テスラはビットコイン不要論に傾くか?イーロン・マスクが「世界初の自動運転車」を宣言する日

15億ドルという途方もない金額分のビットコインを大量購入して賛否が分かれている米国の自動車メーカー「テスラ」。同社は、以前より条件付きの自動運転機能を持つ電気自動車(EV)を開発していることで知られていますが、手ぶらのまま目的地にたどり着くレベルの自動運転車の登場はいつになるのでしょうか。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では、著者で「Windows 95を設計した日本人」として知られ、自らテスラModel Xも所有するシアトル在住の世界的エンジニア・中島聡さんが、近く起こるであろう自動運転車をめぐる未来予測と、テスラ社という企業が持つ可能性について詳しく解説。さらに同社のビットコイン大量購入は大きな間違いであるとして、その理由を記しています。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

 

「自動運転」の近未来

これまで自動運転に関しては、テスラを中心に色々と書いて来ましたが、一度頭の中を整理する意味でも、これから業界全体に起こるだろうことを私なりにまとめてみようと思います。

まず確実に起こるのは、各社によって「世界初の自動運転車」が次々と発表されることです。

レベル4は「特定の条件で、人間の関与なく、安全に自動運転出来ること」で、レベル5は「運転席すらなく、あらゆる環境で、目的地まで自動運転出来ること」です。特にレベル4は「特定の条件で」という条件付きなため、曖昧さがあり、それゆえに「我が社の自動運転こそ本当のレベル4」という宣言が続くのです。

テスラのオートパイロットは、レベル3(高度な運転補助)で、自動運転にまかせてスマホを操作するなどはまだまだ危険です。高速道路のような車線のはっきりした場所では、かなり安定していますが、一般道ではまだまだです。カーナビで指定した目的地まで、自動的に運転してくれることもありません。

オートパイロットは、あくまで「運転補助」なので、運転手がハンドルを握っていて、いざという時には手動運転に切り替えて事故を回避する必要があり、そのために、ハンドルにかかる力を常時監視し、それがなくなると警告が出る仕組みになっています。

現在ベータ版として一部のユーザーにテスラが提供しているFSD(Full Self Driving、完全自動運転)はレベル4を目指したもので、公開されたビデオを見る限り、一般道も含めて、カーナビで指定した目的地まで運転手の関与なしに自動運転出来るようです。このモードになった時にも、運転手がハンドルを握り続ける必要があるかどうかは明確ではありませんが、事故を起こした場合の責任が誰になるかを決める重要な話なので、慎重な行動に出ると予想出来ます。

テスラは十分な安全性が確認出来たところで、今年中に一般ユーザーに対してもFSD を提供すると宣言していますが、実際に「ベータ」の文字を外せるほど安全性が確保出来るとは私には思えません。私のModel Xで使えるようになったとしても、一般道での「ながら運転」はしないと思います。

とはいえ、その段階でテスラは「(商用車として)世界初のレベル4の自動運転」を宣言するでしょうが、それに異論を唱える人もたくさんいるだろうと思えます。「レベル 3.5 に過ぎない」と言う言葉も聞かれると思います。

それに続いて、GMや中国のメーカーもFSDをリリースし、「テスラの自動運転は、レベル4ではない。我が社のFSDこそ、本当のレベル4だ」と主張しながら「世界初のレベル4の自動運転」を宣言することになると思います。

レベル3である「プロパイロット」や「アイサイト」を持つ日産とスバルも、自動運転機能を改良して、テスラと同等のレベルにまで自動運転機能を上げてくるでしょうが、日本の厳しい法規定と保守的な企業文化を反映して、簡単にはレベル4を謳っては来ないと思います。

そんな混沌とした時代が、ここから3年ほど続くと思います。

それと平行して、運転席すら持たないレベル5の自動運転車がタクシーおよび配送業務向けに開発され、限定した地域での運営が始まります。これに関しては、共産党がなんでも決めることが出来る中国が圧倒的に有利ですが、地方自治体の力が強い米国や、比較的小さなヨーロッパの国でもそれなりの動きがあると予想出来ます。

 

