北朝鮮が11月18日にもミサイル発射など「軍事挑発」か? 日本が警戒を強めるしかない理由

北朝鮮が15日、新型の中距離弾道ミサイル用に開発された固体燃料エンジンについて地上燃焼実験を初めて行ったと発表しました。今回のメルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』では宮塚コリア研究所副代表の宮塚寿美子さんが、北の「労働新聞」に記載された写真を分析し、固体燃料エンジンというものについても解説。そして18日にはミサイル発射など軍事挑発の可能性があるとして警戒を呼びかけています。

北朝鮮 新型弾道ミサイル向けの固体燃料エンジン実験

北朝鮮は、新型の弾道ミサイルに使用する固体燃料エンジンの燃焼実験を初めて行ったと発表した。 2023年11月15日付の労働新聞は、新型の中距離弾道ミサイル用に開発された固体燃料エンジンについて、11月11日と14日に地上燃焼実験を初めて行い、「非常に満足する結果が得られた」と報じた。エンジンの噴射試験の様子を伝える写真も掲載されている。

この2枚の写真では、屋外に水平に取り付けられたエンジンの噴射口から、炎がスカートのように広がり大量の白い煙が吹き出していて、固体燃料式の特徴が確認できる。

試験はエンジンの技術特性を評価するためのもので、1段目・2段目の両方のエンジン噴射試験で「満足できる結果」が得られたとしている。ミサイル総局はこのエンジンを用いて中距離弾道ミサイルを更新し「地域情勢に備え戦略的攻撃力を高める」としていて、最新のICBM「火星18」とともに重要な兵器になると主張している。

固体燃料エンジンは、従来の液体燃料より迅速に発射することが可能だ。以前からこの固体燃料エンジンには注目されており、今回北朝鮮はこの課題を克服したのであろう。

また、ミサイル総局は、日米韓3か国を念頭に「敵の軍事的結託の策動がより悪辣(あくらつ)になる軍事情勢に備えて戦略的攻撃力を向上させる」と強調。北朝鮮は「国防5か年計画」に基づいて、従来の液体燃料式に比べて迅速な発射が可能な固体燃料式の弾道ミサイルの開発に力を入れていて、すでにICBM=大陸間弾道ミサイル級や、短距離の弾道ミサイルについて、固体燃料式への置き換えが進んでいる。

北朝鮮は11月18日を新たに「ミサイル工業節」に制定し、ミサイル開発を進める姿勢を示している。この日にミサイル発射など軍事挑発が行われる可能性がある。日本をはじめ関係諸国は警戒を強めるしかない。

(宮塚コリア研究所副代表・國學院大學栃木短期大學兼任講師 宮塚寿美子)

※本記事は有料メルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』2023年11月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料お試し購読をどうぞ。各月550円です。

この記事の著者・宮塚利雄さんのメルマガ

image by: Shutterstock.com

【訃報】歌手のKANさん(61)死去。「愛は勝つ」が200万枚超えの大ヒット、ネットに悲しみの声あふれる

「愛は勝つ」の大ヒットで知られる、歌手・作曲家、シンガーソングライターのKANさん(本名・木村和)が亡くなったことがわかったと17日に、スポニチやNHKなどが報じた。61歳だった。KANさんは今年3月、日本では数十例ほどしか症例がない「メッケル憩室がん」であることを公表し、闘病中だったが、死因は明らかにされていない。KANさん自身のX(旧ツイッター)も10日前まで更新されており、ネット上には悲しみの声が多く溢れている。

KANさん最後のX投稿

KANさんは、1962年生まれの北海道・札幌出身。1987年に「テレビの中に」でデビューもヒットに恵まれず、90年7月に出したアルバム『野球選手が夢だった』に収録されていた「愛は勝つ」が、大阪のFMラジオ局でのオンエアをきっかけに人気が高まり、通算6枚目のシングルとしてたった1万枚のみ発売。その後、フジ系「邦ちゃんのやまだかつてないテレビ」(山田邦子MCの人気番組)の挿入歌として使われたことでヒットし、200万枚を超えるダブルミリオンを達成した。

私生活では99年に結婚、2001年から音楽活動を休止し、01年からクラシックピアノをいちから勉強するためにフランスへ移住し音楽学校に入学。04年に帰国し、その後は日本国内で音楽活動を続けていた。

