パリ多発テロ後、オバマがプーチンに歩み寄った「もう一つの思惑」

パリ多発テロを受け、ロシアのシリア空爆に理解を示したアメリカ。この「宿敵への歩み寄り」は何を意味するのでしょうか。メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』はずばり、アメリカの中国打倒体制作りの1つと断言しています。

オバマ、プーチンに歩み寄る~進む米ロ和解

毎度で申し訳ありません。

2015年3月、アメリカの政策を大きく変える大事件が起こりました。「AIIB事件」。親米国家群イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、イスラエル、オーストラリア、韓国などなどが、アメリカの制止を無視し、中国主導「AIIB」への参加を決めた。このことは2つのことを示していました。

  1. 親米国家群は、「アメリカより中国の言うことを聞いた方が『お得だ』と判断した。
  2. 「アメリカに逆らっても、軟弱オバマは何もできないだろう」と判断した。

中国は覇権国家にむけて大きく前進した」といえるでしょう。しかし、アメリカは、だまって覇権を禅譲するほどには落ちぶれていない。それで、「必ずリベンジに動くだろう」と予測しました。予想される方法についても、ダイヤモンド・オンラインに詳しく書きました。詳細はこちら。

リベンジ~AIIBで中国に追いつめられた米国の逆襲

  • 情報戦(例えば、これも情報戦の一環。「China2049」 マイケル・ピルズベリー著)
  • 情報経済戦(中国経済崩壊論の拡散)

など、いろいろあるものの、もっとも効果があるのは、「中国とロシアを分裂させ、ロシアをアメリカ陣営に引き込むこと」。

ダイヤモンドオンライン4月28日に、こう書きました。

最後に、米国が中国に勝つために「ロシアと和解する可能性」について触れておこう。

 

「そんなバカな!」「モスクワ在住筆者の妄想だ!」──。

 

恐らくそんな反応が返ってくるだろう。

 

しかし、歴史は、「米国は勝利するためなら敵とも組む」ことを教えている。

実際、何が起こったのでしょうか?

テロの温床か? 悩める欧州に「シェンゲン条約」という課題

パリ多発テロの実行犯が、難民を装いフランスへ入国していたことが判明しました。無料メルマガ『出たっきり邦人【欧州編】』では英国在住の日本人が、こうした事態を防止するためには「必要悪による治安維持も念頭に置くべきだった」と記しています。

街角の風景 非日常的な出来事

13日夜にパリで無差別同時テロが発生し、懸念されていたことが現実となり、多くの方々が犠牲となったことに対し心からお悔やみ申し上げます。

さまざまな情報が飛び交い、痛ましい惨事もこれまで起きてきました。これまで気になっていたものの真偽のほどを見極めるのも困難な状況で、これまで取り上げる機会をうかがっていました。あくまでも私見であることをお断りした上で、今回の同時テロをきっかけに少し触れることにしました。

アラブの春後の状況混乱を利用してイスラム系テロ組織「イスラム国IS)」が勢力を拡大したことに伴い、中東情勢は悪化の一途をたどっていました。大学で国際関係論や政治学をちょっとかじり、中東についても状況を見守っていた身としては西側の及び腰な対応を常に懸念していました。

政治学のいろはでもありますが、まっとうな戦略的視野のある政治家であれば、ある政権を打倒する前に後釜を用意して秩序だった権力の移行を図るはずなのですが、ここ数年こうした動きは見られず、どちらかと言えば指をくわえて事態が沈静化するのを待っていただけのように思われます。

発端となる難民問題も今年始まったことではなく、北アフリカからイタリアやマルタへと向かう難民はこれまでもいました。トルコ経由で大量に押し寄せるようになるまで欧州諸国は傍観。難民に交じってテロリストが欧州に侵入するリスクが叫ばれていましたが、怒涛のごとく押し寄せる難民への対応で安全保障面の配慮が二の次になってしまう状況に至りました。