結局やるのか、やめるのか。誰も言い出せぬ東京五輪の最悪シナリオ

大揉めに揉めた末、橋本聖子五輪担当相を新会長に充てることで決着を見た東京五輪組織委員会の今回の騒動ですが、「最重要項目」の議論はなされなかったようです。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では米国在住作家の冷泉彰彦さんが、その「話し合われるべきであった2つの課題」を提示。さらにこの課題に触れることなく、当騒動が一応の収まりを見せたことに世論が「納得」した理由を深堀りしています。

どうにもおかしい、五輪実行委騒動

オリパラ実行委員会の会長人事の話が延々と話題になっていました。ジェンダー論は大事ですが、今回の騒動の最重要項目ではないと思います。議員との兼務がどうかなどという問題も瑣末な話です。

そうではなくて、実行委員会の人事を考えるのであれば、とにかく「オリ・パラを開催するのか、中止するのか」という問題、そしてそのどちらにしても「追加の予算など国民の負担がどのくらい必要なのか」を明確にすることが重要です。

にもかかわらず、この間ずっと「差別」の問題と「スキャンダル」で3週間近くを浪費しています。これだけの時間があったら、国民の納得のいくような「開催か中止か」の論議、そして「追加の負担」がどうなるかの精査はできたように思うのです。

もしかしたら、そんなことを真面目に心配するのはバカみたいなのであって、日本の世論は既に2つの最悪のシナリオを理解しているのかもしれません。

オリ・パラに関わる具体的な問題ではなく、森喜朗氏と橋本聖子氏などに関するジェンダー論とスキャンダルの報道をメディアは流し、世論もそれに関心を示すフリに「徹していた」というのは、その2つのシナリオを理解してのことだったのかも、そんな印象もあります。

1つは、森、橋本に代表される現在の「オリパラ実施体制」のグループは、様々な「闇」を抱えているというシナリオです。例えば、ここまで公表されている費用の他に、施設建設費にもっとカネがかかっているとか、代理店や代行業者から巨額のツケが回ってくるとかいう可能性です。

更には、仮に中止となった場合に、日本側の責任ではないにも関わらず巨額の欠損を押し付けられるとか、あるいは招致活動に関する疑惑は当時の竹田氏の辞任などでは済まない悪質で大規模なものだったとか、とにかく様々な「闇」を抱えており、だからこそ「自分たちのグループ内」で人事をたらい回しにしたいし、その「闇」をメディアや世論が突っついて来るのは嫌う、そんなシナリオです。

ですが、私はこの「闇」シナリオは必ずしも当たっていないのかもしれない、そんな感触を持っています。

そうではなくて、第2のシナリオとしては、「誰も決められないし、誰も全体像をつかんでいない」というストーリーです。

誰かが悪意を持って私腹を肥やしていたり、とんでもないスキャンダルを隠していたりするのではなく、そもそも必要な情報をつかんで集約しているポジションが「ない」というシナリオです。

ズブズブもいいところ。菅首相長男の接待を断らぬ役人たちの倫理観欠如

問題発覚当初の強気な態度が一変、衆院予算委員会で長男の総務省幹部への接待攻勢を謝罪した菅首相。そもそも総務省幹部らは、なぜ接待を断るという選択をしなかったのでしょうか。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では健康社会学者の河合薫さんが、「文化心理学」と「絶対感」をキーワードに、当問題の本質に迫っています。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

罪悪感なき接待漬けの正体

総務省幹部が「東北新社」に勤める菅義偉首相の長男から接待を受けていた問題は、日を追うごとに「ズブズブの関係」が明らかにされています。

課長から局長まで総勢13人。内閣広報官を務める山田真貴子氏も接待を受けていました。

いったいいつの時代なのでしょうか?一晩、7万円?「ノーパンしゃぶしゃぶ事件」と同じじゃないですか。

39回という接待の多さや、出席者の顔ぶれから想像すると「え?何が悪いわけ?」くらいにしか思っていなかったのでしょう。

「心は習慣で動かされる」と説いたのは、1990年に文化心理学という新しい学問を提唱したブルナー博士ですが、接待漬けになっていた官僚たちにとって、接待を受けるのは習慣だった。階層社会の階段を昇ると高い知識やモラルが育まれる一方で、怠惰、愚考、堕落などのマイナス面も同時に生じ、習慣に適応します。

