なぜ65歳以上の高齢者が障害年金を請求しても断られるのか?

病気や怪我で働くことが困難になった場合に請求することができる障害年金制度ですが、65歳以上の方々の障害年金新規請求は原則として不可なのだとか。今回の無料メルマガ『年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座』では著者のhirokiさんが、障害年金の詳細な説明と高齢者の新規請求について、そして65歳以降でも請求ができるケースについても説明しています。

65歳以降に新規で障害年金を請求する事は原則として不可になってしまう

年金には病気や怪我で働くのが困難になった場合の保障として、障害年金制度が用意されています。最近は障害年金の周知が広まってきた事もあり、すこーしずつ知ってる人が増えてきたのかなと思います。とはいえほとんどの人が知らないのが現状。しかしその存在は知っていても年金制度自体が複雑すぎるために、理解自体はそんなに進んでいないです。

さて、障害年金は重い病気や怪我になると、初診日初めて病院行った日から1年6ヶ月経てば請求できる(例外はいろいろありますがこの記事では割愛)という話にはなりますが、請求にはリミットがあります。歳を取って体が不自由になったら障害年金を…という事をたまに言われたりしますが、高齢になってからの障害年金の請求というのはごくごく一部の例外を除いて不可。65歳になると障害年金の新規の請求というのはできなくなる。

なので高齢になって例えば要介護状態になったからといって、障害年金は請求できない。それを考えると障害年金は若い世代のために作られてるともいえる。比較的に若い時に重い病気や怪我で働くのが困難になっても、社会保障で社会に復帰させれるようにするため。

なぜ65歳以上になると請求できないかというと、65歳になると老齢の年金(国民年金から老齢基礎年金や厚生年金から老齢厚生年金)が大半の人は受給する事になりますよね。もう65歳になると老齢の年金がその人の生活資金としての年金を支給するから、障害年金を請求するというのは不可になるわけです。

ちなみに昭和61年4月から複数の種類の年金を貰える権利を持っていても、1人1つの年金の種類を受給するという原則ができたために、複数の年金を同時に受給するという事ができなくなった(遺族厚生年金と老齢基礎年金などの一部の年金は可能です。遺族年金は残された遺族の老後保障の役割もあるから)。なぜかというと、老齢年金も遺族年金も障害年金も結局は生活保障を目的としているから。どれか1つが支給されているのに、他の年金も支給したら社会保障の過剰給付になってしまう。

たとえば遺族年金や障害年金で生活保障されてる人に、65歳になったからといって更に生活費がかかるようになるという事は必ずしもそうならないですよね。冒頭で言ったように、もう老齢の年金が支給される年齢になったら、老齢の年金で生活保障するから障害年金を新規で請求する事はできなくなる。

【書評】防災用具に入れよ。警視庁災害対策課のツイートが本に

 ツイッターで80万人を超えるフォロワーがいる警視庁災害対策課のアカウントをご存知でしょうか。そんな、もしものときに役立つ便利な技のツイートが、一冊の本にまとまったようです。今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』では、編集長の柴田忠男さんがその本を徹底レビューしています。

偏屈BOOK案内:『警視庁防災対策課ツイッター 防災ヒント110』

91vJyMYJyuL警視庁防災対策課ツイッター 防災ヒント110
日本経済新聞出版社

オレンジ色の表紙が大目立ち。警視庁警備部災害対策課の人気ツイッターを編集し、人気&有用性が高い(という)110項目にまとめた防災ヒント集。むりやり110編という感じもしないではないが、「もしものとき」にも日常生活にも一応役には立ちそうだ。基本1ページに1ツイートと、写真、解説の構成。

警視庁警備部災害対策課は、警備部に所属する課のひとつで、地震や豪雨などにより災害が発生した際に、警察として必要な対策を行う部署である。救出救助部隊を被災地域に投入して、迅速な救援活動にあたるほか、必要な情報収集や部隊支援活動を行なう。このツイートは2011年の3.11東日本大震災の際に、ネット上のデマ情報の打ち消しと、正しい情報の発信のために始められた。

