メディアは死んだ。森友問題で自殺した職員の訴えを無視する愚行

森友学園を巡る文書改ざん問題で自殺に追い込まれた財務省職員の妻が、夫が残した手記を公開し事件の再調査を求めていましたが、安倍総理、麻生大臣がともに拒否し、その是非が話題となっています。両氏の対応を非難すると同時に、メディアの姿勢についても問題視するのは、健康社会学者の河合薫さん。河合さんはメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』に、そう思わざるを得ない理由を記しています。

※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2020年3月25日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

報道機関の使命は「権力の監視」というのなら

「財務省が真実に反する虚偽の答弁を貫いている」
「最後は下部がしっぽを切られる」――。

2年前の3月7日、命を絶った近畿財務局職員の男性の手記とメモが、先日公表されました。A4で7枚。全文読みましたが、そこには公表に踏み切るまでの奥さまの心情も書かれていて、読んでいるだけで苦しくなりました。

と同時に、文書改ざんに至るまでの経緯、その時々の権力者たちの言動、男性が追い詰められていく状況が詳細に綴られていて、“権力”というものへの怒りと絶望、胸をかきむしられるような感覚を覚えました。

記事を書いたのは元NHKの記者の男性です。彼はNHKで森友事件を取材していたところ、記者を外されたことからNHKを辞職。財務局職員の男性の手記を初めて目にしたのは、男性が亡くなって半年あまりがたった11月27日のことだったといいます。

詳細は記事をご覧いただきたいのですが、論点だけまとめると以下のとおり
です。

  • 元記者に会った日、奥さまは「手記を元記者に託して夫の後を追おう」と考えていたが元記者の男性があまりに興奮して応じたため、「これは記事にしないでください」と言い残して、手記を持ち帰った
  • それから1年4カ月。「夫の職場だから大切にしたい」という奥さんの気持ちを踏みにじるような態度を財務省と近畿財務局は繰り返した
  • 「麻生大臣が墓参りに来たいと言っているがどうするか?」という財務省職員からの連絡に、「来て欲しい」と答えたにも関わらず、一方的に「マスコミ対応が大変だから断る」告げられた。
  • 国会(当時)では麻生大臣が、「遺族が来て欲しくないということだったので(墓参りに)伺っていない」と答弁しつづけた

…これはごく一部ですが、その他にも多くの誠意のない言動が「当たり前」のように繰り返され、奥さんの気持ちも変化していきます。そして、「真相を知るには裁判しかない」という気持ちが芽生えていったのです。

つまり、「真相を知りたい」という一縷の望みをかけて手記を公表し、裁判を起こすことを決意したのです。

ところが、国会では、安倍総理大臣らは再調査はしない意向を示し続けました。「調査は行わない」「自分の発言が問題ではない」などと発言を繰り返しました。

こういった状況に対し奥さんが、以下のメッセージを元記者に送り、マスコミに公表されたのはご承知のとおりです。

安倍首相は2017年2月17日の国会の発言で改ざんが始まる原因をつくりました。麻生大臣は墓参にきてほしいと伝えたのに国会で私の言葉をねじ曲げました。この2人は調査される側で、再調査しないと発言する立場にないと思います。

命を絶った男性の手記は実に丁寧かつ詳細にまとめれており、自筆のメモにはその時々の苦悩と怒りと絶望が描かれています。これを読んで「自分には関係ない」と言える人間が、もしこの世にいるとしたら…、それは「人」としてどうなのか?そんな「人」を許していいのか?

ただただ真面目に職務に向き合ってきた人が、追い詰められ、恐怖に震え、怯え、本当は生きたいのに、生きる力が萎える。そんな理不尽が見過ごされていいわけがない。そんな思いから、今回、メルマガで取り上げました。

東京五輪「1年延期」決定。見込まれる日本の損失額は6400億円か

国際オリンピック委員会(IOC)は24日、今年7月24日から開催される東京オリンピック・パラリンピックを1年程度延期することを承認したと、日本経済新聞朝日新聞NHKなどが報じた。安倍晋三首相はIOCのバッハ会長と24日20時から電話会談を行なっていた。オリンピックは過去に5つの大会が中止されたことはあるが、延期になるのは初めてのことだという。

