ゴーン逃亡はむしろ好機。国際社会に日本の本気を見せつける方法

国内外に大きな衝撃を与えた、カルロス・ゴーン被告の国外逃亡劇。早速ゴーン被告サイドは日本の司法制度を批判する声明を出すなど「情報戦」を仕掛けてきていますが、我が国はどのような動きを見せるべきなのでしょうか。今回の無料メルマガ『日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信』では情報戦略アナリストの山岡鉄秀さんが、「あくまで即時性が必要」とした上で、安倍政権が取るべき対応を具体的に記しています。

カルロス・ゴーンの逃亡をチャンスと捉えよ!

全世界のアメ通読者の皆様、山岡鉄秀です。年末のカルロス・ゴーン被告の逃亡劇には驚きましたね。こんなことが起こり得るのですね。まあしかし、間抜けな話です。あの「のんびりリベラル」のカナダでさえ、Huaweiの副社長の出国を許していません。

ゴーン被告を弁護する弘中淳一郎弁護士の「保釈条件違反だが、刑法の逃亡罪にはあたらない」というコメントにも呆れました。完全にコケにされたか、知らない振りをしているか、どちらかでしかないのに。

税関で引っ掛からなかったのだから、別名のパスポートの供与など、レバノン政府が深く関わっている可能性が否定できません。このあたりの分析は専門家にお任せするとして、私が強調したいのは、このような局面で日本政府として国際社会に対してどのようなアピールをすべきか、ということです。

こんな事態を許したという点において、はっきり言って大恥です。しかし、どのように対処するかによっては、近年薄れ続けている日本という国の存在感を示すことができます。すでに失点している以上、全力で攻勢に出なくてはなりません

ここからゴーン側は徹底した情報戦を仕掛けて来るのは間違いありません。すでに、次のような声明をメディア向けに発していると報じられています。

私は今レバノンにいて、もう推定有罪で不正な日本国の司法制度の人質ではありません。日本では国際法無視、差別蔓延、基本的人権も否定される。私は正義から逃亡したのではなく、不正義な政治的迫害から逃れたのです。

つまり、日本という国があまりにも酷いので、逃亡という手段を取らざるをえなかった、というわけです。ここでぼうっとしていてはいけません。

森まさこ法相ないし、しかるべき政府関係者がきっちりとした反論を行い、毅然とした対応を取る旨を宣言しなくてはいけません。

ぼんやりと捜査の進展を待っていては駄目です。私がいつも主張しているとおり、こういうことは「即時性」が必要なのです。

英国BBCの報道などを観ると、海外からどう見られているか、よくわかります。ゴーン被告は毀誉褒貶の激しい(controversial)人物だし、高名な人物として保釈中に逃亡する姿勢は、かつて刑務所を出る際に作業員に変装したエピソードに重なって姑息な印象を与えます。それがBBCの記事からも読み取れます。ここを徹底的に突かなくてはなりません

世界の眼は、日本政府にゴーン逃亡の手口を徹底的に解明することを求めているし、それができる実力があると期待しています。まずは徹底調査してその詳細を公表し、ゴーン被告にどのような罪が追加されるか明確にし、さらに、もし外国政府の関与が認められればそれもはっきり公表します。

そして、毅然としてレバノン政府にゴーン被告の引き渡しを要求します。当然、レバノン政府は拒否するでしょう。そうしたら、これまでレバノンに与えている莫大な援助をすべて停止しなくてはなりません。躊躇なく、です。

ここまで迅速に断固とした姿勢を示せば、世界は「ああ、日本はなかなかどうして、しっかりした独立国なんだなあ」と思うでしょう。

しかし、いつものように「遺憾だ、遺憾だ」ばかりを繰り返し、何もできなければ、「日本なんて恐れるに足りない、斜陽の国だ」という印象がますます広がり、レバノンにも馬鹿にされるでしょう。

また、「日本は後ろめたい気持ちがあるから毅然とした態度が取れないのだ」という印象も持たれるでしょう。そのことが日本への侵略行為の後押しをすることに繋がります。それが国際社会です。ことの正否とは別に、弱者にゲームに参加する資格はないのです。

