製造できても収益は生めず?官製半導体メーカー「ラピダス」の大きな課題

経済産業省が旗振り役となり、日本の名だたる企業8社の出資で昨年11月に設立された次世代半導体メーカー「Rapidus(ラピダス)」。2nm世代プロセス半導体を2027年までに量産する計画ですが、目指すゴールがそこになってはいないかと疑問を呈するのは、Windows95を設計した日本人として知られる世界的エンジニアの中島聡さん。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では、日経クロステックに掲載された半導体専門のアナリストによる的確な分析を補足しながら、最も大きな課題と本当に目指すべきゴールがどこにあるかをシビアに指摘しています。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

私の目に止まった記事:日本の主要企業8社の支援を受けて設立された半導体メーカー「ラピダス」が抱える問題

台湾アナリストが分析するラピダス、「製造できるが採算合わない」 | 日経クロステック

事業として立ち上がるまで数兆円が必要と呼ばれるラピダスに関して、私はここまで「(日本政府が資金を提供し、関係会社からサラリーマンたちが天下りしてくる、という)座組み」の面での懸念を表明して来ましたが、この記事は、半導体専門のアナリスト目線で、ラピダスが抱える課題を的確にしているという興味深い記事です。

要約すると、
● 2027年までに2nm世代プロセス半導体を量産するという計画は、技術的には達成可能だが、歩留まりや生産性を高めて収益性のあるビジネスにするのは困難
● 理由は、経験不足、資金不足、顧客の不在

特に心配なのは、資金です。日本政府はラピダスに700億円を拠出すると発表しましたが、業界トップのTSMCの投資額は、年間4兆円を超えており、量産化に必要とされる資金は数兆円と言われています。巨額の財政赤字を抱え、加速する少子高齢化でますます悪化する国家の財政を考えると、2027年まで日本政府が資金を提供し続けられるとは限りません。

たとえ日本政府の資金援助が2027年まで続いたとしても、資金を提供する日本政府も、ラピダス関係者も、「2027年までに2nm世代プロセス半導体を量産する」ことだけをゴールにしているように見えるのが何よりも心配です。

今の段階から「量産体制を作った後、収益が上がる事業にするには、さらにどのくらいの年月と資金が必要なのか」という議論をしっかりとしておき、「収益が上がる事業にする」ことをゴールにしない限り、「(税金を数兆円投入して)2nm世代プロセス半導体の量産化を達成したのに、赤字の垂れ流しで、事業を継続できない」という最悪の事態にもなりかねません。

(『週刊 Life is beautiful』2023年2月28日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみ下さい。初月無料です)

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画期的なPC「レッツノート2in1タイプ」はいかにして誕生したか?佐々木仰氏が明かす“開発秘話”

記者やビジネスマンなどに愛用されているノートパソコンといえば、すぐに思い出すのがパナソニックの「レッツノート」シリーズ。そんなレッツノートに最近「2in1タイプ」というユニークなものが出たことをご存知でしょうか? 画面が360度も回転し、パソコンなのにタブレットのように使えるこの商品の開発秘話を紹介するのは、神戸大学大学院教授で日本マーケティング学会理事の栗木契さん。栗木さんは今回、この画期的なパソコンを開発した佐々木仰氏への取材から見えてきた革新性と、この事例から見える「イノベーション」を起こすことの可能性と手法について紹介しています。

プロフィール栗木契くりきけい
神戸大学大学院経営学研究科教授。1966年、米・フィラデルフィア生まれ。97年神戸大学大学院経営学研究科博士課程修了。博士(商学)。2012年より神戸大学大学院経営学研究科教授。専門はマーケティング戦略。著書に『明日は、ビジョンで拓かれる』『マーケティング・リフレーミング』(ともに共編著)、『マーケティング・コンセプトを問い直す』などがある。

