LGBTQの「理解」を社会全体で進めるために必要な“足掛かり”とは何か?

LGBTへの理解や配慮が足りないと内外から指摘される日本で、今年6月に施行された「LGBT理解増進法」。国や自治体、事業主に行動が求められていますが、国においても基本計画策定中の段階で、具体的な動きはこれからのようです。今回のメルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』では、LGBTQに限らず生きづらさを抱えた人たちの支援に取り組む引地達也さんが、自ら企画しているシンポジウムについて紹介。LGBTQへの「興味本位」を「理解」へと深めるためには、当事者から学ぶ必要があるとの考えのもと、事業主の責任として向き合うことになる人たちの参加を呼び掛けています。

LGBTQの「理解」を考えるための「対話シンポジウム」

LGBT理解増進法(LGBT法)が6月に施行され、内閣府に基本計画の策定や実施状況の公表を担当する部署が設置された。LGBT法は当初、東京五輪前に成立させる予定が、与野党の一部から根強い反対意見により、今年6月まで可決がずれ込むことになった。

施行を契機に、社会や企業でも理解推進が求められているが、その「理解」を考えたときに、国会の審議でも、理解の前提となる認識の違いが露わになったこともあり、私たちの社会全体が理解を進める上では何らかの足掛かりが必要だ。

経済産業省での当事者への対応に関する判決が出され、性的マイノリティーの事実に関するアウティング(暴露)による心的苦痛の労災認定等の動きも出てきた。私自身も「理解」するという行為を主体的に行わなければいけないと考え、当事者から学ぶことを基本としたシンポジウム「LGBTQを考える ダイバーシティー雇用とインクルーシブなかたち」(9月22日)を企画した。

登壇してもらうのはゲイの立場でパートナーシップ契約公正証書を結んだ夫と「LGBTコミュニティ江戸川」を立ち上げた七崎良輔さん。著書「僕が夫に出会うまで」(文藝春秋)は世界8ヶ国語に翻訳、マンガ化もされるなどの反響を呼んだ。

子供のころから「女性っぽい」仕草から「オカマ」と呼ばれいじめられたこと、男性に恋愛する心苦しさ、初めての彼氏、彼女。赤裸々に綴られた夫に出会うまでの道のりは、物語としても面白い。一方でその反響とは珍しいゆえの結果であって、まだ理解に結びついていない社会の興味優位のメンタリティーでもあろう。

このシンポジウムは私自身、企業に理解を深めてもらうことを目的に、「ダイバーシティ雇用」という枠組みを設定し、SDGsの取り組みの一環としても位置付けてみた。さらに障がい者雇用の枠組みの中で援用できる議論にし、理解を広げたいという狙いである。

現在、内閣府は厚生労働省、文部科学省、法務省などからの10人ほどの職員で構成するグループで社会の理解促進に向けた基本計画を策定中という。LGBT法は罰則のない理念法で「性的指向やジェンダーアイデンティティを理由とする不当な差別はあってはならない」と定めるが、国会でも議論になった「不当な差別」をめぐっての議論は今後も続くと思われる。

この記事の著者・引地達也さんのメルマガ

なぜSNSやYouTubeに依存する人は「好きなもの」しか見えなくなるのか?気づかず罹る「エコーチェンバー」の悲劇

ついついSNSやYouTubeでおすすめされるがままに動画や情報を見てしまうことってありませんか? Google、マッキンゼー、リクルート、楽天の執行役員などを経て、現在はIT批評家として活躍されているメルマガ『尾原のアフターデジタル時代の成長論』の著者・尾原和啓さんは、その「エコーチェンバー」と呼ばれる現象について対処すべきものだと警鐘を鳴らしています。

つながりすぎる時代の副作用「エコーチェンバー」と、その対処法

教会や密閉された部屋の中に入ると、自分の声が反響して、いろんなところから戻ってくることがありませんか?教会のように、音が反響する閉じられた空間を「エコーチェンバー(残響室)」といいます。

つながりすぎる時代には、その副作用で、だれもがいつの間にか陥ってしまう「エコーチェンバー」という現象があります。どうすれば自分のいきすぎた行動を防げるのか?自分が偏りすぎないために大事なことなので、解説しておきたいと思います。

「エコーチェンバー現象」とは?