SNSを使っての情報発信・拡散・交流の中で、特に拡散力のあるツイッターを用い「警視庁警備部災害対策課」のアカウントから「正しい情報」を発信し、フォロワーの力で拡散していくことを目的に、2013年1月にツイートを開始した。リツイートが初めて1万件を超えたのが「ツナ缶で簡易ランプ」だった。7月9日現在、反響1位は「10円玉で袋を簡単に開ける方法」。しょぼい……。

お菓子の袋など、素手で開けられない時、袋上部の閉じた部分を2枚の10円玉で挟み込み、こすりあわせるようにスライドさせると簡単に開く。「水でカップ焼きそばを作ってみた」「水でカップ麺を作ってみた」なんてのも上位。カップ麺は15分、カップ焼きそばは20分、麺の固さと味はバッチリだという。袋麺は開けた袋に水を直接注いで15分。これらは簡単、試してみようと思った。

新聞紙はオールマイティだぞ。生ゴミを包み水分を吸収させ、ポリ袋に入れ密閉。ニオイは激減、見た目に不快感はなくなる。新聞紙で薪を作る方法(写真入り)、水でふやかし、形を整えて乾燥させる。木のような安定した火力を得られる。くしゃくしゃに丸めた新聞紙を70リットルポリ袋に入れる。そこに足を入れれば保温効果でとても温かく、避難所での防寒対策としてとても有効。

実践ロープワークは、災害時だけでなく日常でも使える。基本的な、もやい結び、巻き結び、本結びは、大人も子どももマスターしておかなければなるまい。針金ハンガーの左右先端をつぶしてペットボトルを差し込む。洗濯物をかければ空間ができているから乾きやすい。ホット用ペットボトルに沸騰前の湯を8割程度入れてふたをする。タオルをまいてゴムでとめれば湯たんぽになる。

ラップはスマホの防水に活用できる。食器にラップを巻いて使えば洗い物が出ない。ラップでおにぎりを握れば衛生的で手も汚れない。ラップを丸めてスポンジ代わりにすると少量の水でもきれいになる。ラップは新聞紙、ガムテープと並んでオールマイティだから、必ず防災用品に入れておくこと。和式トイレの使い方も絵入りで解説されている。もう和式を知らない世代も多いのだ。

ツイートは課員のうち30~40名が交代で行っている。いま現在、80万人を超えるフォロワーがいる。メディアでの反響などからも好評らしい。災害による混乱が予想される中、必要な情報をタイムリーに発信することが使命だ。最近では動画も使ってより分かりやすい発信をしていて、本よりわかりやすい。しかしSNSなんかうざったいと思う偏屈老人(わたし)は、絶対に近づかないのだ。

編集長 柴田忠男

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辛酸なめ子の心が震えた、映画『YOGMATA』の壮大すぎる世界観

メルマガ『ヒマラヤ聖者ヨグマタ相川圭子の「本当の自分に出会う旅」』を発行するヒマラヤ大聖者・ヨグマタ相川圭子さん。最近、ヨグマタさんの半生をモチーフにした映画『YOGMATA』がインドのボリウッドで制作され、日本各地でも公開されています。漫画家・コラムニストとして活躍する一方、『次元上昇日記』などの著書もありスピリチュアル系の世界でも暗躍中の辛酸なめ子さんは、その作品をいち早くご覧になったということで、その気になる内容をレビューしてくださいました!

インドで制作されたヨグマタ相川圭子さんの映画

インドでは聖者がスターのような存在です。2019年2月、「世界最大の平和の集会」としてユネスコの無形文化遺産にも登録されている「クンブメーラ(Kumbh mela)」に行ってまいりました。

5000年も前からインドの聖地で開催されている祭で、今年の開催地はアラハバード。マンハッタン程ある広大な土地(ふだんは更地)に祭の期間だけ聖者がキャンプを立てて、弟子や巡礼者、サドゥーたちがお参りします。その規模と人気の度合いは、例えるなら、三社祭と祇園祭、節分と浅草サンバカーニバルとディズニーランドのパレードとフジロックフェスティバルを合体させて10倍くらいにしたもの、と申せばスケールが伝わるでしょうか。

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何万人もの聖者たちがインド中から集まって、チャリアットと呼ばれる御神輿のような乗り物に乗ってパレードします。その御神輿が果てしなく大渋滞していてインドの聖者の多さに驚かされました。この中で誰を信じてついていけば良いのか素人には見当がつきません……。

