残業に休日出勤はもう勘弁。仕事を効率よく処理するためにやるべき秘策

働きすぎとも世界から揶揄される日本の社会人たち。厚生労働省も日本の過労死の増加により、新たな基準を設けるなど対策を講じていますが、コロナの影響での人員削減やリモートワークなどで仕事に追われる人も多くなってしまいました。そこで今回は、メルマガ『『ゼロ秒思考』赤羽雄二の「成長を加速する人生相談」』著者でブレークスルーパートナーズ株式会社マネージングディレクターの赤羽雄二さんが、効率的な仕事の減らし方を提案。世界的なコンサルティング会社で14年間も勤務した知見から「悪循環を止める」方法を紹介します。

 

仕事があふれ、処理しても処理しても終わりません。

Question

shitumon

機械メーカーの購買部で6年働いていますが、仕事があふれ、処理しても処理しても終わりません。取引先が大変に多い上、変更対応が頻発しているため、その都度やり直し、再発注、個数変更、修正依頼などが続くためです。ノー残業デイなども増えて会社では処理しきれないので、かなりの仕事を家に持ち帰って毎日2~3時間は仕事しています。もちろん、家族も決していい顔をしていません。残業に加えて、休日出勤も月4日はあります。それでも、仕事があふれていっている状況です。どこから手をつけて改善していったらいいでしょうか。

赤羽さんからの回答

ご相談どうもありがとうございました。仕事があふれている方が多いと思います。人員削減が続き、リモートワークなどで生産性が落ちたことで、仕事が集中している部署は大変なことになっているようです。

どこから手をつけるかですが、何といっても、まず悪循環を止める必要があります。

悪循環があると、仕事が雪だるま式に増えていき、収拾がつかなくなります。悪循環を何とか止めれば、悪化することがなくなっていきますので、少しずつでも改善し、バランスが取れるようになっていきます。

バランスが取れるようになると、あと一息で、好循環が始まることさえあります。

 

もう後戻りは不可能。北京五輪の閉幕後さらに激化する「米中対立」の地獄絵図

先日掲載の「卑怯な中国。IOCまで使って台湾に北京五輪開閉会式の参加を強要した黒い思惑」でもお伝えしたとおり、その裏ではおおよそ「平和とスポーツの祭典」らしからぬ駆け引きが行われている北京冬季五輪ですが、今大会が米中間の緊張をさらに高めてしまう要因になりかねないようです。これまでも「習近平も顔面蒼白。トランプ以上に厳しい米バイデンの対中国『強硬』路線」等の記事で米中覇権争奪戦について多方面からの分析を試みてきた、外務省や国連機関とも繋がりを持ち国際政治を熟知するアッズーリ氏は今回、2022年の米中対立の行方を様々な要素を勘案しつつ考察。北京五輪における中国当局が犯しかねない「ルール違反」が、両国関係に影響を与える可能性を危惧しています。

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今年も米中対立は続く さらに激化する恐れも

バイデン政権が発足してからちょうど1年となるが、バイデン政権になっても中国への厳しい姿勢は続いた。バイデン政権の発足当初、一部にはバイデン政権になって米国の対中姿勢が軟化するのではないかとの指摘もあったが、同政権はトランプ政権同様に厳しい姿勢を貫いている。異なるところがあるとすれば、バイデン政権が新疆ウイグルの人権問題を前面に押し出す形で中国に迫り、昨年は人権デューデリジェンスへの意識が世界企業の間で拡がった。その影響で企業の中には輸出入制限や調達先変更など経済活動で大きな制限を受ける動きも多く見られた。

対中国で米国と他の欧米諸国が接近し、米国主導の対中有志連合なるものが表面化したことも大きな特徴だ。たとえば米国と英国、カナダやEUは昨年3月、中国が新疆ウイグル自治区でウイグル族に対するジェノサイドや人道に対する.罪を続けているとして関係当局者らに対する経済制裁を発動した。また、バイデン政権は自由で開かれたインド太平洋を実現すべく日本とオーストラリア、インドとの多国間協力クアッド(QUAD)の動きを加速化させ、英国とオーストラリアとは新たな安全保障協力枠組みオーカス(AUKUS)を創設するなど対中で各国との連携を強化した。さらに、昨年は英国やフランス、ドイツやオランダ、カナダなどの海軍が北東アジア海域にプレゼンスを示し、米軍や自衛隊と合同軍事演習などを実施するなど、欧州のインド太平洋へ関与する姿勢も鮮明になった。

