2兆円が回収不能。なぜ孫正義氏はWeWorkに「騙された」のか?

孫正義氏の「真っ赤っかの大赤字」との言が注目を集めた、ソフトバンクグループ中間決算報告。その大きな要因となったのが、米ベンチャー企業WeWorkへの投資の「失敗」でした。なぜソフトバンクは、よくよく調査してみれば「不動産の又貸し」でしかないWeWorkへの多額の資金注入を敢行したのでしょうか。そしてその資金回収は可能なのでしょうか。「Windows 95を設計した日本人」として知られる中島聡さんは今回、自身のメルマガ『週刊 Life is beautiful』で、ベンチャー企業と投資サイドの関係性を改めて記すとともに、ソフトバンクの「資金回収の見込み」について言及しています。

※ 本記事は有料メルマガ『週刊 Life is beautiful』2019年11月12日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

私の目に止まった記事

The Spectacular Rise and Fall of WeWork

ソフトバンクが大量に資金を注入した挙句、上場に失敗して破綻寸前にまで追い込まれたWeWorkの盛衰を分かりやすくまとめた映像です(音が出ます)。英語の聞き取りの練習も兼ねて、何度か観てみるのも悪くないと思います。

WeWorkは、創業者のAdam Neumannは、「新しい働き方を提案する」という派手なビジョンの元にWeWorkを成長させ、そのビジョンに惚れ込んだ孫正義氏が、「勝ち馬に乗り大量の資金を投入することにより市場で圧倒的な力を持つ存在に成長させる」という投資戦略で、1兆円を超える資金を投入して育てて来たベンチャー企業です。

ベンチャー企業は、「成長のための運営資金」を必要としており、そこにリスク承知で資金を提供するのがVCベンチャー・キャピタルの役割です。

事業が始まったばかりの頃は、VCはベンチャー企業に対して数十万ドルから数百万ドル(数千万円から数億円)の資金を提供します。ベンチャー企業の経営者は、その資金で優秀な人材を集め、市場に製品やサービスを提供し、「そこに市場があることを証明した上でさらなる資金をVCから集めて成長を続けます

多くのベンチャー企業は、この期間、赤字で走り続けますが、赤字になる理由は「成長のための先行投資」が必要なためで、成長が鈍化して先行投資が不要になれば、利益を生み出すようなしっかりとしたビジネスモデルを持っている必要があります。

しかし、まだ誰もやったことのない事業に関して言えば、「そこにビジネスチャンスがあるのかどうか」を証明することすら難しく、資金集めに関しては、創業者のカリスマ性=現実歪曲空間を作り出す力)がとても重要なのです。

創業者のAdam Neumannは、そんな力を持っており、孫さんに「この会社に大きく投資すれば、大きなリターンが得られるに違いない」と思わせることに成功してしまったのです。

しかし、実際に上場の準備を始めた段階で、WeWorkのビジネスは、長期リースで借りたものを短期リースで貸し出す「不動産の又貸し」でしかないこと、長期リースの期間が必要以上に長いこと、Adam Neumannが自分が所有していたドメイン名を高額で会社に買い取らせるなどの奔放な経営がされていたことが明るみに出て、一気にメッキが剥がれてしまったのです。

WeWorkは、ソフトバンクから提供された潤沢な資金を使い、大量の人を雇い、多くのオフィスをリースしていたため、上場による資金注入が見込めないとなると、一気に資金ぐりが苦しくなり、(大株主である)ソフトバンクに救済を求める状況になってしまったのです。

ソフトバンクは、CEOのAdam Neumannを追放した上で、さらなる資金注入をして8割以上の株を取得した上で経営権を握ってWeWorkの事業を立て直すことにしましたが、この比率は、もはや「ベンチャー投資ではなく、「子会社化」です。

ソフトバンクは、トータルで2兆円近い資金を提供することになりますが、Regusブランドで貸しオフィスを提供し、すでに黒字化しているIWGの株価総額が4,000億円しかないことを考慮すれば、初期投資の回収はおろか救済のために提供した資金の回収すら難しいだろうと私は思います。

なぜ、あれだけブームになったボジョレー・ヌーボーは廃れたのか

かつては日本でも多くの方が解禁時間を待ち焦がれていたボジョレー・ヌーボーですが、近年その人気はすっかり冷え込んでしまったように見受けられます。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、そのブーム衰退の原因を探っています。

「ボジョレー・ヌーヴォー」が廃れたのは、嘘臭いキャッチコピーが原因!?

