画廊が好きな人は特に注意。絵画を売りつける悪徳商法の一部始終

世の中にはさまざまな詐欺がありますが、「絵画商法」と呼ばれるものもそのひとつ。自分では「そんなものに引っ掛かるはずがない」と思っていても、どこにその罠が潜んでいるかわかりません。無料メルマガ『採用から退社まで!正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』の著者である社会保険労務士の飯田弘和さんもそのひとり。自身がごく最近ひっかかってしまったという悪徳商法の一部始終を紹介しています。

絵画商法にやられた!

今回は、先日私が銀座で遭遇した“絵画商法”についてお話しします。

絵画商法とは、高額な価格で絵画を売りつける悪質なキャッチセールスのことです。ウィキペディアによれば、

繁華街などの街頭に画廊風のイベント会場を構え、そこへ客を勧誘して絵画やイラストレーションなどの「原画」や「版画」と称した商品を高額な価格で販売する商法。多くの場合、街頭でOL風の女性勧誘スタッフが「展示会」と称して通行人を招きいれ、周到かつ強引な手法で売買契約を結ばせるといった手口を持つ。
販売される「絵」の多くは、「版画」であるが、美術品としての価値は殆ど認められないインテリアアートがほとんどである。

※ 今回は労務に係るお話ではありません。ご興味のない方、ごめんなさい。

場所は銀座6丁目。店の前でチラシ配りに声を掛けられました。

「絵の販売を行っています」

銀座周辺には、多くの画廊があります。その類だろうと思って、試しに店に入ってみました。

わたしは絵を見るのが好きです。だから、ときどき画廊にも入ります。購入することは殆どありません。ただ見るだけです。ちなみに、今まで一度も、画廊で不愉快な目に遭ったことはありません。

軽い気持ちで入った、それが失敗でした。店員のおばさんがしつこく付きまとい、尋ねてもいないのにべらべらと絵の説明をしてくる。興味を惹かれる絵がなかったので聞き流していると、今度は私の服装などを大袈裟におだてだした。そして、わたしのプライベートな事柄を聞き出そうと、あれやこれやと話しかけてくる。

とにかくしつこい。そして、その店員のおばはんの雰囲気は下品そのもの。人が醸し出す雰囲気って、その人間の品性が自然と現れるもの。そのおばはんは、ただただ下品で不快だった。

だが、簡単には帰してくれそうもないことも感じ、わたしは「面倒臭いことになったなぁ」と思っていた。

なんちゅう弁当屋や! 話題作りこそ成功の秘訣、取材が殺到する驚きの戦術とは

話題になるためにさまざまな戦略を打ち出し繁盛に繋げるのは並大抵のことではなりません。それが個人でやっているお店であればなおさら。そこで今回は、繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが自身のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の中で、 テレビ局やユーチューバーがこぞって取材に来るお弁当屋さんを紹介。そのお店の「売り」とは一体なんなのでしょうか?

お弁当を2個買うと、もう1個お弁当がついてくる!?

デカ盛りで激安。そんなお弁当屋さんが神戸市にあります。

テレビ局やユーチューバーが取材に来るほどの有名店。とにかく量が多くて、安い。しかも、種類が豊富。正確にはわからないものの、100種類は超えています。

それだけではなく、トッピングなどの組み合わせを替えると、約9,700種類にもなると言います。

お店を遠くから見てもわかるのですが、店舗にはほぼ全面に、お弁当の写真と説明が貼られています。

かなりド派手で、目立っています。注目度は抜群です。

トンカツ弁当やハンバーグ弁当、からあげ弁当など、普通のほか弁屋さんにあるメニューはもちろん、ちょっと変わったメニューがたくさんあるので、飽きることなく、毎日でも利用できます。

たとえば、「牛冷しゃぶ弁当」「魚からあげ弁当」「カレーハンバーグ弁当」「とりのカレー炒め弁当」「トリキムチべんとう」「あんかけトンカツ弁当」「牛あんかけチキンカツ弁当」など。

