なぜ、安倍元首相は銃殺されたのか。日本社会に蠢く抑圧された怒り

日本中を震撼させた安倍元首相を銃殺した事件。この衝撃的な事件と2008年に起きた「秋葉原通り魔事件」を重ね合わせるのは、メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』の著者で、健康社会学者の河合薫さん。河合さんは2つの事件の共通点は「抑圧された怒り」であるとし、現在の日本のあり方を改めて見直すべきだと語っています。

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日本社会に巣食う“抑圧された怒り“

安倍晋三元首相が銃撃され亡くなった事件から、2週間が経ちました。テレビメディアが決して取り上げない政治と宗教の関係、SNS上で飛び交うさまざまな情報やバッシングの数々・・・。私たちの社会に巣食う問題が、まるでパンドラの箱が開いたように次々と明らかになっているようで、なんとも言葉にしがたい薄気味悪さを感じずにはいられません。

日本中が衝撃を受け、恐怖に包まれている「今」だからこそ、メディアには主体的にメディアとしての役割を全うしてほしいと、心から願います。

一方で、今回の事件の第一報が入ったときに、咄嗟に私が思い出したこと。それは2008年の「秋葉原通り魔事件」です。

当時25歳で派遣社員だった男は、「誰でもいいから殺したかった」という自己中心的な犯行動機のもと、秋葉原の交差点にトラックで突っ込み3人をはね、持っていたダガーナイフで無差別に歩行者を切りつけました。

メディアは連日、男のSNSでの書き込みを取り上げ、「派遣社員」という身分にスポットを当てた。番組のMCやコメンテーターたちは、負け組、 社会的孤立、学歴といった男を象徴する属性に、「誰かに認められたい」という欲望が満たされずに犯行に至ったのではないか、という議論を展開。リーマンショックで派遣切りが社会問題化していたことも重なり、「氷河期世代のテロ」とも言われました。

今回の事件とは状況も違うし、犯行動機の背後にある問題も全く違います。しかし、どちらも共通しているのは、彼らが「社会からの排除」を余儀なくされた存在であり、彼らが「抑圧された怒り(inhibited anger)」を抱えていたことです。

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絶賛とはならなかった『天気の子』はなぜここまで意見が割れたのか

新海誠氏が監督・脚本を務めた前作『君の名は。』の大ヒットから3年後に公開された『天気の子』。ドイツのNetflixでは同作が視聴可能になったといいます。そこで今回は、メルマガ『Taku Yamaneのイェーデン・ターク』の著者で長くドイツに暮らすTaku Yamaneさんが同作について考察。賛否両論分かれる理由を分析しています。

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賛否両論の真実――『天気の子』考察

いつもご愛読ありがとうございます。さて、今回はついにドイツのNetflixで視聴可能となった、映画『天気の子』について考察したいと思います。

自分は3年前に飛行機内で見て「おもんな」と思った人間なんですが、その後も作品自体は気になっていて、いろんな所で話の話題にしていたんですよね。

で、今回2回目を視聴して「結構面白いじゃん」と思ったと共に、賛否別れた理由も分かった気がします。で、解説をしていきましょう。(ネタバレ注意)

■以下あらすじ

舞台は雨の降り止まない異常気象に見舞われる現代東京。16歳の離島育ちのホダカは家出をして東京に出てきます。そこで自在に晴れ間を作れる“晴れ女”ことヒナと出会います。同年代のヒナと晴れ間を作るバイトをする内に、ホダカはヒナに恋心を抱くように。しかし、ヒナは異常気象を収める人柱となる運命にあり、ついにホダカの前から消えてしまいます。世界の天気を優先するか、ヒナへの恋心を取るか悩んだホダカは最終的にヒナを選び、それ以降3年間東京は雨の止まない都市となります。

■賛否両論の理由

まず、完全なハッピーエンドとならない所でしょう。子供向けアニメであるにも関わらず、結局主人公が独善的な幸せを取ったことに対して賛否両論が出るのは当然でしょう。とはいえ、僕はこのエンディング自体は嫌いではありません。むしろ子供騙しにならなくて良いと思っています。

しかし、自分の幸せと他者の幸せが二律背反の構図になるという流れは良かったと思う一方、この他者に“世界”をもってきてしまったのが、アンバランスさを招いたような気がしてなりません。