インターネット、特にSNSやYouTubeでは、プラットフォームの会社がユーザーに長くいてもらうために、見ている人が好きな情報だけを提示していきます。

ユーザーは多様な世界とつながっているつもりだけど、いつの間にか好きなモノばかりを見てしまっている。そして、「世界は自分が好きなモノだけで存在しているから、自分が考えていることは正しい」と思ってしまう。それを「エコーチェンバー現象」といいます。

3年前のTEDで、すごく話題になったトークがあります。そのトークの中で、ある社会学者が実験をした結果、YouTubeのユーザーは視聴時間の8割以上「自分が選択していない動画」を見ていることがわかりました。

ジーナップ・トゥフェックチー:ネット広告の仕組みが拓く ディストピアへの道 | TED TALK(日本語字幕付)

YouTube動画って、1本目はチャンネル登録した動画や検索して出てきた動画を見るケースが多いですよね。

でも2本目以降は、自動再生の動画を見ていることが多いです。自分で選択したような気になっているけど、1本目の動画を見たあとに出てくる5つくらいの関連動画の中から選んでいる。

これは、1日にウン十万上げられる動画のたった5つくらいの中からしか選んでいないことを示しています。

YouTube側は、「みんな自分の好きな動画を見たいだろう」と思います。だから「西野(亮廣)さんの動画を見たなら『えんとつ町のプぺル』の動画も見ておきませんか?」と、良かれと思って提示していくわけです。

この記事の著者・尾原和啓さんのメルマガ

日本を愛した音楽家フランシス・レイの楽曲を日本で奏でたい。日本人ヴァイオリニストが『男と女』『白い恋人たち』を今も演奏しつづける理由

いまも世界中の人々に愛されているクロード・ルルーシュ監督の仏映画『男と女』(1966)と、その主題歌。「♪ダバダバダ、ダバダバダ〜」というスキャットが印象的なあの曲を作曲したのが、言わずと知れた音楽家フランシス・レイ(1…

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ジャニーズ事務所を切り捨てても中国には“すり寄る”矛盾だらけの日本企業

ジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川氏の性加害問題を受け、同事務所の所属タレントとのCM契約を打ち切る企業が続出しています。しかしその一方で企業サイドに、少数民族らに対して人権侵害を続ける中国との関係を見直す動きが見られないのも現実です。この状況に異を唱えるのは、台湾出身の評論家・黄文雄さん。黄さんは自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で今回、かような日本企業の姿勢を厳しく批判するとともに、中国もジャニーズ事務所同様、いつ瓦解が始まってもおかしくないとの見解を記しています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2023年9月13日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

ジャニーズとの関係精算するも中国には接近。人権侵害に加担する日本企業

ジャニーズの創業者・ジャニー喜多川氏による性加害問題で、大手企業が広告の契約を見直す動きが広がっています。とくにアサヒグループホールディングスの勝木敦志社長が、「取引を継続すれば人権侵害に寛容ということになる」「人権を損なってまで必要な売上は1円たりともありません」と朝日新聞のインタビューに答えたことが発端となって、ジャニーズとの契約打ち切りを宣言する企業が急増したようです。

アサヒ社長「ジャニーズ起用継続すれば人権侵害に寛容ということに」

こうした関係精算自体は、企業のリスクマネジメントとして理解できます。ただ、そこまで人権を尊重する姿勢を打ち出すなら、世界最大の人権侵害国家、中国との付き合いを見直すべきでしょう。国連人権高等弁務官事務所は、昨年8月31日に新疆ウイグル自治区に関する報告書を公表し、深刻な人権侵害が行われていると発表しています。

中国新疆で「深刻な人権侵害」、人道に対する犯罪も 国連が報告書

ジャニーズ問題では、サントリーもジャニーズとの広告契約を終了することを発表しています。その一方で、同社は中国での事業拡大を拡大させる計画も発表、ネットでは、「本当に人権問題に真摯に向き合っているのか」という疑問の声も噴出しているようです。

サントリー新浪社長、中国事業拡大を計画-ビジネス界は対話継続を

サントリーホールディングス社長で経済同友会の代表幹事でもある新浪剛史氏は、ジャニーズ事務所が「真摯に反省しているか疑わしい」としながら、サントリーもジャニーズのタレントを起用し続けてきたことについて「(性的加害について)噂としてあったが、私は聞いたこともなかった。感度が低かったことを反省しなければならない」と語ったそうです。

