中国に媚びを売る鳩山元首相が、政治利用され「ポイ捨て」される日

これまでも東アジア、殊に中韓に対する言動が日本国内で度々「問題視」されていた鳩山由紀夫元首相が、北京で行われた「世界平和フォーラム」なる会合で、南シナ海問題に関してまたしても中国よりの発言を行ったと報道されました。メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では鳩山氏の行動原理を「中国の覇権を手助けすること」だとして厳しく批判しています。

【中国】鳩山由紀夫氏が中国からポイ捨てされるとき

鳩山由紀夫氏、また親中発言「日米は静観すべき。中国に圧力かけるな」 北京の会合で

中国主導のAIIBの国際諮問委員会の委員に就任したことで久々に話題となった鳩山由紀夫氏が、北京で行われた「世界平和フォーラム」で演説に立ち、先般、オランダ・ハーグの仲裁裁判所から判決が下された南シナ海問題について、「日本や米国は基本的に静観すべきで、中国やフィリピンに圧力をかけて仲裁判断を受け入れるよう促すべきではない」「当事者間の対話と協力での解決を見守るべきだ」と述べたそうです。

ところで、この世界平和フォーラムというのは、どのようなものなのでしょうか。同名のフォーラムは複数存在するようですが、WPF(WORLD PEACE FORUM)という組織は今年のフォーラムをブラジルで開催する予定としており、北京での「世界平和フォーラム」とは無関係のようです。

WORLD PEACE FORUM

北京のほうの写真を見ると、主催は清華大学、協力が中国人民外交学会とあり、議長は唐家璇で、劉延東副首相が基調講演を行なったそうです。いかにも国際会議の体をとっていますが、どう考えても中国政府が主催したフォーラムです。したがってその実態は「中国にとって都合のいい世界平和を考えるフォーラム」です。

第5回世界平和フォーラム開幕、共同安全秩序を議論

そんな会議に出席して、日米は静観すべきなどと中国側に立った発言をしたわけですから、鳩山氏が中国の代弁者に成り下がったのは明らかです。現在では日本共産党や社民党ですら言わないほどの媚中ぶりです。日本では古巣の民進党にすら相手にされませんから、とにかく撹乱騒ぎを起こして目立つことに必死なのでしょう。最近でよくいわれるところの「炎上商法」というものでしょうか。

鳩山氏は2013年1月に南京大虐殺記念館を訪れて謝罪、昨年8月には韓国の西大門刑務所で日本の朝鮮統治について土下座して謝罪するなど、「謝罪の旅」を行なったことで、日本では顰蹙を買い、中国や韓国ではいいように政治利用されたことは記憶に新しいでしょう。

鳩山由紀夫元首相 南京大虐殺で謝罪
鳩山由紀夫氏、韓国でひざまずいて謝罪「心から申し訳ない」【動画】

そもそも鳩山元首相の友愛志向と習近平の「力」による国際秩序変更とは、思想背景からしてまったく相容れないものであるはずですが、鳩山氏はいつも反日国家に利用されるだけです。

「う~ん、マンダム」のあの会社は今、「女性向け枕」で最高売上高更新

男性化粧品メーカーとしてあまりにも有名な企業「マンダム」が、女性をターゲットに「睡眠美活」というムーブメントを起こしています。そして、2016年3月期に6期連続で過去最高売上高を更新しています。無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では、その商品の1つであり、美容と枕という新しい組み合わせで注目を集めているその名も「美育枕」を中心に同社の戦略を分析・解説しています。

新しい組み合わせ

今回はユニークな枕で注目を浴びている企業を分析します。

マンダム(男性化粧品メーカー)

◆戦略分析

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■戦場・競合

  • 戦場(顧客視点での自社の事業領域):美育枕
  • 競合(お客様の選択肢):エアーウィーヴやテンピュールなどのマットレスメーカー など
  • 状況:枕などの寝具の市場規模は拡大傾向にあるようです。

■強み

1.美容ケアにつながる

  • 寝ながら美容ケアできる
  • 美しくなるために重要な頭部をきちんとケアできる
  • 首のシワ(いわゆる寝ジワ)対策になる

2.ぐっすり眠れる&目覚めがすっきり

  • 眠りに気持ちよく入れる

⇒上記の強みを支えるコア・コンピタンス
★美容と眠りの専門家が監修

  • ヘッドスパのノウハウ
    →ヘッドスパの第一人者であり、美容研究家の樋口賢介氏の協力を得ています。
  • 枕内部に67個の指圧突起(フィンガータッチグミ)が入っており、頭部をほぐし緊張をやわらげてくれます。
    →特許出願中です。
  • 睡眠の専門家である生活健康学研究所の清水教永所長の協力を得ています。