電話会談の内容

BBCなどによると、安倍首相は、東京オリンピック・パラリンピックの開催は1年程度延長し、遅くとも2021年夏までに開催することで合意を得たと話したという。年内の開催は見送られたが、大会の名称は「東京2020」のまま。安倍首相とバッハ会長の電話会談終了後、IOCは臨時理事会を開いた。その後東京2020組織委員会とIOCは共同声明を出し、正式に開催の延期が承認されたことを発表した。

共同声明では、新型コロナウイルスの感染が大流行しており、世界状況が悪化していることについて触れ「世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長が、新型コロナウイルスのパンデミックが加速していると述べた」「1時間単位でその症例が増え続けている」と述べた。そのうえで、選手たちやオリンピック関係者、国際社会の健康を守るために「2020年以降かつ2021年夏よりは遅くならない時点」に変更する必要があるとした。

世界の反応

国際パラリンピック委員会のパーソンズ会長は「東京大会の延期は間違いなく正しいこと」と支持。幹部のアンディー・アンソン氏は「大変な困難に耐えているこのとき、五輪の準備を続けるなど考えられなかった。延期は正しい判断」と同様に支持する姿勢を示した。選手たちからも支持する声があがっており、男子飛び込みのイギリス代表トーマス・デーリー選手は自身のSNSで「夢のために1年待つことは人々の安全を守るために払う価値のある犠牲」とした。女子レスリング代表のカナダ代表エリカ・ウィービー選手は「2021年はこれまで以上に準備ができている」と前向きな姿勢を見せた。

新型コロナウイルスの正式名称「SARS-CoV-2」の日本語訳とは?

新型コロナウイルスの感染拡大の中心地は欧米諸国に移っています。各国の対応や感染状況などのニュースが増え、このウイルスの正式名称「SARS-CoV-2」を目にした方も多いのではないでしょうか。この名称の日本語解釈を伝えるのは、メルマガ『8人ばなし』著者の山崎勝義さんです。山崎さんはさらに、マスク不足の現状について、かつての人気海外ドラマ『冒険野郎マクガイバー』のように「あるだけのもので何とかする」精神が大切だと訴えています。

『SARS-CoV-2』とパニックのこと

「SARS-CoV-2」。新型コロナウイルス(Novel Coronavirus)の正式名称である。名前の最後に「2」とあるのは2002年、中国広東省を起源として世界中に拡がったSARSの原因となったコロナウイルス「SARS-CoV」の姉妹ウイルスという意味である。

因みに「SARS」とは
S(Severe)=重症
A(Acute)=急性
R(Respiratory)=呼吸器
S(Syndrome)=症候群
のことであり、日本名で言えばそのまま「重症急性呼吸器症候群」となる。

という訳だから、整理すると、「SARS-CoV」に感染した後、発症重症化したのが「SARS」、「SARS-CoV-2」に感染した後、発症重症化したのも「SARS」ということになる。そして現下に猛威を振るう後者の「SARS」を、前者の「SARS」と弁別するための呼称が「COVID-19」ということなのである。

因みに「COVID-19」とは
CO(COrona)=コロナ
VI(VIrus)=ウイルス
D(Disease)=病
19(2019)=2019年型
のことであり、敢えて日本語にするなら「2019年型コロナウイルス病」とでもするしかないが、少なくとも現時点においてはそのような逐語的な翻訳名は存在していないようである。蛇足だが、個人的には「SARS-CoV」感染症が「SARS」なのだから、「SARS-CoV-2」感染症は「SARS-2」くらいがいいように思うのだがどうだろうか。

さて、この「SARS-CoV-2」を巡って少しばかり日本がおかしくなっている。軽いパニックなのである。実はこの「軽い」というのがポイントで、それは破壊行為を伴うような暴力的なパニックとは全く異質なものなのである。

日本でこの種のパニック発生の指標となるのが所謂「○○不足」である。昭和のオイルショック以来、今まで何度あったことか。割と近い経験を言うと、東日本大震災直後の東京でガソリンが極端に不足したことがあった。

ここで重要なのが、こういった「○○不足」のほとんどが根拠の乏しい非合理的なナニモノかによって突き動かされた結果起こるということである。落ち着いてよくよく考えてみれば分かることなのだが、そもそも車にガソリンを入れるということは道路が使える状態であるということが分かっているということである。道路が使えるならタンクローリーも走行可能だろうからガソリンはすぐに補給される筈である。実際、この問題は1日2日で解決した。ガソリンスタンドに長蛇の車列をつくる必要はなかったのである。

