これではプーチンの思う壺。巷の「ロシアは悪くない論」を信じてはいけない根拠

国連が把握しているだけでも、開戦から1年で8,000人以上の民間人が犠牲となったウクライナ戦争。しかしこの侵攻の責任が、ウクライナ側にあるとする主張もまま見受けられます。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、読者からの質問に答える形でこの主張が正しいのか否かを検証。国際法に照らし合わせ「ウクライナ責任論」バッサリと切り捨てています。

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「ロシアは悪くない説」についてどう思いますか?

今日は、読者のHさんからのご質問にお答えします。

北野様

 

ロシア時から貴方のメルマガを拝見しています。情報ありがとうございます。質問があります。

 

ウクライナ政府がロシア語の使用を禁止したり、オデッサの悲劇を含め親米のゼレンスキー政権を批判するロシア住民税を虐殺、彼らを攻撃した1万4,000人もの市民が殺されたというのも嘘でしょうか?

 

オリバストーン監督も嘘をついているのでしょうか?西側がミンスク合意を最初から遵守するつもりはなかった。米国のネオコンがロシアを弱体化させようとしてること、だからというのはないのでしょうか?

 

コロンビア大学教授のレスリーサックス教授やシカゴ大学のミアシャイマー教授の話も上記を裏付けているように思うのですがどうなのでしょうか?

 

ノルドストリームパイプラインを爆破したのも米国のようですが、攻撃を始めたのはロシアでなく米国と傀儡のゼレンスキー政権ではないですか?上記のついての見解をお願いします。

お答えします。

Hさんが挙げたたくさんの事象について、いちいち深堀りはしません。とても長く複雑になってしまうからです。

「ロシア側の事情」について深く知りたい方は、拙著、『プーチン最後の聖戦』『クレムリンメソッド~世界を動かし11の原理』『黒化する世界~民主主義は生き残れるのか?』をご一読ください。

はっきりいえるのは、アメリカとロシアの戦いは、03年にはじまったということです。どういう戦いかというと、

  • ユコス事件(03年) = 反プーチンのユダヤ系新興財閥ホドルコフスキーが、アメリカ(エクソン・モービル)にユコスを売却しようとして逮捕された事件
  • ジョージア・バラ革命(03年)
  • ウクライナ・オレンジ革命(04年)
  • キルギス・チューリップ革命(05年)
  • ロシア・ジョージア戦争(08年)
  • クリミア併合(14年)
  • ウクライナ内戦(14~15年)

と全部つながっています。

ちなみに2014年出版の『クレムリンメソッド』には、バイデン(当時副大統領)の次男ハンター・バイデンが、ウクライナのエネルギー企業ブリスマの取締役になった事実が記されています。

Hさんの質問は、

攻撃を始めたのはロシアでなく米国と傀儡のゼレンスキー政権ではないですか?

です。この答えはプーチン自身が、昨年5月9日の演説で明言しています。

アメリカとその取り巻きの息がかかったネオナチ、バンデラ主義者との衝突は避けられないと、あらゆることが示唆していた。

 

繰り返すが、軍事インフラが配備され、何百人もの外国人顧問が動き始め、NATO加盟国から最新鋭の兵器が定期的に届けられる様子を、われわれは目の当たりにしていた。

 

危険は日増しに高まっていた。

 

ロシアが行ったのは、侵略に備えた先制的な対応だ。

つまりプーチンは、「ウクライナがロシア侵略の準備を進めていたので、ロシアが先制攻撃したのだ」と断言している。だから、「攻撃を始めたのはロシア」というのが答えです。

そして、ウクライナがロシアを侵略するなどありえないと昨日も書きました。

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ウクライナは、ロシアが侵攻してきて1年経つのに、ロシア領をほとんど攻撃していません(軍事施設へのドローン攻撃はあるようですが)。

実際、プーチンがこの話を出してきたのは、昨年5月9日がはじめてでした。もしそれが事実なら、2月24日の侵攻開始時に「ウクライナがロシア侵略を企てているので、先制的な対応をとらざるを得ない!」と宣言したはずです。5月になってはじめてこの話が出てきたのは、ウクライナがロシア侵略をする計画など存在しなかったからです。