一方、台湾情勢を巡っては、フランスやオーストラリア、リトアニアなど欧米諸国の政治家が相次いで台湾を訪問しては蔡英文政権と関係を緊密化させたことで、中国の不信感が高まっている。それによりいつか台湾有事が発生する恐れがあるとして、台湾有事における邦人保護という議論も国内で活発化するようになった。たとえば、自民党の高市早苗政調会長は12月19日、都内で開催された講演会の席で台湾有事に言及し、どのように邦人の保護や非戦闘員の退避を行うのか、日本と台湾で早く協議しておかないといけないとの見解を示した。また、年明けの7日に行われた日米外務・防衛担当閣僚会合(2プラス2)で米国のブリンケン国務長官は冒頭から中国を名指しで非難し、共同声明では中国による一方的な現状変更政策に対して日米がいまだかつてなく統合された形で対応することが表明された。

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失言どころじゃない差別発言を「石原節」ともてはやしたメディアの大罪

2月1日、89歳で亡くなった石原慎太郎氏。その死を悼むのは当然のことながら、石原氏の失言を超えた暴言や差別的発言、そしてそれを許してきたと言っても過言ではないメディアや社会の有り様に関する議論は、封殺されるべきことではありません。今回、暴言をただすことができなくなっている政治をめぐる言論環境の「正常化」を主張するのは、元毎日新聞で政治部副部長などを務めたジャーナリストの尾中 香尚里さん。尾中さんはメディアの現場に身を置いていた人間としてとして自らの非力さを詫びつつ、石原氏の訃報を「時代を逆回転させる節目」にすることの重要性を訴えています。

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プロフィール:尾中 香尚里(おなか・かおり)
ジャーナリスト。1965年、福岡県生まれ。1988年毎日新聞に入社し、政治部で主に野党や国会を中心に取材。政治部副部長、川崎支局長、オピニオングループ編集委員などを経て、2019年9月に退社。新著「安倍晋三と菅直人 非常事態のリーダーシップ」(集英社新書)、共著に「枝野幸男の真価」(毎日新聞出版)。

石原氏の訃報を「暴言が止められない社会」を終える節目に

石原慎太郎元東京都知事が1日、亡くなった。毀誉褒貶の大きい政治家だったが、日本の政治にとって良くも悪くも「大きな存在」だったことは確かなのだろう。

政治に限らずどんなジャンルでも、そのジャンルにおいて大きな存在感を持つ人物が、引退なり死去なりで失われた場合、それが時代の節目になることがある。そして、筆者はこの訃報が実際に、時代の歯車を一つ回すことを強く望んでいる。

石原氏が生前繰り返してきた差別的発言や暴言を許容し、むしろ面白がり、政界全体にこうした空気をまん延させてしまった、そんな時代に、私たちはもうそろそろ区切りをつけるべきだ。

想像していたとはいえ、石原氏の死去を知らせるマスコミの報道には、やはり首をかしげざるを得なかった。「歯に衣着せぬ発言」「石原節」。こういう見出しや表現が、全国紙の紙面に普通に踊っている。報道によれば、安倍晋三元首相は「時に物議を醸す発言をしたが、批判を乗り越える強さがあった」と発言。石原氏の後任の都知事を務めた猪瀬直樹氏の言葉として「失言もあるけれど、それは自分の言葉で語るからこそ」と持ち上げ、返す刀で「官僚的で無難な、言葉に魅力がない今の政治家」とも述べて「今の政治家」をこき下ろしてみせた。

確かに、失言は誰にでもある。でも、公正な批判を受け、適正な謝罪がなされることで、適正な言論環境が維持されるのだと思う。過去にも失言した政治家はいたが、それぞれの失言のレベルに応じて、それなりの扱いを受けてきた。

その発言は許されるか否か。それを決めるのは社会の側だった。石原氏自身、環境庁長官だった1977年、水俣病患者らを侮辱する発言を行い、後に謝罪に追い込まれている。あってはならない発言をすれば石原氏にさえも謝罪させるだけの力が、当時の日本社会にはあったということだ。

