後手に回って結局「誤報」。北のミサイルすら見失う自衛隊の役立たず

4月13日、北海道全域に鳴り響いたJアラートの避難を呼びかける音声。結果的に日本への着弾はなく事なきを得たものの、ミサイルを見失った自衛隊の能力が問われる事態となっています。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』ではジャーナリストの高野さんが、自衛隊の危機察知・対応能力のお粗末さを厳しく批判。軍としての最低限の力もない自衛隊に「敵基地攻撃能力」を持たせることなど無意味でしかない、との厳しい見解を記しています。

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2023年4月17日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

敵基地攻撃能力など持つだけ無駄。間抜けな日本の危機察知・対応能力

陸上自衛隊で最強とされる第8師団の司令官以下、中心幹部10名を載せたヘリコプターが4月6日、宮古島周辺で忽然と姿を消し、1週間経ってもどこへ行ったか分からなかった事件と、北朝鮮が13日に発射したICBMらしきものを自衛隊のレーダーが捉えた直後に画面上で見失い、どこへ行ったか分からなくなって、自棄のやんぱちで北海道全域にJアラートを出してしまった出来事とは、全く同質の問題。つまりは日本自衛隊には軍としての最低限のまともな危機察知能力も危機対応能力も備わっていないということである。

こんな有様をそのままにして、いくら防衛費を倍増して最新兵器を買い与えても何の役にも立たないし、ましてや「敵基地先制攻撃能力」など持たせても無駄な戦争を引き起こすだけで百害あって一利もないことが、これでますます明らかになった。

クソの役にもたっていない日本のミサイル探知システム

今回の場合、北朝鮮は午前7時22分頃にロケットを発射し、それからたぶん数分後(と思われるが正式発表がないので不詳)に自衛隊のレーダー網で捉えたが、松野博一官房長官の記者会見での発言によれば「探知の直後にレーダーから消失していた」。

「直後」というのがどのくらい直後で、従って、自衛隊のレーダーがそれを捉えていたのが数十秒なのか数分間なのかも(正式発表がないので)分からないが、その短い間に得られたデータを元に防衛省のシステムが予測軌道や落下地点を自動計算した結果、北海道方面に8時頃に落下する可能性があると判断、内閣官房が7時55分頃になって「Jアラート」を発出した。が、現実にはどこかに何かが落下して来たという確認は取れないまま、落ちて来るならとっくに来ているはずだという時間が過ぎた8時20分頃に「落下の可能性がなくなった」と“訂正”を出した。

問題点は3つ。

第1に、北朝鮮がミサイルを発射したということを日本が自分で察知する能力はなく、専ら米国の早期警戒用の静止衛星に頼るしかない。

偵察衛星には2種類あり、

  1. 高度200km前後の低軌道を飛んで地上の30cmかそれ以下のものまで撮影できるが1日に1回程度巡回するだけのいわゆるスパイ衛星
  2. 3万6,000kmの静止軌道上にあって特定地域を常時監視し、赤外線装置によってミサイル発射や核爆発などの熱源を感知する早期警戒衛星

がある。が、後者は何かしらが発射されたことを赤外線感知するだけ。その情報が、米航空宇宙防衛司令部から横田米空軍基地内にある在日米空軍司令部&航空自衛隊司令部=日米共同作戦センターにもたらされ、やがて米日両軍のレーダーシステムが北のミサイルを捕捉することになるが、地上ないし海上(のイージス艦の)レーダーは地平線から上に出てきたものしか捉えることができないので、それまでに若干の時間差が生じる。

今回の場合は、ICBMの発射実験で、それを真っ直ぐの軌道で撃てばハワイかロサンゼルスかに届いてしまう危険があるので、ロフテッド軌道〔わざと垂直に近い上空に打ち上げる〕で日本海に落としたり、日本列島を飛び越えて北太平洋に落とすなどして発射と制御の精度を試す実験をする。これが実験だったからいいようなものの、本当に日本を攻撃目標としたミサイル攻撃であった場合、こんなにノンビリして、後になって「あれ?間違いでした」とか言っているのでは到底間に合わず、たぶん数分、長くても6~7分程度で核弾頭か通常爆弾を装着したミサイルは日本に届いている。つまり今のシステムはクソの役にも立っていないということである。

さらに、「敵基地攻撃能力」との関係で言えば、そのように敵の対日攻撃の予兆の察知、及び発射の事実確認を自分では出来ずに他国に頼るというのは、ほとんど信じられない能天気で、自国の運命を誰かに預けるという売国的行為でさえある。想像して貰いたい。仮に米国が邪悪な意図を持って、日本と北朝鮮を戦争させたいと思えば、北がミサイルを撃ったというフェイクの初発情報を流せばいいわけで、赤子の手を捻るようにこの国の運命を左右することができる。