日本人には迎合せず。それでも“ガチ中華”の代表格「味坊集団」が人気のワケ

従来の中華料理屋とは一線を画す、いわゆる「ガチ中華」がトレンドとなっていることをご存知でしょうか。今回、そんなガチ中華の代表格である「味坊集団」を紹介しているのは、フードサービスジャーナリストの千葉哲幸さん。千葉さんは味坊集団がなぜここまでの人気を得るに至ったかを、さまざまな角度から詳細に分析するとともに、食通だけではなく、ごく一般的な若者からも愛される理由を考察しています。

プロフィール千葉哲幸ちばてつゆき
フードサービスジャーナリスト。『月刊食堂』(柴田書店)、『飲食店経営』(商業界、当時)両方の編集長を務めた後、2014年7月に独立。フードサービス業界記者歴三十数年。フードサービス業界の歴史に詳しい。「フードフォーラム」の屋号を掲げて、取材・執筆・書籍プロデュース、セミナー活動を行う。著書に『外食入門』(日本食糧新聞社発行、2017年)。

流行語にもなった“ガチ中華”の代表格「味坊集団」の羊肉が人気に拍車。何が人々を惹きつけるのか?

コロナ禍にあって人気が出てきた食のトレンドに「ガチ中華」が挙げられる。これは従来の中国料理とは異なる、日本人の嗜好に迎合しない“中国本土”そのままの中国料理のこと。これを日本で食べることによって、中国を旅行して現地のグルメを楽しんでいる気分に浸ることができる。

このトレンドで大繁盛しているのが「味坊集団」だ。これはオーナーの梁宝璋氏が展開する飲食事業の総称で、現在10店舗を展開している。

梁氏は1963年5月生まれ、中華人民共和国、黒竜江省チチハルの出身。中国残留邦人で料理上手の母の料理を食べて育つ。青年期は画家として活躍。両親が日本に移住したことをきっかけに梁氏は1995年家族と共に日本に移住。1997年から東京・竹ノ塚に10席ほどのラーメン店を営む。より繁盛を志して2000年1月神田駅近くのJR高架下に「神田味坊」を出店。その後「味坊」ブランドで中国東北料理の飲食店を展開する。

これらの店舗はオープンキッチンで、全員中国人の料理人が大きな声で中国語を交わしながら調理をしていて、さながら中国の現地にいるような気分に浸る。

味坊集団は10店舗のうち3店舗をコロナ禍真っ盛りの2022年に出店している。まさにガチ中華人気を象徴する店舗展開と言える。そして味坊集団人気はもう一つの食のトレンドが存在する。それがどんなものかをまとめておきたい。

「ガチ中華」のコンセプトが多様化

2022年にオープンした「味坊集団」の3店舗の概要は以下の通り。

まず、4月東京・学芸大学に「好香味坊」(ハオシャンアジボウ)。同店のコンセプトは「ちょっとした食事」を意味する「小吃」(シャオチー)で、麺、肉まんや蒸し物、揚げ物、ご飯物などをさっと食べられる感じ。中国では路地裏にある小さなお店でそれをローカライズした。店舗は13席でテークアウト需要にも対応している。

次に、6月秋葉原に「香福味坊」(コウフクアジボウ)。同店は朝7時から翌朝5時まで22時間営業。朝は「早点」(ヅアォデイエン)と呼ぶ中国式朝食、ランチはリーズナブルな中華定食、午後は点心や飲茶のティータイム、夜は味坊各店の個性的な料理を楽しむことができる。また、羊の丸焼き「烤全羊」(カオチュエンヤン)も看板メニューにしている。106席と味坊集団の中で最も広く、ファンの間で「ガチ中華のテーマパーク」と称されている。

そして、8月代々木上原に「蒸籠味坊」(ジョウリュウアジボウ)。同店は蒸し料理に特化。蒸し料理は「温度が100度を超えないので素材の味を生かした料理が出来る」「タンパク質、ビタミンなどの栄養の損失が少ない」などといった利点が多く、これまで脂っこいと思われていた中国料理に対して新しい魅力を発信している。

