米ブッシュ元大統領さえ利用。統一教会が「信者鼓舞」に使った裏情報とは?

旧統一教会の関連団体「天宙平和連合」へのビデオ出演で約3億円の講演料を受け取っていたことが話題となったトランプ前大統領。そんな教団が、95年にやはり関連団体「世界平和女性連合」のイベントにジョージ・H・W・ブッシュ氏を招いていたことをご存知でしょうか。今回のメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』では、かつて旧統一教会の信者だったジャーナリストの多田文明さんが、教団内で語られた講演時のブッシュ氏を巡る「裏情報」の内容を紹介。さらに彼らが信者たちとこのような情報を共有する目的を解説しています。

旧統一教会信者と国民との間で情報格差が生まれる恐れ ブッシュ氏、本当は悩んでいたとの裏話

2月22日に解散命令請求の裁判において、文科省と旧統一教会の双方から意見を聞く「審問」が行われましたので、こちらの話を中心に書きます。盛山文科大臣の教団側からの情報リークを含めて、情報戦において教団側は、相手の個人情報を握って、ベストなタイミングで霊感商法などで追い込むといった、ノウハウの40年以上の蓄積がありますので、かなり手ごわいといえます。

国やマスコミの側の対応も負けてはならないと思っています。

非公開の裁判ながら、すばやく情報を出す、教団側の巧みさ

本来、解散命令請求の裁判は、非公開で行われる裁判です。

しかしすぐさま教団側は裁判後に会見を通じて、田中富広会長が意見陳述を行い「資金集めを目的とした団体」と指摘されていることについて「明らかな間違い」との主張を展開したといいます。

報道を通じた内容を見る限り、これまでの主張と変わりないものですので、裁判においてさしたる影響はないとは思いますが、ただ情報を素早く出した点に、相変わらず教団の巧みさがみえています。

解散命令請求の裁判における、旧統一教会信者と国民との間で、情報格差が生まれる恐れも

解散命令請求の裁判は多くの人たちが注目しているところであり「どんな審問だったのだろうか」と多くの人たちが関心を寄せているところに、いち早く会見を通じてその内容を出す。

相変わらず情報戦においては長けている部分もみられますので、今後は文科省も何かしらの裁判の経過について話をする必要が出てくるかと思います。

なぜなら、このままでは国民と信者との間に、解散命令請求の裁判における情報格差がうまれてくる恐れがあるからです。

どのような形で裁判が進んでいるかは、国民の側には知らされていませんが、信者内部では赤裸々に、そして自分たちの都合の良いように伝えられてしまう可能性があります。私も信者時代にも、信者らのモチベーションを鼓舞のためでしょう。「ここだけの話」といって、礼拝の説教やイベントへ参加者を募る動員の出発式には、裏話をしてくることがよくありました。

この記事の著者・多田文明さんのメルマガ

ローソンへの出資で俄然注目のKDDI。次なるターゲットはどこか?

ローソンの共同経営に乗り出すことを発表したKDDIが、携帯事業による赤字に苦しむ楽天グループを次なるターゲットにするのではないかと噂されています。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』では、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんが、以前から語っていたKDDIが楽天グループを取り込む大きなメリットを解説。先日指摘したように折半出資を王道パターンにしているKDDIが、共同出資の相手として選ぶ可能性のある企業の名前を1つ挙げています。

KDDI、ローソンの次は果たしてどこだ?──ネットとリアルをつなげるための新たなパートナーとは

KDDIがローソンに5000億円を出資し、三菱商事と共同経営体制になると発表されたことで、にわかに注目されているが「いずれ、KDDIは楽天グループも傘下に収めるのでは」という見方だ。

筆者が度々、語ってきた「仮説」で、昨年、NewsPicks主催の討論番組で披露してきたのだが、当時は「なんでKDDIが?」というツッコミが多かった。「大型買収ならソフトバンクでしょ」という声が圧倒的ななか、世間ではKDDIが過小評価されている感があった。しかし、今回、ローソンに出資したことで俄然、世間のKDDIに対する評価が変わってきたように思う。