でもそんな聖者の行進の中でも他の聖者から拝まれたりリスペクトを集めていたのが、日本の誇るヨグマタ・相川圭子さんです。インドでは出家修行者が1億人もいるそうですが、ヨグマタさんとパイロット・ババさんのお二人は、サマディ(悟りの境地)に達したトップオブ聖者のような存在。クンブメーラ会場で連日何万人もの人々が聖者に一目会いたくて行列していました。

インドのボリウッドでそんなヨグマタさんの映画が制作されていると聞き楽しみにしておりました。前置きが長くなりましたが、先日その映画が完成し、めぐろパーシモンホールにて上映会が開催されました。

タイトルは『YOGMATA』。ヨグマタさんがパイロット・ババさんと出会い、運命に導かれてヒマラヤで修行。ついにサマディに達するという壮大なストーリー。ヨグマタさんの若い頃をアジア系の外国人女優さんが熱演されていました。

スクリーンからほとばしる「悟りのバイブレーション」

インドに到着し、パイロット・ババさんと、チェッタンババさんという聖者と会ったヨグマタさん。このチェッタンババさんは見た目が若くて20代くらいなのですが実は結構年がいっていて、「ヨガを極めると年齢を操れます」というセリフに心をつかまれました。何百歳何千歳の聖者がヒマラヤで生きているという説も。ヨグマタさんも年齢不詳の若さを保たれています。

ヨグマタさんは聖者二人に、サマディの修行をしたいと強い意思を伝えます。「ヨガの修行は簡単ではありません。成功するより命を落とす人が多いです」などと最初は止められますが、「真理を知ることができないのならこの人生、何のためにあるのでしょう」と本気度を見せて、ついにヒマラヤ奥地に向かう修行の旅へ……

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ヒマラヤの大自然の映像が美しく、「ヒマラヤ山脈はヨギのように横たわって瞑想し、川や滝はマントラを唱えている」というヨグマタさんのセリフも詩的で、天国のような世界観が伝わります。

一行はヒマラヤの高地を何日もかけて歩いて、ヨグマタさんは雪の渓谷の中、多くの聖者が修行した祠に入ることになります。「この過程で失敗したら気が狂ったり亡くなって魂がさまようことになります」などと聖者から警告されますが「私は無用な心配はしません。この体に対する執着もありません」と言い切って祠に入る姿がかっこよすぎです。

瞑想を始めるとヨグマタさんのお体は赤い光を放出し、魂が離脱。そして宇宙空間へ……。「東西南北がなくなり過去も未来もなく、すべての万物が一体になり、マインドが永遠の今にある」感覚だそうです。スクリーンからも悟りのバイブレーションがほとばしります。かなり順調すぎる展開です。

この映画のホーリーなクライマックスは、高次元のアセンデットマスター、聖者たちの会議のシーン。天上界の神秘的な蓮の池を囲んで、地球の未来や人類の今後について真剣に話し合われます。マハ・アヴァター・ババジの姉、シャンティ・マーが人類の現状に業を煮やし、聖者達に招集をかけたのです。その聖者連盟の中にはヨグマタさんとパイロット・ババさん(現在のお姿の実写)もいらっしゃいます。

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「たくさんの文明が現れては消え、何度も水中に没するのを見てきました」と、嘆くシャンティ・マー。もしかしてノアの大洪水とかでしょうか……。

「今、人類はまた同じことを繰り返そうとしています。科学は醜いものになりました。気候変動も激しくなっています。人々を目覚めさせなければなりません」

えっ? もしかして、このままだと滅亡するんですか? 数々の滅亡予言がよぎり、畏れがわきおこります(その前にシャンティ・マーさんが何歳なのかという話も)。有事の時は聖者様が私達を救ってくださるのでしょうか……。集まった聖者の方々十数名については、かなり上級レベルの聖者マニアの方々なら名前がわかるのでしょうか。お二人以外ではババ・サンダーナースしかわかりませんでした。さらに上空にシヴァ神、クリシュナ神、ヴィシュヌ神らしき方々も三柱登場され、画面越しに高い波動を放っていました。