ホダカの真っすぐというか、出会って間もない少女に恋をして、周りが全く見えずに突き進んでしまう姿というのは納得がいきます。

自分も若い頃を思い出してグッと来るものがありました。

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安倍氏と統一教会は「ズブズブ」だったのか?元信者が自ら明かす“実態”

安倍元首相銃撃犯がその犯行動機として挙げている、旧統一教会への強い恨み。事件以降、安倍氏を含む複数の国会議員と統一教会との関係や、同団体の「実態」がスキャンダラスに報じられていますが、その真相はいかなるものなのでしょうか。今回、「元信者」として旧統一教会の真実を記しているのは、金沢大学法学類教授の仲正昌樹さん。仲正さんは東京大学在学中に入信し1992年に脱会する11年の間に知り得た、嘘偽りのない旧統一教会の内実を白日の下に晒すとともに、真実に基づかない誹謗中傷を問題視しています。

プロフィール仲正昌樹なかまさまさき
金沢大学法学類教授。1963年広島県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻修了(学術博士)。専門は政治・法思想史、ドイツ思想史、ドイツ文学。著者に『今こそアーレントを読み直す』(講談社)『集中講義!日本の現代思想』(NHK出版)『カール・シュミット入門講義』(作品社)など。

統一教会問題を通して露わになる「反カルト」というカルトの問題

既に承知の人は多いと思うが、私は30年前に統一教会を脱会した。そのため、このたびの安倍首相殺害事件に関連して、いくつかのメディアで発言を求められた。統一教会に入信した経緯と辞めた経緯については、拙著『統一教会と私』(論創社)で詳しく述べたので、ここでは省略する。

統一教会に限らず、「脱会者」は、その組織での負の側面を(自分が直接経験していないことも含めて)誇張し、全否定するのが相場である。そうしないと、本当に“改心”したと認めてもらえないと不安になるからだ。私はそういう負の信仰告白のようなことが嫌なので、自分が経験したことをできるだけ正確に伝えるのを基本的スタンスにしている。そのせいでこれまでもしばしば、反トーイツを生きがいにしている連中から、「仲正はまだ洗脳が抜けてない(笑)」、などというような、根拠のない誹謗中傷を受けることがしばしばあった。

『羽鳥慎一モーニングショー』に出た時の、一部のツイッタラーたちの反応はかなり低レベルであった。「このしゃべり方はなんだ。洗脳解けてない(笑)」「この顔はまだ洗脳されている顔だ。俺には分かる」、などというのさえあった。この連中は、こういうのが統一教会批判になると思っているのだろうか。この反トーイツ・クラスターの連中の一連のツイートを見ると、どうも前日の放送で、自民党と統一教会の関係についてこれから詳しく伝えていく、と予告されたため、“アベとトーイツのおぞましい癒着の実体”が明らかにされていくと勝手に期待していたところ、元信者である私が、それと直接関係ない証言を中立的な感じて語り続けたので、八つ当たりしたくなったようだ。

この手の連中は、自分たちが思っているシナリオ通りに私が話さないと、すぐにヒステリックにわめき立てるので、何も言っても無駄だろうが、この際、多くの人が旧統一教会について抱いている誤解を解いておきたい。実体とかけ離れた“批判”は、ただの悪口である。

安倍氏と統一教会がズブズブの関係にあり、母親の入信のことで統一教会に恨みを抱いた容疑者が、安倍氏に怒りの矛先を向けたことをもって、安倍氏が統一教会とズブズブの関係にあるという人たちがいる。しかし、ズブズブとはどういうことなのか?

現実的にはあり得ない。日米の「台湾有事論」が根本的に誤っている理由

ロシアによるウクライナ侵攻以来、声高に主張される頻度が確実に増した台湾有事論。この先いつ起きたとしても不思議はないとするメディアも存在しますが、はたして緊張はそこまで高まっているのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では著者でジャーナリストの高野孟さんが、日本を代表する軍事専門誌に掲載された論考の内容を引きつつ、日米に流布する「台湾有事論」がいかに誤ったものであるかを解説。さらに論考の冷静な結論部分を紹介し、全面的な賛意を示しています。

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※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2022年7月18日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