「てんこもり弁当A 780円」は、トンカツ、ハンバーグ、コロッケ、からあげが山のように入って、フタが閉まらないほど。重さは1キロを超えています。

普通のほか弁屋さんで売っている500~600円のお弁当は350円からあります。いかに安いかがわかります。

FIREの危険を回避せよ。破綻しないための現実路線「サイドFIRE」なら実践できるワケ

高年齢者雇用安定法の改正により70歳までの定年引き上げが努力義務になりました。長く働く時代が見えている一方で、いち早く退職を目指す「FIRE(経済的自立して早期リタイアを目指す)」の生き方が話題になっています。若年層を中心に広まっていましたが、最近では40代・50代でも関心が高いのがFIREです。今回は、FIREが目指す経済的自立や、日本でFIREを実現する方法について考えていきます。

そもそもFIREとは?大きく分けてFIREは2種類に分かれる

FIREとは、Financial Independence, Retire Earlyの略語で、「経済的自立をして早期リタイアを目指す」という意味です。働かずに経済的自立をするには投資が必要ではありますが、「FIRE=投資法」ではなく、「FIRE=生き方」を指します。

FIREは大きく分けて2種類あります。

1つは「フルFIRE」です。完全に仕事を辞めて、資産運用の収入だけで生活するものです。もう1つのFIREは「サイドFIRE」ですが、「資産運用の収入+勤労収入」で生活する生き方です。

フルFIREの中には「リッチ型FIRE(Fat FIRE)」と「超節約型FIRE(Lean FIRE)」が含まれます。リッチ型FIREは数億円に及ぶ十分な資産を確保したうえで早期リタイアするもので、誰もが憧れるものの、再現性はかなり低いFIREです。 

超節約型FIREは、FIREを目指している間もFIRE後も極端な倹約で生活費を最低限に抑えて、最低限の資産運用の収入のみで生活するFIREです。生活で使うお金が少ない分、用意する資産も少なくてすみます。物価の安い地方や海外に移住するケースも多いです。

超節約型FIREは誰もができるかもしれませんが、憧れはないでしょう。

FIREを達成するステップはシンプル

まず、勘違いが多いのが「FIREが目指す経済的自立=大金持ち」です。これは誤りで、FIREは資産運用をすることで得られる収入(不労所得)によって生活費をまかなうことです。 

フルFIREを目指す場合の手順は、以下です。

  1. リタイア後の年間の生活費を計算する
  2. 「生活費<資産運用収入」となるのに必要なFIRE資産を計算する
  3. FIREを何年間で達成するのか考える
  4. 達成するための「運用利率」と「毎月の投資金額」を計算する
  5. 「毎月の積立金額」を増やせばFIREが近づくので支出を削る

資産運用による不労所得を増やし、不労所得で入ってくる金額より生活費が少なくなれば資産は減らないので、早期リタイアができます。つまり、FIREが従来の早期リタイアと異なるのは、資産を減らさず生活する、ということです。 

早期リタイアは必ずしもする必要はありませんが、経済的自立のシステムを構築できれば、誰もが、生活費を稼ぐための仕事やお金の悩みから解放され、自分の時間を好きなことに使えます。

FIREを実現するための「4%ルール」

FIREを実現するためには資産を減らさないことが必要です。その考え方に「4%ルール」があります。 

4%ルールは「生活費を投資資産の4%以内に抑えられれば、資産が目減りすることなく暮らしていける」というルールで、米国トリニティ大学の論文(トリニティスタディ)を根拠にしています。

言い換えると、FIREするために必要な資産は「投資元本(100%)÷年間支出(4%)」と計算できます。 

たとえば、年間支出が300万円だとすれば、FIREに必要な資産は300万円÷4%=7500万円です。 

4%ルールの「4%」はあくまで米国株式市場と米国のインフレ率の過去データを基にした数字なので、必ずしも4%で運用が続けられるという保証はありません。

フルFIREの場合、年4%の運用ができなければ、不労所得が減ります。この場合は、支出を削るか、FIRE資産以外に預貯金があればそれを取り崩すという対応が必要です。それができない場合は、FIRE資産を取り崩すことになります。

生活保護費で競馬「327万円儲ける」も全額没収。70代男性、赤字理由に返還義務なし主張も裁判所は却下

生活保護受給者の70代男性が競馬を的中させ、327万円余りの払い戻し金は行政側に返還すべきとの判決が出ていたことがわかった。産経新聞が報じた。生活保護制度では、競馬などで得た収入を届け出ると、その分が翌月の保護費の支給額から“差し引かれる”規定となっており、今後同様のケースが多く出てくる可能性がある。生活保護費のありかたについて大きな議論を呼びそうだ。