そして私たちの社会は、いつしかそのような「自浄能力」を失っていた。

石原氏のその後の問題発言、例えば「三国人」発言も「ババア」発言も、いずれも「失言」ではない。それが差別であり、社会的に受け入れられない内容であることを百も承知の上で、言ってみれば社会を挑発したのである。そして私たちの社会は、その発言に眉をひそめる向きはあっても、押しとどめることはできなかった。それどころか、マスメディアはこうした発言を「石原節」などと呼んで、個人のキャラクターの問題に帰結していった。一部では「もてはやした」といっても過言ではなかった。

やがて発言は「問題」として認識されなくなった。「石原さんだから仕方がない」という空気が急速にまん延していった。

密室で行われる選考。五輪選手団ユニフォームという利権ビジネス

2月4日に開幕した北京冬季五輪。開会式では各国が威信をかけたユニフォームを身にまとった代表選手たちの入場行進が見られましたが、日本選手団の衣装に関しては各所から「無難」との声が上がっています。今大会に始まったことではありませんが、なぜ我が国の公式ユニフォームは他国に比してかくも個性が感じられないものなのでしょうか。今回のメルマガ『j-fashion journal』ではファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんが、欧米各国と日本の選定システムの相違点と、日本人が持つ特殊なアイデンティティをその原因として指摘。さらに今後、日本が海外に訴求すべき価値観について考察しています。

 

日本にはデザイン戦略が必要だ

1.ユニフォームは利権ビジネス

2022年北京五輪の開会式は、中国らしい華やかな演出が光っていた。各国選手団のユニフォームもそれぞれのお国柄が現れている。

そんな中で、日本選手団のユニフォームは無難ではあるが何か物足りなかった。これは今回に限ったことではなく、毎回感じていることだ。

五輪ユニフォームのデザイン選考はほとんど密室で行われている。国民を巻き込むイベントとして演出されることもないし、デザイナーによるプレゼンも見たことがない。

公共のユニフォームを百貨店が受注することも多いが、これは単純に既得権であり、百貨店にそのような機能はない。

かつての百貨店にはデザイナーがいたし、オーダーメイドを受け付けていた。当然、素材の仕入れルートも持っていたし、傘下の縫製工場も所有していた。しかし、現在の百貨店は売場を貸しているだけの不動産ビジネスが中心であり、既に服を作るノウハウは失っている。

百貨店が受注しても、伝票を通しているだけで、実際には、ユニフォームアパレル、スポーツアパレル、商社等が制作している。ユニフォームは利権ビジネスなのだ。

2.欧米の公共デザイン

欧米各国のユニフォームは、著名なクリエイティブディレクター(デザイナー)に委託されることが多い。全体をプロデュースする個人を設定しないと、プロジェクトがまとまらないからだ。全てのクリエイティブな要素を一人の個人の目で管理することで統一感が生れるのである。これを会議で決めるのは難しい。会議にかけるとどうしても平均的な意見にまとまってしまうからだ。

それでは、どのように特定のクリエイティブディレクターを選定しているのか。

日本では、デザイン分野では素人だが社会的地位の高い人が選定委員になることが多い。彼らは自分では選定できないので、広告代理店やコンサルタントの意見に従う。そして、特定の代理店や企業等の利益につながる人を選定する結果となる。

欧米はプロの評論家、批評家が存在する。常にコレクションをチェックし、評論することを仕事にしている人だ。そして、コレクションでは、ランキングが付けられることも多い。ここでも、評論家、批評家等のプロが選定し、それを公表しているのである。

プロの評論家、批評家の存在。そして、ランキングの存在。それらの情報を伝えるメディアの存在と、それらの情報に常に触れている読者の存在。これらによって、公正な選択がなされるのである。

そして、依頼されるクリエイティブディレクターも公共デザインの仕事を名誉なことだと考えている。公共デザインの仕事は、クリエイティブディレクター個人の職歴として残るからだ。

この様な環境の中でコンペを行えば、クリエイティブディレクター、デザイナーは自分の名誉をかけて、質の高いデザインを応募するだろう。こうした仕組みが社会的に構築されているのである。

 

