あなたの駆け引きが失敗するのは、PRどころが間違っているからだ
就職活動にせよ営業活動にせよ男女の駆け引きにせよ、とにかく「上手くいかない」と悩んでいる方、相手が何を望んでいるか真摯に考えたことがあるでしょうか。自分の売込みばかりに一生懸命になっていませんか?今回の無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』では著者で現役弁護士の谷原誠さんが、弁護活動での事例等も紹介しながら、「相手の立場に立つこと」の重要性についてわかりやすく解説しています。
自己PRの注意点
こんにちは。弁護士の谷原誠です。
自分を売り込みたい場面、というのがあると思います。就職活動であれば、自分がいかにこれまで実績を積んできて、価値ある人間であるかをPRしたいでしょう。異性にモテたいのであれば、たとえば男性であれば、自分がいかにスゴイ男かをPRしたいでしょう。営業であれば、その商品がいかに良い性能を持っているかをPRしたいでしょう。中には、自分の会社でいかに伝統があり、実績を積んでいるかをPRする人もいるでしょう。
しかし、結果を出したいのであれば、思考を転換しなければいけません。人を採用する際に、私も面接官として面接をします。多くの人は、「私にはリーダーシップがあります。それは、学生の時に…」等とリーダーシップを持っていることをPRしようとします。この場合、私の方でリーダーシップのある人を募集していなければ採用にはなりません。私が従順な人や縁の下の力持ち的な人を募集していたら、採用されないことになります。
女性にモテたい男性が、「俺はBMWに乗っているんだ。すごいだろう」と自慢している時、相手の女性は、そのことと自分はどんな関係があるのか、を考えていたりします。つまり、売り込みたい人は、「自分が価値ある存在だ」とPRしようとしますが、相手は、「自分にとってどれだけメリットがあるだろうか?」と全く違う観点から考えている、ということです。
そして、採用するのもしないのも相手の自由です。だとするならば、「あなたにとって、こんなにメリットがありますよ」とPRした方がよほど結果を出すことができるでしょう。
就職活動であれば、「私は、御社のために、このような貢献をすることができます」ということになるでしょう。女性にモテたいのであれば、「自分はスゴイ」ではなく、「自分と付き合うと、あなたはこんなに幸せになるよ」という方向になるでしょう。営業であれば、「この商品を使うと、御社は、これだけコストを削減できます」ということになるでしょう。
私たち弁護士が行う交渉も同じです。
提案をする際に、「私はこれを望んでいる」と言っても、全く相手に響きません。いかに相手にメリットがあるか、あるいは、この提案を拒絶した場合には、いかに相手にデメリットがあるか、が伝わるように行うのが重要な点となります。
私たちは、どうしても自分の世界からしか物事を見がちになりますが、相手と合意したい場合、相手に決定権限がある場合などには、相手の立場から物事を見ることが大切だと言えるでしょう。
「成功の秘訣があるとすれば、それは常に相手の立場を理解しようと努め、相手の立場から物を考えるようにすることです」
(ヘンリー・フォード)
私の新刊です。
『人生を変える「質問力」の教え』(WAVE出版)
今日は、ここまで。
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