今回も、法務省、外務省が協力しなくてはなりません。しかし放っておいたら協力しないので、官邸が強力なリーダーシップを発揮しなくてはなりません。これは国の面子にかかわることなのです。

日本人は細かい分析をすることは比較的得意ですが、対外的に明確なメッセージを発したり、必要に応じてかちっとファイティングポーズを取ることが不得手です。

しかし、いい加減に学ばなければなりません。その意味で、今回の件はいい学習機会であり、チャンスとして捉えるべきです。

(山岡鉄秀 :Twitter:https://twitter.com/jcn92977110

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ソレイマニ司令官の殺害が金正恩政権への決定的警告と言えるワケ

昨年12月28日から4日間にわたり開催された「朝鮮労働党中央委員会総会」で、金正恩委員長は兵器開発や核実験に関して強硬な発言を繰り返しました。これを「弱者の恫喝」ですまされず、北朝鮮は正念場を迎えたと断じるのは、メルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』の著者で、北朝鮮研究の第一人者の宮塚利雄さんです。宮塚さんは、米国がイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を空爆により殺害したのは、北朝鮮への痛烈な警告となっていると解説します。

ソレイマニ司令官の空爆殺害で金正恩政権は正念場

ことわざに「Better lean peace than fat victory(百戦百勝は善の善なるものにあらず)」がある。直訳すれば「太った戦勝よりもやせた平和の方がよい」ということであるが、北朝鮮の金正恩政権に与えたい言葉である。

北朝鮮は金正恩朝鮮労働党委員長の指導の下で昨年12月28日に「朝鮮労働党中央委員会総会」を4日間にわたり開催した。総会では「党の建設と活動、国家と国防建設における重大な問題」を討議するものと伝えられていた。4日間にわたる討議で、金正恩委員長は「北朝鮮が先行して非核化措置を講じたのにもかかわらず米国は相応の措置を果たしていない」と非難したうえで、「約束に一方的に縛られる根拠はなくなった」と述べ、2018年4月に中止を決めた核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射の再開を示唆した。

金正恩は、米国の核の脅威が高まる中、「未来の安全を放棄できない」と述べ、「世界は遠からず新たな戦略兵器を目撃することになる」と表明し、「敵視政策を最後まで追求するならば、朝鮮半島の非核化は永遠にない」と強調し、米国が制裁解除や軍事演習中止などに応じるまで戦略兵器開発を続ける考えを示した。

「弱者の恫喝」と言ってすまされる発言ではない。金正恩政権は、まさに「土壇場」に立たされている。北朝鮮は、米朝交渉で一方的に昨年末を期限とし、米国側の譲歩を求めたが、米国は態度を軟化しなかった。窮地に陥った金正恩政権は「時間稼ぎだ」と批判したうえで、「人民が受けた苦痛の対価」を受け取るため「衝撃的な実際の行動に移る」とまでも言い放ったが、北朝鮮人民の人権迫害と恐怖政治を強いている金正恩政権が「人民が受けた対価」などという、片腹痛い表現まで口にして米国側に譲歩を迫ったものの今のアメリカは北朝鮮どころではない。それどころか金正恩に決定的な警告を発した。

それは新年早々にトランプ政権がイラン革命防衛隊の精鋭である「コッズ部隊」のソレイマニ司令官を空爆で殺害した事実を公表したことである。

すでに韓国の『朝鮮日報』が、米韓両軍の特殊作戦部隊が11月に、北朝鮮の指導部の排除を目的とする「斬首作戦」を想定したとみられる訓練を行ったと報じたが、これは北朝鮮側が非核化交渉の期限を年末に控えて強硬姿勢を強める中で、このような事実を明らかにすることで北朝鮮側を牽制するものであったが、年明け早々にもイランでトランプ大統領は「攻撃は戦争を阻止するためだ。戦争を起こすためではない。米国民を守るためにすべての措置を講じる」とイランを牽制し、実行した。