アラブの春はいわゆるパンドラの箱で中東社会における矛盾が一挙に破裂した状況だとみています。理想を掲げて独裁者打倒に動いた向きもありますが、理想だけで世の中を動かすことはできません。賛否両論あるでしょうが、必要悪による治安維持も念頭に置くべきであったのではないかと常々考えたりしています。

近代社会において人権が重要事項であることは疑う余地がありません。ただ、このような未曽有の状況でこうした概念を一概に適用する難しさも浮き彫りになりました。パリ同時テロの犯人の1人はトルコからギリシャ経由で入った難民の一団に紛れ込んでいたとも言われています。

日本のマンガは「編集者」という武器があるから世界で戦える

日本の漫画やアニメが「クールジャパン」として世界に認知されて久しいですが、今後、グローバル市場で戦っていくにはどのような視線が必要なのでしょうか。メルマガ『週刊 Life is beautiful』の著者・中島聡さんが、人気雑誌副編集長の記事を引きつつ考察しています。

日本の漫画とグローバル市場の関係

世界志向の編集者は言語の壁を超えて、作家が触れたことのない「異物」との接触点をつくる

雑誌「モーニング」の副編集長である北本かおりさんが経験した、ベルサイユ宮殿とフランスのグレナ社と講談社の3者の共同企画による漫画制作の過程をベースに、「クールジャパン」の代名詞でもある日本の漫画とグローバル市場の関係に関するとても興味深い考察です(グレナ社はフランスで初めて日本の漫画作品を出版した出版社)。

オープンソースとして公開した Swipe は、(今や時代遅れの)ソフトウェアライセンスでのビジネスは考えてはいませんが、コンテンツビジネス、特に日本の漫画を活用したビジネス十分に可能だと考えており、その意味ではとても勉強になる資料です。

彼女は「編集者の役割」に関して、

人は誰でも自分なりの物の見方をもつが、それだけに基づいて描かれる物語は、やがて思考のループに陥ってしまう。だから作家が新しい物語を描くためには、自らの見方を変える強い感情や謎が必要になる。

 

作家が触れたことのない「異物」との接触点をつくり、創作のための環境を用意すること。ここに編集者の存在事由がある。

 

そのきっかけは、いつどんなところで見つかるかはわからない。作家が触れたことのない「異物」との接触点をつくり、創作のための環境を用意すること。ここに編集者の存在事由がある気がしている。

と書いていますが、これはソフトウェア開発者である私にとっても全く同じです。世界初のパソコン用CADであるCANDYは、アスキー編集部に出入りしている私がマウスという新しいデバイスに出会えたから生まれたのです。

そう考えてみると、私が世の中で成功するソフトウェアを作った時には、常に「優秀な編集者」に相当する人がいて、刺激を与え続けてくれたのだと思います。

その意味では、今回の Swipe も「漫画を進化させたい」という強い思いを持つ人たちから刺激を受けたからこそ出来たもので、その意味では「良い座組」でのスタートになっていると思います。

公共放送の受信料徴収、どの形がベスト? 英国は不払い者に刑事罰化

しばしば日本で話題となる、NHKの受信料制度。受信設備が多様化し、テクノロジーが発達した今では、制度と時代が合わなくなってきたようだ。実は他国でも同様の制度があり、イギリスでは制度維持を求める国側と、それに抵抗する人々の間で軋轢が生じている

受信料制度は各国に

受信料制度は、世界各国で取り入れられている。日本の場合は、放送法第64条で、「協会(NHK)の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」と定められているが、不払いに対する罰則はない。イタリアも同様のシステムを取っている。

イギリスでは、TVライセンスと呼ばれる受信許可証を購入する形となっており、カラーの場合、年額145.50ポンド(約2万7000円)。録画を含めたテレビ放送と、ライブでのオンライン放送サービスでの視聴が対象となり、パソコン、携帯などでの視聴も含まれる。支払われた料金はBBCの運営資金となるが、他局の放送しか見ていなくても支払い義務が生じるのがNHKの場合とは異なる。不払いには最高1000ポンド(約18万7000円)の罰金が科せられ、支払いを拒否すれば収監されることもある。ドイツも同様の制度となっており、受信機の有無に限らず、「放送負担金」として、全世帯に支払い義務が課せられている。