今年の「ボジョレー・ヌーヴォー」の解禁は、日本時間で11月21日午前0時。と言ったところで、すでにブームは過ぎ去りまったくもって盛り上がりに欠けます。今年も百貨店やワインショップに、少人数のワイン愛好家が集まり、淋しいまでの静けさの中で、新酒の誕生を祝うのでしょう。

あれほど騒がれたブームが、なぜここまで廃れてしまったのでしょうか。ワインの魅力がなくなったのでしょうか。

ワインの世界は奥深く、その味わいに魅了された人間は、生涯ワインを愛し続けるものだと思います。ならば、「ボジョレー・ヌーヴォー」が騒がれなくなったのはなぜでしょうか。

理由のひとつは、「ボジョレー・ヌーヴォー」がワイン本来の味ではないからです。その年できた新酒の“出来”をテイスティングするとともに、“蔵出し”のお祝いをすることが目的です。本物のワインは、ここから熟成させることで完成するので、まだ未熟な味だと言えます。私も何度か飲んでいますが、飲みやすいだけで、美味しいとは言えません。

本来ならワイナリーで静かに祝っていたものなのです。冷蔵設備のない時代、人びとは近くの醸造所へ行き、ワインを量り売りで買っていました。そして、新酒の頃になると、周辺の限られた地域の人たちだけが、その味を楽しんでいたのです。美味しさを味わうというより、新酒を静かに祝う意味合いが強かったのです。しかし、冷蔵や輸送技術の発達により、もっと広めようという動きが醸造家によって始まったのです。

そこから世界へ。そして、日本に。

世界にも“ヌーボー“の愛好家はいますが、ワインの世界にどっぷりと浸かった人たちが、あくまで新酒を祝うために飲んでいるだけです。日本のように、“ヌーボー”だけで盛り上がることはありません。日本では異常なまでに盛り上がってしまったのです。

ワイン=お洒落」にかぶれた人たちが、味など関係なく群がった結果、「ボジョレー・ヌーヴォー」が“有り難い存在”と化したのです。しかし、やがて人びとは気づきます。「それほどでもないのかも……」と。結局は、商社や百貨店が仕掛けたブームに過ぎなかったのです。

また、ブームを作り出すために、人びとが熱くなるようなアピールもしています。解禁前に、その年の「ボジョレー・ヌーヴォー」の評価をキャッチコピーとして発表するのです。「10年に1度の出来で、芳醇な味わい」など。これを聞いて、人びとの期待はますます高まり、解禁日に向けてそわそわし始めるのです。実に上手い演出です。

「本当の友達ができない」と悩む子に親がまず問いかけるべきこと

「友達ができない」「本当の友達がいない」ということを悩む子どもは多いようです。そんな悩みを打ち明けられたとき、親はどんなアドバイスをしたらいいのでしょうか?メルマガ『子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育』の著者で家庭教育のプロの柳川由紀さんが、まず本人に問いかけ確認すべきことがいくつかあるとアドバイス。困りごとや「友達の理想像」を明確化することが友達作りにも役に立つと教えてくれます。

友達ができない

Question

shitumon

一人娘が、「本当の友達がいない」と悩んでいます。「今いなくても、将来できるから大丈夫よ」と軽く言ったのですが、娘は「ママはできたかもしれないけど、私はママじゃないもん」と深刻です。

私は、確かに娘と違い友達が多い方なので、娘の気持ちがよくわからず、アドバイスに困ります。(小学4年女児のお母様より)

柳川さんからの回答

小学生の悩みベスト3のうちの1つが、「友達がいない」というものです。多感な年齢のお子様への助言は難しいですね。「友達がいない」と悩むお子さまへのアドバイスについてお伝えします。

1.何に困るのかを明確にする

「本当の友達がいない」とは、どういうことなのかを、まずお子さまにきちんと聞くことから始めましょう。「本当の」とはどういうことか?「友達がいない」ことで、何に困っているのか?

つまらないのか、寂しいのか、通り一遍の会話はするけれど、心を許せる人がいないのか?そもそも、友だちを欲しいのはなぜか?