だから米国に頼らない完全武装の自主防衛態勢を目指すのか、それとも武力で歪み合う東アジアの安保環境を外交戦略として克服して行こうとするのかが、根本的な選択肢である。

この記事の著者・高野孟さんのメルマガ

欧州は黙認か。中国に台湾侵攻を決意させたマクロンの「余計な一言」

開戦から400日以上が経過した現在も、激化の一途を辿るウクライナ戦争。東部のバフムトでは露軍の優勢が伝えられていますが、ロシア国内では不協和音が響いているようです。今回のメルマガ『国際戦略コラム有料版』では日本国際戦略問題研究所長の津田慶治さんが、ロシアの有力者たちが上げ始めた露軍批判の声を紹介。さらに台湾や中東でも、ごく近い将来に戦火が上がる可能性を指摘しています。

台湾と中東でも上がる戦火。世界が再び迎える戦争の世紀

ロ軍は、バフムトとアウディーイウカ、マリンカの3拠点の攻撃に絞り、徐々に防御の方向にシフトしているのは、先週と同じ。

バフムト方面

ウ軍はバフムト市から撤退して良いが、ワグナー軍とロ軍空挺部隊の多くに損害を与えることに価値を見出している。ワグナー軍は攻撃を市内に絞り、市内中心部を確保しバフムト駅の攻防になっている。プリゴジンは、市内の80%をワグナー軍が占領したと言う。しかし、ワグナー軍がビルに侵入すると、ウ軍は撤退しながら、そのビルごと破壊して行く戦術になっている。

対して、ロ軍は、市内にテルミット焼夷弾を打ち込んで、ウ軍の排除を行っている。しかし、損害無視のワグナー軍が優位になっている。しかし、ワグナー軍は市内の東側での戦闘しか要員を割り当てられていない。他はロ軍空挺部隊であり、その攻撃をウ軍は撃退し続けている。ワグナー軍とロ軍空挺部隊では戦闘能力には大きな差がある。

そのワグナー軍は、徐々に数が少なくなり、市郊外の戦闘をロ軍に交代して、市内東側に移動させたようである。このため、市外での攻撃は減り、ウ軍が優勢になっている。

市外北西では、ボダニウカとクロモベにロ軍が攻撃したが、ウ軍は撃退しているし、市外南西では、ロ軍の攻撃もない。

このような状況であり、プリゴジンは「ウ軍がバフムートを離れる兆候はない」とし、周辺のロ正規軍は、引き続き郊外地区を守り、ワグナー軍を支援するよう求めた。

その他方面

バフムトに兵員を集めていることで、クレミンナ方面やリシチャンスク方面での攻撃が少なくなっている。しかし、クピャンスク方面では、リマンペルシーをロ軍が占領したことで、徐々にクピャンスクに近づいている。

アウディーイウカ周辺で、ロ軍は損害が大きく、攻撃を控えているようである。セベルネだけに攻撃したが、ウ軍に撃退されている。プレヴォマイシケはウ軍が奪還したようだ。

マリンカにもロ軍が攻撃しているが、ウ軍は撃退している。この地点は、数か月攻撃をしているが、ロ軍は前進できないでいる。

宇国防安保委員会のダニロフ氏は、クリミアで発生する謎の爆発について「ウクルオボロンプロム(ウクライナ防衛産業体)は新型兵器の開発やテストに従事しており、何らかの兵器のテストが行われるなら我々の領土で実施されるため、新型兵器のテストがクリミアで実施される可能性を否定できない」とした。また、クリミアのロ軍が、塹壕を掘っても絶対に助からないとした。

この記事の著者・津田慶治さんのメルマガ

腰抜けニッポン。中国の邦人“不当拘束”に抗議が「控え目」な岸田政権

中国で相次ぐ、不当と言っても過言ではない外国人の拘束。現在も5人の日本人が満足な説明もなく収監されていますが、国内メディアではほとんど取り上げられないのが現状です。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤先生が、NYタイムズが伝えた6年間服役させられていた邦人に関する記事を紹介。その上で、腰が引けていると思わざるを得ない日本外交の弱さを疑問視しています。

中国に拘留される日本人

大手製薬メーカーのアステラス製薬社員が中国でスパイ容疑で拘束されました。

これに関連してNYタイムズが4月13日に記事を出しています。

スパイ容疑で中国に拘束されて昨年10月に帰国した鈴木英司氏に関するものです。

スパイ容疑で日本人を拘束する中国

 

鈴木英司さんは、スパイ容疑で中国の刑務所に6年間服役していた。氏は「日本は自分を裏切った」と言った。

 

中国の外国人に対する投獄を数値化することは難しいが、北京は異常に多くの日本人をスパイ容疑で拘束しているようだ。

 