辛口評論家が橋下、小池、竹中3氏を「隠れヒトラーの三悪人」と称す訳

立憲民主党の菅直人元首相が、橋下徹氏の弁舌の巧みさについて、「ドイツで政権を取った当時のヒットラーを思い起こす」とツイート。立憲民主党と日本維新の会も巻き込んで騒動となっています。この菅氏の発言を評価するのは評論家の佐高信さん。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では、橋下氏の「国歌起立条例」絡みの言動や、都構想批判へのヒステリックな反応の例を上げ、“ヒトラーまがいのまがいもの”と評します。さらに、小池百合子氏、竹中平蔵氏を合わせて「隠れヒトラーの三悪人」と称し、痛烈な批判を展開しています。

 

隠れヒトラーの三悪人

「隠し砦の三悪人」という映画があったが、橋下徹、小池百合子、そして竹中平蔵は“隠れヒトラーの三悪人”である。

菅直人が橋下をヒトラーになぞらえて抗議されている。しかし、橋下ほどヒトラーに近い人間もいないだろう。菅は橋下をヒトラーのまがいものと批判すればよかった。ヒトラーまがいのまがいものが橋下である。

たとえば、大阪のトップだった時、大阪府立和泉高校校長の中原徹が、つぎのようなメッセージを橋下に送った。
「自分は日教組の組合活動を正常化しなければならないと思っている。なので、卒業式の時にみんなちゃんと歌っているのかを、口元の調査までやって徹底させる」

それに対して橋下は「ぜひ、お願いします」と返した。卒業式当日、中原は君が代斉唱で教員たちの口の動きをチェックする。マスクをしていたものは、はずすよう命じられた。そして口の動いていなかった3人を卒業式の後に呼び出している。これを異常なヒトラーにたとえるのは正当だろう。

大阪都構想を批判した京都大学教授の藤井聡に対する攻撃も異常だった。藤井が自身のメルマガで大阪都構想の“不都合な真実”を指摘するや、その夜から橋下の執拗な攻撃が始まった。

「バカ学者の典型」「税金で飯を食わせていると思うと腹立たしい」「抜群に地頭が悪い」と罵倒し、さらには「税金を投入されている大学の教授としてどうなのか。京大の総長の見解を質していく。回答次第では国会で取り上げるよう維新の党に指示している」と圧力をかけたのである。

京大総長(当時)の山極寿一が「職場外の個人の表現活動であり、大学としての見解は控える」と回答したが、橋下は納得せず、なおも不満を述べた。それだけでなく、藤井がコメンテーターとして出ていた朝日放送や関西テレビ等に「藤井を出すな」という趣旨の文書を2回にわたって送りつけたのである。

批判や異論に神経質になり、ヒステリックにそれを排除しようとする橋下はまさにヒトラーそのものと言っていい。

さて、2017年9月20日、竹中平蔵が設定して、橋下、小池百合子、それに松井一郎が集まった。排除と言ったら、まさに小池が本家本元である。だから私は小池を“女ヒトラー”と名づけている。竹中の唱導する新自由主義も弱者切り捨てという意味で排除主義である。橋下、小池、竹中は利用し合う関係でけっこう近い。

つまりは橋下をヒトラーのまがいものとすれば、小池は女ヒトラーであり、竹中は経済ヒトラー、すなわちエコノミック・ヒトラーと言うべきである。

お互い、20代からの知り合いの菅直人を、その総理時代に私は厳しく批判したが、今回はよくぞ書いたと拍手を送りたい。ヒトラーがそうだったように橋下もチキン(弱虫)である。だから相手に口をはさませないために一方的に喋りまくる。

 

image by: World Economic ForumCopyrigh World Economic Forum / Photo by Natalie Behring, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons

ロシアの卑劣な裏切り。正直者が損をしたウクライナ危機の真相

北京五輪の裏で緊迫するウクライナ情勢。ロシアの軍事侵攻は時間の問題とも言われていますが、なぜこのような状況になったのでしょうか。メルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』の著者である大澤先生は、この事態の本質が1991年の『ブタペスト覚書』にあると指摘。ウクライナの誠実さが徒になったと解説してます。

 

