中国・アリババ会長の「偽物は本物より高品質」発言が世界中で物議

中国の電子商取引(EC)最大手のアリババ集団は、傘下のECサイトでの昨年度(2016年3月期)の総取引額が約52兆円にも達し、今や世界最大の流通企業だ。しかし、そのショッピングモールで扱われている商品には、ブランド品などの偽物が少なくないというのが定評だ。アリババはそのイメージを拭い去るべく、偽物排除の取り組みを行っているが、道はまだ遠いようだ。そんな中、アリババの創業者でもある馬雲会長が「最近の偽物は本物以上に高品質、低価格だ」と発言し、話題を呼んだ。

最近は偽物の品質が高すぎて問題?

馬会長の発言は、14日、中国浙江省杭州市の本社での投資家向け説明会でなされたもの。馬会長は偽物排除の取り組みの難しさについて語っていたようで、ウォール・ストリート・ジャーナル紙(WSJ)「チャイナ・リアルタイム・レポート」によると、「問題は、今日では、偽物が本物以上に高品質、低価格ということだ」「それらの偽物は、本物と全く同じ工場で、全く同じ材料を用いて作られているが、ブランド名を使用していない」と語った。またフィナンシャル・タイムズ紙(FT)によると、「われわれは(知的財産を)守らなければならない、偽物を阻止するためにあらゆることをしなければならないのだが、OEMメーカーは現在、より安価でより良い製品を製造している」と語った。ブルームバーグによると、現在では中国製の偽物は本物より良くなっていて、アリババから偽物を根絶する取り組みを難しくしている、と語ったという。

偽物が本物より高品質、というのは誇張表現で、本物に劣らない品質という意味だと思われる。それが本物より低価格なので、それで満足する顧客や、偽物であることを知りながらそれで済ませる顧客がいて、商売が成り立ってしまっているため、排除が難しいということではないか。

WSJは馬会長の発言が、ソーシャルメディア上で一部の人たちの激怒を引き起こしたと伝える。その人たちは、アリババのタオバオ(淘宝)マーケットプレイスに偽物が長年存在していることについて、馬会長が責任逃れをしていると感じた人たちだという。またFTは、コピー商品の販売で利益を得ているとして、アリババを非難している高級品メーカーを激怒させそうである、と評した。

インターネットのおかげで偽物が売りやすく?

一部海外メディアの報道は、偽物のはびこっている現状を、馬会長がある意味当然のこととして捉えているような印象を抱かせる。中国ではそうなのかもしれない。日本や欧米などの多数の企業が長年、中国を生産拠点として使用してきたことと、近年のインターネットの利用拡大がその背景にある。

WSJは、馬会長が、中国で偽物がまん延している昔からの理由、製造のアウトソーシングについて説明していた、とみている。知的財産は結局、企業が完全に管理できないサプライチェーンに行きつく、というのが契約製造の主要な欠陥であり、馬会長はそのことについて語っていたというのだ。

それがどういったかたちで偽物のまん延を招いているかについて、WSJは、ほとんどの場合、有名ブランドの依頼主のために製造している工場が時間外に稼働し、同じ施設、同じ材料を使って類似品を作り、割引して売っている、と説明する。これには、本物そっくりのラベルを備え、本物になりすます全くの偽造品から、有名ブランドの製品に似ているが、ほとんど無名のブランド名で販売される模倣品までバリエーションがあるという。偽造はブラックだが、後者はグレーかホワイトだろう。

馬会長は、こういった模倣業者は中国では常に存在してきたが、これらの中国の製造会社が顧客と直接取引し、製品を販売するのを、インターネットがより容易にしている、と語ったとWSJは伝えている。

ブルームバーグは、世界的ブランドはずっと昔から、販売利益を大きくするため、中国その他の低コストの製造基盤に頼ってきたが、この同じ工場が、年月が経つにつれて世故に長けるようになって、今や、アリババのプラットフォームを含め、インターネットを使用して消費者に直接、自社の製造品を販売している、と馬会長が語ったと伝える。

偽物の話が「ビジネスモデル」の話に?