日中友好団体の元会長である鈴木氏の場合、逮捕されたのは2016年の中国への旅行中で、1983年に初めて中国を訪れて以来、200回以上訪れていたうちの1回であった。

 

これらの訪問で、彼は多くの中国の学者やトップと親しくなり、李克強前首相にも2度会ったという。その後、大学で中国に関する講義をしたり、戦後の日中関係正常化に関する本を翻訳したりしている。

 

しかし、中国が外国人に対する警戒心を強めるにつれ、そうした人間関係や資格が彼を疑いの対象にしたと彼は言う。

 

日本の大学から帰国した中国人教授20人近くが逮捕されるなど、中国政府が中国に関する学術研究を統制しようとする動きを強めている中で、鈴木氏は自分が標的にされたと考えている。

 

鈴木さんは北京から帰国する準備をしていたところ、私服の男たちにバンに放り込まれ、7カ月間、非公式に拘束され、取り調べを受けた。

 

その間、部屋の電気は寝ているときも消されることはなく、太陽は一度だけ、わずか15分ほどしか拝めなかったという。

 

日本の領事は月に1度、鈴木さんを訪ねてきた。

 

しかし、彼らはほとんどサポートをしてくれなかったという。外交官の一人に、自分のことを公表してほしいと頼むと、叱られたそうだ「“これ以上有名になりたいのか”と言われました」

 

昨年10月、ようやく帰国した彼は、自分の拘束についてほとんど誰も聞いていないことに気づいたという。

解説

私も鈴木氏が中国から帰国したことはニュースで知っていたのですが、それほど大きな話題になることもなかったという印象です。

日本のマスコミの中国に対する忖度があったのかもしれません。

鈴木氏にすれば「北朝鮮の拉致被害者と同じようなものではないか。なぜもっと大きく取り上げてくれないのだ」という気持ちがあったのでしょう。

今回、アステラス製薬の社員の拘束で、あらためて中国に6年間拘禁された鈴木さんにNYタイムズがスポットライトを当てた形です。

この記事の著者・大澤裕さんのメルマガ

中国と韓国にも喰われる始末。なぜ日本の製造業はここまで凋落したのか?

かつては世界が羨み嫉妬した経済大国も今は昔。その凋落ばかりが語られ国民生活も苦しくなる一方の日本ですが、なぜ我が国はここまでの惨状に陥ってしまったのでしょうか。今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では元国税調査官で作家の大村大次郎さんが、国際データを読み解きつつその原因を考察。そこから明らかになったのは、製造業の労働生産性の低下を招いた「ある理由」でした。

※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』の2023年4月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール大村大次郎おおむらおおじろう
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

なぜ日本の製造業は中国、韓国に喰われたのか?

日本経済は、バブル崩壊以降低迷していると言われています。特に平成時代は、「失われた30年」とさえ言われ、世界における日本の存在感は年々薄くなり、国民生活は年々厳しくなっています。

バブル期には、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」とも言われ、日本は世界経済を席巻する存在でした。日本の工業製品は世界市場で圧倒的な強さを示し、電化製品や自動車は世界中に溢れていました。

そして日本の経済成功により溜まりに溜まったジャパンマネーは、世界経済の動向に大きな影響を与えるようになっていました。欧米の有名企業を日本企業が傘下に置いたり、世界の主な都市の象徴的なビルディングを日本の企業が買収するようなことも多々見られました。

たとえば、アメリカ・ニューヨークの象徴ともいえる「ロックフェラーセンター」を日本企業が保有していたこともあったのです。ロックフェラー・センターというのは、ニューヨーク・マンハッタンの中心部の約8万平方メートルの敷地に、19の商業ビルを隣接させた複合施設です。

アメリカの大企業家であるロックフェラーが、その財力によって1930年から建設を始めたものであり、アメリカの豊かさを象徴する建造物群でした。

またベルリンの壁の跡地には、日本のソニーが巨大な複合商業施設「ソニーセンター」を建設し、ベルリンの新しい名所ともなっていました。

日本の一人勝ち状態は、世界の羨望とともに「日本バッシング」として、激しい批判を浴びることもありました。

現在では、そういう話は完全に過去のものとなっています。日本の工業製品は世界市場から次々と退場していき、中国、韓国、そのほかの新興国にその座を奪われつつあります。かつて日本は、世界の工場と言われたこともありましたが、その名称は今は中国や東南アジア諸国のものになっています。

ロックフェラーセンターもソニーセンターも、その大半が日本企業の手から離れています。本当に日本経済は低迷しているのでしょうか?もしそうならば原因は何なのでしょうか?

