セクハラを“古い価値観”で済ます無神経。思考停止が新たな被害者を生む

さまざまなハラスメントに対して、「昔ならこれくらいのことは問題にならなかった」との思いを抱いている方がいるとしたら、その姿勢こそがハラスメント連鎖の空気を醸成している可能性が高いと言えるかもしれません。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では著者で健康社会学者の河合薫さんが、教師から子供たちへのセクハラを報じるニュースを取り上げ、調査にあたった教育委員会担当者の「昔の価値観は通用しない」との見解に違和感を抱いた理由を詳説。その上で、ハラスメント防止のために徹底させるべき作業について考察しています。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

 

セクハラ問題を「古い価値観」で終わらせないで

静岡県教育委員会が、小学5年から高校3年までの計15万6,306人を対象に実施した「セクハラ実態調査」で、「セクハラを受けたと感じた」との回答が97件あったことがわかりました。

調査は生徒たちにセクハラの意味などを説明した上で、家庭で回答を記入してらもい、直接校長らが回収しました。97件のうち、強制わいせつに該当するなど懲戒処分の対象になる事例はなかった一方、「不必要な身体的な接触」と「不必要な接近・凝視」が全体の約7割を占めたそうです。

具体的には、

「ほめられた時、頭をなでられた」
「部活の指導中に腕を触られた」
「体育館で整列していた時、40秒ぐらい肩に手を置かれた」
「あいさつをした時、胸を見られた気がした」

などで、県教委の担当者は「古い価値観はもはや通用しない」との見解を示した
とされています。

さて、いかがでしょうか。「頭なでるのダメ、指導するのに腕さわるのもダメ、ダメダメだらけ。何もできないじゃん!」と思った人は、多いかもしれませんね。

奇しくも、担当者はそれを「古い価値観」という言葉で表現したわけです。

でも、これって本当に“古い価値観”と言ってしまっていいのでしょうか?“古い価値観“という言葉を使うことによって、思考停止に陥っていないでしょうか。

2013年に、厚労省がセクハラ対策を強化するとして、男女雇用機会均等法の指針や施行規則を見直しを進めたときも、“古い価値観”という言葉が飛び交いました。

―「男のくせに」「結婚まだなの」同性間セクハラも禁止―という見出しが大手新聞社の一面にデカデカと掲載され、テレビの画面には「何も言えないね」と失笑する人や「女子社員とコミュニケーションとれないじゃん」と呆れた顔をする人、「子供は?も聞いちゃダメってこと?」と戸惑う人たちが映し出されたと記憶しています。

 

金価格が20年で7倍!北海道で起きるか、令和の「ゴールドラッシュ」

金の価格は2000年代に入って上がり続け、1グラム1100円前後だった価格が20年で7倍以上、現在は8000円台で推移しています。かつて「黄金の国」と呼ばれ、実際に多くの金を産出したわが国ですが、すべてを掘り尽くしてしまったのでしょうか。今回のメルマガ『石川ともひろの永田町早読み!』では、著者で小沢一郎氏の秘書を長く務めた元衆議院議員の石川知裕さんが、地元北海道のオホーツク海に面した雄武町で聞いた金の採掘計画を紹介。政治家から珍しく出てきた「夢のある話」を伝えています。

 

令和のゴールドラッシュが起きるか

ゴールド(金)の値段が、さらに上がっている。戦争が起きると安定資産である金の値段が上がると言われている。金の値段は20年前と比べて7倍になった。いまや1グラム8000円だ。ついこの前まで1グラム4000円と覚えていたが、いずれ1万円になるだろう。

日本がかつて「黄金の国 ジパング」と呼ばれていたことはご承知の通りだ。これまで人類が採掘してきた金の総量は約18万トンと言われている。これからどれだけ採掘されるかわからないが、地中の埋蔵量は約5万トンと考えられているそうなので、最近の採掘は年間約3000トンのペースだから、10数年後には金がなくなると言われている。しかし、石油も「ピークオイル」と言われながら産出し続けているので、私は5万トン掘ったあとも、まだ金はあるだろうと思っている。

