なぜ日本の自動車メーカーはEV化の流れに大きく遅れをとったのか?

もはや世界的な流れとなって久しい自動車のEVシフト。しかしトヨタを始めとする日本のメーカーは、その波に大きく乗り遅れているのが現状です。なぜこのような状況となってしまったのでしょうか。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では、Windows95を設計した日本人として知られる中島聡さんが、日本メーカーがEVシフトを積極的に進めない2つの理由を挙げるとともに、彼らに忖度する専門家たちのウソを鋭く指摘。さらに自身が考える「トヨタにとって一番の問題」を記しています。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

EVシフトの地政学

先日、米国政府が法律変更に伴う、タックスクレジット(税金の割引)を受け取れる対象となる電気自動車を発表しました(「Federal Tax Credits for Plug-in Electric and Fuel Cell Electric Vehicles Purchased in 2023 or After」)。金額は最大で$7,500(約100万円)と大きいので、売上に対する影響は多大です。対象となるのは、

  • Cadillac: LYRIQ
  • Chevrolet: Blazer, Bolt, Bolt EUV, Equinox, Silverado
  • Chrysler: Pacifica PHEV
  • Ford: E-Transit, Escape Plug-in Hybrid, F-150 Lightning, Mustang Mach-E
  • Jeep: Grand Cherokee PHEV 4xe, Wrangler PHEV 4xe
  • Lincoln: Aviator Grand Touring, Corsair Grand Touring
  • Tesla: Model 3, Model Y

のみです(細かな数字は、ウェブサイトの一覧表を見てください)。

このタックスクレジットを受けるためには、値段、組み立て場所、電池の調達先、使われている素材、などで決まりますが、基本的には米国で製造・生産されたものを優遇する仕組みになっています。

米国政府としては、これにより、地球温暖化対策、インフレ対策、景気対策、中国企業の排除を同時に行おうとしていますが、中国だけでなく、韓国や日本の電気自動車まで対象外になってしまったのは、韓国・日本のメーカーにとって大きな痛手です。政治力不足と言ってしまえばそれまでですが、ようやく重い腰を上げたトヨタは、最大の市場である米国でEVビジネスをしたいのであれば、米国に莫大な投資をするしかない、という状況に追い込まれてしまいました。

ヨーロッパも同様に急速なEVシフトを進めていますが、これを主導しているのは、ディーゼル・スキャンダルでブランドイメージに大きな傷がついた自動車メーカーを抱えるドイツです。日本が得意なハイブリッドを飛び越して、一気にEVへのシフトを進めているのは、それが一番の理由ですが、結果的に、EVに二の足を踏んでいる日本の自動車メーカーにとっては、厳しい状況です。

一方の日本は、自動車メーカーも日本政府も急激なEVシフトには慎重な姿勢を示しています。ハイブリッドの技術力・シェアにおいては日本のメーカーは世界一なので、このままハイブリッドの時代がしばらく続いて欲しいというのが彼らの本音です。水素に関して莫大な投資をして来たことも、EVシフトを積極的に進められない理由の一つです。

そのあたりの事情を理解した上で、「『2050年に全車種EV化はムリ』専門家が徹底討論 EV化の理想と現実 クルマが買えなくなる可能性も」という記事を読むと、日本の「専門家たち」の意見が、日本の自動車メーカーに忖度した結果であることが良く分かります。この記事の中には、「EVの時代になると値段が高くなって普通の人には買えなくなる」という内容の発言がありますが、これは大きな間違いです。

この記事の著者・中島聡さんのメルマガ

中国の圧勝。「資源戦争」を制した後に習近平が奪うアメリカの覇権

環境問題対策の一環として、アメリカが国を挙げて力を入れる電気自動車への置き換え。しかしこの流れが、中国を利することになってしまいかねないようです。今回の無料メルマガ『田中宇の国際ニュース解説』では国際情勢解説者の田中宇(たなか さかい)さんが、EVのメインとなるバッテリーの材料を巡り展開される、中国サイドが仕掛ける「資源戦争」について詳説。さらにアメリカの「米中分離策」が習近平政権にとって好都合である理由を解説しています。

資源戦争で中国が米国を倒す

米政府が4月12日、自動車メーカーに対し、これから10年かけて二酸化炭素の大幅な排出削減を義務づけ、ガソリンやディーゼルのエンジンの内燃自動車の生産を妨害し、電気自動車の生産を事実上義務づけていく「温暖化対策」の新政策を打ち出した。