これらでは、馬会長は偽物作りの話というよりも、模倣品の製造を通じて成長してきた中国の一部製造業のヒストリーを語っているようにも見える。参照した海外メディアの報道を見るかぎり、馬会長はブラックな活動とグレー、ホワイトな活動をひとからげに捉えているようである。

FTによると、馬会長はブランド各社に対して、インターネットによって「ビジネスのやり方が変化しており」、それが伝統的にはアップル、ルイ・ヴィトンなどのサプライヤーを務めてきた中国の工場に、新たなチャンスを生んでいることを受け入れるよう求めたという。これに対して、イタリアのある高級品会社の創設者は「あぜんとした」と語ったという。欧米のブランド各社と、馬会長には、どうやら知的財産に対する意識に差があるようだ。

FTは、高品質の製品を作りながら、結果としてブランド所有企業がもうけの大部分を自分のものにするのを見るだけ、という生産活動の世界的格差に、中国の製造業者がどんどん我慢できなくなっているというメッセージを馬会長は欧米の高級ブランドに伝えたと語っている。

中国の製造業者はそのかわりに、自分たち自身の製品を作り、インターネットを用いて消費者に直接販売する方法を探していた、と馬会長が語ったとFTは伝える。「ブランド各社にとって、商売のやり方は変化した。それらの会社を損なっているのは、偽物でも知的財産(の問題)でもない。それは世界全体に大変革を起こした新たなビジネスモデルだ」と語ったとのことだ。偽物の話がいつの間にか「ビジネスモデル」の話になってしまっており、しかも知的財産の所有者に、その現状を受け入れよと迫っている。

アリババがその後発表した声明の中で、馬会長はこれらの発言について、偽物の擁護を意図したものではないと釈明した(FT)。「これは単に、ブランド各社とOEMメーカーが直面している問題の、私なりの観察である。偽物製造は品質の問題ではない。知的財産の問題だ」と風呂敷をたたんだ。おそらく世界で最も偽物問題に心を配るべき立場にいる人物としては、不注意な発言だったのだろう。

おごる馬会長

馬会長は、偽物問題への自社の取り組みについて、「これは人間の本性との闘いであるため、私たちはこの問題を100%解決することはできない。けれども、私たちは世界のどの政府、どの組織、どの人たちよりも、この問題をうまく解決できる」と豪語している(ブルームバーグ)。

偽物排除は、今後アリババの経営にとっても重要である。ブルームバーグは、アリババがタオバオなどのショッピングサイトの浄化を果たせていないことは、海外の小売商と販売会社を遠ざける可能性がある、と指摘している。これが問題になるのは、中国経済の冷え込みを受けて、アリババは海外での販売比率を高めようしているところだからだ。朝日新聞によると、アリババのECサイトの売り上げは約9割を中国市場に頼っているという。ブルームバーグによれば、馬会長は海外収益を10年以内に5割以上に引き上げたい考えだそうだ。

また中国国内でも、当局から調査のメスが入る可能性があるが、馬会長はこれについてはほとんど心配していないようだ。FTによると中国の規制当局はときどきアリババの偽物問題を調査しているが、馬会長は、アリババの経済的重要性のおかげで、厳しい措置からは守られていると確信している、と語ったそうだ。「アリババを2時間営業停止させることはできない、停止させると中国にとって大惨事となる。テンセントを2日間営業停止させることはでき、バイドゥを2週間営業停止させることはでき、それでも万事問題ないだろうが」とライバルのネット企業の名前を挙げて、馬会長は語ったそうだ。

(田所秀徳)

 

 

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記事提供:ニュースフィア

誤差わずか1日。地震予測のプロはなぜ北海道地震を予測できたか?