ウクライナ危機の本質、ブタペスト覚書

ソ連崩壊の時、アメリカをはじめとする西側諸国がもっとも恐れたのは、混乱の中でソ連の核が拡散して、テロリストの手に渡ることだったはずです。

ソ連側にも同じ懸念はあったはずで、当時、米国と旧ソ連の間でどのような合意があり、どういった形でソ連全土の核が処理されたのかという事にずっと興味がありました。

公表された合意もあれば、密約もあったでしょう。ついに行方が分からなくなった核もあったかもしれません。

今回のウクライナ危機に際して、関連する記事がありましたのでご紹介します。以下、ニューヨークタイムズ、2月5日記事です。

冷戦終結時、地球上で第3位の核保有国は、イギリスでもフランスでも中国でもなかった。ウクライナである。

ソビエト連邦の崩壊は、1991年12月に頂点に達し、新たに独立したウクライナは、ソ連が自国に配備した約5000の核兵器を受け継ぐことになった。

ウクライナはその時、ロシアや米国などからの安全保障と引き換えに、数千個の原子兵器を引き渡す重大な決断をした。

ウクライナは核軍縮と引き換えに、鉄壁の安全保障を要求したのである。

1994年、その誓約は具体化された。 ブダペスト覚書と呼ばれる協定はウクライナに対して武力や脅威を行使せず、その主権と既存の国境を尊重することを約束したものであった。

その覚書に従い1996年に最後の核兵器がウクライナからロシアに移送された。

 

早めに糖質制限食を。早期発見でも「がん」発生は“10年以上前”という現実

医療技術の進化で早期発見が可能になってきた「がん」。最新のPET(Positron Emission Tomography:陽電子放射断層撮影法)検査では、従来の半分ほどの大きさのがん細胞を発見できるようになったと言われています。しかし、それでも最初の1個のがん細胞が発生したのは10年~20年も前なのだとか。メルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』著者で、糖質制限の提唱者としても知られる医師の江部康二先生は、生活習慣病型がんを予防する「スーパー糖質制限食」も、始めて20年は安心できず、できるだけ早く始めることを推奨しています。

 

早期がん診断時にはすでに10年以上が経過。糖質制限食で予防は?

今回は、糖質制限食とがん予防のお話です。現実にどのていど予防可能かを考察してみます。

実は、がん細胞が発生してから、画像診断的に発見可能な大きさになるのには、かなり長い年月がかかります。正常細胞ががん細胞に変わり、体が排除に失敗すると、がん細胞は徐々に成長を始めます。

細胞分裂により1個が2個になり、2個が4個、4個が8個、そして16個、32個、64個と倍々で増加していきます。30回分裂を繰り返すと、約10億個に増え、重さは約1グラム、直径1cm程度になります。細胞1個が0.01mmで、1cm経になるのに10~20年かかります。

個体差やがんの種類によっても発育速度は異なります。がん細胞が生まれてから活発に成長するようになるまでは、長い期間がかかります。しかし、がん細胞は成長するにしたがって、発育速度が速くなるとされています。2倍の大きさになるのは、例えば早期胃がんでは数年(2-6年)、進行がんでは数ヶ月、転移した胃がんでは数週間とされています。

従来のがん検診では、腫瘍の大きさが1cm程度にならないと発見できませんでしたが、PET検査では、早期の5mm程度の大きさでの発見が可能です。しかしながら、5mmや1cmで早期発見したがんということでも、がん細胞が発生してから、すでに約10~20年間が経過していることとなります。

「スーパー糖質制限食」で理論的には、『生活習慣病型がん』の発生予防が期待されるとはいっても、すでに発生しているがん細胞の縮小には「ケトン食」レベルの厳しい食事が必要かもしれません。対策としては、がん細胞が発生する前に、間に合う内にできるだけ早く「スーパー糖質制限食」を開始して予防を期待するということになるでしょうか。

江部康二は2002年~スーパー糖質制限食を実践しています。2022年現在で、20年間です。従って、2002年以降は、いわゆる『生活習慣病型がん』の発生は、ほぼ予防できている可能性が高いです。一方で、2001年以前に、すでに原初のがん細胞が1個発生していたとしたら予防はできないこととなりますが、幸いその可能性は低いです。

●参考記事:
がんについて(がん検査と基礎知識)|PET検査ネット

 

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東京創業のロッテ、その「光と影」。韓国で稼いだカネは日本に入れず

これまで2回に渡り、朝鮮半島出身の青年が一代で築いた「ロッテ」の足跡を辿ってきた、メルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』の著者で北朝鮮研究の第一人者である宮塚利雄さん。日本生まれのロッテを韓国有数の財閥にまで成長させた創業者・重光武雄氏ですが、全てが順風満帆とはいかなかったようです。宮塚さんは今回、ロッテが日本の国税庁から指摘されていた問題点や、重光氏が最期まで気に病んていたという跡継ぎ騒動等を紹介しています。

