レイプ被害者にすら示談を説得。とことん「働きたくない」日本の警察

青森県で発生したタクシー暴行事件における女性警察官の不適切な言動が、ワイドショーなどで報じられ大きな話題となっています。そんな案件を取り上げているのは、現役医師で作家の和田秀樹さん。和田さんは自身のメルマガ『和田秀樹の「テレビでもラジオでも言えないわたしの本音」』で今回、交通取締りや楽な事件にしか動こうとせず、働くべきところで仕事をしない日本の警察を強く非難するとともに、彼らを批判することがないテレビメディアに対して厳しい目を向けています。

楽な事件ではよく働く日本の警察

仕事をしない点では私の予想通りのニュースが情報番組で流された。

青森県警の女性巡査部長が、タクシー運転手が暴行を受けたとの通報を受けたのちに、被害届を受け付けず、微罪処分でいいかと半ば脅すような口調で説得している一部始終がドラレコに残っていて、それが報じられたのだ。

前からここでも問題にしているように、警察はなるべく仕事はしたくない、マスコミが騒いでいる事件だけを捜査すると私は考えている。

そんなはずはないという人が多いが、この巡査部長の対応が、まったく当たり前のような感じでやっていることがそれを物語っている。私には例外に見えなかったが、それを指摘するコメンテーターはいない。それどころか、仕事が忙しいのがわかると警察に同情的なコメントを出す人までいた。やはり警察組織全体への批判はできないのがテレビ局なのだろう。

しかしながら、私の何人かの患者さん(というより、私の知っている臨床心理士のクライアントさん)は、ストーカー被害を訴えても、人手不足を理由に被害届が受理されないという話をしてくれる。

人手不足のはずだが、主要な交差点では一時停止違反の車を捕まえるのに24時間(16時間くらいかもしれない)警察が張り付いている。

一時停止違反で重大な事故が起こるというのか?警察は交通違反を取り締まるただの金儲け組織に成り下がっているとしか思えない。

実際、ルフィと言われる人たちが命じて、数千件の特殊詐欺と強盗が起こっているが、始まったのが2、3年くらい前らしいのに、これまでほとんど騒ぎになっていなかった。おそらく「微罪」あつかいにして、まじめに捜査もしてこなかったし、仕事が増えるから、こんな事件があちこちで起こっていますよという情報開示もしてこなかった。

たまたま、狛江で間違えて人を殺したから、やっと世間が騒ぎ出し、警察が動いたということだろう。殺人がなければ、今でも世間が知らないままに強盗事件が続いていたというのが私の読みだ。

この記事の著者・和田秀樹さんのメルマガ

激安スーパー「ロピア」も「業務スーパー」も。焼肉店への参入で見せる戦略と本気

激安スーパーとして知られる「業務スーパー」と「ロピア」。今絶好調の業績を誇るこの2社が外食業界に本格参入し、本業さながらの人気を呼びつつあります。そんな両社が展開する注目の飲食店を取り上げているのは、フードサービスジャーナリストの千葉哲幸さん。千葉さんは今回、彼らのこれまでの歩みを紹介するとともに、それぞれの戦略を詳細に解説しています。

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プロフィール千葉哲幸ちばてつゆき
フードサービスジャーナリスト。『月刊食堂』(柴田書店)、『飲食店経営』(商業界、当時)両方の編集長を務めた後、2014年7月に独立。フードサービス業界記者歴三十数年。フードサービス業界の歴史に詳しい。「フードフォーラム」の屋号を掲げて、取材・執筆・書籍プロデュース、セミナー活動を行う。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社発行、2017年)。

急成長の激安スーパー企業「ロピア」「神戸物産」が外食事業に進出。差別化はかる焼き肉食べ放題、料理の鉄人ブランド展開…

スーパーマーケットの世界で急速に業績を伸ばしている企業に神戸物産(本社/兵庫県加古川市、代表/沼田博和)の「業務スーパー」と、ロピア(本社/神奈川県川崎市、代表/高木勇輔)の「ロピア」が挙げられる。「業務スーパー」は1981年創業で2000年にFC体制をスタートさせて全国に展開、2022年10月期には1,007店舗となった。ロピアは1971年創業、2022年2月期に2,469億円となった。店舗数は2022年12月末で73店舗となっている。