志村けんコロナ感染に「どうか治って」芸能界から心配の声が続出

タレントの志村けん(70)が新型コロナウイルスに感染していることがわかり、芸能界にも衝撃が走っている。日本のネット上には志村や共演者を心配する声があがっている。


一時重篤な状態に

志村は17日に倦怠感の症状があり、自宅静養を開始。発熱などの症状があったことから、20日に医師が訪問診療し、病院に搬送されたという。新型コロナウイルスの感染が確認されたのは23日。その前後に肺炎などで重症となり、集中治療室で人工呼吸器をつけて処置を受けていたという。現在も入院中だが、容態は安定しているとのこと。また、濃厚接触者の把握もすでに済んでおり、対象者は自宅で待機している。国内で著名人が感染を公表したのは初。芸能界にも激震が走っている。

芸能界に激震

俳優の坂上忍(52)はフジテレビ系「バイキング」で、感染が拡大している状況で出演者やスタッフのなかに感染者がいても不思議じゃないと話していたことを明かし、「僕らも人ごとじゃない」と危機感をあらわにした。また、出演者やスタッフは濃厚接触者となることから、「(帯番組を持っている)自分がそうなったらどれだけの人に迷惑をかけるのか」「勝手に代わりがないと思っているから無理をする」と語った。同番組に出演したタレントの松嶋尚美(48)は、「早かれ遅かれ絶対に芸能界も来るよねっていってた」と話し、以前肺炎を患ったことのある志村を心配した。

フジテレビ系「志村けんのバカ殿様」をはじめ、数々の番組で共演していたタレントの研ナオコ(66)は自身のSNSを更新。「けんちゃん、早く治してまたバカ殿一緒にやりましょうね」と「なまたまご」の絵文字をつけ、エールを送った。

日本の自粛解禁ムードに「意味わからん」世界との差にダルも危惧

日本国内では25日、感染が拡大している新型コロナウイルスの感染者が1200人を超え、死者も40人超となった。新たに感染が確認されたのは70人超で、集団感染が確認された「ダイヤモンドプリンセス」を除くと1日に確認された感染者数は最多となった。感染者数はこれまで北海道が最多となっていたが、東京都が171人まで増えたことにより最多となった。タレントの志村けんさん(70)も感染が確認され、心配の声があがっている。

次々と封鎖されゆく各国

これまでに562人の感染、9人の死亡が確認されているインドのモディ首相は、25日から3週間の間インド全土を完全に封鎖することを明かし、「事実上の外出禁止令だ」と国民向けに演説を行なった。モディ首相は感染拡大を封じ込められなければ「多くの家族が永久に破壊される」と強い言葉で警告している。

アメリカは、24日までに14の州で外出制限が行われている。これまでにアメリカで確認された4万4183人のうち半数以上となる2万5000人以上の感染者を出したニューヨーク州のクオモ知事は、「感染者は3日で倍増する勢い」とし、病床が不足していることを明かした。また、日本からの観光客も多いハワイでは、州全土に外出規制が命じられた。期間は25にちから4月30日までで、26日以降は州外からの渡航者全員に自宅やホテルで14日間自主隔離するよう求めるという。

イギリスでも通勤電車は満員

これまでに6600人の感染、335人の死亡が確認されているイギリスは23日、事実上の外出禁止令を出した。食料の買い出しや必要不可欠な通勤などを除き、自宅にとどまるよう求めていたが、BBCニュースの報道によると、ロンドン地下鉄は通勤者で混雑していたという。自粛どころか、運行制限により、混雑具合が悪化しているとの声もあがっていたようだ。以下が、24日のセントラル・ラインの様子だという。

この現状を受けて、ロンドンのサディク・カーン市長は「公共交通機関は医療従事者や警官、教師などだけが使うべき」とし、国民が不要不急の外出に応じなければ「人が死ぬ」と強く警告した。

「ナシ」と判明するまで基本「アリ」。男の悲しい性(さが)の話

日常生活において不思議に思ったり、ちょっと気になったあれこれについて考察するメルマガ『8人ばなし』。著者の山崎勝義さんが今回俎上に載せるのは、女性が実際よりも美しく見えることを表現した言葉「夜目、遠目、笠の内」です。山崎さんは「よく見えないこと」がポイントであるとし、人間は不確定要素のあることに関して悲観的に予測する傾向にあるのに、それとは真逆の傾向を示す場合があることに面白みを感じています。なお、山崎さんにとって、いま街に溢れるマスク姿は「夜目、遠目、笠の内」には入らないようです。

