TKO木本の出演番組が打ち切り。あの有名芸能人も被害に?5億円の投資トラブル報道で広がる波紋

お笑いコンビ「TKO」の木本武宏(51)が、投資トラブルを理由に番組出演の見合わせをテレビ、ラジオ各局に申し入れている。そんな中、KBS京都は21日、木本が出演するテレビ番組『週末ライブ キモイリ!』について「23日の放送で終了する」と発表。背景には5億円以上の投資トラブルが隠れているとみられ、今後も波紋は広がりそうだ。

7月に入って全番組キャンセルの謎

木本は関西ローカルの番組「週末ライブ キモイリ!」(KBS京都)を2週続けて欠席、19日のBS11「アプリ学院!」は6月に収録されたという注意つきのテロップをつけて放送された。木本自身のTwitterも6月28日で更新が止まったままとなっている。

7月21日のスポニチは木本の出演見合わせは巨額の投資トラブルが原因であると報じた。木本は親しいタレントや後輩芸人、スタッフに投資話を紹介し、5億円以上を集めていたという。

ところが集めた金は、木本の元には残っておらず返金が不可能な状態。億単位の金額と被害が大きいため、警察沙汰になる可能性も高いとの指摘もある。

この報道に木本が所属する松竹芸能は「事実関係を確認中」だとコメント。出資者の数も多いとみられ、芸能界を揺るがす問題になる発展するかもしれない。

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木本は本当に投資トラブルに巻き込まれたのか

木本が投資話を持ちかけたのはスマホアプリ「STEPN」ではないかとネット上でウワサされている。

「STEPN」はスマホがあれば誰でも今すぐ始められる投資アプリ。NFTスニーカーを購入してウォーキングするだけで稼げるゲームで、参入者がどんどん増えているという。

歩いた距離を最大限ポイントに反映させるためには、一日に歩ける容量が大きい靴をたくさん購入する必要がある。容量が大きい靴は金額が高くなるので、初期投資は40万から50万円になる場合もある。一時は「年利200%は可能」とネット投資家の間では騒がれていた。

しかし、「STEPN」は一部の仮想通貨ユーザーから、ポンジスキームではないかと怪しまれている。ポンジスキームとは複数の出資者から資金を集めて、運用せずにお金を騙し取る詐欺の手法。最初のうちは儲かる仕組みとしてサービスが広がるが、利益が出なくなると資金を持ち逃げされてしまうという。

現時点では木本がどのような投資トラブルに巻き込まれたのかは明らかになっていない。とはいえ、何らかのトラブルがあり、レギュラー番組を休んでいることは事実。

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もし、報道が事実であれば、木本は多くの仲間や仕事関係者に迷惑をかけたことになる。木本の口から経緯や背景が語られることはあるのだろうか。真相究明が待たれる。

バイデンはなぜ今、中東を訪問したのか?関与継続で透けて見える3つの思惑

アメリカバイデン大統領が7月13日から16日まで中東を初訪問しましたが、今回はこの訪問に凝縮されるアメリカの中東に於ける目下の課題、イラン、イスラエル、そしてサウジアラビアについてお話をしたいと思います。

アメリカの中東における注力ポイントとは

冷戦以降、中東で様々な関与を行ってきたアメリカですが、その中でもアメリカが最も注力してきたのは、イランとイスラエルです。

イランについては、最大の反米勢力の一つをどう排除していくか、逆にイスラエルに対しては、中東最大の同盟国であり、どう支援していくか。この2点が大きな政策の流れだった訳ですが、オバマ政権、トランプ政権、バイデン政権は、それぞれ異なった手法を取ってきて、そこに中国、ロシアとのパワーバランスの変化を経て、今のアメリカの中東に於ける政策優先順位があります。

その中でのバイデン大統領の今回の中東訪問ですが、目的は大きく3つです。

1つ目は、中東の最大同盟国のイスラエルとの関係継続。そして2つ目は、イランの核開発が今加速していますが、これに対して、イスラエルとアラブ諸国の関係を強化した上で軍事連携を図り、イランへの抑止力を最大化していくこと。そして3つ目が、このチャンネルでもお話をした、サウジアラビアとの関係修復です。

