米中の接近を敏感に察知。三カ国外相会議を実現させた日韓の動き

11月26日に韓国の釜山で開催された、実に4年ぶりとなる日中韓外相会談。日韓と中国との距離感を伝えるメディアも少なくありませんでしたが、識者はこの会談をどう見たのでしょうか。今回のメルマガ『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』では、著者で多くの中国関連書籍を執筆している拓殖大学教授の富坂聰さんが、この外相会談の意義と意味を解説。さらに東アジア安定のために焦点となる「次なるステップ」を考察しています。

日中韓の首脳会談へとつながるのか。意味ある三カ国外相会談の開催

サンフランシスコ郊外ファイロリで行われたアメリカのジョー・バイデン大統領と中国の習近平国家主席の首脳会談は、米中対立に変化をもたらしたのだろうか。

それを確かめる最初のチャンスが早速めぐってきた。11月26日、日中韓の外相会談が韓国・釜山(プサン)で開催されたからだ。前日、25日には三カ国会談に先駆けて上川陽子外相と王毅外相の会談も実現した。

日本の新聞各紙は、上川が「両首脳から示された方向性に沿って、日中関係を発展させるべく、緊密に連携したい」と述べたのに対して、王が「(両首脳の)共通認識は、重要な政治的指針だ。中日関係が健全かつ正しい軌道に沿って発展するよう推し進める」と答えたことを報じた。

二人の外相の会話は予定調和で、日中間の距離を感じさせた。しかし日中韓の外相会談そのものが、2019年8月以来約4年間も開催されてこなかったことを考慮すれば、大きな進展とみて間違いはない。

長期にわたり会談が行われなかったのは、「新型コロナウイルス感染症のため」と説明されるが、それだけではない。

コロナ禍によって米中関係が急速に悪化したのに加え、2020年の米大統領選挙を戦うドナルド・トランプ大統領(=当時)が対中強硬姿勢をアピール。二大国の関係は史上最悪と表現されるまでに落ち込み、日本の対中外交にも逆風となった。アメリカという要素を抜きに、説明はできないことは多言を要しない。

また22年にロシアがウクライナに侵攻すると、欧米vs中ロという対立の構図がここに加わる。アメリカは「自由主義か専制主義か」、旗幟を鮮明にせよ、と同盟国・友好国に迫り、対中デカップリングを進めた。

これが東アジアの従来の関係に大きく影を落としたことは言うまでもない。

翻って考えれば、日中間の関係が今後改善するか否かも、アメリカが中国をどう扱おうとしているかにかかっているとみて間違いないだろう。

もちろん日中間には二カ国の難題もさまざま横たわり、関係改善の障害となっている。記憶に新しいところでは福島第一原子力発電所から放出される処理水に反発した中国が日本産水産物を輸入停止にした問題。尖閣諸島沖周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)に中国が設置した大型ブイの問題がある。

いずれも外相会談で取り上られ、両者の応酬も伝えられた。しかし、これが現状での進展を期待した行いなのかと言えばそうではない。むしろ国内向けの「アリバイ」だ。

こうしたある種のプロレスが成立する現実は、見方によっては「進展」であり、アメリカの介入が緩んだ証左なのかもしれない。

この記事の著者・富坂聰さんのメルマガ

64.5%の日本人が経験。なぜ今「カスハラ」が急増しているのか

自分が客であることのみを盾に、サービスの提供者に対して常識を超えた苦情を投げつける人々。そんな人間による「カスハラ」が我が国でも問題視されていますが、なぜかような事態が頻発するようになったのでしょうか。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では健康社会学者の河合さんが、その原因を考察。問題の本質を探るとともに、早期の対策への取り組みを強く求めています。

プロフィール河合薫かわいかおる
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

なぜキレる?いま「カスハラ」が増えている原因

20年近く、のべ900人以上の多種多様なビジネスパーソンをインタビューする中で、「これほどしんどい仕事はない」と痛感したのは、カスタマーセンターなどに勤務する電話オペレーターです。