5月に海上保安庁の調査により、南海トラフ周辺に巨大地震発生の危険性があることが発表された矢先の6月16日、北海道でマグニチュード5.3の地震が発生。巨大地震の危険性が高くないエリアと認識されていた北海道での地震発生に、改めて日本には地震のリスクが常に付きまとうものだと再認識させられた方も多いのではないでしょうか。そんな中、MAG2NEWSでは今回の地震の可能性を事前に予測していた2つのメルマガをご紹介いたします。

道南を震源とした地震…函館市で震度6弱

16日午後2時21分ころ、北海道南部の内浦湾を震源とするマグニチュード5.3の地震が発生した。

震度は、函館市で震度6弱と大きな揺れとなったほか、北海道の七飯町・鹿部町、対岸の青森県大間町・風間浦村でも震度4を観測。なお、この地震による津波はなかった。

地震後に開かれた気象庁の会見によると、今回の震源となった渡島半島付近では、過去に今回と同程度の規模を持った地震が続発したことがあるとのこと。今回もその可能性が考えられると、今後の地震にも注意が必要との見解を示している。

 

EU離脱は英国と世界を地獄に落とす。栄光の大英帝国は中流国家転落か

EUからの離脱賛否で真っ二つに分かれているイギリスですが、EU残留支持派の女性議員が殺害された事件以降、世論は「残留派」が「離脱派」の支持を上回っているようです。6月23日に行われる運命の国民投票を前に、無料メルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」』では、イギリスが離脱した場合に起きうる「激震」について考察しています。

離脱すれば一流半国に

イギリスはEU離脱を選択するのだろうか──その国民投票が6月23日に行われる。常識的には離脱はないし、私も「離脱すべきでない」と考える。

産業界や金融界は当然ながらEU残留を支持。最近ロンドン市長に当選したイスラム教徒のサディク・カーン氏も残留派だし、キャメロン首相も「EUにとどまることでイギリスの世界への影響力を持ち続ける」と強調している。ただキャメロン首相はパナマ文書に名前が出てきたことで人気が急落、キャメロン発言でかえって離脱派がふえた、ともいわれている。さらにオバマ米大統領がイギリス訪問した時「EUに残るべきだ」と発言したところ、メディアは「内政干渉だ」と反発、離脱派は前週より2%アップし五分五分になったと報じられた。

イギリス財務省がEUを離脱した場合の経済的損失を試算しているがEUに参加せず、EU経済領域にとどまった場合ではGDP比で3~4%、カナダのように二国間貿易協定でしのいだ場合はGDP比で4~7%、世界貿易機関加盟の新ルールで対応する場合もGDP比で5~9%──の経済的損失が出るとしている。

にもかかわらず離脱論が消えないのは、2004年に新規加盟したポーランドなど東欧諸国から移民が急増し、低賃金で働く移民に雇用を奪われている被害意識が強いようだ。イギリスはユーロには加盟しておらず、ポンドを使用しているが、人の移動を自由にしているEUの基本理念に懐疑的らしい。

ゲームばかりで勉強しない…プロが教える反抗期の子供を説得する方法

毎日ゲームやパソコンばかりで勉強もせず成績は下り坂、注意をしても素直に聞かない―。中高生ともなれば内面はぐっと成長し大人に近づいていますから、小学生までの対処法では上手く行かないのも当たり前ですよね。無料メルマガ『齋藤裕一の「教育力」と「勉強力」 ~ココだけのリアル話~』では、プロの家庭教師である齋藤裕一さんが、読者からの質問に答える形で解決法を示しています。

子が勉強せず、パソコンやゲームばかりなので、強制的に撤収しようと思うのですが…

今日は、先日いただいた高1生のお母様からのご相談メッセージにお返事させていただければと思います。この相談は、よくある相談のひとつですので、ご参考にしていただける方もいらっしゃるのではないかと思います。以下、ご相談メッセージです。

相談

毎日学校と自宅の往復のみ、帰宅後はパソコンで動画を観るテレビ漫画ゲームをして過ごす毎日で、休日も家からほとんど出ません。見ていて何か他にないのかとイライラしてしまいます。

勉強も本人はやる事はやっていると言いますが、成績も中の下、まずいと思うところまで落ちると次回は少し挽回するの繰り返し、小テストも真面目にやっていないとわかる点数で、時間がなかった等言い訳ばかりです。

もう高校生なので、将来どんな仕事をして生活するのか、どんな自分になっていたいのか、そのために今からどうしていくのか自分でよく考えるよう伝えていますが、なかなか難しいようで、大学受験の文系理系も決められず、考えている、わかっていると言いながら、何も変わらない日が過ぎていきます。

パソコンやゲームばかりでは思考停止のままなので一旦撤収しようかとも思いますが、強制したところで意味は無いでしょうか。時期が来れば自分で進んでいくのでしょうか。宜しくお願い致します。

黒板にチョークで描いた絵が巧すぎる先生。コレ、いったい何の授業!?