習慣に適応した心は、「おかしいことをおかしい」と知覚できなくなり、「アレはアレで意味あること」という信心に変化します。

おまけに、人はしばしば自分でも気がつかないうちに権力の影響を受け、権力で生じる「絶対感」に酔いしれ、堕落し、幼稚化し、無礼で、倫理的にもとる行動をとり、リスクの高いおバカな行動を平気でするようになってしまうのです。

どんなに「別人格」であっても、元秘書官だった長男の後ろには菅首相の影が見え隠れしたでしょうし、当時官房長官だった菅氏は官僚の人事権を握っていました。権力と接待漬けを切り離すことは無理です。

石川発さつまいもスイーツ店「いもこ」が東京進出で成功した秘密

「すでに成功している、あの人気店の姉妹店です」と聞けば、顧客にとってこれほど安心感のある情報はありません。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者でMBAホルダーの青山烈士さんが、そんな顧客の心をうまく掴むことで、競争の激しいスイーツ業界で成功した「さつまいも専門店」を紹介しています。

ノウハウの横展開

今号は、さつまいもスイーツ専門店を分析します。

● 石川県に本社がある株式会社ライデンペールが展開しているさつまいもスイーツ専門店「いもこ

さつま芋好きな方やスイーツ好きな方をターゲットに「スイーツや素材へのこだわり」に支えられた「さつまいもとブリュレの香ばしい香りや味わい」等の強みで差別化しています。

さつまいもに特化することに加えて、既に人気となっている和栗モンブラン専門店「栗歩」との相乗効果により、集客を図っています。

■分析のポイント

スイーツ店は、非常に競争が激しい業界ですので、注目を集めるには、何かに特化することがセオリーだと思いますが、「いもこ」はさつまいもスイーツに絞ることで差別化を図っています。

しかも、メニューも絞り込んでいて、テイクアウト含めて5種類となっています。顧客の印象に残るためにも、インパクトのある商品に絞り込んでいる印象です。味に自信があるということの現れのようにも感じますね。

今回のポイントは「いもこ」が人気の和栗モンブラン専門店である「栗歩」(KURIHO)の姉妹店であるということです。

「いもこ」がオープンする前に、すでに7店舗を展開していた「栗歩」の存在は、「いもこ」にとって大きいと考えます。「栗歩」のノウハウを活かすことができますし、「栗歩」のファンの方は「いもこ」を利用してくれる可能性も十分考えられますからね。恐らく、意図的に「栗歩」の近くに出店しているのでしょう。

何事にも言えそうですが、成功した実績の有無は、何かを始める上で非常に重要な要素です。どの企業も成功確率を高めるために、四苦八苦しているわけですが成功した実績がベースにある出店と、そうでない出店ではその成功確率が大きく異なります。

ジャンルは違いますが「家系ラーメン」が人気となっている理由のひとつは、源流となるラーメン屋さんの流れをくんでいることがあげられます。やはり、顧客からすると安心感がありますし、出店する側としても、成功確率を高めることにつながります。

今後の「いもこ」や「栗歩」がどのように展開されていくのか注目していきたいです。

 

福島第一原発で異常事態。M7.3地震後に水位低下、地震計「故障」は本当なのか?カンニング竹山の“勘違い”に批判の声も

東京電力は今月13日に発生した地震が福島第一原子力発電所へ与えた影響を22日まとめ、原子炉を収めた格納容器の水位の低下傾向が続いているとした。NHKなどが報じた。原子力規制委員会は注水は継続していて安全上の問題は現状ないとしたものの、地震が大きな影響を与えていることに不安の声が広がっている。

地震の影響で福島第一原発の水位が下がり続けている

記事によると、福島第一原発では溶け落ちた核燃料を冷却するため注水を続けているものの、1号機と3号機の格納容器の水位がいずれも数十センチほど下がり、その後も低下傾向にあるという。

地震前は1号機では底部から約1.9メートル、3号機では約6.3メートルの水位が保たれていたが、現在は1日数センチ程度のペースで水位低下が続いている。

過去のデータを調べたところ、1号機は15日ごろから、3号機は14日ごろから水位の低下傾向が始まったとみられるとされ、地震の影響があったことは間違いなさそうだ。

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また、水素爆発を防ぐため格納容器には窒素が注入され圧力が高くなっているが、1号機では大気圧との差を計測する圧力計の値が1.2キロパスカルから0.1キロパスカルまで下がり、ほぼ大気圧になっているとされている。