性加害「真摯な反省、疑わしい」 同友会・新浪氏、感度の鈍さ自省も

もしそうなら、ぜひ中国の人権侵害についての感度も上げてほしいものです。こちらは噂レベルでもないですし、知らないはずもありません。それでも中国でのビジネスを拡大するというのであれば、それは感度が低いのではなく、確信犯的に人権侵害に加担していることと同じでしょう。

私は戦後の日本の企業に対しては、日本人の人権も他国の人権も軽視してきたと考えています。たとえばかつて経団連や経済同友会などは、中国との関係が悪化して商売に差し障るからと、首相の靖国神社に反対していました。カネのために、日本人の誇りや先人たちの労苦を踏みにじる態度です。

この記事の著者・黄文雄さんのメルマガ

原資は税金。河井メモ「安倍スガ二階甘利」で判った大規模買収の汚いカネを工面した面々

2020年、当時現職議員だった河井克行・案里夫妻が共に逮捕・起訴され大きな話題となった、参院選広島選挙区の大規模買収事件。その捜査過程で事件の真相を物語るメモが押収されていた事実が、地元紙で大きく報じられました。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、安倍政権の中枢から6700万円もの現金が河井陣営に渡っていたことを「証明」するメモと、中国新聞の記事内容を紹介。さらに事件を巡るカネの流れの調査を命じることが可能な立場につきながらも、一向に手を付ける素振りを見せない岸田首相の姿勢を疑問視しています。

安倍政権の中枢から「6700万円」もの現金。河井メモが物語る大規模買収の真相

河井克行元法務大臣と妻、案里氏(元参院議員)による参院選広島選挙区(2019年)での大規模買収事件は、すでに二人の有罪が確定し、克行氏は服役中である。

だが、本当の意味で、この事件は解決したといえない。1億5000万円もの破格の選挙資金が自民党本部から河井陣営に振り込まれたことについて、誰の指示だったのか、どんな使途に使われたのかが明確になっていないからだ。

しかも、謎の資金提供は、ほかにもあった。それ以外に6700万円が現金で渡されていたことをうかがわせる「総理2800 すがっち500 幹事長3300 甘利100」のメモが河井氏の自宅から押収されていたことが、最近の中国新聞の報道でわかったのだ。

下記は、中国新聞デジタルの記事(9月8日)の一部だ。

メモはA4判。上半分に「第3 7500万円」「第7 7500万円」と書かれ、それぞれ入金された時期が付記されている。その下に「+(プラス)現金6700」と手書きで記され、さらにその下に「総理2800 すがっち500 幹事長3300 甘利100」と手書きされていた。

これを重要メモとみるのは、克行氏の自民党広島県第三選挙区支部に7500万円、案里氏の党広島県参院選挙区第七支部に7500万円が19年の参院選前に振り込まれ、それにプラスして、「総理」から2800万円、「すがっち」から500万円、「幹事長」から3300万円、「甘利」から100万円、4人分合わせて6700万円が現金で提供されたと読み解くことができるからだ。

言うまでもなく、現金を提供した4人は、当時の安倍晋三首相、菅義偉官房長官、二階俊博幹事長、甘利明党選挙対策委員長をさすに違いない。だとすれば、1億5000万円以外に、6700万円が安倍政権の中枢から河井陣営に渡っていたと推定できる。

党本部からの1憶5000万円は、うち1億2000万円が政党交付金で、あとの3000万円が党本部の自主財源だったとすでに報じられている。

しかし、現金渡しの6700万円については、安倍氏ら4人と克行氏の政治団体や政党支部の政治資金収支報告書に記載されていない。公選法違反や政治資金規正法違反に当たる可能性もあると、記事は指摘しているが、検察がこれについて捜査した形跡はない。

そのために、事件の全貌が見えない。河井夫妻だけが悪いのではあるまい。誰が何の目的で多額の資金を提供し、夫妻を買収に駆り立てたのか。それをつかまなければ、単なるトカゲのしっぽ切りであり、事件の本質にたどりつくことはできない。

中国新聞は亡くなった安倍氏をのぞく3人に、この件に関する直撃取材を敢行している。甘利氏は選対委員長として党のカネを届けたこと、他の候補者へも一律に持って行ったことを認めたが、二階氏と菅氏は資金提供そのものを否定した。

