コーラを復活させることになる。このニュー・コーク騒動の渦中にあって、当時のコカ・コーラ社の経営者たちは事態をどのように受け止めていたか。

ニュー・コーク騒動の顛末

コカ・コーラ(コーク)は、アメリカ合衆国のなかにあってシンボリックな価値をもつ飲み物である。コークは、長らくシェアトップの座にあり、No.1のコーラ飲料だった。しかし1970年代の後半以降には、ペプシとの競争のなかで、シェアの差が縮まり、僅差となっていっていく。ペプシは、新しい時代の新しい「味」のコーラ飲料であることを売りにしていた。

1981年にR.ゴイズエタが、コカ・コーラ社の会長兼CEOに就任する。社長はD.キーオである。新しいトップ・マネジメントのもとでコカ・コーラ社は新しい味の開発をはじめた。多額の研究費と3年ほどの年月をかけて編み出された新しいレシピは、マーケティング・リサーチを行ったところ、高評価を得た。

ゴイズエタたちは、伝統的なコークの味を一新することを決断した。新しい味のコークは、1985年4月23日に発表された。当初の市場での動きは悪くはなかった。新しいコークのニュースは、全米に流れ、1億5,000万人の人たち(当時の米国の人口の62%)が、新しいコークを購入するなど、販売は順調だった。

コークの伝統的な味を切り替えることについては、当然反発が予想された。この影響は、少し遅れて現れた。やがて日を追うごとに、旧コークを飲めなくなった愛好者の不満の声が高まっていく。5月の半ばにはコカ・コーラ社は、殺到する苦情や抗議に対応するために、コールセンターの電話回線を増強しなければならなくなっていた。一方で、旧コークの愛飲者たちによる集団訴訟が取り沙汰されるようになり、こうした動きをマスメディアが報じ続けた。

6月に入り新しいコークの販売は急減する。米国中が騒然とする中、コカ・コーラ社は7月11日に過ちを認めて謝罪する。伝統的な味のコークを復活させ、「コカ・コーラ・クラシック」として、新コーク(名称はコカ・コーラ)と併売するとの発表を行った。この発表は、好意的に受けとめられ、騒動は鎮静化していく。

米国に数十億円の不動産を所有する織田裕二が、水谷豊に代わって“テレ朝の顔”になる日

週刊誌が、俳優・織田裕二の3年ぶり地上波連続ドラマ出演を報じました。過去、織田の取材で海外に飛んだ経験を持つ芸能記者歴30年のベテランジャーナリスト・芋澤貞雄さんは、織田が米倉涼子や水谷豊に代わって“テレビ朝日の顔になること”に期待。そしてアメリカで取材した織田所有の数十億円もの資産価値があるという不動産物件をめぐった思い出を明かしています。

過去のタレコミを思い出す

『FRIDAYデジタル』が織田裕二の3年ぶり地上波連続ドラマ出演を報じています。

注目は30年ぶりの脇役での出演ということ…今売り出し中で来年前期、朝の連続テレビ小説『虎に翼』ヒロインの伊藤沙莉の“番手”出演です。

掲載された写真からは、“どうしても地上波で役者をやりたい!”感がダイレクトに伝わってきます。水を得た魚のように“役者・織田裕二”を満喫しているかのようです。

『FRIDAY~』は触れていませんでしたが、織田が『テレビ朝日』系の連ドラに出演するのは初めてになるのですね…これにはちょっと驚きました。

織田といえば芝居に対する情熱の深さと熱さが有名で、その熱き思いは時に共演者やスタッフから煙たがれることもしばしばですが、今回の『シッコウ!!~犬と私と執行官~』は大丈夫でしょうか…現場で台本の書き直しを提案なんてことがトラブルに発展しないことを祈るばかりです。

私が織田の名前に真っ先に思い出すのは、10数年前に現職の国会議員から聞いた、“ある疑惑”を裏付ける織田のツーショットの話です。

当時の自宅マンションのエレベーターから、毛深い小太りのワイルドな男性と手を繋いで降りてきた織田を見た!と、その国会議員は言うのです。思わず卒倒しそうになった…と。

私の聞き込み取材はその話を聞いた翌日から始まりました。

芸能記者という生き物は、何か真新しいテーマに直面したときに足取りが軽くなるものなのですが、その時も近所のスーパーやコンビニ、ファーストフード店等を意気揚々と、次から次に尋ね歩いたことを思い出します。

結局それは、私の靴の裏を擦り減らすだけで何の成果も上げられなかったのですけれど、今テレビで国会中継で居眠りする先生を見る度“あのタレこみは見間違いじゃなかったですか?”と聞いてみたい衝動に駆られてしまいます。

悪いのはインフレではなく「低賃金」だ。京大教授が提言する、政府が今すぐ取るべき対策

月が変わる度に多くの商品やサービスの値上げが話題になり、国民の生活は確実に厳しいものになっています。それでも好調な企業業績を背景に、大企業を中心に賃上げも実現し始めていて、ここからの経済の舵取りが今後の国民生活を左右することになりそうです。今回のメルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』では、京都大学大学院教授の藤井聡さんが、国民の貧困化を止めるために取るべき経済対策は何か、詳しく解説。岸田総理が物価高騰を嫌がる声に耳を傾けて、安易なインフレ抑制策を取ることを危惧しています。

(この記事はメルマガ『藤井聡・クライテリオン編集長日記 ~日常風景から語る政治・経済・社会・文化論~』2023年6月17日配信分の一部抜粋です)

インフレは悪くない、悪いのは低い賃金。だから岸田政権は「消費減税&補助金・公共投資拡大」と「金融緩和継続」を実施すべきである

長らく日本は「デフレ」に苦しんできましたが、昨今のウクライナ情勢や円安の煽りを受けて、今は「インフレ」が深刻な経済問題だと、世論、さらには政府関係者において認識され始めています。