このようにガチ中華と言っても、コンセプトがそれぞれ明確だ。

12年前の震災で考えたことに優しく入り込む、芥川賞『荒地の家族』を読んで

仙台市の書店員でもある作家、佐藤厚志氏による短編『荒地の家族』が第168回芥川賞を受賞しました。東日本大震災にまっすぐに向き合った作品と称されるこの作品を早速手に取ったのは、メルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』著者で、生きづらさを抱えた人たちの支援に取り組む引地達也さん。宮城県出身で、震災直後から被災地に入り支援に関わってきた経験から、この小説を「私の物語」であり、多くの人の震災への「思い」を表現した“ノンフィクション”と受け止めたと語り、12年を経て示された「新しい生きる」を感じ取っています。

3.11東日本大震災から12年-芥川賞受賞『荒地の家族』に見る現実

東日本大震災を題材にした小説『荒地の家族』(新潮社)が第168回芥川賞を受賞した。作家の佐藤厚志さんは仙台市出身で仙台駅前の丸善仙台アエル店で勤務する書店員であることが話題になった。

私も故郷に戻った先日、せっかく買うのならば、とこの書店で同書を購入した。その行動は、おそらく私の中で震災に関することは一歩踏み込んできた中で、この購入もその心の動きにつながったのだろう。

そして、本書の内容も丁寧で精緻な表現で描かれたフィクションを、心象風景という誰の中にもあるその震災への「思い」を表現したノンフィクションと受け止めた。

そう言い切ってしまうのは、私自身がその意識の中でこの本を捉えたからだ。震災を語ることで風化を防止するという考えは大切だが、語れないもの、語りえないものがある。それが何か、この小説は静かに、そして力強く表現している。

まだ読まない人もいるので、ストーリーには触れない。出版元の新潮社の紹介文はこうある。

「元の生活に戻りたいと人が言う時の「元」とはいつの時点か──。40歳の植木職人・坂井祐治は、あの災厄の二年後に妻を病気で喪い、仕事道具もさらわれ苦しい日々を過ごす。地元の友人も、くすぶった境遇には変わりない。誰もが何かを失い、元の生活には決して戻らない。仙台在住の書店員作家が描く、止むことのない渇きと痛み」

この要約は正しいが、人それぞれのイメージは広がるだろうか。私にとって、「渇きと痛み」の正体が分からないから、人は生きていくのかと問いかけられているような気がしている。

前回にも触れたが、2023年3月11日で東日本大震災から12年。この間、私なりにこの震災に向き合いながら生きてきた結果、大きく人生は変わったから、それは私の物語でもある。だから敏感に反応してしまうのである。

小説で描かれる宮城県の沿岸。仙台市から南側は砂浜の海岸線が伸びていて、舞台の亘理町もその中にある。震災から数日後に仙台市内に入り、市街地から自転車で向かったその沿岸部には津波に飲まれ、置き去りにされた家や車、あらゆるものが散乱していた。沿岸と田圃を分ける防風林はなぎ倒され、生活はすべて破壊されていた。

泥の中から遺体を掘り出し毛布にくるみ合掌をして運び出していく活動に加わりながら、命やモノについて考えた。そして、今も考え続けている。この小説はその思考に優しく入り込み共感してくれるようで温かい感触もある。

この記事の著者・引地達也さんのメルマガ

海外移住して気づいた。必要なのは語学力よりも「まいっか」と諦める力

話題となっている海外移住。NHKなどでも多く特集されていますが、今回のメルマガ『東南アジアここだけのお話【まぐまぐ版】』では、マレーシアに11年以上滞在する文筆家で編集者の、のもときょうこさんが、自身が海外移住をして気がついた海外で身につけるべきスキルについて語っています。

NHKや朝日でまたまた「海外移住」特集。海外で身につけるべきは語学力より「まいっか力」

最近、クローズアップ現代や朝日新聞で、またまた海外移住が取り上げられています。

円安などの社会状況もそうですが、パンデミックが落ち着いて海外に取材に行けるようになったのも大きいのでは(パンデミック中にはほぼゼロでしたので!)。

さて、海外移住というと、どうしても、「語学」「スキル」に注目されがちです。でも私、海外移住で身につくのは、実はソフトスキルだと考えます。

それは、「対人交渉能力」「グローバルビジネス力」「批判的思考能力」みたいもので、ほとんどのインターやローカルの学校でも教えています。

学校では意外に教えてくれないのは、「まいっか力」です。この「まいっか力」は、柔軟性と言い換えてもいいかもしれない。

「まいっか力」がなぜ重要なのか

マレーシアに移住してくる人の不満はよく、

  • トイレが水浸し
  • 食堂に蝿がいる
  • コンビニの店員さんに愛想がない
  • インド料理屋が食べてる時に会計に来た!