上記のように美容の専門家と眠りの専門家のノウハウが組み合わさったからこそ、強みを実現できているといえます。

■顧客ターゲット

  • 美容に関心がある40代の働く女性
  • 快眠を求める方

日本が米でなくソ連を攻撃していたら…先の大戦「もしも」を米誌分析

「もし、日本がアメリカではなくソビエトを攻撃していたら?」――。米外交誌『National Interest』が、第2次世界大戦の歴史ifを分析する記事を掲載している。同誌では、昨年にも、英仏が大戦初期に計画していたソビエト爆撃作戦を巡る「if」を同じ筆者が書いている。こうした分析は歴史愛好家の知的好奇心を刺激する一種の遊びではあるが、一つの判断が歴史を大きく変えることを再認識する上では、大きな意味を持つ。改正論議まっただ中にある日本国憲法にしても、第2次大戦の結果・経過が異なっていたら、内容が大きく変わっていたことだろう。その点で、今「if」の視点で第2次大戦史を振り返るのは、日本人にとってこそ、意義があることかもしれない。

日ソの戦力は互角か

戦前の日本は、ソ連(ロシア)を仮想敵国とする「北進論」と英米が植民地支配する東南アジアへ侵攻する「南進論」に割れていた。前者は陸軍が支持し、後者を海軍が支持していた。実際の歴史では、1941年の真珠湾攻撃によって太平洋戦争が勃発し、「南進」が実行に移された。アメリカとの戦争を選択した日本は結局、広島・長崎への原爆投下を経て無条件降伏。戦後米国主導で日本国憲法が策定され、専守防衛の道を歩んできたのは周知の事実だ。その憲法が今、改正の是非を問われている。

では、もし「北進」を選択していたら、歴史はどう変わったか?『National Interest』専属の軍事ジャーナリスト、マイケル・ペック氏が、今月9日付でこのテーマで記事を寄せている。同氏は、現実の歴史では、日ソ中立条約により、ソ連は東方の憂いなくドイツとの戦争に集中できたと指摘。その結果、最大のピンチだった1941-42年のモスクワ戦で、シベリアから精鋭部隊を回すことで首都陥落をぎりぎりで防いだことが、独ソ戦の結果を大きく左右した。もし、この時にソ連が東方で日本の相手をする二面戦争を余儀なくされていたら、歴史は大きく変わっていただろうか?

ペック氏は、大局的には「日本が真珠湾攻撃をしなかったら、アメリカは日本に宣戦布告していたか?」「日本がロシアを攻撃していたら、西側諸国による経済制裁強化の代償はどれくらいになったか?」という2点を検討する必要があるとしている。その上で、軍事面に限れば1941年時点での日ソの軍事衝突は「興味深いもの」だとし、どちらかが一方的に有利ではなかっただろうと見ている。

日本がシベリア沿岸地域を制圧

1939年のノモンハン事件で明らかになったように、戦車などの陸軍の機械化戦力の面では当時、圧倒的にソ連が優位に立っていた。また、たとえ軽装備の日本陸軍であっても、シベリアの大地に深く侵攻していくのは補給の面で大きな不安があっただろうと、ペック氏は見る。一方で、「当時の日本陸軍は日中戦争により戦い慣れしており、機敏で赤軍同様に熱狂的に戦うことができた。さらに潜入作戦と夜戦に優れていた」と日本側の強みを分析。強力な航空支援と海軍力もプラス要素に挙げ、海軍の艦砲射撃と航続距離の長い零戦部隊によって制空権を獲得することにより、重要拠点のウラジオストク港を制圧するのは十分に可能だったと見る。

ソ連側の不安点には、スターリンの粛清により赤軍全体の力が弱まっていたことと、日本軍と対峙する精鋭のシベリア師団への西方からの補給線がドイツの侵攻により打撃を受けていた点が挙げられている。そして、「モスクワとウラジオストクのどちらを維持するかという選択に迫られたスターリンは、首都を防衛することを優先しただろう。そのため、日本はウラジオストクとシベリア沿岸地域を大きな代償を払うことなく得ることができたと思われる」とペック氏は書く。