バイデンの中東訪問に隠された3つの目的

まず1つ目のイスラエルですが、今回ラピド首相との会談で、イランの核兵器保有を認めないとする共同宣言と、イスラエルテレビ局のインタビューで、イランに対して武力行使もいとわないとの発言をしました。

これは、オバマ大統領が始めて、トランプ大統領が離脱したイラン核合意を復活させようとバイデン政権が画策していましたが、明確に手詰まりになって来ている一方で、この核合意復活に反対していたイスラエルへの歩み寄りを含めての共同宣言だと思います。

ヒズボラやハマス、ガザ地区のイスラム聖戦機構に武器や資金を提供しているイランはイスラエルにとって最大の敵国です。ここでアメリカにイランが守るかどうかわからない核合意でまた経済制裁が緩む結果、先ほど述べた敵対勢力が力を持つことを防ぎたいイスラエルにとっては意義があったと思います。

詳細は割愛しますが、中東版クアッドと呼ばれている「I2U2」、イスラエル、アメリカ、インド、UAEの4か国でオンライン会合も行っています。

そして2つ目のアラブ諸国との連携ですが、中東に於いてウクライナと同じ轍は踏まない為にも、イラン包囲網をきちんと構築することが現状アメリカの中東での課題であり、ある意味イスラエルやサウジとの関係強化或いは修復は、その方法論と言っても過言ではありません。

16日にサウジアラビア、UAE、バーレーン、オマーン、カタール、クウェートのGCC6か国に、エジプト、イラク、ヨルダンを加えた9か国との首脳会議を行いましたが、ここでは、米国主導の枠組みの中でのパートナーシップの強化とイスラエルまでを含めて、ミサイル防衛システムを統合する構想を話し合いました。

今回改めて、バイデン大統領は、イスラエルとアラブ諸国を軍事的に連携させて、イラン包囲網を築きたい、という戦略を明確にした訳ですが、アラブ諸国の中には、反イスラエルの国もあり、また、イランと表立って対立したくない国もありますので、これはまさに今後の進捗に期待、というところかと思います。

そして最後にサウジです。今回初めてバイデン大統領はムハンマド皇太子と会った訳ですが、ムハンマド皇太子からすれば、ようやくアメリカが自分を認めたと言うことでその価値は大きかったと思います。

アメリカからすれば、人権問題上ムハンマド皇太子を無視してきたバイデン大統領が、国内の深刻なインフレ問題解決の為に、根本指針をひっくり返してまで会いに行くことは批判も大きく、次回8月3日のOPECプラスの会合で期待通りの増産となるかどうかもわかりません(個人的には大した増産幅にはならないと予想しています)。

が、今はインフレ対策も重要ですが、それよりもサウジが再び親米国となって、イスラエルとの関係を良好にし、対イラン包囲網を盤石に出来るならば、その方がバイデン政権に於いては価値が高いのでは、と思います。

今後の中東情勢に、引き続き注目していきたいと思います。

出典:メルマガ【今アメリカで起こっている話題を紹介】欧米ビジネス政治経済研究所

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統一教会と自民は“一心同体”。安倍元首相が破壊した「政教分離の原則」

安倍元首相銃撃事件以降、次々と明らかになる自民党と旧統一教会との浅からぬ関係。その繋がりは、もはや「一心同体」と言っても過言ではないもののようです。今回の『』では人気ブロガーのきっこさんが、旧統一教会がどのような団体であるかを解説するとともに、彼らと安倍政権がお互いの利益のために行ってきた「活動」を詳細に紹介。その上で、安倍元首相は日本における政教分離の原則をも破壊したと断言しています。

 

