なぜバイデンは株価を故意に暴落させるのか?「景気後退は早いほど良い」2大理由

世界の株式や商品相場が急落しています。アメリカではS&P500が約2年ぶりとなる安値を更新、NYダウも年初来安値をつけるなどリスク回避の動きが鮮明に。28日の日経平均株価終値は前日比397円89銭安の2万6173円98銭となり、取引時間中には一時、節目の2万6000円を割り込む場面も見られました。
メルマガ『マンさんの経済あらかると』の著者でエコノミストの斎藤満氏は、今回の株価急落の原因として、「2期目を目指すバイデン大統領の選挙戦略」を指摘。バイデンはなぜ今、意図的な株価暴落を起こす必要があるのかについて、当面の見通しとあわせて解説しています。

逃げるが勝ち? 下げ相場はこれからが本番

米国株式市場が高値から概ね2割下げ、ベアマーケット入りし、連休明けの東京市場も大きく下げるなど、市場が一段と不安定になりました。

本日28日は3月決算企業の権利確定最終日です。今後の株式市場環境を考えて、「押し目」を拾うのか、傷が大きくならないうちに逃げるか、いずれにしても、投資戦略を練るには重要な時期になりました。

岸田総理はニューヨーク証券取引所で講演し、日本市場への投資を呼びかけました。政府が「新しい資本主義」実現のために、期限のあるNISA(少額投資非課税制度)の恒久化、拡充の可能性を示し、誘いました。

しかし円安もあって、ドルペースの日本株が長期低落傾向にある中で、海外の投資家を日本に呼び込むには、とても力不足です。むしろ、米欧の異例の金融引き締めのなかで、日本の株式市場にも嵐が吹いています。

特に市場が期待する「パウエル・プット」(※後述)が裏切られたように、市場の思惑とFRBとの間に、金融政策に対する大きな認識ギャップがあります。中でも、バイデン政権の意向を受けたインフレ抑止姿勢の強さを、市場は思い知らされました。単にインフレに対する意識だけではありません。その政治的背景を理解する必要があります。

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「ソフトランディングでは間に合わぬ」バイデンの皮算用

金融市場には長年培われた認識が根強くありました。それは「グリーンスパン・プット」、「バーナンキ・プット」と呼ばれるもので、金融市場がピンチの際には、FRBが何とか助けてくれる、という信頼感ともいえます。

この裏には、FRBが民間株式会社で、大株主が欧米の国際金融資本という事情があります。FRBが市場に不利になるようなことはしない、と信じています。

ところが今回はFRBが「市場への配慮」より「インフレ抑制」への強い姿勢を見せたことで、市場には大きな動揺が起きています。この動揺はしばらく収まりそうもありません。

その原因の1つが、バイデン政権の再選戦略にあります。2期目を目指すバイデン政権にとっては、インフレも問題ですが、同時にインフレ抑止のための引き締めが、次の選挙戦に逆風になるのを恐れています。

具体的には、金融引き締めで景気後退になるなら、なるべく早く突入し、早く脱して24年の大統領選挙の時は、現職に有利な金融緩和、景気好調の環境にしたいはずです。

今ソフトランディングを意識して緩やかな引き締めにした場合、その効果出現に時間がかかり、インフレの長期化、次期大統領選時の経済悪化を招きかねません。

FRBは経済を犠牲にしてでもインフレ抑制が優先されると言います。バイデン政権の支持率低下にインフレが大きくかかわっているだけでなく、24年の大統領選を考えた経済誘導を考えて、急激な引き締めで早めの「あく抜け」を図りたいはずで、FRBもこれに協力している面があります。

これが市場の予想を上回る大幅利上げの背景にあり、市場の負担になります。

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株価暴落は、対中国・ロシア戦略の「切り札」

もう1つの政治的狙いとして、敵対する中国、ロシアへの経済戦略カードとして金融引き締めを利用している面があります。

引き締めは米国にも負担ですが、それ以上にロシア、中国への打撃が大きければ、武器としての経済戦略カードになります。CFR(外交問題評議会)系のバイデン大統領は、軍事力で直接ロシア、中国を叩くことは避けようとしています。

