リスク厭わずボランティアの応募殺到13万人。米ワクチン開発事情

新型コロナウイルスのパンデミックは全世界的に収まる気配がなく、誰もが一刻も早いワクチンの完成を願っています。そして7月27日、アメリカから、2社のワクチン候補がそれぞれ臨床試験の最終段階に進んだとのニュースが入ってきました。『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』著者でNY在住のりばてぃさんが、このニュースを中心に現在のワクチン開発事情を伝えてくれます。りばてぃさんによれば、治験にはリスクがあるにもかかわらず、多くのボランティアの登録が報告されていて、期待や願いの強さを物語っているようです。

新型コロナのワクチン事情

(1)治験が最終段階へ

今週、新型コロナウイルス関連の話題が様々出ているが、中でも注目なのは、現在開発中のワクチンが承認手続き手前の最終治験段階に入ったということだろう。この話はYouTube動画でも解説しているが、追加情報を加えて特集でもお伝えしようと思う。

まず、7月27日、マサチューセッツ州のケンブリッジ(ボストンの隣街)にあるバイオ医薬ベンチャーのモデルナ(Moderna)が開発中の新型コロナのワクチン候補の臨床試験が最終段階であるフェーズ3に入ったと発表。すでにワクチン投薬が始まっており、主にモデルナが拠点とするケンブリッジやボストン周辺の病院での治験が進められている。今後、アメリカ国内のおよそ3万人に治験する予定とのこと。

加えて、この日、モデルナの他にファイザーも治験最終段階に入ったと発表。同社はドイツの研究機関との共同開発で、アメリカ国内だけでなく世界各地で3万人規模の大規模治験を行う予定だ。また、経過観察は10月まで行うとのことで、ワクチンの効果が証明された場合、少なくとも2~3ヶ月の効果は証明されるのではないかと期待されている。
Late-stage clinical trial for Moderna’s COVID-19 vaccine is launched nationwide
Pfizer enters phase 3 Covid-19 vaccine trial

ところで、新型コロナ用ワクチンは他にも数多く開発中で、現在、前臨床試験中の開発途上のものは140種類以上、治験段階のものは25種類ある。上記2社の他に最終段階のフェーズ3にあるのは、イギリスのアストラゼネカとオックスフォード大学との共同開発のもの、中国北京のシノバック、武漢そして北京のシノファーム…となっている。
ABC News COVID-19 VACCINE WATCH

さらに治療薬に関してはすでに250種類ほどが治験段階にあると伝えられている。万が一、かかった場合は治療しかないので治療薬への期待も高い。

なお、治験はフェーズ1からフェーズ3までありフェーズ1、2で健康な成人への治験で効果の証明、また即時的な副作用が出ないことを確認した上でフェーズ3に進むため、今度は多種多様(年齢、性別、人種ばらばら)の多くの人々に大して治験して、果たして同様に効果はあるのか副作用はあるのか、あった場合はどんなものがあるのかなどが検証されていく。

効果が確認されれば、米国食品医薬品局(FDA)に申請して承認されれば、一般市場に出るという流れだ。ちなみにアメリカ政府はモデルナなどに巨額投資・資金支援をしており、ワクチンが完成次第、アメリカ国民に投与していく方向でいる。

気力が湧く「カテコールアミン」とは?筋トレのプロに聞いてみた

新型コロナウイルスの影響でスポーツの大会やイベントはことごとく中止になり、競技によっては練習も制約があって、モチベーション維持に悩む競技者が多くいます。メルマガ『届け!ボディメイクのプロ「桑原塾」からの熱きメッセージ』著者の桑原弘樹塾長は読者の質問に答え、やる気向上に関わる「カテコールアミン」について解説。ドーパミンもノルアドレナリンも副作用があり分泌されるほどよいわけではなく、バランスを保つことが重要と説明しています。

カテコールアミンとは何ぞや

Question

shitumon

多くの大会が中止となり、トレーニングにも練習にもヤル気が起きません。知り合いがカテコールアミンなるものを増やせばいいのだと言うのですが、いったい何ものでしょうか。そもそも簡単に増やす事は可能なのでしょうか。(35歳、男性)

桑原塾長からの回答

カテコールアミンとは神経伝達物質の事で、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンを指します。そしてこれらの材料となるのがチロシンです。カテコールアミンはどれも脳内の神経伝達物質ですが、ドーパミンはノルアドレナリンの前駆体となり、またノルアドレナリンはアドレナリンの前駆体という関係なので、それぞれが関連しあって成り立っている物質でもあります。

覚醒していく際に増える物質であるため、日中の活動的なシーンにおいては必要となり、逆に夜間の沈静を必要とする際には増えすぎないようにしたい物質となります。

トレーニングに向けては、覚醒に必要な神経伝達物質が優位になる事はいいことですが、チロシンを飲んだから即覚醒するかと言われれば、それほど単純な反応ではないように思います。むしろそこに加えて適度なトレーニングを心地よく行っていくうちに分泌されていくのが自然かもしれません。しかし、カテコールアミンが、それぞれどういった役割を担っているのかはとても面白いですから、ご説明したいと思います。