安倍晋三と統一教会の蜜月関係

参院選の最中に発生した安倍晋三元首相の殺害事件で、またスポットを浴びることになった韓国のカルト教団「統一教会」ですが、安倍政権下の2015年に名称を「世界平和統一家庭連合」に変更し、安倍政権が終わった2020年には「天の父母様教団」に変更しています。しかし、これらの名称は長いし紛らわしいので、ここでは「旧統一教会」という呼び名に統一したいと思います。統一教会だけに…なんてのも織り込みつつ、あたしが初めて旧統一教会を認識したのは、子どもの頃のワイドショーでした。

当時は「霊感商法」という言葉で大きく取り上げられ、二束三文の壺などを法外な値段で売りつけられたという被害者たちが、モザイク処理&ボイスチェンジャーで顔と声を隠し、次々と出演して被害の模様を証言していました。そして、次に旧統一教会の名前を耳にしたのは、あたしが20歳になって社会人になった1992年のこと、歌手の桜田淳子さんや新体操の山崎浩子さんなどの「合同結婚式」のニュースでした。

この時は「合同結婚式」の異様さだけでなく、桜田淳子さんの実父が「全国統一教会被害者家族の会」の秋田支部の会長をつとめたり、桜田淳子さんの所属していたサンミュージックの相澤社長が二束三文の壺を200万円で買わされたりと、カルト教団の波紋は広がり続けました。

そして、あたしが次に旧統一教会の名前を耳にしたのが、10年前に第2次安倍政権がスタートした直後でした。政権を奪還した安倍首相が満を持して発表した組閣一覧を見たところ、旧統一教会や関連団体のイベントなどに祝電を送ったり、イベントに出席して祝辞を述べたり、旧統一教会の機関紙のインタビューに顔を出していた自民党議員が、閣僚の約半数、12人もいたのです。さらには、副大臣や政務官まで入れると、政権中枢の30人以上もの自民党議員が、何らかの形で旧統一教会と繋がっていたのです。

安倍元首相と言えば、祖父である岸信介氏の時代から癒着している旧統一教会や、父である安倍晋太郎氏の時代から癒着しているジャパンライフなど、カルト教団やマルチ商法などの反社会組織と手を組んで組織票を集めて来たことで知られています。しかし、まさかここまで深く癒着していたとは、さすがに気づきませんでした。

そして、少し遡(さかのぼ)って調べてみたところ、驚くべき事実が分かったのです。旧統一教会は悪質な霊感商法として、長年にわたって公安警察から「重要監視対象」とされて来たのですが、これが2006年の第1次安倍政権下で解除されていたのです。さらには、政権奪還後の2013年、旧統一教会の機関紙『世界思想』9月号の表紙を安倍首相自らが飾ったのです。その後も安倍首相は『世界思想』の表紙にたびたび登場し、あたしが確認しただけでも、計6回も表紙を飾っているのです。

 

取り残される日本と欧州。米国より「ロシアと組む」ことを選んだ世界

原油増産を要請するため、サウジアラビアを訪問したバイデン大統領。しかし先方から増産の確約を取り付けることはできず、大統領就任後初の中東訪問は無駄足に終わったとの見方が大勢を占めています。この結果について「事前に予測できていた」とするのは、国際情勢解説者の田中宇(たなか さかい)さん。田中さんは無料メルマガ『田中宇の国際ニュース解説』で今回、そう判断するに十分だったという関係各国の動きや彼らが発していた「サイン」を紹介するとともに、今後世界の米国離れはますます加速するとの見立てを記しています。

腑抜けたバイデンの中東訪問

米バイデン大統領が7月13-16日にイスラエルとサウジアラビアに行く中東歴訪をしている。訪問の目的は2つだ。

  1. 米国側(米欧)が対露経済制裁としてロシアからの石油ガス輸入を止めてしまって自滅的に困っている分を穴埋めするため、サウジなどアラブ湾岸産油国に石油の増産と米国側への追加輸出を求めること
  2. イスラエルが米国の傘下でサウジなどアラブ諸国と組んでイランと敵対していきたいという、トランプ政権時代からの戦略的願望を持っていて、トランプはいろいろやってくれたがバイデンはやってくれないと不満を持っている。米政界に影響力を持つイスラエルの願いを聞いて、イスラエルとアラブが米国の傘下で連携してイランを敵視する「中東版NATO」を作り、今秋の中間選挙での民主党の不利を少しでも解消すること

