【震度5弱】富士五湖に続き和歌山でも地震発生。現実味を帯びてきた南海トラフと富士山噴火、首都直下地震

12月3日午前6時37分に発生した、山梨県東部・富士五湖を震源とするM4.9(最大震度5弱)、震源の深さ20kmの地震。実は同震源地で3日午前2時18分ごろに震度4、さらに午前2時23分ごろにも震度3の地震が発生していた。わずか数時間のうちに3回も、震度3から5弱の地震が発生していたのだ。

これだけではない。富士五湖の震度5弱からわずか3時間後の同3日午前9時28分ごろ、今度は和歌山県紀伊水道を震源とする、M5.4(最大震度5弱)、深さ20kmの地震が発生したのだ。これには日本中の国民が朝から驚いたに違いない。全く異なる地域で数時間後に同規模の大きめな地震が発生することは稀だからだ。

ここで懸念されるのが、富士山噴火の兆候、そして南海トラフ地震発生の兆候だ。気象庁は3日朝、富士五湖の地震について次のような発表を出した。

過去の事例では、大地震発生から1週間程度の間に同程度の地震が発生した事例は1~2割程度あることから、揺れの強かった地域では、地震発生後1週間程度、最大震度5弱程度の地震に注意してください。特に、地震発生後2~3日程度は、規模の大きな地震が発生することが多くあります。(中略)

なお、富士山の観測データには特段の変化は認められていません。

今のところ、富士山噴火の兆候については特段の変化はないという。しかし2020年10月、静岡で3.11が発生した2011年以来の異常な湧き水が報道されたことを覚えているだろうか。東日本大震災の4日後の3月15日、富士宮市ではM6.4震度6強(深さ14km)という巨大地震が発生している。3.11の影に隠れてあまり大きく報じられなかったが、この地震は後に「静岡県東部地震」と名付けられた。

静岡で「2011年以来」の異常な湧き水。首都圏大地震の発生は近いのか?

そして長年懸念されているのが「南海トラフ」地震だ。和歌山の震源で大きな地震が発生したと聞いて、この地震を思い起こした人も多いことだろう。南海トラフでスロースリップが観測されたことは昨年1月に大きく報じられたが、このタイミングでTBS日曜劇場にて放送中のドラマ『日本沈没』を見ていると、その恐ろしさは現実味を帯びてくる。

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そして、一連の地震を受けて関東周辺の住民を震え上がらせているのが、首都直下地震発生の兆候だ。

なぜ小川淳也は立憲代表になれなかったか。“排除”に動いた「黒幕」の名前

4名の候補者による代表戦を制し、立憲民主党の新たな顔となった泉健太氏。選出後の挨拶で自らを「船長」と例えた新代表ですが、しかしその船出は前途多難であることに間違いはないようです。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、社会全体に「野党嫌い」の風潮が深く根を張っている事実を指摘するとともに、このような状況を招いた原因を考察。その上で、立憲民主党に今後もっとも求められる重要な要素を提示しています。

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立憲新代表は野党嫌いの社会風潮に対処できるか

迫力がない、政策の違いが判らない、盛り上がらないとメディアに散々こきおろされた立憲民主党の代表選は、泉健太氏を新代表に選出して幕を下ろした。

「地盤がなくても、資産がなくても、学歴がなくても、思いと正義感、世の中を変えたいという思いがあれば、この立憲民主党に集ってもらい、ともに世の中を変えることができる」

ハリのある明瞭な声。よどみない泉氏の語り口。政調会長をつとめ、党務の実績もある。無難な選択といえるのだろう。若いのに堂々としていて、見た目、これといった欠点は見つからない。

しかし、泉氏が代表になったからといって、たやすく立憲民主党に新風が吹き込まれるとは、とうてい思えない。

代表選をめぐり、この党に残る古色蒼然とした体質が露呈した。

枝野前代表をはじめ党内最多の27人が所属するグループ「サンクチュアリ」は旧社会党出身の赤松広隆氏が、いわば“創設者”であり、引退した今も影響力を保っているといわれる。