生活保護費で327万円儲けるも裁判所が徴収認める

保護費の返還を命じられたのは大阪府茨木市に住む70代男性。平成25年4月から令和元年7月までの約6年間、インターネット上で馬券を購入し、的中のたびに払い戻しを受けていたという。

ひそかに払い戻しを受けた額は327万円余りとかなりの高額。男性はJRA側から計101回の払い戻しがあったことが口座記録からわかっており、的中させた回数は多かったようだ。

これだけ金額をもらえば相当な儲けかと思いきや、馬券に投じた総額は約480万円に上り、トータルの収支は150万円ほどのマイナスで、大幅な赤字だとしている。

このことから男性は返還義務はないと訴訟で訴えたものの、大阪地裁は認めず、払戻金から的中馬券の購入代金を差し引いた全額を行政側に返還するよう命じた。

1回当たりの馬券購入代金を100円と推計した上で、的中馬券の購入代金を差し引いた326万4720円を徴収されるとみられる。払い戻し金は“全額没収”されることになる。

裁判では、「そもそも払戻金が馬券の購入代金を上回ることは極めてまれであり、男性側の主張を認めれば、生活保護受給者は収入を届け出ないまま、結果的に生活がさらに困窮する可能性が生じ、生活保護法の目的に反する」と判決理由が明かされた。

【関連】深刻な鉄道車両内の“治安悪化”に専門家「鉄道警察隊を公費で投入せよ」の大胆提言

パチンコならOK?悪質な生活保護費の使い方

なぜ今回、男性が競馬で多額の払戻金を受けたことが発覚したのか?

大阪・茨木市福祉事務所の担当者が男性宅を訪問した際に、室内から口座の通帳を発見。JRAから入金されていたことが記されており、その実態が明らかになった。

しかし、裏を返せば、口座の通帳が発見されていなければ一切わからなかった案件。男性が通帳をどこかに隠していれば、あるいは記録に残るようなギャンブルでなければ見過ごされていたことになる。

たまたま今回はインターネット上で競馬をしていたために出入金が記録されていたが、例えばこれが窓口での購入だったら発覚していなかったといえるかもしれない。

同様にパチンコなどで儲けていたとしてもその事実が明らかになることはない。

記事によると、平成28年度に公営ギャンブルやパチンコなどの遊戯で得た収入を届け出ず、保護費の不正受給と認定された件数は100件に上り、このうち競馬の事例は56件あったという。

【関連】アベノマスク配布希望“2億8千万枚”の大嘘。また虚言で自分を擁護?安倍政権が調達した枚数と同じ謎

生活保護費の受給者がギャンブルなどで収入を得たとしても届け出が必要となり、その分は翌月の支給分から差し引かれることになる。すなわち、保護費を上回るほどの金額を手にしなければ“儲からない”のだ。

今回の判決は生活保護費でギャンブルに興じようとする人たちの抑止力になるのか。「馬券が的中しても払戻金は没収される」、このことは肝に銘じておいた方が良さそうだ。

深刻な鉄道車両内の“治安悪化”に専門家「鉄道警察隊を公費で投入せよ」の大胆提言

1月23日正午ごろ、JR宇都宮線(東北本線)の雀宮―自治医大間を走行中の列車内や自治医大駅のホームで起きた、現役ホストによる男子高校生への暴行事件。優先席で寝っ転がりながら加熱式たばこを吸っていたホストの男に注意をした高校生が殴る蹴るの暴行を受けたというもので、ネットやテレビ等でも大きく取り上げられました。電車内でルール違反をしている人間に口頭で注意することの是非が議論となっていますが、車内トラブルが相次ぐ昨今、どのような「事前対策」をすべきなのでしょうか? 今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では、米国在住作家で鉄道関連に造詣の深い冷泉彰彦さんが、鉄道会社側の現状と、解決の大きな決め手となるかもしれない「大胆な対策」を提言しています。

【関連】逆ギレ暴行男は現役ホスト。「ケンカ売られた」電車内で高校生を殴る蹴る 栃木・宇都宮
【関連】京王線“ジョーカー男”事件で識者が提言。模倣犯を出さぬために徹底すべき3つの対策

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2022年2月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

 

鉄道車内の治安維持、決定的な対策とは?