The follies of Biden’s upcoming Middle East trip
US, Israel Pushing Arab Nations for Joint Military Pact Against Iran

バイデンの中東訪問の2つの目的は、いずれも達成できそうもない。しかも、達成できないことが事前にわかっていたのに訪問を挙行するというボケぶりだ。なぜ達成できないかというと、それはサウジアラビアがこれまで採ってきた対米従属の国是をすでに放棄し、ロシアや中国と結託しており、非米諸国の仲間入りをするためBRICSに入ろうとしているからだ。ウクライナ開戦後の今春、中国がサウジをBRICSに招待し、サウジ王政はすでにBRICSに加盟する意志を固めている。

Saudis Double Russia Crude Imports As It Prepares For BRICS Inclusion
Why Biden Could Come Back From Saudi Arabia Empty-Handed

これに関連して、サウジ王室内でも特に親米的なリベラル派であるはずのファイサル家のトルキー・アル・ファイサル元諜報長官が、7月4日の米独立記念日という栄誉ある日をわざわざ選んで、米国のマスコミに「世界は米単独覇権体制をやめて中露が望む多極型体制に転換すべきだ」と主張する趣旨の論文を掲載した。この論文は、サウジ王政から米国への決別宣言になっている。バイデン訪問の直前に「米国は終わりだよ」と言ってしまったサウジ王政は「バイデンが訪問してきても無駄だよ」と米国側に伝えたことになる。だが、バイデンはそのメッセージを無視してサウジを訪問した。当然ながら、訪問の目的は果たせない。行くだけ無駄だ。

Rethinking the Global Order — Turki bin Faisal al-Saud
ロシア敵視が欧米日経済を自滅させ大不況に

米国がサウジに石油の増産を求めても、非米側に入ってロシアとの関係を重視するサウジ王政は、米国のロシア敵視に協力することになる増産に応じない。サウジはむしろ最近、軽油などをロシアから積極的に買い増すようになっている。ロシアは米国側に売れなくなった石油類を安く非米諸国に割引販売してくれるので、サウジは産油国だがロシアの石油製品を買いたがる。サウジは、親米の姿勢を維持しつつ、ロシアとの関係を強化して非米側の国になる姿勢を強めているインドと似た道を歩んでいる。サウジは、親米の国だが、もう米国からの要求を、自国の国益になる場合にしか受け入れない。国益に反しても米国の要求を受け入れ続けねばならない米国側の(逃げ遅れている)日本や欧州とは違う。

Can Biden Break The Alliance Between Saudi Arabia And Russia?
Saudi Arabia doubles second-quarter Russian fuel oil imports for power generation

元国税調査官が暴く、宗教団体「税制優遇」の実態と“政治の結びつき”

安倍晋三元首相が命を落としたことにより、にわかに注目される政治と宗教の結びつきの問題。宗教団体が政治に大きく関与できるのは、強固な組織力ゆえですが、組織を成立させるための資金を簡単に生み出せるのはなぜなのでしょうか。今回のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』では、元国税調査官の大村さんが、高額なツボの売上も墓の土地代も巨大施設などの固定資産も非課税という一般企業ではあり得ないような税制優遇の実態を紹介。オウム事件後に問題視されたもののほとんど手がつけられていないのも政治との結びつきゆえと伝えています。

この記事の著者・大村大次郎さんのメルマガ

 

宗教と政治の問題

筆者は、安倍元首相の死去については非常に心を痛めています。このメルマガにも書いたことがあるかと思いますが、筆者はアベノミクスついては評価できる部分もある思っています。

安倍元首相は、旧民主党が決めた消費税の増税を2回も引き延ばすなど、決して財務省の言いなりにはなりませんでした。財界に賃金アップを働きかけるなどもしており、これまでの政権とは明らかに違い、国民生活を本当に向上させようとした姿勢もありました。またアメリカ、中国、ロシアといずれも良好な関係を築くなどの外交手腕も評価されるべきだと思います。安倍元首相の国葬が行われることには、筆者はまったく批判はありません。