二階氏は、「幹事長には党の政策活動費が支給される。党勢拡大の名目で河井氏側への現金提供はないか」との問いに、「全然記憶にないねえ」と答え、1億5千万円について「二階さんが決めたのでは」と問われ、「そんなことするわけないじゃない」と打ち消した。

この記事の著者・新恭さんのメルマガ

滝沢洋一と「マジカル・シティー」が呼んだ世界的シティ・ポップ大ブーム47年目の真実。【Vol.2】デモ・テープに刻まれていた名曲の数々

数年前から世界中で大ブームを巻き起こし、今やスタンダードとして定着した感のある音楽ジャンル、シティ・ポップ。音楽業界では山下達郎と大貫妙子の在籍したバンド「シュガー・ベイブ」が“シティ・ポップの先駆け”ということになっていますが、シュガー・ベイブとほぼ同時期に活動しながら、最近までその存在さえ知られていなかった幻のバンド、滝沢洋一と「マジカル・シティー」をご存じでしょうか? 彼らこそが、昨今の世界的シティ・ポップブームの礎を築いた重要なバンドであることが、約3年近くに及ぶ関係者たちへの取材によって明らかになりました。本連載では、今まで日本のポップス史の中で一度も語られることのなかった、彼ら5人による「シティ・ポップの軌跡」を、発見された大量の未発表音源とともに複数回にわたって掲載いたします。

※【追記】2025年1月8日、元マジカル・シティーの新川博さんが69歳で急逝されました、ここに哀悼の意を表します。なお、本記事は公開当時のままの表記とさせていただきます。

※本記事の英訳版を公開しました。

連載記事アーカイヴ

【Vol.1】奇跡的に発見された大量のデモテープ
● 【Vol.2】デモテープに刻まれていた名曲の数々 (本記事)
【Vol.3】達郎も秀樹も気づかなかった「真実」

マジカル・シティーの名付け親「滝沢洋一」の生い立ちと数奇な運命

Vol.1からの続き)2015年に初CD化された唯一作『レオニズの彼方に』(1978/東芝EMI)が「シティ・ポップの名盤」「奇跡の一枚」と高く評価されているシンガー・ソングライター、作曲家の滝沢洋一(2006年に56歳で逝去)。

滝沢のバックバンドマジカル・シティー」として、ミュージシャンのキャリアをスタートさせた以下の4人だが、その豪華な顔ぶれは今まで日本のポップス史の中で語られてこなかったことが不思議なくらいだ。

マジカル・シティー

ドラム:青山純
ベース:伊藤広規
キーボード:新川博
ギター:牧野元昭

彼らにとっての「キーマン」は、バンド名の名付け親であり、彼らが演奏したオリジナル曲のソングライターの滝沢洋一である。彼の音楽活動と生い立ちを辿ることで見えてきたのは、この世界的「シティ・ポップ」ブームを呼んだ“奇跡的な出会い”の数々であった。

滝沢洋一は、外務省の外交官だった父の長男として1950年3月9日に東京で生まれ、生後まもなく父の赴任先であるアメリカ・オレゴン州ポートランドで3歳までを過ごす。

帰国後は小学2年生まで日本で過ごし、今度は中東イランの首都テヘランへ。そして11歳となった小学5年生でようやく日本に定住した。幼少期の海外生活が長かったことで、日本語の、とりわけ漢字の読み書きに対する劣等感は大人になった後にも残っていたという。

海外生活の中で洋楽に慣れ親しんでいたことが、彼の音楽性に大きな影響を及ぼしたことは想像に難くない。事実、滝沢は後に発売するシングル『マイアミ・ドリーミング』(1980・RCA)のプロフィール欄に、

「ポピュラー好きの父親についての海外生活の体験で得た洋楽センス溢れた曲作りと、さわやかなVocalが特長」

と記している。

ビートルズ、フォークギター、そして「ロビー和田」との出会い

そんな滝沢は、中学生のときにXmasプレゼントとして買ってもらった3000円のギターで、日本でも社会現象を巻き起こしていたザ・ビートルズのコピーを始める。玉川学園高等部に入学してからは、友人らとともに、あのマイク眞木を世に送り出した「MRA」(道徳再武装運動)というフォーク団体に加入した。

