もはや先進国ではない。なぜ、日本経済はスカスカになったのか?

一部報道などでは日本経済の好調さが伝えられていますが、実感として受け止められないというのが正直なところではないでしょうか。なぜこのような事態に陥っているのか、米国在住の作家・冷泉彰彦さんはメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』でその理由を「日本の産業構造がおかしくなったため」とし、この「負のトレンド」を反転させなければ国の繁栄と個人の成功はありえないと結んでいます。

スカスカになった日本経済、どうしてこうなったのか?

経済新聞や安倍政権の周囲では、日本経済は絶好調だとか、多くの企業が史上空前の利益を上げているという声があります。ですが、そんな好況感は、日本全国を見渡すと全く感じられません

国全体の「購買力」は弱り切ったままです。観光ブームということもありますが、結局はインバウンド、つまり訪日外国人が支えています。例えば、星野リゾートの場合は、価格帯によってブランドを分けていますが、フラッグシップブランドの「星のや」の場合は、一泊二食で4万とか5万という強気の価格設定ですが、お客の多くはインバウンドです。

同じく北海道のリゾート産業の雄である「鶴雅グループ」は、支笏湖に「碧の座(あおのざ)」という超高級旅館を建設中ですが、同じく価格帯は4万から6万でこれもインバウンドがメインでしょう。

JR九州が「ななつ星」という予約制の豪華寝台列車を走らせて話題になりましたが、もっと豪華なJR西日本の「瑞風」などは、シンガポールからビジネスクラスで往復するパッケージツアーなども組んでいます。

とにかく景気がいい話はインバウンド向けぐらいで、国内の需要向けについては、相変わらず、オールバイキング形式で一泊二食7,800円とかが主流です。コンビニなどの弁当や牛丼の価格はワンコイン以下の安いままであり、それはそのまま多くの人の「昼食代の予算を反映しています。

花火大会やパレードなど、「無料のイベント」が行われると、空前の人出になるので、結局は警備費がかさんで大会が中止になったりしますが、では有料化すればどうかというと、いきなりパタンと客足は途絶えるわけです。

購買力の衰えということでは、例えば「若者のお金離れ」などという言い方があって、世代間格差が原因だという声もあります。また「非正規差別」が原因であり、派遣労働の規制緩和をしたのが悪いという論調も相変わらず多いわけです。

多くの専門職がそれだけでは生活できなくなっている」と言われています。例えば、タクシーのドライバーは、ウーバーやリフトがまだ上陸したわけでもないのに、需要低迷と供給過剰のために苦しんでいます。また、バスの運転手の給与も低くなっています。電車の運転手に至っては、自動運転(実際は遠隔操作に近いので心配は要らないのですが)を本格化させる話も出ています。

例えば、安倍総理は毎年春になると財界に対して「もっと給与を上げてくれ」という要求をしていますが、財界サイドは総理に頼まれてもなかなか賃上げに応じようとはしません

報道では「史上最高の決算」とか「アベノミクス株高」などと言っているのに、どうして各企業は国内での賃上げを渋るのでしょうか?どうして昔はちゃんと生活できていた職が、非正規になったり、給与が極端に安くなっているのでしょうか?

在日米軍撤退が条件。北方領土返還に露が突きつける無理難題

刻々と変化する国際情勢に連動し高下を繰り返す株価や為替相場。そのキーパーソンといえばトランプ大統領ですが、彼の言動を予測するのは容易なことではありません。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では著者の津田慶治さんが、そんな予測不能なトランプ氏の「今後」を様々な要素を元に分析するとともに、同盟国である日本の対ロシア、対韓国関係、さらに橋下徹氏が動き出すとみられる国内政治についての「今後」についても予測を試みています。

日米の政治はいかに

パウエルFRB議長が講演で、今後、利上げを慎重に行うとしたことで米株価は大反発した。変動幅の大きな株式市場であり、今後の予測も市場の意見がトランプ大統領とFRB議長を動かすようである。今後の米国の動向を検討しよう。