暴力、暴言、不払いで抵抗するイギリス人も

イギリスでは、罰則のためかTVライセンス料不払い率は5、6%程度(TV Licensing Annual Review 2014-2015)だが、支払いに不満を持つ人も多く、しばしばその怒りが徴収員に向けられる、とBBCは報じている。BBCと契約し、料金の徴集を行う会社の団体「TV Licensing」によれば、徴収の訪問時に暴力を受けた徴収員は昨年度89人。ハンマーで殴られたり、テレビを投げつけられた者もいたという。言葉による暴力は271件で、暴言を吐くだけでなく、その様子を撮影したビデオをYouTubeに投稿したり、人の多い通りまで追いかけてきて公衆の面前で罵声を浴びせるなどの事件も報告されているという。

テレグラフ紙によれば、イギリスでは年間18万人がTVライセンス料の不払いで起訴されており、10年前から倍増しているという。2013年には、罰金の支払いをしなかったため、32人が刑務所行きとなっている。

現在BBCは、放送後7日間無料でテレビやラジオ番組を視聴できるiPlayerという「見逃しサービス」をネットで提供しており、この場合はTVライセンスを支払わなくても視聴できる。ところがガーディアン紙によれば、政府は今後iPlayerのようなオンデマンドTVにもTVライセンスの支払いを課す考えだという。これが現実となれば、視聴者からの反発は必至だ。また、同様のオンデマンド・サービスを提供する他局も、TVライセンスからは恩恵を受けず広告収入で運営しているチャンネル4などが、不払い者をブロックする必要がでるとして不満を表明しているという(ガーディアン紙)。

有効な不払い対策は?

通信業界向けサイト『Telecompaper』によれば、イタリアではなんと2300万世帯のうち700万世帯が受信料を払っておらず、公共放送局Raiにとっては、年間6億ユーロ(約800億円)の損失になっているという。このため、来年からは受信料を各家庭の電気・ガス代に含めて徴収する法案が提出されており、政府は受信料も引き下げる意向という。一方、日本では2014年度のNHKの受信料収入が過去最高となったが、支払い義務化や罰則導入の議論も出始めている。

アメリカのエンターテイメント業界誌『Variety』は、受信料を払いテレビを見ている人が、日本では高齢化しつつあると指摘する。同誌は、上智大学の政治学者、中野晃一教授の、「ネットに精通している人々の多くが別の情報源から情報を得るようになった」、「NHKは主に高齢者を対象にしたニュースソースに変わりつつある」という意見を紹介し、局としての変革が必要なことを示唆した。

(山川真智子)

 

 

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「日本の女子学生13%が援助交際」撤回も…海外は根本的問題に関心?

国連の「児童の売買、児童買春、児童ポルノ」に関する特別報告者のマオド・ド・ブーア=ブキッキオ氏は、10月、視察のため日本を訪れていたが、26日の記者会見で「日本の女子学生の13%が援助交際に関わっている」と発言した。外務省の抗議を受け、11日、同氏は発言は誤解を招くものだったと認め、事実上撤回した。

発言から撤回に至るまでの流れ

ド・ブーア=ブキッキオ氏は国連人権理事会から「児童の売買、児童買春、児童ポルノ」に関する特別報告者に任命されている。世界中の児童の搾取について調査し、国連総会、人権委員会に報告書を提出するのがその使命だ。

26日の記者会見は、日本視察の締めくくりに行われたもの。その模様は動画で公開されている。会見では、通訳を通して、「女子学生の3割」が援助交際をしていると発言が伝えられたが、これは通訳ミスで、後に「13%」に訂正された。

11月2日、外務省は、同氏側に対して、13%という数値の情報源および根拠を開示すべきだと申し入れた。

同日、同氏側は、この問題に関する『説明』を発表した。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)のウェブサイトで確認することができる(日本語訳あり)。その中で氏は、