KDDIは通信の会社であり、世間の企業におけるDXを進める立場にいるものの、ウェブ上での「顧客接点」においては若干、弱かったりする。ソフトバンクがLINEやヤフーを持つなか、KDDIにはウェブにおけるauユーザー以外のオープンな顧客接点は皆無に等しい。

そんななか、KDDIが楽天グループと組めば、シナジーは絶大だ。もちろん、KDDIにとって楽天モバイルには興味はなく、楽天グループ全体と組めることが重要だ。

ネットショッピングやトラベルなどのWebサービスだけでなく、銀行や証券なども一緒になり、パンダとタヌキが組み合わさった強大な経済圏が誕生することになる。KDDIが弱かったネットショッピングを補完するという関係性においてはベストではないか。

一般メディアでは単に「KDDI・ローソン・楽天」という組み合わせによって、セブンイレブンやファミリーマートを倒せるのではないか、さらにGAFAMに対抗できるのではないかといった論調があるが、もしかすると単に「KDDI・ローソン・楽天」という枠組みにはとらわれない可能性だって考えられる。

今回のローソンへの出資に関しても、実はKDDIだけでなく、ENEOSが本来であれば出資するつもりだったとの報道がある。幹部の不祥事により頓挫し、KDDI単独での出資になったようだ。

将来的にKDDIが楽天グループに出資すると言うことになった場合、KDDIだけでなく、もう1社ぐらい別のパートナーを連れてくることも考えられるだろう。KDDIと仲が良く、資金的に余裕があるが、将来的な成長に不安を感じている企業。例えば、JR東日本とKDDIがタッグを組んで楽天グループに出資するなんてことがあれば、結構、面白いことになるのではないか。

東日本に鉄道網を持ち、豊富な人流データを握っている。Suicaによって、ユーザーの行動履歴だけでなく、購買データも持っている。JREポイントとPontaと楽天ポイントが組み合わされたら、ネットとリアル、両方でポイントが貯まるなんてことになれば、俄然、ユーザーの利用意向も促進されるだろう。

KDDIは今回、ローソンという「リアル」への進出を果たしただけに、もはや何でもあり、誰とでも組める体制になっているといえる。我々が全く想像し得ない「座組」で、新たな出資を仕掛けてくる可能性は十分にあり得そうだ。

この記事の著者・石川温さんのメルマガ

image by:Casimiro PT/Shutterstock.com

皇族でただ一人「朝敵」の汚名を着せられた、輪王寺宮能久法親王の強い“思い”

江戸城無血開城と聞くと、みなさんは誰を思い浮かべるでしょうか。今回のメルマガ『歴史時代作家 早見俊の無料メルマガ」』では時代小説の名手として知られる作家の早見俊さんが、西郷隆盛、勝海舟、篤姫以外のとある人物のエピソードを紹介しています。

朝敵となった親王

江戸城無血開城と聞くと多くの人は西郷隆盛と勝海舟を思い浮かべるでしょう。官軍と賊軍とされた幕府を代表した西郷と勝によって江戸を戦火から救った偉業とイメージされています。幕末に興味のある方なら、西郷と勝の会談の前に山岡鉄舟が西郷を訪ねて談判していたとか、天璋院篤姫も西郷に使者を送ったというエピソードを思われるかもしれません。

ですが、輪王寺宮能久法親王の名を挙げる人は稀ではないでしょうか。輪王寺宮とは徳川将軍家の菩提寺東叡山寛永寺の貫主であり徳川家康を祀る日光山東照宮の山主、更には比叡山延暦寺の山主(天台座主)です。後水尾天皇の第三皇子守澄法親王が就任して以来、皇子またが貫主、山主を務め、「輪王寺宮」と尊称されてきました。

能久法親王は1847年伏見宮邦家親王の第九皇子として誕生し、翌年孝明天皇の父仁孝天皇の猶子となります。ちなみに明治天皇の叔父に当たります。1858年、数え十二歳で勅命にとり輪王寺宮の後継者に任ぜられました。次いで1864年の十二月、親王の位の第一等を授けられ、1867年五月に東叡山寛永寺に入りました。