軍事アナリストが憂慮。ゴーン被告の逃亡を許した日本の根本問題

元日の新聞各紙の1面を埋め尽くしたのは、日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告がレバノンに逃亡したというニュースでした。これほど簡単に逃亡できてしまった根本的な理由は、日本社会に存在するある幻想のためだと指摘するのは、メルマガ『NEWSを疑え!』を主宰する軍事アナリストの小川和久さんです。小川さんは、日本の国家権力はこの幻想のために隙だらけで、領土防衛やテロ対策など整備すべき問題が数多くあると警鐘を鳴らします。

「法律は守られるもの」という幻想

日産自動車の元会長カルロス・ゴーン被告がレバノンに逃亡し、そのニュースが元日の新聞各紙の1面トップを埋め尽くすことになりました。

ゴーン被告の逃亡劇については、直前にハリウッドの映画プロデューサーと会っていたとか、誕生日祝いにやってきた楽団の楽器ケースにひそんで出入国管理の目を逃れたとか、様々な情報が飛び交っており、これが事実なら数年以内に映画化されるのは疑いないところです。

それは野次馬の楽しみにとっておくとして、なぜ日本の法律・制度はかくも簡単にゴーン被告の国外逃亡を許したのかが問題です。新年第1号にあたり、本質的なところから考えてみたいと思います。

結論から言いますと、日本の司法制度、治安態勢には「凄み」が備わっていません。それが、犯行を許してしまっています。日本では、犯罪に走っても、法律を破っても、いきなり殺されることはありません。だから、犯罪を抑止する能力に欠けているのです。

たしかに、私のような人間にとっては法を犯して逮捕されたくないし、挙動不審で怪しまれた挙げ句に警察官にねじ伏せられたりしたくありません。大方の日本人にとっては、法律を破ること自体が「怖い」のです。そんなこともあって、倫理観の問題とは別に、法律を守ろうとするのです。

しかし、日本人とは違う価値観の持ち主だったり、命知らずのならず者、使命のためには命を惜しまない過激派やテロリストだったりしたら、どうでしょう。法律の存在はなんの障害でもありません。逃げることを前提にした犯行であっても、失敗した場合に殺されるかどうかが問題なのです。そうした角度から考えると、日本が法治国家であるためには、相手を法に従わせるための強制力を備える必要があります。

例えば、どんな行動に出るか判らないゴーン被告のような人物に対してはGPSの装着を義務づける。相手の生命に危険を及ぼす飲酒運転やあおり運転などは確信犯ですから、厳罰が適用されるようにする。

空港の警備にしても、テロリストが行動を起こすと、すかさず特殊部隊が銃撃によって制圧する態勢を整え、それを公表することで抑止力とするとともに、テロリストに「凄み」が伝わるような雰囲気を漂わせておく。

尖閣諸島については、国連海洋法条約という枠組みで安心するのではなく、その実効性を高めるための国内法、例えば中国の領海法のような法律を制定し、領海侵犯などを実力行使で排除できるように定める。

中東もキレた勘違いトランプ。安倍外交「顔色伺い作戦」加速の訳

自国のリーダーには損得勘定ができててほしい、と願うのはどの国民も持つ本音。しかし、損得勘定が過度になり他国に迷惑をかけてしまうと、リーダーによる自国のプレゼンス低下を憂慮し始めるのも、また国民心理でしょう。ジャーナリストの高野孟さんは自身のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』の中で、今年始めに起きたイランの司令官爆殺事件を例に、トランプ大統領の政治力と、世界に対する日本の対応について警鐘を鳴らしています。

 

トランプ狂乱で幕開けの2020年─米国こそ世界の脅威

トランプ米大統領の脳髄の中で働いている、たぶんほとんど唯一の物事の判断基準は「損か得か」ということである。それが文字通りの《経済的な損得勘定》に留まっている限りは、彼はどちらかというと「戦争嫌い」で、それは何も思想的な平和志向ゆえではなく「戦争は割に合わない」という打算からのことであった。北朝鮮との対話路線、アフガンやイラクなど中東からの米軍撤退の方向性はその表れだし、中国と貿易面では厳しく対処しながらも、軍事面での圧力を含めて全面対決に突き進もうとする政権内の対中強硬派をむしろ抑える側に回っていた。イラン核合意からの離脱はイスラエル右派の挑発に乗った馬鹿げた行為ではあったけれども、それでもトランプは繰り返し「イランと戦争するつもりはない」と表明してきた。