ドーパミン

ドーパミンは「報酬系」などとも呼ばれる神経伝達物質で、快楽と密接という特徴があります。私たちは何かを頑張った時に達成感のような感覚をもちます。更にはそこで成果をあげた場合はこの成果が頑張ったという努力への報酬ということになり、そこで大きな快楽へと繋がっていきます。この時の快楽を感じる原因となる脳内の主役がドーパミンなのです。

トレーニングの際にも最初はジムに行くのが億劫だったり気乗りしないことがあるでしょう。しかし、気を奮い立たせてジムに足を運び、更にはしっかりとトレーニングが出来たような時、なんとも言えない充実感や達成感を感じる事があります。こんな時は、恐らくトレーニング後に脳内にドーパミンがしっかりと分泌されているはずなのです。

ドーパミンに限った事ではありませんが、神経伝達物質は多ければ多い程良いという事ではありません。快楽を感じるとは言っても、ドーパミンも万能ではないのです。それはもし過剰になった場合に、依存症などの副作用を生じることがあるからです。

報酬系なので、それなりの報酬(成果)があった場合はバランスがとれていますが、成果が伴わなかった場合にも分泌されてしまうため、それがストレスとなりドーパミンの過剰状態が生まれてしまいます。例えば、パチンコなどの依存症も、実はこのドーパミンの過剰分泌が影響していると言われています。

中国人も日本人も同じ。「成功者に群がる亡者」という共通の構図

毎回中国からお役立ち情報を届けてくださる、無料メルマガ『上海からお届け! 簡単3分、写真で覚える生活中国語』の日本人著者・ジンダオさん。今回は読者からの、「中華圏の人からビジネスの相談を受けたとき、どうすべきなのか」という質問に、自身の経験を交えつつ答えています。

中国人の友人にビジネスの相談を受けた!どう対処する?

私も体験があることですが、どう向き合えばいいか分からないですよね。メルマガ会員さんからも質問があったので私なりの見解をご紹介したいと思います。

距離が縮まると何かと相談をしてくる中国人。どこまで許容するか、だと思います。

旅の楽しみ。出会った中華圏の人たちからの相談

メルマガ会員さんから中国旅行や台湾旅行で知り合った中国人や台湾人に自分のビジネスに関係する日本企業や日本人を紹介してくれないか?と相談を持ちかけられたそうで、どう対応したらいいものか。と質問がありました。

メルマガ会員さんには「断った方がいい」と回答したのですが、理由は下手に回答するとグイグイと次の相談がやってくるから。

仲の深さにもよるんですが、しっかり責任を持って対応できないなら下手に回答せず、断る方がいいと思ったから。間違いなく次も頼ってくるんですよね。

紹介するのはいいんですが、紹介先の迷惑にならない友人なのか。もしくは紹介後も困った時に最後まで自分がフォローできるのか。もしくは許し合える間柄なのか。

そんな事を念頭に置いて判断した方がいいですよね。結局頼る日本人が居ないから相談をしている可能性がある訳ですから。

私もあった中国人に相談された実体験

実は私も同じ職場だった中国人(日本語可)に似たような事を相談されたことがあります。私の場合は「中国で日本のウイスキーを販売したい友人がいるんだが何か人脈がないか?」という相談でした。

ちなみに私の場合は相談してきた中国人との付き合いは8年以上。プライベートでも食事する仲。ただし離職後はそんなに連絡を取り合ってない関係。

私の場合は「そんな人脈はない」「日本語が出来るんだから自分で調べろ」「他の日本人に相談しろ」と伝えたのですが、それでも引き下がらない厄介な中国人。

その理由は「ジンダオ、顔が広そうだから」本当、相手のことを考えていない野郎です。また私の前に他の日本人に相談して、その日本人が私に相談しろと話を振ったようなのです。みんな自分勝手。

一人だけ思い当たる節はあったのですが迷惑もかかる。しかし一向に中国人の彼は引き下がらない。

仕方なくお酒関係の仕事をしている友人に相談してみると「最近、中国人からその手の話をよーく受けるんですよ」と一言。

「同じ事を考える輩が多い」と聞いた瞬間、それ以上は話を伝えず謝って、質問してきた中国人に「無理だって。同じ考えを持っている中国人が多くて対応できないんだと」と答えてオシマイにしたのでした。

ウイスキーの次は投資だぜっ!