この2社に共通していることは商品が低価格であること。そして社長が2代目。沼田社長(42)は2012年社長に就任。高木社長(40)は2013年社長に就任と経歴は似ている。特に高木社長の場合は社長就任時の年商が501億円だったが約10年間で5倍に伸ばしている。「2013年2兆円」を標榜し事業の多角化を推進している。

さらに共通しているのは事業拡大のために外食事業を推進し、その主力業態として焼き肉を位置づけていることだ。日本の人口が先細りしていくなかで、外食分野で成長していくためにそれぞれどのような戦略で臨んでいるのだろうか。

日本のアニメ・SF界に与えた大きな影響。漫画家・松本零士さん死に思うこと

『宇宙戦艦ヤマト』、『銀河鉄道999』、『宇宙海賊キャプテンハーロック』といった作品で誰もが知る漫画家の松本零士さんが2月13日、急性心不全のためになくなりました。85歳でした。松本さんに憧れ、何とかお会いできないかとさまざまな企画を立てたことがあると明かすのは、ジャーナリストで作家の宇田川敬介さん。今回のメルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』では、松本さんの宇宙描写の素晴らしさやアニメやSFの世界に与えた影響の大きさについて、思い入れたっぷりに語っています。

松本零士さんの逝去について

松本零士さんとは、会ったことがない。私は会いたいと切望し何度も企画を作ったのです。例えば国会新聞社時代に、宇宙戦艦大和が好きという石破茂氏に、松本零士さんとの対談をするという企画を作ったのですが、ちょうどタイミングが合わなくてうまくゆかなかったということがありました。

宇宙戦艦ヤマトに関して、結局石破茂氏と話をするのですが、かなり詳しい話をお互いにしていたことを覚えております。

それ以外にも、日本の地酒を各都道府県から選び、その酒に松本零士さんがキャラクターをつけるというような企画もあったかと思います。この話に関しても、かなり前向きに進めたのですが、その途中でイタリアで松本零士さんが倒れられてうまく合わなかったということになります。

ある意味で、宇宙戦艦ヤマトが出てくるまで、宇宙に行くものというのは、円盤かロケットということになっていました。また、その宇宙人に関しても完全に人間と同じ形の宇宙人が出てくるというのは、なかなか少なかったのではないかという気がします。

もともと、宇宙ということに関しては、「地球を侵略する者」という感覚がありキリスト教的なかちかんから足がたくさんあるものが悪魔の使いであるというような、考え方から「火星人」などは、すべてタコ型の宇宙人(生命体?)になっているという話を聞いたことがありますが、まさにそのような観点から言えば、宇宙戦艦ヤマトや銀河鉄道999は、かなり画期的な内容であったと考えます。

そもそも「船が空を飛ぶ」「鉄道が宇宙を走る」という感覚は、世界で松本零士さんが初めてであり、その思想がしっかりと存在することが、日本のアニメーションでは高く評価されているだけでなく、その後のSFの世界では、かなり大きな飛躍を持ったのではないでしょうか。そしてそのことから出てくるのが、そののちの日本のアニメではないかという気がします。

ある意味で、そのような自由な発想は、先に「キリスト教的価値観では、悪魔の使いは足がたくさんある」などの話があり、そのような価値観があるのですが、日本では「宗教的価値観」や「政治的価値観」に縛られることはないということがあり、そのことから、自由に様々な発想があるということではないかと思います。

天才とは「何か他の価値観からの束縛がないこと」であり「様々な要素を自由につなぎ合わせて考えることができる事」ではないかと思います。その意味では松本零士さんはすごい人ではなかったかという気がするのです。

その後の日本のアニメーションでも様々な凄い人がいると思います。しかし、そのような人々の原点ではなかったかと思います。改めて、ご冥福をお祈り申し上げます。

この記事の著者・宇田川敬介さんのメルマガ

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「片頭痛」の予防に電気刺激が効果。医学の最新研究を現役医師が解説