電気自動車で最重要な部品は製造費の3~4割を占めるバッテリーで、そこではリチウムやマンガン、ニッケル、コバルト、希土類などの鉱物が不可欠な材料だ。米国や同盟諸国が「温暖化対策」をやるほど、これらの鉱物資源が重要になる。

それを見越したかのように最近、米国側の敵である中国が、他の非米諸国を誘い、リチウムなど重要な鉱物を非米側で専有し、米国側に渡さないようにする資源戦争の様相を強めている。

“This Is Industrial Suicide”: Biden’s EV Plan Could Be Key To China’s Global Economic Dominance

4月22日には、世界第2位のリチウム生産量を持つ南米のチリが、リチウム生産の事業を国営化していくことを決めた。チリのリチウムはこれまで米国企業アルベマールなどが握ってきたが、今の契約が切れるとともに国営化する。今のところ国営化は2030年以降だが、前倒しもありうる。

中国はバッテリーの技術が高くて生産量が多く、リチウムの世界的な使用国でもある。チリは最近中国と親しく、習近平がチリに入れ知恵してリチウム生産を国営化し、非米側が米国側を資源戦争で倒すシナリオを進めている可能性がある。

Chile Stuns Markets And EV Makers By Nationalizing Lithium Industry Overnight

4月13日には、チリなどと並んで世界的なリチウム埋蔵量を持つアフガニスタンで、中国企業(Gochin)がリチウム鉱山の開発権を得る見返りに、アフガン南北を結ぶ100億ドルの道路整備の事業を行う契約を交渉していることが報じられた。

中国企業がアフガンの資源を狙うこの手の話は従来からいくつもあり、今回の話が成功するとは限らない。しかし、すでに米国が占領失敗でアフガンの支配と利権を手放しているので、代わりにアフガンの再建や開発を手がけるのは中国や、露イラン印パなど非米側しかいない。

Chinese Company Gochin Plans $10 Billion Investment in Afghanistan’s Lithium Mines

チリやアフガンでのリチウムに関する展開が、米国側による資源類の独占を打破するための中国主導の非米側の資源戦争であるという確証はない。

だが、米国側が「(実は不存在なのに強行している間抜けな)温暖化対策」として、電気自動車のバッテリーでリチウムを必要としているし、中国がリチウムの生産や流通で世界的に大きな力を持っているのも事実だ。

中国から見ると、リチウムは米国側が抱える弱点の一つだ。米国側から敵視される中国が、リチウムを使って反撃すると考えるのは自然なことだ。

● The Real Reason Behind China’s $10 Billion Offer To Taliban For Lithium

中国がチリなど非米側のリチウム生産国とこっそり結託し、米国側をリチウム不足に陥らせることは比較的容易だ。希土類など他の鉱物でも、中国は以前から敵性諸国に対して資源戦争をやってきた。

今回、中国が非米側を動かし、米国側を経済的に潰すために、リチウムを使った資源戦争を開始している可能性は十分にある。リチウム以外の鉱物も動員しているのでないか。近いうちにもっと顕在的な事態になるかもしれない。要注目だ。

US-China Decoupling Will Force Europe To Choose Sides Sooner Rather Than Later

東京大空襲の指揮官に「勲一等旭日大綬章」のナゼ。理解し難い日本の叙勲史

国の「春秋叙勲・褒章」の制度では、毎年4月29日と11月3日付けで各界の功労者が表彰されます。候補者には事前に打診があるとされ、辞退する人が少なからずいます。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』で、評論家の佐高さんは、辞退者として先日亡くなった作家の大江健三郎氏、元総理の宮沢喜一氏と細川護熙氏、受章者として佐藤栄作氏、笹川良一氏等の名を挙げ、両者の間には戦争への考え方に違いがあると指摘。加えて、日本の叙勲の歴史の中で最も理解し難いこととして、東京大空襲の司令官に勲一等を贈ったことを挙げ、「死者を冒涜」していると断罪しています。

勲章をめぐる対立

先ごろ亡くなったノーベル賞作家の大江健三郎が文化勲章を辞退した時、城山三郎はそれを次のように肯定した。

「ノーベル賞は、政治的な側面がまったくないわけではないが、権力そのものが出す賞ではない。しかし、文化勲章は、政府、文部省といった国家権力による『査定機関』となっている。言論、表現の仕事に携わるものは、いつも権力に対して距離を置くべきだ」