正直、私に相談する時点で終わっている感じもするんですよね。私は単なる日本人ってだけなんで。顔が広い訳でもなく。その上、私は相談してきた中国人の友人がどんな人物なのか知らない。そんな相手に下手に人を紹介できないです。

中国人は短期勝負が大好き。なので流行りはじめの日本のウイスキーに飛びつきたい。コネも人脈もない。そうだ日本人のジンダオだ!とその程度の発想なんだと思います。

その後、彼とはもう一つの頼まれごとをきっかけに疎遠になってしまいました。

次に相談があったのは「投資話」でした。

ある日、久しぶりに彼からの電話が鳴りました。ちょっと相談したいと。ウイスキーの一件もあるし「面倒だな」と思ったのですが、彼の話を聞くと自分の友人が会社を作った。会社は投資会社でリターンも良い。お前も儲け話に乗らないか?という、よーくある話。

数年前の上海で地方都市の開発をうたった投資会社が竹の子なみにニョキニョキ起業していた頃の話で、70歳を越えた老人を中心に投資話を持ちかけて問題になっていました。

そんなタイミングでこの話。ちなみに投資額は最低20万元(300万円ほど)から。あら、ジンダオの1ヶ月分のお小遣いと同じじゃありませんか(信じないでくださいよ。真面目な人が多いんで)!

そこで私が聞いたのは「ところでお前は幾ら、友人に投資するんだ?」と質問をすると、「俺は家族もいて、小さい子供もいて、自宅のローンがあるので投資しない」と優等生の回答。

「友人のお前が投資しないのに、なんで俺が顔も知らないお前の友人の会社に投資しなきゃならんのだ?」と言い返し回答を求めると「なら、いいよ。ごめんごめん」と半ギレで電話が切れたのでした。

はっきりいって思考が破滅しています。

これは完全に自分のメンツだけを考えた行動と思うんですよ。

古い馴染みの付き合いのある友人がお願いをしてきた。自分はリスクを取りたくない。が、紹介してメンツを立てたい。だから誰かいないかと探す。居た!ジンダオ!!自分勝手な考えなんですよね。

こんな自分勝手な相談事が何回かあり、関わると疲れるので彼とは距離を置くことに。たぶん彼は軽く相談しただけで、悪いことをしたという意識はないと思います。

一つで終わるから伝わらない。実は「繋げて褒める」が効果的な訳

褒められて気分を悪くする人はそう多くありませんが、あまりにおざなりだったり取って付けたような褒め方をされた場合、かえって冷めてしまうもの。では、販売のプロフェショナルはお客様をどのように褒めているのでしょうか。今回の無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』では接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんが、自らも実践している「繋げて褒める」という手法を紹介しています。

繋げて褒める

褒めることに関しては、これまでの配信でも何度かお伝えしてきたと思います。今回もその一部です。

褒めるのが得意な人、苦手な人はいますが、苦手な人の多くは、褒める内容もそうですが、褒め方自体があまり上手ではないことが少なくありません。「そこ褒めます?」みたいなこととは別に、「そういう褒め方で喜びます?」みたいな褒め方が下手なことが多いわけです。

そうなってしまう原因のひとつに、単体で褒めてしまうという理由があります。単体で褒めるというのは、「綺麗ですね」「かっこいいですね」という何かひとつを褒めるだけで終わること。これが決して悪いわけではないのですが、効果的に使えるような場面以外は、ほとんどの場合、信用に足らない安易な褒め言葉としてしか受け取られません。それでは、お客様を褒めて信頼を勝ち取り販売につなげていくためには足りないわけです。

じゃあ具体的にどういう褒め方をすればいいのかで言えば、「繋げて褒める」というやり方があります。繋げるというのは、「Aという理由があるからBが良い」という風に、何かが(理由)があるから、すごい(褒めポイント)につながっているということです。

具体的な例で見てみましょう。例えば、お客様のことをセンスが良いと褒めてみたいとします。褒めるのが下手な単体褒めの人は、「お客様、センスが良いですね」という褒め方をしてしまいます。自分がそう感じていたとしても、これだけ言われて「そうですか」と喜ぶ人はそこまで多くないでしょう。喜んだとしても、それが信頼にまでつながるかどうかは疑問です。

これを繋げて褒めるとしたら、例えば、「合わせるのが難しいアイテムを上手に合わせてらっしゃるんですね。センスがいいですね」という褒め方になります。

「合わせるのが難しいアイテムを上手にコーディネートしている」
 →理由

「だからセンスが良い」
 →褒めポイント

という風に、何かの理由があってはじめて褒めているということが分かりますね。こうやって理由を繋げて褒めることで、ちゃんと意味があって褒めていることが相手にも伝わり、褒められているのだと実感することができるわけです。

さらに加えるとすると、これを、外観(外見)から、内面に繋げられると、より効果的な褒め言葉になったりします。会話の例としてあげると、例えば、

「素敵な髪型ですね。普段もこういうスタイリングをされているんですか?」
「そうですね」
「でしたら、すごくきちんとされた方なんですね。私も見習いたいです」

みたいな感じでしょうか。

「素敵な髪型を普段から気をつけてやっている」
 →外観的な理由

「だから内面的にもきちんとしている」
 →内面の褒めポイント

という具合です。内面を褒める場合は、相手がどう感じるかが人によって変わってくるので安易にやるものでもありませんが、上手に褒めることができれば、それだけ理由がしっかりした褒め言葉になるので、相手にも伝わりやすくなります。

こうした「繋げて褒める」というやり方も時には使ってみるのはいかがでしょうか?