NY株価

2018年12月26日2万1,712ドルから2019年1月2日2万3,413ドルになり、1月3日2万2,638ドルまで下がり、一転、1月4日2万3,518ドルまで上昇している。2,000ドルの幅で上下していることになる。4日の上昇は市場が要求していた利上げの打ち止めをパウエル議長が検討し始めたこととトランプ・習近平の電話会談で、貿易戦争が収束したと見たことと、もう1つ、雇用統計から景況感も依然良い状態であることを確認できたことも原因として上げられる。

それにしてもボラティリティの大きな株価動向である。

日経平均もNYダウに歩調を合わせて、2018年12月26日1万8,984円に下がり、12月27日2万0,211円まで上がり、2019年1月4日1万9,214円まで下がるという展開になっている。終値は1万9,561円と若干戻して終えた。

その上、1月3日には1ドル104円まで円高になり、1月5日18時時点では、1ドル108円になっている。若干戻したが110円までは戻していない。

前回の『2019年以降を予測する』で予測した円高が相場最初の日に実現している。

東京オリンピック便乗予算を許すな。会計検査院という「目付役」

いよいよ来年に迫った東京オリンピック・パラリンピックですが、昨年末に発表された予算の高額さは世間を驚愕させました。その抑制に大きな役割を果たすのが、会計検査院。今回の無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』では著者の嶌さんが、そんな会計検査院について詳しく紹介するとともに、これからの時代に彼らが担うべき重要な役割について論じています。

地味な会計検査院でなく─予算のムダ使いにビシバシ注文を─

2020年の東京五輪・パラリンピックの費用は一体いくらかかるのだろうか。2018年12月に大会組織委員会と東京都が公表した第二弾予算の発表では1兆3,500億円が経費の全体像を強調した。しかし、会計検査院では関連経費まで含めると2兆8,255億円になると指摘し世間を驚かせた。オリンピックの経費は東京都と組織委員会、国が中心となって負担し、さらに関係する地方自治体なども出資することになっている。

オリンピックと万博に要注意を

しかし大会経費とは国際オリンピック委員会IOCが直接大会開催にかかる経費と限定している。このため大会後のレガシー遺産となる経費や沿道整備既存の体育施設の改修などは行政サービスとして扱われ、大会経費とは別に大会関連経費として区別されることになっている。会計検査院も、「予算は大会の開催に関連して行なわれる全ての業務に関わる経費を示すものではない」とクギを刺しており、膨張しがちな便乗予算に歯止めをかけたい意向を示している。

現在の予算には東京都以外に会場がある8道県の関連経費を含んでいないので最終的にかかる経費は3兆円を超えるのではないかと懸念されている。14年のソチ冬季五輪では5兆円に達したといわれ、欧米などから「カネをかけすぎている」という批判が猛然と起こった。いまやオリンピックといえば、予算が大目にみられる時代ではなくなっているのだ。

会計検査院では、今後オリンピック予算について

  1. 直接関係する費用
  2. 直接は関係しない費用
  3. 関係性の低い予算

の3つに分類して関係の役所などに区分して審査してゆくとしているがどこまで抑制できるかが焦点だ。

【動画】訪日外国人夫婦の視点で捉えた『日本』の映像が美しすぎる

昨今、多くの外国人観光客で賑わう日本。

最近では、大晦日の都市部に外国人が多く見られたのも印象深い!

今回ご紹介するのは、2018年の冬に夫婦で日本旅行を堪能したというシンガポール人のジェイソン・フェンさん視点の日本を撮影、編集した動画。

外側から見た日本はどのように映っているのかが気になるところ・・・!

早速観てみよう!

 

 

まずもって何て美しい映像だろう!

慣れ親しんだ場所が、視点がひとつ変わるだけでこんなに異世界感漂うものなのだろうか・・・。

ジェイソン・フェンさん達が訪れたのは東京、神戸、大阪、そして横浜。

どの映像がどの場所だったか皆さんはお分かり頂けただろうか?