幕末、官軍が江戸に迫る最中、東叡山寛永寺の山主となっていたのが輪王寺宮能久法親王だったのです。宮は明治になって北白川家を継ぎ北白川能久となられました。

では、宮が何故、どのように無血開城に関わったのでしょう。そして、無血開城に関わったがために皇族でただ一人の朝敵の汚名を着ることになります。

朝敵となった親王の激動の人生は最後の将軍徳川慶喜が寛永寺、大慈院で蟄居した時に始まりました。この年の正月、鳥羽伏見の戦いに敗れ、大坂城から脱出した慶喜は幕府艦隊の軍艦開陽丸で江戸に戻ります。薩長を主力とした討幕軍は官軍の証である錦の御旗を掲げ、慶喜を朝敵として東征軍を編成しました。

不思議な肖像画を持つドリアン・グレイのお話が人生の参考になる理由

心理学の「ドリアン・グレイ効果」をご存じですか? 今回のメルマガ『セクシー心理学! ★ 相手の心を7秒でつかむ心理術』では、著者で現役精神科医のゆうきゆう先生が紹介しているのは、その効果の原典である「ドリアン・グレイの肖像」という小説の内容とその効果自体についてです。

笑うと幸せになる!ドリアン・グレイ効果とは

こんにちは、ゆうきゆうです。

元気でお過ごしでしょうか?

さて、皆さんは「ドリアン・グレイの肖像」というお話をご存じですか?

これはオスカー・ワイルドという作家の、1890年に発刊された古い小説です。

今回はこの作品を踏まえ、人の「表情」についてお話しします。

■ 美しい男の恐ろしい話

イギリスに、ドリアン・グレイという美青年がいました。

ある日、バジルという絵描きがドリアンの肖像画を描いてあげます。

ドリアンは完成した肖像画を見ながら、自分の今後の人生について考えます。

「楽しく明るくとにかく遊んで、好き勝手に生きていくことこそが良い」

と彼は思いました。

そして今は美しい自分も、いつか老いていくことを感じ

「自分自身は老いず、この肖像画の方が老いていけば良いのに」

とつぶやきます。

その後、彼は奔放な人生を送りました。

たとえば女優の婚約者ができましたが、女優として落ちぶれてしまったので、ドリアンは彼女を捨ててしまいます。

彼はまさに、自分の本能の赴くままに好き勝手に生きて行くのです。

そして遊び呆け、多くの人を傷つける生き方をしていきます。

するとドリアンが皆にヒドいことをする度に、彼に代わって肖像画がどんどん醜く老いていきます。

ところが不思議なことに、ドリアン自身は全く老いません。

その後、ドリアンは人を殺してしまったり、アヘンや麻薬にハマってしまったり、捨てた女優の弟がドリアンを殺そうとしてきたり、様々なことが起こります。

このように周りとのトラブルが絶えず、彼はとても後悔をします。

最終的にドリアンはおじいさんくらいの年齢となりますが、見た目はやはり若いままです。

そして肖像画は、すっかり醜い老人の姿になっていました。

彼は肖像画を見て

「これは自分の良心の象徴だったんだ」

と気づきます。

彼は肖像画を壊そうと、絵にナイフを突き立てます。

するとドリアンのいる部屋から、叫び声が上がりました。

周りの人が驚いて見に行ってみると…。

肖像画は、「美しく若いドリアンの姿」に変わっていました。

そして…。

その肖像画の前で、ドリアンが死んでいたのです。

そう。

醜い老人の姿になって…。

横浜駅徒歩1分の立地でも昭和を変えない「珍味好き」が集まる店

豚の頭や舌などの部位を食べながら「やかん」から焼酎を注いで飲む。都会にありながらも、そんな雰囲気の昭和な居酒屋が今日もにぎわっています。今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』の著者、佐藤きよあきさんが、その人気の秘密を探ります。