他にも、汚染水を処理したあとの水を保管するタンク6基が地震で最大5センチずれていたことも明らかになったが、東京電力は「原子炉への注水や、溶け落ちた核燃料の冷却は維持されており、東電は外部への放射能の影響はない」とコメント。その見通しの甘さに疑問の声が上がっている。

「地震計の故障を放置」は本当?都合の悪いデータが取れた疑いも

また、東京電力は22日、福島第一原発3号機の原子炉建屋に昨年設置した地震計2基が故障していたにもかかわらず、修理などの対応をせず放置していたため、13日に起きた地震の揺れのデータを記録できていなかったことを明らかにした。共同通信などが報じた。

地震計は昨年3月に設置されていたが、7月の大雨などによる影響で故障。東京電力はそのことを把握していながら、対応を怠っていたという。

地震から1週間以上経過しても東京電力は事実を明らかにせず、22日に開かれた原子力規制委員会の会合で、委員らの質問に対して答えて発覚した。

東京電力の担当者は「貴重なデータを取ることができなかった。反省すべき点だ」と釈明したが、出席した有識者からは「危機管理ができていない」などの批判が相次いだ。

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こうした東京電力の対応に批判が集まっているが、一方で「本当に故障だったのか?」と疑う声もある。

13日に起きた地震の揺れのデータを記録できていたら、むしろ都合が悪かったのではないか、だから故障したということにしたのではとの見方だ。

確かに地震計がそんな簡単に壊れるというのは不自然で、「7月の大雨の影響で~」というのも取ってつけたような理由に聞こえる。

真実は不明ではあるが、こうした疑念が持たれることも、東京電力に隠ぺい体質があると思われている証拠でもある。

「地震計が故障していた」ことに疑いを持って報じるメディアは少ない。果たして真実はどこにあるのだろうか。

危機管理の専門家がワクチン接種の視察ニュースで感じた日本の終わり

2月17日、新型コロナウイルスワクチンの接種が医療従事者を対象に始まり、翌18日には菅首相が田村厚労相らと接種状況を視察しました。しかし、首相と関係閣僚が率先してワクチンを接種したというニュースは一向に聞こえてきません。この状況に、軍事アナリストで危機管理の専門家でもある小川和久さんは「指揮官としての自覚なし」と呆れ、落胆。主宰するメルマガ『NEWSを疑え!』で、他国のリーダーの「率先垂範」ぶりを紹介し、それと正反対のリーダーに導かれる日本の未来を憂えています。

ワクチン接種、どこに行った「率先垂範」

日本国内でも新型コロナウイルスワクチンの接種が始まりました。それを受けて18日、菅義偉首相は田村憲久厚生労働大臣らと東京の国立病院機構東京医療センターを視察し、「全国の皆さんにお届けしたい」とコメントしました。このニュースを耳にして、この国はダメかもしれない、と不吉なことを思ったのは私だけでしょうか。

日本には率先垂範という言葉があり、リーダーの条件とされてきました。辞書には「自身が進んで見本・模範になること、人がやりたがらない仕事などを率先して行う姿勢のこと」とあります。それなのに、菅首相、田村厚労大臣だけでなく、河野太郎新型コロナウイルスワクチン接種担当大臣も、西村康稔新型コロナ対策担当大臣も、率先して接種する話は出てこないのです。関係閣僚全員がアレルギー体質なんてことはないですよね。

これが戦場なら、そんな指揮官についていく将兵はいません。部隊の足手まといになるとみれば、躊躇なく「後ろ弾」が跳びます。味方の手で人知れず「戦死」させられるのです。菅首相以下、関係閣僚は、日本が「コロナの戦場」の真っ只中にあり、自分たちは指揮官の重責を担っていることすら自覚していないと思わずにはいられません。

世界を見ると、米国のバイデン大統領が昨年12月に接種の様子をメディアに公開し、国民に接種を呼びかけています。イギリスのエリザベス女王一家、ジョンソン首相やイスラエルのネタニヤフ首相、フィリピンのドゥテルテ大統領らも国民の先頭に立って接種しています。それが日本はといえば、以下のような有り様です。

