「冬への備え」。日本メディアが伝えない米ロ外相会談の真の意図

7月29日、米国のブリンケン国務長官とロシアのセルゲイ・ラブロフ外相が電話で会談。ウクライナ侵攻後初の両外相による直接協議について、日本と欧米ではメディアの伝え方のニュアンスに違いがあったようです。「日本のメディアは善悪を決めるとそのストーリーから抜け出せない」と指摘するのは、メルマガ『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』著者で拓殖大学教授の富坂聰さん。欧米のメディアはウクライナ批判も少しずつ始めていると、流れの変化に応じた動きを紹介するとともに、米国側がアプローチして実現した会談の意図を解説しています。

この記事の著者・富坂聰さんのメルマガ

日本メディアが伝えない米ロ外相会談の真の意図

アメリカが外交攻勢をかけている。注目は何といってもロシアのウクライナ侵攻後途絶えていた米ロの動きと、米中首脳の接触だろう。アントニー・ブリンケン国務長官とセルゲイ・ラブロフ外相、そしてジョー・バイデン大統領と習近平国家主席のそれぞれ電話会談だ。

米ロ外相の電話会談では、その報じ方でニュアンスが大きく異なる。例えば日本側の見出しはこうだ。

●〈ブリンケン米国務長官、ロシア外相に警告…支配地域併合なら「重大な代償を払う」〉(『読売新聞』7月30日)
●〈米、ロシアのウクライナ併合計画に警告〉(『毎日新聞』7月30日)
●〈米露外相が電話会談 侵攻後で初 占領地併合「決して容認しない」〉(『産経新聞』7月30日)

一方、欧米メディアは少し違う。

●〈米ロ外相、ウクライナ侵攻後初の電話会談 ブリンケン氏「率直な会話」CNN7月30日〉
●〈米ロ外相が電話会談、拘束の米国人解放や穀物輸出など巡り協議〉(ロイター通信7月30日)

ヤフーの検索結果を並べてみたがニュアンスの違いは鮮明だ。やはり善悪をはっきり分けた日本のメディアは客観的とは言えない。

まず米ロの会談をロシアが積極的にアプローチした事実はない。中国メディアは、ブリンケンが「数日のうちにロシア側と会談」と語ったことに対し、ロシアが「聞いてない」(ラブロフ)とそっけなく否定したやり取りを詳細に伝えていた。

善悪を決めるとそのストーリーから抜け出せなくなる日本のメディアは、この先さらに複雑化する国際情勢に対応してゆけるのだろうか。

欧米のメディアは、専制主義の独裁者としてロシアを徹底的に叩く反面、流れの変化に対応して手のひら返しも得意だ。最近では暫く鳴りを潜めていたウクライナ批判にも少しずつ触れるようになっている。

イギリスBBCは、欧州連合(EU)がなぜウクライナのEU加盟にハードルを設けてきたのか、ニュース番組で特集。ウクライナが自国の身体障碍者施設で行ってきた人権侵害の実態を現地取材で詳しく報じた。

アメリカのテレビ・PBSは、今月27日、ウクライナの戦況を現地から伝えた。レポーターは同17日に攻撃を受けた倉庫前から伝えたが、その内容は予定調和ではなかった。

レポーターは「ウクライナ軍はここを民間施設と声明したが、現地で取材した結果、基地として使っていた証拠をつかんだ」と断じたのだ。理由は「遺体の運び出しを手伝ったボランティアが『ウクライナの将校や兵士が40人ほどいた』と証言した」からだった。

この記事の著者・富坂聰さんのメルマガ

【関連】西側諸国にブーメラン。対ロ制裁で露呈した民主主義「劣化」の正体

「ただ運が強いだけのヒヒ爺」は本当か。徳川家康の真の姿に迫る

江戸幕府の開祖でありながら、登場する物語ではしばしば憎々しい人物として描かれる徳川家康。「権力を手にできたのは運が良かっただけ」とされることも少なくありませんが、果たしてその評価は妥当なものなのでしょうか。今回のメルマガ『ねずさんのひとりごとメールマガジン』では作家で国史研究家でもある小名木善行さんが、家康が成し遂げた偉業と彼が終生忘れることがなかった2つの思いを紹介。さらに家康に対する悪意ある偏見への反論を試みています。