2017年の金産出量は以下の通りだ。

  1. 中華人民共和国=約440t
  2. オーストラリア=約300t
  3. ロシア    =約255t
  4. アメリカ合衆国=約245t
  5. カナダ    =約180t

10年前まで世界一の金産出国であった南アフリカの産出量は減っている。昔は金と言えば南アフリカだったが、いまや中国が一番になっているのだ。

日本は金は掘り尽くしているのが現状なのは、言うまでもない。徳川家康が掘り尽くしてしまい、「お宝伝説」もテレビ番組の作り話でしかない。

と思っていたが、先日、雄武町へうかがったら、「金の採掘をカナダの会社と行おうと計画しているんです」というお話を聞いた。かつてこの地域には鴻之舞鉱山があり、ゴールドラッシュがあったのだそうだ。ウイキペディアから鴻之舞鉱山を引用する。

紋別市鴻之舞にある。鴻之舞は、紋別市の中心市街地であるオホーツク海側から約25キロ程度、遠軽町の旧丸瀬布町方面に南下した地点である。この地を含めて、オホーツク海側、特に北オホーツク枝幸のパンケナイ、ウソタンナイなどの川では、明治30年代頃に砂金が発見され、砂金掘りたちが集まり、「ゴールドラッシュ」となった。

石井友蔵・雄武町長は、私に「夢のある話をしないとね」と話した。確かに。政治家は夢を語ることも必要だ。再びゴールドラッシュになることを期待したい。

 

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マンション業界が悲鳴。ロシアへの経済制裁で価格が爆上がりするワケ

ロシアのウクライナ侵攻に反対する国々がロシアに対して経済制裁を行っていますが、それにより実は国内のマンション事情にも影響が出ているそうです。そこで今回は、メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』の著者で一級建築士及びマンション管理士の廣田信子さんが、その影響について詳しく語っています。

ロシアに対する経済制裁はマンションにも影響!

こんにちは!廣田信子です。

4月7日には、G7(アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本、イタリア、カナダの7つの加盟国による先進国首脳会議)が開催され、その首脳陣が、共同声明で「ロシアからの石灰輸入の段階的廃止や禁止を含む計画」を進めることを表明しています。

それを受け、岸田総理は4月8日、ロシアへの追加制裁として、「ロシアからの石炭の輸入を禁止する」と表明しました。「早急に代替案を確保し、段階的に輸入量を削減して、ロシアへの依存を低減する」としています。

石灰は、石灰石などのセメント原料を焼成するための主燃料です。2020年度、日本では、製造時における熱エネルギーの約72%を石灰が占めており、そのうち、ロシア産の割合が約5割で、セメント業界が、ロシア産石灰の禁輸で受ける影響は極めて大きいといいます。

セメント業界の大手は、ロシアからの輸入を下げる努力をしていますが、代替輸入はコスト面で高いハードルがあり、たいへんです。

ロシア以外の主要な輸出国は豪州ですが、ウクライナ侵攻前から、労働者の不足や豪雨によって、品薄感が強かったといいます。その上、ウクライナ侵攻で、欧州各国が、輸入をロシアから豪州に切り替える動きが相次いでいます。

他の地域も、日本までの海上輸送の距離が長い分、燃料価格の高騰により影響が大きいといえます。

セメント業界大手は、22年初頭に相次いでセメント製品を値上げしているものの原料費の価格高騰に伴うコスト増は転嫁し切れておらず、今後セメント製品、生コンクリートの更なる値上げは避けられない見通しだといいます。

ここのところ、鉄鋼製品の価格上昇も顕著です。これに加えてセメント製品、生コンクリートの価格上昇は、マンション建設にも大きな影響が出ます。これをどうやって乗り越えていくのか、ただでさえ、もうマンション価格が上限に達していると思われるのに…。

ウクライナ危機は、マンション建設の今後にも、大きな影響を与えます。中古マンション市場がより活発化する…ことも大いに考えられます。

何か危機が起こると、思いもかけない方向に進化が進むということもあります。これを機に、始まったばかりの木製マンション建築が一気に進むかもしれません。

低コストで工期も短縮可能な「木造」の中高層マンションが常識になる日(21年10月5日記事)

変化を怖れず、そこから生まれる進化を活かす…そう言う時代になりそうです。

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リフレ“裏オプ”売春に捜査のメス。「Gなし本番3万円」聖地・秋葉原で摘発強化、逃げ出す業者が次に向かう場所とは?