高度成長期の安酒場、いまも健在!豚の珍味で焼酎を飲る

そこは、まるで高度成長期の酒場。

仕事を終えた労働者たちが、安い酒を飲み、語り、笑う場所。

まさに昭和前期の光景を現代でも見ることができます。

都市開発の進む、横浜駅徒歩1分という場所にありながら、古き良き時代を守っているのか、はたまた、取り残されたのか。

歴史のある飲み屋街の中でも、このお店は少し特殊で、ある種のマニアたちが集まっています。

お店の名は、「豚の味珍(まいちん)」。

店頭に掲げたメニューには、「豚の頭」「舌」「足」「胃」「尾」の文字と写真が。

豚本体の肉は扱っていません。

まだ豚肉の高かった時代に、安い部位を美味しく食べられるよう調理して、安く提供していたのでしょう。

その名残りのままに、現代まで続いてきたのです。

これらの部位を丁寧に下処理したのち、醤油ベースの秘伝の和風ダレでじっくり煮込んでいます。

2日間掛けて仕上げているそうです。

長時間煮ることで脂を煮出し、臭みを取り除いているのです。

なので、やわらかく、奥深い味わいのみが残っています。

そのままでも充分に美味しいのですが、お客さまは、ねりがらしを酢で溶いて、少量の醤油を足したものにつけて食べます。

これが、このお店の正統な食べ方です。

好みで、ラー油やおろしニンニクを足したりします。

激シブな昭和的食べ方です。

これをアテに、中国の酒器らしき、通称「やかん」から注がれた焼酎をストレートで飲ります。

いまどき、焼酎をストレートで飲む人も少ないのですが、それがこのお店のスタイルなのです。

この焼酎に、カウンターに置かれた「梅シロップ」を入れるのも定番です。

アテは他にも、「辣白菜(ラーパーサイ)」と言われる白菜の甘酢漬けや「腐乳(フニュウ)」と言われる発酵豆腐、「皮蛋(ピータン)」「くらげサラダ」「牛すじ」「牛もつ煮込み」「馬刺し」など、なかなかクセの強いものばかりが揃っています。

これほど、マニアックとも言える料理で、お客さまを魅了しているお店はあまり存在しません。

どちらかと言えば、敬遠されやすいタイプです。

しかし、多くの常連さんに愛され、いつも賑わっています。

お店は昭和のまま。提供するものも昭和のまま。

スタイルを変えることなく、昔のままに営業を続けていることが、長く生き残っている要因なのです。

時代の流れなど、関係なし。若者の求めるものなど、完全に無視。

これが当店。当店の売りはこれ。やるべきことを続けるのみ。

頑固一徹ではなく、お店を愛してくれるお客さまを大切にしているだけです。

image by:  7maru / Shutterstock.com

TSMC熊本 半導体バブルの盲点。日本大復活にあと1つ足りぬピースとは?白亜の工場が本邦経済の墓標となる恐れも

「我が国の半導体産業の栄光と凋落、その過程で味わった屈辱を思うと、私にはTSMC熊本工場が日本経済の墓標に見えてならない」と述懐するのは、メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』著者で米国在住作家の冷泉彰彦さん。冷泉さんは「TSMCの新工場が、我が国半導体産業の反転攻勢の契機となる可能性はゼロではない」としながらも、日本が本当の復活を遂げるには失われた30年の敗因分析が欠かせないと指摘。岸田総理が第1工場の開所式に寄せたコメントには「漆黒の絶望しか感じない」とした上で、今後の課題を俯瞰的に解説しています。

TSMC熊本工場は、日本経済の希望か墓標か

半導体の受託製造(OEM)メーカー台湾のTSMC(台湾積体電路製造)が2月24日、熊本県菊陽町に建設していた工場の開所式を行いました。TSMCは、この第1工場に続いて、第2工場の建設も決定。熊本は、その経済効果に湧いていると言われています。

ですが、私はこの白亜の工場が、日本経済の墓標に見えてなりません。

日本の半導体産業のかつての栄光とその凋落、凋落の過程で見せた様々な悪戦苦闘と判断ミスの数々、そして悲惨とも言える現状。そうした負の歴史と現状を思うとき、どう考えてもこのピカピカの新築の巨大工場は墓標です。

もちろん、日本の半導体産業の将来はゼロだとは言えません。また今回の新工場がその反転攻勢の契機となる可能性もゼロではありません。

ですが、仮に今後の日本の半導体産業が、そして日本経済が攻勢に転ずるのだとしたら、やはりこの30年の日本経済の迷走と、敗北に次ぐ敗北の歴史を正視して、そこから修正を行うしかないのです。