オブザベーション(観察法)はイノベーションを、なぜ、どのように促進するか

佐々木仰氏は、「デザイン思考」で知られるIDEOと多くの共同経験があり、現在は株式会社インフィールドデザインを主宰する。佐々木氏は数々の企業の開発プロジェクトをサポートするなかで、オブザベーション(観察法)という手法に手応えを感じている。佐々木氏は、なぜ、どのようにオブザベーションを用いているか。事例を通じてその実践を振り返るなかで,この問題を考えていく。  

レッツノートの2in1タイプの開発事例

パナソニックのレッツノートは、高性能の小型軽量のノートパソコンである。落下による衝撃などのダメージに強く、長時間屋外でも使えるマシンとして、ビジネス・ユースなどを中心に高い評価を得ている。

このレッツノートのラインナップのなかに「2in1タイプ」というユニークなスタイルのノートパソコンがある。2in1タイプは、画面が360度回転し、パソコンでありながらタブレットのようにも使える。

2in1タイプの開発は、どのように行われたか。この開発にあたっては、佐々木氏がユーザー調査からデザイン開発までのプロセスにかかわっていた。

開発チームの当事者意識の弱さが問題ではないか

佐々木氏が、この開発プロジェクトに参加するにあたって抱いていた問題意識は、パナソニックに限らず、日本の大企業では、開発プロジェクトのメンバーの当事者意識が低いということだった(佐々木仰「『ムダ』なことからはじめてみよう:イノベーションはブラブラ歩きから」、『冷凍』第95巻第1107号、2020年)。こうしたメンバーのなかには、開発にかかわる製品やサービスを - 消費財や、個人向けのものであるにもかかわらず - 自分自身は日常的に使っていないという者が少なくなかったりするのである。

そのために、開発にあたって、「今までになかった新機軸を取り入れるように」と指示を受けても、「何からどう手をつけていいかわからない」という問題が生じたりする。そもそも自身で使った経験のない製品やサービスである。開発メンバーが、ユーザーの求めていることを、既存のスペックの範囲を越えて理解することは難しい。何かのはずみで、今までになかった新機軸のアイデアが出ても、その評価を開発メンバーが確信をもって行うことは困難である。佐々木氏は、開発チームの当事者意識の弱さが、企業からユーザーにとって画期的な提案を行う活力を削いでいるのではないかと考えるようになっていった。

オブザベーションという方法

佐々木氏はレッツノートの開発プロジェクトに参加し、「自分ごとの壁」を乗り越えるための取り組みとしてオブザベーションを行うことを提案した。従前より佐々木氏はオブザベーションの活用を重視してきた。

このときに行われたオブザベーションの第1は、ユーザーの利用状況を、観察を通じて知ることだった。モバイルでノートパソコンを使っているビジネスパーソン数人に協力をあおぎ、その実態を知るべく、一定期間の活動を日記形式で記録してもらった。また、開発メンバーがオフィスなどを訪問して、実際の仕事ぶりを観察させてもらうフィールドワークも実施した。こうした観察から開発メンバーは、「ああ、こういうことだったのか」「こんな工夫をしていたのか」といった気づきを得ることができたという。

プーチンの痛恨。ウクライナ侵攻で壊滅的に低下したロシアの影響力

各地での激戦が止まぬ中、2月24日に開戦から1年を迎えたウクライナ戦争。この間、国際社会はどのように変化したのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、軍事侵攻開始から1年を経た現在、各国が置かれている立場と今後の行く末を解説。さらに長期的・歴史的見地から、「最大の負け組」となる国家を予測しています。

ウクライナ侵攻開始1年~世界はどう変わった?