城山自身、紫綬褒章を断っている。

栗原俊雄の『勲章』(岩波新書)を読み返して、司馬遼太郎が文化勲章を受け、宮沢喜一が叙勲を辞退したことを知った。宮沢は私の評伝選第4巻『友好の井戸を掘った政治家』(旬報社)に護憲派として取り上げたが、さすがと言うべきだろう。ちなみに城山は宮沢の若き日を『友情力あり』(講談社)に描いている。

細川護熙には会ったこともないし、会う気もないが、次の勲章論には賛成である。もちろん細川は勲章を拒否している。

「それにしても勲章の如きものに人は何故かくも執着するのか。真に世の為、人の為に陰ながら尽した人々を顕彰するは結構なることなれど、既に功成り、名遂げたる高位、高官の物欲しげなる態、誠に見苦しきものなり。これを見れば、大体その人の器量は解るものなり」(『内訟録』)

最も理解し難いのは、1964年にアメリカの航空部隊司令官だったカーチス・ルメイに日本政府が勲一等旭日大綬章を贈ったことである。ルメイは1945年3月10日の東京大空襲の指揮をした人間である。非戦闘員に爆弾を落としたこの国際法違反の空襲で10万人が亡くなった。

彼は「われわれの計算しつくした上での賭けは、近代航空戦史上で画期的なできごとになった」と振り返っているが、そんな人間に勲一等を贈ったのである。これは政府が死者を冒涜したとしか言えないだろう。

ルメイは「私の決心をなんら鈍らせなかったのは、フィリピンなどで捕虜になったアメリカ人──民間人と軍人の両方──を、日本人がどんなふうに扱ったかを知っていたからだろう」とも語っている。

“戦犯”であり、被害者や遺族が「鬼畜」「皆殺しのルメイ」とまで呼んだ男に、日本の政府は「航空自衛隊の育成ならびに日米両国の親善関係に始終献身的な労力と積極的な熱意とをもって尽力した」として勲一等を贈ったのである。時の首相は佐藤栄作だった。

元A級戦犯の笹川良一にも日本政府は1978年に勲一等瑞宝章を贈っている。笹川は1987年には勲一等旭日大綬章を受けた。

戦犯を礼讃するということは戦争を礼讃するということである。勲章をめぐって、佐藤栄作、ルメイ、笹川良一らと、宮沢、大江、城山らにくっきりと分かれるということだろう。これは戦争推進派と否定派の対立でもある。

この記事の著者・佐高信さんのメルマガ

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この夏NYでは「バナナアイス」が流行る?アメリカ人のバナナ好き事情

コロナ禍のアメリカではバナナ・ブレッドのレシピの検索数が800%も増加したそうです。ウォルマートで最も売れるのがバナナというほどアメリカ人はバナナ好きなのだとか。そんなバナナを使ったアイスに挑戦を続けるニューヨークのお店の話題を紹介してくれるのは、人気ブロガーで『メルマガ「ニューヨークの遊び方」』著者のりばてぃさんです。

今夏、ニューヨークで流行るのはバナナ??

食専門メディアのGrub streetがバナナ味のアイス研究に没頭するマンハッタンのとあるアイスクリーム店を取り上げ、「今夏、バナナはもっともホットな味になろうとしている」としています。
Peel and Eat Bananas are about to become this summer’s hottest flavor

マンハッタンのダウンタウンエリアでMorgensterns Finestというアイスクリーム店を運営するNick Morgensternは、2014年にお店を開けてからこれまで様々なバナナ味を研究してきました。

ドリアンとバナナの組み合わせ、ローストしたバナナ味、バナナとマカダミアナッツ、バナナ・ドルチェデレチェ、バナナフロステッドフレークといった凝った商品などもあります。

そしてついに4月20日、2店舗あるうちのロウアーイーストの店舗を、Morgenstern’s Bananasという店名に変更し、店の外観はバナナカラーの黄色一色にしたのです。ものすごくバナナに情熱を注いでるのがわかりますが、バナナアイスだけを出すわけではなく(!?)、ピーナッツバターやゆず味のアイスなども提供するとのこと。

まぁ、バナナだけでは難しいですしね。じゃあ店名にバナナを入れず、外観も黄色に変更しなくても良いのでは?と思うわけですけど、バナナを愛するが故なのかもしれません。

ところでアメリカではバナナはもっとも食べられる果物の1つです。実際、コロナ禍の2021年、ウーバーイーツではバナナを25,150パウンド(=約11トン409キログラム)以上も販売。ウォルマートでもっとも売れる品であるように、スーパーなどの小売店舗の農産物部門全体の売上を高める推進力にもなっているそうです。
米Uber Eatsの人気オーダー・ランキング1位は?