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観る者の「魂のレベル」が試される作品

波動が高いといえば聖者たちのセリフです。脚本にパイロット・ババさんも入っているようですが、セリフがIQ500くらいありそうな深遠で叡智にあふれた言葉ばかりで、それもスピーディにやりとりされるので、一回観ただけではなかなか頭に入ってきません。脳のレベルが追いついていない感じです。ボリウッドというと歌や踊りのイメージがあり、一瞬歌い出さないか期待したのですが、歌はなくても言葉だけでも詩的で芸術的で、心の琴線が震えます。

しかし、「人間の行動やマナーは汚れてしまいました」「人類は不道徳の道を歩き大惨事の崖っぷちに向かっています」といった戒めの言葉からは、とにかく人類がやばいということが伝わってきました。なんでも二度の世界大戦で地球は傷付いていて、三度目は持ちこたえられないそうです……。聖者会議を経て世界平和のためにヨグマタさんとパイロット・ババさんが地球に派遣され、使命を果たされることに。ありがとうございます。

映画の聖者の心配が現実になってしまうかどうかは私達次第。観た人は、世界平和や環境保護のために何かしなくては、という責任感を覚えるのではないでしょうか。聖者の会議シーンを拝見できたのは貴重な体験で、映画史上初公開かもしれません。波動が高すぎて脳波に作用したのか途中で意識が飛ぶ瞬間もありました。内容の理解度などで魂のレベルもチェックできそうで、繰り返し観たい映画です。(文/辛酸なめ子)

叩かれるベネッセ。元社員が見抜いた入試民間委託を引き受けた訳

以前掲載の「落胆の三木谷氏。ゴリ押し英語民間試験『身の丈』発言への恨み節」でもお伝えしたとおり、導入見送りとなった大学入試への英語民間試験の活用ですが、一部野党は国語の「記述式」の採用についても反対の姿勢を見せています。両科目に「深く関わっている」とされ批判的な報道の的となっているのが、ベネッセコーポレーション。そもそもなぜベネッセは、民間委託事業を引き受けるに至ったのでしょうか。米国在住の作家で同社の前身企業「福武書店」に在籍経験のある冷泉彰彦さんが、メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』で、ベネッセが最終的に請け負った要素を考察しています。

大学入試の民間委託、業者も好きでやっているとは思えない理由

英語の民間試験構想が政治的思惑で潰されたかと思ったら、今度は改革への反発は国語の入試にも向かっているようです。つまり、新テストの国語科目における「記述式の導入にあたって採点を民間委託するという構想に対して、「ついでに叩こう」という動きです。

この件に関して、批判のターゲットになっているのはベネッセ・コーポレーションですが、ここで一つお断りをしておこうと思います。ベネッセというのは、その前身福武書店といって岡山市に本社のある教育出版社でした。私は、1993年3月までこの会社に在籍しており、その意味で全く客観的に論評はできません。批判も応援も過度になるなど、社会一般とは異なる判断が入るかもしれません。

そうではあるのですが、今回の批判が眼に余るということと、現在のベネッセとしては反論ができる立場にないということもあって、あえて参考意見として申し述べたいと思います。

まず、現在はともかく、福武書店の創業者である福武哲彦(1915~1986)という人は、教育出版社という「出入り業者」と学校現場の間の「線引きには非常に厳格でした。業者はあくまで現場を補完する存在であり、現場の問題に意見を挟んだり、現場より優越な態度を取るようなことは厳しく禁じていたのです。

それは自身が教員であった経験から、公教育の権威が揺らぐということは社会の秩序が揺らぐことだという信念というより体感のようなものを持っていたからだと思います。哲彦氏とはかなり密度の濃い形で一緒に仕事をした時期がありましたが、とにかく原理原則に厳しい人であったことを今でも覚えています。

仮の話ですが、哲彦氏であれば、またその後継者として会社を大きくした第二の創業者とも言うべき總一郎氏であれば、「民業」がリアルな大学入試の一部を請け負うというような危険極まるビジネスにはゴーサインは出さなかったでしょう。