しかし、その大局的な効果については疑問符がつく。シベリア沿岸地域での日本の勝利が大戦全体に与える影響は「比較的マイナーなものであっただろう」とペック氏は言う。日本軍がシベリア師団のモスクワ支援を結果的に阻止することを勘案しても、「冬将軍」によって疲弊していたドイツ軍は被害を抑えることはできただろうが、どのみちモススクワ占領には至らなかったというのが同氏の見方だ。ただし、その後のドイツが歴史的大敗を喫したスターリングラード攻防戦の結果は変わっていたかもしれないとしている。

「オペレーション・パイク」が実行されていたら

ただ、独ソ戦はどちらかが完全に破滅するまで終わらない「絶滅戦争」だったため、物量で勝るソ連の最終的な勝利は変わらなかっただろう。問題は、そのためにスターリンがシベリアをあきらめ、日本との休戦を選択した可能性があることだ。ペック氏は、日本とドイツの同盟はそれほど強固なものではなかったため、日独が別々の形でソ連との戦争を終わらせた可能性は高いと見る。そして、次のように結論づける。「最低でも、日ソ戦争は欧州大戦を長引かせただろう。しかし、アメリカにとっては、日本はより与し易い相手となったかもしれない。もし、日本が1941年にソ連に宣戦布告していたら、極東は中国共産党の歌にあるように赤く染まったかもしれない。しかし、それはライジング・サンの赤だった可能性もあるのだ」

ペック氏が『National Interest』で取り上げたもう一つの第2次大戦「if 」は、英仏が1940年に計画していた「オペレーション・パイク(槍作戦)」というソ連本土爆撃作戦に関するものだ。当時、ドイツとソ連は不可侵条約を結んでいた。英仏が中東からコーカサス地方の油田などを爆撃することで、ソ連の天然資源がドイツの手に渡るのを阻止するのが狙いだった。同氏は、もし、フランスがドイツに降伏する前にこれが実行されていたら、ソ連がドイツと同盟して英仏に宣戦布告していた可能性があると指摘する。その場合、アメリカは孤立主義の壁の裏に隠れて参戦せず、「頑固なチャーチル(英首相)すら、希望のない戦争を続ける気力を維持できなかっただろう」としている。そして、「オペレーション・パイク」が実行されなかったことは、西側の歴史にとって、非常にラッキーだったとペック氏は書いている。

この2つの記事は、一国の歴史的な判断が、世界の行方を大きく左右することを示唆する。事は戦争における判断にはとどまらない。改憲の是非を問う国民投票が日本で行われるとすれば、先のイギリスのEU離脱の決定が今、世界経済を揺るがしているように、日本国民の判断が世界に大きな影響を与える可能性があることは否定出来ない。 

(内村浩介)

 

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記事提供:ニュースフィア

お宅は大丈夫?音はカッコイイけど意味がアウトなキラキラネーム5選

我が子が一生背負っていく「名付け」の責任、重いものですよね。世間ではキラキラネームが話題となっていますが、その何がマズイのかが無料メルマガ『システマティックな「ま、いっか」家事術』で詳しく紹介されています。漢字はかっこいいけど、実は大変な意味だった…なんてこともあるようですよ。

60年後のキラキラとシワシワ

さて、本日は世間をにぎわすキラキラ・シワシワのお話。

先日香港の知人夫婦にお子さんが生まれました。女の子だそうで、パパの目に入れても痛くない可愛がりぶりが目に浮かぶようです(笑)。

子供が生まれると、パパとママにはやることがテンコ盛りになりますよね。その中でも一大事なのが「名づけ」です。なにせその子の一生について回る名前。幸せですてきな人生を歩んで欲しいという希望を込めて、いろいろな名前を検討することでしょう。ところが、個性的にしようとするあまり、いわゆるキラキラネームを選択する親御さんもいるかもしれません。

キラキラネームの評価はいろいろですが、日本人の名前には歴史的に見てキラキラネームが多いんです。要は、当時の名前常識(?)からすると、個性的でキラキラした名前を付ける親が多いってことなんです。つまり、キラキラネームとノーマルネームの線引きは、結構難しいんですね。

ただ、一般的に言って、

  • 当て音(?)がヘン
  • 意味がヘン

だと、キラキラネームと言えるのではないかと思います。

まずひとつめですが、本来の漢字の読みにはない音を当てている場合です。漢には定まった読み方があるので、これを勝手に変えれば他の人には読めません。アタリマエですが(^^;

多少なりの当て音(?)はかまわないのかもしれませんが「親しか発音できない」というのは、マズいでしょうね。人間は、名前で社会的に区別されるわけですから、大多数のヒトに発音できない読めない名前だと、社会的に区別してもらう時点ですでに不利になってしまうと思います。だって発音してもらえないわけですから。

背水の陣を敷く。目標を実現させるためには言葉にした方がいい理由

ほとんどのビジネス書や自己啓発書に書かれている「目標を言語化・可視化する」という項目。なぜこうも勧められているのでしょうか? 無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』では、自らも目標を言葉にすることで実現させてきたという著者の谷原誠さんが、その効用について紹介しています。

口に出す効用4つとは?