なにせ電話してくるのは「なんらかの問題」を抱えた人なので、最初から怒っている人が多数を占めます。対面であれば「ありがとう」と言われることがあっても、「声」だけのコミュニケーションだと、その“瞬間“は滅多にありません。

そのオペレーターという職業に就く会社員が、突然亡くなったのは「カスハラが原因」だとして、遺族が労災認定を求めて提訴しました。

報道によると、男性社員(当時26歳)は、2015年9月から2年間、通信販売の問い合わせやクレームの電話受付を担当していたそうです。その際、顧客から「回りくどい説明しやがって、ボケ」「お前なんか向いてないわ、その仕事」「死ね」といった暴言を受けることがあり、17年10月にうつ病と診断されて休職。月100時間ほどの残業もあったとされ、その翌年、亡くなりました。

これを受け遺族が労災申請したところ、労働基準監督署は「心理的負荷は強くなかった」として認めず、訴えを取り下げるよう求めています。

これまでも、商品にクレームをつけて客が店員に土下座を強要したり、ICカードが切符投入口に入らず、逆ギレした客が駅員さんに暴力を振るったりと、カスハラは問題になったことはありましたし、コロナ禍ではトイレットペーパーやマスクを買えなかった客が、ドラッグストアの店員に暴言を吐く“カスハラ”も度々報じられました。

また、最新の調査では「過去1年間にカスハラを受けた人」が、64.5%に上るとの調査結果が出たとか(「エス・ピー・ネットワーク」が27日に発表)。

回答者の半数以上は「執拗な言動」「威圧的な言動」をそれぞれ経験。自由記述には「土下座を強要」「2時間近く居座り」「3時間以上の拘束」などもあったそうです。

この記事の著者・河合薫さんのメルマガ

年末恒例「芸能人の駆け込み婚」に、吉高由里子はあり得ないと芸能記者が断言したワケ

今年も芸能人の恋愛、離別、そして電撃婚などが数多く報じられましたが、毎年の「年末恒例」となっているのが「駆け込み婚」です。芸能記者歴30年のベテランジャーナリスト・芋澤貞雄さんは、すでに報じられている「佐藤健と綾瀬はるか」「吉高由里子」などの候補について、過去の取材などから独自の分析で考察。さらに、予想される“デキ婚”、“ダーティー・イメージ払拭婚”が本当の愛による結婚なのか疑問を投げかけています。

今年の“駆け込み婚”、“ダーティー・イメージ払拭婚”は…

いよいよ今年も“駆け込み婚”の時期がやって来ました。

年末の忙しい最中、鬼の居ぬ間に…というやつです。

早速『ピンズバNEWS』が、少し前に佐藤健と綾瀬はるかの“駆け込み婚”を堂々と報じてきました。

しかしこの2人、“駆け込み婚”には3年連続でエントリーされているのです。

3年前、JR品川駅新幹線乗り場で撮られた親密ショットと、肯定派の芸能記者たちの「綾瀬が佐藤を“タケちゃ~ん!”って呼んでいた」が動かぬ証拠と言われていました。

これに取材に動いた私は、次の年明け(2年前)早々に控えていた『義母と娘のブルースFINAL』の港区赤坂のテレビ局界隈と、目黒区下目黒の芸能プロダクション周辺が中心となったリークだったのを知りました。

共演して真剣に交際が始まったのか、プロモーションのためのイメージ戦略なのかまではわかりませんが、もし後者だったとしたら…と、何となく不快感を感じたものでした。

佐藤と綾瀬に続いたのは『日刊大衆』の吉高由里子に関する記事でした。

今年6月に熱愛が報じられた吉高の、来年の大河ドラマ『光る君へ』オンエア直前の“駆け込み婚”を報じているのですが、これは少々ハードルが高過ぎるような気がします。

来年2月には3年半ぶりとなる『風よ あらしよ』の公開も控えている吉高は、仕事以外の話題が優先してしまうような事態はマネージメントする側にとっては可能な限り避けたいわけですから。