この記事の著者・小名木善行さんのメルマガ

家康と日本文化

世界の大金持ちとして有名なビル・ゲイツさんの総資産は8兆円なのだそうです。たいしたものです。ところが日本には、その100倍の資産を持つ大金持ちがいました。それが徳川家康です。総資産は、いまのお金に換算してなんと800兆円。押しも押されもせぬ世界一の大金持ちでした。

しかも当時の日本は鉄砲大国です。世界の鉄砲のおよそ半数が日本にあるとされました。そしてその日本の3分の1の領土を自らの直轄地にしていたのが家康です。つまり家康は、当時の世界にあって、世界最大の大金持ちであり、同時に世界最強の軍事力を持つ人物であったのです。

ところがその家康、江戸に入城して10年後には、明日をもしれない超貧乏生活になっていました。とにかく当時の江戸は、広大な沼地であり、潮が満ちれば海になる、そんな土地でした。農作物も育たず、家屋敷も建てられない。しかも大雨が降れば、決まって洪水に襲われる。それら対策に莫大な予算を使わざるを得なかった家康は、辛抱すること10年、ついに財政も破綻状態に至るのです。

一方で、土地の改良に伴って江戸の人口も増えてくる。すると施政者としての責任も大きくなります。家康の偉いところは、そんな事態に至っても、決してあきらめなかったことです。常に民衆が少しでも豊かに安全に安心して暮らせる世にしていくことを最大の使命とし続けたのです。

そんな家康ですから、ついに天が動きます。佐渡に新たな金山が発見されるのです。埋蔵量は、当時の世にあって最大のものでした。そしてここから家康の天下人としての大きな働きが始まりました。家康はすでに59歳になっていました。

いまある東京の町並みも、関東の大型河川の流路も、すべて家康がその基礎を築いたものです。それだけの大事業を成し遂げた家康には、とても大切な思いが二つありました。

ひとつは、家康がまだ19歳のときのことです。今川義元の人質として育った家康は、このとき松平家の当主として居城である三河に帰りました。岡崎城で出迎えた三河の家臣たちは、誰もがみんな極貧生活でボロボロの姿でした。殿のお帰りを、晴れ着で出迎えたくても、その服がなかったのです。そんな彼らが、真っ黒に日焼けして皺だらけになった顔をくしゃくしゃにして、家康の帰りを喜んでくれました。

「この人たちを絶対に護り抜く」

それは若い家康にとって、生涯の誓いとなりました。

いまひとつは、初婚の相手の瀬名姫のことです。近年の小説等ではこの瀬名姫を、あたかもとんでもない女性であるかのように描くものが多いです。そうではないのです。瀬名姫と結婚したのは家康が16歳のときのことでした。瀬名はとても美しく聡明で、立ち振舞もみやびな最高の女性でした。家康は夢中で本気で真剣に瀬名を愛しました。詳細は本編でお話しますが、不幸にも家康は、その最愛の妻を処刑しなければならなくなったのです。

この記事の著者・小名木善行さんのメルマガ

【関連】中国を超大国にした“チャイニーズマフィア経済”は崩壊するのか

世界中が思った“おまいう案件”。「文化の盗用」とディオールに抗議する中国人

世界的ブランド『ディオール』が中国人から大きな批判を浴びています。「文化の盗用」を声高に叫んでいますが、どうやらそれは“おまいう案件”と思われているようです。中国出身で日本在住の作家として活動する黄文葦さんが自身のメルマガ『黄文葦の日中楽話』の中で騒動を詳しく紹介。文化の盗用と流動について語っています。 