お子さまが気持ちを整理し、何に不安を感じているのかを明確化できれば、お子さま自身に気づきが生まれます。まずは、親としてお子さまの発言に耳を一生懸命傾け、聴いてあげることです。

2.一歩踏み出す勇気を持たせる

お子さまが何に不安なのかを自分で気づいたとき、次に、この状況がどうなればいいのか何をしたいのかを確認することです。

一つ一つ確認していくと、子ども自身が、どうすればいいのかに気づきます。気づかなかったとしても、気持ちが整理されることで悩みの軽減につながります。

今の状態を変えたいと思うのであれば、何か行動を起こすのが一番の近道です。その時に、子どもに寄り添いながら、何ができそうかを一緒に考えましょう

中高生になるとお互いの好みや人柄など相性なども出てきますが、小学生の場合は、意外と単純な理由で友達になれるケースが多いものです。積極的に人と関わりを持つようにすることで、あっさりと友達になれるかもしれません。

じゃあ、積極的に人と関わりを持つにはどうしようか?何ができると思う?などと子どもに考えさせながらサポートすることが大切です。

東京式運行案内「こんど」と「つぎ」が大阪式より分かりにくい訳

東京の山手線は、ホーム上の運行案内を発車時刻表示から「約◯分後」の待ち時間表示に順次変更していくそうです。外国人には一般的で分かりやすいというのが理由のようです。鉄道の発車表示といえば、日本人でも分かりにくいと話題になるのが、首都圏の一部で現在も使われている「こんど」と「つぎ」の表記です。メルマガ『8人ばなし』著者の山崎勝義さんは、大阪式がはるかに合理的と解説しながらも、「こんど」と「つぎ」を巧みに使い分けられる日本人の言語感覚をおもしろく感じているようです。

『こんど』と『つぎ』のこと

東京に来たばかりの頃、地下鉄に乗ろうとするたびに、プラットフォームにぶら下がっている運行掲示板が気になって仕方がなかった。
  こんど 荻窪  行
  つぎ  方南町 行

日本人なら、その掲示が昇順か降順かといった問題とは無関係なレベルで、直観的に、まず「荻窪行」が来て、その後「方南町行」が来るものと分かりはする。しかし、それは同一掲示板に「こんど」と「つぎ」が併記されているからであり、それらを個別に使う場合は事情が違ってくる。

例えば、駅員に「こんどの電車はどこに行くのでしょうか?」と尋ねても、「つぎの電車はどこに行くのでしょうか?」と尋ねても、答えはやはり同じ「荻窪行です」であろう。その弁別は思っているより難しいのである。

これが大阪式になると、
  先発
  次発
  次々発
というように実に分かり易い。電車の乗降マナーに関しては東京の足下にも及ばないが、発車順の表示では大阪の方が遙かに合理的なのである。

それにしても、このように分かりにくい表示をとりあえずは許容し、且つそれなりに理解している日本人の言語感性には興味深いものがある。

それを考える方便として今仮に両都の表示のあり方に名称を付けてみるなら、大阪式の表示方法は一元的「next」表現、東京式は二元的「next」表現とでもなろう。東京式の「こんど」「つぎ」には二元混在表現であるが故の分かりにくさがあるのである。

では、その二元とは如何なるものなのか。それは、主観と客観である(今は仮にこう言う)。具体的に言えば「こんど」が主観的、「つぎ」が客観的ということになる。大阪式が分かり易いのは、終始して客観的表現だからである。

影で足を引っ張る人間を制したマンション理事長の「大人の対応」

もし誰かが意図的に、あなたの立場を貶めるような噂を流したとしたら、どのような対応をみせるでしょうか。同じ熱量で切り返したくなる気持ちも否定できませんがそれでは相手の思う壺、だからこそ一層冷静な対応が必要とも言えます。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者でマンション管理士の廣田信子さんが、ある大型マンションの理事長による、事実に反する風評を跳ね返したクレバーな対応を紹介しています。

表で議論しないで陰で足を引っ張る理事の思惑は…

こんにちは!廣田信子です。

ある大型マンションのA理事長は理事長歴10年を越えます。就任前、修繕積立金の運用失敗で大損をしたり、大規模修繕工事時に理事と業者との癒着が疑われたり…と、いろいろ問題があって、管理組合が荒れていました。そのころ、ちょうど現役としての第一線を離れたこともあって、何とか立て直そうと理事長になったのでした。数々の改革で管理組合運営の健全化を図り今も先駆的な取り組みをしています。