が、その一方で今回の安倍元首相銃撃事件において投げかけられた「宗教と政治の問題」「宗教と金の問題」についても、我々は直視しなくてはならないはずです。

「安倍元首相は旧統一教会とは無関係なのに逆恨みされた」という論調のメディアもありますが、これは正しくないと言えます。安倍元首相は、旧統一教会の総会にビデオメッセージを送っています。これは教団にとって何よりの宣伝材料となったはずです。「あの安倍元首相もメッセージを送ってくれるのだよ、この教団は素晴らしいんだよ」ということが言えますから。

また今回の参議院選挙でも旧統一教会に支持された安倍派の議員が当選しており「安倍元首相が旧統一教会とまったく無関係だった」とは絶対に言えないのです。もちろん、だから銃撃されていいというわけでは決してありません。しかし罪は罪として償ってもらうけれど、我々は犯人の言い分にも耳を傾ける必要があると思われるのです。

筆者は旧統一教会のことは詳しくは知りませんが、宗教団体というものが、政治的に非常に優遇されてきていることは嫌というほど知っています。今回はそのことをお話したいと思います。

宗教団体の巨額な資産

宗教法人というのは、驚くほど金を持っています。あまり名前の知られていない宗教法人が、巨大な施設を建てているのを見たことがある人も多いのではないでしょうか?またオウム真理教が事件を起こした時、その莫大な資金力に驚いた人も多いはずです。

日本全体の宗教法人の総収入は2兆円を超えるとされており、金融資産は20兆円~30兆円と推定されています。これは不動産を含めない額であり、不動産を含めると、その資産力は計り知れないといえます。

なぜ宗教法人はこれほどお金を持っているのでしょうか?まず宗教団体というのは、非常に税金で優遇されています。宗教法人が「宗教活動」で得たお金というのは、原則として税金はかかりません。お布施や寄付には一切、税金がかからないのです。そのため、宗教法人は、ちょっと信者を集めるだけで、莫大な資金を持つことができます。

信者一人一人の寄付は少なくても、多大な金額になります。たとえば、1万人の信者が年間1万円ずつ寄付をしたとしても、それだけで1億円になるのです。しかもその1億円には、一般の企業のように「仕入れ経費」などはないので1億円が丸々、収益になるのです。

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凶刃に倒れた浅沼稲次郎氏が62年前のあの日聴衆に訴えたかったこと

元首相が白昼、凶弾に倒れました。政治家が直接有権者にその考えを訴える選挙演説の場では、これまでも度々凶行が起きてきました。そうした事件の一つ、1960年に起こった日本社会党委員長浅沼稲次郎刺殺事件を振り返るのは、評論家の佐高信さん。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では、事件がなければ続けられるはずだった演説の結びと、その後の社会党葬で朗読された追悼詩を紹介しています。

この記事の著者・佐高信さんのメルマガ

 

テロの先例

1960年10月12日、日本社会党委員長の浅沼稲次郎は日比谷公会堂の壇上で演説中に17歳の少年に刺殺された。選挙を目前にした3党首立会演説会でテレビで放映していたため、その瞬間も“実況中継”のようになった。

「問答無用」のシンボルともいうべき61歳の浅沼の巨体を「問答無用」のナイフが斃し、その命を奪ったのである。

「ああいう奴が左翼にいるっていうのは口惜しいことですね」

浅沼を殺した山口二矢は、浅沼について、こう語ったという。その魅力を認めてである。

「人間機関車」と綽名された浅沼は、東京は深川のアパートに住み、部屋の窓から、表の紙芝居を近所の子どもと一緒に見ながら、「翻訳社会主義では労働者は動かないよ」と言って、全国をかけめぐった。

テロが起こった時は、社民党現党首の福島瑞穂は4歳だったが、のちに、社会党支持者の両親から、その事件のことを聞かされる。「アカの手先」「バカヤロー」と浅沼を罵る右翼の声はすさまじく、演説の声も聞こえないほどだった。