今号から数回に分けてそれを国際データから読み解いていきたいと思います。

この記事の著者・大村大次郎さんのメルマガ

『はだしのゲン』の作者が語った「戦後の少年犯罪1位は広島」のワケ

原爆による被爆体験が描かれた『はだしのゲン』を広島市教育委員会が平和教材から削除しました。広島を選挙区とする岸田文雄氏が首相のときの出来事として“象徴的”と評するのは、辛口評論家として知られる佐高信さんです。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では、『はだしのゲン』原作者の中沢啓治氏が別の著作で語っていた衝撃の内容を紹介。佐高さんは、広島の原爆孤児6000人が7年も放っておかれたことなど、岸田首相は知らないのではないかと疑っています。

「岸田晋三」はヒロシマを語るな

広島市教育委員会が『はだしのゲン』を小学3年生の平和教育教材から削除するという。それを講談にした神田香織が怒っているが、広島が選挙区の岸田文雄ならぬ岸田晋三が首相の時にそうなるのも象徴的だろう。原爆を落としたアメリカに忖度しまくっている岸田がそれを止めるはずもない。

広島サミットなどと言っても、岸田は広島が地元と名乗る資格はないのである。多分、『はだしのゲン』の原作者の中沢啓治が『はだしのゲンはピカドンを忘れない』(岩波ブックレット)で語っていることなど、まったく知らないに違いない。

中沢は1938年に広島で生まれ、小学1年生の時に被曝する。そして漫画家になり、『はだしのゲン』を発表したが、これは24ヵ国語に翻訳されている。

前記のブックレットは読むのも辛い被爆体験を描いているが、とりわけ衝撃的なのは、奇跡的に助かった中沢の母親が1966年に亡くなった時、焼いたら頭蓋骨も骨もまったくなかったということである。

それだけではなく、母の死を知ったABCC(米国原爆傷害調査委員会)がすぐに駆けつけてきて、内臓をくれとしつこく食い下がった。これには中沢の兄がこう言って怒りを爆発させたとか。「何をぬかすか、原爆を落とした上に、おふくろの体まで取っていくのか」。

中沢はこんな驚くべき指摘までしている。

「広島の医者がなぜ被爆者をABCC機関に紹介するかといえば、被爆者を紹介するとアメリカのいい医療品がタダでもらえるからです。その医療品を、今度は被爆者とか一般の人に売りつけて、もうけるわけです。だからせっせと被爆者をABCCはその生き残った被爆者のデータを全部とりまくるのです。そして、その大事な部分は、日本人にはまったく公開せずに、ワシントンにある研究所に全部送って、自分たちの核戦争に備え、利用しているのです」

このブックレットは1982年に発行されているが、中沢は2012年に亡くなった。

中沢は原爆孤児についても語っている。焼け野原の広島におよそ6,000人の原爆孤児が生まれた。盗みもできず、まじめでおとなしい孤児たちは広島の駅前に集まる。栄養失調で死を待つだけだったが、元気のいい孤児は悪とされた世界に入った。生き延びるためにである。だから、戦後の少年犯罪のトップは広島だった。中沢の悲鳴のような声を引こう。

「孤児たちに救いの手が伸びてきたのは、なんと原爆投下後7年もたってからでした。7年後になって、原爆孤児を何とかしようという運動がやっと起きだしたのです。それまでの間、救いの手は何にもありませんでした。私も母親が生きてなかったら、あの集団の群れの中にまちがいなく入っていたはずです。一歩間違ったら、私はヤクザか、人殺しか何かやって、野垂れ死にしていたでしょう。栄養失調で死んでいくか、犯罪者になって生きるかどっちかの道を選ばなければならなかったのです」

この記事の著者・佐高信さんのメルマガ

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音楽史に残る派閥争いも結局「内向派」と「外交派」の争いと思う訳

人間同士にはさまざまな揉め事が起こりますが、その中身を突き詰めてみると、「外交的な人」と「内向的な人」の間で起きていることが多いようです。今回のメルマガ『東南アジアここだけのお話【まぐまぐ版】』では、マレーシアに11年以上滞在する文筆家で編集者の、のもときょうこさんが、放っておいてほしいのに“良かれと思って”誘ってくる「外交的な人」の厄介さを指摘。音楽史に残るブラームス派とワーグナー派の争いも、音楽性より社交性の違いが根本にあるとの見方を示しています。

「外交的な人」「内向的な人」は交わらない方が幸せかも

日本でもマレーシアでも、とにかくよくある揉め事が相性によるトラブルです。日本人同士でもマレーシア人同士でも見かけます。「社交は人数と回数が多ければ多いほどいい」と思ってる人と、「一人でいたい」とか「ごく少数の人との関係があればそれでいい」と思っている人、合わないんです。

「外交的な人」と「内向的な人」は交わらない方が幸せだよなーと思います。今風にいうと、「陰キャ」「陽キャ」かもしれません。「モテたい」「友達がたくさんほしい」と思ってる人は多分前者です。「孤独でOK」「家族がいればOK」と言ってるのは後者です。後者には「モテ」なんて面倒なだけです。