間違いだらけの「台湾有事論」/『軍事研究』7月号の論文に注目

『軍事研究』という月刊誌は自衛隊寄り、軍事オタク寄りではあっても「右寄り」ではなく、それは同誌自身が「1966年の創刊以来いかなる政府・政治勢力、いかなる思想的立場からも中立」と謳っている通りで、軍事技術的な合理性を本旨としているが故に、時の政府の政策や安倍晋三的右翼の立場と矛盾したりそれを批判したりする場合も珍しくはない。同誌7月号に載った軍事ライターの文谷数重の論考『間違いだらけの台湾有事』もその一例で、「台湾有事は現実的にはあり得ない。日米の台湾有事論は誤っている。現状では、戦争事態が発生する危険性はむしろ少ない」と述べているが、これは私と同意見である。

彼は、21年3月に米上院の公聴会で米海軍大将が「中国による台湾回収は6年以内」と証言したことがきっかけで台湾有事論が一気に広まったが、この証言は取るに足らない内容で、まして「6年以内」と言うのはこの大将の「個人の勘」のようなものでまるで根拠がないと指摘。さらに「中国には侵略的傾向があるから台湾を侵略する」「日米同盟を強化し、防衛費を増やすべき」といった短絡した主張を繰り広げる「右派メディア、保守メディア」を、台湾有事の何たるかを知らずに騒いでいるだけとボロクソに批判するのである。

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【中島聡×けんすう】IT黎明期以来のワクワク感。世界は「Web3.0」でどこまで変わるのか?

「Windows95を設計した日本人」として知られる世界的エンジニアの中島聡さんと、アル株式会社代表取締役のけんすうさんの対談が、まぐまぐ!LIVEで配信されました。対談のテーマは『日米IT連続起業家が考えた「稼げるWEB3.0の最前線」』という今話題の興味深いモノ。今回のクロストークの模様を一部だけテキストにて特別に公開いたします。司会進行はフリーアナウンサーの内田まさみさんです。(この記事は音声でもお聞きいただけます。

※「まぐまぐ!Live」アプリでアーカイブ動画公開中。視聴方法は記事の最後で紹介しております。

<動画で対談のダイジェストを視聴>

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高校生が大人と対等になったIT黎明期

内田まさみ(以下、内田):本日は中島聡さん、けんすうさんの対談に、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。今回の配信ですが、開始20分までは、誰でもが楽しめる一般公開。そして全編をご視聴いただけるのは、中島聡さんが発行する有料メルマガ『週刊 Life is beautiful』の読者限定となります。ご登録いただいた初月は、購読料無料となります。配信終了後もアーカイブで配信を見られるので、ぜひこの機会にご登録ください。それでは、さっそく、本日の主役のお二方をご紹介しましょう。まずは、けんすうさんです。よろしくお願いします。

けんすう:こんにちは、よろしくお願いします。

内田:そして、中島聡さんです。

中島聡(以下、中島):よろしくお願いします。

内田:お二人を知らない方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれませんので、簡単にご紹介させていただきます。まず、中島聡さんからです。中島さんは、高校時代にアスキーで記事執筆やソフトウェアの開発に携わり、早稲田大学に入学されました。入学後はキャドソフト「CANDY」を開発し売却、そして卒業後はNTTに入社。その後、マイクロソフト日本法人を経て、アメリカの本社に移動。「Windows95」や「Internet Explorer」を開発。マイクロソフト退社後には、アメリカで起業した二社を売却。現在は、シアトル、ハワイ、日本を居住地とされながら、ドローン開発のベンチャー企業へ参画。最近では「Web3.0」を活用した「Nouns Art Festival」を主催するなど、最前線で活躍されています。

続いて、けんすうさんをご紹介します。浪人時代に大学受験情報の匿名掲示板「ミルクカフェ」を開設。早稲田大学在籍中には、掲示板サイト「したらば」運営会社の社長となり、事業をライブドアに売却。卒業後は、リクルートに入社。在職中にハウツーサイト「nanapi」を創業。リクルート退職後は、KDDIグループにジョインし、スーパーシップ株式会社取締役を経て、現在はクリエイターを支援するサービスを提供するアル株式会社代表取締役でいらっしゃいます。

お二人は初対面ですか?

中島:初対面です。

けんすう:もちろん、お名前は昔から存じ上げておりましたが。

内田:存在はお互いに知っていたということですね。今、私も、お二人のプロフィールを紹介しながら、似通ったところがあるんじゃないかなと。

けんすう:ちょっと似てますね。

内田:もちろん大学も一緒ということもあるんですけど、大学に入る前から、パソコンだったり、ITだったりに親しまれて、そこに未来を感じていたと思うんですが、中島さんはいかがですか?