山口は最初、テロの対象として、浅沼の他に当時の日教組委員長の小林武、共産党議長の野坂参三、社会党左派の松本治一郎、自民党「容共派」の石橋湛山と河野一郎の5人をリストアップし、最後に浅沼に絞った。

テロによって中断されたが、浅沼は演説をこう結ぶはずだった。

「どんな無茶なことでも国会の多数にものを言わせて押し通すというのでは、いったい何のために選挙をやり、何のために国会があるのか、わかりません。これでは多数派の政党みずから議会政治の墓穴を掘ることになります」

「政府みずからが憲法を無視してどしどし再軍備を進め、最近では核弾頭も一緒に使用できる兵器まで入れようとしておるのに、国民に対しては法律を守れと言って、税金だけはどしどし取り立ててゆく。これまでは国民はいつまでも黙ってはいられないと思います」

同年10月20日に同じ日比谷公会堂で開かれた社会党葬では、次の草野心平の追悼詩が朗読された。

死んだ沼さん
途方もなく善意の人だった沼さん。
あなたは死にきれない。
死にきれない思いで息をひきとった沼さん。
死ぬまぎわにも死ぬことを意識しなかっただろう沼さん。
あなたはもう永久に
夢みることすら出来なくなりました。
けれども けれども然し
その全生涯を行動してきたあなたの正義の夢は
沼さん、断じて死なない。
その夢を生かせ。
その夢をたちきったものを そのすべてをあばけ。
日本の現在をたちきったものを そのすべてをあばけ。
日本の現在のために、未来のために。
これから 生まれる新しい歴史のために。

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中朝の暴走でにわかに注目。世界は「日韓関係」をどう見ているのか?

文在寅氏が政権を担っていた5年間で、国交正常化以降もっとも冷え込んでしまった日韓関係。そんな両国の関係性に今、世界の注目が集まっていることをご存知でしょうか。今回のメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤先生が、権威ある外交・国際政治の専門誌の電子版に掲載された日韓関係を考察する論文を紹介しつつ、その背景を解説。さらに今こそ日本が従軍慰安婦に関する正確な情報を発信するタイミングであり、適切なメッセージを出せれば世界の誤解を解くことができるとしています。

この記事の著者・大澤裕さんのメルマガ

 

米国外交専門誌の論ずる日韓関係

『フォーリン・アフェアーズ』(Foreign Affairs)は、アメリカの外交問題評議会(CFR)が発行する外交・国際政治の専門誌です。大きな権威があります。そのオンライン版に7月14日に日韓関係についての論文がでました。

日韓関係、世界的にはそれほど注目を浴びていませんでした。しかし、今は非常に注目されています。なぜなのでしょう?論文を抜粋、編集してご紹介しましょう。

日本、韓国、米国は安全保障上の脅威を共有している。その最たるものが北朝鮮である。北朝鮮は過去5年間で軍事力を大きく向上させた。最高指導者である金正恩のもと、北朝鮮はソウルへの脅威を意図した数十回の兵器実験を行い、日本の標的を攻撃可能な中距離弾道ミサイルを発射している。

 

そして、脅威にさらされているのは北朝鮮の近隣諸国だけではない。金正恩は、米国やその他の地域に到達する大陸間弾道ミサイルの発射実験を行っている。

 

同時に、中国は史上最大の軍事的近代化努力を加速させている。人民解放軍は、戦略ロケット部隊と宇宙・サイバー能力をアップグレードした。東シナ海や南シナ海で領土や海洋権益をめぐって係争中の日本やその他の国々に対して政治的・軍事的圧力をかけ、ヒマラヤでインドと国境戦争を起こし、台湾で軍事的緊張を高め、香港に残る自治権を実質的に打ち砕いてきた。

 

そしてロシアによる2月のウクライナ侵攻である。中国は欧米の制裁を発動させないよう、モスクワへの政治的支援を慎重に調整しているように見える。しかし、ロシアと中国の連携は、既存の国際秩序とそれを支える国際法、ルール、規範の枠組みを明らかに脅かすものである。岸田氏が繰り返し警告しているように、”今日のウクライナは明日の東アジア“になるかもしれない。