黒板にチョークで描く絵が、上手すぎる先生。

描かれているのは人体の骨や肉付きが主のようだが、一体何の授業で、ここまで丹念に描いてしまうのだろう。

まずは先生の絵を追ってみよう。

 

 

 

画像出典:YouTube(Chuan-Bin Chung)

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画像出典:YouTube(Chuan-Bin Chung)

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画像出典:YouTube(Chuan-Bin Chung)

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画像出典:YouTube(Chuan-Bin Chung)

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画像出典:YouTube(Chuan-Bin Chung)

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描いて授業をしているのは、台湾の樹徳科技大学・視覚伝達デザインの講師である鍾全斌先生だ。

美術の世界では、人を描くにはその骨や血肉を知っていなければ、と聞いたことはないだろうか。まさにそれを講義しているところ、というワケだ。

それにしても精巧な黒板絵図。授業の様子はYouTubeでも公開されている。興味のある方は疑似受講してみても良いのでは。

 (※↓詳しくはコチラへ)
参照・画像出典:YouTube(Chuan-Bin Chung)
参照・画像出典:Facebook(鍾全斌 OB Illustration)
(本記事は上記の報道や情報を参考に執筆しています)

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記事提供:ViRATES

 

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ホビット族は実在した。今度は70万年前の「小さな人骨」が発見される

かつて存在していたと言われている小人「ホビット」の骨が見つかったという報告が、先日科学ジャーナル「Nature」に掲載されました。なんと、それは約70万年前のものだったそうです……。ところでみなさん、「ホビット」って知っていますか?

謎に包まれたヒト族「ホビット」

ホビット」とはインドネシアのフローレンス島リヤン・ブアという場所で生息していたとされる、超小型のヒト族につけられたニックネーム

2004年に発見された1mほどの小人ホビットの化石の存在は世界中に衝撃を与えました。

人類(ヒト族)は猿から進化して、原人→旧人→新人と進化を続けてきたことはご存知のとおりです。

それまで見つかっていた原人はとても大きかったのに対して、フローレンス島で見つかったフローレンス原人は小さかったのです。

National Geographicによると、この子供のような人の化石は新種なのか、これまで見つかっている原人が進化したものなのか、はたまた「島嶼化(とうしょか)」の結果なのかという議論が白熱していますが、いまだ結論がでていないようです(※島嶼化とは進化生物学、生態学に関する学説のひとつ。孤立した小さな島で動物が矮小化したり、時には巨大化したりする現象のこと)。

ホビット発見以降、人々はもっとたくさんの化石が見つかるかどうか、ということに注目してきました。

最初に発見されてからの2年間、研究チームは発掘を続け、新種のヒト科生物のさらなる裏付けを探してその起源の謎を解決しようとしてきました。

最初に化石が見つかった地点に加え、インドネシアのスラウェシ付近も発掘を行いましたが、人骨の化石を見つけることはできませんでした。

そして先日、研究チームがこのフローレス島の”Mata Menge(マタ・メンゲ)”と呼ばれる場所から小さな人骨を発見したことを、Natureで発表しています。

今回見つかった人骨は、すでに見つかっているホビット(10万年〜6万年前)よりも古く、なんと70万年前のものであることがわかり、その時からすでに「小型化していた」というものです。

この発見により、ホビットの脳が小さいのは小頭症などの病理学的な理由ではないということが裏付けられたといえそうです。

ツイッターでもホビットに興味を持っている人は多いようです。

「ホビットってリアルだったんだね」

「70万年なんて気の遠くなる昔からホビットは存在したなんて!」

ヒト族は大陸の間をいつどうやって移動し、進化してきたのか。その謎を解くカギは、どうやら土の中にしかなさそうです。

さらなる発見が楽しみですね。

研究チームのリーダーVan den Bergh教授もチームを鼓舞しているそうです。

もっともっと、掘ろう!」と。

 