この記事の著者・黄文葦さんのメルマガ

ディオール騒動の例から考える文化の盗用と文化の流動

ディオール(DIOR)が2022年ウィメンズ・フォール・コレクションで披露したミドル丈のスカートが、中国の明時代の伝統的な衣服であるマミアンスカートに似ていると中国のネットユーザーの間で物議を醸している問題について、多くの現地の中国人留学生がパリのシャンゼリゼ通りにあるディオールの店舗前に集結し、抗議を行った。

抗議のために集まった学生の多くはマミアンスカートや漢服を着用し、ディオールからの謝罪と問題となったスカートの販売中止を求めた。この抗議の様子はウェイボー(Weibo)やウィーチャット(WeChat)でライブ配信され、数十万人が視聴したという。

中国のマスコミが直ちにディオールによる「文化の盗用(cultural appropriation)」を批判し始めた。「ディオールは、中国の伝統的なマミアンスカートを盗用し、自身のオリジナルなデザインとし、製品表示には中国要素に触れなかった。

世論の反発を受け、同ブランドは中国語サイトから商品を取り下げただけで、現在まで前向きな対応をしておらず、中国の消費者の気持ちを大きく傷つける行為となった」と強く批判した。

中国では、ディオールに抗議した中国人留学生たちはまさに英雄と見なされている。この抗議行動は、近年の中国伝統文化に関連する海外に向ける抗議行動の一つに過ぎず、共通するのは、それが中国人のナショナリズムの波を刺激した。

「文化の盗用」が中国ネット上で繰り返し言及されるようになったのは2015年で、2018年に注目のピークを迎えた。

当時、18歳のアメリカ人女子高生が中国のチャイナドレスを着てプロムに参加した写真をSNSに投稿し、中国系アメリカ人のネットユーザーから「私の文化はあなたのプロムドレスではない」と非難され、「文化の盗用」という概念で議論を巻き起こした。

今から見れば、アメリカ人女子高生が中国のチャイナドレスを着ることは、歓迎すべきではないか。「文化の盗用」ではなく、「文化の流動」だと言える。流動するからこそ、文化が広げていく。

文化の流動はいい刺激の相互作用であるはずで、ファッション・デザインが異なる文化要素の間を行き来し、敬意を払うこと。

遼・宋の時代にさかのぼり、明・清時代に流行したマミアンスカートのデザインコンセプトは、デフォルトで技術のパブリックドメインにあり、いかなる個人または組織団体によっても特許化されていない。権利の主体が存在しないため、知的財産の侵害にもならない。

逆に言えば、ディオールのいわゆる「マミアンスカートに似ているミドル丈のスカート」が定着されれば、ブランドはそのデザインを特許化する権利を有するということ。

この記事の著者・黄文葦さんのメルマガ

【関連】安倍元首相の銃殺事件で中国国民に沸き起こる反日ナショナリズム

核リサイクル計画と同じ。捕鯨を辞められない日本が抱える大問題

今やほとんどの日本人が、日常生活で口にすることがなくなった鯨肉。それでも日本政府は調査という名目で鯨を獲り続け、2019年には商業捕鯨を31年ぶりに再開させました。なぜ我が国は、国際社会から非難を浴びながらも捕鯨を辞めないのでしょうか。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では「Windows95を設計した日本人」として知られる世界的エンジニアの中島聡さんが、核のリサイクル計画と同様、典型的な「一度始めたことを辞められない」状況に陥っていると指摘。さらに痛みを伴う中止決定に及び腰の自民党を批判するとともに、責任の一端は彼らを選挙で勝たせる日本国民にもあるとしています。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

この記事の著者・中島聡さんのメルマガ
 

一度始めたことを辞められない日本

NHKスペシャル『鯨獲りの海』を観ました。

3年前から、再開されている日本の商業捕鯨。今回私たちは、再開後はじめて、日本唯一の捕鯨船団の長期航海に密着を許された。古来から続く捕鯨。ある人は『残酷』だといい、ある人は『文化』だという。価値観が多様化する現代。なぜ鯨を獲り続けるのか。そして、そこに、何があるのか。知られざる鯨獲りの記録だ。