こんにちは。弁護士の谷原誠です。

目標は、言葉にして口に出したり、紙に書いて貼ったり、人に発表するのがよいとよく言われます。ビジネス書や自己啓発書などでも、さかんに勧められている方法です。

確かに思い出してみると、この方法は私も実践してきたことでもあります。弁護士になることや自分の本を書くこと、そのほか事業に関する目標は、常に言葉に表してきました。そして、言葉に出したことは、だいたい、その目標は実現してきたのではないかと思います。そこで今回は、改めて、この方法がなぜ有効なのか考えてみます。

私は、主に4つの効用があると考えています。まず、1つ目は、自分の内面での効果として、「目標が明確になる」ことがあります。

私たちは普段、「○○がしたい」「○○になりたい」ということをあれこれと考えていますが、実は、思考は混とんとしています。漠然と思っていることを、実際に口に出してみると、「自分はこれがやりたかったのか」と改めて気づき、発見する感覚があるものです。言葉にするという単純な行為により、夢や目標に輪郭を与えられるのです。

目標を明確にした後に必要なことは、それを意識し続けることです。口で言ったり、紙に貼ったりなどの方法をとると、日常に埋没しがちな目標に、頻繁に意識を向けることができます。そして、常に目標を意識することにより、「行動が促されることになります。人は口で言っていることをやらないと気持ち悪くなるものです。

ここで大切な存在が期限です。「いつまでに○○を行う」と、期限付きの目標があると、行動を促す効果が高まります。「いつまでに何をする」ということを細分化することにより、行動はさらに促されることになります。

大前研一「ドローンが生み出す新たな市場。進化する位置情報技術」

【連載第3回】スマートフォン、SNSの普及に加え、測位技術の発展、さらにはドローンなどの新技術出現によって「位置情報ビジネス」が飛躍的に進化している。そう、世界は今「位置情報3.0」時代に突入しているのだ。 本連載では位置情報を活用したビジネスを取り囲む様々なテクノロジーの現状を大前研一氏が解説します。

小型無人航空機「ドローン」の底力

ドローンは中国企業DJIが独占状態

2020年には約62兆円になるとも予測される位置情報ビジネスの可能性は、ひとえに位置情報技術の進歩あってこそといっても過言ではありません。

現在の位置情報はさまざまな技術・要素によって支えられています。まずはGPS。

ビーコンなどの近距離センサー技術に、Wi-Fi、カメラ画像、Kinect、可視光、加速度、ジャイロ 、地磁気を利用した屋内における測位技術。それらに、クラウドデータをはじめ膨大に蓄積されたデータなど、さまざまな要素が連携します。

近年、こうした位置情報技術をスマホやタブレットを通して利用し、その進化に目を見張ってきた私たちですが、さらなる進化形デバイスとして今世界を賑わせているのは、なんといっても「ドローン」でしょう。

ドローンはもともと、軍事用に開発された小型無人航空機です。私流に言うならば、“電動竹とんぼ”といったところでしょうか。

このドローンの世界市場は、2014年時点で約650億円にまで拡大しています。この市場シェアの70%を握り、独占しているのが中国のDJI です(図-6)。

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図ー6 ドローンの世界市場シェア

 
DJIトップのフランク・ワン・タオ氏は1980年、中国・杭州に生まれ、香港科技大学在籍中に同社を立ち上げました。いわゆる“ドローンマニア”なわけですが、日本では2015年4月に首相官邸の屋上にDJIのドローンが落下した際に注目を浴びました。この出来事を受けてDJIは早速、首相官邸や皇居周辺を飛行禁止区域とするシステム変更を行ったようです。

ほぼDJI独占のドローン市場ですが、他にはフランスのParrot 、米国の3D Robotics などがあります。
3D Roboticsの共同創業者のひとり、クリス・アンダーソン氏は、もともと雑誌『WIRED』の編集長だったのですが、趣味のラジコン飛行機製作が高じて立ち上げたドローンのオンラインコミュニティが同社創業のきっかけとなりました。