マッサージなどのサービスを提供する「リフレ店」で女性従業員に売春を行わせたなどとして、警視庁は17日、東京・秋葉原のリフレ店の経営者ら3人を逮捕したと発表した。同店は裏オプション、いわゆる“裏オプ”を行う店として知られ、秋葉原でもかなりの人気店。ホームページでは「都内ナンバーワン」などとうたっていた。

都内有数の大型リフレ店が御用

逮捕されたのは「ラプンツェル秋葉原」の経営者ら3人で、1月と4月に20代の女性従業員2人に売春を知りながら個室を提供した、売春防止法の場所提供業の容疑。リフレ店が売春防止法違反で摘発されたのは3月8日の「Cherry×Cherry(ちぇりちぇり)」が初めてで、今回が2例目となる。

同店は「エース秋葉原」として2020年4月から営業を開始。しかし、前出の摘発騒動があったことで現在の店名に変更し営業を続けていた。

朝日新聞によると、同店は女性従業員約30人が在籍する“本格店舗型リフレ都内No.1”をうたい、これまでの約2年間で8400万円以上を売り上げていたという。

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「裏オプが女性たちの収入」驚きのリフレの実態

リフレ=とはリフレソクロジーの略で、足裏マッサージの事だが、添い寝リフレ店の本質はそこにはない。女の子と添い寝しながら2人で楽しくおしゃべりできる店だ。

料金はまちまちだが、おおよそ40分で5000円から6000円が相場。女性従業員は時給で働いているパターンが多いという。

膝枕、耳かき、足絡ませ、ハグ、向かい合い添い寝…さまざまな追加オプションがあり、そのオプション代が女性従業員の収入になっていく。

ところが“裏リフレ店”になると、基本給がない場合がほとんどで、オプション代だけが女性従業員の身入りになる。つまり、客をとってオプション代を稼がないかぎり無給となり、働いている意味がまったくない。

そのため、女性従業員の方から積極的に裏オプションを客に勧めるという仕組みになっているのだ。

裏オプションの内容や金額は女性従業員の裁量に任されており、ボディタッチのみだったり、口淫や手淫などの性的行為を行う。しかし、積極的に稼ぎたい女性の場合は本番行為もいとわない。

売春まで行うのは女性従業員の意志決定なので、店側は「自分たちが売春を強要していない」と言い逃れしやすいというわけだ。

本番をすれば売春防止法違反、性行為をすれば風営法違反になるが、もともと男女二人が個室にいたら何をしているかは当事者にしか分からない。

そもそも添い寝リフレ店と裏リフレ店の区別は明確ではなく、SNSなどを使った口コミで「あの店は裏オプあり」「●●ちゃんはゴムあり2万円でできる」などの情報が飛び交っているのが実情。

昨年秋から、秋葉原の摘発は加速度を増している。そうなると、裏リフレ店は店舗営業をやめて、全てが派遣型に切り替わる可能性が出てくる。

30分1200円程度で借りられるシャワー付きのレンタルルームに客が先に入り、女性従業員をその部屋に出張させる。店舗で本番行為をさせないので、経営者側は売春防止法の場所提供業の抜け道になる危険性もある。

また、秋葉原は摘発の恐れがあるとのことからリフレの聖地を離れ、学問の神様で有名な「湯島天神」で知られる湯島エリアや錦糸町周辺に場所を移す店が増えているという。

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摘発を厳しくすれば地下に潜ったり、場所を移動したりを繰り返すイタチごっこ。しかし、警察は今後さらに摘発を強化するものとみられ、秋葉原からリフレ店が消滅するのは時間の問題かもしれない。