最近、ハワイで鯨に親しんでいる身としては、目を背けたくなるような場面も数多くありましたが、我慢して最後まで観ました。

色々と思うことはありましたが、作り手の意図がはっきりと伝わって来る、力強い映像でした。

「日本独自の文化を守る」というお題目の元に、大多数の国の反対を押し切り、IWCから脱退してまで続けている捕鯨は、本当に今の時代に必要なのか、一体何のために続けられているのかを問う、とてもメッセージ性の強い番組です。

昔のNHKスペシャルはもっと直接的に政府の批判をすることもありましたが、安倍政権時代に強められた報道規制により、表向きは政府の批判が出来なくなる中、あえて批判はせず、残酷な場面を含む捕鯨の現場だけを淡々と捉えた映像を流すことにより、視聴者の判断を仰ぐ姿勢は、同じく事実だけを描くことにより読む人の心の中に深く訴えかける「叙事詩」と同じ効果を持つ、素晴らしい作品だと思います。

この番組では一切触れられていませんが、「鯨肉ビジネス」は既に成り立たなくなっています。鯨肉が日本人の貴重なタンパク源だった時代は終わり、鯨肉の需要は下がる一方です(参考:「クジラを食べたかったネコ」)。

「鯨肉ビジネス」は、既に税金による補填がなければ成り立たないビジネスですが、需要を度外しして捕鯨を続けているため、流通在庫は増え続けています。そのため、さらに税金を投じて、鯨肉のプロモーションを行ったり、学校給食に使うなどの施策が採用されています(水銀含有量の多い鯨肉を成長期の子供達が接種することはとても危険です)。

この記事の著者・中島聡さんのメルマガ

【関連】報酬は日銀総裁の1.5倍5000万超!日銀OBの天下り先「日証金」の闇

甘口、中辛、辛口。日本で最も売れているカレーの辛さはどれ?

夏はカレーの季節。昔からよく使われるこのフレーズですが、今やカレーも多種多様。味も見た目も具材も色々なバリエーションが増えています。とはいえ、変わらないのはカレーの辛さ。あなたはどの辛さのカレーがお好みでしょうか?そこで今回は、『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』の著者でNY在住の人気ブロガー・りばてぃさんが、もっとも売れている市販カレーの辛さについて紹介しています。

この記事の著者・りばてぃさんのメルマガ

甘口?中辛?激辛?もっとも売れているカレーは何?

少年ジャンプのYouTubeチャンネルでは定期的に登録者アンケートをしてまして今朝出ていたのが、「カレーはやっぱり…」というもの。選択制の回答は甘口、中辛、辛口、激辛、その他。

つまりカレーの辛さの好みを聞いてるわけです。

近年、激辛ブームっぽい印象ですし、YouTubeでも激辛◯◯食べてみたという企画も多いです。

なので、多くが激辛を選ぶのかな?と思いつつ、辛いの苦手な私も中辛が一番なので選んだら、なんと、一番多かったのが中辛で半数もいました。

ご参考: ジャンプチャンネルのコミュニティ 
※ アンケートに答えると結果がみれます

で、ふと思ったんです。

「もしかして、激辛人気ないの??」

というわけで調べてみました。日本でもっとも売れているカレーについて。

少し古いですが、2016年9~11月版スーパーで売れ筋のカレールーランキングTOP10

1位 バーモントカレー <中辛> 230g
2位 バーモントカレー <甘口> 230g
3位 こくまろカレー <中辛> 140g
4位 ゴールデンカレー198G 中辛
5位 ジャワカレー <中辛> 185g
6位 プレミアム熟カレー 中辛 160g
7位 とろけるカレー 中辛 180g
8位 完熟トマトのハヤシライスソース 184g
9位 こくまろカレー 甘口 140g
10位 バーモントカレー 辛口 230g

トップ10中7つが中辛です。次に多いのが甘口で、辛口は1つしか入っていません。中辛大人気!

ご参考: 2016年9~11月版スーパーで売れ筋のカレールーランキングTOP10

なお、このデータはデータ会社TrueDataを使った様々なデータをとりまとめたウレコンを参照してるとのこと。

この記事の著者・りばてぃさんのメルマガ

【関連】ビジネスに役立つ雑学。一年で一番誕生日が多い日はいつなのか?