“駆け込み婚”には必ずそうしなければいけない理由があります。

米国の権威ある医師会雑誌が、乳ガン・大腸ガン・心血管疾患に関して「脂肪悪玉説」を否定していた

脂肪は「悪玉」だ、そう考えて疑わない人は多いのではないでしょうか。今回のメルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』では、糖質制限食の提唱者として知られる糖尿病専門医の江部康二医師が、米国の権威ある医師会雑誌に発表された論文をエビデンスに、脂肪悪玉説が否定されていたことを紹介。さらに別の論文から、脂肪が体に悪いどころか多く食べるほど体に良いとする研究結果についても明かしています。

脂肪悪玉説は否定されている

脂肪悪玉説が、戦後、先進国を席巻して、「大腸ガン、乳ガン、心筋梗塞などの元凶は脂肪摂取過剰である」という(根拠のない)定説がまことしやかに信じられてきました。

しかし、これに対して、大変興味深い研究結果が発表されています。

RCT論文と前向きコホート研究があります。

まずは、RCT論文です。

<RCT論文>

米国医師会雑誌、2006年2月8日号に掲載された3本の論文*において、

「<低脂肪+野菜豊富な食生活>は乳癌、大腸癌、心血管疾患リスクを下げないし、総コレステロール値も不変であった」

という報告がなされたのです。

*Journal of American Medical Association(JAMA)誌

2006年2月8日号の疾患ごとにまとめられた3本の論文で報告。

Low-Fat Dietary Pattern and Risk of Invasive Breast Cancer

Low-Fat Dietary Pattern and Risk of Colorectal Cancer

Low-Fat Dietary Pattern and Risk of Cardiovascular Disease: The Women’s Health Initiative Randomized Controlled Dietary Modification Trial JAMA ,295(6):629-642. 643-654. 655-666.

米国医師会雑誌は、インパクトファクターが高く、ニューイングランドジャーナルに次ぐ権威有る医学雑誌です。

RCT研究論文ですので、エビデンスレベルも信頼度が高いです。

5万人弱の閉経女性を対象に、対照群を置き、平均8年間にわたって追跡した結果です。

高額の費用をつぎ込んだ大規模臨床試験で、二度とできない高いレベルの研究です。

2万5千人ずつにグループ分けをして、一方は、脂肪熱量比率20%で強力に低脂肪食を指導しました。

残るグループは脂肪制限なしなので、米国女性平均なら30数%の脂肪摂取比率です。

平均的米国女性に対して、約半分近くまで、脂肪摂取比率を厳格に減らして臨床試験を実施したわけです。

研究をデザインした医師は、

「高脂肪食が大腸ガン、乳ガン、心血管疾患のリスクを増大させる=脂肪悪玉説」

という従来の定説を掲げて、それを証明するためにこのRCTを実施したと思います。

すなわち、

「低脂肪食実践により、大腸ガン、乳ガン、心血管疾患のリスクが減少する」

と信じてこのRCTを開始したと考えられます。

ところが、豈図らんや、低脂肪食は、乳癌、大腸癌、心血管疾患リスクを全く下げなかったのです。

これは、即ち、脂肪悪玉説が根底から否定されたということです。

結論です。

「5万人を8年間追跡したJAMA掲載のRCT研究論文で、少なくとも乳ガン・大腸ガン・心血管疾患に関しては、脂肪悪玉説は否定された」

ということになります。

脂肪悪玉説を根底から覆す良質の信頼度の高いエビデンスですね。

この記事の著者・江部康二さんのメルマガ

24時間テレビ寄付金ネコババは“氷山の一角”か?日テレや系列局の犯行を疑う声も…番組関係者「ギャラが高すぎて罪悪感」の深い闇

「地球を救う」ための募金は、スロット代や飲食費に消えていたようだ。日本テレビ系列に属する日本海テレビの幹部だった田村昌宏元経営戦略局長(53)が、「24時間テレビ」の寄付金などを10年間に渡り着服していたことが判明し大きな物議を呼んでいる。その総額は1,118万2,575円にも上るというが、中でも問題視されるのが、着服金に24時間テレビの寄付金264万円あまりが含まれていた点だろう。ここで浮上してくるのが、「寄付金の着服はこの案件だけなのか」という疑問だ。事実、ネット上では「氷山の一角では」「日テレや他の系列局でもやってるやついるだろ」といった疑惑の目が日本テレビ本社を含む系列局全体に向けられる事態となっている。そんな中、同番組の関係者からは「驚きの証言」が飛び出した。