この辺りから始まります。トイレが水浸しなのはイスラム式で水を使うからです(私もびしょびしょにしてます)。

しばらく住むと、

  • 業者が時間通りに来ない
  • 食堂で、タライでお皿洗ってた
  • 学校の先生が予定忘れた
  • イミグレの人が書類無くした
  • 断水した!

みたいなことが次々と起きます。でも、そこで怒っては負けというか、「感情コントロールできないタイプの人」と思われて、次回から電話に出てもらえなくなったりします。なので、みんな静かにじーっと待ってます。

誰かが言ったことが正解かどうかわかりません。何しろ正解は人によって違います。マニュアルに頼らず、自分で考えて、動くようになります。だんだん慣れてくると、怒らずに、相手を動かせるようになります。

これが、ビジネスでも重要なのです。期待値が大きすぎると、たいてい、トラブルになります。

そして、「世界のどこでも生きていける」というのは、英語力よりむしろ、さまざまな状況に対応できるということです。

  • 仕事が山積みなのに、ビザの更新が否認されるとか
  • 高速道路で車がエンストするとか
  • 車ぶつけられて、「警察めんどいから交渉しよう」と言われるとか
  • 警察行ったら賄賂請求されるとか

さてどうする?に対応できる。したくないけど、できるようになってしまう。

私が海外で身につくと思っているのは、正解にこだわらない、こういう柔軟性だったりします。

この記事の著者・のもときょうこさんのメルマガ

あのスティーブ・ジョブズを30年間コーチした人物が教える「1on1」の進め方

あなたの会社では、「1on1」ミーティングをどのように行っていますか? 実はコロナ禍のいま個別面談形式のミーティングが大きな注目を集めています。今回の無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』では、経営コンサルタントの梅本泰則さんがその方法を紹介。そしてスティーブ・ジョブズをコーチしていたという「シリコンバレーのレジェンド」が行っていた「1on1ミーティング」の進め方について解説しています。

元グーグル会長が紹介「シリコンバレーのレジェンドによる1on1ミーティングの進め方」

1.1on1ミーティングについて

1on1(ワンオンワン)ミーティングをご存知でしょうか。日本語にすると、「個別面談」です。上司と部下が、1対1で面談をする形式のミーティングを指します。人事考課の時に行う面談に近いですが、それよりも軽い内容で、回数も多いです。

とはいえ、この1on1ミーティングが苦手な上司もいます。どんな話をして、どんな進め方をしたらいいか、よく分からないからです。新人のマネージャーなどは、特にそう感じるかもしれませんね。ですから、1on1ミーティングのやり方について書かれた記事もあります。

実は、私が2社目に勤めた会社では、1on1ミーティングが盛んに行われました。数日ごとに、上司に呼ばれて短いミーティングをします。ミーティングがいつ行われるか、決まってはいません。上司が気になったことがあると、そのたびに部下をミーティングルームに連れ出します。現状の売上状況であったり、代金回収の進み具合であったり、お客様との商談内容の確認であったり、内容は様々です。

この1on1ミーティングは、仕事を進めるうえで、大変役に立ちます。上司にしてみれば、常に部下の業務内容が把握できますから、安心です。部下にしてみれば、上司の理解が得やすいので、これも安心感があります。たまには、仕事上の悩みを相談することもあるでしょう。ですから、1on1ミーティングは、円滑なコミュニケーションにもつながりますし、効果的な組織運営にもつながります。

この1on1ミーティング、人事考課のときだけでなく、普段から頻繁に行うと良いでしょう。

 

探偵がコッソリ耳打ち。浮気がバレる「5つのきっかけ」って何?