そうしたら、最近、突然、「理事長の長期政権が問題だ業者との癒着がある」というような話が、どこからか流されるようになり、まわりまわって、A理事長や家族の耳にまで達するようになりました。どうも、一部の理事がそれを意図的に広めているらしいのです。

A理事長は、理事会で満場一致で理事長に選任されています。理事会での議論はオープンですし、過去の反省もあり透明性を何より大事に運営して、そのことを一番よく知っているのは理事のはずです。各部長に一定の権限が与えられていますし、業者選定も常に明確な競争入札で行っています。

もし、何か問題があるというのであれば、理事会で提案すればいいし、飲みながらざっくばらんに話す機会も多いので、理事長に何か不満があるなら言える機会はいくらでもあります。でも、いっさい、そんな話はなく、普通に付き合っていて、陰で理事長の足を引っ張り理事会を貶めるようなことをするのはなぜか…です。

そんなことをされたら、そこまで言われて理事長を続けるつもりはない…と切れてしまいそうですが相手はそれを狙ってやっていることだから、絶対にそれに乗ってはいけないと…A理事長は言います。

嫌気がさしたり、怒ってやめてしまったら、それは相手の思うつぼだ。表立って議論したいことも特にないが理事長と言う権力はほしい…でも、それには、今の理事長が邪魔だから、そのためには、裏工作してその人を陥れる…そんなことはサラリーマン社会ではよくあることだ…と。

こういうことをする人間は権力を持ったら必ずよからぬことを考えるから、絶対に、権力を持たせたらいけないんだ…。だから、それを阻止するためにも、自分がもうひと頑張りするしかない…と。

「長期政権で業者と癒着がある…」。これ、根拠もなく陰でささやきやすい陰口です。そんなひそひそ話がマンション内で伝わっているとしたら、ほっておくことはできません。理事会活動の信頼性にも関わりますから。

で、理事長がやったことは…陰で工作をしている理事を問いつめることでも、自分の正しさを主張することでもなく、よりソフトに一般組合員に対する事実の広報に力を入れたのです。

情報を常にオープンにするために広報はこれまでも力を入れてやってきましたが、自分がどういう考え方でこれまでどのような事業を行ってきたかを改めて分かりやすくまとめたものを発行したり自分の信念や人となりが分かるようなインタビュー記事を広報紙に載せたり…です。

理事会の中のごたごたにしないで、おかしな噂を聞いたかもしれない組合員に広く「説明責任」を果たしているのです。「説明責任」をあやふやにする国会議員より、ずっときちんとしていますよね。とても、戦略的で賢い理事長さんだと改めて思いました。やましいことがなく信念があってそれをしっかり言葉にできる人は強いです。

失敗「させない」子育ては正解か。子供の成長を妨げる、親心の罠

「自立心のある子供に」「友達と仲良く」「悪さをしてほしくない」と思うのが親心ですが、だからといってすべて子供の「先回り」をしてしまうことは、果たして正しいことなのでしょうか。今回の無料メルマガ『子どもが育つ“父親術”』では、「気が済むまでたっぷり甘えさせる」「子供同士のけんかは見守る」「悪いことは止めない」等々、目からウロコながらも言われてみれば納得できる子育て術を紹介しています。

“親心”の罠

子どもが何かしているのを見ると、上手なやり方を教えてあげたくなる。きょうだい・友だちと仲良く過ごせたらいいのに、と思う。自立した子に育って欲しい。良い子に育って欲しい。

だから、失敗しないようアドバイス・手助けをする。ケンカが始まったら、止めに入る。甘えさせすぎないよう、気をつける。悪いことを覚えたり、したりしないよう、しっかり躾ける。

ですが、こうして育てられた子は、決して上手にはならないし、仲良くできないし、自立もせず、良い子には育ちません。純粋な親心から出た育て方でも、親心だけから育て方を決めてしまうと良い結果が得られないことが多い(むしろ、正反対の結果を招くことも少なくない)のです。