社内の立場を利用し寄付金を金庫から抜き取り

寄付金着服の事実が公になったのは28日。日本海テレビが会見を開き、同社の田村昌宏元経営戦略局長が14年から今年までの10年間、24時間テレビの寄付金264万円あまりを含む1,118万2,575円を着服していたと発表した。謝罪とともに、田口晃也会長は引責辞任を、西嶌一泰社長は報酬3カ月分の全額返上をそれぞれ表明している。

会見によると、24時間テレビで集められた寄付金は、金融機関に運び込むまでの間、日本海テレビ内の金庫に保管されていたという。2014年に経理部次長に昇進し、その後も経理経営部門に籍を置いていた田村元局長は、件の金庫を開けることができる立場にあった。元局長は14年~20年、23年に、金庫から盗み出し自身の口座に入金するという手口で計8回、寄付金を着服したとされる。21年、22年はコロナ禍の影響で寄せられた金額が少なかったため、手を出さなかったと伝えられている。

「自分の口座の残高が増えるのを見るのが好きだった」

そんな「犯行」は、田村元局長の申告により発覚した。今月行われる税務調査で着服が露呈することを恐れた元局長が、9日に自ら会社に申し出。その後の社内調査で全容が明らかになる。調査過程で元局長は「2014年当時、親族のためにまとまった金を用立てる必要があった。着服しても発覚しにくいお金があり思いついた」と話しているという。

「自分の口座の残高が増えるのを見るのが好きだった」という彼が着服金をどう使っていたのかは現時点で判明していないが、「後輩たちを連れてよく飲みに歩いていた。スロットも好きだった」と話しているといい、遊興費に当てられた可能性が高いと見るのが妥当だろう。

日本海テレビは27日付で田村元局長を懲戒解雇処分とし、警察に被害を相談。刑事告発も検討しているという。

寄付金着服は恒常的に行われているのか

ここで浮上してきたのが、「24時間テレビ寄付金の着服」は今回の日本海テレビだけではなく、日本テレビ本局や系列局で恒常的に行われているのではないか、という疑惑だ。ネット上にはこんな書き込みが溢れる始末となっている。





多くの人が疑いの目を向けているのは明らかだ。

ギャラの高さに罪悪感を覚えた番組制作関係者も

以前より、その偽善性が指摘されてきた24時間テレビ。愛や福祉、ボランティアの尊さを強調し続けてきたが、番組サポーターを務めたお笑いタレント・宮川大輔の多目的トイレ不倫疑惑や、もっぱら「高額」と噂される出演タレントのギャラ、さらには旧ジャニーズ事務所との癒着を思わせるジャニタレだらけの番組構成等々、カネと偽善のニオイがプンプンと漂ってくるのもまた事実だ。

同番組内で、旧ジャニーズ事務所に所属するタレントの出演シーンの制作に関わったことがある業界関係者はこう語る。

「私を含めた制作陣に対するギャラが高額なのには驚きました。当時、他局を含めワイドショーをメインに仕事をしていたのですが、24時間テレビのギャラは時給換算にして他の番組の倍くらいはありましたね。チャリティーを謳う番組でこんなにお金をもらってしまっていいのか、という罪悪感まで覚えたほどです」

日本テレビ本局や系列局での「寄付金ネコババ疑惑」について尋ねると

「自分は24時間テレビのチャリティー現場の制作に携わった経験はありませんが、寄付金に関しては、日テレ本社はかなり厳しく管理していると聞いたことはあります。しかしながら管理の甘い地方局では、今回の日本海テレビのような事例は十分起こりうると思います」

と答えた上で、こう付け加えた。

「そもそも論なんですが、テレビ局員や制作プロダクションの社員が高いモラルを持ち合わせているかというと、疑問符が浮かんでしまいます。パワハラなんて日常茶飯事な業界ですから、金銭面のモラルが著しく低い人間がいても、何ら不思議はないですね」