探偵事務所への相談の大半が「浮気調査」なんだそうですが、今回のメルマガ『探偵の視点』では、著者で現役探偵の後藤啓佑さんが、クライアントの方々が口にした「浮気を疑ったきっかけ」を紹介しています。なるほど……と思わず頷いてしまいそうなことばかりですよ。

クライアントの方がよく口にする【浮気を疑った瞬間】

私の探偵事務所にいらっしゃるクライアントの方々は、相談の大半が浮気の内容です。

浮気調査の場合、最初に「浮気がわかったのはいつか、疑ったきっかけはなにか」をお聞きしています。

今回は、毎日のようにヒアリングしている「浮気を疑った瞬間」の中でも、よくクライアントの方が口にするモノをご紹介します!

ケース1 「家でもスマートフォンを肌身離さず持つようになった」

圧倒的に多いのが、スマートフォン絡みです。

いつも机の上に置きっぱなしなのに、急にお風呂場へ持っていく回数が増えた…。少し台所へ行くだけなのに、わざわざ持っていく…。

こういった何気ない行動から、浮気を疑うことが多いようですね。

お風呂の中で浮気相手とLINEをしているのでは?自分には見られたくない通知があるのでは??と勘繰りたくなってしまう方が多いようです。

たしかに、行動の変化には原因があります。問い詰めるのは良くありませんが、こういった行動の変化がパートナーにあるのなら、何気なく聞いてみるのもいいかもしれませんね。

ケース2 「やたらと実家に行くようになった」

相手の親に特に変わったところはないはずのに、やたらと「実家に行ってくる」と言って出ていくようになった。なにかおかしいと思って義母にそれとなく聞いてみたら「最近来ていない」という返答。嘘をついて出ていっているということは…。

このパターンは非常に多いです。「友達のところへ行く」と言うと「誰?」と聞かれて困るので、「実家」という安心する相手を提示することによって、突っ込まれる要素を減らしているのでしょう。

こういった嘘は、疑うきっかけには充分です!

この記事の著者・後藤啓佑さんのメルマガ

共同通信記者の酷い捨て台詞。H3ロケット打ち上げは本当に「失敗」なのか?

2月17日、発射直前に打ち上げを「中止」したH3ロケット。その後に行われた記者会見での、プロジェクトマネジャーの口から「失敗」という言葉を引き出したかったと思われる共同通信記者の捨て台詞に大きな批判が起こっていますが、果たしてこの打ち上げは「失敗」だったのでしょうか。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、「ある意味実験としては成功だった」としてそう判断する理由を解説。さらに「はやぶさ2」やスペースX社の例を上げ、予定通りに進まなかった宇宙開発を「失敗」と決めつける行為を疑問視しています。

共同通信記者が「失敗」にしたかったH3ロケット打ち上げ中止は本当に失敗か

JAXA(宇宙航空研究開発機構)は17日、種子島宇宙センターから新型主力機H3ロケット初号機の発射を予定していましたが、すでにカウントダウンに入っていた状況で、直前に中止されました。JAXAによると、主エンジン「LE-9」は発射予定時刻の6.3秒前に正常に着火しましたが、その後、主エンジンを含む機体の1段目の制御システムが何らかの異常を検知したため、補助の固体ロケットブースター「SRB-3」に着火する信号が出ず、発射の0.4秒前に中止したそうです。

国産ロケットの現在の主力機は、1994年から運用されて来たH2ロケットをベースに改良が施され、2001年から運用されて来たH2Aロケットです。しかし、すでに20年以上が経過しているため、H2Aロケットの後継機として開発されたのが、今回のH3ロケットでした。全長53メートル、直径4メートル、総質量445トンだったH2Aロケットと比べると、H3ロケットは、全長63メートル、直径5.2メートル、総質量574トンと、大きさも重さもひとまわり大きくなりました。

しかし、H3ロケットの開発目的の最重要課題は「打ち上げコスト削減」だったため、ロケット本体は大きく、重くなりましたが、1回の打ち上げ費用は、これまでのH2Aロケットが85~120億円だったのに対して、何と50億円にまでコストカットすることに成功したのです。しかし、本当の意味で「成功」と言えるのは、無事に打ち上がり、搭載していた地球観測衛星「だいち3号」が予定通りの軌道に乗った時点で言えることです。