「みんなにモテたい、誰一人にも嫌われたくない」という人がいます。でも、パートナーは1人いれば、その後のモテとかいらんし、友達は少数でも問題ありません。むしろ苦手な人、めんどくさい人が周りにいると苦しくなるばかりなので、「苦手な人にはちゃんと嫌われた方が人生楽だよ」と言いたいです(野本響子Twitterより)

トラブルは、外交的な人が内向的な人を誘うことでよく起きる

マレーシアでも、前者が後者を無理やり誘ってトラブルになるケースが多いです。私もパーティーやママ友の集まりが苦手で、途中で帰ることも多いです。何度言ってもしつこく誘われて、恥ずかしながら大喧嘩したこともあります。

ところが、先方は、良かれと思って誘ってくれてるため、話が噛み合いません。「陽キャ」な人は、もともと「たくさんの人にモテた方がいい」「人脈は多い方がいい」と思ってるのに、後者は「放っておいてくれるのがありがたい」と思ってるんです。

この争い、実はあちこちで起きているなーと思っていて。19世紀音楽史に残る大きな争いがありましたが、まさにこのパターンかも。

音楽史にもあった「内向派」と「外交派」の争い

有名な19世紀のブラームス派vsワーグナー派の争いです。公式には、絶対音楽(純音楽)対未来の音楽(楽劇)であり、自由主義者の親ユダヤ派(ブラームス・シューマン)とドイツ民族主義で反ユダヤ派(ワーグナー・ブルックナー)の争いでもあったようです。

しかし最近伝記などを読み返してみると、政治や音楽性の前に、勝手ながら、これも「内向派」と「外交派」の争いな気がするんですね。

シューマン夫妻・ブラームスは、静かな人間関係を好む人たちです。シューマンは、「家庭と音楽があれば何もいらない」と言って、実際にその通りの生活をした人でした。子どもは8人もいて、ほぼ家から出ずに静かな生活を好んだ人です。ブラームスに至っては独身主義者でした。

一方、リストはサロンで騒々しく派手に生きるのを好む人でした。愛人を囲ったり、豪華なパーティーを好んだようです。ワーグナーも他人の奥さんを取ったり、匿名で自分を褒める手紙を書いたり、浪費家で借金を踏み倒したり、政治演説したりしてます。

どうですか。なんか近くないでしょうか。

この記事の著者・のもときょうこさんのメルマガ

能年玲奈の存在をなかったことにする“天下のNHK”前代未聞の対応

ファン待望の新作映画『首』の完成報告会見の場で、北野武監督がNHK『どうする家康』をこき下ろし話題に。NHKといえば、最近ある対応がきっかけで視聴者から批判を浴びました。この問題について、芸能記者歴30年のベテランジャーナリスト・芋澤貞雄さんが解説します。

北野武が『どうする家康』を“間抜け”な本と批判?

“お蔵入り”か…と映画関係者たちの間で囁かれていた、『アウトレイジ最終章』から6年ぶりの、北野武監督作品『首』の完成報告会見が開かれました。ファンにとっては“長すぎる春”といった趣でしょうか。

製作費用15億円を巡る軋轢や、『東京五輪2020』の裏金問題で長期拘留中の角川歴彦容疑者を製作総指揮にクレジットするか否かがクリアになったわけですね。

また、北野監督がキャスティングの段階で最後までこだわった明智光秀役も、結局渡辺謙ではなく西島秀俊で落ち着いたようです。

西島は今やアカデミー賞国際長編映画賞受賞作品の主演男優ですが、世界的な認知度を確かなものにした北野監督の『Dolls』から約20年経ったとはいえ、恩師に“スケジュール、何とかなるよね…”と直接言われれば、例えスケジュールの空白は無かったとしても“No”とは言えないでしょう、それが監督と役者間の“仁義”というものですから。

しかし邦画時代劇に客が入らない時代に、15億円は破格の予算と言えるでしょうね。最近では木村拓哉主演の『THE LEGEND & BUTTERFLY』に次ぐ製作費です。

会見に集まったマスコミ関係者は、北野監督がこの『レジェバタ』に言及すると期待していたわけなのですが、何故かその矛先は『嵐』松本潤の『どうする家康』に向けられていました。

“人間の業や汚さ、男同士の愛、権力のための殺人が一切描かれていない間抜けな歴史本”だと…。

この発言で、私は『いだてん~東京オリムピック噺~』を思い出しました。

史上最低の平均視聴率8%ちょっとの、六代目中村勘九郎とビートたけしの大河ドラマです。

このドラマでビートたけしは“落語界の神様”の異名を持つ古今亭志ん生を演じたわけですが、本人的には演出や編集に強い“消化不良”を感じていたことは明らかでしょう。

北野監督が何故『レジェバタ』ではなく『どうする家康』に矛先を向けたのか…私は本意ではない製作陣からの演出に“大河史上最低視聴率作品の主演役者”というレッテルを貼られてしまった怒りだと解釈しました。それは4年経った今でも収まるわけがないほどの屈辱だったのではないかと。