「米国寄り」と北朝鮮が敵視するユン大統領、新政権がとる南北政策とは

政府が交代するたびに前政権が推進した政策を排除したり、覆すことが多い韓国ですが、尹錫悦政権では少々風向きが違うようです。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、統一部長官候補となっている権寧世氏の発言をまとめ、これからの南北関係についての動き方について語っています。

韓国では企業家になるな、政治家になれ

本メルマガ#417号で権寧世(クォン・ヨンセ)氏について簡単に触れたことがある。「大統領職引継ぎ委員会」の副委員長を務め、現在は統一部長官候補となっているため5月12日には国会で聴聞会ターゲット(当事者)となった。

尹錫悦(ユン・ソンヨル)大統領とは大学時代からの友達で非常に仲のよいことで知られている。権寧世氏の最近の話題について朝鮮日報をベースにご紹介したい。

今頃になると聞こえがちなAB文。これは「Anything But」の略で、簡単に言えば「▲だけ除いて」の意味であるが、普通は政府が交代する度に前政権が推進してきた政策は無条件に排除したり覆したりするという意味で使われる。

実際、尹錫悦政府の対北朝鮮政策でも「AB文」を予想した。尹大統領は文在寅政府がすべての外交・安保政策の中心を北朝鮮だけに置くことによる問題点を候補時代から辛らつに指摘してきたからだ。

文政府は周知のように対米関係や対中関係はもとより、他の国際関係と関連した事案を判断する際も北朝鮮との関係改善や対話ムードづくりに役立つかどうかを最優先的基準で判断してきた。

これによる歪曲現象が深刻に現れたのも事実だ。

しかし、12日の人事聴聞会で尹政府の南北関係の責任を負う権寧世・統一部長官候補が出した答弁は「AB文」ではなかった(尹錫悦大統領は13日、権寧世統一部長官を任命した。ただし聴聞会の内容を扱った本記事では聴聞会当時の肩書きである「クォン候補者」と表記する)。

女子大生がキャバクラに潜入。修士論文のためキャバ嬢になった彼女が見た内情とは

女性にはあまり縁のない場所ですが、好きな男性は連日のように通ってしまう場所。それがキャバクラです。“お金を払ってでも行く価値のある場所”で、男性の心を掴んで離さないキャバクラとはどのような場所なのでしょうか。今回はメルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』の中で、 大学の修士論文を書くためにキャバ嬢として潜入した女性がその内情を語った一冊を紹介しています。

【一日一冊】キャバ嬢の社会学

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キャバ嬢の社会学
北条かや 著/星海社

テレビのニュースで時間外営業をしていたキャバクラのオーナーが逮捕されたと聞いて、手にした一冊です。本のソムリエはキャバクラにほとんど行ったことがないので、その仕組みに興味を持ったのです。

なんと著者は、同志社大学の修士論文を書くために、キャバクラ嬢として潜入、働きはじめたという。冗談かと思って読み進めたら本当でした。

クラブのホステスが会話のプロとすれば、キャバクラは「普通の女の子」とのコミュニケーションを売りにしているお店です。在籍する女の子も、30歳以下が中心でプロが1割、セミプロが4割、素人アルバイトが5割で、入れ替わりが激しいという。

キャバクラの市場規模は、1兆円程度です。日本人一人当たり年1万円。男性だけが顧客であり、老人・高校生以下はキャバクラに行かないでしょうから、仮に1千万人が顧客とすれば、一人当たり年10万円、月1万円使っている勘定となります。

1983年、現在のキャバクラの原型となる「キャンパスパブ」が誕生する(p37

キャバクラのお店では、二人掛けのソファーで、一人のキャストが一人の客の相手をする形となっています。団体客も一人ずつバラバラにしての接客となります。

指名なしで来店した客には、一時間に4名くらいのキャバ嬢が入れ替わりで接客し、15分間で場を盛り上げながら、指名をもらえないか交渉します。
仮に指名がもらえれば、客は2,000円をプラスで支払うことになり、キャバ嬢にはポイントが入る仕組みです。