中島:未来を感じたわけではないんですが、16~17歳くらいの頃からプログラミングが大好きになってしまったんです。

内田:けんすうさんもですか?

けんすう:僕も16~17歳ぐらいの時に、まさに「Windows95」が出始めたときに、インターネットに触れて。

内田:中島さんが作られた「Windows95」ですね。

けんすう:これは面白いなぁと思って、ホームページを作ったりしたところからハマりました。

内田:そこに色んな可能性を感じていたんですか。

けんすう:そうです。でも16歳くらいだったので、可能性を感じたからというより、高校生が発信した情報を大人が読むということが、それまで想像もできないことで、それができるようになったという感動で、ずっと遊んでいたような感じです。

内田:若い人が発信したものを大人が読む。

けんすう:そうです。高校生が何かを発信するには、インターネット以前だと本当に雑誌を作るとか、そういうレベルでしかできなかったと思うので、それが無くなったことに、すごく感動した覚えはありますね。

内田:中島さんも若い頃、アスキーとかで記事の執筆されてたんですか?

中島:そうです。南青山に事務所があって、そこに自分の原稿を持ち込んだんです。原稿と言ってもプログラムなんだけど。自分が書いたプログラムをパソコン雑誌に載せてもらおうと思って持って行ったら、可愛がってもらえて。

内田:形は違えど、若い人たちが発信するものを、ある意味、大人が受け取ることになったんですね。

中島:その時はまだ雑誌経由だったけど、高校生の自分が雑誌に記事を書けるのは嬉しいじゃないですか。

内田:自分で持ち込んだというのを聞いてビックリしました。

けんすう:やっぱりなんでも黎明期は、そうやって若い人だろうと、年齢差をあまり感じさせない仕組みになってたりするので、それが面白かったんです。

内田:もう一つ共通点と言えば、大学時代から起業されて、その後、それを売却したっていう流れも、似通っていますね。起業に至ったのは何かきっかけがあったんですか?

けんすう:2ちゃんねるを作ったひろゆきさんと、大学時代に仲良くしていて、彼がそのレンタル掲示板の仕組みを作ったんですけど、社長はやりたくないから、一番社長に似合わなそうなやつにやらせようぜってなって、僕が選ばれて、社長にさせられたっていうのが経緯ですね。

内田:一番似合わなそうな方…。

けんすう:それでやってた感じです。

内田:経営者の立場になられて、何か変わりましたか?

けんすう:何も変わらないです。当時もやっぱりインターネット上で知り合った人と、ほぼリモートで、そのレンタル掲示板をやっていました。レンタル掲示板は、あまり中央の管理が無いんです。今の「Web3.0」みたいに、それぞれの掲示板で勝手に管理者の掲示板を作って、彼らが運営をして、お客さんを連れてくるので、やることはあんまりなくて、秋葉原の(家賃)5万円ぐらいの場所にDELLのサーバーを置いて、それでやってるだけだったので、みんなあまり何もしてなかったです。

内田:そういうもんなんですね。

けんすう:そういうものなのかどうかはわからないですけど、僕がやっていた会社は、会社というほどではなく、マネジメントも含めてほぼ何もしないっていう感じでした。

インターネットの世界をリセットする「Web3.0」

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内田:これはでも中島さん、ウェブの世界で起業するのは、アイディアがしっかりしていれば、誰でも起業ができるっていうところが魅力のひとつなんですかね?

中島:それもあるけど、今「Web3.0」が注目されているのは、実は揺り戻しなんじゃないかなと思っています。というのは、インターネットの最初の頃は、自分でサーバーを立てて、ビジネスが本当にできちゃってたんです。でも、だんだんと寡占化が進んでしまい、もう今は結局、AmazonやGoogle、マイクロソフトがみんな取っちゃったわけじゃないですか。小さな人が、レンタルサーバーのビジネスをしても、今はビジネスにならないわけですよ。でも「Web3.0」になると、また一回全部リセットされるので、今、個人で面白いことができる時代がまた来たんです。

内田:大企業に集まってしまったものを、自分たちにもう一度取り戻せるという状況なんですか?