『夜目、遠目、笠の内』のこと

「夜目、遠目、笠の内」。女性が美しく見えるというシチュエーションの三例である。この言い回しについて、辞書によっては「状況や背景の如何で女性の容姿は実際以上に美しく見えることがある」といった感じの意義記述がなされているのであるが、どうしてもそれでは不十分な気がしてならないのである。というのも、

  • 夜目=暗くてよく見えない
  • 遠目=遠くてよく見えない
  • 笠の内=笠がじゃまでよく見えない

と説明すれば分かる通り「よく見えない」ことこそが大切な要件なのであって、無条件に状況や背景次第とは言えないからである。試しに類似のシチュエーションを新規に挙げるなら、

  • 近眼=目が悪くてよく見えない
  • 帽子=つばがじゃまでよく見えない
  • 俯き顔=見ようにも顔がよく見えない

といったところが妥当な線である。仮に前述の辞書のような意義記述にならうなら、

  • 桜の下
  • 砂浜の上
  • 紅葉の内

なども挙げていい筈であるが、これらが当該表現との類似性を持ち得ないことは日本語スピーカーなら誰でも直観的に分かるところである。

それにしても「よく見えない」場合に好意をもってその全体像を補完するという心理はちょっと面白い。ただ、同じ「よく見えない」でも意図的に隠されている場合、例えばマスクやサングラスなどの装着時にはこの補完は働かないような気がする。たぶんこれはそこに見せられない事情のようなもの、例えば口角炎だとかものもらいだとかいったものの存在を感じるからではないだろうか。逆にそういう場合を除けばこの補正はもれなく発動すると言っていい。

それにしても我々人間は不確定要素のあることに関して常に楽観的という訳でもない。寧ろ(心を絶望から守るために)悲観的な予測を立てる傾向にあると言った方がいいくらいである。にもかかわらず女性(おそらく女性から見た男性も同様であろう)に対してのみ働くこの楽観は一体何なのであろうか。

これには生物学的観点からの説明が最も自然であるように思う。つまり異性は常に生殖の相手になり得るということである。相手としてこれはさすがに「ナシ」と判明するまでは基本「アリ」という訳である。

勿論、そうそう女の尻ばかり追いかけている訳ではない、とお怒りの方もいるであろう。しかしそんな人も周囲が暗くなって「よく見えない」状況ともなれば忽ちにこの補正の支配を受けることになるのである。考えてみれば、暗くなるということはそれだけ野生の状態に近づくということでもある。暗闇は人類にとって常に恐怖の元であり、また興味の元であったに違いない。

こんなことを考えたりなどしていると、目が悪い人がちょっとうらやましくなってくる。眼鏡やコンタクトを外すと視界がぼやけてしまう人のことがである。あまり視力が悪い訳でもない自分は、つい想像するのである。不謹慎にも想像するのである。視界が夜目同然にぼやけると普段見慣れた、あるいは見飽きた女性の顔もなかなかに美人に見えるのではないか、と。実際にこれを経験したという方、ご報告お待ちしております。

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ダイドードリンコはなぜ道の駅や高速道路のSAでオムツを売るのか

ダイドードリンコが王子製紙、セコム医療システムと協業し、道の駅や高速道路のサービスエリアにある自社の自動販売機にて紙おむつの販売を始めました。P&Gは、同じく道の駅やサービスエリアにおむつ交換台の設置を推進しています。このような動きの背景をメルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』発行人の理央周さんが解説。ダイドードリンコの取り組みのように既にある物同士をつなげる着想を得るための2つのコツを伝えます。

自販機でオムツを売る?

付加価値を生むのが差別化、と聞いても、「そうは言っても、どうやってやればいいの?」というのが本音でしょう。

ダイドードリンコが大王製紙などと共同で、「紙おむつの自動販売機」を全国展開する、と発表しました。これがなかなか面白くて、その記事の写真には、ダイドーのジュースを売っている自販機の中に、220円で「紙おむつ」が一緒に並んでいます。これを、「道の駅」や高速道路のサービスエリアを中心に、約200台も設置すると報道されています。

自動販売機であれば24時間やっているので、欠品にならない限りいつでも買うことができるわけです。確かに、外出先で子どものおむつを替えようとしたら、持って出るのを忘れたり、足らなくて困ったりしているときに役立ちますよね。