しばしば「1匹見たら30匹はいると思え」と言われる害虫Gだが、今回の日本海テレビ「寄付金着服事件」が、稀にしか起こり得ない例外的なケースだと言われて信じる日本人がどれだけいるだろうか。ネット上では「氷山の一角という言葉もありますし」「もっと深堀りして調べろよ日テレ」といった声が多く上がっているのがその証左だ。それでも来年の夏には、黄色いTシャツに身を包んだ人間たちが、募金箱を手に頭を下げる姿がテレビに映し出されるのだろうか。先日鬼籍に入った『サライ』作曲者の一人である谷村新司氏も、宇宙のはるか彼方プレアデス星団から、この騒動を哀しい目で見つめているに違いない。

総務省の関係者「NTT法廃止なんて絶対ありえん」それでも“廃止が既定路線”のワケ

自民党内で「NTT法廃止」が議論されている中、楽天の三木谷浩史会長がSNSで示した疑義に対してNTT広報室の公式アカウントが反論したことが大きな話題になりました。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』で、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんは、そもそもNTT法の廃止は「防衛財源を確保するためにNTT株を売却」することが目的ではじまった議論であることを紹介しつつ、大前提である「NTT株の売却」「防衛財源の確保」がうやむやになり、自民・政府の中で「廃止」することが既定路線になっている点を指摘。他の大手キャリア3社も「廃止」に懸念を示す中、総務省がNTTや有識者らとどのような形で話をまとめるかに注目しています。

「NTT法廃止」は既定路線か? うやむやになった「防衛財源を確保のため株売却」という“建前”

今週、NTT法のあり方を巡って、自民党のプロジェクトチームがまとめた原案から表現などに一部修正が入った上で、提言をまとめていくという報道があった。

22日の会合では、公平競争の整備やNTTが担うユニバーサルサービスの維持については「別の法律で担保する」とし、廃止時期も「再来年の通常国会を目処に」という表現に修正される方向だという。

結局、NTT法は「廃止」であり、単に時期がちょっとだけ遅れただけに過ぎないようだ。

本来は「防衛財源の確保」が、NTT法のあり方に対する議論のきっかけだったにも関わらず、NTT株の売却についてはうやむやで終わってしまうと見られている。

「NTT法について解説して欲しい」ということで、11月25日、大阪・朝日放送で東野幸治さんがMCをしている「正義のミカタ」に出演してきた。

番組には政界に通じている先生方も多くおり、番組中やCM中にいろいろと聞いてみたが「NTT株を売るなんて馬鹿げている」という結論でまとまってしまった。

NTT株を一時的に売ってしまうよりも、所有し続けて、継続的に配当を受け続けるほうがいい。防衛財源の確保は、国債を発行するなど、ほかにもやり方はいいろあるということであった。

おそらく、自民党のプロジェクトチームとしても「売却より保有」のほうが長期的にメリットがあると判断したのではないか。しかし、何かしらの成果を出さなくてはならないので、「NTT法は廃止」という結論に至ったのだろう。

総務省関係者に話を聞くと、当然のことながら「NTT法をなくすなんて絶対にありえん」というスタンスだ。

プロジェクトチームが「再来年の通常国会を目処に」としたことから、来年は総務省で有識者会議が何度も開かれ、NTT法は見直しか廃止かの議論が展開されるのだろう。

ここで、総務省が上手いこと「廃止ではなく見直し」というシナリオを描き、NTT法の維持につなげることができるのか。それともNTT側の強い主張で「廃止」になっていくのか。

「NTT法を廃止して別の法律で縛れば良い」とNTT側は主張するが、それでは「設備を関連会社に移してシェアを下げ、縛りから逃れるのではないか」とソフトバンクの宮川潤一社長は警戒しており、このあたりを納得させられるかがNTTには重要だろう。

2024年は日本の通信業界にとって、大きな節目を迎える年になるかも知れない。

【関連】NTT広報室 vs 楽天・三木谷会長のケンカ勃発、自民の密室「NTT法議論」めぐり泥沼バトルの何故

この記事の著者・石川温さんのメルマガ

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お昼は大混雑も、夜になると閑古鳥。名物「牛汁」で有名な老舗洋食店の謎

昼は大繁盛の洋食屋さん。しかし、夜になるとなぜか閑散としてしまう…これは何が原因なのでしょうか?今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の著者、佐藤きよあきさんが、とある老舗洋食店の魅力と悩みについて答えています。

昼は大繁盛なのに夜は…「牛汁」がイチ推しの洋食屋は、どうすれば集客できるのか?