中島:そうですね。僕も会社を作って売却したんですけど、結構疲れるんです。会社を作って、お金を集めて、人を雇うと、すごい責任があるじゃないですか。僕は特に社長だったので、全責任が来るわけです。とにかく全員に給料を払うお金を毎日どこかから手に入れてこなきゃいけない。売上だろうと投資家だろうと、どこでもいいから手に入れてこなきゃいけない。それが止まったら会社がパタッと倒れるわけです。

それを僕は、あんまり面白いと思わないし、その時期は全然プログラムが書けなくて。やっぱり経営に集中しなきゃいけなくなる。二回やって、もうやりたくないなと思っているところに「Web3.0」がやってきた。少し前までは、大きなことをやろうとしたら会社を作らなきゃいけなかったのが、今、もう一回リセットがかかったんです。本当に秋葉原の5万円のところから「Web3.0」のサービスを出せるようになったんです。そこが僕はすごいことだと思う。

内田:そうすると、「Web3.0」では、色んな所から色んなアイディアが生まれてきて、より活性化する社会になるというイメージなんでしょうか?

けんすう:インターネット初期の雰囲気に近くて、その頃の人達は、やっぱり自分で色々何かできるよねと思ってやってたんです。この世代の人って、今はやっぱり「Web3.0」の流れを「すごい面白いよね」って言ってるんですけど、逆に10年ぐらい前から起業してる人はピンと来てなくて「これ何が面白いんですか?」とか「これ詐欺じゃないですか?」って言っている。やっぱりこの差が面白いですね。なので、僕的にインターネットの黎明期がもう一回来ているような感じがします。

内田:ワクワクするような感覚があるんですね。

けんすう:そうです。いかがわしいものも含めて、色々出ているのが面白いなと思ってます。

内田:それがまた、黎明期の特徴だったりもしますね。

けんすう:そうです。ほぼ詐欺じゃないかっていうのがたくさんあるので、すごい昔を思い出します。

中島:楽しいです(笑)。

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世界中がエネルギー不足に襲われるなか、中国がしのげている理由

ウクライナ紛争に起因するエネルギー不足に襲われ、その解消に右往左往する西側諸国。一方現在は欧州各国のように厳しい状況にはないという中国ですが、それは対ロ制裁に加わらなかったという理由のみではないようです。今回のメルマガ『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』では、著者で多くの中国関連書籍を執筆している拓殖大学教授の富坂聰さんが、世界に吹き荒れるエネルギー不足という逆風が当分収まらないであろうと判断する根拠を記すとともに、なぜ中国が今のところエネルギー不足を凌げているかについて解説しています。

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バイデンの中東訪問でも解決しない世界のエネルギー不足に経済減速が指摘される中国はどう備えるのか

予測されていたように中国経済の減速が明らかになった。

中国国家統計局が発表した今年第二四半期(4~6月期)の国内総生産(GDP)速報値が当初の予測より低かったことにメディアは敏感に反応した。

「中国4~6月期GDPは0.4%増 ゼロコロナで急減速」(『朝日新聞』2022年7月15日など、紙面には「減速」や「失速」の文字が躍った。

ただ一方で中国当局は「経済のファンダメンタルズはしっかりしていて長期的なトレンドは変わらない」と強気の姿勢を崩していない。問題は一過性で、戻るべき強い経済の流れは健在ということだろう。

この見立て自体は概ね当たっている。経済と感染対策を天秤にかけロックダウンを選んだのだから当然だ。また問題を指摘する一方で、それが全体のなかでどのように位置付けられるかには触れないので中国経済の先行きをミスリードしやすい。

不動産市況が悪化する度に「中国経済崩壊」と大騒ぎし、スリランカの一つの問題で「一帯一路」の失敗に結びつけようとすることなどが典型的だ。

せっかくなので少し触れておけば、ロックダウンが解除されれば中国経済は以前の強みを取り戻せるはずだ。だが問題もある。不動産もその一つだ。ただ不動産は過熱を抑える一方で経済の不動産依存体質を解消しようとしているのだから、悪いのは当然だ。焦点は悪化のペースをどう調整するのか、である。

最大の問題は個人消費だ。コロナ禍の影響もあり、人々が消費意欲を失い、貯蓄への関心が高まっている点は、V字回復を目指す当局の足を引っ張り、経済の見通しに暗い影を落としている。

加えてインフレだ。世界第二経済大国になった中国だが、李克強総理が「6億人がいまだに月収1,000元(約2万円)」と漏らした一面もある。食料品やエネルギー価格の高騰は社会の不満を一気に高める爆弾になる。