プロジェクトマネジャーの傷口に塩を塗り込んだ共同通信記者

今回は、JAXAの岡田匡史(おかだ まさし)H3プロジェクトマネジャーが記者会見で、「中止自体は非常に大きなことと受け止めている」と述べた一方で、発射直前に制御システムが何らかの異常を検知して安全に停止したことを理由に「失敗とは考えていない」との見解を示しました。この見解は「一理あり」で、制御システムが正常に稼働せず、異常を見過ごして発射し、空中で大爆発…ということにでもなっていたら、それこそ「大失敗」だったからです。

しかし、今回の記者会見では、岡田マネージャーと共同通信社の記者のやりとりが切り取りで報じられ、こちらのニュースのほうがひとり歩きしてしまいました。「中止」という表現を繰り返す岡田マネージャーに対して、共同通信社の記者は「それは一般的にいう失敗なんじゃないですか?」と何度も執拗に質問を繰り返し、それでも岡田マネージャーが「制御システムが正常に稼働したことによる中止」と説明すると、記者は「分かりました。それは一般に失敗といいます。ありがとうございます」などと突き放すように言って質問を切り上げたのです。

記事にする上で、どうしても岡田マネージャーの口から「失敗」という言質(げんち)を取りたかったのかもしれません。しかし、これまでコツコツと開発努力を続けて来て、ようやく迎えた打ち上げが「中止」に追い込まれたことで、涙ぐんで悔しがっていた岡田マネージャーにとっては、傷口に塩を塗り込まれるような気持ちだったと思います。負けて帰って来た日本代表チームの監督に、責任を追及するような物言い、とても残念でした。

この記事の著者・きっこさんのメルマガ

小林よしのり氏が名指しで批判。「マスク脳社会」を作った戦犯の実名

5月8日の新型コロナ5類引き下げを前に、3月13日よりマスクの着用を「個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねる(厚労省HP)」とする日本政府。しかし多くの国民が、「マスク外し」に後ろ向きであるのが現状です。そんな状況への違和感を綴るのは、『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』等の人気作品でお馴染みの漫画家・小林よしのりさん。小林さんはメルマガ『小林よしのりライジング』で今回、マスクにこだわり続ける日本人に対する呆れにも似た気持ちを記すとともに、大衆の心理をここまで追い込んだ「戦犯」の実名を挙げ厳しく批判しています。

【関連】「ワクチン接種で致死率上昇」衝撃データを厚労省が隠蔽。京大名誉教授が開示を求める不都合な事実と悪魔の契約書とは?

正義感に燃えていた「マスク警察」が圧力かけられると戦々恐々。3月13日から何が変わるのか?

2月10日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症対策本部決定」として新たな「マスクの着用の考え方」を発表し、「令和5年3月13日以降、個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断に委ねる」とした。

いや、ちょっと待て。今だってマスク着用には法的拘束力も何もなく、「任意」じゃないのか?3月13日から、いったい何が変わるというのだ?

そもそも厚労省が発表している「マスク着用の考え方」は、その名の通り厚労省の「考え方」にすぎず、法に基づくものではない。

そして厚労省は新たな「考え方」において、3月13日以降のマスク着用は「個人の判断に委ねる」とした上で、「医療機関を受診する時」や「混雑した電車やバスに乗車する時」には着用を「推奨」するとしている。

それならば3月12日までのマスクの着用は、個人の判断に委ねられていなかったのだろうか?

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厚生労働省 マスクの着用について

上の画像では、あたかも3月12日までのマスク着用は個人の判断が許されていなかったかのような書き方だが、これはほとんどデマに等しい。

マスク着用に関して個人の判断を制限する法的根拠など何もないし、法に基づかずに個人の判断を制限していたのなら、完全な憲法違反だ。

厚生省のデマを真に受けてしまった「マスク警察」たち

実際の厚労省の3月12日までの「考え方」では、「屋外ではマスクは原則不要」「屋内では距離が確保でき、会話をほとんど行わない場合をのぞき、マスクの着用をお願いします」となっている。