・訪日中に、日本の「JKビジネス」の拡大範囲について、公式な統計は提供されていません。

と明らかにした。その一方で、13%という数字に言及した理由について、次のように釈明している。

・しかしながら話を聞いた多くの方が、これは憂慮すべき傾向であり、利益性の高い当ビジネスにかかわる未成年者の性的搾取につながりやすいとの懸念を示しました。記者会見では、緊急な取り組みが必要なこの現象を強調するために、公になっている推定値に触れました。

9日、外務省は、同氏が確かなソースを挙げられなかったことを受け、発言の撤回を強く求めた。外務省側の主張は次のとおり。

・今回の発言は不適当かつきわめて遺憾である
・国連の肩書きを持つ者が発言することにより、それがあたかも事実であるかのような誤解を生むことになり、その影響は深刻である
・緊急に対応すべき問題であることを強調するために根拠に乏しい数字を引用しても良いとの考えや、情報源も明らかにできないような信頼するに足りない情報を、記者会見や報告書で引用することは、到底受け容れられるものではない

国連特別報告者の発言であるという重みによって、根拠のない数字が独り歩きを始めてしまう危険性を、外務省はよく承知していたのだろう。

11日、同氏は、日本政府の代表機関に書簡を送付した。その中で同氏は次のように説明した。

・更なる検討の結果、13%という十分に立証されていない数値を裏付ける公的かつ最近のデータはなく、13%という概算への言及は誤解を招くものであったとの結論に至った
・このため、今後この数値を使用するつもりはなく、国連人権理事会に提出する報告書でも言及しない

政府側はこの説明をもって、同氏が「事実上、発言を撤回した」と受け止めた。AFPによると、同氏側から、この問題についてこれ以上の発言を行わないことが表明されており、この問題は片が付いたとみてよいだろう。

「援助交際」という語の使われ方

「女子学生の13%が援助交際に関わっている」という同氏の発言は、日本国内では大きな驚きと疑念を呼んだが、一つ注意すべきなのは、同氏は「援助交際」という語を、非常に広い意味で使っていることだ。『説明』の中で、「援助交際(いわゆる女子高生またはJKビジネス)」という言い方をしていることから分かるとおり、同氏は「援助交際」と「JKビジネス」を一体視している。問題となった記者会見では、援助交際は、最初は「JKお散歩」といったような非常に罪のない形から始まる、と述べたと伝えられている。同氏は、それがやがて売買春にまでエスカレートすると懸念しているようだが、逆にいえば、13%の全員が売春をしていると考えていたわけではなかった。(なお、OHCHRウェブサイトで後日公開されたプレスステートメントでは、両者は区別されている。)

「援助交際」と「JKビジネス」の語の使い分けに関しては、AFPの説明のほうが日本での実態に近いようだ。それによると、「援助交際」は1990年代に出現したもので、年長の男性がティーンエージの少女に金を払って、セックスを含むことのあるデートを行うもの。一方「JKビジネス」という言い回しは、マッサージをしたり、男性に添い寝したり、一緒に散歩したりすることもある、より組織的かつ計画的な活動に適用される、としている。

BBCは、援助交際では、男性が、少女に交際してもらう代わりに現金や物を提供する、と抽象的に伝えている。

米外交専門誌フォーリン・ポリシー(FP)のニュースブログ「パスポート」となると、完全にド・ブーア=ブキッキオ氏の見方に飲み込まれている。援助交際は、年長の男性がティーンエージの女子学生にお金を払って、マッサージ、散歩からベッドでの添い寝まで、セックスにまではわずかに至らない行為をしてもらうものだと語る。通例、あからさまな性行為を含まないという点で売春と異なっている、と強調している。

海外メディアの関心はさほど高くない

日本国内での関心の高さに比べて、海外メディアのこの問題への関心はあまり高くなかった。26日の記者会見に関しては、「13%」発言よりも、「極端に児童ポルノ的な内容の漫画は禁止にすべきだ」という発言のほうが注目を集めていたかもしれない。