奇しくもインフレ問題は中国だけでなく世界が直面する悩みでもある。

周知のようにエネルギー価格の上昇やインフレの問題は、コロナ禍の余波であり、ロシアがウクライナに侵攻するずっと前から起きていた。

より細かく言えば、その原因はコロナ禍が一休みした段階で起きた急激な需要の回復であり、供給過少に陥ったことが大きい。ただそれ以前から世界的なコンテナ不足やチップ不足による生産の停滞は多くのメーカーを悩ませていた。

また一部の港湾では、荷下ろしが滞り、消費者になかなかモノが届かないという問題も起きていた。加えてアメリカが発動したさまざまな制裁によるブーメラン効果──対中制裁関税はほぼアメリカの消費者が負担したと地元メディアが伝えている──としてのインフレも挙げられるのだ。

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武田邦彦氏が指摘。多くの日本人が知らない対米戦争の「事実」

先の参院選に参政党の比例代表候補として出馬した中部大学元教授の武田邦彦さんは、遊説をしていて多くの日本人がさまざまな「事実」を間違って覚えていて、そのために意見がまとまらないと感じたそうです。そこで、今回の『武田邦彦メールマガジン『テレビが伝えない真実』』では、日本とアメリカの戦争について、改めて武田さんが認識している「事実」を伝えています。戦争が始まった理由については、白人相手の外交の初歩とも言えることへの不理解があったとし、ウクライナ戦争での対ロシア外交にも通じる問題だと指摘しています。(この記事は音声でもお聞きいただけます。

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「戦争」ではなく「虐殺」だ。日本人が知らないアメリカ戦争の事実

参議院議員選挙を経験してみると、ほとんどの日本人が「事実」を間違って覚えているので、意見がまとまらない。もしかすると日本人の真面目さと長い間の日本の歴史から言って、「本当のこと」をみんなが理解していれば、争いのない、勢いのある日本になるのではないか!と思った。

今回はその第1回で、「日本とアメリカの戦争」について簡単にまとめてみたい。

(1)なぜアメリカとの戦争になったのか?

多くの日本人が、なぜアメリカと戦争になったと考えているかというと、イ)日本が軍国主義だったから、ロ)真珠湾攻撃をしたから、と思っている。でも本当はもっと簡単な理由だ。

戦争になったのは、イ)アメリカも日本も中国を狙っていた、ロ)日本が先に中国に進出した、ハ)アメリカが中国の鉄道の利権をよこせと言ったのを日本が拒否した、二)日本はアメリカから石油の77%、鉄鋼の70%を買っていた、ということだ。

アメリカは「金がすべて」の国だから、お金さえ渡せば問題は無くなる。ところが日本人は「正義」が頭をよぎるので、「日本人が血を流して満州を取ったのだ」、「北中国(北支)も日本が戦って取ったのだ」と思っていたから、アメリカからの横やりに腹を立てた。

白人相手の外交は「損得」で決まり、決まった後「正義」の衣をかぶせる。そんな初歩的なことも当時の日本人には分からなかったのだ。それは今でも同じで、国際紛争や外交の問題が起きると、すぐ「正義」で頭が熱くなってしまう。

ウクライナ戦争もそうだ。ロシアがウクライナに侵入したと報じられるとカッとなる。カッとなってロシアを激しく非難するものだから、事実が次第に明らかになって、本当はウクライナが仕掛けたことが分かっても、振りかざした拳(こぶし)を下ろすことができずに、「ロシアが悪い」に一辺倒になり、円は安くなるし、石油は高くなってしまう。オッチョコチョイなのかもしれない。

アメリカとの戦争も同じだった。アメリカが欲しがったのは、中国の鉄道利権だけで、その他は日本でよいという感触だった。それは中国利権の一部にしかすぎず、戦争などになることはなかった。その前に日本は満州国の問題で国際連盟を脱退しているが、もともとアメリカは国際連盟には参加していないのだから、それも問題はない。

日本は正義とか恩とかを問題にするけれど、アメリカ人は歴史も浅く、「お金」がすべてだ。表面上は「正義、自由」などと言うのでついついそれに気を取られるが、実際のアメリカの行動はお金だけだから、本当はわかりやすい。

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人選ミス。安倍氏銃撃を防げなかった中村格警察庁長官の力量不足