そこで出会ったのが、眞木の後継の地位を獲得していたフォーク歌手で、のちに日本初のフリー音楽プロデューサーとして和田アキ子や西城秀樹、松崎しげるらの大ヒット曲を手がけることになる、ロビー和田(和田良知)であった。

和田は66年、MRAのフォークグループを糾合し、500人を超える大グループ「レッツ・ゴー・66」を創設して、伝説の武道館ライブを敢行した人物として知られている。その和田に才能を認められていたのが、高校時代の滝沢であった。この和田との出会いが、のちに滝沢らの運命を大きく変えることになる。

そんな滝沢が若き日に録音したと思われる音源がオープン・リールの形で発見された(前回記事参照)。ギター弾き語りによる宅録曲「やさしい氷」は、まだ10代とおぼしき滝沢の美しい声で歌われている(スマホで楽曲を再生する場合はListen in browser の文字をクリック。以下同)。

そして、グループ・サウンズの影響が色濃く出ている、バンド演奏による「僕が愛したその人を」は今聴いても新鮮だ。

滝沢はMRAの活動と並行して、玉川学園の音楽好きを集めたTLMS玉川・ライト・ミュージック・ソサエティー)を結成。このTLMSの活動の中で、滝沢は「フォークでもロックでもジャズでもない」独自の音楽を創り上げていった。この前後に作曲した楽曲の一部が、滝沢宅から発見されたオープンリール・テープに残されていたのである。

こんな曲もある、「ステーションエレジー」。録音年は不明だが、おそらく60年代後半から70年代初頭にレコーディングされたと思われる。サイケデリックな曲調にジャズ風のアレンジを施した、この時代ならではの重厚なサウンドが耳に心地よい。

スキーにハマり音楽活動を休止も、入院で再び音楽の道へ

ところが、滝沢は玉川大学へ進学した頃にスキーにハマり、1級の免許を取得してからスキーのインストラクターとして山小屋でアルバイトを始めるようになった。スキーに夢中になるあまり、音楽活動からは足が遠のいてしまったのである。

しかし、ここで予期せぬ転機が訪れる。滝沢の持病である「B型肝炎」が悪化してしまい、体調不良のために長期入院を余儀なくされ、スキーのプロとして生活する夢を断念せざるを得なくなってしまったからだ。

入院生活を送る中で、滝沢は病室に置いたラジオから流れる音楽を聴きながら、洋楽の美しい旋律に魅せられて、再び音楽と向き合うようになった。そして、病室のベッドの上で作曲を始め、退院後に作った曲をデモ・テープに吹き込むようになっていたという。

退院した滝沢は、父親の勧めでコンピュータ・プログラミングを学ぶ学校へ通ったり、アルバイトをしながら作曲を続け、デモ・テープ作りに励んでいた。そして、MRAで知己を得ていたロビー和田を久しぶりに訪ね、書き溜めていた楽曲のデモを持参して聴かせる

その頃、和田はビクター音楽産業の事業部である「RCAレコード」の契約ディレクターとして、和田アキ子笑って許して』(1970)やヘドバとダビデナオミの夢』(1971)、西城秀樹傷だらけのローラ』(1974)などのヒット曲を次々と世に送り出したヒット・ソング・メイカーだった。

そして当時、あのチャールズ・ブロンソンの出演した「うーん、マンダム」でお馴染みのCMソング『マンダム〜男の世界』(1970。ジェリー・ウォレス歌唱)を別名義で作詞・作曲し大ヒットさせている。和田は歌手として自身が前に出るよりも、裏方の「作る側」に回っていたのである。

滝沢が宅録で吹き込んだ一曲「一人ぼっちの君」を聴いた和田は、その曲をいたく気に入り、RCAが売り出していたアイドルグループ「チャコとヘルス・エンジェル」のシングル『嘆きの指輪』(1974)のB面に採用。これが滝沢の「作曲家デビュー」となった。滝沢はこれを機にRCAと作家契約を結ぶことになる。

そんな滝沢が宅録で吹き込んだ自身の歌唱による「一人ぼっちの君」の音源は、同じオープン・リールテープに収録されていた。このデビュー曲は、詞・曲ともに滝沢だ。

肝臓の持病により3度目の入院となった頃、滝沢は同じ病院に入院していた8歳年下の女子高校生と恋に落ちる。その高校生こそが、後の滝沢の妻である。1974年秋のことであった。その頃、すでに「一人ぼっちの君」のシングル発売が決まっていた滝沢は、病院内の庭のベンチで彼女にビートルズのほか、ギルバート・オサリバンの曲をよく弾いて聴かせていたという。