韓国でも大打撃。コロナ禍の旅行会社、女性CEOが仕掛けた作戦とは

旅行業界に大打撃を与えた新型コロナウイルスの流行。今回は、韓国の旅行会社である『ハナツアー』女性CEOの宋美善さんが会社のためにどう動いたかを韓国在住歴30年を超える日本人著者がメルマガ『キムチパワー』の中で紹介しています。

コロナ発生と同時にハナツアーの代表となった宋美善代表の話

女性が安心して暮らせない社会というテーマで前号はお送りしたが、今回は女性CEOが活躍する話をお届けしたい(朝鮮日報ベース)。

旅行業界1位の「ハナツアー」の宋美善(ソン・ミソン)代表がその主人公だ。日本でもある程度知名度のある旅行会社である。

「昨年初め、職員の半分ほどを解雇せざるを得ず大変でした。それでも残りの社員とどうにか生き残り、前進しなければなりませんでした」

今月12日、ソウル鍾路区ハナツアー本社で会った宋美善(46)代表は、「コロナのような外部要因のせいにしたり、失望する代わりに、我々が『できること』に集中している」とし、このように話した。

宋代表は2020年3月、代表に就任した。コロナが本格的に拡散した時だった。彼女は「コロナが拡散しはじめた時はSARSやMERSのように6か月程度で回復すると見ていたが、長期化し予想シナリオが全て外れた」と話した。

結局、2019年6,000億ウォンを越えた会社の売上は昨年403億ウォンに減り、2020~2021年2年連続1,000億ウォンを越える営業損失を出した。だが、宋代表は「コロナは避けられなかった旅行業界の変化を加速化し、危機の時間を変身のための準備期間として活用した」と語る。

宋代表は、「3回の決定が自分の人生を変えた」と話した。

第一に、大学入試の浪人のとき理科から文科に変えたこと、第二に大学で学者を目標に博士課程に入ろうかと考えていたとき急遽コンサルティング会社のBCG(ボストンコンサルティンググループ)に入ったこと。3番目がハナツアーの代表になったことだ。

ソウル大学経営学科学士・修士、ペンシルベニア大学ワートンスクールMBA出身のソン代表は2001年BCGに入社し、20年近くコンサルタントとして働いてきた。

2019年12月、国産私募ファンドであるIMMプライベートエクイティ(PE)に筆頭株主が変わったハナツアーが、彼女に経営総括代表取締役社長を提案してきた。コンサルタント時代、ハナツアー、IMMとそれぞれプロジェクトをしたのが縁になったという。

宋代表は「一寸の迷いもなく、知人たちと相談もしなかった。ただ運命だと思った」と話した。ハナツアーの代表となった時、業界1位のこの会社が10年、20年後にも同じ位置を守れるように、必要なこと・やれることをやると誓ったという。

失墜する「熊本ブランド」。アサリの次はタケノコで偽装発覚、悪習を是とする罪意識の低さ

1月のアサリに続いて今度はタケノコ…。熊本の食品加工業者が中国産のタケノコの水煮を「熊本産」や「九州産」と偽り販売し、不正競争防止法違反の疑いで逮捕された。相次ぐ偽装で失墜寸前の熊本ブランド。なぜこうした事態が起きてしまうのだろうか。

アサリの次はタケノコ、蔓延する罪意識の低さ

今回摘発されたのは熊本県下益城郡美里町にある食品加工業者「砥用食品」。同・役員の榊勇一容疑者(51)と元役員の松野治美容疑者(53)は、中国産のタケノコの水煮を「熊本県産」や「九州産」だと偽って九州内にある複数の食品卸会社に販売していた。

去年6月中旬頃に外部からの情報提供があり、警察が捜査を進めており、二人は容疑を認めているという。

現在、国内に出回るタケノコの加工品はほとんどが中国産。それ以前にも加工用のタケノコはほとんど中国産だったが、2007年から2008年に発生した「中国毒ギョーザ事件」が起こり、中国産に対するイメージが悪化し、「中国産タケノコ」は売れなくなった。