枝野氏が代表辞任を表明した直後、メディアの質問に答えるかたちで代表選出馬の意思をいち早く明らかにしたのは、サンクチュアリのメンバー、小川淳也氏だった。

当然、小川氏はこのグループから20人の推薦人を得るべく奔走したが、ほとんど誰からも色よい返事はもらえない。その背後で、赤松氏が小川排除に動いていたのである。

そんなわけで、サンクチュアリは枝野体制を支えてきた逢坂誠二氏を擁立することになった。

ほかに、菅直人元首相のグループ「国のかたち研究会」(16人)は西村智奈美氏を推し、旧国民民主党の議員による「新政権研究会」(22人)や小沢一郎グループが泉氏を擁立した。

小川氏は大島新監督のドキュメンタリー映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』のおかげで一定の知名度を有するが、党内人気はいまひとつだった。とりわけベテラン議員には受けがよくない。希望の党への合流で民進党が分裂したさい、民進党代表だった前原誠司氏(現・国民民主党代表代行)の最側近だったことも影響しているのだろう。

推薦人20人に遠く手の届かない小川氏は出馬を一度はあきらめかけた。その窮地を救ったのは蓮舫代表代行だ。大串博志氏の推薦人集めをしていた手塚仁雄議員に電話して、こう言ったという。

「小川さんが代表選に出られないのは立憲民主党にとってまずいよ。実直で熱意を持った議員が認められないという悪いメッセージになる」(11月22日デイリー新潮)

これをきっかけに、大串氏の陣営が小川氏を担いで一本化することを決めたため、小川氏はかろうじて出馬することができたが、大串支持の野田元首相、岡田克也氏あたりは、当初、小川氏への乗り換えを渋っていたようだ。

 

国税庁マルサが資本金1億円以上の大企業に踏み込めぬ「真の理由」

先日掲載の「元国税調査官が暴露。国会議員が国税庁に“圧力”をかけている裏の実態」では、有権者から依頼された政治家による税務署への不当な働きかけの事実を暴露した、元国税調査官で作家の大村大次郎さん。しかし議員よりもさらに大きな影響力を持つ存在があるようです。大村さんは今回、自身のメルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』で、現役署員たちが絶対服従を強いられる「国税OB」が果たす役割をリーク。さらに映画でもおなじみの「マルサ」が大企業に踏み込めない本当の理由を暴露しています。

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※本記事は有料メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ税金情報』の2021年12月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール大村大次郎おおむらおおじろう
大阪府出身。10年間の国税局勤務の後、経理事務所などを経て経営コンサルタント、フリーライターに。主な著書に「あらゆる領収書は経費で落とせる」(中央公論新社)「悪の会計学」(双葉社)がある。

 

国税OB税理士は脱税し放題?税務署には政治家よりもOBの方が影響力がある

前号では、政治家が税務調査に介入してくることもあるということを述べました。

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が、税務調査に関しては、政治家よりも国税OBの方がよほど影響力があり、介入の頻度も多いのです。政治家は、支持者から口利きを求められたときにだけ介入してきますので、税務署としてもそう簡単には口利きには応じません。が、国税OBの場合、税務署と日常的な癒着の構造があるのです。具体的に言えば、国税OBの税理士が顧問となっている企業には、税務署は手心を加えることが多いということです。

税理士というのは、企業の決算書、申告書をつくるのが主な業務です。税務署に対し、企業側の代理人的存在であり、国税(税務署)との折衝役的な存在でもあります。この税理士の多くは、国税のOBなのです。国税職員というのは、約21年間勤務すれば、税理士の資格が得られます。そのため、国税職員は、退職すると、ほとんどが税理士になります。

つまり、それまで企業の税務調査などにあたっていた税務署員たちが、退職後は企業側に回って、代理人になるのです。

現役の税務職員にとって、国税OB税理士は先輩にあたります。それが、納税者の味方、つまり自分たちの敵として対峙するわけです。普通の「緊張関係」が保てるわけはないのです。

そもそも国税職員というのは、先輩と後輩の結びつきが強い組織です。後輩は先輩の言うことを絶対聞かなくてはならないし、先輩は後輩の面倒を必ずみなければならないという不文律があります。

また国税職員というのは酒の付き合いが非常に多いです。そして酒席となれば、必ず先輩が後輩に奢ってやらなければならないという暗黙の掟もあります。

そういう関係というのは、先輩が国税をやめたからといって簡単に断ち切れるものではありません。すると、どうなるでしょうか?