その当時の自作曲の音源が1本のカセットテープの中に残っていた。

女性の言葉で綴られた美しく静かな名曲「凍った時計」。滝沢の透き通るような歌声は、50年近くを経た今聴いても色褪せない魅力を放っている。

もはや“当たり屋”の統一教会。誹謗中傷相手の反論に「宗教ヘイトだ」と騒ぐ被害者ヅラ

昨年11月から7回に渡り旧統一教会への質問権を行使してきた文科省。そのうちの100項目以上について教団側が回答を拒否したことを受け、同省は旧統一教会へ過料を求める決定を下しました。当然ながら教団サイドは猛反発していますが、「くつがえすのは難しい」とするのは、かつて旧統一教会の信者だったジャーナリストの多田文明さん。多田さんは自身のメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』でその理由を解説するとともに、声を上げた被害者に対する誹謗中傷を重ねた挙げ句、彼らの反論を「宗教ヘイト」として被害者ぶる旧統一教会の姿勢を強く批判しています。

旧統一教会に対する「過料」という行政罰から思うこと

宗教法人法第81条の解散命令に該当する疑いがあるということで、文化庁はこれまで7回にわたる質問権を行使してきましたが、そのうち2割にあたる100項目以上に回答していなかった事実も発覚しました。そこで、文化庁は旧統一教会に過料を科すため、東京地方裁判所に通知を行いました。

文化庁の担当者は「違反の程度も軽微ではなく、過料を科すのに相当」としています。

しかし教団側は、先日8日の会見で、過料の却下を求めて全面的に争う姿勢を見せています。

ですが、今回の過料は適正な法的手続きを踏んで行われたものであり、くつがえすのは難しいと考えられており、今後旧統一教会に対して、初の行政罰がなされることになるかと思います。

教団はこれまで自分たちにとって不都合な真実を隠したり、誤魔化すことで責任を逃れ、不法行為の実態が世に露見することをはばんできましたが、これまでのその姿勢が逆に自らを窮地に陥れている結果になったといえます。いずれにしても、10月までの1か月間、国と旧統一教会の動きから目が離せない状況です。

非常にわかりやすい、文化庁宗務課の過料を科すに至るまでの経過説明

文化庁宗務課長は国対ヒアリングのなかで、過料に至る経緯についてわかりやすく説明をして下さいました。

「(宗教法人法)第81条の解散命令に該当する疑いが認められるということで権限を行使したわけでございます。

81条1項の『法令に違反する』には、あらゆる法令が含まれていると認識しておりまして、宗教法人が民法に基礎を有する公益法人の一形態であって、その民法の不法行為を排除するという趣旨はないだろうと考えております」

ここに民法の不法行為が解散命令の要件に含まれる理由を端的に示されています。

宗教法人法では「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」のある時に、解散命令ができるとなっています。

また「7回のすべての報告徴収を行うにあたりまして、法律にのっとって宗教法人審議会に諮問をして、毎回全会一致で相当であるという答申を受けて行ったもので、適正な権限行使に対して報告を拒否した。なかには再度質問をしても報告拒否を重ねるものもございましたので、違反の程度も軽微ではなく、過料を科すのに相当なものであると考えています」とも話しており、いかに国は厳格な手続きにのっとって、適正に「報告徴収・質問権」が行われたかがわかります。

この記事の著者・多田文明さんのメルマガ

億を超える莫大な借金。東山紀之ジャニーズ社長に「僕のソーセージを食え」と言わせた過去

9月7日14時から、実に5時間以上に渡り行われたジャニーズ事務所の記者会見。「僕のソーセージを食え」との過去の発言の真偽を巡る新聞記者と東山紀之新社長のやり取りは、ネット上を大いに賑わせました。そんな会見を取り上げているのは、メルマガ『施術家・吉田正幸の「ストレス・スルー術」』著者の吉田正幸さん。吉田さんは今回、この会見から感じ取ったという「自分でも気づきにくいこと」の正体を考察するとともに、一連の問題に関して忘れてはいけないことを記しています。