2022年2月24日は、まさに「歴史的大事件」のはじまりでした。ここ1年で世界はどう変わったのかを見てみましょう。

ウクライナの可能性

まず、ウクライナ。突然「世界2位の軍事力を持つ核超大国」から侵略された。これほどの悲劇はありません。昨年夏時点で、1,000万人が国外に脱出したといわれています。

プーチンは昨年9月、ウクライナのルガンスク州、ドネツク州、ザポリージャ州、ヘルソン州を併合する決定を下しました。哀れウクライナ。クリミアを含め、約2割の領土を奪われてしまいました。

ちなみにウクライナのGDPは2022年度、約30%減少したそうです。まさに「踏んだり蹴ったり」ですが、そんな中にも、よいことはありました。それは、国際社会におけるウクライナの評判が上がったことです。

私は、フィンランド人、ポーランド人、トルコ人などから、「日本はすごい!日露戦争に勝ったから」あるいは、「日本が好き!日露戦争でロシアを打ち負かしてくれたから」と褒められたことがあります。「この人たちは、100年以上前のことを覚えているんだな」と驚きました。

そう、世界一広大な国、地政学でいうハートランド・ロシアと戦うのは、大変なことなのです。今、ウクライナは、それをやっています。

開戦当初、アメリカとイギリスは、ゼレンスキーに「脱出して亡命政権を作れ。サポートするから」と提案しました。しかし、ゼレンスキーは、米英のオファーを断り、キーウに残って戦うことにした。この決断によって、ゼレンスキーは、ウクライナだけでなく世界的英雄になったのです。

今は、世界一悲惨なウクライナですが、戦後は明るい展望が見えます。莫大な額の復興支援と投資が流れ込んでくるでしょう。

ただウクライナはこれまで、「汚職国家」として知られてきました。ゼレンスキーが戦後、汚職撲滅に失敗すれば、せっかくの名声が失われるかもしれません。

閉店予定の老舗「町中華」から味も常連も引き継いだ、大阪王将の“粋”すぎるビジネスモデル

東京のとある「町中華」が閉店しました。常連も多く、地元民に親しまれてきたこの店の味をなんとか引き継ぎたいと手をあげたのは、何と大手中華チェーン店の「大阪王将」でした。今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では、著者の佐藤きよあきさんが、大手チェーン店でありながら、町中華の味と顧客を引き継いだ「双方に利益をもたらす」驚きのマーケティング手法を分析、紹介しています。 

老舗町中華の味を守る。後継者に名乗り出た「大阪王将」の試みとは?

小さな会社や個人商店などでは、後継者問題がよく話題となります。

子どもには同じような苦労をさせたくないと考える経営者。

自身のやりたいことのために、家業を継ぎたくないと思う子ども。

歴史を刻んだ老舗であっても、後継者がおらず、廃業を決意する事例がたくさんあります。

会社やお店が長年培ってきた技術・商品を絶やしてしまうのは、非常にもったいないこと。

できることなら、誰かに継いでもらいたい、という思いはあります。

しかし、諦めるしかないのが現実です。

町中華と呼ばれる、町の中華料理店でも、その多くが廃業に追い込まれています。

町中華は、地元のソウルフード的な存在なので、急に無くなると、常連さんのショックは大きく、喪失感に苛まれてしまいます。

老舗の味が途絶えるのは寂しいことであり、食の世界にとっても大きな損失です。

新しく中華の料理人として独立を目指す人が、事業継承してくれれば良いのですが、お店の味を受け継ぐことには抵抗があります。

独立する限りは、やはり自分の味で勝負したいと考えるのが普通ですから。

こうしたお店に目をつけた企業があります。

全国に400店以上の中華料理チェーンを展開する「大阪王将」です。

ある時、出店予定の地域で物件を探していたところ、廃業した町中華のお店と出逢いました。

東京都武蔵野市緑町。1958年創業、63年の実績を持つお店「栄楽」。

昭和から続く個人経営の町中華ですが、年齢的なことと後継者もいないことから、オーナーが引退を決意。

惜しまれつつ、幕を下ろしました。

週に3、4日通う人や親子三代で利用するお客さまもいました。

このような地域に根づいたお店に、チェーン店である大阪王将が、なぜ目をつけたのか。

老舗の後にチェーン店が出店することへの抵抗感や店舗の規模などから、大阪王将がそのまま営業することはできません。

ならば、なぜ?

大阪王将には、ひとつの強い思いがありました。

コロナ禍で客足が遠のいた百貨店「起死回生」の一手は、なぜ現代アートが有効なのか?