当然のごとく税務署員と税理士の癒着になるのです。たとえば、2008年11月に、こういう事件が発覚しています。大阪国税局の職員十数人が、同国税局出身のOB税理士から飲食の接待を受けていて、処分を受けたのです。このOB税理士は平成14年まで大阪国税局に勤務しており、当時は大阪市内で税理士業を開業していました。そして個人の課税関係の現職職員らに飲食の接待などしていたそうです。

大阪国税局監察官の調査などでは、職員が税理士に対して具体的な便宜を図った事実は確認されなかったので、贈収賄事件には発展していません。しかし、この行為は公務員倫理法に抵触していたのです。

贈収賄としては立証できなくても、国税職員たちがこのOB税理士の顧問先に、なんらかの手心が加えられたことは、明白です。

こういう接待を受けた場合、そのOB税理の顧問先でまともな税務調査などできるわけはないのです。あからさまに税金を安くすることはなくても、落ち度を見て見ぬふりをしたり、普通よりも軽めの調査になることは非常によくあることなのです。

筆者も、現役時代にOB税理士から御馳走されたこともあるし、OB税理士から紹介された飲食店で、料金を安くしてもらったこともあります。こういう経験がない税務署員は、皆無だと言っていいでしょう。

しかも国税OB税理士が、元幹部だったりすると、国税局に強い影響力を持つことになります。直接の後輩が国税の中枢にいることが多いからです。だから、国税の大物OBには、職員レベルではなく、国税局や税務署までも遠慮してしまうことになるのです。

 

失敗も成功も経験せずに経営者となった「後継ぎ」はどう育てるべきか

事業に関する成功や失敗などの実体験を持たずに権限だけを得てしまう等、「後継経営者」にはさまざまなリスクがあります。今回のメルマガ『戦略経営の「よもやま話」』では、著者の浅井良一さんが後継経営者のマネジメントについて、中国の逸話や松下幸之助氏の言葉を引きながらお話ししています。

後継経営者のマネジメント 生き死を決する知恵

後継経営者は、自身が起業したのではないので、はからずして一定の事業基盤を持てるとはいえ、付随する困難性をも持つのが常です。失敗を含めての多くの経験は、当事者に多くの知識と知恵をもたらし、またその上での成功体験は自覚と自信をもたらします。それらがない後継者は、ある意味で強みなく事を行うことになります。

大きく事業を確立した経営者は、顧客と時代の欲求をとらえ多様な人材を獲得し育成し動機づけてマネジメントしたから成果を得ます。後継経営者も、変化の中で変革してこれを実現しなければなりません。

後継経営者の困難性とはどんなものなのか、それについては3つあり、その1つは、実体験を持たないなか責任の意味も判然としないで権限を得ること、2つ目は、時代にそぐわない陳腐化する成功体験や文化を無自覚で引き継いでしまいがちなこと、そして3つ目は今日的な変化の中にあるのに安定、安全がとうぜんであると錯覚しやすいことです。

無節操に与えられることに慣らされて、無自覚であれば悲惨です。けれど、溺れることなくさらに興隆する後継者が少なからずいるのも確かで、興味深いのは、そんな後継経営者は先代と真っ向から対立するケースも多分にあり、星野リゾートの星野さんもそんな一人です。甘えを克服して、基盤を活用し革新できる経営者には未来があります。

営業マンは「自己暗示」をかけると契約がとれるようになるって本当?

売れる営業マンになるコツを配信している無料メルマガ『売れる営業マンの常識は売れない営業マンの非常識!』の著者で営業実務コンサルタントの島田安浩さんが、人生で一番難しかったと話すのは実は「営業」そのものなんだそうです。売れるようになるまでの血の滲むような努力と考察の結果、彼がたどり着いた売れる営業マンの極意とは何なのでしょうか?

 契約は営業マンの頭の中!?