日々進歩を遂げている医療。その最先端の研究や論文を日刊で紹介してくれる「もりさわメンタルクリニック」さんの無料メルマガ『精神医学論文マガジン』では今回、1月27日に公開された「偏頭痛」の予防に関する研究を取り上げています。248人の偏頭痛に悩まされている人たちへの試験によって、上腕に電気刺激を与えることで有意な予防効果がみられたと、偏頭痛持ちにとって今後の予防に期待が持てる研究結果を伝えています。

電気刺激による片頭痛の予防効果

片頭痛が強い日には、集中が困難になったり、起き上がれない状態になる等、生活への大きな影響が認められます。

今回は、上腕からの電気刺激 remote electrical neuromodulation (REN)によって、片頭痛に改善効果を認めるかを調べた研究をご紹介します。

Remote electrical neuromodulation for migraine prevention: A double‐blind, randomized, placebo‐controlled clinical trial – The Journal of Head and Face Pain

遠隔的電気刺激による片頭痛予防

片頭痛のある248人が対象となり、遠隔的電気刺激(REN)を行うグループと偽刺激を行うグループに分けて、4週間の経過を観察しました。結果として、以下の内容が示されました。

  • RENを用いたグループでは、片頭痛の強い日が減るなどの明らかな効果を認めました(例:発作の強い日の減少について、平均で示すとREN 4.5日 vs 偽刺激 1.8日)
  • 発作の強い日が50%以上減ったのは、REN 51.6% vs 偽刺激 35.7%でした。

要約:『遠隔的電気刺激(REN)は片頭痛に対して、予防的効果を認める可能性が高い』

1日おきの刺激で、明らかな副作用もなく、負担の少ない予防のための選択肢として検討可能な方法であると思われました。

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信長や龍馬が私たちの心に染みつく理由を仕事に活かすことはできるのか?

あなたは「ツァイガルニック効果」というものを知っていますか? 完成していないものが、完成したものよりも記憶に残るということなのですが、今回のメルマガ『菊原智明の【稼げる人、売れる人に変わる知恵】』では、この効果を仕事に活かす方法を紹介しています。

ツァイガルニック効果、パラドックス、ドーパミンでやる気を出す

心理術の本で“ツァイガルニック効果”というものを紹介している。

ツァイガルニック効果とは、「完成していないものの方が、完成したものよりも記憶に残る」というもの。

本でも紹介したが

  • 戦国大名は織田信長が一番人気
  • 幕末の志士では坂本龍馬が印象的

といったこと。

どちらも“志半ばで討たれてしまった”という人物。

その人の完成形を見ない方が「もし生きていたらこうなっていのだろう」と想像を掻き立てられる。だからこそ魅力的に感じるのだろう。

これは普段の行動でも言えること。何か仕事をして完了さたら「あぁ、スッキリした」といった爽快な気分になる。

人は物事が完了する達成感を覚える。これはいいこと。

しかし、注意が必要。ここで満足してしまい「これをやったし、あとは明日やればいいか」となってしまうことが多い。

1つの仕事が完了した安心感によって“仕事へのモチベーションが下がる”といったこともある。

その反面、完成せずやり残している仕事はどうだろう?頭の片隅に「あの仕事の一部が出来ていないな」とモヤモヤ感が残る。

こうなると、居ても立っても居られない。「どうしてもあの仕事をやりたい」といった衝動に駆られる。

人には「未完成なものを完成させたい」という強い欲求がある。

人によっては「あえて少しだけ仕事を残しておく」というやり方をする。これを翌日の仕事のモチベーションにしているのだ。

学生時代の友人Kくんのこと。Kくんはとても優秀だった。頭が良くスポーツも万能。クラスの人気者でもあった。

Kくんが「問題集の最後の1、2問を残しておく」といった話をしていた。それを翌日にもっていくと言うのだ。

その時は「あと少しだからやって最後までやっておけばいいのに」と思ったものだ。

Kくんの頭ならすぐにその問題も出来たはず。にもかかわらずあえて残す。

すべてやってしまうと「ここまでやったからもういいや」といった気持ちになる。

少し問題を残しておけば翌日も問題を解く。その流れで「もっとほかの問題も解いておこう」となると考えたのだろう。

当時のKくんがツァイガルニック効果を知っていたとは思わないが“完了させないことでモチベーションが持続する”ということを知っていたのだろう。常に結果を出していた。

この記事の著者・菊原智明さんのメルマガ

試用期間を延長した挙げ句に「解雇」された社員が会社を訴えた結果

試用期間を延長された挙げ句に、会社から解雇された…これは法的には問題ないのでしょうか? 今回の無料メルマガ『「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理』では、著者で特定社会保険労務士の小林一石さんが過去の判例をもとに試用期間延長の際のポイントについて語っています。