コロナ禍の影響で客足がすっかり遠のいてしまった業界のひとつに、百貨店・デパートがあります。すでにECサイトが普及している現代において、百貨店はその役割を終えているとされてきましたが、コロナ禍が追い打ちをかけた形となりました。そんな百貨店の新たな集客手法として「アート」が注目を集めていると紹介するのは、メルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』の著者でMBAホルダーの理央 周さん。今回、理央さんが現代アートに注力する百貨店の取り組みと「顧客作り」の 工夫を解説しています。

百貨店はなぜ、アートを扱うのか?集客に必要な“顧客の行く理由”の作り方

ECの台頭からの浸透、コロナ禍による外出の自粛や規制など、ここ10年以上、リアル店舗を持つ小売業にとって、向かい風が吹いていました。

中でも厳しい環境に置かれたのが、「百貨店」、デパートです。

“いろいろなもの”という百貨が、百貨店という名称の由来だそうです。

昭和から平成にかけては、1箇所に多くのカテゴリーの商品があり、そこに行けば「なんでも買える」という便利さが最大の特徴でした。

しかし、ECの普及後は、ネット上でなんでも買うことができるようになり、百貨店の優位性が薄れてきました。

そこで、ネット通販との融合を試みたり、家電量販店のフロアを作ったり、回遊性を高めるために、同じフロアで、婦人服と雑貨と食品を販売したりと、さまざまな企業努力をしています。

そんな中で、日経MJに興味深い記事が載っていました(23年2月112日号)。記事のタイトルは、「百貨店、『デパ・アート』で顧客創る 20~40代に的」。手の届く価格帯の、現代アートに注力することで、この世代の新富裕層にアピールをする、という狙いです。

記事には多くの事例も載っています。

大丸松坂屋は、現代アートに特化したサイト「アートヴィラ」を開設し、アーティストのみでなく、経営者や建築家も作品を出品しています。また、DJや映画イベントを仕込んだりと、販売以外の分野も仕掛けることで、話題性を作っています。

そごう・西武では、作家発掘に力を入れています。池袋店では、20代社員がメイン担当者になり、アート売り場を作り、SNSなどでアーティストを発掘し、渋谷店では、「シブヤスタイル」というイベントを開催、若手作家の登竜門的な存在になっているとのことです。

これら一連の取り組みで興味深いのは、多くが「一点もの」を販売する、という点です。

考えてみると、アートを見た上で買う時には、ギャラリーに行くのが一般的です。

そうなると、テーマも限られているし、ギャラリーオーナーの個性に準じるものが、メインになることもあります。

しかし、百貨店での買い物、となるとセレンディピティ的な、「出会い」を楽しむことができそうです。

また、アーティスト発掘系のイベントや、20代担当者のSNSでの発信による、青田買いに近い、若手作家の作品との出会いは、売れる前のアイドルを贔屓にする、ファンの心理と近いように感じます。

こうなると、顧客は“オシ”の作家ものを、実際に見て、気に入れば買う、というような楽しみ方や買い方を、顧客に提供できるようになります。

この記事の著者・理央 周さんのメルマガ

ノーベル賞・山中伸弥氏が、何かうまくいくと「自分が努力したから」では無いと気づいた“2つのエピソード”

世界的な大発見「iPS細胞」でノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学の山中伸弥教授。彼を後の成功へと導いたのは、子供の頃の「2つの体験」でした。今回のメルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、山中教授が明かした、「柔道」と「母親」にまつわる2のエピソードを紹介しています。

ノーベル生理学・医学賞、山中伸弥さんが貫く「2つのモットー」

再生医療を可能にするiPS細胞を世界で初めて発見し、2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥さん。その山中さんの世界的な研究を成功に導いたものは何だったのでしょうか。お父様とお母様から学んだという仕事と人生の要諦とは。

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私の父親は東大阪で小さな町工場を経営していました。従業員は多い時で20名くらいだったと思います。