しかし、2020年は大統領選挙の年で何としても再選を果たさなければならず、しかもその前にはウクライナ疑惑を巡る弾劾裁判という大きな試練が待ち構える。それで私が密かに懸念してきたのは、今年に入るとトランプの内政への埋没が酷くなり、再選成就のためには何が「損か得か」という《政治的な損得勘定》だけで割り切るようになりかねず、そうなると外交・軍事政策がハチャメチャになり世界が大迷惑を被ることになりはしないか、ということだった。

それが早くも1月2日、現実となった。米軍の無人機から発射された精密誘導ミサイルによって、イラン革命防衛隊の対外工作部門「コッズ部隊」を率いてきたソレイマニ司令官が爆殺されたのである。彼はイラン国内のみならずイラクやシリアやレバノンなどシーア派の影響圏で英雄視され、イランの次期大統領候補として名前が上がったこともあるトップ級の指導者で、それを問答無用で爆殺するなど、疑いもなく国際法的に違法な国家によるテロにほかならない。これでは、イランや各地のシーア派勢力が米国および米国人にいかなる報復行為に出たとしても、イランを非難する者はいなくなってしまうだろう。

去年までのトランプは、歴代米政権の戦争政策の後始末をつける役割を担う可能性を持っていた。しかし、これで彼は中東で新しい戦乱を引き起こし、他にもあちこちで紛争を巻き起こしかねない、全世界にとっての平和と安全の主敵という大迷惑の立場を確定してしまった。日本は、欧中露などと手を組んでこの狂乱的なトランプ政権の盲動が世界を破滅させることのないよう、立ち回らなければならない。

言うまでもないことだが、この状況で日本の海上自衛隊が中東海域に何やらを「調査・研究」するために出動するなどありえないことで、直ちに計画を中止すべきである。

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米軍側「80人死亡」報道。イランのミサイル攻撃で報復はあるか?

「米国のテロリスト」死亡者80人、負傷者200人

イラン国営テレビが8日、同日のイラク国内の米軍基地への攻撃により「米国のテロリスト」が少なくとも80人死亡したと報じたと複数のメディアが伝えている。
国営テレビはイランが15発のミサイルによって攻撃を実施したと報道。米側に迎撃されたミサイルはなかったとし、米軍のヘリコプターや軍事施設に激しい損傷をもたらしたとしていて、「米部隊側の80人が死亡、200人が負傷した」と人数について伝えている。
これまでアメリカ軍の犠牲者については、アメリカ政府関係者の話として、「犠牲者は確認されていない」と報じられていた。
国営テレビによると、イラン革命防衛隊の幹部は、米国が反撃すれば、イランには域内に他に100の攻撃目標があると発言。8日未明のイランの報復攻撃は、3日にイラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官が米軍によって殺害されたのと同じ時刻をねらって実行されたと日本経済新聞は伝えている。



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ミサイル攻撃から旅客機墜落、地震まで。本日のイラン情勢まとめ

ミサイル発射、旅客機墜落、地震。イラン、今日の出来事まとめ

日本時間の8日午前7時半ごろ、イラクに駐留するアメリカ軍などに対して、イランが弾道ミサイル十数発を発射したことが明らかになった。NHKなどによると、イラク西部のアサド空軍基地と、イラク北部のアルビルの基地の、少なくとも2か所が狙われたとしているが、アメリカの複数のメディアは、政府関係者の話として、これまでのところアメリカ軍兵士の犠牲者は、確認されていないと伝えているという。
一方、イランの革命防衛隊は国営テレビを通じて声明を発表。攻撃の作戦名を「殉教者ソレイマニ」だとした上で、「われわれは傲慢なアメリカに警告する。アメリカがさらなる挑発行為をとれば、一層激しく、破壊的な報復に直面することになる」としつつ、「緊張の激化や戦争は望んでいないが、あらゆる攻撃に対して自衛の措置を取る」としている。
これに対し、アメリカのトランプ大統領はTwitterを更新し、「すべて順調だ。イランからイラクにある2か所の基地にミサイルが発射された。いま被害の状況を確認している。今のところ非常によい」と述べ、8日朝(日本時間の今夜)に何らかの声明を出すと明らかにした。