また、コロナ禍のアメリカで検索数が800%も増加したレシピはバナナ・ブレッドでした。
コロナ禍のアメリカで検索数が800%も増加したレシピは・・・バナナ・ブレッド!?

この記事の著者・りばてぃさんのメルマガ

予告なし「キンプリ看板撤去」に動いたジャニーズ事務所の“非情対応”

5月に3人のメンバーが事務所を退所するアイドルグループ『King & Prine』関連の話題に動きが出ているようです。ジャニーズ事務所は今、様々な問題に大忙し? 芸能記者歴30年のベテランジャーナリスト・芋澤貞雄さんが解説します。

「キンプリ看板撤去」にファンは…

4月19日発売の『Mr.5』が発売2日間で103万枚超のビッグ・セールスを記録した『King & Prine』ですが、先週末、私はティアラ(キンプリのファンたちを総称してこう呼ぶそうです)たちにとって胸が張り裂けんばかりの出来事に遭遇しました。

16日からプロモーション展開されているこのアルバムの巨大広告が、所属レコード会社のツイッターで予定されていた30日を待たずして“今夜撤去”と告知されたことを知り、渋谷に赴いた目の前で黙々と行われる撤去作業…。

“ハチ公改札”を出てすぐの場所に、これが最後の5人のキンプリを残そうと記念撮影をするティアラたちの多さには、実は私も辟易していたことは事実でした。

今年1月には新宿の地下通路で“この人だかりは何だ…”と思い覗いたところ、そこにはキンプリのカレンダー発売が告知された広告の前で写真を撮るティアラたちにも遭遇していました。

“写真を撮られる方々で通行に支障をきたし事故やトラブルの可能性が高まったため”がその理由のようですが、渋谷にはまだ撤去されていない場所もあるようで、残された“5人のキンプリ”を探すティアラたちが何かトラブルに遭わなければと思うばかりです。

昨年11月からにわかに巻き起こった、5人でのグループ継続へ嘆願の動きにまるで冷水を浴びせかけているように思えるのがジャニーズ事務所の対応です。

4月12日には3人が退所する5月22日をもって、キンプリの限定動画65本が全削除されるとファンクラブ会員に告知されたそうです。

昨年11月3日にアップされた“『ツキヨミ/彩り』スペシャル・メッセージ”は、配信期間が2023年11月3日までの1年と明記されていたのですが、突如その終わりを半年も繰り上げたのです。

また“4月以降も継続します。番組を終了する予定はない”と『日本テレビ』側から発表されていた『King & Princeる。』は一転、5月20日のスペシャル企画を最後に番組が終了することを発表されました。

どんな“大人の事情”があったのでしょうね。

現在この枠の後番組は『なにわ男子』や『SixTONES』、『トラジャ(Travis Japan)』が引き継ぐと様々な噂話が飛び交っていますけれど…。

冒頭の深夜の渋谷では、“(剥がすまで)あと10分位。(今のうちに)なるべく多くの写真撮って下さいね”と叫ぶ、心優しい作業員の言葉に、目に薄っすらと涙を浮かべマスクの上から口元を手で覆うティアラたちも何人も見かけました。

退所後の肖像権利問題も当然発生するでしょうから、“5月22日をもって”というのは当たり前といえば当り前なのでしょうが、もう少し根回しというか、せめて今まで応援してくれたティアラたちだけでも誠意を持って対応できなかったのか…と思ってしまいました。

カウアン・オカモト氏への対応もばっちり?