私は、コツコツ努力をするタイプです。出来るまで諦めずにやり続けます。そうすると出来るように成るものです。ただ、ゴルフと麻雀はムズイです。人並みには成れてませんし、最近は全くやっていません。松山英樹を観ていたら、久々にゴルフをやってみたいなぁ~って、思います。8年ぶりに打ちっぱなしでも行こうかな?って思いますが…、もう一つ、人生で最も難しかったのが、『営業』です。

売れるようになるのに、本当に死に物狂いで行動し続けて、8ヶ月もかかりました。それこそ、朝早くから夜中まで、寝る時間以外は営業漬けでした。最初の3年間は本当に営業漬けの毎日でした。この3年間があったから今の私があります。

ある期間、あることにうち込んでやり続けることで、自分の宝物にすることが出来ます。職人さんでも、スポーツでも、他の仕事でも同様だと思います。

営業をやっていると、「決まる」か「決まらないか」客先で分かります。これは、金額とかお客様の反応とかでは無いです。実は、営業マンが「決まる」と思えば決まります。営業マンが「決まらない」と思えば決まりません。

結果を左右するのは、営業マンの「心」だと言えます。「何、意味不明なこと言ってんだ!」と、思われるかも知れませんが、本当にそうなんです。これを理解しないで営業をしている人がほとんどです!だから、行き当たりばったりで営業をしてしまいます。

「決まる」と思えるまで練り上げずに、現場任せで行動をするから、中途半端な結果しか出せないのです。「決まったらイイなぁ~」なんて考えでは、決まる訳が無いのです。「決まった!」と頭の中でイメージ出来て営業するから決まるんです!

追悼・中村吉右衛門氏。鬼平で見せたトップリーダーのあるべき姿

11月28日、77歳にして惜しくも鬼籍に入られた歌舞伎俳優で人間国宝の中村吉右衛門さん。多くの当たり役を持つことでも知られる吉右衛門さんですが、火付盗賊改方の長谷川平蔵を演じた「鬼平犯科帳」シリーズを代表作に推す声が多く聞かれます。スピーチのプロである森裕喜子さんもそのお一人。今回森さんは自身のメルマガ『スピーチコーチ・森裕喜子の「リーダーシップを磨く言葉の教室」』で、吉右衛門さんの鬼平を「理想のトップリーダー」と位置づけ、プロとしてそう判断する理由を独自のボイスイメージ分析を基に解説しています。

※本記事は有料メルマガ『スピーチコーチ・森裕喜子の「リーダーシップを磨く言葉の教室」』の2021年12月1日号の一部抜粋です。この続きと全文にご興味をお持ちの方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

【関連】歌舞伎俳優の中村吉右衛門さん77歳で死去。「鬼平」の訃報に悲しみの声あふれる

 

鬼平:トップリーダーの言語・非言語的魅力の数々

吉右衛門さま演ずる「鬼平」という存在は、トップリーダーとはこういうものである、を言語非言語で見せて、聴かせてくださいました。

言葉選びと繰り出すタイミングはごくごく自然、その上、相手と目的に応じて自然と声色を使い分けられる巧みさも持っている。

盗人を捕らえる瞬間の見せ場では、馬に跨り高らかに、早口気味に、た~っぷりと聴かせるおきまりのセリフ、

「火付盗賊改方、長谷川平蔵であ~る!神妙にいたせい!」

ほっかむりをした大勢の盗人たちは、やや!と一気に情勢にむせ返り、その後、提灯が舞い、刀と十手が重なり合う金属音が闇夜にこだまする大立ち回り。

あの高らかな声。歌舞伎の見せ場でも、鈴がキラキラと響き渡るようなお声でした。

大勢の敵味方を前にして、輝く声とセリフでしたが、もちろん、一対一のコミュニケーションの場でも決して相手を逃しません。

とらまえた難攻不落な悪党も、たったひとことで、「申し訳ございませんぬ!」と降参させてしてしまう強かなやりとり。

元盗人稼業の荒んだ人間を改心させた火付け盗賊の密偵たちは、「長谷川さま」と終生、心を入れ替えて新たな人生を歩みました。

長谷川平蔵は若かりし頃は多少ではないかなりのやんちゃをされたそうで、自分自身でもそんな過去があるからこそ、人間の酸いも甘いも腹の底からわかっていたからこそ、そんな芸当ができたのだと思います。