突然の訃報に、音楽界、芸能界から哀しみの声が多くあがっている。

麻生か、茂木か、萩生田か…岸田「年内解散なし」をリークした“真犯人”

これまで何度も永田町に吹きすさび、そのたび議員たちが右往左往させられてきた解散風。しかし今月9日、首相が年内の解散を見送ったとの新聞報道がなされました。いったい誰が、どのような狙いを持ってこの情報をリークしたのでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、その出所を考察。さらに窮地に立たされた岸田首相の今後の行く末を推測しています。

官邸発の情報ではない。誰が衆院「年内解散なし」をリークしたのか

内閣支持率が危険水域に入り、自民党内ではポスト岸田をにらんだ動きがはじまったようだ。

11月9日早朝、朝日新聞、読売新聞の報じたニュースが、それを感じさせる。岸田首相が年内の衆院解散を見送るという内容。むろん、岸田首相がそのように表明したのではない。誰かがリークしたのだ。

その「誰か」だが、両社の記者とも同じ人物から聞いたと考えるのが自然だ。朝日は「政権幹部が明らかにした」と書いた。読売は「与党幹部」である。

これでわかるのは、官邸から出た情報ではないということだ。官房長官や官房副長官なら「政府高官」、岸田首相の秘書官なら「首相周辺」などとするだろう。

読売は、「与党幹部」が岸田首相から聞いた内容について、次のように書いている。

首相は、複数の与党幹部に対し、経済対策の裏付けとなる2023年度補正予算案の早期成立や経済対策の実施に「集中したい」との考えを伝えた。

与党といっても、公明党ではなく、自民党幹部ということだろう。首相が直接会ってそんな話をする相手といえば、ごく限られてくる。麻生副総裁、茂木幹事長、森山総務会長、萩生田政調会長…。彼らなら朝日のように「政権幹部」と言っておかしくない。そのうちの誰かが、自民党を担当する平河クラブの記者にリークしたと考えられる。

ここからは、筆者の“勘”になるが、ずばり言って茂木幹事長ではないだろうか。衆院解散のタイミングは彼の利害にかかわると思うからである。

岸田首相を支え続けると相変わらず茂木氏は言う。幹事長としての表向きはそうせざるを得ない。だが、年齢も岸田首相より上の68歳に達し、岸田政権がレームダック化したといわれる今が、総理をめざすラストチャンスかもしれないのだ。来年の総裁選への出馬を問われると決まって茂木氏の口から飛び出す「令和の明智光秀にはならない」という言葉じたいが、じつにキナ臭い。

ともあれ、自民党幹事長がオフレコで「年内の解散はない」という趣旨の話をしたとすれば、それを聞いた記者が記事にしない手はない。9日の朝日、読売の朝刊に掲載されるや、その日のうちに主要メディアがこぞって後追いしたことからも、情報源の“重量感”が伝わってくる。

実際には、予算案の成立や経済対策に集中したいとだけ岸田首相は語ったのだろう。それを聞いた自民党幹部が「年内解散はない」と解釈するのは当然のことといえる。しかし、岸田首相も、さっそくメディアに漏れるとは想像していなかったにちがいない。

記事を読んで、岸田首相はリークした人物を想像し、してやられたと歯がみしたのではないだろうか。年内の解散はないからゆっくりしてくださいとなったとたん、首相の求心力はゆるむ。解散する気はなくとも、反乱を抑え込む「解散権」は持っておきたい。伝家の宝刀を奪い取られたようなものである。

この記事の著者・新恭さんのメルマガ

全ての日本人が拘束の危機。中国が「言いがかり」で外国人を次々と投獄する日

2014年に反スパイ法が施行された中国で、17人が拘束され10人が実刑判決を受けている日本人。しかしいかなる行為が反スパイ法に抵触するのかは明らかにされておらず、中国では日本人を含めた全ての人間が拘束されるリスクに晒されているのが現状です。そんな隣国の横暴を伝えているのは、台湾出身の評論家・黄文雄さん。黄さんは自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で今回、台湾人が中国で逮捕もしくは拘束された複数のケースを紹介するとともに、日本政府に対しては、邦人保護の観点から早急なスパイ防止法の制定を提言しています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2023年11月15日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