そこで、国産を調達できなかった国内の山菜加工業者が中国産を国産と偽って販売したことで2008年に産地偽装が摘発され、30社以上の山菜加工業者が姿を消してしまった。

いまでは国産でタケノコを加工する業者はほとんどなくなり、ごくわずかだ。

そう簡単に国産タケノコの水煮を加工できるはずもないのというのは、業界では常識。最初から「砥用食品」は疑いの目で見られていたのかもしれない。

【関連】大阪王将、今度は黒焦げ餃子で炎上。「厨房にナメクジ大量発生」不衛生だけではない、次々出てくる疑惑に批判殺到

信用を取り戻すのは至難の業、産地偽装の大きすぎる代償

「報道特集」(TBS系)の3年に渡る調査で、中国産アサリを干潟で短期間畜養しただけで熊本産だと偽り全国に販売されていたことが発覚。熊本県はアサリ業者に3年間の取引記録の保存の義務化や、産地証明の提示をする取り組みが始まっている。

一方、中国産を中国産とちゃんと表示し、安全を証明する取組みも行われている。しかし、消費者の「中国産」に対する不審感は根強く、中国産ならばアサリ自体を置かないというスーパーも多いようだ。

タケノコの産地偽装にしても、中国産だと全く売れないので、やむなく国産と偽ったと考える。不正が不正を呼ぶ負のループが止まらない。

ところが農林水産省のデータによるとアサリは中国産が約7割、タケノコの加工品は全消費量の83から90%が輸入品であり、そのほとんどが中国産だ。

現実的には中国輸入に頼っているのに、消費者自体は中国を敬遠するという矛盾が起きている。そのことが産地偽装を引き起こしている原因に繋がっているかもしれない。

【関連】TKO木本、トラブル渦中に投資関連会社を設立の謎。返済するための資金集めが目的?“キナ臭さ”を増す騒動の行方

とはいえ、産地偽装を行えば信用は失墜し、ブランドが傷つくのは当たり前。失う代償が大きいことに、食品を扱う業界は改めて気付かなければならないだろう。

小栗旬、『鎌倉殿の13人』終了後にロス移住を計画?第4子誕生で絶好調、目指すはハリウッドリベンジ

視聴率は13%前後を推移し、評判も上々のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。主演の小栗旬に「今年の春頃に第4子が誕生していた」というニュースが突然飛び込んできました。まさに公私ともに順調といえる小栗、映画『ゴジラvsコング』で“ほろ苦デビュー”となったハリウッド進出を再び虎視眈々と狙っているといいます。一体、どのような計画があるのでしょうか。芸能記者歴30年のベテランジャーナリスト・芋澤貞雄さんが解説します。

第4子誕生の小栗旬が再び狙うハリウッド

『鎌倉殿の13人』で熟練された演技を見せる小栗旬に、突如おめでたいニュースが流れ芸能関係者を驚かせています。

『NEWSポストセブン』によれば、今年の春頃、妻の山田優が第4子を出産していたというのです。普段からスタッフらに“子供は多ければ多い程、楽しいョ”と漏らしていたとはいえ、4人目が誕生していたとは…。

積極的に育児に参加すると言われている小栗ですから、妻を労いながら、今頃は嬉しい楽しい汗だくパパとして過ごしているのでしょうね。

この『NEWS~』を読んで少々腑に落ちなかったのは、山田の妊娠から出産までのプロセスが完全に抜け落ちているという事実でした。

妊娠して体形に微妙な変化が生じていれば、普段山田のことを見慣れている記者たちも“あれっ…もしかしたら…”と感じるのが普通だと思います。

それが一切無くいきなり第4子出産ですから、小栗ファミリーの定点観測が疎かだったのでしょうか、それとも記者が見抜けなかったのか、小栗側が報道しないでくれとお願いしていたのかのどれかでしょうね。