1951年創業のとある老舗洋食屋さん。

このお店の一番人気は、「牛汁」という、あまり聞いたことのない料理です。

仕込みに何時間も掛けた牛すじを秘伝のスープで煮込んだもの。

来店客のほとんどが、この牛汁とご飯だけを注文します。

牛汁という名前から、つけ合わせをイメージするかもしれませんが、立派なメインメニューなのです。

ゴロゴロと大きな牛すじがたっぷり入っていて、表面は脂でギラギラし、上にはねぎがのっています。

見ためはコッテリしていそうですが、意外とサッパリしており、赤身の多い牛すじは、口の中でとろけるやわらかさがあり、独特の甘みが感じられます。

旨みとコクの塊と言っても良いでしょう。

食べた人は、口に含んだ瞬間に、「おぉ~!」「わぁ~!」という言葉を発してしまいます。

何か別の料理に例えることのできない味わいです。

この牛汁をたらふく味わうために、他にはご飯しか注文しないのです。

牛汁をご飯に掛けたり、レンゲにのせたご飯を牛汁に浸して食べる人が多くいます。

お客さまのほとんどが、この組み合わせを注文します。

それほど、飛び抜けて美味しいメニューなのです。

地元の人はもとより、遠くからでも足を運ぶ人は多くいます。

本来は洋食屋さんなので、ビーフステーキやチキンステーキ、ハンバーグ、豚のしょうが焼きなどもあります。

しかし、“牛汁のお店”として知れ渡っています。

牛汁目当てに、たくさんの人が押し寄せています。

他のメニューがあまり売れなくても、代表的なメニューが売れていることは、商売としては大成功です。何の問題もありません。

ところが、このお店には悩みがあります。

うつ病、経営難、息子の死…淡路島「豊穣ランド」成功までの険しい道のり

淡路島の「豊穣ランド」という農園をご存じでしょうか。今回のメルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、ユニークな農法で話題となっているその農園を作り上げた村上貴仁さんにインタビュー。成功まで「逆境の連続」だったという村上さんの人生についてお聞きしています。

「ありがとう」が家族を救う。淡路島でユニークな農法を営む「豊穣ランド」運営者・村上貴仁さんを襲った逆境の連続

緑豊かな淡路島で、ユニークな農法を営む「豊穣ランド」。農薬や肥料を使わない理想の農業を追求し、人々の笑顔が絶えない農園をつくり上げてきた運営者の村上貴仁さんですが、かつては自分の進むべき道に悩み、また、最愛の4歳の息子を幼児性突然死で亡くされるなど、逆境の連続でした。

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(村上)
支えになったのが、知人から送っていただいた心学研究家の小林正観さんの本でした。

(──どんなことが書かれていたのですか。)

(村上)
その本は、「ありがとう」という言葉の持つ不思議な力について書かれていました。「ありがとう」を2万5000回言うと願いが叶う。5万回で奇跡が起こる。そして年齢の1万倍の回数を繰り返すと家族を救えるというのです。

びっくりしましてね。そんなことで家族を幸せにできるならすぐやろうと思ったんです。当時の私は36歳でしたから、36万回を目標にカウンターで数えながら夢中で言い続けました。そうしたらいろんな変化が起き始めたんですよ。

(──例えば、どんなことが起きたのですか。)

(村上)
ある時ハッと気づいたのは、農作業に使うトラクターにトラブルがなくなったんです。自分の体も元気になってきて、家族皆が風邪を引いているのに、自分だけ引いていないこともありました。だんだん身の回りのあらゆるものに対して感謝の気持ちが湧き上がってきたんです。