その分、経済戦略を介して、ロシア、中国の経済力を落とし、軍事力に資源を回す余裕をなくそうとしています。

見えてきた信じ難い実態。渋沢栄一の子孫が懸念する、アフリカの期待に全く応えていなかった日本

干ばつによる飢餓や各国の紛争などから経済危機に陥っていた1980年代のアフリカ。その頃から惜しみない経済支援を続けてきたのが我が国、日本です。現在は中国や韓国もアフリカ進出を目指し始めていますが、日本に先見の明があったと語るのは、渋沢栄一の子孫で、世界の金融の舞台で活躍する渋澤健さん。しかし、渋澤さんは、昨今の日本が「アフリカの期待に全く応えていなかった」という現状を憂いています。

プロフィール:渋澤 健(しぶさわ・けん)
国際関係の財団法人から米国でMBAを得て金融業界へ転身。外資系金融機関で日本国債や為替オプションのディーリング、株式デリバティブのセールズ業務に携わり、米大手ヘッジファンドの日本代表を務める。2001年に独立。2007年にコモンズ(株)を設立し、2008年にコモンズ投信会長に着任。日本の資本主義の父・渋沢栄一5代目子孫。

日本として大切なアイデンティティとは

謹啓 ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

8月下旬に初めて北アフリカに渡航しました。経済同友会アフリカProject Teamのミッションの団員として、チュニジアで開催されたTICAD 8に関連する様々なサイド・イベントに参加するためです。

TICAD(Tokyo International Conference on African Development)は日本政府が1993年から主催しているアフリカ首脳クラスとのハイレベルな政府間の会議です。同会議が発足した頃のアフリカは、干ばつによる飢餓(クイーンなど著名パフォーマーたちが出演したチャリティーコンサートLIVE AIDは1985年に公演)や外国政府からの軍事介入で多発した紛争などから経済危機に陥り、1980年代は「失われた10年」と言われていました。一方、1993年の日本はバブルが崩壊し「失われた時代」に突入していた時代でもあります。

そのような時期に、アフリカ大陸への長期的支援を意思表明した当時の政治決断は評価すべきだと思います。もちろんアフリカ大陸には54か国あるので、国連で数多くの味方をつけたいという国際政治の戦略的な意図もあったかとは思います。ただ当時のアフリカに対し国家としてまず日本が手を差し伸べ、その後に中国、韓国やその他の国々も類似のアフリカ向け開発会議を設け始めたことからすると、日本に先見の明があったことは確かです。

私自身がTICADの存在を知ったのは2008年に開催されたTICAD IVの時でした。地理的、歴史的、文化的、意識的にも遠いアフリカ向けに開発会議を日本政府が長年かけて主催していることに驚きを覚え、少なからず誇りも感じました。

当時の私は、アフリカ大陸の54か国の総人口が13億人に迫っていて、中国やインドに匹敵する数であり、2050年までには24~25憶人に倍増して世界の1/4がアフリカ人で占められるという推計を知り、アフリカの長期的な成長の可能性に関心を持ち始めていました。人口年齢の中央値が20歳以下である若いアフリカと強固な協力関係を築くことは、少子高齢化が顕著になる日本にとって大切、且つ、当たりまえのことであると思いました。

またTICADの性質は年を重ねて変化しています。2013年に開催されたTICAD Vではアフリカ首脳から「今までの長年の支援に感謝します。これから是非とも投資もお願いします」と政府間支援だけではなく、民間ビジネスの参画にも期待が示されました。更には、5年ごとの開催ではなく、3年ごとに是非現地でというアフリカ勢の依頼に日本政府は応えて2016年のTICAD VIはケニアで開催され、今回のアフリカ現地の開催は2回目になります。

しかし、経済同友会アフリカPTの討議で信じ難い実態も見えてきました。

ちむどんどん 黒島結菜が高良健吾と「復活愛」、川口春奈は格闘家と結婚へ?NHK朝ドラ最終週に芸能記者が狙う“熱愛報道”の中身

4月から放送中のNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』もいよいよ最終週。SNSでは毎話「 #ちむどんどん反省会 」が開催され最終回の予想で盛り上がっていますが、芸能記者たちは早くも、ちむどん終了後の熱愛スクープを追いかけているようです。
ヒロイン・比嘉暢子役を務める黒島結菜さん(25)と姉・良子役の川口春奈さん(27)に噂される「ちむどんどん=胸がドキドキ」する今後とは?芸能記者歴30年のベテランジャーナリスト・芋澤貞雄さんが解説します。

良子ネーネー 川口春奈、ちむどん終了後にも入籍か

「今日の放送回では何が悪かったのか?」を語り合う“#ちむどんどん反省会”が、放送日はほぼほぼ毎日、ツイッターでトレンド入りしているのをご存知ですか?