ブログもインスタグラムも、ツイッターでさえ予約投稿が出来ますから、お腹が大きくなった時に外出などせず、ちょっと前の写真を投稿しておけばそれが最新画像として刷り込まれるわけですからバレずに済むというものです。

第4子出産もそうですが、この記事で私が印象的だったのが、小栗がハリウッドへの挑戦をまだ諦めていないという事実でした。

『鎌倉殿~』が撮了し、コロナ禍が一段落したら、再度今度は家族6人でロスに移住する計画だと、この記事の中では芸能関係者がコメントしています。

大河ドラマの座長を見事に務め上げ、役者としてスケール・アップした小栗が、今後我々にどんな演技を見せてくれるのか…期待していただけに“移住”の2文字は少し残念な気がしました。

【関連】キンプリ永瀬廉、“肉食系女優”との共演でどうなる?今後の俳優人生を左右する試練

詰んだ欧州。米英主導の対プーチン制裁という詐欺策に乗って自滅するEU

プーチン大統領のウクライナ軍事侵攻を受け、ロシアに対して一丸となり厳しい経済制裁を科している西側諸国。しかしこの「対ロ敵視」には裏があり、まんまと乗せられた欧州各国は着実に自滅への道を辿りつつあるようです。今回の無料メルマガ『田中宇の国際ニュース解説』では著者で国際情勢解説者の田中宇(たなか さかい)さんが、対ロ制裁が欧州各国の首を絞めるだけに終わる理由を解説。さらに彼らは今後も親ロに舵を切れないとし、そう判断する根拠を示しています。

自滅させられた欧州

ウクライナ戦争は、欧州を自滅させた。今年2月末にロシアがウクライナ侵攻を開始したとき、米国の最上層部である諜報界は、石油ガス輸入停止など厳しい対露経済制裁を行えばロシアは短期間で経済破綻し、ウクライナでの露軍の稚拙な作戦展開と相まって、ウクライナや欧米の勝利とプーチン政権の崩壊を実現できると自信満々だった。EUや独仏の上層部はその見方を軽信し、米英主導の対露制裁とウクライナ軍事支援に全面的に乗った。だが米諜報界は、米国覇権・欧米支配の体制を自滅させたい隠れ多極派に乗っ取られており、対露経済制裁とウクライナ支援でロシアを倒せるというシナリオは、欧米とくに欧州を自滅させるための歪曲話だった。

ロシアが負けそうだと勘違いして自滅する米欧
米諜報界を乗っ取って覇権を自滅させて世界を多極化

欧州経済はロシアからの石油ガスに強く依存している。代わりの輸入先の開拓には10年以上かかる。ロシアからの輸入を止めたら欧州経済は破綻に瀕する。欧州の上層部はそれに気づき、ロシアからの石油ガス輸入を止めると口で言いつつ実は輸入を続けるというウソ戦略をとった。だが同時に欧州は、米国の言いなりでウクライナに兵器を送り続けるなどロシア敵視を続けたため、ロシアは報復として欧州に石油ガスを送る量を減らし続けた。ロシアから欧州への天然ガスの最大の輸送路であるノルドストリーム1パイプラインは先日の定期点検後、流量が平常の20%にまで減らされた。欧州はロシア敵視をやめず、深刻な天然ガス不足が今後も続くことが確定的だ。欧米の指導者や分析者の中には、これで欧州の対露制裁の失敗が確定したと宣言する者たちが増えている。ハンガリーの親露的なオルバン大統領などがそうだ。
Hungary’s Orban says EU sanctions on Russia have failed

米諜報界は傘下の米英マスコミを使ってウクライナ戦争の報道を歪曲し、ロシア軍が惨敗して自暴自棄になって街区の破壊や市民の殺戮などの戦争犯罪をガンガンやったかのような話が世界に流布した。だが実際のロシア軍は、当初から現在までウクライナでの作戦を成功裏に進めており、街区の破壊も市民の殺害も最小限にとどめている。国連によると、ウクライナ市民の戦死者数は、開戦から5ヶ月近く経った7月12日にようやく5,000人を超えた。毎月平均1,000人ずつしか市民が死なない戦争は珍しい。露政府が「戦争」でなく「特殊軍事作戦」と呼んでいるのは理解できる。米国はイラクやアフガニスタンで開戦から5か月間で10万-20万人ぐらいずつ殺した。ロシアは、最終的にウクライナを自国の傘下に入れたいので、街区破壊や市民殺害をできるだけやらない作戦を遂行し、成功している。