Source by: Science, The Verge, Nature, National Geographic, 国立科学博物館 

文/桜井彩香

日本とは真逆。上杉隆が海外で体験した「モルヒネ」大胆使用ナマ現場

メルマガ『上杉隆の「ニッポンの問題点」』の著者でジャーナリストの上杉隆さんが、自身の冠番組「週刊リテラシー」(MXテレビ)のロケで「医療用大麻」について取材したそうです。欧米の先進国では「常識」となっている医療用大麻について、上杉さんは「日本のペインクリニックは極めて遅れている」と語り、12年前に上杉さん自身がチュニジアで体験した、日本では考えられない医療現場におけるモルヒネの投薬について語っています。

 赤、白、それともモルヒネ?

「週刊リテラシー」で「大麻」のロケに行った。何やら怪しげな取材のようだが、なんのことはない、多くの国ではすでに解禁されている医療用の大麻の取材だ。

日本のペインクリニックは極めて遅れている。「痛みも病のうち」という考え方は欧米の医療と共通しているが、そこからの対処方法が180度違う

日本では「だから我慢しろ!」となるが、欧米では「出来る限り取り除きましょう」ということになる。

もちろん歴史も文化も環境も違う我彼のこと、一概にどちらが正しいかなどというつもりはない。ただ、双方のペインクリニックの現場を患者として体験した私からすれば、圧倒的に楽だったのは欧米のそれだった。

モルヒネは大麻よりも強い麻薬と言われている。だが、12年前、私が入院していたパリの病院では、そのモルヒネは解禁という言葉を超越するほど、大胆に使用していた。

今回のメルマガは、日本とフランスのペインクリニックの差を知ってもらう「特別版」として、当時の月刊誌に寄せた文章を再掲する。

自分を殺せ。弁護士がそっと教える「交渉は質問が7割」の法則

交渉となると、ついつい自説を押し通すことばかり考えがちですが、いわば「交渉事のプロ」とも言える弁護士さんは少々違った見方をしているようです。無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』著者の谷原さんが、自分が「この人は交渉が上手い」と思った人を例に挙げつつ、「交渉必勝術」を記してくださっています。

●●は質問が7割!?

こんにちは。

弁護士の谷原誠です。

皆さんは「交渉に強い人」と聞いて、どのようなタイプの人を想像しますか? 多くの人が考えるのは、交渉の場面で、押して、押して、押しまくり、自分の主張を押し通す人ではないでしょうか。また、巧みな話術で、自分にとって有利な条件で相手を言いくるめてしまう人を想像するかもしれません。

私は第三者として交渉の場を見るとき、また自分が行う交渉の場で対峙する相手についてであっても、「この人は交渉が上手だな」と感じることがあります。そのような人は、自分の主張をし続ける人や、口がうまいだけの人ではありません。

私が思う「交渉に強い人」には、共通してある特徴があります。それは、「質問が多いということです。交渉で自分が話す内容のうち、7割方は質問をしていると思われる人が、最終的に交渉でよい条件を引き出しているように思います。

交渉の目的は、話をまとめ、何らかの合意に達することです。当然、相手にも合意する意思がなければ、合意には達しません。

私たちが交渉するとき、「自分にとってどれだけ有利になるか」しか、頭にありません。当然、相手もそうです。だとすれば、自分の主張を延々とし続けても、相手の耳には到底届いていない、ということになるでしょう。

できるだけ自分にとって有利な条件で、相手にも納得してもらわなくてはなりません。その際、交渉の武器となるものは、交渉相手に関する情報」です。

“お礼”をもらって税金控除も?「ふるさと納税」をもっと知ろう

2015年4月、国による税制改正が行われ、「ふるさと納税」の拡充が行われました。
改めてですが、ふるさと納税の仕組みについてご存じですか?
 