すべての日本人がスパイ拘束されるリスク。中国で繰り返される「文字獄」

中国で拘束の日本人男性 上訴棄却され懲役12年確定

4年前に中国湖南省長沙で国家安全当局に拘束された日本人男性に対し、今年2月、スパイ行為に関係したということで懲役12年の判決が下されましたが、男性は上訴していました。しかし11月3日、この上訴が棄却されたということで、懲役12年が確定しました。

反スパイ法が制定された翌年の2015年以来、中国当局にスパイ容疑で拘束された日本人は少なくとも17人に及んでいますが、中国当局はスパイに関連しているということで、逮捕や裁判の判決理由などについて、ほとんど情報を出していません。

そのため、どのような行為がスパイ行為に当たったのかということが、ほとんどわからないのです。町中で何気なく撮影した写真、あるいは誰かと交わした言葉がスパイ行為とみなされたのかもしれないですし、あるいは政治的な理由からの冤罪かもしれないのですが、その実態はまったくわかりません。

今年3月にはアステラス製薬の日本人男性がスパイ容疑で拘束され、その後、正式に逮捕されています。理由はまったくわかっていません。また日本の非鉄専門商社の中国法人で働いていた中国人も、今年3月に拘束されていたことが先日発覚しました。こちらはレアメタルを巡って外資企業への情報流出が疑われたのではないかとも噂されています。

「社員みな萎縮」動揺する中国の日系企業 非鉄商社の中国人社員拘束

2015年以降、拘束された日本人17人のうち、12人が逮捕され10人が実刑判決を受けています。拘束されてから逮捕されるまでに解放された日本人は5人しかいないそうです。

中国、アステラス社員を逮捕 スパイ容疑で3月拘束

この記事の著者・黄文雄さんのメルマガ

韓国野球チームが買った泡盛「29年間放置」でも飲むことはできるのか?

韓国の野球チームが優勝を果たしたときに飲むと決め購入していた泡盛。ようやく29年ごしに飲むことができたようなのですが、果たして古いお酒を飲んでも大丈夫なのでしょうか?今回、無料メルマガ『キムチパワー』の著者で韓国在住歴30年を超え教育関係の仕事に従事している日本人著者が、専門家の意見を交えて解説しています。

29年経った焼酎泡盛、果たして飲めるのか?

韓国の野球チームでLGツインズというのがある。このチームが29年ぶりに韓国シリーズ(KS)優勝を果たし長期保管されていた酒がついに光を放つことになった。

野球に本気だった故グ・ボンム前会長が1994年優勝当時、その栄光を再現しようと日本の沖縄から空輸して買っていた泡盛焼酎だ。ところが、LGツインズの3回目の優勝が延期され続け、予想とはかなりずれて29年もかかってしまった。それだけ古い焼酎が作られた格好だ。果たしてこの焼酎を飲んでもいいのだろうか?

まず、この質問の答えを得る前に泡盛焼酎の特性について知っておくことをお勧めしたい。泡盛焼酎は日本沖縄地域の伝統酒だ。米で作る蒸留酒だが、沖縄米で作ることはない。アンナムミというタイの米を蒸して作る。ここに黒い麹酵母を入れて発酵させた後、これをそのまま蒸留して壺やオーク樽で熟成させる。

度数は20度から80度まで多様だが、25度以上の高い度数の焼酎が多い。このため、韓国式に小さなグラスにストレートで飲むよりは、大体沖縄のグラスについで氷をいれてオンザロックで飲む。長期熟成した泡盛焼酎ほど価格が高くなる。100年以上経ったものもあるという。

日本スポーツ界の“鬼コーチ”井村雅代が教える「叱る」コツとは?