日本各地の美しさを、私達日本人の方が知らないものだと気づかせてくれる動画だ。

(※↓詳しくはコチラへ)
参照・画像出典:YouTube(Jason Feng)
(本記事は上記の報道や情報を参考に執筆しています)

 

記事提供ViRATES

年収400万で暮らせるけど1000万でも余裕なし。驚きのNY生活事情

「一度でいいから海外で生活してみたい」と思う日本人は多いかもしれませんが、現実的に毎月の収支を想像することは難しいのではないでしょうか。実際、必要な生活費についての質問を受けることが多いと語るのは、米国の邦字紙「WEEKLY Biz」CEOでメルマガ『NEW YORK 摩天楼便り-マンハッタンの最前線から-by 高橋克明』の著者の高橋克明さん。今回のメルマガで、ニューヨークでの生活に必要なさまざまなものの相場を細かく教えてくれました。

ニューヨークで暮らすにはいくら必要?

いちばんよく聞かれる質問は「いつかニューヨークに移住したい」「いくらくらいあれば生活できますか」です。日本と違って、本物の格差社会なので、上も下もキリがなく、本当に一概に言えないのがこの街の特徴です。

日本って、お金持ちの人もそうじゃない人もコンビニを利用します。こっちだと生活圏内も、行くお店も所得によってガラッと変わります。マンハッタンという山の手線の内側くらいの、その実、結構狭いエリアに、あらゆる「下町」とあらゆる「山の手」が同居しています。なので、上記の質問、結構、答えに困っちゃうんです。橋を一つ挟んでマンハッタンとクイーンズの個人年収差は4倍と言われています。でも同じスタバで同じモノをオーダーして座ってる。

いくらくらい、とは(当たり前ですが)言いづらい。年収400万円でも、いろいろ工夫すれば住めなくはない。(ルームメイトを見つけるとか、覚悟を決めて多少治安の悪いエリアに住むとか)

こちらのサイトで公表されている「ニューヨークでの生活費の基準」を今回はお伝えします。統計情報とNYCでの生活費の詳細が、Expatistan.comに掲載されています(これらの数字は定期的に更新されています。以下の数字は、あくまで「平均」だということ念頭に置いてください)

「480平方フィートのスタジオの月額賃料:1941~2838ドル」 前述した通りエリアによって異なりますが、マンハッタン(東京でいう23区内)だと普通のワンルームで、月家賃の平均が31万3千円だそうです。(ま、そんな感じだろな)

東京でも良いとこだとそれくらいするよ!と言われるかもしれませんが、この数字は平均です。良いとこ、じゃない。良いとこ、だと当然120万円は超えます。31万円だとかなり狭いイメージです。居住費は、確かに世界一高い街ではあります。それに追加して、

「480平方フィートのスタジオの基本ユーティリティ:119ドル/月」 基本ユーティリティに含まれるのは、電力、暖房、水、ごみ処理など。その平均が13000円くらい。これも平均なので、マンションによってはもっと徴収されます。

では、日常での生活にかかる費用は(以下ももちろん平均)

「ダウンタウンバーまたはクラブのカクテル:24ドル(2650円)」 1杯が2600円以上するのははやり高い気もします。

トランプが「最大のリスク」。それでも日本が米国につくべき理由

近年、世界情勢を脅かすリスクとして米中経済戦争の他、実際に紛争を行なっている国々や、北朝鮮の動向などが主だったものとして取り上げられますが、国際政治学者イアン・ブレマー氏は「トランプ大統領」そのものが地政学的リスクだと言及しているようです。国際関係アナリストの北野幸伯さんは、今回の自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、ブレマー氏の意外かつユニークな発言の深層を読み解いています。

イアン・ブレマー、19年の【地政学的リスク】

国際政治学者のイアン・ブレマーさんは、「ユーラシア・グループ」の社長さん。『「Gゼロ」後の世界』や『対立の世紀』などのベストセラーで知られています。そんなブレマーさん、週刊東洋経済12月29日―1月5日合併号でインタビューに答えていました。その答えが、とても意外だな」と思いました。

質問:19年の世界はどのような地政学的リスクに直面しますか?

皆さん、どう答えますか?紙に答えを書いてみてください。中国?北朝鮮?ロシア?イラン?シリア?イアン・ブレマーさんの答えは…。

まっ先にトランプ大統領が挙げられる。
(137p)

超意外ですね。トランプさんが最大の地政学リスクだ」というのです。なぜ?