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違和感しかない。メディアから聞こえぬ安倍晋三氏「真の友」たちの声

9月27日に行われる方向で最終調整が進む、安倍元首相の国葬。事件以降、メディアには安倍氏の死を悼む各界著名人の声が溢れていますが、違和感を覚える方も少なくないようです。今回のメルマガ『上杉隆の「ニッポンの問題点」』では、第1次安倍内閣が瓦解に向かう様を描いた『官邸崩壊』の著者でもある上杉さんが、自身の取材メモに記されている「安倍氏の真の友」のリストを公開。さらに今現在繰り広げられている、リストに名のない人間たちによる安倍氏追悼の「マウント合戦」への不快感を綴っています。

この記事の著者・上杉隆さんのメルマガ

 

安倍元首相の「真の友」リスト

メディアでは連日、銃殺された安倍元首相への追悼のことばが飛び交っている。橋下徹さん、松本人志さん、三浦瑠麗さん、古市憲寿さん…。誰もが安倍元首相との深い交友関係を語り、哀しみを表明し続けている。

真の友とは真に苦しい時の友である。輝いている時、力を持っている時に擦り寄ってくるのは真の友ではない。10年以上もメディアから黙殺されている私からすると、そのあたりのことはとても敏感になる(笑)。

テレビやネットのニュースを眺めていて、違和感をぬぐえないのは安倍さんの真の友たちの声が聞こえてこないからだ。あの15年前、安倍首相のもっとも苦しかった時に支えた人たちは、いまけっして饒舌ではない。マウント合戦に加わらず、静かに弔っている。

2007年の夏、安倍首相退陣時、『官邸崩壊』の著者であった私のもとには多くの祝福と労いのことばが届いた。驚いたのはそれまで安倍首相の側近と思っていた人の何人かが手のひらを返して、私に甘言を弄してきたことだ。

もちろん、政治の世界に長くいた私からすれば、そのような「裏切り」や「変節」は少なくないし、珍しいことではなかった。だが、今回の暗殺後のニュースを見ていると、改めて人間の浅はかさと無情さが見えて、やるせない気持ちになる。

一方で、あの冬の時代にあっても、安倍さんを支持し続けたひともいる。そうしたひとには、意見は違うものの尊敬の念を持たざるを得ない。そして、そうした人々こそ、今回の安倍さんの死を心から悼んでいるのだと考えるようにしている。

当時の私の取材メモを繰ると、忠誠心SランクとAランクの人物として氏名が記されている(家族と秘書は除く)。

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スシロー、今度は『生ビール半額』品切れ続出で炎上。「開店直後なのにない」「着席して知らされる」杜撰な運営に批判殺到

先月9日、消費者庁から景品表示法違反で再発防止を命じられたばかりの回転寿司チェーン「スシロー」。今度は「生ビール何杯飲んでも半額」キャンペーンでの失態が明らかになった。品切れで注文できなかったとの報告が相次ぎ、運営会社が事実を認めて謝罪する事態となっている。

「生ビール半額」品切れ続出に募る不信感

回転ずし大手の「スシロー」が今月13日からスタートした「生ビール半額」キャンペーン。税込み528円の生ビールが何杯飲んでも半額になるということで、3連休には多くの客が殺到した。

のぼりやPOPなどでは堂々と「生ビール半額」とうたっている。これをお目当てに来店した客は多かったに違いない。

しかし、実際には注文する際にタッチパネルで「品切れ中」と表示されているのを見て、初めてその事実を知ることになる。せめて入口で生ビールが品切れであることがわかれば、日を改める客もいたはずだ。スシロー側の配慮が足りなかったことは否めない。

スシローの運営会社は全国の少なくとも17の店舗で品切れがあったと認めて謝罪したとTBSは伝えている。

「コロナ禍前の夏の生ビール需要実績を踏まえ、その2倍近くの量を準備したが、想定を上回る注文があった」と説明。今後は最善を尽くすとしたうえで、キャンペーンは今月28日の期間終了まで続けるという。