今日の質問です。

  • このメールを読んだ後に、あなたが最初に会った人の事を褒めるとしたら、どんな風に褒めますか?

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マニア心をくすぐり儲ける「コンプリートビジネス」は許容範囲か

マニア心を刺激して売上を伸ばす、いわゆる「コンプリートビジネス」。この販売戦略については、「煽り商法とどう違うのか」と言った批判も聞かれますが、マーケティングの専門家はどう見ているのでしょうか。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では著者で繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、「被害者」をキーワードにその是非を論じています。

趣味を楽しむ人がいるから、経済がまわる

「コンプリートビジネス」という分野が盛況です。

アイドルのグッズやキャラクターのフィギュアなど、好きな世界のものを集める、いわゆるコレクターをターゲットにした、商品販売戦略のことです。

コレクターは、突如出現したわけではなく、昔から存在していました。骨董品や映画ポスター、切手、コイン……。さまざまなコレクターがいます。ものが溢れる時代となって、興味の幅が広がり、コレクションが多彩になってきたのです。

お金を掛けずに、河原の石を集める人がいるかと思えば、財力にものを言わせ、世界の名車を集める人もいます。お金の有無に関わらず、人は集めることが好きな生き物のようです。特に男性には、この傾向があります。女性より男性の方が、ものに執着する性質が強いのでしょう。

「コンプリートビジネス」は、この性質を狙った、巧みな販売戦略です。集めたくなるような魅力を持った商品を一度に販売せず、次から次へと登場させるのです。すると、「次はどんなものだろう?」と、ワクワク感を持つのです。コレクターには、たまらない快感ではないでしょうか。集めている間は、しばらくこの快感が続くのですから、楽しくないわけがないのです。ひと通り出し終えても、カタチを変えれば、コレクターはまた手を出してしまうものです。すなわち、永遠に続けることも可能なビジネスなのです。

しかし、倫理的にどうなのだろうかと疑問を持つ人もいるでしょう。煽って買わせる、いわゆる「煽り商法」と同じではないのか、と。私は巧みな戦略と書いていますが、裏を返せば「汚い商売」と言えなくもありません。

ただ、煽り商法には法的な被害者がいる場合がありますが、コレクターはまったく自分の意志で買っています。被害者にはならないのです。お金を注ぎ込んで後悔する人もいるかもしれませんが、ほとんどの人が「満足感」を得ているのです。そこには、何の問題もありません。むしろ、楽しさを売っている商売ではないでしょうか。自分が好きで集めることを、他人が批判しても仕方がないのです。その楽しさは、本人にしかわからないものです。

不況でものを買わない時代。趣味の世界でどんどんお金を使うことは、いまの日本経済には必要なのです。

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コロナ拡大も重なり深刻。マンションの管理人不足は解消するのか

人手不足の上に新型コロナウイルス感染症の流行が重なり、マンションの管理人不足が問題となっています。エッセンシャルワーカーである管理人さん無くして集合住宅の生活が立ち行かないのは明白ですが、人材確保のために打てる手はないのでしょうか。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者でマンション管理士の廣田信子さんが、行政が関与する新しい取り組みを提案しています。

新たな時代の新しい発想の管理員さん確保の方策は…

こんにちは!廣田信子です。

コロナ禍が収まらす、管理員さん不足が深刻です。特に都心部の小規模マンションで、ゴミ出しのある日を中心に、午前中の3時間ほど週3、4日勤務し、ゴミ出しと日常清掃を中心に業務を行うというような勤務形態の管理員さんが見つかりません。

もともと、ここ2、3年、人の確保ができずに管理会社は苦労していましたが、コロナ禍でより厳しい状況になっています。人手不足が深刻だった状況から一転、コロナ禍で失業者が増える状況になっても、一向に求人状況が改善する気配はありません。

この勤務形態に人の応募が少ないのはある意味当然です。この勤務形態だと、勤務時間が少ないので、収入も多くありません。ところが、ゴミ出しという外せない役割を一人で担うので、出勤の責任も重いのです。

しかも、コロナ禍の今、ゴミ出しは、安全確保に注意が必要な神経を使う仕事でもあり、心理的な負担もあります。重症化が心配される高齢の方にとっては、避けたい仕事です。

都心部のマンションでは、ご近所で人を探すのが難しく、時間を掛けて電車通勤してもらうことにもなります。コロナ禍で、管理会社がギブアップで、居住者である理事の方が、ゴミ出し対応をしたケースもありました。

緊急事態宣言が解除され、社会が動き出し、少しは状況が改善されるかと思いきや、また、感染拡大が止まらす、新たに人が確保できないどころか、もう限界だと、やめる人も増えてきます。