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※本記事は有料メルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』2022年2月5日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:宮塚利雄みやつか・としお
宮塚コリア研究所代表。韓国・慶熙大学校碩士課程、檀国大学校博士課程修了。山梨学院大学教授(1992~2015年)。主な著書に『北朝鮮・驚愕の教科書』(宮塚寿美子と共著)、『北朝鮮観光』「がんばるぞ!北朝鮮』『アリランの誕生』『日本焼肉物語』『パチンコ学講座』、そのほか翻訳本多数あり。

 

ロッテ財閥研究(3) 日韓を股にかけて事業を成功させた重光武雄の「光と影」

在日1世で事業に成功して故郷に「衣錦還郷」(故郷に物質的還元を行うという朝鮮儒教の思想)した人物はいるが、重光は「日本で得た利益を韓国に投入し、郷里と祖国の繁栄に貢献することを目標に、日本と韓国をまたぐ巨大なコンツェルンを築き上げた」稀(まれ)なカリスマ経営者であった。

軍事クーデターで政権を握った朴正熙(パク・チョンヒ)少将に請われて、日韓条約締結後いち早く韓国に進出したが、開発独裁主義の朴正熙政権は、日本からの資金・技術の導入だけではなく、在日1世からの本国への投資も積極的に勧めた(ただし、重光のように国交正常化後いち早く進出した在日の企業はないに等しかった)。

私は、重光が日本で得た巨額な資金を韓国事業に投じ、日韓の経済発展段階ギャップを利用した「タイムマシン経営」を実践して、巨大財閥を築き上げることができたが、そこには、初期の「資本の本源的蓄積過程」において朴正熙大統領を中心とする慶尚道閥の「人的な縁故」が大きな役割を果たしたと前号で述べた。

【関連】韓国で「財閥」創設。ロッテ創業者・重光武雄の“タイムマシン経営”とは

ロッテ財閥は、今や韓国では五指に入る大財閥である。

ロッテは、ソウル市にあるロッテ百貨店・ロッテホテル・ロッテワールド(テーマパーク)の3施設を中核としたサービス業を中心にその事業分野は多岐にわたっている。

ロッテ財閥として、百貨店業界では世界5位。製菓業界ではアジア1位。ホテル業界ではアジア3位。ホームショッピングでアジア1位。石油化学業界で世界10位など、韓国でも屈指の財閥となった。

ところが、「韓国ロッテは、設立時から日本で稼いだ金を韓国に投資し始めるも、韓国で稼いだ金は一度も日本に持っていくことはなかった」ことが指摘され問題となった(2016年6月12日、一連の経営騒動の中でロッテグループは、韓国ロッテが1967年に設立されて以降、2004年まで日本のロッテに配当金をしていなかったという事実を報道資料を通して明らかにした)。

2005年に日本の国税庁は、日本ロッテに「38年間で2,000億円を韓国に投資したのに1銭も日本に配当がない」趣旨の指摘をし、それから日本側に配当を始めたとのこと。

2015年時点で日本側の売り上げが3,145億円に対し、韓国側では6兆4,798億円だったというから、猛烈な差があった。

 

連立は「維新」に乗り換えか?公明党が今夏の参院選で自民党候補者「推薦否定」の衝撃

今夏におこなわれる予定の参院選に向けて、日本の「与党」のあり方が大きく変わろうとしているようだ。与党・公明党の山口那津男代表が6日のBS番組に出演し、参院選で自民党との相互推薦に関して、自民党が公明党の候補を推薦しないにも関わらず「我々だけが(自民の議員を)推薦するのは国民に理解していただけるのか」と述べたのである。以前から憲法の解釈等で齟齬が生じていた「自公連立政権」に暗雲が垂れ込めてきたようだ。

この発言が出る2日前の4日、我々MAG2 NEWSでは以下のような記事を公開していた。

● 自公の選挙協力にヒビ割れ。創価学会が自民党にかけた脅しの内容

すでに自公の間を「すきま風」が通り抜けていた事例は、兵庫選挙区問題など多々あり、それらの詳細については上記記事に譲るが、ついに山口代表から「自民候補の推薦を否定」発言が飛び出したとあっては、自民もうかうかしていられないだろう。何せ、近年の自民は公明の支持母体である「創価学会」の集票なくしては選挙に勝てなくなっているからだ。