しかし、結果的に「ないものをある」として集客したことはおとり広告と言われても仕方がない。キャンペーン終了まで商品を欠品させないことがスシローの信頼回復の唯一の策となるだろう。

客が見放すのも時間の問題!?炎上が相次ぐスシロー

ここのところ、スシローを巡っては炎上騒ぎが多発している。

昨年9月から12月に期間限定で販売されていた「濃厚うに包み」や「冬の味覚!豪華かにづくし」などの3メニューでは、約600店舗のメニューの9割が提供できない期間があったにもかかわらず、同社はCMを続けていたとして批判が殺到。

また、今回騒動となっている「生ビール何杯飲んでも半額」もフライングで店外ののぼりや店内のPOPで告知したため客が勘違い。全額を支払されたとTwitterでは苦情が相次いだ。

スシローの運営会社はその都度謝罪や対応に追われているが、不安の種はつきない。というのも、現在行われている「スシロー100円祭」も似たような構図となっているからだ。

キャンペーンの告知サイトで、『「1日数量限定」商品の販売予定数はこちら』として紹介しているが、19日間の期間中、全国647店舗で供給される量として本当に適切なのだろうか。スシローの読みが問われることになりそうだ。

もちろん、数に限りがあることは仕方ない。問題は品切れになった際、きちんとした形で客にそのことを伝えられるかどうか。

CMを打ち続けたり、のぼりやPOPを継続していれば客が疑念を抱くこととなり、また炎上しかねない。全店舗で徹底できるかどうかが鍵となりそうだ。

尹錫悦、お前もか。結局韓国大統領は文在寅と同じ道を辿るのか

このままでは尹錫悦はやばいことになる─。就任から数ヶ月でそう思わせてしまうほど、韓国大統領の支持率が落ち込んでいます。今回のメルマガ『キムチパワー』では、韓国在住歴30年を超える日本人著者が、 その理由と今後の見解、対策を語っています。

尹錫悦の敵はユン・ソンニョルだ

このところ尹錫悦のやることがちょっとおかしい。自分の縁故を誰憚ることなく大統領室に採用したり、まるで文在寅政府をまた見ているような錯覚に陥るほどだ。このままでは尹錫悦はやばいことになる。文化日報にこれを警告するコラムが出ていた。以下がそれ。

そもそも世論は気まぐれだ。最近は世論調査の信頼性も墜落した。それでも世論調査は民心を読み取る便利で重要な尺度だ。尹錫悦大統領の国政遂行「肯定評価」が就任2か月ぶりに30%台に落ちたという調査が続く(連続して30%台だ)。

さらに注目されるのは、40%を上下する与党(国民の力党)支持率より低く出ている調査結果だ。もちろん世論調査は国政目的地ではなく当面の民心地形を示すため、一喜一憂したり左右される必要はない。世論の風向きに逆らわなければならない時もある。しかし、「念頭に置かない」という考えは間違っている。

尹大統領の支持度が「国民の力」より低いということは、保守性向国民の間で失望が大きくなったという意味だ。保守支持層は、「この5年間で崩れた法治の回復、断固たる自由民主主義守護措置を期待したが、あまり信頼できない」と背を向ける。

大統領室龍山移転と出勤途中の記者団との問答程度が目につくが、「ユンヘッカン(尹核幹=尹を慕う核心幹部たち)」のみっともない行動やキム・ゴンヒ女史の諸々の噂がそんなこともみな相殺してしまった。それでも尹大統領には不幸中の幸いだ。国政失敗ではなく、支持層の不満のため回復が可能だからだ。

初期の苦労は薬になることもある。世界の政治史を見ても、政権初期に困難を経験した偉大な指導者が多い。マーガレット・サッチャーは労働・財政改革を推進して支持率が18%まで下がった。フォークランド戦争がなかったら議院内閣制なので、すぐに追い出されたかもしれない。