沖縄の本土復帰50年に合わせ、北部「やんばる」地方を舞台にスタートしたこの朝ドラが、視聴率的にはここまでコテンパンに痛めつけられながらも、いよいよ30日をもって終了となります。

“NHK連続テレビ小説”としての評価も気になりますが、今、芸能記者たちが熱い視線を送っているのが主演を務めた黒島結菜とその姉役を演じた川口春奈の“これから”です。

まず川口春奈ですが、放送終了後にも入籍するのでは…という噂がまことしやかに囁かれています。

お相手は、かねてから噂の総合格闘家・矢地祐介

このふたりが特異なのは、3年前に交際が明らかになったにもかかわらず、川口の人気に少しも翳りの色が見えないことでしょう。

20代半ばの女優にとって、異性の影は決してプラスには働かないはずなのに…です。

むしろ矢地の存在が起爆剤になっているのでしょうか、川口の好感度は翳りをみせるどころか、逆に右肩上がりです。

本人としては“大河も朝ドラも紅白歌合戦も立派に務めたのだから、結婚を許して欲しい”という言い分もあるのでしょうが、所属事務所としては次々に舞い込んでくる仕事に“もう少しだけ、もうちょっと待って”と、懸命に答えを先送りしている状態なのではないかと私は思っています。

芸能史を紐解くまでもなく、この手の問題を上手に先送りできなかった場合、タレントの暴走を招きかねないわけですから、所属事務所がどの辺りで着地させてみせるのかが見ものですよね。

今年初頭、『女性セブン』が矢地と川口がスエット姿のツーショットで高級百貨店で買い物をしているスクープ写真を撮りましたが、私はこれはもしかしたら、川口側がリークした“仕掛け”だったのでは…と今でも思っているのです。

とても綺麗な写りですし、師走のデパートという人混みの中へわざわざふたりで出掛けるものでしょうか。駐車場でお互いのスマホで撮影会まで…。

交際を事務所に認められない人気タレントが、時々週刊誌を利用して交際を成就させようと企むことはよくあるパターンです。

一般客が見つけ「ほら、あの『麒麟がくる』で沢尻エリカの代役で…」とヒソヒソ声で話すのを尻目に白昼堂々熱烈なハグをしてみせたのは、川口にそんな理由があったのではないかと思うのです。

ここまでハッキリとふたりの顔が写っているのですから言い逃れはできませんよね…これが本当に“仕掛け”なら、川口と所属事務所との微妙な距離感が透けて見える出来事でした。

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ヒロイン暢子(のぶこ)役の黒島結菜、破局報道はフェイク?

そしてヒロインの黒島結菜は、所属事務所の敷いたレールの上でしっかりとイメージ・チェンジを図ろうとしているのが見て取れます。

それは朝ドラ終了後の民放での第1作が、16年前に平均視聴率15.7%を記録した当時『NEWS』山下智久が主演の『クロサギ』リメイク版だからです。

10月21日スタート予定の『クロサギ』の主演は、今最も『ジャニーズ事務所』が力を入れている『King & Prince』平野紫耀で、共演の黒島は“検事志望の大学生”役を演じます。

16年前は堀北真希が演じた“吉川氷柱”役です。

東京で沖縄料理店を開く夢を実現するために奔走する女性の家族や故郷との絆を、喜怒哀楽の表情も豊かに演じた黒島が一転、原作画家・黒丸氏のツイッターによれば“ずっと迷って悩んで苦しんでる女の子”から想像するに笑顔がほとんど無いような役にチャレンジするわけです。

これまでのドラマ界は、朝ドラのヒロインを務めた若い女優の民放第1作目はソフト・ランディングが通常でした。

にもかかわらず『クロサギ』“吉川氷柱”です。

もうひとつ、黒島に関して私が気になるのは『ちむどんどん』オンエア中にリークされた高良健吾との破局報道です。

私は『ちむどんどん』が始まる直前に黒島の取材をしていた時、彼女の自宅近くのコンビニの店員から高良の存在を聞いていました。

店員は笑顔で「今でも時々(ツーショットを)見ますョ…」と答えてくれていました。

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安倍元首相の要らぬ“置き土産”。日本という国を葬る6つの「負の遺産」

9月27日、非業の死から2カ月以上を経て行われた安倍元首相の国葬。その挙行にあたっては多くの国民から反対の声が上がりましたが、何がこのような状況を招いたのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では著者でジャーナリストの高野孟さんが、安倍氏が我々に残した負の遺産を列挙するとともに、それぞれについて詳しく検証。その上で、「安倍政治の特徴の1つ」を国葬への反対意見が多い大きな理由として指摘しています。

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※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2022年9月26日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

安倍政治の悪き遺産の数々が折り重なって衰退が深まる/これではまるで「日本国の葬儀」ではないか?