その意味で、今回の開所式にあたっての政治家の発言には漆黒の絶望しか感じません。

岸田総理は「TSMC社の世界戦略の中に日本が重要な拠点として、しっかりと位置づけられることを歓迎します。2号棟についても支援を決定しました」と開所式に寄せたビデオメッセージで述べたそうです。その支援についてですが、日本政府はTSMCに対して補助金として1兆2千億円を投入するそうです。

「日本の屈辱」の象徴としてのTSMC熊本第1工場

では、なぜこのTSMCの白亜の工場が日本経済の屈辱の歴史の象徴なのか、2つの工場に分けて考えてみましょう。

まず今回、開所式が行われた「第1工場」ですが、これは最先端の半導体を製造する工場ではありません。チップの中にどれだけ多くのトランジスタなどを詰め込むかという「集積度」は大きくなく、つまりは半導体として旧世代に属します。

また、その多くは汎用品、つまり発注主が細かく設計仕様を指定してくるのではなく、あらかじめ多くのニーズに応じることができるように設計されたものです。

こうした旧世代の汎用品は、その多くが自動車に搭載されるマイコン用です。この分野では、数年前までは日本は世界をリードしてきました。リードするというと、格好良すぎるのですが、とにかく世界ではトップのシェアを維持していたのです。

そんな中で、東日本大震災による工場被災などで、日本での汎用半導体の生産に色々な問題が出るようになっていました。世界的な半導体不足とか、そのために起きた新車の供給不足といった問題はこのためでした。

実は、日本の汎用品メーカー(ルネサスなど)はシェアは獲得していたものの、決して経営状態は良くありませんでした。

これは、力関係として買い手、つまり発注をする自動車メーカーのほうが強く、半導体メーカーとしては価格交渉などで屈辱的な状態に置かれていたからでした。

シェアがトップで、ほぼ独占状態にありながら、どうして価格で強気に出ることができないのかというと、それは半導体メーカーの株を自動車メーカーや、自動車の部品メーカーが握っていたからでした。

それだけではなく、自動車産業は半導体メーカーに役員を送り込んでおり、経営陣の多くは自動車産業の出身だったのです。

株を握られ役員まで送り込まれていては、強気の価格交渉などできるわけがありません。テクノロジーは旧世代の汎用品ということもあり、自動車産業はこうした半導体メーカーを下請け、コストダウンの対象としか見ていませんでした。

そもそも頑張っても付加価値にならないのですから、これではイノベーションが進むはずはありません。

問題は勿論分かっており、現在では経産省も後押しする形で、こうした日の丸半導体メーカーは、もっと高度な仕事にシフトするように動いています。

岸田総理は化学物質PFASをご存じない? TSMC熊本工場に地下水汚染と健康被害リスク…数年後「想定外」マジ勘弁な

台湾の半導体製造大手TSMCが熊本県菊陽町に建設した第1工場の開所式にビデオメッセージを寄せた岸田総理。「半導体はデジタル化や脱炭素化の実現に不可欠なキーテクノロジー」であるとして、今後建設される第2工場とあわせて1.2兆円の補助金を投入すると説明しました。これに関して、Windows95を設計した日本人として知られる中島聡さんは、「工場誘致に税金を使うこと自体は悪くない」としながらも「ちゃんとした条件交渉をできているかどうか心配」と指摘。その不安の一例として、工場周辺で危惧される化学物質「PFAS」による地下水汚染や健康被害のリスクを挙げています。(メルマガ『週刊 Life is beautiful』より)
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題「PFAS汚染問題」

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

岸田総理も大はしゃぎのTSMC熊本工場に「2つの懸念」

日本政府が5000億円近い補助金を提供することにより誘致に成功した、TSMCの熊本工場ですが、それに味をしめたTSMCが第二工場の建設を計画しているそうです。経済産業省は、9000億円規模の補助金による支援を検討しているそうです。

半導体工場の誘致に税金を使うことそのものは悪くないと思いますが、ちゃんとした条件交渉を国ができているかどうかがとても心配になります。日本の政治家は、しばしば「結論ありき」で物事を進めるため、「誘致すること」が前提で官僚が交渉をしたところで、良い条件が引き出せるわけがありません。