そこで出てくるのが、マンション居住者の誰かに、管理員さんの仕事を、業務委託契約を結んでやって頂くことはできないか…という話です。居住者に、清掃員、管理員として働いて頂くことが可能であれば、それに越したことがないように思います。

この発想は、前々から、人の確保に苦労している管理会社から出ていましたが、自分のマンションでお金をもらって働くということには、抵抗があってなかなか実現していません。

私の周りにも、定年退職後の仕事として、管理員をされている方がけっこういますが、やはり、自分が暮らすマンションでの住民との関係が、フラットなご近所付き合いか仕事を受けて金銭を受け取る関係かうまく使い分けできないから、自分のマンションでは絶対にやらないと言います。自分のマンションで、管理員さんの確保に苦労していても、あえて、少し離れたところで管理員の仕事をしているのです。

コロナ禍で、この心理的な壁が、取り払われるチャンスかもしれません。まず、社会を支えるエッセンシャルワーカーの重要性に、人々の意識が向くようになりました。管理員さん、清掃員さんのおかげで、日々のマンション生活が維持されていることを再認識した方も多かったと思います。そして、人の確保ができなくなったら、自分たちでやるしかないということも、コロナ禍で思い知らされました。

同時に、この仕事を、緊急事態とはいえ、たまたま理事だった人に、何の見返りも保証もなくやらせることはおかしい。もし、住民の中に、引き受けてくれる方がいたら、感謝して有償でお願いしたい…という住民側の意識も生まれています。そして、自分のマンションが困っている状況なら、その役割を引き受けてもいい…と思っている方も潜在的にいるはずです。

ただ、業務委託契約を結んで、保険対応もして、管理組合から住民に直接委託するのは、なかなかハードルが高いことだと思います。管理員の仕事も、清掃の仕事も、素人がだれでもできるほど簡単ではありません。それなりの訓練が必要です。

コロナ禍の中での感染防止の徹底も必要です。個人情報の取り扱い、鍵の管理等のルールを学ぶことも必要です。本人が、業務中にケガをしたり、万一死亡された場合の保険も、管理組合のものを破損してしまったりして賠償責任を負う場合の保険も必要です。業務委託契約を結ぶには、法的な裏づけも、業務の内容を明確にすることも必要になります。

やはり、直接、管理組合が居住者と業務委託契約を結ぶということは、自主管理の経験が豊富な大規模なマンションでないと、なかなか難しいのではないかと感じます。

【第4回】死ぬくらいなら逃げてもいい。春日武彦✕穂村弘が語る「逃げ癖」への疑念

日本では逃げ癖がつくからと、我慢することが美学のような風潮がありますが、それで追い詰められ、自ら命を絶ってしまっては元も子もありません。仕事や勉強、会社や学校の対人関係などで悩んだ時、「逃げるは恥だが役に立つ」という言葉があるように、時には逃げることも必要。現状を打破しようと頑張ることが全てではないのです。4回目となる今回も、小説やエッセイも手掛ける精神科医の春日武彦氏と、現代短歌を代表する歌人の穂村弘氏が、「死」について深く語り合っていきます。

春日武彦✕穂村弘「俺たちはどう死ぬのか? 」

連載一覧はこちら↓

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苦悩と自殺が結びつかない

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春日 穂村さんは、自殺って考えたことある?

穂村 まったくないなぁ。

春日 珍しいね。

穂村 え、考える方が多数派なの?

春日 多数派かどうかは分からないけど、物を作る人間に自殺を考えたことのないヤツはいない、みたいな勝手なイメージがあるんだよ(笑)。「もうちょっと苦悩しろよ! そんなんじゃロクなものを生み出せないぞ」って思うわけ。つまり死を考えるくらい苦悩しないと、なんかまだ魂を削り切れてない感じがするのよ。小手先でやってる感がある、というか。まあ、こういう問いは、物書きとしての自分自身にも向けられるわけで、その辺を自問自答し出すと、なかなかキツイものもあるんだけどね。言ってるお前はどうなんだ? とも思うからさ。

穂村 でも僕は、苦悩と自殺とが結びつかないんだよね。自分にとっての理想の図書館とか、理想の灯台とかのイメージがあって、そこにはたくさんの本が収められていて、本を読むのにぴったりなテーブルと椅子が設えられていて、外に出なくても満ち足りた時間を過ごせる——そういうものへの憧れがあるの。自分にとってのそんな場所さえあれば、死にたいと思う気持ちが生まれることはないと思ってて。

春日 でもさ、その理想の環境ってのを考えたとしても、実際には手に入るかといえば無理だったりするわけじゃん? そこでまたガックリ来るとかはないの?