既に屋外ではマスクは不要となっており、屋内でも、あくまでも強制力のない「お願い」でしかないのだ。

3月13日からはこの「お願い」がなくなって「推奨」になるわけだが、お願いだろうが推奨だろうが、それを聞くかどうかは「個人の判断」であることに、全く変わりはない。

つまり、厚労省は「これまでマスクの着用に関しては個人の判断に委ねてきましたが、令和5年3月13日以降は、個人の判断に委ねることになりました」と発表しているのだ。

だが、それではあまりにもおかしいので、3月12日までは個人の判断に委ねられていないかのようなデマまで飛ばしたのである。

いわゆる「マスク警察」の連中には、このような厚労省のデマを真に受けて、本気でマスク着用は個人の判断が許されていないものと信じ込み、マスクをしない者は社会秩序を乱す不埒な輩であると「正義感」に燃えて、取り締まりに精を出していた者も相当数いたのではないか?

だがそもそもマスクをつけるか外すかくらい、個人の判断であることなど言うまでもなく、そんなことで大の大人に誰かが号令をかけるというのは、あまりにも常識に反している。

それでも、お上が決めてくれなんてことを言う幼児みたいな大人があまりに多かったものだから、厚労省もこんなヘンな発表をせざるを得なくなったのかもしれない。

この記事の著者・小林よしのりさんのメルマガ

特別視せず、切り捨てず、書き留める。日常的な「アイデアの育て方」とは?

何かを生み出すためには、そこに至るまでに多くの試行錯誤があるもの。そして多くの試行をし失敗を重ねるためには、その前段階としてたくさんのアイデアが必要です。今回のメルマガ『Weekly R-style Magazine ~読む・書く・考えるの探求~』では、Evernote活用術等の著書を多く持つ文筆家の倉下忠憲さんが、「日常的なアイデアの育て方」をレクチャー。どんな思いつきも「選別しないこと」がいかに大切かを伝えています。

日常的なアイデアの育て方

さて、アイデアを広げることだけでなく、狭めることの重要性も確認してきました。開かれた姿勢と閉じようとする姿勢。その両方が大切なわけです。

ただしそれは「閉じ or 開き」のような単純な二項対立にはなっていません。以前にも出てきた「レンズの絞り方」のような段階的なパラメータが存在しています。

たとえば、何の制約も持たず思いついたことをさまざまにメモしていく、というスタイルであっても、結局それは「自分の目に留まったもの」という制約を持っています。「自分」という枠組みに閉じているのです。書籍などのアイデアをまとめるときは、その閉じ方がより一層強まるだけに過ぎません。すべては程度の問題です。

そのことを確認した上で、日常的なアイデアの育て方、つまり特定のプロジェクトを完成に導くのではない状況でのやり方を考えていきましょう。

■特権性の剥奪

まず重要なのは着想に特権性を認めないことです。言い換えれば、すべての思いつきをフラットに扱うことです。

これはあらゆるメモ術において言及されている一種の「原理」ではあるでしょう。「これは役に立つのだろうか」、「これってつまらないよな」、といった判断を入れずにすべてを書き留めておくこと。これは一番広いレンズの使い方として説明できます。

何かしらのアイデアが良くないと切り捨てるためには、「これが良いアイデア(重要なアイデア)である」という規範が必要です。それはレンズを狭めた状態と言えるでしょう。そうした狭め方は後からでも十分なので、まず最初の(入り口の)段階では選別を行わずに書き留めるのです。

このようにメモの第一原理とでも呼べる「選別せず、すべてを書き留める」ではありますが、ここでは「捨てないこと」だけでなく、「何かを特別視しない」ことも重要です。この点は以前にも書きました。何か面白そうな企画案やタイトルを思いついたとして、それを即座に「企画案」というプロジェクトにしないことが大切なのです。そのように即座にプロジェクト化してしまうと、十分な探索が行われず、頭でっかちな企画案になりがちです。

中国人女性「沖縄の無人島購入」SNS投稿は“氷山の一角”。日本中の土地を買い漁る中国に警戒すべき理由

中国の交流サイトに投稿された、中国・山東省出身の中国人女性による「沖縄の無人島を買った」と語る動画が、日本中を震撼させています。沖縄の無人島を外国人がいとも簡単に購入できてしまうことに加え、沖縄の島が中国資本になってしまうことに懸念点はないのでしょうか。今回の騒動を「氷山の一角」だとして、北海道など日本中の土地を買い漁る中国人の動きについて解説するのは、外務省や国連機関とも繋がりを持ち、国際政治を熟知するアッズーリ氏。アッズーリ氏は今回、こうした土地購入が習近平政権の進める「軍民融合」政策に利用されると指摘し、日本の安全保障が脅かされる前に法整備を急ぐべきだと提言しています。

外国人の土地購入を規制する法律には該当せず?