考えてみると、いまこの国で起きている禍々しいことのほぼ全ては、安倍晋三元首相がその計8年8カ月の執政を通じて培い、貪り、最後は無責任にも放置したままにしたいくつもの「負の遺産」と深く関わっている。そのうちの5つか6つを取り上げて粗描するが、そのどれもが何らキッパリと決着をつけられないまま日本国にのしかかっているのでは、もはや沈没しかあり得ない。27日に行われるのが「日本国の葬儀」にならないよう祈るばかりである。

1.統一教会汚染

目下の最大焦点となっている旧統一教会の自民党に対する浸透工作の泥沼的実態を作り出した張本人は、岸信介から安倍までの岸・安倍家3代であり、その意味では安倍があのような非業の死を遂げたのはまさに因果応報と言うほかない。その核心部分の解明は点検対象から外し、そればかりか国の名において早々に葬って蓋をしてしまおうというのでは、国民の反感を買って当然である。

本誌が繰り返し強調してきたことだが、これは一部の寝呆けた論者が言うような「宗教と政治の関わり方」とか「信教の自由」とかに関わる「微妙な問題」などではあり得ず、また霊感商法で深刻な被害を出している「反社会的団体」の問題にも止まらない。統一教会は、言うまでもなく韓国発祥で、1960年代には朴正煕政権=金鐘泌KCIA初代長官の手先として「対米・対日政治工作」に従事した政治謀略機関であり(米下院フレーザー委員会の1978年報告書)、しかも宗教的な教義の中に日本は悪魔の国であり戦前には韓国を支配し搾取したのだからどんな手段を弄して日本人から金を搾り取っても構わないことを明記している極端な「反日組織」である。

その反日政治謀略工作機関が自民党を中心とした日本の政界に深々と浸透するのを幇助したのが、戦後の2人の首相を含む岸・安倍家3代であるというのは、ちょっと今までに類を見ないスキャンダルで、簡単に蓋をして知らんぷりを決めこむことなど出来はしない。今後もますます野党、市民運動、週刊誌などメディアの発掘的調査が続き、とりわけ来春の統一地方選に向けて地方議員に対する浸透工作の実情が暴かれていくと、その地方選の臨む約1万人の自民系議員が軒並み落選し、それだけで岸田文雄首相が(まだ政権が続いていればだが)総辞職を迫られることにもなりかねない。

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左右対立ではない。安倍元首相「国葬騒動」を引き起こした2つの問題点

式典当日にも会場周辺で賛成派と反対派が衝突するなど、国を二分する形となってしまった安倍元首相の国葬。なぜ一国の宰相を務めた人物の国葬は、ここまで賛否両論がぶつかり合うものとなってしまったのでしょうか。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では著者で米国在住作家の冷泉彰彦さんが、国民から国葬に対する大きな反応が出てきた理由を考察。その根底にあったのは、様々な不信感と不安感でした。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2022年9月27日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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日本の「国葬騒動」と韓国の「ろうそくデモ」が酷似している理由

今回の国葬騒動に関しては、左右対立というのでもなく、とにかく先月に私が述べたように、韓国のろうそくデモのセンチメントに近い「何か」を感じるのです。その「何か」の正体ですが、反対する心情の奥にあるのは、「国家に依拠したい」が「自分の国家観に合わないものには反発」するという反射的行動です。その奥には恐らくは自覚されていないものかもしれませんが、2つの問題があるように思います。