外務省が抗議を行ったことによって、ようやくニュースバリューを得た面もある。FPは、日本の「ハンバート・ハンバート」(小説『ロリータ』の主人公)たちは、日本政府の中に新たな力強い友人を得た、日本の「パパ」たちはひょっとすると、自分たちの国の政府の中に予想外の味方を見つけたかもしれない、とおどける。

外務省が発言の撤回を求めていることを伝えた報道であっても、報道の力点はむしろ、ド・ブーア=ブキッキオ氏側の主張、すなわち日本が抱えている問題は、緊急に取り組む必要があることを強調するため、この数字に言及したという説明に置かれているようだ。まさにその点に関して、外務省が反論を行ったことは、記事から省かれている。

背景にあるのは、日本はメディアにおける少女の性的な表現などに寛容すぎる、という海外メディアの認識だ。AFPは、ド・ブーア=ブキッキオ氏と外務省のやりとりについて、この小競り合いは、日本における少女の性的対象化という、厄介な側面とみなされるようになっているものを際立たせる、と語る。少女たちはメディアの中で、驚くほど際どく表現されることがしばしばで、これは国内では広く定着しているが、海外を驚かせることもあるものだ、と語っている。

同氏が発言を撤回したニュースとなると、海外メディアの反応はさらに薄い。AFPは律儀に続報として伝えている。しかし、性的虐待や違法行為の広がりの実態を正確に測定することは難しいことが判明している、と記事は語り、同氏をいくらか擁護していると見えなくもない。

(田所秀徳)

 

 

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築地市場の移転をTOKYO ICHIBA PROJECT応援団長の清水国明が語る

カランカランと鐘が鳴り、独特の声で競りが始まる――。80年もの間、首都圏の食卓を支え続けた「築地市場」が江東区・豊洲に移転することが決定すると、賛否の声が飛んだ。なかには「歴史と情緒が失われる」との意見もあった。

実際のところはどうなのだろうか?エンタメプレックスは、11月14日にTOKYO ICHIBA PROJECTが開催した「東京いちばセミナー」に出向き、プロジェクトの応援団長を務めるタレントの清水国明にインタビューした。

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TOKYO ICHIBA PROJECTとは、築地市場の豊洲への移転に向け、中央卸売市場の機能や役割を都民に再発見・再認識してもらうことを目的としており、セミナーは3度目を迎える。女性限定にしぼった今回のセミナーでは、専門家が23名の参加者に移転の目的をわかりやすく説明した。

■そもそも移転する必要があるの?
話によると、「築地市場がもう限界を迎えているから」とのこと。多くの建物が耐用年数を超えているため、地震などが起きた場合、非常に危険なのだという。「じゃあ直しながら使えば?」との意見もあるが、「再整備するにはあまりにも土地が狭い」「今の施設がパンパンで駐車場や荷置き場が全然足りていない」「時間がかかりすぎる」などの問題が多すぎるのだとか。

■移転するメリットは何?
築地市場は、古い開閉型の施設。豊洲新市場は、温度をちゃんと管理できる閉鎖型施設にすることで、商品を高温や雨風から守り、より鮮度を保てるという。さらに、新市場の広さは、築地市場の約1.7倍と、車や荷物のスムーズな流れを可能にする。

■清水国明インタビュー「現代のニーズにあった施設を」

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――セミナーは今回で3回目だそうですが、感触はいかがですか?

「1度目は区別なく、2度目は親子に向けて。今回は女性へのアピールですが、応募がすごく多かったんです。食事を作る女性がたくさんいて、口から入るものへの安全性への関心が高まっている証拠だと思いますね」

――確かにそうですね。

「食が口に入るまでにブラックボックスがあると、それが原因で病を招くケースがある。“完成品”をパッと口にしているけれども、プロセスがわからないと不安じゃないですか?」