ジャニーズ事務所といえば、先日『日本外国特派員協会』で行われたカウアン・オカモト氏の告発会見に関して、『女性セブン』でこんな記事を掲載してきました。

“告発したカウアン・オカモト氏の意外な素顔”というタイトルの記事は、オカモト氏が音楽仲間の友人にFX運用を勧めたり、多額の借金を抱えていたこと等、読んでいくとどんどんオカモト氏の印象が悪くなっていくような内容でした。

以前から“ジャニーさんの動画を売ったらお金になるかも”と言っていたなど、オカモト氏がにわかにグレー・ゾーンの人間であることが文章の端々から十分に伝わってきます。

“傷は少しでも浅く…”という事務所の目的が、一般の読者にはほんのわずかですが達成されるんだろうなぁ…なんて思ってしまいました。

「世界最大の自動車市場」中国がトヨタの足元にも及んでいない現実

豊富なバリエーションを提供し、2023年にも日本を抜いて世界最大の自動車輸出国になる見通しの中国ですが、トヨタをはじめとする従来メーカーの存在感はまだまだ強烈のようで、国内では「中国自動車市場のガラパゴス化」と指摘があるそう。今回、中国の自動車業界情報を届けているメルマガ『CHINA CASE』で詳しく解説しています。

世界最大なのに「中国自動車市場こそガラパゴスだった」理由は

最近発表された2022年世界で最も売れた車種ランキングを紹介した中国自動車情報メディア「智駕網」は2023年4月7日、公式WeChatで、「驚くべきことに、世界の自動車市場の状況は、世界最大の自動車市場である中国とは全く違う」、「中国市場でのパフォーマンスは、世界の自動車市場におけるパフォーマンスを代表し得ていない」などと指摘、中国の現状の新エネルギー車(NEV)を中心とした自動車市場では世界の自動車市場を語り得ない、として、いわば中国市場のガラパゴス化を指摘した。

やはりトヨタが存在感

発表された2022年車種別販売ランキングでは、1位、2位をトヨタが独占、それぞれカローラが112万台、RAV4が87万台となった。トヨタで言えば、5位にカムリ67.5万台、9位にハイラックス56.4万台がランクインしている。

4位には米テスラModel Yの78.6万台、7位は同Model 3の59.6万台がランクイン、「智駕網」では「テスラ2車種を足しても、カローラ1車種を大きくは上回らない」とした。

中国ではBYDが急成長を果たしている、とは言え、引き続きテスラも好調。そのテスラも世界市場で見ると販売台数ではトヨタに全く歯が立っていない、というのは、中国人としては極めて違和感を覚える状況のようだ。

「中国では現在、BEV、PHEV、REEVが極めて豊富なバリエーションを市場に提供しているが、このランキングでほとんどNEVが見られないのも特徴」であり、最新世界ランキングが中国人の肌感に合っていないことを強調した

世界はピックアップも主流 

ランキングではガソリン車(HEV含む)が主流を占めている他、やはり中国では考えられない現象をもう一つ、「智駕網」では指摘している。

「ハイラックスの他、3位にフォードFシリーズ、8位にシボレーSilveradoと、ピックアップトラックがランクインしている。これも中国人を驚かせる」。中国でもピックアップトラックが徐々に人気にはなってきているものの、市場に占めるシェアはわずかに数%。

ガラパゴスの自認を

これらを踏まえて「智駕網」では、下記のように総括、中国市場における一喜一憂はグローバル市場ではほとんど無意味だとして自戒した。

1.中国市場のパフォーマンスは世界市場を代表しえない
2.従来メーカーの市場規模は非常に大きく、テスラや中国新興がこれを超越するのは一朝一夕には無理
3.ガソリン車とNEVの競争は、まだ結論が出ていない上、従来メーカーの世界市場における存在感は極めて大

出典: https://mp.weixin.qq.com/s/mcP4kr-RayPffd6_-gg86Q

この記事の著者・CHINA CASEさんのメルマガ

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北朝鮮のミサイルに対抗。韓国は「核の傘」を明文化できるか

北朝鮮のミサイル発射に警戒する国は日本だけではありません。今回の無料メルマガ『キムチパワー』で、韓国在住歴30年を超える日本人著者が、韓米間の「韓国版核の傘」明文化について現状を伝えています。

核には核を。「韓国型核の傘」明文化できるか

韓米が今週予定された首脳会談で、北朝鮮の核脅威に対応した拡張抑制(核の傘)強化案と関連し、「韓国型核共有」水準に匹敵する実質的な対策が盛り込まれた別途の特別文書を採択する案を論議している。

これまで韓米は共同声明を通じて原論的水準の拡張抑制原則を確認してきた。しかし、北朝鮮核の脅威が増大し、別途文書を通じて核の共同企画と実行に対する細部計画を明文化する案を推進している。これと共に、米国の半導体法で制限されていた中国内の韓国半導体工場の先端技術アップグレードを一時的に認めるものの、撤収する際に工場を中国には売却できないよう制限条件を設ける案も交渉中だという。