試用期間の延長、規定が無くても同意があれば認められるのか

その「同意」は本当の「同意」なのか。

例えば、ネットでいろいろなサービスを利用しているとよく出てくるのが「〇〇に同意します」にチェックをする画面です。

この画面がでたら本当に同意しているかはほとんど関係がありません。

仮にチェックをしなければそれ以上はそのサービスを使うことができないわけで、使うのを止めるか、なかば強制的に「同意」をさせられるわけです。

これははたして本当の同意と言えるのか?

この「同意」は労務管理においても、たびたびトラブルになります。

それについて裁判があります。

ある会社で、試用期間を延長されたあげくその延長期間中に解雇されたとして、社員が会社を訴えました。

延長自体が違法なわけではありませんが、実はその会社の就業規則にはそもそも試用期間延長の規定がありませんでした。

そこで会社は延長通知書を発行し、その社員から同意をとって(署名、押印ももらって)試用期間を延長していたのです。

では、その裁判はどうなったか?

試用期間の延長については、裁判所は、「規定が無くても、同意があればできる」と、判断しました。

ただし、結論としては、会社が負けました。

その理由は以下の通りです。

・試用期間を延長することは、社員を不安定な地位に置くことになるから(就業規則等の)根拠が必要となるが、同意も根拠に当たると言えるため、社員の同意を得た上で試用期間を延長することは許される

・(試用期間の延長は)社員の利益のために、職務能力や適格性を見極める必要がある場合等のやむを得ない事情があるときのみ、社員の同意をとって認められる

・やむを得ない事情等が認められない場合は、社員の同意をとっていても延長は無効になると解すべきである

・会社は、面談を実施するなどして職務能力や適格性を見極める取組みをしたと認めるに足りる証拠は無い。よってこの試用期間の延長は無効である。

・よってこれは普通解雇となり、解雇にあたる事由も無いため、解雇権を濫用したものとして無効である

いかがでしょうか?

天下の名勝地で「観光客が射殺」の不可解。北朝鮮の名峰・金剛山で何があったのか?

北朝鮮にある名勝地「金剛山」で、かつて観光客が射殺された事件があったことをご存知でしょうか。今回のメルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』では、日本で最も朝鮮のことを知っている一人である宮塚コリア研究所の宮塚先生が、2008年に金剛山で一体何が起きたのか紹介しています。

※本記事は有料メルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』2023年3月5日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

北朝鮮「金剛山」観光で観光客が射殺された

金剛山は天下の名勝地である。朝鮮では古くから「金剛山を見ずして朝鮮の山を語ることなかれ」といわれ、「クムガンサンド シックギョン(金剛山も食事の後で)」(日本語の「花より団子」)とも言われてきた。

金剛山は「ダイヤモンド(金剛石)のように輝く山」としてその名がついた名峰でもある。北宋時代の最高の詩人と言われた蘇東坡が「願生高麗国一見金剛山」(一生に高麗の金剛山を見るのが私の願いだ)とうたったというが、内金剛や外金剛では花崗岩からなる奇石怪石が連なる山々や美しい渓谷を堪能することができた。

山登りが好きな私は金剛山の主峰である昆蘆峰(ピロボン)の登山を計画していたが、日程上無理であった。昆蘆峰(高さ1639メートル)は雄大かつ荘厳である上に、金剛山尾「一万二千峰」の全景と北朝鮮の日本海側の蒼海まで一望できる最高の展望台でもある。