自分のふるさとだけでなく、応援したい地域があればだれでも希望の自治体へ納税(寄附)できるこの仕組み。今回の改正では、納税をする人にとっても、また納税してもらう地方にとってもさらにメリットが増えているため、そのメリット目当てに納税する人も増えてきています。
変更のポイントを、整理してみましょう。

ふるさと納税の仕組み :メリットとは?

【納税者側】
・自分が応援したいと思う地方自治体に対して、納税(寄附)ができる(地方への関心・貢献)。
・自分が納める税金の使われ方について選べる唯一の制度(震災復興や自然保護など)。
・寄附金額に対して、現在自分が住んでいる自治体に収める住民税や所得税の一部が控除されるので、実質自己負担額が少ない。
・自治体によってはお礼に特産品を送ってくれるところなどがある。
 
【ふるさと納税を実施する自治体側】
・地方から都市部へ出て行った人たちから、ふるさとを思う心で税収が得られる。
・ふるさと納税をアピールすることで、自分のふるさと以外の地方へも関心を高めてもらえる。

ふるさと納税の仕組み :2015年の税制改正で何が変わったの?

税金控除額の変更

個人が2,000円を超える寄附を行ったとき、住民税のおよそ1割程度だった還付、控除額が2割程度に拡大(2015年1月1日分から適用されます)。

税金控除の還付金申告のための「確定申告が不要」に

「ワンストップ特例制度」を採用し、申請書の提出をすれば、寄付先が5自治体以内であれば、確定申告が不要となりました(こちらは2015年4月1日分以降から適用)。

今までは、給与所得者でも、ふるさと納税を行った場合には確定申告が必要でしたが、一定の条件範囲内であれば不要になるため、より気軽にふるさと納税(寄附)が行えるようになったという利点があります。
納税先の自治体に申請書を郵送することで自宅に申請書受付書が届き、翌年6月には、自分の居住する自治体から住民税控除の通知が届く仕組みです。

ふるさと納税の仕組み :控除金額のシュミレーション

給与所得者(給与収入のみで住宅ローン控除等を受けていない)を例に、2015年の税制改正で2,000円を超える部分の全額が控除されるふるさと納税額(年間上限)は、以下の表のようになります。

例えば、給与収入300万円独身者は、下表に示す31,000円以下の寄附であれば自己負担額は最小の2,000円となりますが、これ以上の額の寄附をすると、自己負担額が増加していくこととなります。

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<表の見方>
※「共働き」は、ふるさと納税をした者本人が配偶者(特別)控除の適用を受けていないケース(配偶者の給与収入が141万円以上の場合)。
※「夫婦」は、ふるさと納税をした者の配偶者に収入がないケース(ふるさと納税をした者本人が配偶者控除を受けている場合)。
※「高校生」は「16歳から18 歳の扶養親族」を、「大学生」は「19歳から22歳の特定扶養親族」を指す。
※中学生以下の子供は計算上加味しない。(夫婦+子1人(小学生)は夫婦と同額。夫婦+子2人(高校生と中学生)は、夫婦+子1人(高校生)と同額。
※この表は、あくまで給与所得者のケース。年金収入のみの方や事業者の人は異なるので注意。
※上記の表はあくまで目安です。正確な計算は、居住する自治体に聞いてみましょう。

ふるさと納税の仕組み :きっかけは、特産品目当てでもOK!?

地域によっては、ふるさと納税のお礼として、海産物や果物、加工品など、都会ではなかなか手に入らないご当地の特産品を送ってくれるところがあります。

実質負担額の2000円でもらえるとは思えない豪華な品をそろえている地域もあり、最近は、お礼の品合戦の様相を呈している側面もあると、本来の趣旨とずれてきている、と指摘する声もあるようです。

ふるさと納税はあくまで寄附であり、お礼をもらうことが本来の目的ではありませんが、地方にとっては、産業をPRするツールでもあり、知名度を高めるきっかけにもなっています。納税(寄附)するほうは、それらの特産品をきっかけに、その地方を知り、また実際に手にしてみて、人に薦めたり、今度は購入したい、と思うかもしれません。

また最近は、宿泊券や施設の優待券などをお礼としている自治体もあり、「納税をきっかけに、地方に興味をもってもらって、実際に観光にきてもらおう」という試みをする自治体も増えつつあります。
ふるさと納税は、まず地域のファンを作る第一歩なのかもしれません。

興味をもったら、まず下記サイトでどのような「ふるさと納税」があるか調べてみてはいかがでしょうか?
 