指名本数やドリンク杯数は毎日、ポイント成績ランキングが作成され、携帯に送信されます。多くのポイントを獲得したキャストの時給が上がるという仕組みになっています。

ここからは想像になりますが、お客が素人ばかりのキャバクラに行くのは、素人さんと仲良くなれるのではないか、という幻想を持って行くのではないでしょうか。

「〇〇さん、キャッシャー」は、「〇〇さん、指名交渉や連絡先交換をしましょうという合図あ、今呼ばれたんですけどぉもうちょっとしゃべっててもいいですか指名になるんですけど(p100

バイデンが危惧。プーチンが触手を伸ばす新たな国、米との関係悪化で最悪の事態も

アメリカの外交問題の中で、今後の世界秩序形成においても重要で、原油市況のカギを握るサウジアラビア。今アメリカとは史上最悪の関係と言われ、アメリカを完全に無視し、ロシアの国益に繋がる原油市況高騰状態を維持していますが、その関係悪化の原因と今後予想される動きについてお話をしたいと思います。

歴史上最悪の関係修復の為に送り込まれたウィリアム・バーンズ氏

先週アメリカでは、CIA長官のウィリアム・バーンズ氏が、4月中旬にサウジを極秘訪問していたとの報道が注目されました。

バーンズ氏は、外交官出身者として初のCIA長官に就任した方ですが、外交官として最初の赴任地がヨルダンでアラビア語を話すことができ、しかも中東との関係も深いということで、歴史上最悪と言われるサウジアラビアとの関係修復の為に送り込まれたと思われますが、その成果は今のところ不透明という段階です。

アメリカとサウジアラビアの関係

アメリカとサウジアラビアは、1933年の外交樹立以降、一貫して良好関係にありました。サウジにとっては、イランやイエメンなどの近隣諸国との慢性的な軍事緊張の中で、アメリカの軍事支援と資金援助を得ることは極めて重要です。

一方でアメリカとしても、サウジはかつては中東に於ける安全保障の拠点であり、特にイラン革命以降はイスラム原理主義者との闘いに於ける重要なパートナー、事実上の軍事同盟国です。

そして、最大の産油国という見方からすると、歴史的に原油の安定供給と市況安定という意味でも、非常に重要なパートナー国と位置付けてきました。

因みに日本も、原油が輸入品目の中で最大金額の商品、全輸入額の8.2%を占めていますが、その中のなんと40%を、現在サウジアラビアに頼っています。

アメリカとサウジアラビアの関係が悪化した2つの理由

アメリカがバイデン政権下でここまでサウジとの関係をこじらせた理由は大別すると2つです。

1つ目はオバマ政権時から開始された、中東への関与縮小の流れで明らかにアメリカはいくつもの失敗をしています。

イラクからの拙速な撤退、エジプトでのアラブの春への不味い対応、リビア政変時の介入、シリアでのロシアやイランへの主導権を渡した結果の酷い内戦誘発、そして、イランとの核合意締結と、サウジの信用を失墜させるに十分な外交を重ねてきました。

トランプ政権時は友好関係を取り戻しつつありながらも、バイデン政権になるとアフガンからの撤退、イラン核合意の復活画策などでまたアメリカの中東政策は、サウジからの信頼失墜の方向に加速しています。

そして、2つ目は、実質的支配者であるムハンマド皇太子に対するバイデン大統領の「否定」「軽視」にあります。

2018年にサウジ人ジャーナリストのカショギ氏がトルコで殺害された事件ですが、これにムハンマド皇太子が関与しているとバイデン政権は断定し、大きな人権問題だと攻撃していること。

さらに、バイデン大統領は飽くまでも父親のサルマン国王との関係を重視してムハンマド皇太子との関係構築を拒絶してきましたが、これは、カショギ氏殺害事件だけではなく、「史上最悪の人道危機」と呼ばれているイエメン内戦問題、今は完全にサウジとイランの代理戦争となっていますが、こちらも絡んできます。

しかし、ムハンマド皇太子からすれば、自分を認めないバイデン政権に対して、なぜ従わねばならないのかという思いは強く、昨年秋のオースティン国防長官、今年初めのブリンケン国務長官の訪問はキャンセル、3月のバイデン大統領の電話会談は拒否しました。