そんな中で、最近になって浮上してきたのが、地下水の問題です。

熊本は、日本の中でも珍しく綺麗な地下水が豊富な地域で、地域の住居・農場・工場に提供されている上水道の水源は、その地下水です。

半導体工場は、大量の水を使うことが知られていますが、今頃になって、これが地下水に与える影響を心配する声が聞かれるようになりました。

懸念事項は二つあります。

一つ目は、半導体工場が大量の水を使うことにより、地下水が枯れてしまうのではないか、という心配です。私のような素人から見ても、「そんなことは工場を誘致する前にちゃんと調べておけよ!」と言いたくなります。

半導体工場がどのくらい水を使うかは前もって分かっているのですから、いわゆる「環境アセスメント」の段階で、地下水が十分にあるかどうかは調べておくべきであり、今頃になって「地下水が枯れてしまうかも」と心配するのは馬鹿げた話です。

二つ目は、PFAS(パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)と呼ばれるフッ素化合物による地下水の汚染です。

PFASは、1940年ごろから普及していった化学物質で、水や油をはじき、熱に強い性質を持つため、消化剤、揮発剤、表面処理剤として、幅広く使われるようおになりました。フライパンに焦げ目がつかないようにするテフロン加工、布地が水を弾くようにするゴアテックス、などが代表的なものです。

PFASは、その性質上、自然界や体内で分解されにくく、一度環境が汚染されてしまうとなかなか消えなかったり、生物の体の中に蓄積されてしまう特徴があり、”Forever Chemicals”と呼ばれています。

その後、PFASの中でも、特にPFOSとPFOAと呼ばれる物質に、血清総コレステロールの増加、抗体反応の低下、がん、出生時体重の減少などのリスクがあることが判明し、製造元による自主規制や、規制当局による製造・使用、輸出入の禁止などが進んでいます。

日本にも及ぶ悪影響。プーチンの停戦案に乗った世界が払わされる代償

国際社会のさまざまな努力も虚しく、開戦から2年を超えてしまったウクライナ戦争。これまでに3万1,000人のウクライナ兵が命を落とし、最新の戦況はロシア有利とも伝えられています。そんな中にあってウクライナに現状での停戦を求める声も各所から上がっていますが、これに異を唱えるのは元国連紛争調停官の島田久仁彦さん。島田さんはメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』で今回、現段階での停戦に反対する理由を解説するとともに、自身が考えるウクライナ戦争解決のシナリオを記しています。

ロシアを国際社会から締め出す。欧米陣営が乗ってはいけない安易な停戦案

予想外に長引く戦争への支援疲れからか、このところ欧米諸国とその仲間たちからウクライナに対して停戦を促す圧力が強まってきています。

しかし、“停戦”は有効な出口と呼べるのでしょうか?

先週号でも触れましたが、ロシアにとっての停戦は、ただ単に武器を置けば戦争はすぐにでも終わりますが、ウクライナにとっての停戦は、これまでのロシアの傾向から見ると、武器を置くことがすなわちウクライナという国家の終焉を意味することになるため、到底受け入れることが出来ない選択肢であることが見えてきます。

【関連】プーチン露が総攻撃へ、敗北確定ウクライナ。西側メディアの「大本営発表」に騙され続けた世界

ゆえに、ウクライナにとっては戦い続けるほか、選択肢はないように思われますが、その継続のためには欧米諸国とその仲間たちからの切れ目ない支援と、ロシアの軍事力を凌駕するほどの対応能力の提供が不可欠になります。

アメリカからの支援が望めない中、EUは500億ドルの追加支援に合意し、それに加えてドイツ(11億ユーロ)とフランス(30億ユーロ)が独自にウクライナへの長期的支援の確約を与えましたが、問題はその実施と提供までに時間が掛かり、もっともはやく提供できると言われているドイツからの砲弾でさえ、早くても今年末頃のデリバリーになるようですので、ウクライナがそこまで持ちこたえることが出来るかです。