――とくに最近はネット上でも「あれがいい」「これが悪い」とソースの不明な情報が飛び交い、よくわからない状態です。

「こうして実際に現場に足を運んで担当者から聞いて確認するのが一番だと思います。不安材料をなくして気持ちよく食べることが、もっとも健康にいいと思うので」

――それにしても単なる移転ではなく、施設が大幅にグレードアップすることが目的なのは知りませんでした。

「築地市場って風情や雰囲気は確かにいいんですよ。でも、もう限界まで達している。実際に働いている人たちも敷地内でギュウギュウになって大変だという現実的な問題もあります。もちろん情緒は大事ですが、時代に合わせて変えるべき部分は変えていく必要があるのではないでしょうか?」

――最近では外国人の観光客も増えていますね。

「そうですね。市場を訪れた外国の方々が『ウム、日本の食生活の源はここか』と思うわけですから、最新の設備を備えた豊洲新市場は身の丈に合った良い改変だと思いますよ」

――あとは風情の問題です。

「実はそこがいまだに勘違いされているところで。あのごちゃっとした市場の場外はそのまま残るんですよ」

――え!? そうなんですか?

「はい。あそこもなくなって、全てが豊洲に移ると思っている方も多いんですが。ただ、業務施設がちょっとやり辛いからそれを移転するだけで、築地市場のよさは残るわけです。僕ね、あちこちでこの説明をしています(笑)。難しく考えずに、築地市場のよいところは残り、現代のニーズに合わせて効率化すべき部分はする、そう思っていただけたら嬉しいですね」

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その後、ツアー一行は豊洲新市場の建設工事現場をバスで周り、月島へと移動。「パティスリー・ラ・ノブティック」の日高宣博シェフによる市場の食材を使用したスイーツ教室が行われた。

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日高シェフ考案、旬のリンゴを使い新市場への思いを込めた「豊洲への期待 春巻き林檎タルト」を実食し、ツアーは終了した。

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築地市場といえば、どうしても歴史的な観点から見がちだが、このように移転にはいろいろな思惑があるようだ。現地に出向かなければ意外と知らないこともある。興味を持ったなら一度、実際に築地市場を見学するといいだろう。築地市場には「東京いちばステーション」があり、移転についてよりくわしく解説してくれる。

<関連サイト>
TOKYO ICHIBA PROJECT http://www.tokyoichiba-project.metro.tokyo.jp/

どう見える?白黒写真がカラーに見える動画で意見が真っ二つ!

これから流れる色とりどりの画像。中心にあって動かない青色のマルをじっと見ていてほしい。そのままで20秒後、画像はモノクロに切り替わる。

その瞬間、きれいなカラーがのって見えるのだ。まぎれもなく白黒なのに。

こちらは、イギリスのBBCで放送される新番組『Colour: The Spectrum of Science』の予告映像。

この錯視現象、見えない人も見える人もいるようで、あなたはどう?

 

(※↓詳しくはコチラへ)
参照・画像出典:YouTube(BBC)
(本記事は上記の報道や情報を参考に執筆しています)

 

記事提供:ViRATES

 

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猫や犬から人にも感染?しんコロさんに聞く、レプトスピラ感染症とは

ねずみなどを感染源とする「レプトスピラ感染症」。ねこや犬、さらには人にも感染する可能性がある病気です。いったい、どんな病気なのでしょうか? 『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』では、愛猫家の医学博士しんコロさんが、この病気について詳しく解説しています。

レプトスピラ感染症の予防法は?

Question

shitumon今日、NHKのドクターGで「レプトスピラ感染症」という症例を見ました。感染源はねずみで、糞尿が水道水などを経由して人にも感染するとのことでしたが、直接ねずみを食して生きている野良ねこさんたちには感染しないのでしょうか?

野良ねこに限らず、家ねこやねずみをオモチャにして遊んでしまう犬なども感染が心配です。ねこや犬が感染しても発症しなくても、保菌した状態のままでいる個体もいるのでしょうか?