現在はOPECプラスで協力関係を構築してきたロシアと、今や最大の石油輸出先である中国へとパートナーを変えつつあると言って良いと思います。

サウジアラビアがアメリカに期待してるコト

中露と対立関係にあるバイデン政権は、サウジとの関係修復は絶対条件であって、必死に裏で動いていますが、これが奏功するかどうかはこれからの世界秩序の方向性、そして日本の将来に大きな影響を与えます。

まだ、ムハンマド皇太子がアメリカに期待していることはあり、例えばイエメン内戦への支援、原発などへの開発協力、カショギ氏殺害に関連する自身への訴訟撤回などです。

こういった要求を上手く利用しながら(今回バーンズCIA長官を送り込んでいるのは、カショギ氏殺害の調査や黒断定したレポートなどは全てCIAが行っていますのでここでのディールがある可能性もあります)、アメリカがサウジとの友好関係を早期に修復することに期待をしたいと思います。

出典:メルマガ【今アメリカで起こっている話題を紹介】欧米ビジネス政治経済研究所

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すでに台湾有事は始まっている。ウクライナ情勢の陰で進む沖縄・与那国「もはや戦時下」の現状

北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長が15日、「ウクライナはこの戦争に勝利できる」と述べるなど、ロシアの劣勢が顕著に叫ばれるようになってきました。この先も長引くことが懸念されるウクライナ情勢、その様子を固唾を呑んで見守る人たちがいました。沖縄・与那国島へ取材に行った政治ジャーナリストの清水克彦さんが、台湾有事の恐怖に揺れる島民たちの生の声をレポート。「漁場はすでに戦時下」という現状を伝えます。

清水克彦(しみず・かつひこ)プロフィール
政治・教育ジャーナリスト/大妻女子大学非常勤講師。愛媛県今治市生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。京都大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得期退学。文化放送入社後、政治・外信記者。アメリカ留学後、キャスター、報道ワイド番組チーフプロデューサーなどを歴任。現在は報道デスク兼解説委員のかたわら執筆、講演活動もこなす。著書はベストセラー『頭のいい子が育つパパの習慣』(PHP文庫)、『台湾有事』『安倍政権の罠』(ともに平凡社新書)、『ラジオ記者、走る』(新潮新書)、『人生、降りた方がことがいっぱいある』(青春出版社)、『40代あなたが今やるべきこと』(中経の文庫)、『ゼレンスキー勇気の言葉100』(ワニブックス)ほか多数。

ウクライナ情勢は泥沼化する

ロシアによるウクライナ侵攻からおよそ3カ月。アメリカ軍関係者や陸上自衛隊の元幹部らを取材すると、「数年単位の長い戦争になる」との声が聞かれる。筆者もほぼ同じ見立てである。

このところアメリカとロシアの防衛相が電話会談するなど、対話の機会も生まれてはいるが、肝心のロシアとウクライナ間での停戦交渉は進まず、このまま泥沼化してしまう可能性は少なくない。

ウクライナ侵攻がこの先も長引く理由とは?

(1)ロシア軍が今よりもウクライナ軍に押され始める

アメリカ政府が4月28日、議会に承認を求めたウクライナへの軍事支援(約204億ドル分)が、6月になるとウクライナ全域に行き渡るため。

(2)ロシア国内で経済制裁の影響が出始める

経済制裁は効き目があるようになるまでに数か月を要する。侵攻開始後に欧米諸国が実施した制裁の影響がじわじわとロシア経済に響いてくるようになる。

(3)国境を接する国々でロシア包囲網が強固になる

フィンランドやスウェーデンのNATOへの加盟が承認されれば、ロシア包囲網が一段と進む。

一方のロシア政府は、国内の不満や不安を抑えるため、隣国モルドバやジョージアに対し、沿ドニエストル共和国、南オセチア共和国といった親ロシア派が支配する地域を中心に揺さぶりをかけ、火種を拡大させてしまう可能性がある。