1つは、自分の人生も生活も、そして国家の盛衰ということでも「こんなはずではない」という非常に広範で本質的な不満の感覚です。

もう1つは、その不満の感覚の原点を探って、根本から解決する道筋の見えなさということです。

この2つが、社会に対する不満と不安として強い渦巻を形成しているわけです。ろうそくデモとの酷似というのはそういう意味です。

もう少し具体的に下ろしてみると、世論の深層にはパラドックスが更に複雑に入り組んでいるようです。

「英語ができればグローバル世界に対応できるのはわかる。でも、そこまでの距離は遠い。ひたすら日本の教育を恨む」

「解雇規制を解除して、働かない中高年を追放してチャンスも賃金も現役世代に分配してほしい。だが、規制緩和されたら自分の身も危ないかもしれない」

「ワクチンへの賛否、マスクへの賛否など生存本能の直感的な反映から、社会は分断されている。できれば双方が多様性として共存するのが美しいが、問題の本質からは共存が難しい。自分の日々の振る舞いの中で衝突リスクを回避するのが精一杯」

「大卒で大企業の総合職正社員という階級にしがみつかないと、家族を維持するような年収にはならない。だが、仮にしがみついても泥舟なら一緒に沈む」

「機会均等などなく、学歴と超日本的なコミュ力で階層選別がされるのはおかしい。新卒段階で階層固定がされるのもおかしい。だが、その社会を変える方法論は分からないし、現在のゲームのルールで上を目指すしかない」

「自分も他人も、無理をすると人間は壊れる。壊れた人間に巻き込まれないリスク管理と、自分が壊れない自己管理の必要性が、ゲームのルールを更に複雑にしている」

「その意味で孤立はリスクだが、他者というのも大きなリスクになりうる。経験則からは、家族という概念への信任も手元からこぼれ落ちつつある」

などといった、極めて本質的な「危機」を多くの人が抱えているのだと思います。そして、問題は、政治がその「人々の抱えている危機」つまり「自分が不幸のどん底に突き落とされる」恐怖と、同時に「日本がこのまま衰退スピードを加速して自分の不幸が掛け算的にマイナスに振れていく」恐怖というものを、全く理解していないということです。

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プーチンからの最後通牒か。ロシア軍が謎の撤退を決定した本当の意味

ついに開戦から8カ月目に突入してしまったウクライナ紛争。領土回復に向けたウクライナ軍の猛烈な反転攻勢の前に撤退を余儀なくされたと伝えられるロシアですが、この動きについては「深読み」が必要なようです。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では元国連紛争調停官の島田さんが、露軍の撤退と占領地域での住民投票実施が何を意味するかを考察。さらにプーチン大統領に核兵器を使用させないためNATOサイドが徹底すべきことを提示しています。(この記事は音声でもお聞きいただけます。

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鮮明になった世界の分断‐再び協調の時代はくるのか?

「ロシアのウクライナ侵攻を非難しているのは、世界人口のわずか36%」

Economist Intelligence Unit (EIU)が発表した結果は、世界の分断を表現していました。

ここで36%の非難を“わずか”とするのか“36%も”と見るのかは、私たちがどの視点に立って分析するのかによりますが、日々、ロシアによる蛮行のイメージが強調される情報に晒されている私たちにとっては、意図的か否かは別として、確実に「たった36%しかロシアによる侵攻を非難しないのか」とショックに感じるかもしれません。

自分たちが正しいと信じていることは、世界の過半数の支持も得られていないのかと。

以前、このコーナーでも描いた世界は、すでに3極化していると申し上げましたが、今回触れた「ロシアによるウクライナ侵攻を非難する36%」は主に欧米諸国と仲間たちです。

第2極はロシアに同調するグループで、EIUによると世界人口の32%に当たります。主にロシア、中国、イラン、北朝鮮、そしてスタン系の国々といったところでしょうか。

そして中立もしくはケースバイケースで支持するサイドを選ぶ第3極は、世界人口の32%にあたるという分析でした。トルコ、インド、中東アラブ諸国、ブラジル、南アフリカなどがこの極に含まれるとされます。

実際には、侵攻を非難する人口割合はもっと高いと思われますが、対ロ制裁を課している国々の割合を人口割合で見れば、今回、最初に挙げた36%になるのだと思われます。

EIUは「分断は予想以上に進んでいる。どうしてこうなったのだろうか?」と問いかけています。

「どうしてこうなったのか?」については分析をしておく必要があると思いますが、今回の数値をもとに結論を急ぐのは拙速な気がするだけでなく、若干の情報操作のにおいがしてなりません。

そして「では、分断の時代に何をすべきなのか?」についても議論されなくてはならないでしょう。

多くの報道で「ウクライナ側の反転攻勢がこのところうまく行っていて、それに焦りを覚えたロシアサイドが停戦協議の準備があると伝えてきた」という情報が伝えられ、「ウクライナ側は拒否した」とありますが、実際のところはどうでしょうか?