必要なのは、親心を持つのと同じくらい、子どもという存在について理解すること。そうして初めて、

  • 親心×子どもという存在の性質適切な接し方

を見つけることができるのです。

子どもという存在の性質」を具体的に挙げると、たとえばこんな具合です。

  • 失敗をいっぱい繰り返して、上手になる
  • ケンカをたくさんして、仲良くする方法がわかる
  • たっぷり甘えることで、新しいチャレンジに向かう力が湧いてくる
  • 悪いことをさんざんやって、時には面白かったり、時には後味の悪い思いをしたりして、「やってはいけないこと」がわかる

だから、【親心】上手にやらせたい ×【性質】の解は、「口出し・手出しせずチャレンジさせて失敗したらチャレンジしたことをほめて次のチャレンジを励ます」(→すると子どもはどんどんチャレンジして、失敗の経験を積んで、上手になる)。

【親心】仲良く ×【性質】の解は、「ケンカを止めず見守るその後で気持ちを聞いてあげて考えの整理や相手の主張の理解をサポートする」(→それでも子どもはまたケンカする(何度でも!)。長い時間をかけて、他者の考えを理解したり、話し合いで解決したりすることを学ぶ)。

【親心】自立 ×【性質】の解は、「自立に向けてのチャレンジを急かさず気が済むまで甘えさせる」(→やがていつか子どもは、自分から自立に向けてのチャレンジを始める)。 ※1

【親心】良い子 ×【性質】の解は、「悪いことを止めず結果を自分で感じて学ぶことを妨げない」※2(→子ども自身で結果を受け止める中で、「これくらいならいいか」「さすがにコレはまずいな」の境界を感じ取っていく)。

となるのです。

※1:甘えさせているうちに、親の側が「甘えさせてあげている自分」から抜けられなくなってしまうケースがあります。子どもが徐々に親離れを始めたら自分も子離れする覚悟だけはいつでも持ち続けたいものです。

※2:悪いことを「止めない」だけで、「勧める」ではありません。言い方を変えれば「見て見ぬフリをする」でしょうか。

子どもを「親の思うように育てる」ことはできませんが、親が望ましいと思う方向に導いたり親が望ましいと思う成長を支えて促進することは可能です。せっかく「子どもの成長に立ち会う」という幸運に恵まれたのだから、後悔のない接し方を選んでいただけたら、私もうれしいです。

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その慣れが致命傷。「わかったつもり症候群」が職場を破壊する訳

仕事や人間関係において、馴れてきたときに生まれる「そこまで言わなくても大丈夫だろう」という慢心は、往々にして後に、信じ難いミスを引き起こしてしまうものです。今回の無料メルマガ『起業教育のススメ~子供たちに起業スピリッツを!』では著者の石丸智信さんが、そんな「わかったつもり」が招く実害と、その防止法を記しています。

それは「〇〇しているつもり」になっていませんか

かなり前に、『知ってるつもり?!』というテレビ番組がありましたが、以前聴講した研修の中で「つもり症候群から脱出することの大切さについて取り上げた講義がありました。この講義を聴講して、この“つもり症候群”でいることによって、物事がうまくいかないことに加えて人の成長を妨げるように感じました。

本号では、“つもり症候群”の状態、状況などについて考察していきたいと思います。

知っているつもりだった」「言っているつもりだった」「分かっているつもりだった」など、「〇〇している“つもり”」というような状態、状況などを経験したことがあるのではないでしょうか。

研修において講師は、「“つもり”というのは、実際はそうではないがそうなっているような気持ちのこと」と、講義していました。いわゆる、自分の中で“勘違い”している状態、状況と置き換えることができるかもしれませんね。

運転免許を取得、更新された方は、聞いたことがあると思いますが、交通事故につながる状況状態のひとつとして挙げられるのが、「“だろう運転」です。例えば、「対向車は来ていないだろう」「歩行者はいないだろう」など、こういった自分の中での“だろう”が、事故につながってしまうと言われます。

“つもり症候群”の講義を聴いて、“だろう”運転に加えて、“つもり”運転も事故につながるな、と感じました。「信号を見ている“つもり”」「歩行者を確認している“つもり”」など、この“つもり”運転も、重大な事故へとつながってしまうように思います。

交通事故に限らず、“つもり”症候群になってしまうと、重大なミス失敗につながってしまうのではないでしょうか。

別の研修の中でも、相手に「伝えている“つもり”」で失敗した事例について、お話を聴いたことがあります。それは、その研修に登壇していた講師が、その当時、上司として部下にお客様に提案する提案書を作成して欲しいと依頼した時のことです。