ちなみに『いだてん~』の脚本家、宮藤官九郎は以来、単発ドラマしかNHKでは書かせてもらっていません。幹部連中もクドカン起用に及び腰になっているのでしょう。

『たけしのその時カメラは回っていた』は昨年春に終了、クドカンの連続ドラマ脚本はゼロ…これがNHKに“黒歴史”を作ってしまった関係者への“返礼”なのでしょうか。

『あまちゃん』番組紹介コーナーに能年玲奈の写真がない理由

そういえば4月3日から、BSプレミアムで『あまちゃん』が再放送されています。そのアーカイブス内の番組紹介コーナーを見た私は驚いてしまいました。

主演の“のん”(当時の能年玲奈)と『ピエール瀧』の写真だけが無かったからです。

ピエールは仕方ないとしても、主演女優の写真がない番組紹介なんて前代未聞です。

NHKにも“観る気が失せた”という意見が寄せられたらしいのですが、関係者によれば“能年名義の写真は前事務所が権利を持っているから使えない”大人の事情のためだという事らしいです。

7年前の独立問題が天下の国営放送局にまで影響しているとは…呆れるというか、驚いてしまいます。

これは能年時代の“のん”を知らない若年層への『あまちゃん』と、神木隆之介というヒーローの『らんまん』をカップリングして相乗効果で視聴率を上げていこうとするNHK側のプロモーション方法だというのですが、アーカイブス内の番組紹介を見てしまった私には不快感しか感じられませんが、皆さんはどう思われますか?

北野監督が『どうする家康』にチクリ!とやりたくなる気持ちもわからないではない…と感じてしまった私です。

編集部注:2023年4月17日現在、『のん』の写真のみ掲載されている

プロフィール:芋澤貞雄
1956年、北海道生まれ。米国でテレビ・映画のコーディネーター業を経て、女性週刊誌などで30年以上、芸能を中心に取材。代表的スクープは「直撃! 松田聖子、ニューヨークの恋人」「眞子妃、エジンバラで初めてのクリスマス」。現在も幅広く取材を続ける。https://twitter.com/ImozawaSadao

記事提供:芸能ジャーナリスト・芋澤貞雄の「本日モ反省ノ色ナシ」

image by:Dick Thomas Johnson from Tokyo, Japan, CC BY 2.0, via Wikimedia Commons

巨人・原辰徳の“優柔不断采配”に選手も怒り「最下位濃厚」「日ハムよりひどい」の声

プロ野球が開幕して2週間以上が経過したが、3年ぶりのリーグ制覇を狙う巨人が早くもピンチである。16日の中日戦に敗れての最下位転落に「今年の巨人は見ていられない」とスポーツ紙の記者は語る。浮上のきっかけを掴めない要因は何なのだろうか。

原辰徳の采配に疑問視

開幕15試合で5勝10敗という成績の巨人には厳しい指摘が多い。その一つに「原辰徳監督の采配」がある。

「昨日、テレビで落合博満さんが語っていたことがすべてではないでしょうか」と話すのは、冒頭の記者だ。

「不調の坂本勇人選手に振り回されている原監督の采配にはがっかりです。落合さんも指摘していましたが、坂本選手を6番や3番にしたり、早い段階で途中交代させたり、起用法に軸がありません。結果、日によって打順が変わったり出られなかったりと、他の選手に悪い影響が出てるのは間違いない。優柔不断采配ですね」

坂本勇人といえば、巨人の顔とも言えるスター選手である。だが、今季の不調は野球ファンなら誰もが知るところだ。

「生え抜きのスター選手だから優遇するのは分かるのですが、使うなら使う、調整させるなら一度ファームに落とすなどしないと、本人もやりづらいと思います。勢いのある若手の門脇選手や中山選手も、坂本選手の調子次第で出たり出なかったりじゃ不憫ですよ。チームは悪循環に陥ってると感じます」

主力のモチベーションが低下する理由

前出の記者は、坂本を始めとする主力選手の雰囲気についても言及する。

「同じく不調の丸選手など、主力のモチベーションがそもそも上がっていないのでは? とも、試合を観ていて感じます。そうなると、若手も居づらくなりますよね。こういったチームが暗い状況でベンチに必要なのはソフトバンクから移籍してきた松田選手なのですが、先日2軍に降格してしまいました。『そこじゃないだろ!』の声は我々の中でもありましたよ」