福武父子のことを持ち出す以前に、英語の検定試験に関しても、国語の採点業務にしても、ベネッセ・コーポレーションにとってはリスクの大きな仕事です。伝統的な本業であった参考書や模擬試験の事業との間では「利害相反」を起こす危険もありますし、何よりも入試や検定でミスを発生させたら本業への信頼にも傷がつくからです。

そうなのですが、それでも最終的に引き受けたのには、様々な要素があると思います。

まず英語検定に関しては、私は今でも本命はTOEFLだと思っていますが、TOEFLには受験料が高過ぎるという難点があります。一回230ドル、円換算で2万5,000円というのは問題です。また、TOEFLには「先進国で教育水準の高い日本で途上国並みの平均点しか出ない」という問題があります。つまり、日本人の音声認識や記憶法などとは相性が悪いのです。

かといって、日本や韓国の受験生に配慮して別コンセプトで作ったTOEIC(結局は民間試験参加を辞退しましたが)では易しすぎるし、ということで改めて日本市場向けに白紙からの開発をしたのがベネッセのGTECなのだと思います(私はその内容を精査はしていないので、日本人向けということが過度になると、結局は高得点を出しても話せない、聞き取れないということになる懸念は持っていますが)。

2兆円が回収不能。なぜ孫正義氏はWeWorkに「騙された」のか?

孫正義氏の「真っ赤っかの大赤字」との言が注目を集めた、ソフトバンクグループ中間決算報告。その大きな要因となったのが、米ベンチャー企業WeWorkへの投資の「失敗」でした。なぜソフトバンクは、よくよく調査してみれば「不動産の又貸し」でしかないWeWorkへの多額の資金注入を敢行したのでしょうか。そしてその資金回収は可能なのでしょうか。「Windows 95を設計した日本人」として知られる中島聡さんは今回、自身のメルマガ『週刊 Life is beautiful』で、ベンチャー企業と投資サイドの関係性を改めて記すとともに、ソフトバンクの「資金回収の見込み」について言及しています。

※ 本記事は有料メルマガ『週刊 Life is beautiful』2019年11月12日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

私の目に止まった記事

The Spectacular Rise and Fall of WeWork

ソフトバンクが大量に資金を注入した挙句、上場に失敗して破綻寸前にまで追い込まれたWeWorkの盛衰を分かりやすくまとめた映像です(音が出ます)。英語の聞き取りの練習も兼ねて、何度か観てみるのも悪くないと思います。

WeWorkは、創業者のAdam Neumannは、「新しい働き方を提案する」という派手なビジョンの元にWeWorkを成長させ、そのビジョンに惚れ込んだ孫正義氏が、「勝ち馬に乗り大量の資金を投入することにより市場で圧倒的な力を持つ存在に成長させる」という投資戦略で、1兆円を超える資金を投入して育てて来たベンチャー企業です。

ベンチャー企業は、「成長のための運営資金」を必要としており、そこにリスク承知で資金を提供するのがVCベンチャー・キャピタルの役割です。

事業が始まったばかりの頃は、VCはベンチャー企業に対して数十万ドルから数百万ドル(数千万円から数億円)の資金を提供します。ベンチャー企業の経営者は、その資金で優秀な人材を集め、市場に製品やサービスを提供し、「そこに市場があることを証明した上でさらなる資金をVCから集めて成長を続けます

多くのベンチャー企業は、この期間、赤字で走り続けますが、赤字になる理由は「成長のための先行投資」が必要なためで、成長が鈍化して先行投資が不要になれば、利益を生み出すようなしっかりとしたビジネスモデルを持っている必要があります。

しかし、まだ誰もやったことのない事業に関して言えば、「そこにビジネスチャンスがあるのかどうか」を証明することすら難しく、資金集めに関しては、創業者のカリスマ性=現実歪曲空間を作り出す力)がとても重要なのです。

創業者のAdam Neumannは、そんな力を持っており、孫さんに「この会社に大きく投資すれば、大きなリターンが得られるに違いない」と思わせることに成功してしまったのです。

しかし、実際に上場の準備を始めた段階で、WeWorkのビジネスは、長期リースで借りたものを短期リースで貸し出す「不動産の又貸し」でしかないこと、長期リースの期間が必要以上に長いこと、Adam Neumannが自分が所有していたドメイン名を高額で会社に買い取らせるなどの奔放な経営がされていたことが明るみに出て、一気にメッキが剥がれてしまったのです。