もう本当に零細企業でしたから、父親は経営者でありながら、技術者として自らものづくりを手掛けていました。工場のすぐ横に自宅があって、家にいる時でも設計図を描いたり、とにかくずっと働いていたんですね。

そういう父親の働いている姿を見ながら育ちましたので、どうも私にも技術者としての血が流れているように思います。

あと、父親は技術者として人の役に立ちたいという思いを強く抱いていました。私自身もその影響を受けているのでしょう。研究で真理を追究し、人の役に立ちたいという思いは常にあります。

私は子供の頃から病弱で、中学に上がった時も、ガリガリの体型でした。そんなんじゃダメだと父親に言われまして、柔道部に入ったんです。高校を卒業するまでの6年間、一所懸命に取り組みました。

柔道だけに限りませんけれども、普段の練習は実に単調なんですね。毎日2、3時間ほど練習しましたが、とにかく苦しいし、楽しくない。その上、柔道は試合が少ないんです。野球やサッカーはしょっちゅう試合があるから、モチベーションを保ちやすいと思うんですけど、柔道の場合、365日のうち360日は練習で、残りの5日が試合。

試合に勝ち進めばまだいいですけど、負けたらまた半年間はひたすら練習をする。その単調さに負けない精神力、忍耐力はものすごく身につきました。

これはいまの仕事にも生かされています。研究こそまさに単調な毎日で、歓喜の上がる成果は1年に1回どころか、数年に1回しかありません。だから、柔道というスポーツを経験したことは非常によかったと思っています。

もう一つ、私にとって大きかったのは母親の教えです。

高校2年生の時に2段になったのですが、その頃は怪我が多くて、しょっちゅう捻挫や骨折をしていました。ある時、教育実習に来られた柔道3段の大学生の方に稽古をつけてもらったことがありましてね。投げられた時に、私は負けるのが悔しくて受け身をせずに手をついたんです。で、腕をボキッと折ってしまった。

その先生は実習に来たその日に生徒を骨折させたということで、とても慌てられたと思うんです。私が病院で治療を終えて帰宅すると、早速その先生から電話がかかってきて、母親が出ました。

その時、「申し訳ないです」と謝る先生に対して、母親は何と言ったか。「いや、悪いのはうちの息子です。息子がちゃんと受け身をしなかったから骨折したに違いないので、気にしないでください」と。

当時は反抗期で、よく母親と喧嘩していたんですけど、その言葉を聞いて、我が親ながら立派だなと尊敬し直しました(笑)。

それ以来、何か悪いことが起こった時は「身から出たサビ」、つまり自分のせいだと考え、反対にいいことが起こった時は「おかげさま」と思う。この2つを私自身のモットーにしてきました。

うまくいくと自分が努力をしたからだとつい思ってしまうものですが、その割合って実は少ない。周りの人の支えや助けがあって初めて、物事はうまくいくんですね。

(本記事は月刊『致知』2016年10月号 特集「人生の要訣」を一部抜粋・編集したものです)

 

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楽天モバイル「衛星通信の商用化」は本当に2025年までに可能なのか?

楽天モバイルが基地局建設のパートナー向けに開催したイベントで、プラチナバンドの展開時期とともに2025年までに「衛星通信の商用化」を目指すと発表。他社に先駆けての「衛星通信」への期待は大きいようですが、課題も多くあるようです。メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんは、実用的なサービスにするには、衛星の数や周波数帯の問題があると指摘。2月27日にバルセロナで始まった「MWC2023」で、ボーダフォンやAT&Tから衛星通信関連の話題が出てくるかを注目点としてあげています。

楽天モバイル「頼みの綱」の衛星通信の商用化は2025年までに実施へ

楽天モバイルは2月22日、法人向けイベント「Rakuten Mobile Partner Conference」を開催した。基地局建設を行うパートナー向けのイベントのようで、これまでの楽天モバイルの取り組みなどが改めて語られた。

目新しい話はほとんど無かったが、ネットワーク関連で矢澤俊介社長からプラチナバンドの展開について「スケジュールは出ていないが、今年の年末から来年の年初には使いたい」とかなり具体的な日程が明らかにされた。