このまま指をくわえているわけにいかない自民が次に「白羽の矢」を立てるであろうお相手は誰だろうか? それは、憲法改正などについて同じ政治思想を持ち、今や立憲民主党をしのぐ政党支持率を誇る「日本維新の会」である。すでに森友問題でもさまざまな「疑惑」を共有している維新と自民が連立を組んでも、何も違和感をおぼえることはないだろう。

【関連】露呈した“極右”の正体。安倍元首相と維新が煽る「ゴリ押し改憲」の横暴

第2位の支持率「維新」との連立を画策?

日本経済新聞社は1月31日、世論調査で「夏の参院選で投票したい政党や投票したい候補者がいる政党について」というアンケートを実施。その結果、自民党の43%に次ぐ第2位が維新の16%だった。立憲はたった10%の第3位と、大きく差をつけられてしまったのである。

もちろん、今回の自公「選挙協力」のゴタゴタが茶番劇だとしたら、単なる「支持者へのポーズ」という可能性もある。しかし、政治の裏側で何か「大きな動き」が起きていることも否定できず、もし仮に維新と自民との間に「密約」があるとすれば、夏に向けて各党の幹部クラスの発言内容に注目する必要があるだろう。

従来の創価学会の組織票を取るか、勢いにのる維新人気を取るか、夏の参院選に向けて永田町周辺のさまざまな思惑が交錯しているに違いない。

【関連】立憲・辻元清美氏が参院選に「比例」出馬表明も、維新に大差つけられ前途多難な“イバラの道”

世界では賛否の声。北京五輪の開幕式を日本在住の中国人はどう見たか?

ついに開幕した北京冬季五輪。美しい映像美が称賛される一方で、民族問題が取り沙汰されるなど賛否の声があがっています。そんな北京五輪を日本在住の中国出身の方たちはどう見たのでしょうか。作家として活動する黄文葦さんは自身のメルマガ『黄文葦の日中楽話』でその率直な思いを綴っています。

 

北京冬季五輪の静かな情熱を見て、東京の思いは?

二十数年間、遠く離れている中国が当方を一番感動させたことは正に今回の北京冬季五輪の開会式であった。イデオロギー演出ばかりしている旧暦の大晦日に放送される「春節聯歓晩会」と見比べて、同じく中国人が作り出したものとは思えないぐらい素晴らしかったと思う。その開会式から、ある程度中国社会の進歩が見られた。日本のネット上でも、北京冬季五輪の開会式を絶賛する声が溢れている。

2008年北京五輪と2022年北京冬季五輪の開会式の違いと言えば、前者は内向き、後者は外向き姿勢である。この14年間、中国も張芸謀(チャン・イーモウ)も進歩してきたと実感が湧いてくる。

2008年の北京五輪は、中国5,000年の歴史と文化の圧倒的なプレゼンテーションであったが、今回の開会式ではテーマを「I」から「We」に変え、大会のスローガンである「共に未来へ」という人類共通の感動を示し、世界に響いた。

開始わずか18分で選手入場、著名人・芸能人は参加ゼロなどに驚いたのが、開会式の最大のミステリーは、雪の結晶の物語であった。冒頭で観客に配られるギフトバッグ、カウントダウン映像、国や地域の案内板、出演者の衣装、一部のパフォーマンスの背景、メイントーチなど、式典の随所に「雪の結晶」が使用されているのだ。

まるで「雪の結晶」の中で、東と西の二つの文化が出会い。張芸謀監督の話によれば、「李白の詩には、『燕山雪花大如席(燕山の雪花、大なること席(むしろ)の如し)』という言葉や、『この世に同じ雪は二つとない』という西洋のことわざがある。これは綿密に設計されたランスルーで、すべての雪片、すべての国や地域が北京に集まり、最も輝かしい大きな雪片の一つを作ろうとしているのだ」。

正直言って、以前あまり冬のオリンピックに注目してなかった。夏のオリンピックばかりを観る。冬のスポーツに興味を持っていなかった…今回、この開会式に惹かれて、テレビで観ようと思っている。超素朴でシンプルな演出はコロナのおかげだと言えるだろう。中国のかつての傲慢さと誇張を封印するようになった。