観光案内書には

「昆蘆峰の頂上に辿り着くと朝日をあびると銀色に、夕日に移ると黄金色に輝くはしごがあり、観光名所となっています」

とあった。

旅の最終観光コースは「三日浦」(サミルポ)である。三日浦は温井里から東方12キロ・メートルほどのところにある湖である。三日浦は周囲が6.5キロ・メートル、深さは9~13メートルで北方に36の低い連峰があり、北西には三日浦金剛門と呼ばれる石門が、南東には金剛山の海金剛が望まれる。

湖の中ほどに青松の茂る臥牛島が浮かび、その付近に四仙亭址、舞仙台などの遺跡があり、周辺の峰々が鏡のような水面に映える湖の眺めは見事なもので、天気に恵まれたこともあって多くの観光客が我先にと言わんばかりにシャッ
ターをきっていた。

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三日浦の名前の由来は、昔ある王が日帰りの予定で遊びに来たが、その絶景に魅せられて3日間も留まったという。私もしばしこの絶景に見とれていたが、売店でアルコールを売っているのを思い出し、売店に行ってマッコリとスルメ
だったかつまみを買って見晴らしのいいところで一杯やろうとしたら、次の観光コースに移動するというので、歩きながらマッコリを飲んだ。この時は3本も買ったが、2本は日本に持ち帰り今も資料室にある。

三日浦に行く途中にはさびれた農村もあり、バスの中から写真を撮ろうとしたが、私の行動は監視されているようでカメラを隠しながらむずむずとしていた。

金剛山観光では案内のパンフレットに

「北朝鮮兵が監視しているので不可能であるが、観光地区や道路を外部と隔てている金網を越えてはならない。これは北朝鮮一般住民も同じである。せっかく金剛山に行きながら現地の住民との触れ合いがまったく得られないという、観光として非常に大きな問題を抱えている。また、観光中に決められたコースを外れることも禁止されているが、この点は金剛山の自然保護の観点から、また軍事境界線に近いという事情で場所によっては地雷が埋設されているため、理解不能の規制ではない」

あったが、正直に言って日が暮れてからホテルの外を出歩くということは考えもしなかった。

しかし、安全なはずの観光で事件は起きた。

2008年7月11日に韓国人の女性観光客(当時53歳)が早朝、1人で散歩に出かけて知らずに軍事保護区域に入り、兵士が停止するよう呼び掛けたものの逃走したため、警告射撃をした後に発砲したという。

この事件については不可解な点が多い。

北朝鮮側は被殺者が軍事地域を侵犯したと主張したが、韓国政府の真相究明を拒否したため、被害者が実際に軍事地域を侵犯したのかは明らかにされていない。

マスコミと家族の証言によれば、被害者が歩いていた当該箇所は、軍事地域と近接した地点であったにもかかわらず、比較的型崩れ鉄条網以外は何も設置されておらず、軍事地域なのか、民間人地域なのかを区分しがたい状況にあった
とのこと。北朝鮮兵が射撃直前被害者に警告したという北朝鮮側の主張も確認されてはいない。

遺体を解剖した医師は、北朝鮮兵が無防備の状態の民間人たる被害者を背後から狙い撃ちした可能性が高いと発表した。

この事件をきっかけに南北関係が一気に冷却していった。

この記事の著者・宮塚利雄さんのメルマガ

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プーチンにも習近平にも怯まず。ウクライナ戦争後のカギ握る大国の名前

中国の「仲介参戦」により複雑化の様相を呈してきた、ウクライナ戦争後の国際秩序構築を巡る主導権争い。各国がその座に就くためにさまざまな動きを見せていますが、米中に引けを取らない「ある大国」の存在感が高まっているようです。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では元国連紛争調停官の島田久仁彦さんが、今年のG20の議長国を務めるインドがポスト・ウクライナの「台風の目」になるとして、その理由を詳しく解説。さらに極めて重要な場であるG20に外相を送らなかった日本政府に対しては、「失態」という言葉を用いつつ自身の偽らざる気持ちを綴っています。