AST社の衛星を使った「スペースモバイル」に関しても「商用化は2024~2025年を目指す」とした。衛星を使った通信に関しては単に衛星を打ち上げればいいというものではない。先日、某社の技術イベントでHAPS関係者にも聞いてみたが「衛星から飛ばす周波数帯は新たなものを用意しないといけない。地上で使っている周波数帯と同じだと干渉してしまう」とのことだった。

楽天モバイルは総務省に提出している資料を見る限り、1.7GHz帯を使うものと思われる。このあたりの干渉をどうするのか、気になるところだ。

また、低軌道衛星を打ち上げるということで、単に1機だけでは無く、相当数、打ち上げないことには継続的なサービス提供はできない。アップルの衛星SOSサービスは数十個の衛星で実現しているが、数に限りがあるため、常時、通信は行えず、SOSメッセージというかなり限定的なサービスしか提供できていない。スマホを通常のように使えるほどの速度を確保するには、相当数の衛星を飛ばす必要がある。

相当数の衛星を飛ばすということはそれだけコストがかさむ。楽天モバイルのためだけに飛ばすというのは現実的ではないため、当然のことながら、ASTのパートナーであるボーダフォンやAT&Tも同時期にサービスを始めることになるだろう。

日本、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカで同時にサービスを提供するのであれば、相当な数の衛星を飛ばしてもビジネスとして成立する可能性は高くなるし、全地球をカバーするとなれば、必然的に相当数の衛星が必要になる。

2月27日からスペイン・バルセロナで始まる「MWC」では衛星関連の技術やサービスもいくつか登場する見込みだ。事前に入手しているところだと、衛星通信対応のスマートフォンが登場するなど、端末側の話が多そうだ。残念ながら、AST社での展示はなさそうなだけに、ボーダフォンやAT&Tが衛星関連の話をするのか、展示があるのかというのが注目すべきところだ。

この記事の著者・石川温さんのメルマガ

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時代遅れにも程がある。石破茂が岸田首相トマホーク2000億円爆買いに「猛反対」する理由

2月27日の衆院予算委員会で、米国製ミサイル「トマホーク」400発の購入予定を明言した岸田首相。既に2,000億円以上の予算が計上されていますが、はたしてこの決定は日本にとって「正答」と言えるのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』ではジャーナリストの高野孟さんが、防衛政策通として知られる石破茂衆院議員の言を引きつつ、その選択が誤りであることを証明。さらに岸田首相の大軍拡路線について、元自衛艦隊司令官が言葉を荒げなければならないほど危ういものであると結論づけています。

【関連】強烈な皮肉。石破茂が10年ぶりの国会質問で岸田首相に放った言葉 

※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2023年2月27日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をご登録の上、2月分のバックナンバーをお求め下さい。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

時代遅れのおんぼろミサイル。トマホークに2,000億円超つぎ込む岸田首相「亡国の大軍拡」

本誌は先週、石破茂=元防衛相の2月15日衆院予算委での質問を詳しく取り上げたが、彼は今週の「サンデー毎日」3月5日号に登場してさらに細かいニュアンスまで含めて語っているので、その中からいくいつかの論点を追加的に紹介する。

【関連】強烈な皮肉。石破茂が10年ぶりの国会質問で岸田首相に放った言葉

第2次世界大戦敗戦と同じ道を辿る岸田政権の軍拡

石破は要旨次のように言う。

▼中国の軍拡は確かに懸念事項ではあるが、我が国もまた軍事大国であってはならないし、防衛力は節度を持って整備されるべきだ。軍の組織維持が自己目的化して痛い目に遭ったことが我が国にはある。ここは歴史に学ばなければならない。

▼米国と戦って日本は勝てるのか、「総力戦研究所」がシミュレーションした結果、総力戦になると必ず負けるという結果が出た。にもかかわらず戦争に突入してその予測通りになった。〔その裏には〕陸海軍それぞれの組織防衛があった。