「(前略)『総理ご自身が打って、経過の報告もする。安心はやはりリーダーからのメッセージだ』『野党の党首も含めて全員、ポリティカルリーダーが一斉に受け、その状況、経過を報告することで、国民に安心・安全を与えていただきたい』。2月15日の衆院予算委で公明党の岡本三成氏が迫ると、首相は『私も高齢者であるので、順番が来たら率先して接種したいと思う』と淡々と答えた。

 

政府の決めた順番に従えば、首相は『高齢者』に分類されるため、4月以降に接種することとなる。首相周辺は『まだいつ打つか決めていないが、4月の時点の世論次第だ』と語る。

 

一方、ワクチン接種を担当する河野太郎行政改革担当相(58)は16日の記者会見で、自身の接種について『現時点では一般の接種が始まった段階で率先して打ちたい』と答えるにとどめた。(後略)」(2月18日付 毎日新聞)

現役弁護士が宮本武蔵『五輪書』は森羅万象に役立つと言い切る訳

こなさなければならない仕事や避けて通れない家事など、あまりに多すぎるタスクを目の前にし途方に暮れてしまったという経験、誰しもお持ちではないでしょうか。そんな時には宮本武蔵の『五輪書』のある一節が役に立つとするのは、現役弁護士の谷原誠さん。谷原さんは自身の無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』で今回、武蔵が吉岡一門と戦った際のエピソードを引きつつ、膨大なタスクの上手なこなし方をレクチャーしています。

最高の指南書はこれ

こんにちは。弁護士の谷原誠です。

日々やることがたくさんありすぎて、テンパってしまうことがあると思います。そんな時は、どこから手をつけていいのかわからず、同時に色々やろうとして、かえって時間がかかったり、思わぬミスをしがちです。

では、そんなときは、どうしたらいいでしょうか。

『五輪書』にヒントがあります。宮本武蔵は、吉岡一門と戦った時に、多人数との戦いを経験しています。『五輪書』の中で、こんな文章があります。

10人が一太刀ずつ斬りかかってきても、その一太刀一太刀を受け流して、あとに心を止めず、次々のあとを捨てあとを拾うならば、10人全てに働きを欠かぬことになる。

 

もし1人の前に心が止まるならば、その1人の太刀は受け流すことができても、2人目の時は、こちらの働きが欠ける。

つまり、10人の敵がいるときに、10人が斬りかかってきたとしても、分解すれば一太刀ずつであるから、その一太刀ずつをさばいて、1人1人順番に意識を集中すれば、全てさばくことができる、ということです。

物事に当たる時も同じです。

10個のやることがあり、すべてが頭の中にあって色々考えていると、さばききれません。しかし、やることは10個でも、分解すれば1個ずつのやることなので、1つずつ順番に集中し、その間は他のことは忘れ、1つが終わったらそのことは忘れて次のやることに集中すれば10個全てを完了することができる、ということになります。

このように、『五輪書』は、兵法書ですが、読み方によって、ビジネスや家事など、全てのことに応用がきく素晴らしい書物です。読んでいない人は、ぜひ一度読んでみることをおすすめします。

その前に、『五輪書』を解説していますので、解説を聞いてから読んだ方が理解がより深まると思います。ぜひ、ご覧ください。

【五輪書】宮本武蔵の戦略とは?最強のビジネス書。弁護士が解説

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今日は、ここまで。

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怒るでしかし。元やすきよマネージャーが横山やすしから学んだこと

数々の伝説を持って語られる元吉本興業の名物マネージャー、大谷由里子氏。大谷氏と言えば横山やすし師匠にビンタを張ったエピソードがよく知られていますが、やすし師匠からの「無茶振り」も枚挙にいとまがなかったようです。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では大谷氏本人が、やすし師匠との当時のやり取りを明かすとともに、そこから学んだことについて語っています。

横山やすしさんから学んだこと

横山やすしさんといえば、破天荒な生き方で知られる天才漫才師でした。吉本興業でマネージャーを務めた大谷由里子さんは、そんな横山さんとどう向き合い、そこから何を学んだのでしょうか。