と、いうような時間軸をも、ひとつのセリフ、仕草の中に感じさせる役者さんでした。

言葉でのコミュニケーション力もさることながら、やはりそれ以外の、非言語、ちょっとしたしぐさや立ち居振る舞いは忘れられません。

人を見定める際の黒目の動かし方や速度、役目を隠して町を行く際の足運びや背中の角度、人とあい対する際の距離感や居住まい正座か片膝か、あるいは中腰か、立った状態か、人の話の聞き方と息づかい、相槌の打ち方、回数と角度、その際の目つき、あの声、足運び、着物の裾の揺れ具合。目に焼き付いております。

…などなどなどなど、あああああああああああああああ書ききれん言い切れん伝えきれん!!!

いわゆる、トップリーダーの「さもあらん(こうであろう)」を、実際にはそんな人は存在しないのだがこうであったらなんと素晴らしいことか、を、いとも簡単に(見えました)演じて見せてくださった、すべてを体現しておられたのが、中村吉右衛門さま、なのです。

そして、そのお体を通して長谷川平蔵という理想のトップリーダーが、私の脳裏に常に居らしたのでした。

その吉右衛門さまが、この世から、此度、居なくなられてしまわれました。

 

『ドラゴン桜』指南役が「ことわざ」を知って育児すべしと語るワケ

古臭いと思われがちな「ことわざ」ですが、先人たちの知恵が凝縮された力強い言葉なのです。今回の無料メルマガ『親力で決まる子供の将来』では漫画『ドラゴン桜』の指南役として知られ、23年間の公立小学校勤務の経験を持つ親野智可等さんが、ことわざを子育てに生かして、先人たちの知恵を自分のものとし、我が子を客観的に見られるようになる方法を紹介しています。

ことわざは「古臭くない」――ことわざを子育てに生かして、我が子を客観的に眺められるようになろう

ことわざは先人の生きる知恵の結晶だ。私はことわざが好きで、教師時代、子どもたちとの接し方や仕事に向かう姿勢を考える上で参考にしてきた。

よく目にするありふれたことわざは、読み飛ばしてしまえばそれまでだ。だが、仕事や子育てに活かそうという気持ちを持っていれば、そこに深い真理が潜んでいることに気付かされる。

というのも、ことわざには、過去の多くの人たちが身を以て学んできた普遍的な真実が含まれているからだ。それが、自分の行動や心の動きを振り返るよすがになる。

これまでうすうす感じていたものが、見事に言葉として表現されていることに驚くこともしばしばだ。また、以前はピンと来なかった言葉が、年を経て何かの機会に改めて腑に落ちることもよくある。同じことわざでも、年齢や経験とともに受け取り方が変わってくるのだ。

このコラムでも第38回「親子の会話でことわざを使おう」で、ことわざに触れた。それは、子どもが生活の中でことわざを活かせるようにするというテーマだった。

今回は、親自身の生活や子育てにことわざを活かすというテーマである。

■子どもから謙虚に学ぶ大人ほど賢い

「負うた子に教えられて浅瀬を渡る」

先行者、賢い者、教え導く立場の者が、ときには未熟な者や若者から教えられることもあるという意味。私が教師をやっていたときに思ったが、子どもたちが教えてくれることは、実に多い。

「こちらのほうが上」という意識があると、年下の者から謙虚に学ぶことができない。子どもの中には本当に純粋な子がいる。彼らから謙虚に学ぶ大人ほど賢いのだ。

親も我が子を下と見ず、学ぶ姿勢を持って日々接してほしい。そうした意識を持っている親といない親とでは大きく違ってくる。このことは上司と部下の関係でも同じだろう。

「情けは人のためならず」

人に情けをかけておけば、それがめぐりめぐって自分によい報いが来るということ。

これは親子関係も全く同じで、子どもに優しく、親切にすれば、子どもも将来、報いてくれる。逆に親の都合や感情で叱りつけていると、同じような扱いを受ける。

もちろん、子どもが人を傷つけたりするなどの行為があれば、真剣に叱る必要がある。しかし日常的に子どもを叱る親は、そのときの気分で叱ったり、あるいは叱ることが習慣になってしまっているだけで、本当の躾ではない。