Civilian Toll in Ukraine Conflict Passes 5,000 Mark, UN Says
資源の非米側が金融の米国側に勝つ

自民・福田達夫氏、旧統一教会「何が問題かわからない」という問題発言

安倍元首相の銃撃事件をきっかけに、次々と明らかになる自民党と旧統一教会のただならぬ関係。しかしその「事の重大さ」を理解していないかのごとき同党議員たちの言動に、怒りを通り超え呆れの声が上がっているのも現状です。今回のメルマガ『uttiiジャーナル』では著者でジャーナリストの内田誠さんが、そんなか彼らの声を改めて誌面で紹介するとともに、何が問題であるかを簡潔明瞭に解説。さらに岸田首相がこのトラブルにどう始末をつけるのかが注目されるとの見解を記しています。

この記事の著者・内田誠さんのメルマガ

 

自民党と統一教会の関係やいかに:「デモくらジオ」(7月29日)から

やっぱり統一教会の話ですね。あの、安倍さんが参院選投票日直前に演説中、奈良で撃たれて亡くなるという事件。なんか呆気ないなという感じがしましたけれど、その事件の動機を巡って一気に各メディア、これ、色々なブレーキが掛かっているのではないかと言われることがあり、実際そのようなこともあるかもしれませんが、その割にはよく報じられてきていますよね。

自民党と統一教会の関係やいかに。テーマはこれです。

自民党というのは、2回ほど例外がありますけれど、長年政権の座にあって、日本の政治の基本方向について責任のある政党ですね。その政党のそれこそ、国葬にしたいと岸田さんが思うほど重要な政治家であって、首相を退いた後もさながら最高権力者のように振る舞っていた安倍さん。その安倍さんと統一教会が極めて密接な関係にあったのではないかということになると、これは極めて大きな問題が背後にある、というかモロ見えですよね。霊感商法一つとってみても、まあ、日本からとにかくカネをむしり取っていこうという組織。

しかも宗教法人としての庇護を与えられたその組織が、日本の政治の中枢に深く入り込んでいたということになりますね。秘書を提供し、選挙の時には運動員を派遣し、様々な支援を行い。その見返りと言うべきかなんと言うべきか、統一教会系の団体の会合に出てはコメントを発表し、ビデオメッセージを出し、ということでしょ。霊感商法で、つまり人を霊がついているとかなんとか脅かして金を巻き上げ、その巻き上げたカネで彼らは自民党のために活動をしていたと見ることも出来るわけですから。

ちょっと不思議なことに、統一教会と具体的な関係のあった個々の政治家に対する追及が行われていますけれど、それに対する説明が酷いですね。驚いたのは岸防衛大臣。安倍晋三さんの弟に当たる方ですね。この大臣は会見で、選挙で支援を受けたことについて認めている、さらに、霊感商法の問題を起こした団体であることを「知っていた」と言い、ではこれからも選挙の時に支援を受けるのかと聞かれて、適切に判断すると言った。否定しなかったんですよ、すごい度胸ですね。

そこでちょっと考えました。岸信夫衆議院議員は自民党の所属ですが、統一教会系の政治家であると、これ、言っても間違いではないですよね。だって、その団体の悪い面、言い面があるかどうか知りませんが、悪い面について今現在も裁判が続いているようなそういう団体について知っていて、選挙の時に応援を受け、支援をしてもらい、そしてこれからももしかしたらお願いするかもしれない。そんなところとは二度とお世話になることはありません。というのではなく、適切に判断すると言ってしまっている。

この記事の著者・内田誠さんのメルマガ