穂村 そのイメージ自体に救われている、とも言えるんだけど、確かに、そうそう手に入らないよねぇ。それどころか現実には、ツライけど耐え忍ばなければいけない環境ばかり。例えば満員電車とかさ。片道1時間45分の通勤電車に17年も乗ってたのが信じられない。ぎゅうぎゅうに押されながら、みんなの耐久力がもっともっと低ければいいのに、って思った。でも、実際には今この場所で、この状況に耐え切れず叫び出してしまう人間がいるとしたら、それは自分だろうな、みたいに思った。みんながもっとメンタルが弱くて、僕よりも先に叫び、電車から逃げ出してくれたらどんなに楽だろう、って。

「逃げ癖」への疑念

春日 今の穂村さんの話は、自分よりツラい人間が他にいることで、「耐えられている俺はまだ大丈夫」と思えて気が楽になる、みたいなことだよね。それは俺も経験があるな。小学校のプールで潜りっこやってた時、当然苦しいから水から顔を出したいんだけど、1番最初に脱落するのはイヤなんだよね。でも、誰かが先に顔を出してくれてたら、気兼ねなく自分も顔を出すことができる。

穂村 でも、その最初の1人がいつも僕なんだよ(苦笑)。大学時代にワンゲル部に所属してたんだけど、登山の時、僕だけ登るのが遅くてさ。みんなは10メートル先で僕が追いつくのを待ってから歩き出す、というのが常で。そうすると、みんなはそのあいだ休憩なのに、僕だけがNO休憩でずーっと歩き続けることになるわけ。ツライけど、悪いのはみんなのペースを乱している自分だって思うから、耐えるしかない。そういう時に、たまたま体調の悪い人がいたりして、自分よりも歩くのが遅くなってくれたりすると、めちゃめちゃ救われるというか、心理的に「こんなに楽だったんだ!」と気づかされる。そんなに苦しいのに山登り自体から逃げる勇気もなかなか出ない。

春日 自分が真っ先にダメになる役割を担うことで、みんなを楽にしている——そういう形で役に立っている、みたいな感覚?

穂村 とてもそうは思えない。それよりも「ここで止めたら一生困難から逃げる人生になるんじゃないか」みたいな思い込みはあったかな。若かったからかもしれないけど。今苦しい局面で逃げると、これから難局にブチ当たる度に逃げるようになるんじゃないか、って。

春日 逃げ癖がつきそう、ってことね。

穂村 そうそう。でも、実際にはそんなことないんだけどね。難局にもいろいろなタイプの苦しさがあるから、山から逃げたからといって、すべてから逃げる人間になるわけではない。実際、人間って分からないなと思ったのが、ワンゲル部でめちゃめちゃ強くて頼り甲斐があった先輩が、就職したら鬱病になってしまったんだよね。けっこう衝撃だったな。でも当たり前のことだけど、山で自然を相手にするのと、会社でたくさんの人に揉まれながら働くのとでは、その大変さの質が全然違う。かつては、そこを一絡げに考えてしまっていたので、今より辛かったのかもしれない。

死に取り憑かれた人たち

穂村 前に先生から聞いた話だけど、ある患者さんが水溜りくらいの水で自ら溺死したって話が忘れられなくて。飛び降りとかなら一瞬だし、飛んだらもうそれまでだけど、この場合、ちょっと顔上げたら助かっちゃうわけでしょ。それでも死ねるという根性というか、それほどまで普通に生きることがその人にとって苦しいことなのかと、ちょっと自分の想像を超えていたな。

春日 その手の話はけっこうあるよ。昔、殺人犯ばかりを収めた超ヘヴィな病棟を受け持っていたことがあってさ。心神喪失ということで、刑を免れた代わりに措置入院となった人たちがメインの病棟ね。そこにいた患者で、それこそ死に取り憑かれている人がいてさ。とにかくチャンスさえあれば自殺しようとするの。理由なんかなくて、衝動的に死にたがる。で、こっちも警戒していたんだけど、トイレに入った隙にぬるぬるの石鹸を自分の喉の奥に押し込んでさ、それで窒息死。とにかくもう凄まじい形相のうえに泡だらけでさ。あれは言葉を失ったな。

穂村 す、すごい衝動だね。お医者さんは、患者が自殺するほど苦しく感じているってことは、診断して分かるものなの?

春日 難しいところだけど、一応なんとなくは分かるよ。

穂村 それは患者さんが訴えてくるってこと?

春日 訴えてくるくらいなら、つまり表現できるくらいなら、まだ元気ある方だよね。

穂村 じゃあ、その人がどれくらい強い希死念慮に囚われているかとかも分かるもの?

春日 それは正直分からない。考えようによっては、そんなに酷かったら、まず医療機関まで辿り着けないと思うから、そこも1つの判断基準かな。だって、布団からトイレまで這って2時間かかるとか、そんな人達なわけだからさ。

穂村 病院は、自殺志願者を物理的に閉じ込めちゃったりすることもあるの? つまり、拘束して死ねなくする、みたいなことはある?