おむつを自販機で販売するというアイディアは、今まで、ありそうもなかったですよね。それを「ジュースの自販機でやる」というのも斬新な発想です。

考えてみれば、サービスエリアでは、たくさんお自販機が並んでいるので、紙おむつを買いに来たお客さんが、ついでにジュースも買ってくれる、という「売り伸ばし」にもつながる名案ですね。

P&Gは全国の道の駅にオムツ交換台を設置

外資系企業P&G社の製品のパンパースも、一般社団法人全国道の駅連絡会と協業して、全国の道の駅に順次、おむつ交換台を設置する、ということを発表しました。

その第1弾は、群馬県の「道の駅 川場田園プラザ」などで、今年の1月から設置をスタートしているそうです。こちらは、P&G社が進めている、「あなたらしい子育てが、いちばん」というプロジェクトの一環だそうです。

おむつ台を設置しますが、そこでおむつそのものを販売するということではないので、直接の売り上げにはなりません。しかし、企業として、「私たちの子育てに、真摯に取り組んでくれている」というイメージがターゲット層の間に広がるでしょう。

ダイドーやP&Gのこういった戦略の背景には、子育て世代のニーズがあります。アスキーキッズニュースによると、P&G社がとったアンケートには、「外出先での子育て、育児環境が整えば、もっといろんな場所に子どもと行きたい」という回答は93.1%にものぼったとのことです。

パパママ世代にとって、いろんな場所に子供達を連れて行きたい、でもおむつの交換や不足などがあると困るな、というニーズがあります。そのアンケートには、おむつ台の欲しい公共施設として、「駅・道の駅」は公園に次ぐ第2位(43.5%)だったとのこと。ダイドーもP&Gもこの点に目をつけた、ということです。

マーケティングの原点は、「ターゲット層のニーズ、困っていることや欲しいと思うことを解決する」ことです。その時に、そのニーズがある市場が“大きい”とか、今は小さいが伸びる可能性が高いのか、を考えて製品をだしていきます。自社にとって「美味しい市場か」ということですよね。その点を見事に掴んだ戦略だといえます。

イタリアの医療崩壊の惨状が示す「クールなトリアージ」の必要性

新型コロナウイルスによる死者の数が中国を大きく上回り6000人を超えたイタリアは、医療崩壊に陥っていると言えそうです。日本は幸いそのような事態にはなっていませんが、感染爆発がいつ起きてもおかしくないとの警告もあり予断は許されません。危機管理の専門家で軍事アナリストの小川和久さんは、自身が主宰するメルマガ『NEWSを疑え!』で、韓国が採用した例や米国のテロ対策の例を紹介し、いま一度トリアージと隔離についての考え方の徹底が必要だと訴えます。

コロナにはクールなトリアージ

米国では、急激に感染者が増えたカリフォルニア州で、海岸にハウストレーラーを並べた隔離対策が実施され、各1000床のベッド数を誇る米海軍の病院船コンフォート(69000トン、東海岸)とマーシー(同、西海岸)もコロナ対策に投入されています。

どれも、米国ならではの取り組みで、クルーズ船ダイヤモンドプリンセスの船内感染対策で日本を批判し、あざ笑っていた米国の慌てぶりも見て取ることができる光景です。しかし、だからといって日本にとっても対岸の火事ではありません。

まず、日本ではハウストレーラーが普及していないので、100台単位で並べていくことなど考えられません。病院船も、いくら推進するための議員連盟ができても、必要性が叫ばれた阪神・淡路大震災から25年経って1隻も保有していない日本です。実現はいつになるかわかったものではありません。

そんな現状に対して、現在進行形でコロナ対策を推進しながら、次なる感染症のパンデミック(世界的な大流行)に短期間で備えを固めるためには、小型から大型までの病院天幕を自治体単位で保有すべきだと述べてきました。

野球場のドームを実現している日本です。堅牢で必要な機能を備えた病院天幕を備えることは難しくありませんし、施設を建設することに比べて、用地取得などの経費もかかりません。

病院船のほうも、中国が保有しているような中古の貨物船に医療モジュールコンテナと高度医療設備を積んだ病院船(基本モデルで200床)を、できれば10隻ほど保有し、日頃は7隻くらいをアフリカ沿岸などで無料の医療活動に従事させ、1隻は日本沿岸を巡航しながら突発的な大規模災害に備え、同時に世界から集めてきた医療スタッフ、病院船運用スタッフの育成施設としても活用するという構想のほうが、新しく1隻600億円も掛けて建造するより現実的だと思っています。

