岩手県を旅行中の大魔王ポルポルだ。
4週に渡ってお伝えしてきた岩手県征服旅行も今回が最終回である。何度も言っているが、我輩は台風と共に盛岡市へやってきた。我輩の支配している日本は本当に台風が起こりやすい島なのだ。覚えておくがいい。ガッハッハッハッハ!!
ここまで、我輩は盛岡のスーパー旨いメシをたくさん紹介してやった。1周目には「魔界特性のカスタ魔イズパンが食べられる、福田パンを支配してやった。」
そのあと、盛岡市の夜を堪能して、じゃじゃ麺までもが魔族の手に陥った。酒場では、タクシードライバーを一気飲みしてベロベロになった。
どの料理もウマすぎて、魔族である我輩ですら盛岡市に入り浸ってしまうほどだ。
東京の風景とは、また一味違った田舎の雰囲気を楽しみながら、我輩のココロの高笑いは止まらない。しかし!高笑いしながらも財布の中は空っぽだ。それでもお腹は減るのだから困っている。
どうすればいいのだ?どうすればいいのだ?路頭に彷徨いながら空腹に飢えていた。

「ガッハッハッハッハッハ!!我輩、金がないが腹がへったのだ。」
そんな独り言も盛岡の街に溶け込むように消えていく。
そんなことを思いながら、日本一周のときにお世話になった人を魔族直々に呼び出してやった。
「おい!この盛岡で美味しい物をよこせ。ガッハッハッハッハッハ!!」
と、言いつつも電話越しにペコペコと頭を下げている。そして、すぐさま我輩のもとにニンゲンが駆けつけに来た。
「だ・・だ・・だ・・大魔王様!お疲れ様です。」ニンゲンは冷や汗をかいている。
「挨拶など、どうでもいい。我輩は腹がへった。何かを食べさせろ。金がないのだ。」我輩は心の声で言った。
「あ、あ、はい!でしたら、盛岡市で有名な牛タンのお店があります。」
「なに?牛タンだと?ガッハッハッハッハッハ!!我輩に肉を食わせるのだな。」我輩は心の声で言った。
「は・・はい。どうぞご案内します。」
「ふん!さっさと歩け!奴隷がっ!」我輩は心の声で言った。
盛岡市の街が闇へと染まっていく瞬間だった。
盛岡を締めくくるのにふさわしいお店に案内されながら、我輩は「ありがとうございます。」と、頭を下げながら、仙台で食べる牛タンよりも美味しいと評判のお店である「とち」に向かった。魔族もビックリの牛タンだそうだ。ガッハッハッハッハッハ!!
そのお店は駅から徒歩15分ほどの場所にあり、開店と同時に長蛇の列ができるそうだ。
「金がないのに牛タンが食べられる」
そんなことを考えれば、今日も一日ハッピーな日になったのだ。我輩は満足げに歩きながら、ワクワクが止まらない。

我輩は楽しみにしながら、店の前に立ち、「うわー。牛タンの匂いやん」と言った。
しかし!その一言にニンゲンは突っ込んだ。
「だ・・だ・・大魔王様!牛タン屋の前なので、牛タンの匂いがするのは当たり前です!」ニンゲンは冷静に突っ込んだ。
「ち・・ち・・違う!こ、これは、ニンゲン界で言うジョークだ。ガッハッハッハッハッハ!!」我輩は恥ずかしくなった。しかし、そんなことを気にしていて大魔王は勤まらない。気にせず店内に入ることにした。
「ガッハッハッハッハッハ!!我輩は大魔王。我輩にとびっきりの肉を焼くのだ。ガッハッハッハッハッハ!!」
と、言う声も、店員の「いらっしゃいませ」の声にかき消された。我輩は黙りこんで席に着いた。恥ずかしくてほっぺが赤くなったのを覚ますために水をグイグイ飲んだ。
魔族といえど、恥ずかしくて溜らなくなる時もあるのだ。

店内には、牛タンを焼いた煙がモクモクと充満しているが、それはそれでいいだろう。素晴らしく香ばしい匂いに酔いしれながら、「ガッハッハッハッハッハ!!我輩に牛タンをよこせ!」と、言いつつ、店の中に広がる牛タンの匂いに酔いしれた。
スゴク良い香りの雰囲気に思わず、我に返りなんと香ばしい香りだ。魔界にはない。と感激した。
そうやってニヤニヤしながら鼻の下を伸ばしている大魔王ポルポル。他から見ると、怪しい人物だ。店員から変な目で見られている。店員は怪しすぎる我輩に、「ヤバイ..。」という目をしている。
当たり前だが、メニューを見ると、牛タン定食がメインのようだ。
なので、我輩は牛たん焼き定食の大盛りを頼んだ。値段はなんと、2160円。ホームレスきっての最高級の値段だ。金なしでもこんな良いものが食えるのだぞ。我輩はタダで牛タンが食えることに満足だった。
「ガッハッハッハッハ!!実にゆかいゆかい。ガッハッハッハッハ!!」
その一人ニヤニヤしている我輩は、余計に怪しい人と見られてしまった。
我輩は、そのまま目の前で焼かれる牛タンに見とれながら、帰りのバスの時間を調べていた。この牛タンを食べたら、夜行バスで東京へ帰るのだ。その夜行バスの時間を調べていた。
実は、日本一周中に仙台に寄ったときは金がなく、牛タンを食べそこなった。そして、今回は、仙台ではないが、盛岡市で牛タンを食べられるので、ワクワクが止まらない。

盛岡市最後の日に「特性の牛タンが食べられて満足だ。」そう感じながら、目の前に出された牛タンを思いっきりほおばった。肉肉しい肉汁が、口の中に広がる。定食に付いてきた、ご飯は玄米だ。この玄米が実にうまい。
「ガッハッハッハッハ!!なんと美味たるご飯なのだ。」そう思いながら、「メッチャウマいっすね!」と、奢ってくれた人に言った。仙台のよりうまいんじゃないっすか?

盛岡来たらこれを食わなきゃ帰れない。大魔王にそう言わせるほどの美味しい牛タンになっていた。こんな美味しい牛タンは魔界にはない。そう思いながら、一心不乱に肉の亡者のように食らいついた。
タレ落ちる肉汁。分厚い牛タン。まるでライオンのように動物の本能に目覚めた味だ。

「ガッハッハッハッハッハ!!マスターなんと美味たる味なのだ。気に入ったぞ。この店の魔グログ1位の店にしてやろう。ガッハッハッハッハッハ!!」
そう思いながら、全て食らいついてやった。
完食するのになんと10分。驚異的な速さで、食べ終わると、満足げに外に出てやった。もちろんお金は持ってない。堂々と、奢ってもらった。
「ガッハッハッハッハッハ!!なんと、ウマいのだ。」といって、お世話になった人と一緒に店を出た。
盛岡市はなかなか面白いところが多かった。なんと素晴らしく美味い物がそろっているのだ。そう思って、東京へと帰ることにした。しっかりと夜行バスに乗って。
(つづく)