東山紀之ジャニーズ新社長「僕のソーセージ」の強さ

ジャニーズ事務所の会見が、9月7日(木)に行われた。

「人類史上最も愚かな事件」…

ジャニーズ事務所の新社長に就任した東山紀之は、ジャニー喜多川氏による性加害問題について、このように表現した。

その内容は、性加害の事実を正式に認めて謝罪し、再発防止策や被害者救済策に取り組む姿勢を明らかにしたもので、再発防止特別チームの提言を真摯に受け止めたものだということらしい。

5時間以上にも及んだこの会見は、コンサルタント会社の女性進行役で始まったが、まるでAIのような淡々とした進行で各メディアの質問者を抜粋していった。

中でも、Netflixの『新聞記者』というドラマのモデルにもなったと言われている望月という女性の質問がまどろっこしい質問に矢を射した。

『SMAPへ そして、すべてのジャニーズタレント』へという元ジュニアの木山将吾氏が書いた本を引き合いに出して東山のセクハラ・パワハラに対する質問をした。その瞬間、チャットにはものスゴイ激震が走るほどだった。

東山が「電気アンマでJr.の少年たちの股間を足で刺激していた、自分の隠部を見せつけていた、お皿の上に自分の陰部を載せて、『僕のソーセージを食え』と発言したというのは事実か?」と鋭い質問を望月がした。

その質問に対して、東山は「ネットで暴露本の内容は知っていた」と答えた上で「したかもしれないし、していないかもしれない。自身の記憶を呼び起こすのが困難である」という本音を吐露したのだ。

なんだ、この答えは?噴出して笑ってしまった。ようは記憶にございません、ということ。疑惑なんて、完全に払拭しきれない印象だった。困った表情は隠せない。見ているすべての視聴者が、これはもう事実なのだろうと感じたに違いない。

これら一連のやり取りに対しネット民は、「1番ダメな選択をした。『ジャニーズ』は終わり」「これから何百何千という被害者の声を聞き、何百億の補償の話し合いのテーブルにつく覚悟はあるのだろうか?」「政治家もそうだけど目立つ地位になったら、色々と過去の悪い事がでてくる。今回もそうなりそうな予感」という声が上がった。

一番重要なのは、「メディアも東山氏の過去の苦労話や栄光の記事を書いているところも有り、メディアの忖度はまだ続いていてメディアも変わらないと思う」と、今後のジャニーズ事務所や東山新体制に期待できないという声も散見された。しばらくして、「僕のソーセージ」がトレンド入りする始末。

しかし、この東山の会見はある種の強さを感じてしまった。

今回の「ジャニーズ会見」はただの会見ではないと感じる。それは今後の芸能界、マスメディア、性的異常志向者、権力の在り方、貨幣制度から二極化している現状などをすべて含んでいる内容だ。

ただ、被害者を置き去りにしているわけではないが、残念なことに藤島元社長、そして、東山新社長の真意も伝わってきて理解できる部分もあった。

それは、時代背景にある。

この記事の著者・吉田正幸さんのメルマガ

浮気調査を何度も頼んでくる人たちに共通する「ある問題点」

基本、探偵業にはリピーターがいないそうです。しかし、メルマガ『探偵の視点』の著者で現役探偵の後藤啓佑さんが「苦笑い」で語るのは「浮気調査のリピート」について。その依頼者には実は共通点があるそうです。いったいどんな共通点なのでしょうか?

探偵にリピートはある?

探偵業というのは、ビジネスの視点から見てあまり良くない側面が1つあります。

それは、「リピーターがほぼいない」ということ。

浮気をされた依頼者の話を聞き、調査を行い、解決する。第二の人生のスタートをお手伝いする仕事ですが、その方が「後藤さんのサービスがよかったからリピートしたいです!」とはならないですよね(笑)。

それはつまり、もう一度浮気調査をしてほしい!ということです。なのでこちらとしても、リピートしてほしい!という感情は無いです(笑)。

しかし、そのリピートというのが起こり始める時期が、残念ながらあるのです。

現在、僕の探偵歴は13年になります。5年目、6年目の時に浮気調査を依頼され解決までいった方が、そこから7年、8年の時を経て「再婚相手の浮気調査をしてほしい」という相談に来ることがあります。