春日 緊急の処置的にはするけど、あくまでそのレベルかな。ずーっと閉じ込めておいても意味ないから。自殺したくなるほど追い詰められた心を、閉じ込めている間に何とか治療するわけですよ。我に返ってもらうためにね。

穂村 そうなんだ。自殺しようとする人がいたら、まわりの人たちは止めようとするよね。友達とかが気を回して、さりげなく先の予定を入れたりすることで、死への一歩を回避しようとしたり。ほら、真面目な人だと、明後日⚫︎⚫︎くんと出かける約束しちゃったから、そこまでは生きていないと、とか考えたりするみたいでさ。でも、かつて僕の担当もしてくれていた編集者の二階堂奥歯さん(1977〜2003年)は、恋人とドライブに行く約束をしてて、「明日はドライブだね、楽しみ」という電話をしながらも、飛び降り自殺してしまった。

春日 彼女が生前ネットで公開していた日記と、関係者らの文章をまとめた本『八本脚の蝶』(河出書房新社)にそのへんの話が載っていたね。

穂村 恋人のショックがどれほどのものだったか……。自分が恋人や家族だったらどうしただろう? みたいなことは、答えは出ないけど、やはり考えてしまう。一方で、彼女と同じように強く死に取り憑かれていて、いつも飛び降りる場所を探して歩いていたような人が、数年経ったらまったく別人のように、そのモードから抜け出していたこともあったから、何があるか分からないよね。

新型コロナ「楽観論」に殺される国民。官邸の誤魔化しと思いつき

新型コロナウイルスの感染者数が爆発的に増加し国民の間で不安が高まっていますが、「局面はこれまでと変わらず」という姿勢を崩さず、「GoToトラベルキャンペーン」についても従来のまま進める意向の安倍政権。なぜ官邸は効果的な新型コロナ対策を打てないでいるのでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では著者で元全国紙社会部記者の新 恭さんが、考えうる2つの理由を記すとともに、政策決定のプロセスが見えない政権を批判しています。

新型コロナ楽観論をどう評価すべきか

三井住友フィナンシャルグループのシンクタンク「日本総研」が7月13日に出したレポートで、「政府が三つのメッセージを発信することが必要」として、以下の三点をあげている。

  1. 若年・壮年者にとって新型コロナは脅威でない
  2. 感染者が増えるのは心配ない
  3. 日常生活を取り戻そう

東京から全国に急速に広がる新型コロナ感染。連日、テレビ番組でそれについて、侃侃諤諤の談議が交わされているのを断ち切らんとするかのごときメッセージである。

若年・壮年層はいくら感染拡大しても、無症状・軽症が多いのだから、感染者数の増加に惑わされることなく、安心して以前の日常生活に戻るよう政府は呼びかけるべき、というのだ。

たしかに、第2波感染の中心がこれまで若年・壮年層だったため、今のところ死者数に関しては抑えられている。全国の感染者数が7月1日の127人から、7月28日の981人にも跳ね上がったわりには、死者数は7月1日が2人で、その後も0~3人の間で推移している。5月2日には31人だったことを考えると、そこは冷静に見ておく必要があろう。

しかし、「三つのメッセージ」提案からもうかがえるように、高齢者にとっては依然として、新型コロナが脅威であることに変わりはない。

そして、日常生活を取り戻すにしたがって、若年・壮年者と高齢者の接触機会も増え、今後は重症者の急増が予測される。

そうした視点の欠けた日本総研のメッセージ提案には説得力がなく、政府もそのまま採用するわけにはいかないだろう。

それでも、日本総研レポートのような考えは経済界のみならず、政官界にもかなり蔓延していて、感染防止と逆行する「Go Toトラベル」を後押ししているように見える。二階幹事長や菅官房長官が、関係の深い観光業界に気配りしたのは確かだろうが、それだけではあるまい。

7月10日、安倍首相はこう断言した。「重症者は大きく減っており、感染者の多くは20代、30代で、医療提供体制はひっ迫した状況ではない」。

政府の基本姿勢が凝縮された発言だが、医療現場の認識とはかなり開きがあるようだ。7月22日に開かれた東京都のモニタリング会議で、杏林大病院の山口芳裕・高度救命救急センター長はこう述べた。

「国のリーダーが使われている『東京の医療はひっ迫していない』は誤りです。病床拡大にはレイアウトを変えたり、医療者のシフトを変えたり、感染対策を徹底したり、入院患者を移動させたり、大変な作業です。2週間先をみて現状の評価をするのが責任ある態度だと思う。150%の増加率で患者が増加し、重症者が倍増している状況です。現場の労苦に想像力も持たない方に、大丈夫だから皆さん遊びましょう、旅しましょうという根拠に使われないことを切に願います」

すでに東京の医療はひっ迫している。現状のレベル1(1,000床)のベッド数では間に合わなくなったため、中等症でレベル2(2,700床)、重症はレベル1(100床)を確保できるよう急いでいる状況だ。国のリーダーは想像を働かせよという言葉から、じれったい思いがひしと伝わってくる。