WeWorkは、ソフトバンクから提供された潤沢な資金を使い、大量の人を雇い、多くのオフィスをリースしていたため、上場による資金注入が見込めないとなると、一気に資金ぐりが苦しくなり、(大株主である)ソフトバンクに救済を求める状況になってしまったのです。

ソフトバンクは、CEOのAdam Neumannを追放した上で、さらなる資金注入をして8割以上の株を取得した上で経営権を握ってWeWorkの事業を立て直すことにしましたが、この比率は、もはや「ベンチャー投資ではなく、「子会社化」です。

ソフトバンクは、トータルで2兆円近い資金を提供することになりますが、Regusブランドで貸しオフィスを提供し、すでに黒字化しているIWGの株価総額が4,000億円しかないことを考慮すれば、初期投資の回収はおろか救済のために提供した資金の回収すら難しいだろうと私は思います。

なぜ、あれだけブームになったボジョレー・ヌーボーは廃れたのか

かつては日本でも多くの方が解禁時間を待ち焦がれていたボジョレー・ヌーボーですが、近年その人気はすっかり冷え込んでしまったように見受けられます。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、そのブーム衰退の原因を探っています。

「ボジョレー・ヌーヴォー」が廃れたのは、嘘臭いキャッチコピーが原因!?

今年の「ボジョレー・ヌーヴォー」の解禁は、日本時間で11月21日午前0時。と言ったところで、すでにブームは過ぎ去りまったくもって盛り上がりに欠けます。今年も百貨店やワインショップに、少人数のワイン愛好家が集まり、淋しいまでの静けさの中で、新酒の誕生を祝うのでしょう。

あれほど騒がれたブームが、なぜここまで廃れてしまったのでしょうか。ワインの魅力がなくなったのでしょうか。

ワインの世界は奥深く、その味わいに魅了された人間は、生涯ワインを愛し続けるものだと思います。ならば、「ボジョレー・ヌーヴォー」が騒がれなくなったのはなぜでしょうか。

理由のひとつは、「ボジョレー・ヌーヴォー」がワイン本来の味ではないからです。その年できた新酒の“出来”をテイスティングするとともに、“蔵出し”のお祝いをすることが目的です。本物のワインは、ここから熟成させることで完成するので、まだ未熟な味だと言えます。私も何度か飲んでいますが、飲みやすいだけで、美味しいとは言えません。

本来ならワイナリーで静かに祝っていたものなのです。冷蔵設備のない時代、人びとは近くの醸造所へ行き、ワインを量り売りで買っていました。そして、新酒の頃になると、周辺の限られた地域の人たちだけが、その味を楽しんでいたのです。美味しさを味わうというより、新酒を静かに祝う意味合いが強かったのです。しかし、冷蔵や輸送技術の発達により、もっと広めようという動きが醸造家によって始まったのです。

そこから世界へ。そして、日本に。

世界にも“ヌーボー“の愛好家はいますが、ワインの世界にどっぷりと浸かった人たちが、あくまで新酒を祝うために飲んでいるだけです。日本のように、“ヌーボー”だけで盛り上がることはありません。日本では異常なまでに盛り上がってしまったのです。

ワイン=お洒落」にかぶれた人たちが、味など関係なく群がった結果、「ボジョレー・ヌーヴォー」が“有り難い存在”と化したのです。しかし、やがて人びとは気づきます。「それほどでもないのかも……」と。結局は、商社や百貨店が仕掛けたブームに過ぎなかったのです。

また、ブームを作り出すために、人びとが熱くなるようなアピールもしています。解禁前に、その年の「ボジョレー・ヌーヴォー」の評価をキャッチコピーとして発表するのです。「10年に1度の出来で、芳醇な味わい」など。これを聞いて、人びとの期待はますます高まり、解禁日に向けてそわそわし始めるのです。実に上手い演出です。

「本当の友達ができない」と悩む子に親がまず問いかけるべきこと

「友達ができない」「本当の友達がいない」ということを悩む子どもは多いようです。そんな悩みを打ち明けられたとき、親はどんなアドバイスをしたらいいのでしょうか?メルマガ『子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育』の著者で家庭教育のプロの柳川由紀さんが、まず本人に問いかけ確認すべきことがいくつかあるとアドバイス。困りごとや「友達の理想像」を明確化することが友達作りにも役に立つと教えてくれます。