尹錫悦(ユン・ソンヨル)大統領は韓米同盟70周年を迎え、24日午後、5泊7日の日程で米国に向かった。2011年10月李明博当時の大統領に続き、12年ぶりの国賓訪米だ。李明博元大統領は当時、米議会が韓米自由貿易協定(FTA)批准案を処理した後、国賓訪米し政治・安保中心の韓米同盟を経済にまで拡張した。

尹大統領は12年前よりはるかに深刻化した北朝鮮の核・ミサイル脅威に対抗して拡張抑制強化方案を導き出し、サプライチェーンと先端技術で米国とのパートナーシップを強化するものとみられる。また、ウクライナ戦争などグローバルイシューでも米国と歩調を合わせるという。

尹大統領は出国前日の23日、ワシントンDCで開かれる韓米首脳会談の議題について最終報告を受け、米上下院合同会議の演説文をまとめた。今回の韓米首脳会談の核心議題は、米国の拡張抑制強化だ。大統領室関係者は「北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を通じて米本土を核で攻撃できると威嚇している状況で、韓国国民が米国の核の傘が韓国防衛のために確実に作動すると感じられるよう実効的かつ具体的な方案をホワイトハウスと協議中」と話した。

韓米両国は、韓半島周辺に米核戦力を常時水準に配置することはもちろん、核戦力運用と関連して計画段階から韓国が参加し、韓米合同演習を拡大する案を論議している。核運用問題を話し合う両国間の常設協議体の構成も話し合われているという。

バイデン大統領も尹大統領との首脳会談で、韓国に対する北朝鮮の核攻撃を抑制するという米国の公約を強調するための実質的な措置を約束するだろうとロイター通信が21日(現地時間)報道した。同当局者は「我々は韓国当局者と大衆の期待および拡張抑制約束の現実をすべて満たすことができる十分な措置を取るために強く協力している」とし「バイデン大統領は北朝鮮の挑発、ロシアの武力侵攻、中国の核増強野望に直面しても、韓国に対する支持公約にはいかなる疑いもないことを明確にするために相当な措置を取る」と述べた。

尹大統領とバイデン大統領は昨年5月、ソウルでの韓米首脳会談で、北朝鮮の核攻撃の脅威時に核を含むすべての力量を韓国防衛に投入する米国の拡張抑制公約を再確認した。にもかかわらず、米国が本土に対する北朝鮮の核攻撃の危険を甘受しながら韓国防御のために核戦力を本当に使ってくれるのかという憂慮が一部で提起されてきていた。

核の傘と呼ばれる「拡張抑制」とは、韓国が核の脅威を受ける場合、つまり韓国が北から核攻撃を受けた場合、米国が核の傘やミサイル防衛システム(MD)を稼動し、米国本土並みの抑止力を提供する概念だ。

これまで韓米は共同声明を通じて原論的水準の拡張抑制原則を確認する水準にとどまってきた。しかし今回の訪米で尹大統領とバイデン大統領が首脳会談にて「拡張抑制強化」に合意し、この文案を確定すれば、米国の核報復約束が韓米間の公式文書に初めて明示されることになる。この場合、国賓訪米の3大テーマ(安保同盟・価値同盟・技術同盟)の一つである「安保同盟」の前向きな発展という成果を上げるものとみられる。

尹錫悦政府は発足後、高官級拡張抑制戦略協議体(EDSCG)などを通じて、米国の拡張抑制強化案を議論してきた。特に尹大統領は複数のインタビューで、「米国核資産運用の共同企画(joint planning)、共同実行(jointexecution)案を論議中だ」と明らかにしてきた。大統領室関係者は「今回の訪米で米国が韓国防衛のための核戦力使用を躊躇するんじゃないかという憂慮を払拭できるだろう」と話した。

尹大統領は今回の訪米の際、グローバルイシューに対しても以前より鮮明なメッセージを出すものとみられる。尹大統領は最近、外信とのインタビューでウクライナに対する軍事支援の可能性を示唆し、中国・台湾の緊張問題に関しても「力による現状変更に反対する」という立場を表明し、ロシアと中国が反発している。

しかし大統領室関係者は「尹錫悦政府はグローバル中枢国家として自由、人権など普遍的価値守護のための役割を避けられず、北朝鮮の核脅威に直面した状況で力による現状変更を容認することはできない」と話した。北朝鮮核問題などで朝・中・ロ密着が強化されるだけに、対中ロ関係の安定的管理のためにこれまで取ってきた戦略的曖昧性を捨て、自由民主主義陣営に明確に立つ方向に進むしかないという話だ。