そうしてひたすら「ありがとう」を繰り返して、とうとう36万回に達しましてね。これで家族を救えたと思って、大喜びで家に帰ったんですよ。

(──奇跡は起きたのですか。)

(村上)
それが、待っていたのは何も変わらない日常だったんです。家族は皆いつも通りで。あれ? って思っていたら、不意に後ろから息子の声が聞こえてきたような気がしたんです。

「お父ちゃんは、奇跡を起こしたんだよ」

って。そのひと言で気づいたんです。朝「お早う」って起きて、ご飯を食べて、「行って来ます」って出掛けて、「ただいま」って帰ってくる。こうして毎日普通に生きていられることは決して当たり前じゃない。奇跡なんだということを、私は息子に教えられたんです。

プロ野球や宝塚だけじゃない。日本が放置してきた「先輩・後輩カルチャー」の弊害

日本を代表するエンタテインメント集団である宝塚歌劇団と、東北唯一のプロ野球球団として地元6県民から愛されている楽天イーグルス。そんな彼らを蝕んでいた「ハラスメント」問題が今、メディアを賑わす状況となっています。これらの問題で批判の対象となっているのは、日本の社会に広く見られる「先輩後輩カルチャー」だとするのは、米国在住作家の冷泉彰彦さん。冷泉さんは自身のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』で今回、「先輩後輩カルチャー」の悪弊を解説するとともに、消去法ではない、正しい「改革法」を具体的に提示しています。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2023年11月28日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

消去法では不十分。宝塚や楽天「先輩後輩カルチャー」を正す方法

長い歴史を保ってきた宝塚歌劇団が厳しい批判に晒されています。現時点では社会的批判の強さということでは、ジャニーズ事務所の問題を上回りつつあるようですが、単に厳しい批判を浴びているだけでなく、問題の質に違いがあるようです。というのは、今回の宝塚の問題は日本の社会に広く見られる様々な問題を含んでいるからです。

それは、「先輩後輩カルチャー」そのものが批判の対象となっているからです。また「先輩後輩カルチャー」ということでは、東北楽天の安楽投手についても、「行き過ぎたパワハラ」が暴露され、自由契約になるかもしれないとされています。こうした動きは、かなり注目すべき動向だと思います。

ただ、今回の議論が「行き過ぎた上下関係は良くない」とか、「ハラスメントやいじめは良くない」といった、「程度問題」や「消去法」で終わらせるのであれば、それは不十分です。勿論、いじめやハラスメントは根絶しなくてはなりません。ですが、問題の本質は別のところにあるのです。

その本質に迫っていかないのであれば、日本社会全体を時代の要請と、新しい世代の可能性を活かすような改革に持っておくことは難しくなると思います。今回の事件は、日本の「先輩後輩カルチャー」の持っている本質的な問題にメスを入れる、そのような機会にしなくてはなりません。

この「先輩後輩カルチャー」の最大の問題は、リーダーシップにおける自動的な権力付与という問題です。つまり、年齢や経験年数という「あまりに単純な客観基準」によって、上下関係を決定し、上位の人間に自動的に権力を付与するという社会慣行にあります。

要するに、リーダーシップに関する知識がなく訓練もされていない人物に自動的に権力を付与しているだけということです。現代のリーダーシップというのは、下位の人間の自発的なモチベーションを引き出して、チームのパフォーマンスを最大化することにあります。これと表裏一体となるのが効率の最大化です。

効率の最大化というと、コストをケチってブラック労働を強いるというイメージがありますが、違います。チームのメンバーの時間、体力、心理的消耗を最小化しつつ、アウトプットを最大化する、これを計画の高度化とプロセスの合理化を組み合わせて実現するのが現代のリーダーシップです。

つまり、個々人の自主的なモチベーションを引き出しつつ、タスクの全体は高度な合理性によって個々人の負荷の最小化とアウトプットの最大化が図られることが必要です。この両輪、つまり正しい意味での組織の効率と、メンバーの自発性が相乗効果を発揮するときに、チームのパフォーマンスとメンバーの満足度は同時に最大化されます。