「大谷由里子のリーダーズカレッジ」では、東京校と大阪校を含め各地で運営してきました。自分のアイデアを形にできる人材を育てたいと思い始めたスクールです。企業でいうなら、自分の企画を社長に提案して実現するまでの企画力、交渉力、プレゼンテーション、根回し等々を学んでいきます。

野球でいえば、「バットをこう振りなさい、ああ振りなさい」というのは「Teach(教える)」で、コーチングは「君はどう打ちたいの?ならバットはどう振ってみる?」と質問のやり取りから相手の中にある答えを引き出していきます。

以前、吉本興業でマネージャーの仕事をしていましたが、コーチングとマネージャー業はとても似ている。マネージャーは芸人に「芸風をこうしい、ああしい」と指導はしない。ただひたすら「どう売れたいか、それならどういうネタがいいんだろうか」と話し合い、聞き役に徹して、能力を引き出そうとしていました。コーチングの理論と自分のやってきた仕事が一致するので興味をもって勉強したんです。

吉本興業では「やすし・きよし」の横山やすしさんや、当時売り出し中の「宮川大助・花子」などを担当しました。横山さんにはわがままなイメージがあるようで、人には「大変だったでしょう」と言われます。確かに、大阪で生放送に出演するはずなのにまだ地方の競艇場にいたり、「浮気がばれた。嫁が怒っているから姿を消す。オレに仕事をしてほしかったらおまえが嫁の機嫌をとってこい」って電話がかかってきたり、むちゃくちゃでしたよ。

でも、どんな仕事でも取引先や上司から無理難題を言われるでしょう。それを無理難題と思うか、「試されごと」と思うかどうかの違いです。コーチングの基本に“発想を「Why」から「How」に変えよう”という理論があるんですよ。無理難題を言われて、「なんでそんなこと言われなあかんねん」と思ったら、もうそこで終わり。

あの頃、横山さんに何を言われても「どうする?」「どうやって解決する?」といつも考えていました。それがいまとても役立っています。

※ 『致知』2003年8月号より


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「中国とは価値観を共有できない」元自衛隊トップの勇気ある発言

自衛隊制服組のトップである統合幕僚長の職にあった河野克俊氏の中国に対する批判が、一部で話題となっています。この批判を「勇気ある発言」と称賛するのは、国際関係ジャーナリストの北野幸伯さん。北野さんは自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で今回、河野前統幕長の発言が称賛に値する理由を述べるとともに、「日本は戦略的に中国との関係を悪化させるべき」という持論を展開しています。

「中国は…」防衛省前統幕長・河野克俊氏の勇気ある発言

2014年から2019年まで、自衛官のトップである統合幕僚長を務めた河野克俊さん。中国に対し「勇気ある発言」をされました。テレ朝ニュース2月23日。

防衛省の元制服組トップが中国など各国の海軍の軍人が集まる国際セミナーで、海洋進出を強める中国を名指しして「価値観を共有できない」などと痛烈に批判しました。

 

防衛省前統幕長・河野克俊氏:「中国が我々と同じ価値観、すなわち海洋の自由を共有してもらえれば、ともに経済的繁栄を共有することができる。しかし、残念ながら中国の行動は我々と価値観を共有しているとはいえない」

おっしゃる通りですね。中国は1970年代初めまで、「尖閣は我が国領土だ」と主張したことはありませんでした。ところが、国連の調査で、「莫大な石油が眠っている可能性ある」という結果が出た。それで、「それなら、我が国の領土ということにしよう」となった。

「南シナ海は、ほとんど全部中国のもの」とする「九段線」も似たようなものです。何の根拠もなく、「そういうことにしよう」と勝手に決めてしまった。「九段線」について、ハーグの常設仲裁裁判所は2016年7月12日、「法的根拠がなく、国際法に違反する」との判決を出しています。しかし、中国はこれを完全に無視し、あちことで埋めたてを進め、軍事拠点化している。

河野前統幕長は中国が今月1日に海警局に武器使用を認めた海警法を施行したことについて、「世界は海洋の自由の観点から大変、憂慮すべき事態に直面している」と指摘し、「我が国として看過できない」と批判しました。

「海警法」ができたことは何を意味するのでしょうか?