いろいろと入ってきている情報を見たうえで判断すると、嘘ではないにせよ、伝える側の意図を感じる内容であると考えます。

まず、ウクライナ側が拒絶したという点については、ここ10日間ほどの反転攻勢とロシアに侵略された東部・南部の集落の奪還が進む状況下では、ウクライナサイドは勢いに乗っていますので、現時点でロシアと公式な話し合いのテーブルにつくための心理的なベースが存在しません。

ゼレンスキー大統領が鼓舞するように「ロシアに奪われたすべての領土を取り戻すまで戦いを止めない」わけですから、ある例外的な状況を除けば、ウクライナ側に利はありません。

ではその“例外的な状況”とはどのような状況でしょうか。

それはウクライナ側が交渉ポジションとして当初から掲げる「ロシア側がクリミア半島を含め、ドンバス地方もウクライナ側に返還する」という状況ですが、これをロシア側が提案することはまずありえません。

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中国本土では「旧統一教会」はどう見られ、どう報道されているのか?

日本では政治家との癒着関係が報道され続けている旧統一教会ですが、中国では一体どのように見られ、報道されているのでしょうか。中国出身で日本在住の作家として活動する黄文葦さんは今回、自身のメルマガ『黄文葦の日中楽話』の中で、中国人の視点からみた旧統一教会について紹介しています。

この記事の著者・黄文葦さんのメルマガ

「旧統一教会」は中国政府から邪教だと認定される

Question

日本の「旧統一教会」問題について、中国ではどんなふうに報道されているのですか?

黄文葦さんからの回答

中国政府から邪教(カルト)だと認定される宗教が多いそうです。「旧統一教会」はその中の一つです。偽善の邪教組織だと言われます。

中国の報道を見ると、「旧統一教会」の罪は以下のようにあります。

一つは「乱点鴛鴦」(らんてんえんおう)です。教会が定めた結婚を信者に強制的に受け入れさせることです。その教えでは、結婚の唯一の目的は、原罪のない子供を産み、神域を拡大する使命を達成することです。

また、教会は、信者が自分の人生を捧げることを求めます。信者が統一原理を聞き、修練会に参加し、7日間断食し、その後40日間開拓伝道し、人々に統一原理を説き、3人を教会に引き入れることです。

信者のお金を不正に奪うこと。各信者は、最初の3年間は自分の収入のすべてを納めなければならず、3年後には毎年収入の10分の1を納め、それまでの「罪」の償いのために教会にお金を集めなければならなかったのです。米国、日本、韓国における統一教会の財産は、合計で約26億米ドルと推定されています。

もう一つ、信者に洗脳し続けることです。統一教会は、キリスト教の信仰の一部を歪曲して活用するほか、互いの神秘的な信仰の要素も取り入れているということです。教会を離れようとする者には、悪魔に取り憑かれることを告げて止めさせることです。

以上のように、中国では、「旧統一教会」は完全に悪的なイメージです。日本の「旧統一教会」問題について、日本の政治家と「旧統一教会」の関連を多く取り上げているのです。勿論、完全に批判的な視点です。政治家が教会を利用して、選挙活動を行うことです。また、安倍家3代と統一教会の60年にわたる知られざる関係についても、日本のマスコミを中心に引用して報道されました。

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韓国は信用できるか。低支持率と中国の牽制に揺れる尹錫悦大統領

文在寅氏が政権を担った2017年からの5年間で、国交回復後もっとも冷え込んだと言われる日韓関係。今年5月に就任した尹錫悦大統領は対日関係の改善に積極的と伝えられますが、道程は決して甘くはないようです。そんな「ここにきて漂い始めた不穏な空気」を取り上げているのは、外務省や国連機関とも繋がりを持ち、国際政治を熟知するアッズーリ氏。アッズーリ氏は今回、尹大統領の日韓関係強化姿勢の妨げとなりうる2つの要素を解説しています。