また、感染を防ぐには「うがい、手洗い」で十分なのでしょうか。

 

しんコロさんの回答

レプトスピラ症は螺旋状のバクテリアの感染によって引き起こされます。レプトスピラの自然宿主はねずみなどのげっ歯類で、腎臓で増殖し、排泄された尿中にレプトスピラが多く含まれています。そして汚染された土壌や水を通し、さまざまな哺乳動物に経口感染または経皮感染します。

このようにレプトスピラは人畜共通感染症(ズーノーシス)という感染症なので、ペットを介して人間に感染することもあります。

さて、レプトスピラが見つかる環境は水辺などが多いので、水辺を比較的嫌うねこには比較的感染率は低めです。また、免疫の状態にもよりますが、健康なねこであれば感染から回復します。しかし、症状がなくなっても腎臓にレプトスピラが保菌されるということもあります。一方、犬は水辺で遊んだり水や土を舐めてしまうので、獣医でレプトスピラと診断されるペットは犬の方が多いという傾向があります。

レプトスピラはコークスクリューのような螺旋状をしていて、皮膚を貫通して感染するのがやっかいです。そのため、愛犬が感染していると診断された場合には、尿の扱いには十分注意し、掃除をする時なども手袋をすることが大切です。「うがい、手洗い」は効果ゼロではありませんが、タイミングが遅れたら効果があまり期待できないと思います。

人間に感染した時の症状は、2週間ほどの潜伏期間を経て風邪のような急性熱疾患が現れます。軽症型の場合はそのまま回復しますが、重症型では発症の1週間後くらいから黄疸出血肝臓腎臓の機能障害が現れ、致死率は最大で50%にまで至ります。治療は主に抗生物質を使用します。

予防法としてワクチンも存在しますが、レプトスピラにもさまざまな型があり、現在ではワクチンもそのすべての型のレプトスピラに対応しているわけではありません。

我々ペットを飼っている人間としては、ねこは室内飼いにし、犬は怪しい症状が出たらすぐに獣医の診察を受けることが、飼い主や家族にも感染を広げないために重要なことといえます。

image by: Shutterstock

 

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『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』
著者:しんコロ
ねこブロガー/ダンスインストラクター/起業家/医学博士。免疫学の博士号(Ph.D.)をワシントン大学にて取得。言葉をしゃべる超有名ねこ「しおちゃん」の飼い主の『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』ではブログには書かないしおちゃんのエピソードやペットの健康を守るための最新情報を配信。
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【書評】起業家が失敗と成功を赤裸々に語る「転ばぬ先の杖」

ビジネスをバランスよく学ぶためには、経営者のインタビューを読むことだと、『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』の著者・土井英司さんは語ります。今回の3分間書評はベストセラーになった起業家たちのインタビュー集を紹介します。

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未来をつくる起業家』ケイシー・ウォール・著 クロスメディア・パブリッシング

 

こんにちは、土井英司です。

ビジネスは、成功からも、失敗からも学べますが、理想をいえば、その両方を学べるとよい。

バランス良く学ぶためには、時折、経営者のインタビューを読むことです。

インタビューを読めば、そこから成功の要素と失敗の要素を汲み取れる。それらを融合して、自分なりの成功方程式をつかむこともできるのです。

そういう意味で、最近勉強になったのが、本日ご紹介する『未来をつくる起業家』。

電子書籍とプリント・オンデマンドで発売され、たちまちベストセラーになった1冊で、日本発のスタートアップの失敗と成功が赤裸々に語られた、起業家のインタビュー集です。

読んでみると、なるほど起業家の転ばぬ先の杖となり得る内容で、なかでもトップバッターの小林清剛氏(NOBOT, Chanoma)と、日本人で初めてY Combinatorに参加した福山太郎氏(AnyPerk)のインタビューは参考になります。

フルタイムでコミットする人間を雇うこと、構造的に儲かるかどうかをチェックすること、誰よりも先にリスクを取ること、グローバル製品をつくるには、最初からグローバルメンバーでつくること、つくる前に売ること…。

いずれも重要なアドバイスだと思います。

また、本書に登場する起業家のほとんどは会社の売却を経験している、いわゆる「シリアルアントレプレナー」であり、これからの時代の起業家には、生き方含め、参考になると思います。