尖閣の周辺に、日本の船がいるとしましょう。すると、中国海警が来て、「あなたたちは【中国】の領海を侵犯しています!いますぐでていきなさい!」と警告される。日本の船が日本の領海にいるのだから、何も問題ないとシカトしていると、海警の船から砲撃される。そんなことが「合法」になったのです。

河野さんは、「対抗策」にも言及しました。

そのうえで、こうした中国の動きに対抗する枠組みとして、日・米・豪・印の連携を拡大していく重要性を訴えました。
(同上)

「自由で開かれたインド太平洋戦略」の核となっているのは日本、アメリカ、インド、オーストラリアです。そして、イギリス、フランス、ドイツがこれに参加する意志を示している。さらに、ASEAN10か国を引き入れたい。

「自由で開かれたインド太平洋戦略」は、中国一強で崩れてしまったアジアの「バランスオブパワー」を回復するために不可欠です。

中国「ワクチン外交」に対抗心をむき出しにする、大国インドの思惑

日本でもようやく始まった新型コロナのワクチン接種。世界では接種が進む先進国と確保もままならない発展途上国の「ワクチン格差」が問題となっています。そうした中、国産ワクチンによる積極的な「ワクチン外交」を進めてきた中国に、ワクチン生産能力で世界一と言われるインドが対抗し始めたようです。今回のメルマガ『uttiiの電子版ウォッチ DELUXE』では、著者でジャーナリストの内田誠さんが、朝日新聞の記事から、中国、インドそれぞれの「ワクチン外交」の背景や思惑について探ります。

中国とインドのワクチン外交を新聞はどう報じたか?

きょうは《朝日》です。解説面の「時時刻刻」は、中国とインドの「ワクチン外交」を取り上げています。試しに「ワクチン外交」で《朝日》のデータベース内を検索すると、サイト内で21件、紙面掲載記事で8件ヒットしました。サイト内は「あいまい検索」的に拾ってきているものもありそうなので、この1年間に限った紙面掲載記事8件を対象にします。まずは2面の「時時刻刻」、見出しから。

中印 白熱ワクチン外交
中国 先行提供 重なる一帯一路
インド 世界一の製造能力で対抗
安保や経済 火種

中印両国は、新型コロナウイルスワクチンの周辺国への無償提供を始めている。一帯一路に重なる中国の動きに対してインドが対抗しており、利益の最大化を図りたい周辺国の思惑も絡んでいるという。

中国は途上国を中心とする53の国々と地域にワクチンを無償援助する方針。先行して援助を始めた14の国と地域のうち、アジア諸国は、パキスタン、ラオス、カンボジア、ブルネイ、フィリピンを含む9カ国で、スリランカ、ネパール、ミャンマーについては中印両国からの供給を受けている状態。

インドは近隣国にインド製ワクチンの無償提供を始めていて、バングラデシュ、モルジブ、ブータン、アフガニスタンの他、上記のようにスリランカ、ネパール、ミャンマーでは中国と被っている。モルジブ、ブータン、アフガニスタンは一帯一路絡みで中国からインフラ整備などで多額の資金が入っており、インドは「マスク外交」での遅れを「ワクチン外交」で取り戻すのが狙いだという。

●uttiiの眼

中国が提供するのは国営企業シノファーム社のものとバイオ企業シノバック社のもの。インド側は、英アストラゼネカ社などが開発したワクチンを、インド製薬大手「セラム・インスティテュート・オブ・インディア」が途上国への供給を目的にライセンス生産したもの。同社は世界最大規模のワクチン製造能力があるという。

記事を見る限り、中国が世界戦略の一環として大規模なワクチン外交を展開しているのに対して、インドは飽くまで受け身的、防御的な印象を免れない。それでも、中国からアフガニスタンに至る地域で展開されているワクチン外交のコアな部分に関しては、拮抗した印象も浮かんでくる。

中印が国境紛争を含む対立関係にある中で、中国はパキスタンに真っ先にワクチンを無償提供し、対するインドは長年支援し、パキスタンとの間に国境問題を抱えるアフガニスタンにワクチンを無償提供。奇妙なことではあるが、この図式は中国伝来の安全保障戦略である「遠交近攻」を想起させる。インドは中国とパキスタンに挟み撃ちとなり、パキスタンはインドとアフガニスタンに挟まれている図。