外交面において同氏は非常に特異だ。前政権が進めていたTPP(環太平洋経済連携協定)からの離脱、また地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」からの脱退イランへの経済制裁の復活など、単独主義が目立つ。
(同上)

なるほど~。昔からの読者さんは覚えておられるでしょうか?パリ協定、イラン合意からの離脱、RPEでも批判していました。米中戦争に勝たなければならないのに自分から孤立してどうするの?と思います。

トランプ大統領の外交政策の特徴は短期的な視点で物事を解決しようとすることだ。その結果、長期的に見れば米国の影響力が失われている。日本への「自動車関税」もその一例だ。米国にとって長い目で見れば欠かせない同盟国との信頼関係を損なっている。
(同上)

まさにその通りですね。冷戦時代、米国は、かつての敵だった日本、ドイツ(西ドイツ)と和解して、ソ連と対峙しました。それでも厳しいので、中共までも取り込んだ。昔のアメリカは、「戦略的」でした。ブッシュ(子)は、かなり単独主義的でした。それでも、小泉さんの日本やイギリスなどとは、良好な関係を維持していた。

トランプさんは、どの国の首脳とあっても、「アメリカ・ファースト」。自分の都合を遠慮なくぶつけてくる。そして、その要求は、しばしばわがままな子供のように理不尽です。

アメリカは、中国との戦争に勝たなければならない。それなら、同盟国との絆をますます強化し、さらに非同盟国すら引き込む行動をとらなければならない。しかし、トランプさんにはワシントンにも世界にも友達がいません。ひょっとしたらネタニヤフさんはそうかもしれない。その他の首脳たちは、あからさまに彼を嫌っているか、安倍総理のように「戦略的好意」を示している。

ブレマーさんは、さらに率直です。

今の米国にとって、国際関係における最大の問題は、トランプ大統領が尊敬に値する人物ではないということだ。
(同上)

国のトップがどんな人間であるかはホントに大事です。特に覇権国家のトップがどんな人間であるかは…。

米国以外では多くの人々がトランプ大統領を嫌っている。これまで米国が牽引してきた国際貿易、安全保障、そして国際社会が築いてきた価値観を覆そうとしている。
(同上)

寒くなってオシッコが近い人へ。膀胱炎に効果が期待される2point

暖冬傾向とはいえ、徐々に確実に真冬へと季節は進んでいて、寒さに伴う身体の変調を感じ始めている人も多いのではないでしょうか。メルマガ『鍼灸師・のぶ先生の「カラダ暦♪」』の著者・のぶ先生は今回、この時期に注意したい膀胱炎の諸症状と対策についてアドバイスしています。

寒い時のひん尿対策

【寒い時になる膀胱炎】

現代医学的には、感染が原因とされる膀胱炎。ひん尿、排尿時痛、尿の色が濁る、下腹痛や腰痛、ひどくなると発熱などがみられます。

東洋医学では、足元からの冷え込みが原因で、下腹にある膀胱が固くなり、尿をためることができなくなり、足首のむくみやひん尿から、症状が始まると考えます。

【固くなる膀胱対策】

膀胱が固くなると、ひんぱんな尿意や尿漏れ、夜間尿などが気になります。足元のむくみや足先の冷えなどを感じたら、骨盤内の血流をうながして、膀胱のこわばり対策をしましょう。

「腰の下にカイロ」
ベルトの下に仙骨という骨盤の中央にある骨があります。ここにカイロを貼ることで、骨盤内の血流がよくなり、足腰の緊張緩和ができるそうです。

「太もも内側『箕門のツボ』」
また、太ももの内側中間点に「箕門(きもん)のツボ」があります。排尿トラブルのある時には、ここにこわばりが現れるといいます。入浴中や就寝前に、手のひらで軽く太ももの内側の筋肉のキワを、「箕門のツボ」を中心にほぐすことで、膀胱のこわばりが取れて、ひんぱんな尿意や尿漏れが楽になると言われています。

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スイーツは大流行してるのに、なぜ洋菓子店は潰れているのか?

一昔前、特別な存在だった洋菓子店。何かのお祝いや記念にケーキを買って帰るのが定番だったのですが、今やその洋菓子店が次々と閉店に追い込まれています。スイーツは大流行しているというのに、なぜこのような事態となっているのでしょうか。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では著者の佐藤きよあきさんが、その理由とこれからの洋菓子店がとるべき戦略を紹介しています。

スイーツ流行りなのに、なぜ洋菓子店が潰れるの?