(4)アメリカはロシアを疲弊させるまでウクライナや周辺国の支援を続ける

ウクライナ支援が最大の目標だったバイデン政権が、ロシアの疲弊、プーチン体制の弱体化に舵を切った。これによりロシアが音を上げるまで戦いが続く可能性が高くなった。

戦時への備えが着々と進む「台湾に一番近い島」与那国

ロシアとウクライナ、中国と台湾、しばしば比較されることが多い関係だが、長引くロシア軍のウクライナ侵攻を見ながら、「ここも第2のウクライナになってしまうのでは?」と危機感を募らせているのが、与那国島(沖縄県与那国町)の住民たちである。

筆者は、沖縄本土復帰50年に合わせ、その与那国島へと飛んだ。

与那国島は、日本の最西端に位置する島だ。人口は約1700人。台湾とは約110キロしか離れていない。天気が良い日には台湾の東岸が目視できる。

台湾軍が中国軍の侵攻に備え大規模な軍事演習を実施すれば、その砲撃音が聞こえてくるという距離にある。

つまり、与那国島は、台湾に一番近い島であり、中国が台湾や尖閣諸島に侵攻した場合は最前線となる島である。

かつては「防衛の空白地帯」と言われた与那国島など八重山諸島に、防衛省が自衛隊の駐屯地など設置し始めたのは2016年のことだ。この年の3月、与那国島に陸上自衛隊の沿岸監視隊が160人規模で駐屯するようになったのである。

島のほぼ中央、イランダ林道と呼ばれる道路からは、陸上自衛隊が設けた巨大レーダーを目の当たりにすることができる。このレーダーで東シナ海の中国船や中国機を監視しているのだ。

それ以降、2019年には宮古島に駐屯地が置かれ、た。石垣島にも今年度中には陸上自衛隊の警備隊、地対艦ミサイル、地対空ミサイル部隊が配備される予定になっている。

また、与那国島には今年4月、航空自衛隊の移動式レーダー部隊が配備され、来年度には陸上自衛隊の電子戦専門部隊も追加配備される予定だ。

普天間飛行場問題などアメリカ軍基地問題で翻弄されてきた沖縄県の50年。それを思えば、「基地」と聞くだけで島民からはさぞかし否定的な声が聞かれるだろうと尋ねてみた。

すると、「いや、自衛隊の基地は充実させてほしいです。やはりウクライナを見て考え方が変わりましたね。よく『基地があるから攻撃される』と言いますよね。私は基地があってもなくても中国軍は攻撃してくると思います」という声が返ってきた。

大手メディアが取り上げぬ橋下徹氏と上海電力の「ただならぬ関係」

ネット上で大きな盛り上がりを見せている「橋下徹氏と上海電力」を巡る問題ですが、大手メディアにしか触れていない層にはほとんど認知されていないのが現状のようです。そんな事案を取り上げているのは、元国税調査官で作家の大村大次郎さん。大村さんは自身のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』で今回、橋下氏が「法的に問題ない」とするこの案件の概略を紹介するとともに、そもそも何が問題視されるのかを詳しく解説した上で、橋下氏に対して「果たすべき義務」を突きつけています。

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』の2022年5月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール大村大次郎おおむらおおじろう
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

 

橋下氏の“上海電力問題”とは?

最近、ツィッターなどでは「橋下 上海電力」という関連ワードがよく出てきます。橋下氏のツイッターにも「上海電力の説明をしろ」というようなレスが数多くついています。

今回はこの問題について取り上げたいと思います。

この問題は、ジャーナリストの有本香氏の記事が発端となっているのですが、ざっくり言えば次のようなことです。

橋下氏が大阪市長時代の2014年に、大阪の南港咲洲(さきしま)に、メガソーラー発電所を建設したのですが、そのメガソーラー発電所を運営しているのが上海電力という中国の企業だったのです。

そして、上海電力がこの事業を受注した経緯にも疑問があるのです。当初、この事業は日本の中小企業2社がつくった合同企業が落札受注し、その後、この合同企業に上海電力が出資し、事実上、上海電力が運営するということになったのです。この経緯について、橋下氏は「法的に問題ない」と述べていますが、これは法の抜け穴をついたようなものであり、道義的な問題は残るはずです。そして、何より、日本のインフラの中枢部分を、簡単に外国企業に委ねるということに対して、重大な安全保障上の懸念があるはずです。