友達ができない

Question

shitumon

一人娘が、「本当の友達がいない」と悩んでいます。「今いなくても、将来できるから大丈夫よ」と軽く言ったのですが、娘は「ママはできたかもしれないけど、私はママじゃないもん」と深刻です。

私は、確かに娘と違い友達が多い方なので、娘の気持ちがよくわからず、アドバイスに困ります。(小学4年女児のお母様より)

柳川さんからの回答

小学生の悩みベスト3のうちの1つが、「友達がいない」というものです。多感な年齢のお子様への助言は難しいですね。「友達がいない」と悩むお子さまへのアドバイスについてお伝えします。

1.何に困るのかを明確にする

「本当の友達がいない」とは、どういうことなのかを、まずお子さまにきちんと聞くことから始めましょう。「本当の」とはどういうことか?「友達がいない」ことで、何に困っているのか?

つまらないのか、寂しいのか、通り一遍の会話はするけれど、心を許せる人がいないのか?そもそも、友だちを欲しいのはなぜか?

お子さまが気持ちを整理し、何に不安を感じているのかを明確化できれば、お子さま自身に気づきが生まれます。まずは、親としてお子さまの発言に耳を一生懸命傾け、聴いてあげることです。

2.一歩踏み出す勇気を持たせる

お子さまが何に不安なのかを自分で気づいたとき、次に、この状況がどうなればいいのか何をしたいのかを確認することです。

一つ一つ確認していくと、子ども自身が、どうすればいいのかに気づきます。気づかなかったとしても、気持ちが整理されることで悩みの軽減につながります。

今の状態を変えたいと思うのであれば、何か行動を起こすのが一番の近道です。その時に、子どもに寄り添いながら、何ができそうかを一緒に考えましょう

中高生になるとお互いの好みや人柄など相性なども出てきますが、小学生の場合は、意外と単純な理由で友達になれるケースが多いものです。積極的に人と関わりを持つようにすることで、あっさりと友達になれるかもしれません。

じゃあ、積極的に人と関わりを持つにはどうしようか?何ができると思う?などと子どもに考えさせながらサポートすることが大切です。

東京式運行案内「こんど」と「つぎ」が大阪式より分かりにくい訳

東京の山手線は、ホーム上の運行案内を発車時刻表示から「約◯分後」の待ち時間表示に順次変更していくそうです。外国人には一般的で分かりやすいというのが理由のようです。鉄道の発車表示といえば、日本人でも分かりにくいと話題になるのが、首都圏の一部で現在も使われている「こんど」と「つぎ」の表記です。メルマガ『8人ばなし』著者の山崎勝義さんは、大阪式がはるかに合理的と解説しながらも、「こんど」と「つぎ」を巧みに使い分けられる日本人の言語感覚をおもしろく感じているようです。

『こんど』と『つぎ』のこと

東京に来たばかりの頃、地下鉄に乗ろうとするたびに、プラットフォームにぶら下がっている運行掲示板が気になって仕方がなかった。
  こんど 荻窪  行
  つぎ  方南町 行

日本人なら、その掲示が昇順か降順かといった問題とは無関係なレベルで、直観的に、まず「荻窪行」が来て、その後「方南町行」が来るものと分かりはする。しかし、それは同一掲示板に「こんど」と「つぎ」が併記されているからであり、それらを個別に使う場合は事情が違ってくる。

例えば、駅員に「こんどの電車はどこに行くのでしょうか?」と尋ねても、「つぎの電車はどこに行くのでしょうか?」と尋ねても、答えはやはり同じ「荻窪行です」であろう。その弁別は思っているより難しいのである。

これが大阪式になると、
  先発
  次発
  次々発
というように実に分かり易い。電車の乗降マナーに関しては東京の足下にも及ばないが、発車順の表示では大阪の方が遙かに合理的なのである。