もちろん現下のインフレの契機は輸入価格高騰によるいわゆる「コストプッシュ型」であって、物価高騰分は日本人でなく海外の人々の所得に寄与するものでしたが、今やもう日本人の賃金上昇にも結びついてきています。

こうした状況が続けば、「インフレ」はさらなる「賃金上昇」を導き、「投資」の拡大を促するのみならず、日本全体の経済規模を拡大させ日本経済の世界経済におけるプレゼンス拡大に大きく寄与し得るものでもあります。

それ以前に我が国は、長年デフレに苦しんできたのであって、ようやくインフレになってきた昨今の状況はむしろ歓迎すべき側面を持つものでもあります。こう考えれば、今のインフレ状況を全否定する態度は国益に叶うものではありません。

むしろ責められるべきは、「低賃金」であって、インフレ率を上回る程の勢いを持った「賃金上昇」が起こっていないという点にあります。そうしたインフレ率を凌駕する程の勢いの賃上げが生ずるなら、「実質賃金」が上昇し、国民は豊かな暮らしを享受することが可能となります。しかも、「インフレ」状況の継続は、消費者の「物価上昇」への抵抗感を軽減し、各事業者が賃上げがしやすい環境を創出しています。

しかし、物価と賃金や日本経済の規模等との間の関係を認識していない一般の消費者にとってはもちろん、インフレはただ単に「嫌なもの」です。それ故、世論の趨勢は「インフレ=悪」というものとなっています。

結果、「インフレ退治が必要だ」という論調が勃興し、「金融緩和を見直すべきだ」という声や「インフレになったのだから財政政策は不要だ」と言った声が出始めています。この論調の圧力におされ、岸田政権が日銀の利上げを促せば瞬く間に投資は激しく冷え込み、大きな賃金の下落圧力がかかることになります。

さらに電気代やガソリン代、輸入食品等の価格を引き下げる財政出動をインフレ退治の名目で拡大せず、むしろ縮小させれば法人所得が下落し、同じく賃金の下落圧力がかかります。それと同時に各世帯の可処分所得の下落が進行することになります。

この記事の著者・藤井聡さんのメルマガ

トップ営業マンが「目標の地点は靴一足分しかない」と考える理由

どの分野にも、何年間もトップに立ち続けている人がいます。そういった人は、一体どのようなことを考えているのでしょう?今回のメルマガ『菊原智明の【稼げる人、売れる人に変わる知恵】』では経営コンサルタントで関東学園大学で教鞭を執る菊原さんは、目標達成後に”新たな一歩”を踏み出すことの大切さを語っています。

目標を達成したら”新たな一歩”を踏み出すことを考える

ゴルフでのこと。午前中は47の普通のスコア。いつもよりちょっと打っているなという感じだった。

ランチを食べて午後のラウンドがスタート。ドライバーはまずまず。ただちょっと右のラフに。

残りは130ヤード。8番アイアンをもって軽めに打った。それがグリーンにオン。2オン2パットのパーだった。

その8番アイアン打った際“シャフトがしなって戻る感覚”というものをつかんだ。

いつもより振らなくても距離が出る。しかも狙ったところに飛んでいく。「これはつかんだぞ」という感覚だった。

そして午後は36のパープレイ。ハーフのベストだった。

その次のラウンドでのこと。“しなって戻る”といった感覚がまだ残っている。

37、37の74のビックスコア。もちろん仲間でもダントツ。

これで完全に「自分は頂点に立ったんだ(仲間内の話)」と思い込んだ。

直近のスコアが“36、37、37”と出れば調子に乗らない方がおかしい。完全に有頂天になった。

そして次のラウンド。45、47の92。あっという間に元通りになった。

それをゴルフの上手い知人に話すと「ゴルフってそういうものだよ」と言っていた。

また、ゴルフで「到達点は片足しか置くスペースがない」といった言い方をする。

片足でずっとは立っていられない。そのくらい危うい。

ゴルフでは「いい状態は短いんだよ」という意味でもある。これを心に刻みたいと思う。

トップ営業スタッフの方とお会いした時のこと。この方とは付き合いが長い。トップを走り続けるすごい人である。

長年トップを維持するというのは並大抵ではない。1年2年なら勢いでなれることもある。しかし、5年、10年となるとまた次元が違う。

この営業スタッフの方もゴール地点について「目標の地点は靴一足分しかない」といった話をしていた。

ゴール地点は靴一足分しかない。ということは必然的に、もう片方の足を“どこか新しい場所”へ踏み出す必要がある。

ゴール地点にいつまでもいたらどうだろう。だんだんとグラグラする。そしてバランスを崩して落ちてしまうものだ。

この話を聞いて「本当に納得できる話だ」と共感した。

営業スタッフであればこれは共感できるはず。例えば住宅営業だとして“3月~6月末の目標が契約4棟”だとする。

この期は調子がよく、目標を達成した。これは嬉しい。達成感もあるものだ。

しかし目標を達成したとしても“7月以降の数字”は約束されていない。逆に不安になったりする。

ゴール地点にたどり着くことは素晴らしい。四半期の目標を達成したら3日くらいは達成感を味わってもいい。

しかし、その時間が長すぎてはならない。いつまでも満足感に浸っていたら足元がグラつく。そして一気に落ちてしまうことになる。

新しい期(7~9月)に入ったら「今回はこの計画で行動していくぞ」と新たな一歩を踏み出す必要がある。これが出来ているからこそ知人はトップの座を守れているのだ――(メルマガ『菊原智明の【稼げる人、売れる人に変わる知恵】』2023年6月23日号より一部抜粋。続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

この記事の著者・菊原智明さんのメルマガ

 

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