韓国ユン政権は、どこまで日米と結束できるか

米中対立、台湾情勢、ウクライナ侵攻などにより、日本を取り巻く安全保障情勢は厳しさを増すばかりだ。8月はじめにペロシ米下院議長が訪問したことで、中国は台湾を包囲する形で軍事演習を行うなど緊張が高まっている。ウクライナに侵攻したロシアと日本の関係は悪化し、ロシアは極東地域で軍事活動をエスカレートさせている。4月14日にはロシア海軍が極東沖の日本海でウクライナ侵攻の時にも使用された巡航ミサイル「カリブル」の発射実験を行い、3月30日には北方領土の国後島で軍事訓練を実施するなどした。

そして、特に懸念されるのが中露の結束だ。最近でも、ロシア国防部は9月1日から7日にかけ、ロシア軍と中国軍が日本海とオホーツク海で共同軍事演習を実施したと発表した。両軍は海上通信・海上経済活動エリアの防衛や、沿岸地域の地上部隊の行動に協力する演習を行った。また、5月24日には中露両軍の爆撃機が日本海や東シナ海、西太平洋上空で長距離にわたって共同飛行したのが確認された。昨年10月には、ロシア海軍の駆逐艦と中国海軍の最新鋭ミサイル駆逐艦が日本海から津軽海峡を通過し、千葉県の犬吠埼沖、伊豆諸島沖、高知県の足摺岬、鹿児島県の大隅海峡を一緒になって航行したことが確認され、両軍は極東ウラジオストク沖の日本海で4日間にわたって合同軍事演習も実施した。

一方、北朝鮮は訪日したバイデン大統領が帰国した直後の5月25日、ピョンヤン郊外からICBM=大陸間弾道ミサイルや短距離弾道ミサイルなど合わせて3発を日本海に向けて発射した。北朝鮮は5月5日にも短距離弾道ミサイル8発を発射するなど軍事的に挑発し、ホワイトハウスは6月7日、北朝鮮が北東部・豊渓里の核実験場で核実験の準備を既に整えいつでもできる状況にあるとの見解も示した。北朝鮮が5月こういった挑発に出た背景には、対北朝鮮で日米との結束を重視するユン新政権が誕生したことがある。

日本は言わば中露北という3正面脅威に直面している状況だ。そうなれば米国だけでなく、韓国との安全保障上の協力は極めて重要になる。歴代の米政権は歴史や領土問題などでなかなか関係強化が進まない日韓関係に悩んできた。日韓とも米国にとっては軍事同盟国であり、両国には“揉めている場合じゃない!自分たちが置かれている安全保障環境を考えろ”という米国なりの本音がある。

そして、日本との会談を重視するユン大統領の誕生が、戦後最悪とまでいわれた日韓関係を改善させるトリガーになることが期待されている。岸田総理も日韓関係の改善は待ったなしとの姿勢を示した。6月下旬、岸田総理が日本の総理として初めてNATO首脳会合に参加した際、ユン大統領も同会合に参加し、日米やNATO、オーストラリアなどと安全保障上の結束を強化していく意向を示した。3正面脅威に直面する日本にとって、韓国大統領のこういった意向は極めて歓迎すべきものである。

猫組長が「これからの日本はもう一度石油やガスに戻るべき」と語る理由

ロシアのウクライナ侵攻により、戦時経済に移行したいま、これからのエネルギーと食糧を確保していくために日本はどう動くべきなのでしょうか。元山口組系の経済マフィア「猫組長」が教える、常識の外の話を記した一冊をメルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』の中で紹介しています。 

【一日一冊】正義なき世界を動かす シン地政学式

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正義なき世界を動かす シン地政学式

猫組長(菅原潮) 著/ビジネス社

山口組系経済マフィアであった著者が教える地政学です。

著者はロシアがウクライナに侵攻したことで「グローバリズム」が終焉し、戦時経済に移行したとしています。戦時経済とは何かといえば、暴力によって、エネルギーと食糧を奪い合う世界です。

各国がウクライナを支援するのは、仮にロシアが勝利すれば、核保有国は何をしても勝つという戦時経済の常識が成立してしまうからです。

戦時経済に移行したことで、暴力に対抗できるのは、同量の暴力によってのみです。フィンランド、スウェーデンのNATO加盟はそうした認識の元で判断されているのです。

著者は、「中立国スウェーデン」を例にして日本の防衛費拡大に反対を訴えてきた人たちが、この状況をどう説明するのか、と嫌味に問いかけるのです。

国際社会には「信頼」など存在しない。「強大な暴力」から自分たちを守るためには、同量の「暴力」を保有するしかない(p130)