2月、30代の中国人女性が沖縄本島から20キロほど離れた無人島・屋那覇島(やなはじま)を買ったとSNSに投稿し、日本の世論で大きな問題となっている。女性は山東省青島(チンタオ)出身で、金融業や不動産業を営んでいるという。

しかし、この女性自身が島の所有者になったわけではなく、女性の親族が経営する東京都内に拠点を置く中国系企業が2年前に購入し、現在では島の51%あまりを所有しているそうだ(他は国有地や村、個人が所有)。

この件について、日本政府は今日までに「屋那覇島は領海基線を有する国境離島、有人国境離島、地域離島に該当するものでなく、昨年施行された「重要土地等調査法」の対象とはならない」としている。

外国人の土地購入規制に関する「重要土地等調査法」は2021年6月に施行されたが、この法律は安全保障上重要な施設の周辺1キロを「注視区域」に、自衛隊司令部や国境離島など特に重要とされる区域を「特別注視区域」に指定し、国は必要に応じて不動産所有者の名前や住所、国籍や使用状況などを調査できるものだ。

そして、所有者や賃貸者に対して使用停止などを要請でき、従わない場合には2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金を課すことが可能となる。また、特別注視区域では、所有権を変更する際、当事者たちに名前や使用目的などを明記した届け出が義務付けられている。

実は「土地を買い漁り放題」だったニッポン

ちなみに、日本では1925年に「外国人土地法」という法律が施行され、同法では政令で外国資本や外国人の土地購入を制限できると明記されているが、その政令は太平洋戦争直後に廃止され、「重要土地等調査法」の施行以前までは実効性を失ってきた。要は、法律はあるものの事実上規制されておらず、外国人が自由に不動産を購入できる状況だったのだ。

「重要土地等調査法」は安全保障上の懸念を受け、長年の議論を重ねる中でようやく施行された法律である。しかし、今回の屋那覇島の件を受け、国民からは「重要土地等調査法」では日本の領土は守れない、もっと言えば、同法では「習政権が進める軍民融合を止められない」との懸念が強まっている。

沖縄だけじゃない。中国に侵食されている北海道

このようなケースは今回が初めてではない。近年、日本各地で同様のケースがみられる。北海道では、中国系企業がスキー場やゴルフ場、広大な畑や水源などを購入し、新たに娯楽施設やホテルを含むリゾート開発を進めている。たとえば、過去には、上海を拠点とする投資会社「復星集団(フォースングループ)」が「星野リゾートトマム」や「クラブメッド」を買収したり、夕張にある「ホテルマウントレースイ」などのリゾート施設が中国系企業「元大リアルエステート」の子会社に2億4000万円で売却されたこともある。

また、スキー場で有名なニセコでは、中国系の不動産開発会社やホテル会社がリゾート開発を強化し、地元の不動産会社を訪れて、建物や土地の購入を検討する中国人も増えているとされる。さらに、新千歳空港近くの土地を中国人が購入するケース、稚内市の野寒布岬(のしゃっぷみさき)には海上自衛隊の基地から1キロしか離れていない広大な土地を中国人が購入するケースなども報告されている。

こういった事実に、地元民の間では「いつか地元が中国人によって支配され、チャイナタウンになるのではないか」「活性化のために、地元の不動産会社も中国人に土地を売らざるを得なくなっている」など懸念の声が聞かれる。

また、野寒布岬のケースのように、日本北限にある海上自衛隊の基地は、ロシアや中国の動きを捉える上でも国防的に重要なレーダーサイトがあるが、この周辺に中国人が土地を購入する目的は何かと国防・安全保障の視点からも警戒感が高まっている。このようにみれば、今回の屋那覇島のケースは中国人による日本浸食の1つのケースに過ぎない。