多くの識者から疑問の声が上がっている、安倍元首相銃撃事件当時の警備体制。なぜ警察は、元首相という重要警護対象者を凶弾から守ることができなかったのでしょうか。今回のメルマガ『』では著者で現役医師の和田秀樹さんが、昨年9月に中村格氏を警察庁長官とした人事を批判。その理由を彼のキャリア面にも着目して解説するとともに、「中村氏が警察トップでなければ悲劇は起こらなかったのでは」との見解を記しています。

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警察トップの人選ミスが起こした悲劇

今回の事件で痛感したのは、中村格を警察庁長官にしなければこんなことは起こらなかったのではないかということだ。

たとえば私の同級生で、警察庁長官になれなかった人間に吉田尚正氏がいる。それより格下の警視総監になって警察人生を終えるのだが、まさに治安の人だった。

警察庁では暴力団対策課長や刑事局捜査第一課長をつとめ、福岡県警本部長時代には工藤会壊滅作戦を指揮した。

それに引き換え、安倍氏に気に入られたおかげで警察庁長官になった中村格のキャリアは治安とは程遠い交通畑、あるいは知能犯対象の捜査二課のキャリアだ。

フランスのフィガロ紙は7月10日、事件に関する記事で「日本の警察は、権力に近いレイプ犯の起訴を止めたことで有名な中村格氏が現在トップを務めている」とまで書いている。

実際、中村格が長官になってからやったことというと交通取り締まりをさらに厳しくしたこととポルノ弾圧である。

海外の合法ポルノをお年寄りのためにDVDに焼く店の摘発や、AV監督の逮捕など、高齢者の男性ホルモンを増やす邪魔を続けているが、治安に配備されている警察が多いとは思えない。

私の患者さんがストーカー被害にあっても「人手不足」を理由に被害届も受理されない。

こんなクズが警察のトップにいるからこのような体たらくが起こったように思えてならない。

自分の非を認める会見をしたらしいが、安倍氏への哀悼の気持ちなどさらさらないから辞任はしないだろう。

しかし、今回の事件で、警備が手薄だったのも、それ以上に一発目の銃声が聞こえて安倍氏がキョトンとしている(存命だった)のに、誰一人安倍氏の盾になろうとしないで3秒後の銃弾で安倍氏は命を落とすことになった。

フィガロが遠回しで伝えているように、中村格が警察トップでなければ、安倍氏が命を落とさずにすんだとどうしても感じてしまう。

 

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※本記事は有料メルマガ『』2022年7月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にをどうぞ。7月分のすべてのメルマガが届きます。

安倍晋三は「右派を動かせる唯一の政治家」冷え込む日韓関係に与える影響

奈良県での応援演説中に安倍元首相が銃弾に倒れたことは日本のみならず、世界中に大きな衝撃を与えました。亡くなった安倍元首相について韓国での認識はどのようなものなのでしょうか。今回のメルマガ『キムチパワー』では、韓国在住歴30年を超える日本人著者が、安倍氏の韓国内での評価について詳しく紹介しています。

安倍元首相の治績

朝鮮日報のコラム二ストにカン・チョンソク(1948年生まれ)という人がいる。今回はこの人のコラムをご紹介したい。非常に鋭く日韓関係を把握していると思う。以下がコラム全文(途中、メルマガ筆者の文章も含まれる)。

日本政府が数日前に亡くなった安倍晋三元首相の葬儀を9月に国葬で行うことにしたという。日本の葬儀は故人の家の人だけが集まって簡単に行う「密葬」と、それと間隔を置いて格式に合わせて公式に行う「本葬」の2段階で行われる。

元首相の国葬は敗戦直後、日本を率いて現代日本の基礎を固めた吉田元首相以来2人目だ。韓国の秤で測る政治家・安倍晋三の重さと、日本の秤で測る重さが大きく違うことを感じることができる。

政治家に対する国内評価と国外評価が異なるのは特別のことではない。国境を接する多くの国が数百年にわたって数多くの戦争を繰り広げ、恩怨(=恩讐)を積み上げたヨーロッパの歴史がそうだ。

戦争で領土を広げたある国の英雄は、他国では侵略の元凶と糾弾されるのが日常茶飯事だ。そうした欧州も平和が宿り、国家関係が安定するにつれて大きく変わった。アデナウアー・ドイツ首相とドゴール・フランス大統領の評価は、両国の国境を越えても大きく変わらない。