これまでのようにNATO支援頼みの戦略では恐らく無理だと思われるため、今、ウクライナも独自に攻撃ドローン兵器の量産と投入に乗り出していますが、反転攻勢当初の大活躍の状況とは異なり、ロシア軍がNATO・ウクライナ軍の予想を超えていち早くGPS誘導弾とドローン兵器への対応が出来るようになり(ジャミング技術の投入など)、ドローンでのロシアへの攻撃が以前に比べて難しくなったと言われています。

この状況を覆すには、ウクライナ軍が制空権を掌握する必要が出てくるのですが、F16の供与・投入が遅れており、兵器と戦略をアップグレードし、精密誘導弾や弾道ミサイルを投入してウクライナ各地のインフラ設備や兵器生産拠点をピンポイントで破壊するロシアの攻撃に晒される結果になっています。

ゆえにゼレンスキー大統領も認めるように、今はまず攻撃よりもウクライナの防衛戦を固めることが必要であり、「これ以上、ロシア軍にウクライナ領を奪われないようにすることが大事」と言えます。

それはまた士気にも大きく関わります。

いつ終わるかわからない戦争と毎日ならない日はない空襲警報による心理ストレスは、国内に厭戦機運を拡げ、前線の士気も下がり続けるばかりであると聞きます。

「踏ん張って戦っても、ロシア軍が待ち伏せしていてやられてしまう。兵力では100倍、弾薬数では10倍以上の差があるロシア軍がじわりじわりとウクライナに浸透してきている。もうウクライナにはそれに対抗できる砲弾も弾薬もない」という嘆きは前線の兵士の間に広がっています。

この記事の著者・島田久仁彦さんのメルマガ

気遣いを示す人。辛口評論家が明かす大脚本家・山田太一の素顔

『岸辺のアルバム』や『ふぞろいの林檎たち』といった数々の名作テレビドラマの脚本で知られ、23年11月29日に老衰のため89歳で鬼籍に入った山田太一氏。辛口評論家として知られる佐高信さんは、そんなシナリオ界の巨匠と長いつきあいがあったと言います。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では佐高さんが、山田氏とのエピソードを紹介。彼が語った、作品中に「細々とした日常」を描くようになったきっかけや、好きだった俳句を作らなかった理由等を明かしています。

しわのない人生はつまらない。脚本家・山田太一が意表を突かれた一言

ふと手に取った本に2015年秋に山田太一が信州岩波講座で講演した時の一節が引かれていた。演題は「80年を生きて」である。

ある時、山田は画家の木下晋のおばあさんの絵に圧倒された。鉛筆で細密に描かれた目や額や頬のしわがすごい。その後、偶然、木下に会って、「どうしておばあさんばかり描いているんですか」と尋ねた。答えは「しわのない肌なんてつまらない」それに山田は意表を突かれたという。

ものを書く時の支えが、私にとっては、城山三郎と共に山田だった。編集者時代からの長いつきあいだったことにもよる。城山や山田に恥ずかしくないものを書きたいと思ってきた。

本になっただけでも山田との対談は3回分あるが、改めてそれを読み返してみた。最初は何とJR東海のPR詩『ひととき』の1991年夏号掲載である。

そこで山田は、日本の神父がフランスの修道院に行ったらノミがたくさんいたので「こんなにノミがいたら死んじゃう」と言って、「死んじゃ困るのか」と反問された話を紹介している。

そして「そのぐらいの革命的な反問をわれわれはしょっちゅうしていないと駄目だというところがあるんじゃないか」と山田は結んでいる。

『俳句界』の2008年5月号の対談では、山田がズボンに夏と冬の別があることを知らなかったことから入った。母親がいない男世帯で育ったからだという。

「作品で日常の細々としたことを描くようになったのはそのショックからだと思います」

客が来た時に座布団をパッと裏返して出すということも知らなかった。その時、山田は「私は今年74歳になるんですが、周りが実に病人だらけなんです」と言って、次の久保田万太郎の句を引いた。