1月23日にJR宇都宮線(東北本線)の下野市付近を走行中の電車内で喫煙行為を注意した男子高校生が、車内そして自治医大駅構内で暴行を受け大けがをするという事件が発生しました。

この事件については、勇気を持って注意した人を「無茶だ」とする批判があり、凶暴性のありそうな人物からは「スルー」つまり「逃げるのがデフォルト」という意見が多く出ています。

事件の報道を聞いて、私はまるで90年代当時に勤務していたニューヨークのオフィスでの会話が重なるのを感じました。

私の会社にテキサスから転職してきた気のいい「カウボーイ野郎」がいたのですが、彼は「昨日、地下鉄で変な男が女性に絡んできたので、コラって言って追っ払ってやったんだ」と自慢したのです。

その瞬間に、オフィスの空気が凍ったのでした。同僚たちは、「悪いことは言わないから、そういうことは止めた方がいいよ」とか「NYは銃は少ないかもしれないけれど、ヤク中で無意識のうちにヒドいことする奴もいるし、まずは自分の安全を優先に考えないと」などと口々に「気のいいカウボーイ野郎」の非難を始めたのでした。

トドメを刺したのはある女性の一言でした。

「貴方には奥さんも子供もいるんでしょ。幼稚な正義感から家族を悲しませるのは正義じゃないわ・・・」

そうです。アメリカでは沈黙よりも、厳しい言葉で空気が凍るという方が多いのでした。それはともかく、このエピソードは「NYの怖さを知らない、気のいいテキサスのカウボーイ野郎が学習した話」ということになったのでした。

今回の栃木県での事件は、そんなわけで私には「日本の治安悪化」という問題として相当にシリアスに考えないといけない、そんな風に思われたのです。

鉄道車両内の治安の悪化ということでは、考えてみれば、ここ数年の間でも、

  • 2015年の新幹線放火自殺巻き添え事件
  • 2018年の新幹線車内殺傷事件
  • 2021年の小田急線車内刺傷事件
  • 2021年の京王線車内刺傷事件(「ジョーカー事件」)

など、走行中の鉄道車内における凶悪事件は増えています。

こうした事件への対策ですが、まず進行しているのが防犯カメラの設置です。こちらに関しては現在、かなりのスピードで設置が進んでいます。問題は、新造車両ではなく、既に営業キロを重ねている車両を改造して設置する場合で、ワイヤーをきちんと通す改良工事が難しいことが問題となっていますが、場合によったら5Gなどを併用して進めることになるかもしれません。

しかしながら、防犯カメラは事件後の解析には有効ですが、問題があります。それは抑止ということでは限界があるからです。どういうことかというと、そもそもは防犯カメラがあるので「犯行がバレて本人が特定される」という「可能性」があるということで、犯行を思いとどまるという効果が期待されていたからです。

けれども、俗にいう「無敵の人」とか「拡大自殺」の場合は、そもそも犯行後に逃亡することは真剣に考慮されていないので、事後に露見する可能性が抑止にならないわけです。

 

中国との対立激化で消耗 「今日の台湾」から「明日の日本」が見えるワケ

中国の膨張を表す言葉に「今日の香港、明日の台湾、明後日の沖縄」があり、香港が呑み込まれてしまった現在では「今日の台湾は明日の日本」が用いられるようになっています。この表現が意味するところに迫るのは、メルマガ『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』の著者であり、中国関連の著作を多くもつジャーナリストで拓殖大学教授の富坂聰さんです。富坂さんは台湾を支持するリトアニアの国益重視の実態を紹介。中国との対立により消耗度を増す台湾の姿を重ねて、日本の未来を憂えています。

 

「今日の台湾は明日の日本」を考えてみた

今日の台湾は明日の日本──。中国の膨張を警戒する際によく使われる表現だ。今回は、この表現がはたして正鵠を射た指摘なのかを検証してみた。

せっかちな読者のために結論を急げば、答えは「イエス」だ。しかし、それは巷間言われる「中国に呑み込まれる」といった話ではない。どういう意味なのか。詳しく見てゆこう。

冒頭の「今日の台湾……」は、かなり以前から使われてきた表現だが、昨今、再び脚光を浴びたのは香港の反逃亡犯条例デモの盛り上がりを受けたからで、発信元は主に台湾だった。

その裏には台湾独立へと舵を切ることで域内の支持固めを図る蔡英文政権がいた。当然、そんなことをすれば中国との関係は壊れるが、その増した緊張に対抗して「日本を巻き込む」意図で発せられたのが冒頭の発言だ。