安倍元首相を韓国では「極右政治家」と認識している。首相在任期間、韓日関係が1965年の両国国交正常化以来最悪だったため、驚くべきことではない。安倍首相といえば韓国では徴用工問題、慰安婦、歴史教科書、半導体先端素材の韓国向け輸出制限を思い浮かべる人が多い。

安倍元首相が日本政界でもかなり右翼的だったとされるが、安倍イメージの相当部分は文在寅時代の「竹槍外交」によって作られたことも否定できない。

ここで竹槍外交というのは、竹槍の歌(チュクチャンガ)から来ている語だ。竹槍の歌とは、1894年甲午年の官の汚職や外国勢力を一掃して新しい自主独立国家を求める「輔国安民」の旗印をかかげた「東学農民革命」を称える歌。

2019年7月、日本の輸出規制報復措置として、大々的な不買運動が起こった当時、民情首席秘書官であったチョ・グクがSBSのあるドラマにこの歌がバックミュージックとして出ていたとしてSNSに書いたことから韓国では有名になった。

つまり竹槍外交というのは、外国勢力(=ここでは日本)を一掃して自主独立韓国を再度建てようという民族意識を鼓舞する外交。簡単に言えば反日フレームをつくって日本を叩くことによって韓国は一つにまとまろうとする極めて料簡の狭いマイナス意識ということになる。

「アイドル博」熱中症で出演者が次々倒れる。楽屋は蒸し風呂&丸見えのトイレ、ずさんすぎる運営で大炎上

7月16日から7月18日お台場青梅R地区で開催された「2022 TOKIOアイドル博LIVE」。17日には多くの出演者が熱中症で倒れ、会場に15台以上の救急車と消防車がかけつける事態となり、17時30分にステージが中止された。楽屋のテント内は蒸し風呂状態、男性用トイレにドアがないなどファンとアイドルをないがしろにする運営側の対応が次々と明らかになっている。

熱中症で倒れるアイドル&ファンお粗末な設備に失望

2017年、2018年に行われたアイドル博は日本武道館を会場にしていたが、今回は野外フェスで普段は駐車場に使われているスペースを使用しており、主催者側が熱中症対策を甘くみていたことは否めない。

さらに、金銭的な側面では出演者側から不満の声が相次いだ。

アイドルが出演するに当たっては1万円の徴収料をとり、グループのテリトリー以外のビラ配りは5万円の罰金、罰金を回避するためのパスは3万円を徴収。グループのみの専用テントは1日の使用料が2.5万円、楽屋バスはメンバー1名につき3000円の負担だったという。

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出演アイドルにも使用料を要求する理不尽と思えるルールに、開催前からキャンセルする事務所も多かった。ところが、運営側と連絡がとれず、キャンセルの申し出もできないという事務所もあったようだ。

公式サイトや連絡メールにも細かい日付や住所の間違いなどが多く雑な対応がみられた。当日、会場の住所が“青海”ではなく“青梅”と表記されており、会場を間違うアイドルやファンが続出した。

いざイベントがスタートすると、ドリンクは600円、雨用のビニールのカッパは1000円で売るという、なかなかの強気な値段。アイドルの楽屋は1テントの中に60人がひしめいてギュウギュウ詰めだったという。

会場は水着ステージというものがあり、アイドルが水着になって登場するのかと思いきや、水着になるのはなんとファンの方。しかも、もはやステージではなくただの柵であり、柵の中央にいるファンの外側をアイドルが移動していくというものだった。

また、トイレにはドアがついていないというかなり雑な作り。トイレで用を足している姿がステージからは丸見えだったという。(2日目にはドアがつけられた)

出演前のいざこざと出演中の熱中症のトラブルで出演グループのキャンセルが相次いだ今回のアイドル博。もう少し適切な運営があったのではと思わざるをえない。

それでも3日間やりきったアイドルとファンがいた

運営側の不手際で物議を醸したアイドル博だったが、実際に参加したファンたちの感想は意外にも好意的なものが多いようだ。

設備のショボさはともかく、ファンが身近でアイドルに触れる体験は貴重だということらしい。

3日間誰も倒れることなくステージをやりきったグループもおり、またキャンセル枠を埋めるために急遽出演することになったグループも、ここぞとばかりにアピールしていたという。

ファンもアイドルもトラブルも含めて楽しんだということかもしれない。

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運営側は今後もこのようなイベントを続けるとコメントを発表。今回の反省をいかし、誰もが気持ちよく楽しめるようになれれば、アイドルもファンも幸せだと思えるイベントになるだろう。