わずか三十数万円でプロモーションビデオが撮影可能

ドローンは位置情報を非常に正確に把握することができるため、実に多様な使い方ができます。
その用途のひとつが、プロモーション映像の撮影です。ドローンを使用することで、これまでヘリコプターで撮影していた時では考えられないほど、簡単に、そして廉価に、プロモーションビデオが作れるようになりました。
 
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図ー7 ドローンを使用したプロモーションビデオ

 

図-7はドローンを使用して撮影・作成したプロモーションビデオのキャプチャ画像です。

左は広島県竹原市、右は伊豆半島の南にある須崎恵比須島という、人間がなかなか行きづらい場所にある島を撮影しています。

着陸距離の問題やコストが高いなどの問題で、従来のヘリコプターでは気軽にできないことも、ドローンを使用すれば、技術の熟達度は必要とはいえ、ほんの三十数万円でできてしまうというわけです。

撮影に使用した機種はDJIのPhantom3で、カタログによると最大飛行時間が約23分。バッテリーが20%を切ったところでホームポイントに戻るシステムです。そうでないと、撮影するたびに落下して三十数万円がパーになってしまいます。

須崎恵比須島の撮影では、ドローンの操縦士はフェリーの上にいて操縦していますが、あらかじめプログラムしておいたルートを飛行させることも可能です。

ドローンが人を乗せて飛ぶ可能性も

プロモーションビデオのような空撮に留まらず、ドローンの用途は日進月歩で拡大しています。
今でこそマニアのような一部のユーザーが趣味で使用するケースが多いですが、数年以内には設備点検、災害調査など、産業にも広く応用されていくことでしょう(図-8)。
 
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図ー8 拡大するドローンの用途
 

例えば山で遭難者が出た際、救助隊が登っていくのは非常に時間がかかりますし、地形的に難しいような場合など、先にドローンを飛ばすことで遭難の状況を把握することができます。

多少の救援物資なら運べますので、先手を打つことができるでしょう。また、火山の火口などの実態調査にも利用できそうですね。

その後はおそらく、測量、警備、個人用偵察機などにも用途が広がり、4~5年後には産業利用とマニアに限らない一般ユーザーとの共存が始まるのではないかと思います。

その頃には登山の際の道案内などにも利用されるかもしれません。現代版・ヤタガラス とでも言いましょうか。

また、Amazon.com(以下アマゾン)がドローン実用化の際に真っ先に着手した宅配や、運搬にも用途が広がり、最終的には人を乗せるところまでいくのではないかと、私は想像しています。

航空、船舶、警備、あらゆる分野に影響を与える位置情報

航空機事故調査の要がフライトレコーダーからGPSへ

ドローンの用途がさまざまな分野に拡大しつつあるように、位置情報サービスそのものの利用分野も広がりを見せています。

図-9の通り、ざっと考えられるだけでも、産業では航空、船舶、物流、農機・建機、個人・家庭ではパーソナルナビゲーション、民間警備、緊急通報、危機管理では災害対策、安全保障、時刻参照ではデータセンター、金融取引、測量では民間測量、公共測量……と、あらゆる分野が考えられます。

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図ー9 位置情報の利用分野

 

航空分野においては、現在は墜落事故が起きた場合、まずフライトレコーダーを捜索していますね。

ところが、直近の航空機事件を振り返ると、2014年3月にマレーシア航空機がインド洋へ向かって行方不明になった事故では、機体の所在も不明のままで、当然フライトレコーダーは見つかっていませんし、そもそもフライトレコーダーのバッテリーが既に切れていますので、為す術なく捜索終了といった状況。いまだに謎のままです。

また、2015年10月にロシアのコガリムアビア航空機がエジプト・シナイ半島に墜落した事故では従来通りフライトレコーダーを分析し、機内に持ち込まれた爆弾を爆発させたテロ攻撃によるものだと断定はされたものの、いまだ全貌は解明されていません。

尻もち事故の前歴があったので機体の故障が原因ではないか、エンジントラブルを起こしたのではないかなど、さまざまな憶測を呼んでいます。

フライトレコーダー頼みであったこれまでの事故調査には、やはり限界があります。そこで今後、位置情報を利用する新たな動きとして、すべての航空機をGPS追跡することが検討されていくでしょう。

ルートから外れる、上昇するなどの異常な動きをすべて追跡し、すぐに警告を出せるようにする。ミサイルで攻撃された時にはミサイルの弾道も見て、航空機に何があったのかを瞬時に分かるようにする。