新世界秩序のカギを握るアノ国。本格化してきたウクライナ戦争後の主導権争い

ロシアによるウクライナ侵攻から1年が経ちましたが、戦況は長期化・泥沼化の様相を呈しています。

なかなか出口が見つかりづらい状況下であるにもかかわらず、すでに大国間のポスト・ウクライナの世界における主導権争いが勃発しています。

アメリカは、バイデン大統領がキーウを訪れてさらなる軍事支援を宣言し、「ロシアと戦うウクライナに寄り添い続ける」と約束し、その後、イエレン財務長官もキーウを訪れて80億ドルの追加支援を表明しました。NATO加盟国間、そして欧州と米国の間でウクライナ支援の規模のギャップが指摘される中、さらにそのギャップを拡げることにどのような意図があるのか注目です。

そして、先週号でも触れましたが、ついに中国政府が重い腰を上げ、賛否両論があるなか、ロシアとウクライナに対して停戦・和平に向けた仲介を行う用意があると、王毅国務委員を通じて両国に伝えました。ロシアとベラルーシは賛意と謝意を示し、ウクライナも“中国がロシアに武器供与を行わないことを望む”と条件をつけつつも、真剣に話し合う用意があると述べました。

ただ、中国がロシアに対して無人ドローンを提供しているという情報がアメリカ政府から流され、アメリカはもちろん、NATO事務局長まで「中国は信用されていない」と述べるなど、なかなか中国による仲介も一筋縄ではいかぬように思います。

【関連】プーチンより恐ろしい。ウクライナ利権の独占を目論む中国「習近平の訪露」という切り札

ただこれまでロシアに寄り添いつつも、紛争の長期化は望まないといったトーンで臨み、どちらかというと控えめなイメージだった中国政府が、ついにウクライナ戦争というホットな舞台に上がってきたのは注目に値します。どのような意図があるのでしょうか?

この記事の著者・島田久仁彦さんのメルマガ

タスク管理の捉え方で判る「自己啓発セミナー」に引っかかりやすい人の特徴

さまざまなタスクに取り囲まれるような状況の中に生きている現代人。我々はそれらのタスクを、どのような考えを持って整理すべきなのでしょうか。今回のメルマガ『Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~』では著者で文筆家の倉下忠憲さんが、そんな問題を深掘り。そこから見えてきたのは、「決めること」が持つ大きな意味でした。

きわめて簡単できわめて難しい。二種類の「やること整理」について考える

前回は、「心の整理」について考えました。タスクという情報を整理することで、自分の心を整理していくこと、ある種の決定を行うこと。それがタスク管理における心の整理です。

その話を踏まえて、今回は「やることの整理」について考えていきましょう。

■「やること整理」にある二種類の“高さ”とは

前回までの話をまとめると、「やることの整理」と呼びうる行為には二種類の“高さ”があることがわかります。

まず、たくさん存在している「やること」の中から今(ないし今日)やることを選ぶ、という整理です。デイリータスクリストを作ったり、その順番を整えて実行したいものから上に配置していく、といった作業がこのレベルの「やることの整理」です。

言い換えれば、そこで行われる「やること」の整理は、もうすでに「やること」だと決まっていることを配列するものです。もちろん、そうした整理ですら三体問題くらいの難しさが発生することもありますが、それはレアケースでしょう。たいていは、サブウェイでメニューを選ぶ程度の難しさに留まります(これが難しい人もいるのは承知しています)。

■なぜ個人の「やること」は際限なく増えるのか

上記のレベルだけでタスク管理を理解していると、どこかの時点で躓いてしまうでしょう。なぜなら、現代社会は個人の「やること」が際限なく増えるベクトルを持っているからです。

ここでなぜそうなっているのかを探求するのはやめておきましょう。端的にキーセンテンスだけを並べると、集団ではなく個人に責任が置かれるようになったから、消費・広告が強力に人を動員するようになったから、個人がエンハンスされすぎているから……、あたりが挙げられるかと思います。

なんであれ、ごく普通にメディアと世間に接しているだけで、いろいろなことが「やること」として降りかかってくる、というのが現代社会生活であるように思います。

そうした状態において、すでに存在する「やること」をどう整理(というか配置)するのかを考えるだけはまったく足りません。もっと上流の(あるいは低級の)「やること」整理が必要です。

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