それにしても、このように分かりにくい表示をとりあえずは許容し、且つそれなりに理解している日本人の言語感性には興味深いものがある。

それを考える方便として今仮に両都の表示のあり方に名称を付けてみるなら、大阪式の表示方法は一元的「next」表現、東京式は二元的「next」表現とでもなろう。東京式の「こんど」「つぎ」には二元混在表現であるが故の分かりにくさがあるのである。

では、その二元とは如何なるものなのか。それは、主観と客観である(今は仮にこう言う)。具体的に言えば「こんど」が主観的、「つぎ」が客観的ということになる。大阪式が分かり易いのは、終始して客観的表現だからである。

影で足を引っ張る人間を制したマンション理事長の「大人の対応」

もし誰かが意図的に、あなたの立場を貶めるような噂を流したとしたら、どのような対応をみせるでしょうか。同じ熱量で切り返したくなる気持ちも否定できませんがそれでは相手の思う壺、だからこそ一層冷静な対応が必要とも言えます。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』では著者でマンション管理士の廣田信子さんが、ある大型マンションの理事長による、事実に反する風評を跳ね返したクレバーな対応を紹介しています。

表で議論しないで陰で足を引っ張る理事の思惑は…

こんにちは!廣田信子です。

ある大型マンションのA理事長は理事長歴10年を越えます。就任前、修繕積立金の運用失敗で大損をしたり、大規模修繕工事時に理事と業者との癒着が疑われたり…と、いろいろ問題があって、管理組合が荒れていました。そのころ、ちょうど現役としての第一線を離れたこともあって、何とか立て直そうと理事長になったのでした。数々の改革で管理組合運営の健全化を図り今も先駆的な取り組みをしています。

そうしたら、最近、突然、「理事長の長期政権が問題だ業者との癒着がある」というような話が、どこからか流されるようになり、まわりまわって、A理事長や家族の耳にまで達するようになりました。どうも、一部の理事がそれを意図的に広めているらしいのです。

A理事長は、理事会で満場一致で理事長に選任されています。理事会での議論はオープンですし、過去の反省もあり透明性を何より大事に運営して、そのことを一番よく知っているのは理事のはずです。各部長に一定の権限が与えられていますし、業者選定も常に明確な競争入札で行っています。

もし、何か問題があるというのであれば、理事会で提案すればいいし、飲みながらざっくばらんに話す機会も多いので、理事長に何か不満があるなら言える機会はいくらでもあります。でも、いっさい、そんな話はなく、普通に付き合っていて、陰で理事長の足を引っ張り理事会を貶めるようなことをするのはなぜか…です。

そんなことをされたら、そこまで言われて理事長を続けるつもりはない…と切れてしまいそうですが相手はそれを狙ってやっていることだから、絶対にそれに乗ってはいけないと…A理事長は言います。

嫌気がさしたり、怒ってやめてしまったら、それは相手の思うつぼだ。表立って議論したいことも特にないが理事長と言う権力はほしい…でも、それには、今の理事長が邪魔だから、そのためには、裏工作してその人を陥れる…そんなことはサラリーマン社会ではよくあることだ…と。

こういうことをする人間は権力を持ったら必ずよからぬことを考えるから、絶対に、権力を持たせたらいけないんだ…。だから、それを阻止するためにも、自分がもうひと頑張りするしかない…と。

「長期政権で業者と癒着がある…」。これ、根拠もなく陰でささやきやすい陰口です。そんなひそひそ話がマンション内で伝わっているとしたら、ほっておくことはできません。理事会活動の信頼性にも関わりますから。

で、理事長がやったことは…陰で工作をしている理事を問いつめることでも、自分の正しさを主張することでもなく、よりソフトに一般組合員に対する事実の広報に力を入れたのです。

情報を常にオープンにするために広報はこれまでも力を入れてやってきましたが、自分がどういう考え方でこれまでどのような事業を行ってきたかを改めて分かりやすくまとめたものを発行したり自分の信念や人となりが分かるようなインタビュー記事を広報紙に載せたり…です。

理事会の中のごたごたにしないで、おかしな噂を聞いたかもしれない組合員に広く「説明責任」を果たしているのです。「説明責任」をあやふやにする国会議員より、ずっときちんとしていますよね。とても、戦略的で賢い理事長さんだと改めて思いました。やましいことがなく信念があってそれをしっかり言葉にできる人は強いです。