尹大統領は訪米に同行する経済使節団120人余りとともに韓米ビジネスラウンドテーブルなどに参加し、米国とサプライチェーン・先端技術協力を強化する予定だ。大統領室関係者は「韓国企業の不利益可能性が提起されたIRA(インフレ削減法)と半導体法はサプライチェーン・技術同盟強化を通じて対処するだろう」と話した。大統領室は最近浮上した米情報機関の韓国大統領室盗聴疑惑と関連しては「韓米間の情報共有拡大・強化を通じて両国間の信頼に影響がないようにする」と話した。

尹大統領の訪問を控え、ワシントンDCの随所には韓米同盟70周年を記念する広報物が登場した。駐ワシントン韓国文化院建物の外壁に韓米儀仗隊がそれぞれ両国の国旗を持って立っている広告物が掲げられた。大統領室と広告業者のイ・ジェソク研究所が1953年当時、米儀仗隊と2023年の韓国儀仗隊の姿が盛り込まれたイメージを活用して製作した。ホワイトハウス周辺などの主要道路には太極旗と星条旗が並んで掲げられている。

(無料メルマガ『キムチパワー』2023年4月25日号)

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デジタル技術を使えば経済効率は上がるが品質は下がる当然の理由

デジタル技術に仕事を奪われると怯える人たち。しかし、メルマガ『j-fashion journal』の著者でファッションビジネスコンサルタントの坂口昌章さんは、AIたちができない仕事がある、と産業革命時代にさかのぼりながら語っています。

 産業革命は効率を高め質を退化させた

1.産業革命は経済効率を上げただけ

産業革命は、電気や蒸気で動く機械を生み出しました。それにより、大量生産が可能になり、効率化が進みました。

しかし、あくまで効率化が進んだだけで、品質が向上したわけではありません。機械を使うことで、誰でも均一な品質のモノ作りが可能になりました。高度な技術を習得した職人一人の生産力は知れています。職人は品質は高いけど生産力が低い。機械生産は品質はそこそこでも、大量に均一な商品が生産できます。その方が売上や利益は上がるのです。

2.室町時代の絹織物は再現できない

室町時代に作られた絹の織物があります。現在は合成染料ですが、当時は草木染めです。染料の原料は植物の根、葉、枝や樹皮などです。それらから染料を煮出して、何度も染めを重ね、堅牢な濃色に染め上げます。

当時の製糸、機織の技術も高く、現在では再現することが困難です。糸の段階からこだわりが詰まっています。蚕(かいこ)にも種類がありますし、産地や季節によって品質には差が生れます。生糸を精錬する藁灰によっても風合いが変わります。当時の人々は、それらを熟知し、タテ糸とヨコ糸を指定し、温度や湿度を見極めて布を織りました。

現代人は室町時代の人よりも技術が上だと自惚れていますが、実際には技術も品質も低下しています。明治のもの室町より品質が落ちます。しかし、昭和より品質は上です。技術革新により、効率は上がり品質は退化したのです。

3.デジタル技術も効率を上げるだけ

アナログの機械がコンピュータ制御で動くようになり、更に機械は効率化が進みました。

現在もデニム愛好家はシャトル織機が織ったものを好んでいます。現在の最新鋭のエアジェットの織機(ヨコ糸を空気で飛ばす織機)はシャトル織機よりもはるかに高速です。高速で織るには、糸が切れないように樹脂を塗ります。高速で織ると、糸に強いテンションが掛かります。その結果、綿の布でも紙のような風合いになります。

低速で織ると、全く風合いが異なります。手織りで織ると、綿花のカールした繊維の形状や撚糸による糸の凹凸が布に反映され、表面に微細な凹凸が生れます。そして、引っ張られないので柔らかな生地ができます。

アナログの機械がデジタル制御されることで、品質が上がるわけではありません。経済効率が上がるだけです。

この記事の著者・坂口昌章さんのメルマガ

日本が韓国から馬鹿にされていることがよくわかる、造語「用日」

韓国で使われている「用日」という言葉をご存知でしょうか。言葉の意味は、日本人が知れば怒りの感情が生まれそうなもの…。作家でユーチューバーの顔も持つ、ねずさんこと小名木善行さんは自身のメルマガ『ねずさんのひとりごとメールマガジン』の中でそんな言葉が作られた理由と、これからの日本が「用日」されないようにするための心構えを説いています。