分かりやすく言い換えれば、「台湾を助けなければ次は日本の番だよ」だ。

日本政府はこれを真に受けたわけではないだろうが、台湾海峡危機をうまく使えば敗戦国としての安全保障上の足枷をはずせるかもしれないと乗っかっているように見受けられる。

つまり「今日の台湾」を巡ってある種のウインウイン関係が生まれているのだ。だが日本は曲がりなりにも主権国家で、中国と内戦を戦っている台湾とは立ち位置が違う。突き詰めてゆけば、日本が台湾と対中国で危機感を共有することは現実的ではない。

では、なぜ私は「明日の日本」だと考えるのか。理由は簡単だ。少し視点を変えて「今日の台湾」の「台湾」をいくつかの国と入れ替えてみてほしいのだ。

例えばリトアニア、ポーランド、そしてルーマニアなど東・中欧諸国と入れ替えるのだ。なかでも分かりやすいのがリトアニアだろう。

90年代初め、ソ連(ソビエト社会主義共和国連邦)が崩壊へと向かうなか、最初に独立した国として知られ、当時はバルト三国の一つとして紹介されていた。そのリトアニアの名を見る頻度が日本のメディアで増したのは、台湾との急接近だった。

2021年11月、リトアニアは台湾当局の大使館に相当する「台湾代表処」の設置を欧州連合(EU)で初めて受け入れ中国の怒りを招いた。それ以前の5月には、中国が中東欧諸国と結んだ協力の枠組み「17+1」から突如脱退し、議会では中国によるウイグル族に対する「ジェノサイド」が決議された。

これがヨーロッパの「脱中国」の流れを生み出したとみられ、オーストラリアに匹敵する憎悪の対象となった。

 

安倍晋三という「巨悪」 1.5億円河井事件、徹底取材で暴き出された素顔

河井克行、河井案里夫妻の大規模買収事件に、当時の安倍晋三首相がどのように関与していたのか、中国新聞「決別金権政治」取材班による『ばらまき』(集英社)がその真実に迫っています。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』で評論家の佐高信さんは、中国新聞記者の質問に対し、のらりくらりとはぐらかす安倍氏の「ひどさが露出した」対応を取り上げ、全国民が知るべきと糾弾。中国新聞による追撃に期待を寄せています。

 

河井克行問題で安倍晋三を追撃せよ

中国に向っては勇ましいことを言うけれども、アメリカに対しては口をつぐむチキンの安倍晋三のひどさが中国新聞「決別金権政治」取材班の『ばらまき』(集英社)に露出されている。この本の副題が「河井夫妻大規模買収事件全記録」。

広島県府中のベテラン町議の繁政秀子が和多記者に打ち明けた。参院選公示の2ヵ月前に河井克行から「案里を頼みます」と30万円入りの封筒を渡された繁政は、当時の首相、安倍晋三に関して、「安倍さんの名前は出てこなかったんですか?」と尋ねられると、「和多さんだけにしか言わんけど、そうなんよ。私は『選挙活動できんくなるから』と断ったんじゃけど、(克行から)『安倍さんから』って言われた。(現金が)いる、いらんのやりとりの時にね。安倍さんからじゃから、ええんじゃけえという感じ。それで受け取った」と答えた。そして、「総理じゃけえね。安倍という名前を聞いて受けたんですよ」と続けた。

「安倍さんとはっきり言ってました?」和多がさらに問うと、彼女は、「びっくりしてね。なんと気持ち悪いと思った」と返し、本当に総理からと思ったかという和多の確認に、「私はその時、そう思ったんじゃろう」と応じたので、『中国新聞』は翌日の紙面で「『安倍さんから』と30万円」と報じた。

そして、2021年6月16日、『中国新聞』は「河井夫妻への(自民党からの)1億5千万円の件」について、安倍にぶつける。「ああ、あれね、近々党本部が説明しますから」という安倍に、「最終責任が幹事長と安倍前総裁にあると二階(俊博)さんが発言しましたが」と尋ねると、苛立ってこんな答えが返って来た。「いきなり言われても答えないから」唖然とするしかない。

「党本部からしかるべき説明が近々あるということか」には、「はい。いちいち言わないで下さいよ。私も総理大臣の時に答えているんだから。ちゃんと。今、党本部が整理している。(検察が押収した河井夫妻の政党支部の)資料がちゃんと戻ってきたら、皆が納得するように説明すればいい」