上司は、「お客様に〇〇という提案をしたいから、△△の提案書を金曜日までに作って欲しい」などと内容を詳細に伝え、部下も上司からの依頼に「分かりました」と応えたそうです。

そして、期限である金曜日になり、上司が部下に「提案書はできているかな?」と訊くと、部下も「できています」と応えたのですが、その提案書を見て、上司であった講師は、ビックリしたそうです。なぜなら、上司が依頼した提案書の内容と部下が作成した提案書の内容がまったく違ったからです。

上司は、「えっ、こんな内容の提案書をお願いしたっけ」と部下に訊くと、部下も「依頼された内容の提案書です」と言ったそうです。その提案書は、その金曜日当日にお客様に提案する案件でしたが、まだ時間があったこともあり、部下と一緒になって提案書を作り直して、そのお客様に無事、提案することができたそうです。

この経験から講師は、指示や依頼する時には、その内容を部下に復唱させてお互いに確認を取るようになったそうです。まさに、物事を軽々に「分かった」と思わせず、本当に理解させているか、と確認することが大切ですね。

これは、自分と相手との関係だけでなく、自分の中で思い込んでいる「○○している“つもり”」という状態、状況でも当てはまるでしょう。

自分の中で「知っているつもり」「分かっているつもり」「努力しているつもり」などと思っている時こそ、「本当にそうなのか」と自問自答して確認していくことが大切なのでしょうね。そして、“つもり”ではなく、本当に理解してはじめて自分自身の成長につながっていくと思います。

ここまで“つもり”症候群について私なりに考察してきましたが、この“つもり”症候群から脱出することは、子どもたちが自ら成長していく上でも、そして、子どもたちの成長を促していくためにも必要なことではないでしょうか。

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もう存在意義なし? これからの「問屋」にできる事、できない事

小売店からすればメーカーとの間に入ってくれる問屋さんは大切なものです。しかし、メーカーが直接店舗を構える「中抜き」も多い今、問屋の存在意義がなくなってきています。今回の無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』では経営コンサルタントの梅本泰則さんが、これからの問屋の役割を提案しています。

問屋の役割の変化

「近ごろ、問屋さんの営業マンがあまり店に来なくなった」というお店がありました。どうして営業マンが来なくなったのでしょう。

そのお店は、決して業績が悪いわけではありません。話を聞いてみると「売れる商品を持ってきてくれない」とか、「商売の役に立つ話をしてくれない」といったグチが出てきます。

どうもこのお店にとって、問屋さんは「売れそうな商品」や「安く売れる商品」を紹介してくれる存在のようです。おそらく、このお店は問屋さんにいつも「何か売れる商品はないか」とばかり要求しているのでしょう。

そうなると、問屋さんの営業マンは「商品」のことばかりに目や頭が行ってしまいます。ところが、最近の問屋さんからは「売れる商品」がなかなか手に入らなくなっているのです。

理由があります。それは、主だったメーカーさんは、問屋さんに余分な在庫を待たせることを避けているからです。市場に商品がだぶつかないように、ということでしょう。だぶつくことで、価格の乱れにつながりますからね。

また、売れる商品があっても、メーカーさんは、納める小売店さんを制限しているようです。これも、市場在庫やブランドのコントロール策なのでしょう。しかも、メーカーさん自身が店舗を構えて、直接消費者に商品を販売しています。いわゆる「中抜き」ということですね。

こうしたことによって、中間流通として在庫コントロールをしていた問屋さんの存在意義が減ってきてしまっているのが最近の傾向です。ですから、問屋さんの営業マンも小売店さんに行かなくなってしまっているのでしょう。困ったことですね。

問屋さんの戦略

実は、今のスポーツ用品業界はメーカーさんが力を持っていると言っていいです。その証拠に、スポーツ用品メーカー出荷額は、2008年に1.3兆円だったものが2018年には1.53兆円と18%ほど伸びています(出所:矢野経済研究所)。

一方、主力6社の問屋さんの売上を見ますと、2008年の1,324憶円に対し、2018年は1,343憶円と、わずか1.5%の伸びです(出所:日経MJ)。これを見ても、問屋さんが苦しんでいることが分かります。