別の記者はモチベーション低下についてこう分析する。

「ズバリ、原監督の影響です。先日はベテランの松田選手をプロで守ったことがないセカンドにつかせました。監督は今季にかける思いが強く、どんなことをしてでも勝ちたい、優勝したいという気持ちがあるんです。ただし、その方法に選手が付いてきていないのが現状です。坂本選手の起用法が確立していないことや松田選手への采配など、選手は相当苛立っていると思います。今季17年目になりますが、監督としての限界がきているのかもしれません」

そして、今の巨人は「あの若手チームにも劣る」可能性もあるという。

「主軸が清宮、野村、万波の超若手打線、日本ハムと同等レベル……劣るかもしれませんね。仮にセ・パが混合だったら、最下位になるのはどちらかと予想します。まだ始まったばかりだけど、今のままでいくと今年の巨人はセ・リーグ最下位濃厚。日ハムと違って、巨人は坂本、岡本、中田、丸といったスター選手を擁する球団ですからね。なんとか頑張ってもらいたいですよ」

良くも悪くも注目されやすい球団だけに、このままでは批判が続くことは間違いないだろう。通算17年目の指揮を執る原監督の手腕に期待したいところだが、果たしてどうなるか。

image by:Ship1231, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons

和歌山で襲撃された岸田文雄首相が原点に帰って「取り戻す」べきこと

15日、岸田文雄首相(65)が選挙の応援で訪れた和歌山市・雑賀崎漁港の演説会場で筒状の物を投げ込まれた事件に驚いた方も多いのではないでしょうか。この事件について「容疑者のやり方は許せない」と怒りをもって語るのは、国際関係ジャーナリストの北野幸伯さん。しかし、北野さんは今回の“暗殺未遂”の件とは別に「岸田総理には国民の怒りを知ってほしい」と、自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で語っています。

岸田総理の「胆力」と「体力」には驚き

15日は、本当に驚きました。皆さんも驚かれたことと思います。和歌山市で、岸田総理のすぐそばに爆発物が投げ込まれた件です。

兵庫県川西市に住む職業不詳の木村隆二(24)が、威力業務妨害の疑いで現行犯逮捕されました。

「威力業務妨害」とは実力行使によって他人の業務を妨害する行為です。「実力行使で岸田総理の業務(演説)を妨害した罪」ということなのでしょう。

しかし、投げ込まれたものは「鉄パイプ爆弾」との報道もあります。そうだとしたら、「暗殺未遂容疑」の方が正しいのではないでしょうか。木村容疑者が何を語るのか、注目したいと思います。

いずれにしても、岸田総理が無事で何よりでした。

事件にも関わらず、総理はその後も予定通り日程をこなしました。事件から1時間後には、すでに和歌山駅前で演説していた。その後、なんと千葉県2か所で演説されています。その「胆力」と「体力」はすごいですね。

岸田総理に知ってほしいこと

安倍元総理が暗殺されたのは、昨年7月8日でした。そして、今回は岸田総理の(おそらく)暗殺未遂事件。

安倍元総理の暗殺にも関わらず、簡単に総理の真横に爆発物を投げ込むことができる。恐ろしいことです。警備体制を抜本的に変える必要があるでしょう。

もう一つ。これは、今回の事件とは、直接関係のない話ですが。

岸田総理、世界情勢の認識は真っ当ですが、日本国内の情勢については、かなり国民とずれている気がします。どういうことでしょうか?

ここ数年の動きを見てみましょう。

まず、2019年、消費税率が8%から10%に引き上げられました。2020年、2021年、新型コロナパンデミック大不況が日本と世界を襲いました。2022年、ウクライナ戦争が引き起こしたインフレが日本と世界を襲いました。日本国民はここ4年間、次から次へと襲いかかる危機に苦しんでいるのです。このことについて、岸田総理は、とても理解が浅いのだと思います。

なぜ、そのことがわかるのか?防衛増税を決めたからです。国民の状況が本当にわかっていたら、増税できるはずがありません。

防衛費増額について、岸田総理によると、約4分の3は「歳出改革」「決済剰余金」「防衛力強化資金」で賄うことができる。残りの約4分の1を増税で賄うそうです。

いや、それなら、「歳出改革」「決済剰余金」「防衛力強化資金」で賄える金額だけ防衛費増額に充てればよいのでは?なぜ、増税して、「消費増税」「パンデミック大不況」「ウクライナ戦争インフレ」で苦しんでいる国民の「息の根を止める」ようなことをするのでしょうか?