これまでは地上のビーコンでやっていたことも、今後は衛星が主流になると考えてよいでしょう。

災害対策に関しては、2014年8月の広島市での土砂災害のようなことも、地表のズレ、雨の量などをあらかじめデータ解析していれば、斜面下の危険区域に対して早いうちに警報を鳴らせるわけです。

このようにさまざまな分野で、用途はほぼ無限大に広がるのではないかと感じています。

 

(次回に続く)
 

この連載の過去記事はコチラ

この連載の前回までの記事はこちらでお読みいただけます。
 
 

この記事の話し手:大前研一さん

 
株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長/ビジネス・ブレークスルー大学学長1943年福岡県生まれ。早稲田大学理工学部卒業後、東京工業大学大学院原子核工学科で修士号、マサチューセツ工科大学(MIT)大学院原子力工学科で博士号を取得。日立製作所原子力開発部技師を経て、1972年に経営コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク入社後、本社ディレクター、日本支社長、常務会メンバー、アジア太平洋地区会長を歴任し、1994年に退社。以後も世界の大企業、国家レベルのアドバイザーとして活躍するかたわら、グローバルな視点と大胆な発想による活発な提言を続けている。現在、株式会社ビジネス・ブレークスルー代表取締役社長及びビジネス・ブレークスルー大学大学院学長(2005年4月に本邦初の遠隔教育法によるMBAプログラムとして開講)。2010年4月にはビジネス・ブレークスルー大学が開校、学長に就任。日本の将来を担う人材の育成に力を注いでいる。
 

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記事提供:biblion

精神病院がない国、イタリア。なぜ日本でも同じことができないのか?

ジャーナリスト、事業家、社会活動家など様々な立場で国内外の現場を見てきた記者の引地達也さんが発行するメルマガ 『ジャーナリスティックなやさしい未来』。今回は、日本の「精神保健」に対する理解の低さに苦言を呈しています。1978年にイタリアで実際に起こった精神保健の改革運動に関する実話を基に制作されたイタリア映画「人生ここにあり」と、その背景にあったイタリアの社会背景を紹介。なぜ日本では、このような運動が起きないのか、その理由について分析しています。

イタリアでできて、日本でできない精神保健の問題

精神保健の世界に身を置いてみると、社会保障制度の不備、という現実的な問題が詳らかに見えるようになると同時に、その背景を考えると、一般社会で精神保健に対する理解が広がっていないという「社会の質」のような問題に直面する。どうしたらよいのか、と一般の方々が受け入れやすい切り口を探してみるが、同じ問題意識を持つ仲間もあれやこれやと頭をひねっても社会への決定打はなかなか難しい。

その中にあって、イタリア映画「人生ここにあり」(2008年)は切り口としてはかなり切れ味のある内容だ。

これは精神保健をテーマにしつつも、痛快で爽やかなでほろ苦い映画として抜群の啓蒙作用を持つ。楽観主義のラテン文化を背景にした人生賛歌に生命の輝きを痛快に見せつけられ、それが映画の枕詞となっている「人生はエンターテイメント」だと言い切る爽やかさとなり、ほろ苦さともなる。この感情を刺激するのは、イタリアの精神保健を取り巻く環境の変革期を描いた苦悩の実話だからこそで、この変革は日本の精神保健の世界とは大分違う。

精神疾患に関わる人には常識ではあるが、それはイタリアの凄さであり日本でなぜできないのだろうか、と考えてしまう。

映画の概略はアマゾンの紹介を引用する。

「合言葉は“やればできるさ!”。世界で初めて精神病院を廃止した国で始まった元患者たちの挑戦にイタリア全土が笑って泣いた!世界中に〈希望〉と〈元気〉を届ける、愛と笑いに溢れた人間讃歌エンターテイメント」。

さらに引用は続く。

「世界で初めて精神病院をなくした国─イタリアで起こった実話を基に映画化」として「1978年、イタリアでは、バザリア法の制定によって、次々に精神病院が閉鎖された。『自由こそ治療だ!』という画期的な考え方から、それまで病院に閉じ込められ、人としての扱いを受けていなかった患者たちを、一般社会で生活させるため、地域にもどしたのだ。本作は、そんな時代に起こった実話を基に、舞台を1983年のミラノに設定して誕生した。」

映画の宣伝だから少々大げさな文体だが、コピーライターの感動ぶりも伝わってきそうで、これも爽やかな印象。