ただ、現在の話に戻りますと、そこから学び、これからの対策に役立てるべきは感染症の症状によるトリアージと隔離についての考え方だと思います。

韓国は、自分でやってこられるような軽症者や症状が出ていない感染者専用の施設を確保し、そこで対応できるよう取り組みを進めています。まだまだ分類指針が徹底されていないようですが、そうしておけば、本格的な入院と治療が必要な重症者を設備の整った病院に収容し、必要な治療ができるようになります。

私と西恭之さん(静岡県立大学特任助教)が編集・翻訳した『アメリカ式銃撃テロ対策ハンドブック』(2019年3月、近代消防社)にも、同じ考え方が繰り返し強調されています。

事件現場から最初に設備の整った病院にやってくるのは、自分の足で駆け付けてくることができる人か軽傷者に限られています。この人たちでいっぱいになった病院に、あとから重症者が救急車で搬送されてきても収容も対応もできないことは明らかです。だから、自分の足でやってきた人、軽傷の人は「ほかの病院に行くよう、追い返せ」と厳格なルールが示されているのです。

それが明確になっていなかった結果、選別なしに感染者を受け入れてしまったイタリアの医療崩壊の惨状は、私たちに感染症やテロ、大災害時の情に流されないクールなトリアージについて問いかけています。(小川和久)

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コロナ対策で自民が和牛消費へ商品券を検討「利権?」と怒りの声

自民党が検討している新型コロナウイルスの感染拡大に伴う農業分野の経済対策の骨格が24日、判明したと日本農業新聞が伝えている。記事によると、和牛などの需要を喚起するため、購入を促す商品券を発行するという。これに対し、ネット上では「優先順位が違う」「この期に及んで利権優先? 」など怒りの声が上がっている。

和牛消費を促す商品券

新型コロナウイルスの影響で、外食の自粛や訪日外国人の減少などで和牛の需要が激減。その需要を喚起する狙いがある。

自民党農林幹部での調整を経て、農林部会が26日にも取りまとめた後、同党全体で対策を集約し、政府に提言する。これを見据え、安倍晋三首相は27日に予定される2020年度予算案成立後、経済対策の財源となる補正予算案の編成をただちに指示する見通しだと日本農業新聞は伝えている。

牛肉など品目を限った商品券で効果的に消費を促したい考えだが、党内には他の分野でも商品券の発行を求める意見があり、調整が難航する可能性もありそうだ。

新型コロナウイルスの感染拡大による景気の落ち込みへの緊急経済対策として、国民へ現金給付をするのか、商品券を配布するのか議論されている今、自民党が検討しているという和牛消費の商品券発行は、果たして必要なのであろうか? 個別の産業の対策をするより、もっと優先すべきことがあると今後議論を呼びそうだ。

グレタさん新型コロナ感染の可能性「極めて高い」と自ら告白

スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(17)は24日、世界的に流行している新型コロナウイルスに自身も感染した可能性が「極めて高い」と明らかにした。旅行から帰った後にだるさやせきなどの症状が出たことから、新型コロナウイルスの感染を疑い外出しないようにしているという。

グレタさん新型コロナ感染の可能性

NHKによると、自身のインスタグラムを24日に更新したグレタさんはその中で「旅行から戻った後、この2週間、アパートにこもっています。10日くらい前から体のだるさや震え、のどの痛みとせきがでます」と綴り、ベルギーやドイツで気候変動対策を訴える活動に参加し、帰国した後に体調を崩していることを明らかにした。

また、「自分の症状は軽く、病気だとは感じなかったくらいだ。若い人は症状に気付かずに他の人にうつすかもしれず、危険だ」とも書き込み、若者も専門家のアドバイスに従い不要不急の外出をしないなどの対策をとるよう呼びかけている。

グレタさんは欧州で父親と共に行動。その父親もグレタさんと同じような症状が出ていて、熱もあるという。

症状が重い人を優先的に検査しているスウェーデンでは、救急医療を必要としない限り新型コロナの検査を受けられない。そのためグレタさんと父親は2人とも検査は受けていないという。

WHO(世界保健機関)のまとめによると、23日時点で1906人の感染がスウェーデンで確認されている。