日頃から親が子どもを思いやって、優しく接すれば、子どもも優しく行いの立派な大人になり、親も老後の心配はない。

すれ違いざまに女性を殴った公認会計士の男逮捕。実在した「#わざとぶつかる人」に怒りの声

東京・池袋駅の地下通路ですれ違いざまに女性の顔を殴ったとして、公認会計士の男が再逮捕されたと、毎日新聞NHKなど複数のメディアが2日に報じている。

傷害の容疑で逮捕されたのは原田竜平容疑者(23)で、11月27日夜にも同じく池袋駅近くの路上で別の女性にひざ蹴りをしたとして暴行容疑で現行犯逮捕されていた。この27日の事件直前にも、同駅周辺で通行人の女性が体当たりされ、顔面を打つ怪我を負った傷害事件があり、警視庁池袋署が関連を調べているという。

この一件で思い出すのが数年前よりTwitterなどのSNSで話題となっていた「#わざとぶつかる人」というハッシュタグだ。すれ違いざまに女性だけを狙って肩の辺りに体当たりする男の動画が出回り、実際に目撃した人や、被害に遭った女性による告白が相次ぎ、社会問題として注目されていた。

実際に、この「#わざとぶつかる人」というハッシュタグでTwitterに検索をかけてみると、撮影された動画や、実体験などに基づく目撃情報、被害情報が多くヒットする。筆者も2年ほど前に、池袋駅のJR線の改札内にある乗り換え用通路で、似たような行為をして立ち去る男を目撃した。あれがワザとなのか偶然なのかは今となっては分からないが、こうした卑劣な行為を繰り返す人物が実在していることだけは確かだ。


今回の原田容疑者の逮捕によって、以前から話題となっていた「#わざとぶつかる人」が実在することが証明されたことに、ネット上では怒りの声が多く投稿されている。

「ここ、おかしい!」のネガティブ・フィードバックが必要な理由

何か問題が発生したときに原因を探ってみると、ほんの些細なミスを見過ごし、引き継いだ者がミスに気づいても黙殺していくうちに大変なことになっていたというのはよくあること。夏目漱石門下の一人、寺田寅彦が「遅れるバスはますます遅れる」と表現したこのような事象は、「ポジティブ・フィードバック」と呼ばれるのだとか。メルマガ『8人ばなし』著者の山崎勝義さんは、コロナで傷ついた2年間のうちに、致し方なくおかしな状態が続く今、「ここ、おかしいです!」と言える勇気、“胆力”が必要になると訴えています。

寅彦のバスのこと

失敗には必ず原因がある。当たり前のことである。しかしながら、その原因が分かった上で猶、無視されることも少なくない。見なかったことにするのだ。

例えば、ある事業において、第一次従事者がある失敗に気付く。それを報告・訂正すれば時間的にも経済的にもそれなりのコストがかかってしまう。そこで、これくらいのことは誰しもがやっていることだから看過レベルとしてそのままに放擲しておく。

第二次従事者はその事実を知らされていないから、後日自ら気付くころには訂正コストは結構なものとなり、加えて「自分たちは渡されたものを言われた通りにやっただけ」という言い訳も一応は成り立つから、やはりそのまま放擲する。

第三次従事者くらいになると「あれ、これおかしいな」くらいには気付くレベルとなっていても、今さら事を荒立ててもどうにもならぬこと、とやはり放擲する。

この式で進んで行くと、最終従事者あるいは消費者の手に届く頃にはにっちもさっちも行かぬくらいの大事になってしまい、巷間を騒がすような事態となる。損失も問題発覚の第一段階当初とは比べものにならぬくらい莫大になる。新聞、テレビに拠るまでもなく本当によくあることである。