この記事の著者・冷泉彰彦さんのメルマガ

世界的エンジニアが解説、OpenAI「CEO電撃解任から復帰」の全内幕

11月17日、突如CEOのサム・アルトマン氏の退任を発表したOpenAI。世界をリードする企業のCEOの「事実上の解任劇」とあって国際社会は大きく揺れましたが、4日後の21日に同社からアナウンスされたのは、アルトマン氏のCEO復帰の報でした。OpenAIや周辺に、一体何が起きていたのでしょうか。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では、Windows95を設計した日本人として知られる中島聡さんが、その全真相を徹底解説。さらにこの解任劇で誰より評価されるべき人物の名を挙げ、その理由を記しています。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

「OpenAI」CEO電撃解任&復帰ドラマの背景と全真相

日本でも報道されていると思いますが、OpenAIの取締役会が突如CEOのSam Altmanを解雇して以来、大変な事件に発展しています。時系列的には、

  • OpenAIがSam Altman(CEO)の解雇を発表
  • Greg Brockman(President)がそれを受けて辞任を発表
  • 大株主のMicrosoftが交渉に参加
  • OpenAIが新たなCEOとしてTwitch創業者のEmmett Shearを任命
  • Sam AltmanのOpenAIへの復帰はないとIlya Sutskeverが発言
  • Satya Nadellaが、Sam AltmanとGreg BrockmanをMicrosoftに向かい入れることを発表
  • OpenAIがライバルのAnthropicとの合併を模索中と報道
  • OpenAI社員らによる「Samを復帰させない限り辞職する」という署名活動がスタート(最終的に770人中710名がサイン)
  • Ilya SutskeverがSamの解雇に賛成したことを謝罪し、署名活動に参加
  • Sam Altmanが再びOpenAIとの交渉を再開
  • OpenAIがSam AltrmanとGreg Brockmanの復帰を発表

ということがわずか4日間の間に起こりました。

個々の報道だけを見ていても流れが理解しにくいと思うので、まずは背景から解説します。

OpenAIは2015年にSam Altman、Elon Muskらによって設立された、「人類全体のためになる人工知能を作る」という目的で設立された、非営利団体です。当時、人工知能の研究開発に関しては、Googleが世界の先頭を走っており、そのままだと、一営利企業が、人間の能力を超える汎用人工知能(AGI:Artificial General Intelligence)を独占的に持つ歪な世界になってしまうことを懸念した結果、作られたものです。

OpenAIは、Elon Muskが取締役、Sam AltmanがCEO、Googleから引き抜いた超一流の人工知能研究者Ilya Sutskeverを技術のトップに置き、「人類のためになるAGI」を作るべく、研究開発を始め、画像生成AIであるDall.e、LLM(大規模言語モデル)であるGPTなどを発表しました。

当初は、全ての研究成果をオープンにする形で進めていましたが、人工知能の研究開発に必須なGPUの高騰により、非営利団体のまま世界の最先端を走ることが難しくなってしまいました。

その結果、CEOのSam Altmanは、非営利団体であるOpenAIの下に、営利団体であるOpenAI Globalを作り、そこに投資家から資金を集めて、Googleに対抗する、という戦略を採用しました。Elon Muskは、その方向性に賛成できずに取締役会を離れ(2018年)、Sam Altmanのビジョンに共感したVC(Khosla VenturesとReid Hoffman Foundation)が投資家として参加し、その後Microsoftが巨額の資金($1billion)を投入して、OpenAI Globalの大株主になりました(2019年)。

この時に、OpenAIが採用したのが、“capped-profit”という仕組みです。営利企業ではありながら、株主に対する利益の還元には上限があり(最初の投資家の場合100倍)、それを超えた分は、全て非営利団体側が受け取る、というものです。これは、「人類全体のための人工知能を作る」という非営利団体のミッションを維持しつつ、投資をするからにはリターンが欲しい、という投資家の要望に応えるために作られた世界初の仕組みです。

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