日本スポーツ界の「鬼コーチ」として名高い井村雅代さん。厳しいだけではないその指導は結果をもたらし、日本のアーティスティックスイミングを牽引してきました。今回のメルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、井村さんのインタビューから彼女の叱るコツについて紹介しています。

叱るとは、信じること。低迷していた日本のアーティスティックスイミングを牽引した井村雅代さんの教え

低迷していた日本のアーティスティックスイミングを牽引し、選手たちを表彰台へと導き続けてこられた井村雅代さん。

「鬼コーチ」の異名と共に有名な「三つの叱るコツ」を交え、選手たちを鼓舞した体験的指導哲学を語られています。

★『致知』最新号には、井村雅代さんと愛弟子の乾友紀子さんの師弟対談を掲載。結果を出すための極意が満載です。詳細はこちら

─────────────────

〈井村〉
いま、スポーツ界で叱る教育の代表といえば、すぐに私の名前が挙がります。でも、私の中では叱っているという意識は全くありません。下手だから下手、ダメだからダメ。本当のことを言っているだけなんです。

そして本当のことを言ったら、私は必ず直す方法を言います。一つの方法だけでは直りませんから、今度はこうやってごらんと、どんどん次の直し方を言う。そして直ったと思ったら、「それでいいよ」とちゃんとOKを出すんです。でも取材に来られるマスコミの方は、私が怒っているところばかり撮るから、ああいう恐ろしい映像になるんです(笑)。

きょうの演題は「愛があるなら叱りなさい」ですが、叱っている時の私は、あなたをいまよりも絶対によくしてやる、よくなるまではあなたの傍を離れない。ただそれだけを思っています。それが私の本心なんです。

だから、選手にダメって言ったら、必ず直す方法を言うこと。こう直しなさいとちゃんと指示してあげることが大事です。

直す方法って簡単そうですが、冷静にならないと上手く言えません。いまの若い子に、相手の気持ちを察するとか、人の背中を見て学ぶとかいうことを期待するのは難しいので、こう直しなさいとちゃんと言ってあげなければいけないんです。

些細な理由。大炎上した「スープストックトーキョー」の火が難なく“鎮火”した訳

今年4月、離乳食無料提供サービスのアナウンスが大炎上を呼んだスープストックトーキョー。しかし程なくして、ごくあっさりと鎮火に至ります。なぜこの炎上騒動は長引くことなく収まったのでしょうか。その理由を探るのは、マーケティング&ブランディングコンサルタントとして活躍する橋本之克さん。橋本さんは今回、行動経済学の観点から「炎上鎮火の原因」を考察しています。

プロフィール:橋本之克(はしもと・ゆきかつ)
マーケティング&ブランディング ディレクター 兼 昭和女子大学 現代ビジネス研究所研究員。東京工業大学工学部社会工学科卒業後、大手広告代理店勤務などを経て2019年に独立。現在は行動経済学を活用したマーケティングやブランディング戦略のコンサルタント、企業研修や講演の講師、著述家として活動中。

大炎上スープストックトーキョーがうまく消火できた理由

スープストックトーキョーの炎上騒ぎ

「スープストックトーキョー」が、日経クロストレンド「マーケター・オブ・ザ・イヤー」大賞を受賞しました。2023年4月に起きた炎上騒動への対応が評価されてのものです。同社は当時、一部店舗で実施していた「離乳食無料提供サービス」の全店拡大を告知しました。すると子連れを快く思わない人からの意見がSNSにあふれたのです。スープストックトーキョーは1週間の沈黙後、「『世の中の体温をあげる』という企業理念に基づいてサービスを拡大する」という声明を発しました。その結果、この騒動は速やかに収束したのです。

炎上が鎮まった理由は、企業の対応や姿勢であったとされています。しかし対処療法的な対応が功を奏したと単純に考えて良いのでしょうか?鎮火の理由は顧客の深層心理を分析することで見えてくると思われます。

炎上と火消しのプロセス

通常、炎上は「ノイジー・マイノリティ」が発端です。少数の人々が不満を抱いた対象に対して、情報発信や発言を積極的に行います。それを見た多くの人々が「いいね」をする、知人に共有する、などにより拡散し炎上に至るのです。今回の件では、スープストックトーキョーに子供連れ客が増えることを嫌う既存顧客が不満を抱きました。便利な場所にあって一人でのんびりできるオアシスを失いたくないと思ったのでしょう。

しかし、スープストックトーキョーの新サービスは「子供を抱えて落ちつける場所を探す、行き場の無い若いママたちの救済」と考えることもできます。だから「ノイジー・マイノリティ」以外は、正面切って反対意見を述べなかったのではないでしょうか。子連れママの来店も理解できるのです。その一方で自分のオアシスを守りたいという気持ちもあります。そんな葛藤の中で行った「いいね」や「共有」などのささやかな行為が、結果的に炎上を後押しする結果になったのでしょう。

鎮火の原因は何か?