築く文化、奪う文化

「用日(ようにち)」という言葉があります。お隣の国の造語で、日本は脅したりすかしたりすることで、日本の持っている技術や市場や富を奪う。そして自国の一部の人たちが巨万の富を得る。そのために「日本を用いる」という意味の言葉です。

そして「用日」のためであれば(つまり自分たちの利益のためであるならば)、どんなに日本を貶めても、あるいはどんな非合法な手段を用いても、あるいは国際条約を捻じ曲げても、一向に意に介さない。そこにあるのは「いまだけ、カネだけ、自分だけ」という姿勢です。

そして彼らがなぜそのような用語まで用いているのかといえば、戦後の米国がそうであるし、中共がそうであるし、それによって猛烈な富を日本から奪うことに成功しているからです。

国の経済は、家計経済と同じです。外で稼いできて、国内で循環させることにより、国全体の富が大きくなります。これが経済成長です。

一方、外でいくら稼いできても、得た富を外に垂れ流せば、あたりまえのことですが、富は流出し、家計は苦しくなるし、国もまた貧しくなります。日本がこの30年間、まったく経済が成長しなかった理由がここにあります。

高度成長経済の頃の日本人がよく働き、現代の日本人が働かなくなったわけではありません。昔も今も、日本人は勤勉でよく働くのです。そして日本には、「お客様によろこんで頂くのが商売」という伝統的価値観があります。ですからそのためにひたすら努力を重ねます。すると、多くの人々に役立つ、まったく新しい製品が誕生します。

産業分野でもしかり、医療分野や、なんと食料分野でも同じです。いまコンピューターは生活に欠かせないものとなりましたが、マイクロプロセッサの開発は日本人の嶋正利先生です。スマホといえば、Appleが開発したものと思い込んでいる方が多いですが、実はそのアイデアは『週刊アスキー』副編集長の矢崎飛鳥さんです。

世界で栽培されるイチゴなどの美味しい果物の新種、稲の品種、小麦の品種等も、家畜の新品種なども、実はそのほとんどが、元の元をたどれば、より良いもの、より多くの消費者に喜ばれているものは、そのほとんどすべてが日本生まれです。

このように書くと、あまりに日本びいきが過ぎるのではないかと思う方がおいでかもしれませんが、そういうことを申し上げたいのではありません。たとえ外国生まれのものであっても、より良いものにしていくのは日本文化です。早い話、カレーも、ラーメンも、日本でとても美味しいものへと変化しました。

申し上げたいことは、より多くの人々に喜んでもらいたい、もっと良いものにしたいといったことが動機となるのは、それがもともとの日本の文化がそうなっているからだ、ということを申し上げたいのです。

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ビジネス関係の雑談や上司に対してうまく話せない人がすべき“心構え”

読者の皆さんは「人前で話すのが苦手」「ビジネス相手との雑談がうまくできない」といった悩みを抱えていませんか?  特に4月に新入社員になった人は、コミュニケーションで自分に自信をなくす時期かもしれません。今回、メルマガ『スピーチコーチ・森裕喜子の「リーダーシップを磨く言葉の教室」』の著者である森裕喜子さんが、コミュニケーションや話し方の悩みについての解決法を紹介しています。

営業力や社内コミュ力…ご相談を一気に解決

こんにちは。スピーチコーチの森裕喜子(もりゆきこ)です。

週末の発行となった今月。新たな年度が始まりましたがいかがお過ごしでしょうか?

今回は新しい季節ということもあり、これまでいただいたことがある疑問やご質問に対してまとめてお答えしてみます。

あくまでもスピーチコーチ、言葉を扱う立場としての考え方を書いております。

ご参考としてお役立ていただけたらと思います。

相談1:沈黙が怖くて人前で話すのが苦手です

森さんの答え

人前で話すとき、言葉に詰まったりして黙るのが怖い、とおっしゃっているのかなと思いました。そうですね、確かに「ちゃんと話さなくては」「上手につっかえないように」などと思われるかもしれませんね。

でも、そもそも沈黙する、黙る、ということは聞いている人にとってダメなことではありません。

黙っている間に聞いている人は話を咀嚼したり、逆に「なんだろう」と惹きつけられることもあります。

まずは「沈黙は悪」の思いを捨てましょう。

そうすれば自ずと話すことが楽になりますよね。

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