このパターンの時は、その相談者の方も、少し笑いながら「後藤さん、すみません、またお願いしたいんですけど…」というテンションで来る方が多い(笑)。

「えっまたですか!?」

思わず毎回失礼ながら叫んでしまいます(笑)。

これまでの何百と言うお客様の中でも、このようにリピートされる方は本当にごくわずかですが、よく話を聞いていくと、彼、彼女らにはある共通項があります。

それは、「極度の依存症」であるということ。

このように浮気調査をリピートされる方、言い換えれば、よく浮気される方ですね。彼らは、一旦信じた相手に、かなり依存してしまいます。

実際に僕との関係性(探偵とお客さん)でも、僕のことを一度信じたら、本当になんでも、調査に関係のないささやかなことでも、僕に意見を求めてくるのです。こちらが彼らをコントロールしてやろうという気になれば、確実にできてしまうでしょう。

こういった特徴のある方なので、おそらく再婚相手にもかなり依存してしまい、
おそらくですが相手が窮屈になり、外に癒しを求め、その結果が浮気に繋がっていくのではないでしょうか。

このお話を彼らにもしますが、彼らは彼らで頭ではわかっていながら、そのマインドから抜け出せない。

・無意識に相手に依存→浮気される

これを繰り返してしまうのでしょう。

裏を返せば、自分が依存しがちな性格だと思うのであれば、その部分に気を付ければパートナーの浮気を防げるかもしれません。

浮気のリピート。これは、相手はもちろん、自分側にも問題の根本がある可能性があるなと感じる相談です。依存症の方は、気を付けましょう!

この記事の著者・後藤啓佑さんのメルマガ

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「朝食抜きは糖尿病になりやすい」は本当? 糖尿病医が実体験から回答

忙しければ忙しいほどつい抜いてしまう朝食。朝食抜きで1日2食の生活を続けていると、糖尿病のリスクが高くなるというのが定説のようですが、果たして本当なのでしょうか。今回のメルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』では、糖尿病専門医の江部康二医師自身が、朝食抜き生活を続けて糖尿病とメタボを発症したデータを紹介。ところが、1日2食のままでも糖質を制限したことで10キロの減量に成功し他の数値も改善したことから、朝食抜きが原因ではないと、定説を覆しています。

朝食抜きは糖尿病リスクを上げる?

朝食を食べないと糖尿病になりやすいという定説がありますが、本当でしょうか?確かに、私自身も、34歳から朝食は抜きで、昼と夕の1日2食であり、52歳の時に糖尿病とメタボリックシンドロームを発症してしまいました。

このときHbA1cが6.7%、血圧が140-150/85…外来終了後は170-180/100-110。身長167cmで体重は67kg。内臓脂肪CTは126㎠(100以上)。ずっと体重は57kgくらいだったのですが、40過ぎから徐々に太っていきました。

この頃は、病院では玄米、家では胚芽米で、野菜や大豆製品や魚貝や鶏肉をしっかり食べ、四つ足の肉はできるだけ控えて、油脂の摂取も控えていました。いわゆる、ヘルシーな食生活で「玄米魚菜食」的イメージです。

しかし、結局、玄米も胚芽米もデンプンで糖質タップリです。しかも玄米や胚芽米ならヘルシーだろうと積極的に多めに食べていました。糖質セイゲニストの今の私から見たら、穀物タップリの極めて不健康な食生活だったわけです。

さらに、糖質を摂取していて、1日2食で、朝食抜きだと、1日3食に比べると、昼と夕は血糖値が上昇しやすいことは、2015年7月28日に米国糖尿病学会(ADA)が発行する医学誌「Diabetes Care」に発表されたイスラエル・テルアビブ大学の研究で報告されています。

つまり、朝食抜きで、普通に糖質を摂取していると、糖尿病発症リスクが上がるということは確かなようで、私自身がそれを証明したと言えます。しかし、すぐにスーパー糖質制限食を開始したので、3週間後にはHbA1cは6.0%となり、2ヶ月後には5.7%となりました。体重は順調に減って、半年で10kgの減量に成功しました。血圧も正常化して、そのまま73歳現在まで、21年間維持しています。

このように、朝食抜きの1日2食でも、「糖質たっぷり」か「糖質制限」かで、全く結果が違うということです。糖質制限食なら、朝食抜きでも、糖尿病になりやすいということはありません。食後血糖値の上昇そのものが極めて少ないからです。

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