しかしある時から「離乳食無料提供サービス」に反対するSNS上の広がりが減少し、炎上は収まりました。それはなぜでしょう?

ひとつには、スープストックトーキョーの「世の中の体温を上げる」という企業理念に消費者が賛同したとする見方があります。この他に、過去にベジタリアン対応やハラル商品開発など、マイノリティのサポートで社会に貢献してきた経緯が影響したのだ、という主張もありました。

しかしこれらが、店内が騒がしくなり、居心地が悪くなるかもしれないと考える顧客を納得させる、十分な理由にはならないでしょう。せいぜい「この企業は自社利益のみを考えているのではないらしい」と考え、「あきらめて、様子を見よう」「とりあえず離乳食反対の書き込みに『いいね』するのはやめよう」と思う程度のことだったのではないでしょうか。しかしながら、「この程度」の「微妙な判断」が、炎上を鎮火したのではないかと私は考えます。

三木谷会長「544億円でお釣りが来る」楽天プラチナバンド開設計画は現実的か?

10月23日、「既定路線」「茶番劇」と言われたそのままに、楽天モバイルへの700MHz帯プラチナバンドの割り当てが確定。三木谷会長は、11月9日の会見で設備投資予算の意外な少なさの根拠を示して「お釣りが来る」と胸を張りました。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』で、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんは、既存3社から聞こえる不安の声を一蹴した楽天モバイルの計画が、本当に実現可能なものなのかを分析しています。

既存3社が不安視する楽天モバイルのプラチナバンド開設計画──三木谷会長「544億円で1万局。十分、お釣りが来る」

念願のプラチナバンドが割り当てられることになった楽天モバイル。しかし、競合他社の幹部からは同社が提出していた開設計画に対して懸念の声があがっていた。KDDIの高橋誠社長からは「計画がすごい遅いペース」として指摘され、ソフトバンクの宮川潤一社長は「ちょっと寂しい計画だった」と語る。

楽天モバイルでは、10年間で1万局、設備投資費は544億円という計画を立てている。つまり、1局あたり544万円の工事費しかかけないということだ。この金額に対して三木谷浩史会長は「544億円で十分、お釣りが来る」としているのだ。

競合他社と楽天モバイルの間で「プラチナバンドの基地局」に対して、大きな隔たりがあるのは間違いない。既存3社が展開するプラチナバンドの基地局は、アンテナ位置を高くするため、鉄塔もそれなりに大きいものだったりする。それだけ、設置面積も必要だ。

しかし、11月9日に開催された楽天グループの決算会見で明らかになったプラチナバンドの基地局は従来の1.7GHz帯と同じアンテナを使い、裏側に700MHzの無線機を新たに貼り付けるという構造であった。

KDDIの高橋社長が「楽天の鉄塔はギリギリで作ってこられている。同じ鉄塔にプラチナバンドの設備を積むのは苦しいだろう。新たに鉄塔が必要なのではないか」と心配していたが、楽天モバイルは、そのギリギリのところにプラチナバンドの設備を積んできてしまったのだ。

ただ、プラチナバンドの特性、メリットを生かすとなると、本来であれば、1.7GHzのアンテナよりも高い場所に設置して、遠くに飛ばすといった設置方法のほうが望ましいようにも感じる。しかし、三木谷会長は「我々のアンテナパワーは業界内でも1、2を争う位だと思っている。小さいが高性能、大きければいいというものではない」と一蹴した。

基本的には700MHzに対応したアンテナと無線機器を既存の基地局に設置するという考えであるため、1万局を544億円で作っても十分にお釣りがくるという計算なのだろう。

実際、KDDIとの新たなローミング契約も走っており、そちらのほうが効率よく、エリアをカバーできるのであれば、無理してプラチナバンドを自社で展開する必要もないだろう。KDDIとしても、ローミング契約をさらに延長することは歓迎すべきことであるため、ルーラルエリアなどはKDDIに任せつつ、KDDIがウンと言わない場所だけ、楽天モバイルが自社でプラチナバンドを吹くと言うのであれば納得できる考え方でもある。

おそらく、都心部などトラフィックが集中しつつ、ビル内など電波が入りにくい、KDDIが対応してくれない場所に楽天モバイルのプラチナバンドがあればいい。となれば、1.7GHzと同じアンテナ、指向性で問題ないのかも知れない。

この記事の著者・石川温さんのメルマガ

image by:yu_photo/Shutterstock.com

なぜ、社労士は「入社祝い金は後払いで」とお勧めするのか?