このソーラー発電所の事業というのは、日本の電力会社に電気を買い取ってもらうことで、成り立っています。そしてその電気を買い取る資金は、我々の電気料金から出されているのです。

再生可能エネルギー賦課金として、私たちの電気代に上乗せされています。現在の再生可能エネルギー賦課金は、1KWHあたり3.5円前後です。一般家庭の平均的な毎月の電力消費量は300KWHなので、1,000円前後がこの再生可能賦課金に取られているのです。年間で1万円程度になります。それが全家庭から取られているのです。莫大なお金です。ざっくり言うと、この莫大なお金が上海電力に流れてるのです。

 

米中が手を組みウクライナ停戦?バイデンが水面下で進める仰天シナリオ

ロシアによるウクライナ侵攻を始め、現在数多くの危機に見舞われている国際社会。ゼロコロナにこだわる習近平中国国家主席の施策も、世界経済の混乱を招く要因となっています。「どん底」と言っても過言ではないこの状況に、もはや打つ手はないのでしょうか。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では米国在住作家の冷泉彰彦さんが、ここ半月ほどの間に各国各地で起きたさまざまな出来事を取り上げ詳細に解説。さらに米中ロが瀕している危機を好転させるため、水面下で進んでいると考えることも可能な大きな動きを、あくまで仮説とした上で記しています。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2022年5月17日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

 

米中ロ、3カ国の危機が一気に好転?

それにしても、この2022年5月というのは、戦後77年の中でも特記すべき「歴史の岐路」になるように思います。どう考えても、戦後最大級の危機が進行中で、それも3つ重なり合っているからです。

1つは、新型コロナウィルスのパンデミックで、先進国ではオミクロンBA.4、BA.5が拡大期にある中で、感染とワクチンによる抗体値とはほぼ均衡しているものの、依然として出口は見えません。問題は中国と北朝鮮で、ゼロコロナ政策がほぼ破綻する中で政治的危機が顕在化しています。

2つ目は、その中国です。政治経済における中国の行動は、すべて国の規模から来ています。規模が大きいため強い中央政府を必要とするし、その中央政府には信じられないほど強大なパワーが生まれてしまいます。また国内だけで巨大な市場を形成する中で、他の国とは次元の違う規模の経済が成長します。政治においても、経済においても中国においては規模の統御が停滞しており、これは建国以来の危機と言えます。

3つ目は、ロシア=ウクライナ戦争の問題です。ロシア連邦がソビエト連邦を「帝国」として継承しているというファンタジーが、自由経済による繁栄を志向する旧ソ連圏共和国内の遠心力と衝突するのは宿命かもしれません。ですが、ここまで大規模な人命とインフラの破壊を伴う紛争を、どう終結させるのかは難題です。

以上の3つは非常に歴史的な、大規模な危機ですが、これにやや小さめの2つの危機が重なっています。4つ目は、EUの求心力と遠心力です。フランス大統領選は現職勝利となりましたが、ロシアに対峙する中で欧州の結束は強くはありません。このまま危機が継続すると、欧州に動揺が広がる中で西側同盟の中に、地割れのような現象が起きるとも限らないのです。

5つ目は、アメリカの政治危機です。支持率低下に喘ぐバイデンを追撃しようという共和党は、脱トランプを模索しつつそれが達成できない中で、もがいています。民主党は、とにかく激しいインフレの中でバイデンは立ち往生しており、現時点では、22年11月の中間選挙も24年11月の大統領選も劣勢必至という情勢です。そんな中で、アメリカは極めて内向きとなっており、1から4の問題に関してリーダーシップを発揮するのは難しくなっています。

というわけで、この5つが重なった現在というのは、政治的・軍事的に非常に厳しい状況であることは間違いありません。けれども、冷静に考えてみると、ここまで問題が深刻な中では、このままズルズルと事態が長期化して、危機が恒常化するということは考えにくいと思います。