中高年層にジワジワ感染が広がっているのは不気味だ。6月19日の専門家会議資料によると、年代別重症化率は

  • 未成年:0.3%
  • 20~59歳:4.4%
  • 60歳以上14.9%

だ。東京都の重症者数は7月12日に5人だったが、28日には21人に増えた。このまま高齢層に広がっていくと、たちまち100床では足りなくなるだろう。

こんなさなかにも、安倍政権が「Go Toトラベル」などの経済政策を優先させるのは、経済の数字を少しでも引き上げたいからだ。

第2次安倍政権が発足した12年12月から景気拡大局面が続いていると喧伝していたアベノミクス物語が実はデタラメで、18年10月を境に下降してきたという事実を近々、認めざるを得なくなっている。

野党が共闘体制づくりにもたついている間に、隙あらば、解散、総選挙に打って出たい。そのためには、急激に落ち込んだ経済を、たとえ一瞬でも上向いたように見せるのが肝心だ。「みなさん、新型コロナの流行で日本経済は大きな打撃を受けましたが、安倍政権でなければ再生できません。その証拠に、すでに景気回復の兆しが数字に表れております」などと、ごまかすのだ。

総選挙で勝利が転がり込めば、安倍首相をめぐる数々の疑惑をそっちのけにして、「国民は信任してくれた」と吹聴するだろう。そしてレームダック化を防ぎ、ポスト安倍にまで影響力を及ぼす皮算用だ。

有名なのに誰も知らない。ミステリーの女王・山村美紗の凄絶人生

「本が飛ぶように売れた」。かつて日本には、そんな時代がありました。そして書籍がもっとも売れたと記録される1996年に亡くなったベストセラー作家がいます。それが「ミステリーの女王」こと山村美紗(やまむらみさ)。東京の一流ホテルで執筆中に死亡。戦死・殉職とも呼べる凄絶な最期を遂げたのです。

山村美紗の名を誰しも一度は耳や目にした経験があるでしょう。200冊以上の著書は、ほとんどがベストセラー化「山村美紗サスペンス」と冠がついたドラマは死後24年が過ぎた今なお揺るぎない人気を誇ります。凶悪事件が起きる舞台の大半は京都「京都には山村美紗が人を殺さなかった場所はない」とまで言われています。

▲夫の山村巍氏が描いた山村美紗の肖像油画。タイトルは「殺人事件」

しかし、膨大な量の小説を書き遺した山村美紗ですが、正体を知る者は少ない。ゆえに「他の作家が京都を舞台にミステリーを書くことを許さなかった」「担当編集者に猿の物まねをさせた」など傲慢な振る舞いがまことしやかに語り継がれています。また、男性関係も「文壇タブー」として触れられはしませんでした。

誰もが知っているのに、誰もが知らない。そんなアンタッチャブルな作家の禁忌にあえて踏み込んだのが、新刊『京都に女王と呼ばれた作家がいた 山村美紗とふたりの男』(西日本出版)を上梓した作家の花房観音さん(49)。出版界の頂点に君臨し、虚と実のはざまに生きた女王の素顔とは? 花房さんにお話をうかがいました。

▲作家の花房観音さん

▲花房さんが上梓した『京都に女王と呼ばれた作家がいた 山村美紗とふたりの男』(西日本出版)

「お客様、あちらは山村美紗が人を殺した場所でございます」

「名探偵キャサリン」「葬儀屋探偵 明子」など人気シリーズは数知れず。「ミステリーの女王」「日本のアガサ・クリスティー」と呼ばれた山村美紗。SM小説の大家「団鬼六」最後の弟子と謳われ、女と男の情念を書き続ける花房観音さんとはジャンルが違いすぎます。それでも花房さんは「美紗さんとは不思議な縁を感じていた」と言います。

花房観音(以下、花房)「デビューのきっかけとなった『団鬼六賞』大賞を受賞した際、編集者から『京都に住んで京都について書く女流作家だなんて、山村美紗以来だね』と言われたんです。さらにその後『京都ぎらい』というベストセラーをお出しになった井上章一さんが私を“官能界の山村美紗”と評し、その呼称がよく使われるようになりました。自分では意識をしていないのに美紗さんのお名前がずっとついてまわる。不思議なご縁を感じ、『彼女について調べてみたい』と考えるようになりました」

花房さんのもうひとつの仕事はバスガイド。ガイドを通じても「山村美紗の恩恵にあずかった」と感じていたのだそう。

花房「車窓の風景を手で指し示しながら『お客様、あちらは山村美紗が人を殺した場所でございます』とガイドするとドッとウケる。それくらい美紗さんが描いた京都のイメージが一般に定着しているんです。京都を舞台にした小説は以前からたくさんありました。川端康成、夏目漱石、谷崎潤一郎など文豪たちが京都を描いてきました。けれども『神秘的でミステリアスな観光地』という印象を根付かせたのは美紗さんです」

▲生前200冊以上のミステリー小説を書き、その多くの舞台が京都だった