中途採用者に対する「入社祝い金」を支給する会社が増えていますが、中にはトラブルもあるようです。無料メルマガ『採用から退社まで!正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』の著者で社会保険労務士の飯田弘和さんは、入社祝い金のトラブルの事例とその解決法を紹介しています。

“入社祝い金”の規定を定めていないことで生じるトラブル

人手不足が深刻です。

そんな中、中途採用者に対して“入社祝い金”を支給する会社も増えているようです。

ところが、“入社祝い金”についてきちんと規定を定めていないために、労使トラブルになることがあります。

まず、“入社祝い金”の支給要件をきちんと定めましょう。

たとえば、支給要件を以下のように定めます。

(規定例)「入社から〇か月間継続勤務し、その間の出勤率が〇割以上の場合、“入社祝い金”として〇〇円を支給する。」

また、入社祝い金の支給日についても、支給要件をクリアした後に支払日が到来するように定めましょう。

どういうことかと言うと…

よく、入社後すぐに入社祝い金を支払い、一定期間勤務しなかった場合には返金させるような定めをしている会社がありますが、これは避けるべきです。

人は、一度手に入れたものを手放す(返還する)ことには、もの凄く抵抗を示します。

ですから、後から“返金しろ!”というのは、労使トラブルになります。

一定期間経過後に支払う“後払い”にするべきです。

なぜ米バイデンは今、中国の習近平と会ったのか?日本も「他人事」ではいられない理由

アメリカのバイデン大統領は現地時間15日、中国の習近平国家主席と会談しました。以前より対立関係にある米中ですが、なぜ今、大国の首脳は会談したのでしょうか?メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは、この会談に大きな意義があるとして、その理由を解説。その裏には、日本も他人事ではいられない大きな「問題」が潜んでいるようです。

なぜ、バイデンと習近平の米中会談がおこなわれているのか?

全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!

北野です。

アメリカでは、バイデン、習近平会談が行われています。

まだ結果はわかりませんが、この会談の意義と重要性について触れたいと思います。

2021年1月にバイデンが大統領になった時、日本では二つのことが言われていました。

  • バイデンは親中である。だから米中関係はよくなる。
  • バイデンは反日である。だから日米関係は最悪になる。

皆さん、覚えておられるでしょう。

これに対して、私は全然正反対の意見でした。

  • バイデンは親中である。しかし、米中覇権戦争は続いていく。
  • バイデンは反日である。だが日米関係は、トランプ時代よりよくなる。

当時私がどんなことを言っていたのか、以下の動画からご確認いただけます。

そして、実際私が予測したどおりになりました。

まず、米中関係。

予想通りバイデンは、米中覇権戦争を続けています。

具体的にどんなことがあったのでしょうか?

  • クアッド(日米豪印戦略対話)の強化
  • AUKUS(米英豪による対中軍事同盟)立ち上げ(2021年9月)
  • IPEF(インド太平洋経済枠組み=14か国からなる【中国抜きの経済枠組み】)立ち上げ(2021年10月)
  • 民主主義サミット立ち上げ(2021年12月)

これらはすべて、「対中包囲網」です。

バイデン政権は、中国が強くなりすぎたアジアのバランス・オブ・パワーを回復させようとしていました。

そして、予想通り、日米関係も良好です。

トランプさん時代も、日米関係は良好でした。

しかし、貿易問題で、トランプさんサイドからの圧力があった。

今、日米関係は、本当に良好です。

では、なぜバイデンは、習近平と会うのでしょうか?

なぜ、アメリカは、中国との関係改善を急いでいるように見えるのでしょうか?