こういった次の段階へと引き継がれるたびに第一段階のミスが少しずつひどくなってしまう行程の在り様をポジティブ・フィードバックと言う。悪いことなのだからネガティブだろう、と言いたくなるかもしれないがここはポジティブでいい。第一段階のミスが打ち消されず(=否定されず)に、さらに助長される(=肯定される)ような体での引き継ぎなのでポジティブ・フィードバックなのである。

知る限りにおいて、このポジティブ・フィードバックについて最も早くそして上手に説明し得たのは寺田寅彦ではないかと思う。寺田寅彦。夏目漱石の門下生にして物理学者。バラエティに富んだ漱石山房の中でも、一際異彩を放つこの理学博士は、この現象を「遅れるバスはますます遅れる」という言辞を以て表現した。

こういうことである。何かの事情でバスが遅れる。バスがいつもより遅れると次のバス停ではいつも以上の乗客がたまるから、乗り込みにはいつも以上の時間がかかる。元々遅れていたバスが乗車に時間がかかったためにますます遅れ、次のバス停にはさらにいつも以上の乗客がたまる。これを繰り返し繰り返しして「遅れるバスがますます遅れる」ことになってしまうのである。

東芝「3分割」の論評に違和感。死に体の日本企業には“ハゲタカ”が必要だ

11月12日、経営再建のために会社の3分割を発表した東芝。日本国内では「『もの言う株主』に屈した」とする論評が多く、日本特有の「間違った会社運営」を肯定していると「時代遅れ」を指摘するのは、メルマガ『週刊 Life is beautiful』著者で、「Windows95を設計した日本人」として知られる世界的エンジニアの中島聡さんです。中島さんは、自身が経験した「昭和な会社」の非生産的な子会社化の構図を変えて浄化するには、「ハゲタカ・ファンド」と呼ばれる「もの言う株主」は歓迎すべき存在だと伝えています。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

 

日本社会を浄化する「もの言う株主」

東芝が3分割を決めた件については、色々な記事が書かれていますが、多くの記者や評論家が「経営陣が『もの言う株主』に屈した」と評している点が、興味深い点です。

典型的なのが日経の「迷走・東芝の教訓、アクティビストの処方箋」という記事で

「今の東芝は完全に司令塔が不在だ」。東芝の状況に詳しい関係者はこう語る。社外取締役らで構成する「ストラテジックレビューコミッティー(戦略委員会)」。社外取締役にはファンド出身者も含まれ、「アクティビストの多様な要求が届いている」(関係者)という。目先の配当から、事業の切り売りまで株主によっても視点は異なる。

 

一連の不祥事を経て、綱川智社長兼最高経営責任者(CEO)は「株主の声に真摯に耳を傾ける」と語った。戦略委員会とは別に、経営陣も長期的な企業価値の向上策などを議論をしているようだが、そのまま通る地合いではない。

 

これまでの経緯を踏まえれば、優位なのは明らかに株主であり、エリオットのようなアクティビストの意見が通りやすい状況にある。「売れる事業の切り売りを迫られ、売れないものだけが残る。そんな最悪の事態にもなりかねない」。先の関係者はこんな懸念を口にした。(10月18日付 日本経済新聞)

と、経営陣と株主が対立する立場にあることを前提に、東芝は「経営陣がだらしないから株主の言うことを聞かなければならない」と表現しています。しかし、これは、取締役の大半が経営陣で構成されているようなコーポレート・ガバナンスが効かない状態で会社経営を続けて来た、日本特有の「間違った会社運営」を肯定する発言でしかないのです。

会社の所有者は株主であり、経営陣は株主に雇われた人々でしかないことを考えれば、経営陣の役割は株主の利益を最大化することにあり、「会社分割」や「売却」が株主の利益になるのであれば、それを実行するのが経営陣の役割なのです。

東芝の経営陣は、ウェスティングハウスの買収とリスクの高い原発事業への債務補償、不正会計、「虎の子」の東芝メディカルの売却など、数多くの間違いを繰り返して来ました。その結果、株価は低迷し、会社が本来持っている企業価値よりもかなり安い価格で株が取引されるようになってしまいました。

米国では、この手の会社の株を大量に買い付け、経営陣を入れ替え、不採算部門をリストラした上で、会社を分割・売却した上で、利益を得ようとするファンドが複数あります。