さらに「総裁」ではなく、「幹事長が説明する」と付け加え、「ちゃんと勉強しなきゃ。公選法をちゃんと勉強したの?私は答えているからね、ちゃんとね」と言い放ったとか。

このヤリトリは全国民が知るべきだろう。現在、日本維新の会に属する鈴木宗男の元秘書も案里の応援に入って安倍の秘書と企業をまわっているが、宗男の盟友の佐藤優は、克行の衆院選の応援に行って演説したことを告白している。『中国新聞』には、その時どんな話をしたのか、是非明らかにしてほしい。

 

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あなたの“サボり”はバレている。企業が探偵に依頼、解雇に追い込まれた理由

探偵といえば浮気調査や捜索などのイメージが強いですが、実はビジネスにおいても活躍してくれるのだそう。それはどんな調査なのでしょうか?現役探偵である後藤啓佑さんが自身のメルマガ『探偵の視点』で公開。「企業が解雇させたい人間を自主退社に持ち込む」という依頼をこなした際のお話をしています。

 

最近の相談(調査記録):いき過ぎたサボタージュ

今回は営業マンのサボり調査。クライアントは会社経営者で、ある従業員を解雇したいという。その従業員は、会社に勤めて10年になる営業マン。果たしてどんな営業をしているのか。

調査をしてみると、なんといきなりコンビニでお昼寝。。。1日目はそれで終わりだ。2日目は、1日中自宅に引きこもる。そして3日目は、パチンコからのマンガ喫茶だった。

3日連続で完全なるサボりを見せてくれた対象者。サボりの証拠としては、これで充分だ。

契約は5日間だったので残り2日の様子も見てみると、少しだけ企業(ルート営業)を回り、パチンコへ行ったり自宅に帰ったりという動きだった。

5日間で訪問した企業は4件。明らかに少なく、新規営業に関しては0だった。証拠はこれでいいので、あとはこの証拠をどう使うかだ。

依頼者としては、このような結果を見ると怒りが爆発して対象者に証拠をぶつけ、お前なんてクビだ!と言いたくなる。しかし、実はそれはよくないやり方だ。

一番良いやり方は、探偵という言葉を使わずに証拠の一部を使って自主退職を勧めるやり方。

「この前、取引先の方からお前を見たって連絡があった。この日とかこの日とかパチンコやっとっただろ? 他の日も、先月とかからマンガ喫茶で見たとかの情報もたくさん入ってる。営業日報とも完全に違う動きしてるだろ。クビにすることもできるが、今のご時世クビになると次の就職先を見つけるのも難しいだろう。こういう職務懈怠行為で会社に損害を与えてたわけだけど、少なくとも初めは貢献してくれてたわけだし、その部分のよしみでクビだけは避けてやる。自主退社という扱いにするから、引き継ぎだけはやっていってくれ」

このようなセリフで、自主退社の提案をする。

対象者としては長年のサボりがバレていて、クビを覚悟したところに自主退社という提案がくるので、納得してそちらを選択するのだ。

今回の件も、例に漏れずこの形で解決した。

もし、クビにしていたとしたら、労働基準監督署に「不当解雇」という名目で駆け込まれたら、色々と面倒になる。

まぁそれでもサボりの証拠があれば会社は守られるわけだが。意外と、探偵は企業の味方になれるのだ。

 

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検査キットがなぜ不足?日本人が抱えるロジスティクス視点の欠如

オミクロン株の急拡大により、新型コロナウイルスの検査キットの不足問題が浮上。政府は検査なしでの陽性判定に言及するなど、混乱の様相を呈しています。2年も続くコロナとの戦いのさなかに、なぜこうした事態が生じてしまうのでしょうか。メルマガ『NEWSを疑え!』を主宰する軍事アナリストの小川和久さんは、日本人に戦略的ロジスティクスが欠けているためと解説。コロナ対策だけでなく、ウクライナ情勢や台湾有事論においても、現実的な分析のためにはロジスティクスの面から見る必要があると鋭く指摘しています。

 

ロジスティクスからコロナ、ウクライナ、台湾を眺めると

1月29日朝、ジャーナリストの柴山哲也さんのツイートを読んで、コロナ対策からウクライナ情勢や台湾有事論まで、様々な思いが頭の中を駆けめぐりました。まずは柴山さんのツイートから。