いま、街の洋菓子店が次々と閉店に追い込まれています。消費者によるケーキ離れ?いや、何年も前からスイーツが流行っており、行列店もたくさんあります。では、なぜ閉店しているのでしょうか。

ひとことで言うと、競争に負けてしまったのです。そのライバルとは、洋菓子店ではなく、コンビニ及び新興勢力のパン屋さんです。

コンビニは、説明するまでもなく、次々に話題となるスイーツを出し、気軽に、しかも安く買えるところが魅力となっています。新興のパン屋さんとは、高級食パンやコッペパンの専門店のことです。食パンがケーキと競合するとは考えにくいかもしれませんが、生食でも美味しい食パンはおやつとして食べる人も多いのです。

焼きたての食パンは、その場ででも食べたくなる魅力を持っています。よって、買ってすぐに食べてしまうのです。コッペパンには、惣菜系もありますが、あんこやジャム、生クリームなどが多いため、おやつとして食べられます。こうした“新しいおやつ”が台頭してきたが故に、洋菓子店を利用する人の絶対数が減ったのではないでしょうか。

人は恐怖を愛している?人類が今日ここまで繁栄できた納得の理由

「人生は苦痛であり恐怖である。だから人間は不幸なのだ」――ロシアの文豪ドストエフスキーの言葉ですが、恐怖心を持ちそれと向き合うことができたからこそ、人間には社会性があり、いまの繁栄もあると、メルマガ『8人ばなし』の著者・山崎勝義さんは考察します。「恐怖心」こそが人を人たらしめるとはどういうことなのでしょうか? 

扁桃体と恐怖心のこと

大脳辺縁系、海馬の近くに扁桃体という器官がある。他の大脳辺縁系の諸器官同様、情動に深く関わっており、中でも特に恐怖という感情との繋がりが強いところである。

ここが損なわれると、以下サルによる実験結果であるが、

  • 初めて見るものに対しても警戒することなく近づく
  • 動物の種類に関係なく相手が鳥や犬でも交尾をしたがる
  • 食べられない物や危険な物でも口に入れる

などの異常行動が現れる。

勿論、高次に脳の発達したヒトにこれをそのまま当てはめることはできないが、同じように社会性を有する霊長類としては全く無視もできないところである。そういったことを考えに入れれば、我々の誇る社会性というものも恐怖という制動装置がなければおそらくまともに機能することはないであろう、といったやや乱暴な物言いも可能のように思えて来る。つまり、恐怖ほどヒトを人たらしめているものはないということである。

然るに恐怖というものは決していいイメージで捉えられてはいない。それどころか人として克服すべき負の感情といったイメージが強いのではないだろうか。おそらく、それは恐怖というものがヒトが生存するために等しく持ち得ている本能的感情であるのに対し、それを打ち破る意志の力は誰もが等しく発揮できるものではないということを人類進化史の様々な局面から誰もが経験的に知っているからであろう。

仮に人類が全員、憶病(=慎重)だったら未だに人類は東アフリカの森の中に暮らし草原に出ることさえなかったであろう。逆に無謀(=勇猛)だったらとっくに滅んでいることだろう。しかし今、我々人類は地球全域に亘って繁栄している。これは慎重さと勇猛さ、悪く言えば、憶病さと無謀さの絶妙なバランスの上に成り立っている繁栄なのである。

それにしても、本来恐怖で抑制されている人間がどういうメカニズムでその恐怖を克服して一見無謀とも思えるほどの勇気を出すことができるのだろうか。その原動力を前に意志の力と言った。それが発現する場所こそ、人間だけが特異に発達させた大脳新皮質・前頭前野なのである。

この部分は論理的思考など主に理性を司る。人間の脳の機能を乱暴に縦割りに整理することはできないけれども、敢えてざっくりまとめれば、大脳辺縁系(別名:大脳古皮質)・扁桃体は情動、特に恐怖と関連し、大脳新皮質は理性と関連する。ここでは、情動は古皮質、理性は新皮質といった、新古の対応関係を一応指摘しておくに留める。

参考:大脳辺縁系と情動 Limbic Nervous System and Emotion