この防衛増税の後、岸田総理への不信感は、一気に高まりました。

岸田総理が、「異次元の少子化対策!」という。国民は、「増税したいから異次元の少子化対策をもちだしてきたのでは?」と考える。総理が「花粉症対策を!」といえば、国民は、「花粉症対策を口実に増税するのでは?」と考える。

多くの人々が、「増税するくらいなら、少子化対策も花粉症対策もいらない。何もしなくていいから、増税しないでくれ!」と考えている。

私には、木村隆二容疑者の動機はわかりません。しかし、それとは別に、岸田総理は、

・消費税引き上げ、新型コロナ大不況、ウクライナ戦争インフレで国民はとても苦しんでいる
・この苦しみを理解せず、「防衛増税」を決めた岸田総理に多くの国民は怒っている

この二つを理解しておくことは、日本国の総理大臣として絶対に必要なことです。要するに、「これ以上増税しないでください」ということなのですが。

私は、岸田総理が無傷でとてもよかったと思います。総理の外交を支持します。木村容疑者のやり方は絶対に許せません。

その上で、総理は原点回帰され、もう一度国民の声を、【聞く力】を取り戻していただきたいと思います。

(無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』2023年4月16日号より一部抜粋)

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意外?中国のマスコミが日本共産党・志位和夫を評価するワケ

近年、世界的なスターや起業家が日本で隠居生活を送っていることが明らかになっています。彼らは日本でどのような生活をしているのでしょうか? 今回のメルマガ『黄文葦の日中楽話』で紹介しています。

中国共産党は、日本共産党をどのように眺めている?

Question

中国共産党は、志位委員長の日本共産党をどのように眺めているのですか?

黄文葦さんからの回答

中国共産党は意外にも好きでも嫌いでもなく、理性的客観的に日本共産党を認識しています。近年、日本共産党は時々中国共産党を批判していました。「国際社会の懸念を強める中国の行動。日本共産党はこれまで一貫して、こうした平和や民主主義、人権保障に逆行する中国の危険な動きを、事実に基づき、国際法にのっとって、厳密で理性的な批判を加え、事態の打開の方策を提案してきました」。(『赤旗』より)

しかし、中国共産党は日本共産党に対し、あまり反論・批判をしていないです。日本共産党は参、衆議院の選挙で、議席数が増えた時に、中国政府のマスコミは積極的に報道し、日本共産党の「野党共闘」の仕組みの有効性を評価しました。「日本共産党は現在、日本の第4の政党であり、日本の左翼政党を代表する政党です」とは、中国マスコミの公式見解です。

中国共産党と日本共産党は、社会主義・共産主義への見晴らしを共有すると見られます。ただし、同じく共産党の名前を有することになっても、中国共産党が日本共産党とのコミュニケーションを望んでいないらしいです。

実に、文化大革命期間中、毛沢東は、かつて日本共産党を敵視していました。毛沢東は1966年7月の演説で、「現代ソ連修正主義、アメリカ帝国主義、宮本顯治修正主義グループ、佐藤栄作反動内閣」という4つの敵の存在を明言しました。

その背景には、1966年3月に訪中した日本共産党の宮本顯治議長が、中ソ極論において日本共産党が中国共産党を明確に支持するよう上海で毛沢東が個人的に求めたことを拒否したことがあります。こうして日本共産党は、ソ連やアメリカよりも、さらには中国と敵対していた佐藤栄作内閣よりも危険な敵になりました。

そして、日中共産党の関係は非常に緊迫し、この後の8月、日本共産党は中国駐在代表と「赤旗」中国特派員を北京から引き上げたが、日本共産党駐在代表と「赤旗」中国特派員は北京首都国際空港で紅衛兵に包囲されて殴られ重傷を負ってしまい、両党関係は完全に断絶してしまいました。

その後、中国共産党と日本共産党は協力関係にないものの、前者が後者を批判することもなくなりました。その一方で、中国のメディアはかつて、日本共産党が戦争に断固反対する姿勢を示したことを賞賛していました。

<日本共産党は、日本の中国侵略や太平洋戦争で反戦の立場をとっただけでなく、戦後の政治活動においても、かつての朝鮮戦争やベトナム戦争への反対をはじめ、21世紀に入ってからもアフガニスタン戦争やイラク戦争への反対など、その姿勢を維持しています。米国による戦争にも、ソ連やロシアによる戦争にも、これほど明確に一貫して反対してきた政党は、日本には共産党しかないでしょう。>

一般の中国人は、日本共産党と中国共産党の間に何のつながりも類似性も感じていません。そもそも、多くの中国人も、日本共産党の本当の姿と今後の方向性にも無関心です。

<3月30日、日本共産党の志位和夫委員長は、岸田文雄首相に対し、日中関係の安定に向けた外交努力の一層の強化を求める提言を行った。日本共産党が総理大臣に直接申し入れるのは約5年ぶりです。

と最近中国マスコミが報道しました。

中国のメディアは、志位和夫委員長個人をまだ比較的高く評価しているようです。彼は、前指導者のステレオタイプだった従来のスタイルやトーンを変え、新しい状況に適応した地に足のついた政策理念を採用し、日本共産党のパブリックイメージを向上させ、日本政治における重要な野党にしたと評価されていました。

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