とはいえ、それぞれの問屋さんが、いろいろな戦略を打っています。ファッションショップ、ディスカウントストア、ホームセンター、ドラッグストアなど現状のルート以外に販路を増やす戦略もその一つです。

しかし、それはスポーツショップにとってはたいして良い影響を及ぼすことではありません。スポーツショップが問屋さんに求める戦略は、スポーツショップのためになるものです。そんな戦略があるのでしょうか。

そこで、私のアイデアをお伝えします。まず、問屋さんは「商品」だけを見る姿勢を変えることです。そして、「マーケティング」に目を向けることです。

マーケティングとは「誰に、何を、どうやって」提供するかを考えることでした。それに沿って考えていきましょう。最初に「誰に」からです。

ミッション系高校の悲劇。長崎「いじめ自死」学校の呆れた対応

2017年に発生した長崎市の高校生自殺事件を巡る学校側の対応に、各所から疑問の声が上がっています。今回の無料メルマガ『いじめから子どもを守ろう!ネットワーク』では、当案件の事実関係等を改めて紹介するとともに、同校関係者の自己保身に走る姿勢を強く批判しています。

教育者は「いさぎよい」姿勢を

2017年4月に長崎市の私立高2年の男子生徒が自殺し、第三者委員会は2018年11月に「いじめが自殺の要因」としていました。しかし、学校側はこれを不服として調査結果の公表を拒否しておりました。この調査結果を受け取ってから1年後の今月に、学校が公表に応じたとのことです。しかし、学校側は「自死との因果関係に論理的飛躍があるなどとする見解を表明しています。

平成29年4月20日発生の(当時海星高等学校2年制在籍者)自死事件について

しかも、学校はHPに掲載した文書の中で、「第三者委員会に対し根拠資料の開示や説明を求めたが拒否され続けてきた」などとして、第三者委のメンバーに対し、近く長崎簡裁に調停を申し立てる予定だと報道されています。

この事件では、両親が記者会見し、自殺の数日後に学校側が突然死したことにした方が良いかもしれない」「転校したことにもできるなどと提案をしていた事実が明らかになっています。

隠蔽工作を行い、さらに「いじめが自殺の要因」とされると調査結果を公表せず、いまだに認めようとしないという学校の姿勢は非難されても当然だと思います。

もしも第三者委員会の結論が間違っていると主張したいのであれば、なぜ、再調査委員会を組織しなかったのか、疑問が残ります。あるいは、調査結果を受け取って、すぐさま裁判で是非を問わなかったのでしょうか。やれることはあったはずです。1年も放置しておいて「なにをいまさら」不服を申し立てるのでしょうか。対応がおかしいことを学校自らが認めているようにしか見えません。

この学校は、ミッションスクールであり、教育理念の一つとして「『己のごとく人を愛せよ』とのキリスト教の愛の精神により、人間の尊さを学び、思いやる心を大切にする教育を行います」と掲げています。宗教の学校であり、教育者である「聖職者」であるならば、天に召されたときに、イエス・キリストの目の前にて、「私は聖職者として立派な人生を生きました」と言えるようでなくてはならないと思います。教育者は保身をはかるのではなく子供たちに恥じないいさぎよい姿勢を示してほしいものです。

私たちもひとりひとりの子どもたちの抱えている悩みを一緒に考えられる大人でありたいと思います。先日、「NPO法人BONDプロジェクト」さんからメールをいただきました。NPO法人BONDプロジェクトさんは、「10代20代の生きづらさを抱える女の子のための女性による支援」をテーマに、居場所を失った女の子の自己肯定感向上や自立に向けた支援を行っている団体です。ちなみに代表の橘ジュンさんは、渋谷の街でさまよう女の子の声を聞き続けていることで有名です。

そのBONDさんが、東京都自殺対策事業として「東京都在住の小学生中学生の女の子専用LINE」(LINE ID: @bondproject)を期間限定で開設するそうです。相談できる日は、

  • 2019年11/10・11/24・12/8・12/29
  • 2020年1/12・1/29・2/9・2/23
  • 相談受付時間 午後4時~午後7時

あくまでも、東京都に住んでいる中学生の女の子専用とのことです。その他の電話、メールでのご相談は、「NPO法人BONDプロジェクト」をご参照ください。

教師間の「いじめ」のニュースも相次いでいます。大人ですから明確に暴行事件、傷害事件として報道してほしいものです。さて、年末に向けて子どもたちにとっては大切な時期です。なにか気にかかることがあればご相談いただけたらうれしく思います。