▼海軍からすれば戦艦「大和」は完成寸前だったし、「武蔵」は長崎で建造中だった。米国と戦争できないならそんな海軍には予算をやれない、陸軍もソ連と戦争できないならそんな陸軍に予算はいらない、となった。予算確保という個々のセクションの部分最適が、総力戦では勝てるわけがないという全体最適を大きく歪める結果となった。政治もメディアも止めなかった……。

これは全くもって今日的な問題で、冷戦が終わってソ連の脅威が事実上消滅し、それ以外に日本に向かって大規模上陸侵攻して来るような国は存在しないことが誰の目にも明らかになったことで、陸上自衛隊の存在意義は著しく減退した。当時、自民党中枢の金丸信=自民党副総裁から「陸自大幅削減、海空中心のハイテク部隊によるハリネズミ防衛論」が出たり、その金丸と親しかった社会党の田邊誠委員長から陸自を「国境守備隊、内外災害派遣部隊、国連平和部隊に3分割すべきだ」との案が打ち上げられたりした。

それで困った陸自が、本誌がしばしば指摘してきたように、北朝鮮崩壊で武装難民が離島に押し寄せるとか、中国の漁民に偽装した海上民兵が尖閣諸島を盗みに来るとか、台湾有事になれば即座に日本有事だとか、あれこれ空想を膨らませてマンガ的な架空話をデッチ上げ、組織の温存と予算の獲得に狂奔してきた。が、政治もメディアもそれを止めることが出来ないというのが、昔も今も変わらぬ光景である。このようにしてこの国は道を誤って行くのである。

【関連】日本は侵略などされない。脅威を捏造し「防衛費倍増」する国民ダマシ

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このままでは国が滅ぶ。東京都「高校内予備校」で判明した教育の制度的大欠陥

2023年度から一部の都立高校での開講が予定されている「高校内予備校」。費用は教育委員会が全額負担、大学進学を支援するため予備校や学習塾の講師を学校に招いて講習を行うという取り組みですが、その背景には大きな問題が存在しているようです。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では、プリンストン日本語学校高等部の主任を務める米国在住作家の冷泉彰彦さんが、公教育の現場に民間業者を入れざるをえない理由を解説。日本の公立学校が抱える制度的欠陥を指摘しています。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2023年2月28日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をご登録の上、2月分のバックナンバーをお求め下さい。

公立校の教師は無能なのか。東京都「高校内予備校」開設の問題点

東京都の教育委員会(都教委)は新年度から民間の塾講師を都立高校に招いて受験指導を行うことを決定したそうです。つまり「高校内予備校」の開設というわけです。その費用は全額を都教委が負担するということで、実施校は一部に限られるそうですが、教育費に苦しんでいる家庭には救済になるなどと報道されています。

この事例ですが、教育者の藤原和博氏が杉並区の区立中学の校長として行った「中学での塾の開講」のことを想起させます。藤原氏は「夜スペ」と銘打って実施して話題になりました。

ただ、よく見てみると今回の「高校内予備校」と、「夜スペ」を比較すると単に高校と中学の違いということだけでなく、そもそも企画として正反対だということが指摘できます。

「夜スペ」を導入した藤原和博氏の深謀遠慮

まず「夜スペ」は、勉強が出来すぎて公立中の授業が退屈という層を対象に行われました。具体的には、今もそうですが東京の場合は中学入学段階で私立一貫校を受験するのが流行しているわけですが、志望校選択に失敗したとか、紙一重の運の悪さなどで「私立に行けなかった」生徒が一定程度いるわけです。

個人的なことで恐縮ですが、私は大昔、大学生の時に学生有志で運営している塾で講師をしていましたが、その際に「間違って中学受験で落ちてしまい、高校受験の際にエリート校に挑戦しなくてはならなくなった1年生」を教えたことが何度もありました。失礼ながら13歳にして老成し、どこか斜に構えつつ易しい問題をバカにしたりしている姿には痛々しさを感じたものです。