どこ見ても病人ばかり藤咲ける

何となく俳句の雑誌だからと、そこに話を持っていく気遣いを示す人だった。

今は亡き人と二人や冬籠

この万太郎の句も山田は好きだという。

風花やいつおぼえたる顔みしり

私も万太郎ではこの句が好きだと応じた。

山田のドラマに、次の安住敦の句が出てくる話がある。故郷に帰る話である。

鳥帰るいづこの空もさびしからむに

安住も万太郎の系統の俳人だが、やはり、その系統の能村登四郎の次の句を賀状に引いたことがある。

幾人か敵あるもよし鳥かぶと

「うわあ、すごい句ですね」と感嘆した山田に、俳句はつくらないかと尋ねた。

「深入りすると、定型のために心情も感覚も変えていってしまいそうな感じがして」

句作はしないと山田は言ったが、学生時代の親友、寺山修司の才能に圧倒されたからでもあるらしい。「私は資質としては韻文ではないですね」と山田は言っていた。(文中敬称略)

この記事の著者・佐高信さんのメルマガ

image by: Shutterstock.com

有田芳生氏が断言。岸田「6月電撃訪朝」を実現させる機運など北朝鮮にはない

昨年夏にも囁かれた岸田首相の電撃訪朝。結局実現することはありませんでしたが、ここに来て『週刊現代』が「6月訪朝」をスクープとして報じました。低下の一途を辿る支持率を向上させる秘策とも伝えられますが、はたして岸田首相は、北朝鮮の地に降り立つことになるのでしょうか。今回のメルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』ではジャーナリストの有田芳生さんが、『週刊現代』の記事の誤認箇所を指摘。さらに岸田首相の6月訪朝の可能性について考察しています。

岸田総理の「6月訪朝」はあるのか?

「岸田総理 6月訪朝」「極秘計画すっぱ抜く」「スクープ!」と『週刊現代』が巻頭記事で書いている。いまや週刊誌が売れない時代だ。この「スクープ」がどれほど読まれるかは疑問だ。しかし新聞に大きな広告が出るから、印象だけは広がっていく。もっともいまや紙の新聞も読まれなくなっている。「スクープ」記事を一読して「極秘計画」が「すっぱ抜かれた」内容でないことがわかる。まず致命的な誤認がある。「日朝平壌宣言」(02年)に

『国交正常化の暁には、日本から1兆円規模の経済協力を行うという約束』

があったと書いているが、そんな事実はない。さらに

岸田政権が待望する訪朝を実現させる機運が、北の中枢でも高まっている

とある。そう思い込む理由はある。それは昨年このメルマガで書き、政府が情報漏れを疑って「犯人探し」をした一連の動きである。客観的な事実を経過的に振り返っておく。

岸田文雄政権は北朝鮮拉致問題を安倍晋三政権が「内閣の最重要課題」と位置付けたことを踏襲している。「総理直轄のハイレベル協議」で日朝首脳会談を実現すると公言したのは、2023年5月27日に「家族会」「救う会」などが開催した「国民大集会」だった。その2日後の29日に北朝鮮のパク・サンギル外務次官が談話を発表した。その一節にこうある。

もし、日本が過去に縛られず、変化した国際的流れと時代にふさわしく相手をありのまま認める大局的姿勢で新しい決断を下し、関係改善の活路を模索しようとするなら、朝日両国が互いに会えない理由がないというのが、共和国政府の立場である。

日本のメディアは「朝日両国が互いに会えない理由がない」という部分を強調した。岸田発言の2日後にコメントを出した異例の早さは、事前の準備があったからだ。それは日本政府と北朝鮮が2023年3月と5月にタイのバンコクで接触をしていた。そこで「総理直轄のハイレベル協議」が提案されていたようだ。それを北朝鮮労働党の組織指導部で検討し、金正恩委員長にも報告され、異例の早さの談話が出された。

2024年元旦に能登半島を大震災が襲った。1月5日、金正恩委員長は岸田総理にお見舞いの電報を送った。

日本で不幸にも年初から地震によって、多くの人命被害と物的な損失を受けた知らせに接し、遺族と被害者に深い同情とお見舞いの意を表す

被災地の人々が1日も早く地震の被害から復旧し、安定した生活を取り戻すことを願っている

これまた異例の対応だった。日本政府へのメッセージだ。

この記事の著者・有田芳生さんのメルマガ