一般財団法人 いじめから子供を守ろうネットワーク
代表 井澤一明

【書評】お客様はモンスター。NHKクロ現が捉えたカスハラ実態

「不寛容の時代」と言われて久しい現代社会ですが、カスタマーハラスメントも世界規模の問題となっているようです。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』で編集長の柴田忠男さんが取り上げているのは、そんなカスハラの実態を放送したNHK「クローズアップ現代+」取材班による一冊。なぜモンスタークレーマーはここまで増えてしまったのでしょうか。

偏屈BOOK案内:NHK「クローズアップ現代+」取材班 『カスハラ モンスター化する「お客様」たち』

716nDetJLELカスハラ モンスター化する「お客様」たち
NHK「クローズアップ現代+」取材班 著/文藝春秋

カスハラ……カスタマーハラスメント、知らなんだ。NHK「クローズアップ現代+」で2回放映し、大反響を呼んだ「カスハラ」の実例と分析、処方箋を、放送し切れなかった情報までまとめて書籍化、というもの。ここ何年もテレビ番組はほとんど見ないから、気がつかない。お客様は神様、ではなくてモンスター。セクハラパワハラと並ぶカスハラは世界的な現象になっているという。

そういえば、毎日買い物に行く妻が、またイヤなものを見たと話していた。レジ前で小銭入れからコインを出すのに難渋していた老婦人がいて、その後ろに並んでいた爺さんがいきなり無言でレジのデスクを激しく叩いて、別のレジへ向かった。老婦人は怯えていたが、レジの女性は「また、いつもの人ですよ」と言っていたという。わけわかんないモンスターじじいはよくいるらしい。

カスハラを受けた事例が6件、元クレーマーの50歳男性の告白、カスハラ対策例が3件、読み応えあり。取材者はカスハラに詳しい大学教授に、クレーマーの実像や登場した背景などを聞く。「最近のクレームの傾向や特徴があれば教えて下さい」って、NHKよお前もか、最近インタビューで「教えて下さい」という幼稚な問いかけが耳障りだ。傾向や特徴はどういうものですか?だろうが。

教授の説明によれば、普通なら見過ごすようなことで引っかかる人が増えている、これが限界という怒りの沸点が下がってきていて、「ちょっとしたことで逆鱗に触れてしまう、そういう傾向が見て取れる」という。おいおい、逆鱗の用法が違うだろうが。目上の人、地位の高い人を激しく怒らせてしまうという意味だぞ。教授も編集者もNHKもみんなアホだ。というわたしはクレーマー?

こういったクレーマーが増えたのは、団塊の世代が退職し始める時期と重なる。現在高齢者の団塊の人、なかでも高学歴高所得社会的地位の高い人からの、筋論的な、わりと上から物を言う「権威型」「説教型」が多いらしい。しかし、沸点が低いのは高齢者だけでない。いまや年齢は無関係だ。さらに因果関係が無茶苦茶なケースもある。自分の不注意を平然とメーカーのせいにしたりする。

悪質なクレームが増えている理由は、過剰サービスによる過剰期待、情報化社会の影響、社会の疲労による不寛容、格差社会の進行、所得が大きく伸びていないこと、言語能力の低下、消費者を甘えさせた日本の企業風土、労働者への想像力の欠如、人手不足などいくらでも挙げられる。抑え込む手はないようだ

元クレーマー・堀さん(仮名・50歳男性)が26ページにわたり登場。冷静な普通人がクレーマーになる至った状況を自己分析していて、非常に興味深い。元コンビニのオーナーだった人だ。経験上、よかれと思って言うべきことを言うと、それはクレーマーだとSNSで祭り上げられ、怖くなってなにも言えなくなったこともある。クレーム=悪であるという一方的な決めつけは間違いだ。

それでもクレームを繰り返す。そこには二つの感情の要素があって、ひとつは虚栄心というか、相手を攻撃しながら自分の心を満たし、もうひとつは攻撃していることに対する罪悪感があるという。いまシルバーモンスターが増えている。ごく普通の体裁の単行本なのに1,650円!高過ぎる!文句をつけるだけのわたしだが、カスハラではない。一字違いのカステラ、大好きです。

編集長 柴田忠男

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