藤原氏はこの層を学校コミュニティに包摂することで、全体を活性化するという深謀遠慮と言いますか、教育者として自然な発想から「夜スペ」を導入したのでした。

一方で、今回の「高校内予備校」はとにかく貧困家庭の大学進学率を上げたいという狙いでやっているもので、企画の方向性も意味合いも全く別のものです。

ちなみに、夜スペに関しては、悪質な中道左派などの政治団体から「学校内で利潤追求の塾に活動させるのは不快」だなどという中傷があり、藤原氏も苦労されたようです。

今回の「高校内予備校」に関しては、貧困層の救済ということから歪んだ政治的批判はないようですが、該当校の先生からは、「このために管理責任上休日出勤しなくてはならないのは負担」という声があるようです。

しかし、政治的に不快だとか、教師が管理するのが大変というような話は全くの些末な問題です。

この記事の著者・冷泉彰彦さんのメルマガ

ロシアへの「武器支援疑惑」で中国を揺さぶり始めたアメリカの“狙い”

ロシアによるウクライナ侵攻から1年が経過し、欧米はウクライナへのさらなる武器支援を約束。一方で中国によるロシアへの武器支援疑惑を喧伝し、メディアもその論調に乗って中国を揺さぶっています。この状況を「デジャブ」と語るのは、多くの中国関連書を執筆している拓殖大学教授の富坂聰さん。今回のメルマガ『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』では、1年前にも確証のないまま同様の疑惑を騒ぎ立て、その後に打ち消していたと指摘。アメリカによる中国のイメージを悪化させる戦略が繰り返されているとして、その狙いを解説しています。

気球の次は「ロシアへの武器支援」で中国を揺さぶり。わかりやすい対立の裏で交錯する各国の動き

一部のメディアで報じられ、注目も集めていた中国の習近平国家主席のウクライナ侵攻1年を受けた平和に関する演説は、見送られた。代わって中国外交部から発せられたのが「ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場」(=12項目提案文書)だった。

停戦の見通しが立たないウクライナ情勢を受けて、中国の役割を期待する声もあったが、この「12項目提案文書」に対する国際社会の反応は芳しくない。「具体性を欠く」、「従来の主張をまとめただけ」、「行動がともなわない」といった批判の声がメディアでも目立つ。

だが、そもそも中国は自らの手で即座に停戦が実現できるとは考えていないのだろう。ロシアとウクライナはともに、話し合いのハードルを非現実的なレベルにまで上げてしまっていて、双方の国民も戦争を続けるそれぞれの政権を高く支持しているからだ。

ウクライナ国民を対象に行ったある調査では、国民の95%が「最後にウクライナが戦争に勝つ」と信じているとされ、ゼレンスキー大統領への支持も90%に達している。一方のロシアも、プーチン大統領への支持が72%を下回った(最高は81%)ことはないのだ。

さらに中国にとって厄介なのは、アメリカだ。中国の目から見れば戦争のほぼ当事国であるアメリカが、習近平にそんな名誉な役割を担わせるはずはないからだ。そのことは中国がアメリカの別動隊と見る北大西洋条約機構(NATO)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長が、「中国はそもそも信用されていない」と早速「12項目提案文書」を腐したことでもよく分かる。

唯一、アメリカが納得する仲介があるとすれば、それは中国がロシアを批判しウクライナの味方として仲裁に立つ場合だ。つまりそれは、アメリカが警戒する中ロ関係が破壊され、ロシアも弱体化するというバイデン政権にとって一石二鳥のケースだけだ。2014年には中国もそれに近い選択をしたが、いまや時代は違う。アメリカの次のターゲットが中国であることは自明だからだ。

そもそもバイデン政権は、中国の建設的な役割など望んではいない。中国とロシアを反目させ、それがかなわなければ、ロシアの同類として国際社会から孤立させたいからだ。

筆者も1年前、同じ内容の原稿を書いた。まるでデジャヴだ。そしてデジャヴといえば、「中国がロシアに兵器の支援をする」という疑惑をアメリカの政府高官が、ここにきて声高に叫び始めたこともそうだ。

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