総務省 ふるさと納税ポータルサイト

ふるさとチョイス

 
表参考:総務省「平成27年度以降 2000円を除く全額が控除されるふるさと納税額(年間上限)の目安」

image by: Shutterstock

 

【関連リンク】

記事提供:Mocosuku

お子さん、お孫さんは大丈夫?褒める育児法の取り返しがつかない罠

昨今流行りの「褒めて育てる」という考え方。この育児法、アメリカ式というそうなのですが、実は大きな落とし穴が潜んでいるとか。無料メルマガ『システマティックな「ま、いっか」家事術』では、何が問題なのか、そしてどう子育てすべきかが詳しく紹介しています。

アメリカ式と中国式

さて、本日は自然に培われるしかないもののお話。

子供を育てていくとき、どんな親だって自分のやり方に疑問を持ちます。だって子供ができる前には、誰だって親じゃなかったんだから。はじめから親が親だと思っているのは、子供だけよね(苦笑)。

特に最近では「褒めて育てよう」という考え方が出てきていますね。日本では、長い間疑いもなく叱って育てる教育方法がとられてきました。その間には文字通り過剰としか表現しようのない厳しい叱責や制裁が加えられてきてしまいました。子供のためを思って親がしたことが裏目に出てしまうなんで悲しいですが。

その悪影響はオトナになってからも引き継がれ、まさに「どうせ私なんか」が口癖のヒトがたくさんいるように思います。痛ましいかぎりです。自分で自分にダメ出しし続けるのは、苦しいものです。さんざん自分にダメ出ししてきたので、よく分かる(苦笑)。

子供の教育の仕方として有名なのが「褒めて育てる叱って育てる」です。あ、誤解のないように言っておきますが、「褒めて育てる」方法で叱ったり罰を与えたりしないわけではないですし、その逆もしかりです。ただ、「褒める」「叱る」のを他方に比べて重視しているということです。各々

  • 褒める教育方法をアメリカ式
  • 叱って育てる教育方法を中国式

と言うんだそうです。歴史的に日本は中国の影響を受けてきましたから、伝統的に中国式の教育方法がとられてきたわけですね。で、最近になってアメリカ式が浸透してきたと。日本人の自己否定感の強さは国際的に見ても異常なほどなので、その反省から褒める教育にフレてきているんだと思います。

そこで、現在お子さんを教育中のアナタにあえて言いたい。「むやみに褒めるのは止めた方がいい。「むやみに」ってトコがポイントです。

教育は、すぐに結果がわかるようなものじゃナイですよね。何十年も追跡調査をして初めて、ある教育方法が有効だったのかどうかがわかるんです。その意味で日本では、まだアメリカ式に褒めて育てられた子の調査はありませんが、アメリカではこの教育方法によって育てられた子がすでにある程度の年齢になっているんですよ。非常に自尊心の高い人間に育ったんです。どんな大人に育ったと思います?

  • 理由なく自信満々
  • ミスを認めない
  • 尊大に振る舞う

イワユルひとつのゴーマンくんに育ったんです。なんてこったい。もともと

  • アメリカ式では子供に自尊心を与えること
  • 中国式では自制心を養わせること

を目的としていました。いずれも子供が将来幸せに生きていけることを願ったものです。そりゃそーだよね。そして、これらふたつの教育方法が追跡調査された結果、幸せになるために必要なものとして「自制心に軍配が上がったんです。極論ですが、褒めるより叱るほうが教育方法として優れていたということです。

叱りすぎはもちろんイケナイでしょう。でもそれと同じように褒めすぎるのもダメなんですよ。それはむやみに叱るのとオンナジです。ベクトルが違うだけでね。理由なく褒められれば、子供は何もしなくてもイイと勘違いするだけで努力しなくても何かを達成しなくてもイイと考える子に育つだけですよ。アメリカに増殖したゴーマンくんたちと同じように。