「抗原検査やPCR検査キットはワクチンと違い国産のはずだから政府の指導で量産は可能のはず。非常事態宣言出せば指令は可能だろう。自由の国アメリカには国防生産法があり国の非常事態には大統領令でワクチン等の戦略物資の緊急増産ができる。日本はなぜ検査キット増産を業界に指示できないのか」

まったく同感です。それに、実を言えばわが家の食卓でもカミさんから同じ感想が漏れており、国民の多くも同じ思いなのではないかと感じました。

今回の有り様を戦場に置き換えると、コロナの奇襲から反撃に転じるのに大幅な後れをとった日本が、戦闘が始まってからも必要な武器・弾薬の調達・確保を怠り、再び劣勢に追い込まれているのに等しい無様さと言えます。

こんなことになるのは、厚生労働省の官僚の視野の範囲でしか問題を眺めていないからです。広い視野の官僚が担当すればともかく、普通は自分のデスクの上でしか物事をとらえられないので、国家としての戦略的思考にならないのです。同じ問題はワクチンの生産にも通じることですが、これは日本人が苦手な戦略的ロジスティクスの問題なのです。そんな官僚機構に丸投げでは戦略など描くことなど無理といわざるを得ません。

ウクライナ情勢も然りです。

「米国のオースティン国防長官は28日、ウクライナ国境周辺に集結した10万人規模のロシア軍は『複数の都市や大規模な領土を奪取可能だ』と述べ、プーチン大統領の決断で侵攻が可能な状態だとの認識を示した」(28日付共同通信)

ウクライナ情勢について、マスコミでは3方向からのロシア軍の侵攻ルートが図示され、脅威を掻き立てていますが、私の同僚の西恭之さん(静岡県立大学特任准教授)は「トラックを数えればロシア陸軍の外征能力がわかる」(1月17日号)で、集結したロシア軍部隊のロジスティクス能力を見ると、侵攻できるのは国境から100キロ圏と分析しています。

 

単身人口は2.4億人。中国に新たな危機、深刻化する“おひとりさま”問題

日本では数年前から「おひとりさま」という言葉が流行りましたが、中国でも一人の生活を満喫する人たちが若い人たちを中心に増えています。しかし、単身者が急激に増加していることで、ある問題に直面しているといいます。そこで今回は、中国出身の作家・黄文葦さんが自身のメルマガ『黄文葦の日中楽話』でその現状を紹介。中国の今後について分析しています。

 

中国でも一人様の生活様式が流行っている

日本では、「一人様」のライフスタイルが普遍であると考えられる。しかし、現在の中国でも、一人暮らし、一人食事、一人旅など、「一人様」の生活様式が増えている。「中国統計年鑑2021」によると、2020年の家族世帯数は4億9416万世帯で、そのうち「一人世帯」は1億2500万世帯以上となり、25%以上を占めるとされている。その規模は非常に大きいとみられる。

構造的に見ると、現在の中国の一人世帯は、高齢者が一人で暮らす「高齢者一人世帯」と、若い一人世帯の2つに大別される。

第7回全国人口調査によると、中国の高齢者数は2億6400万人で、2015年に行われた調査では、すでに高齢者人口に占める高齢夫婦世帯と独居老人の割合は50%を超えている。 近年、一人暮らしの高齢者がさらに増加し、若者の一人世帯化現象もさらに進んでいる。

平均寿命の伸び、世代間価値観の分化、独身主義の台頭などの変化とともに、中国では単身世帯の規模や割合が大きくなっている。しかし、社会全体としては、その割合や上昇のスピードに注意を払う必要があるだろう。

この40年ほどの間に、中国では住宅事情の改善、エゴイズムの蔓延、晩婚化、さらには未婚化が進み、急激な社会変化が起きている。このような背景から、一人暮らしの若者の数と割合はさらに増加してきた。

しかし、社会学者の中には、「一人世帯」の増加が経済や社会に新たなチャンスをもたらすと考える人もいる。単身世帯の増加に伴い、新たなニーズが生まれ、新たな商品・サービス・産業・ビジネスモデルが創出されるなど、近年、単身者向け経済が急速に発展している。

例えば、一人用の製品が人気を集めており、小型化が進んでいる。衣食住や交通など、おひとりさまのニーズに対応した商品、例えばお米100g、ウイスキー50ml、おひとりさま鍋、ミニ家電、ミニKTV…おひとりさま商品の市場機会も増えるだろう。