一気に緊張状態となったアメリカとイラン。しかし、この日イランで起きたのはこれだけではない。偶然なのか、それとも何かしら関係性があるのか、不可思議な出来事が立て続けに起こっている

首都テヘランで飛行機が墜落

共同通信などによると、イランメディアは8日、イランの首都テヘランの空港近くでウクライナの旅客機が墜落したと報じた。約180人が乗っていたとみられる。墜落したのは、ウクライナ国際航空のボーイング737型機で、テヘラン近郊のイマームホメイニ国際空港を出発し、ウクライナの首都キエフに向かっていたが、離陸直後に墜落したという。現地の消防当局の責任者は、イランの国営テレビに対し、墜落した現場では救助活動を行っているものの、旅客機の機体は激しく燃えていて生存者がいる可能性は低いという見通しをNHKが伝えている。

旅客機が発信する位置や高度の情報をもとに飛行コースを公開している民間のホームページ、「フライトレーダー24」によると、墜落した飛行機は予定より1時間ほど遅れて、現地時間の午前6時すぎにイマーム・ホメイニ国際空港を離陸。その後、北西方向に飛行したが、離陸からおよそ30分後に航跡が途絶えたという。

墜落した原因について、イマームホメイニ空港の広報担当者は、地元のメディアに対し、「墜落の原因は、技術的な問題の可能性が高い」とし、イランによる米国への報復攻撃とは無関係だと主張しているが、詳しいことはわかっていない。

救助チームが墜落現場に派遣されていて、「機体は炎上したが、われわれは要員を派遣した。生存者を救出できるかもしれない」と望みを託したが、現地では「飛行機は火の玉となって墜落」「乗客全員が死亡」との報道もあるようだ。

サッカー選手は認知症リスク3倍?ヘディング影響と英大学が発表

サッカーをずっとやっていた人は少し注意した方良いかもしれない。もちろん、ただデータが公表されたというだけで、因果関係が必ずあるというものではない。一体何の話かというと、プロサッカー選手は認知症など神経変性疾患で死亡するリスクが一般人より3倍以上も高いとする研究結果を、英グラスゴー大などの研究チームがまとめ、米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に掲載されたというのだ。

サッカー選手の認知症リスクが3.5倍という驚愕のデータ

調査を行ったのは、神経病理学者のウィリー・スチュワート博士のチーム。1900年から1976年に出生したスコットランドの元プロサッカー選手の男性7676人と、一般の2万3000人を対象に調査し、その結果を比較。それによるとサッカー選手のほうが認知症の発症リスクが3.5倍も高いという衝撃のデータが明らかになった。

近年、激しい接触や頭部への打撃が繰り返されるスポーツが、脳に長期的な影響を与えるかどうかを確かめる研究が進んでいる。サッカーでは、ヘディングの影響が懸念されており、海外では規制する動きもあると読売新聞は伝えている。

もちろんヘディングが直接的な関係があるかどうかは、現段階では科学的な根拠はない。しかし、米国サッカー協会は、脳への悪影響を避けるため、10歳以下のヘディングを全面的に禁止している。

ヘディングによる脳への悪影響は以前から指摘されていた。Football ZONE webによると、イングランド代表FWのジェフ・アストル氏が2002年に59歳で亡くなったが、現役時代に重さのある革製のボールを繰り返しヘディングしたことが脳の損傷に影響を及ぼしていたと当時言われていたという(その後、イングランドサッカー協会(FA)とプロサッカー選手協会(PFA)が、調査結果に技術的な不備があったとして因果関係を否定)。「ヘディング=悪」を裏付ける決定的な証拠はまだないが、脳に与える影響が完全にないとは言えないだろう。

認知症だけではない。元プロサッカー選手は一般人と比べ、アルツハイマー病は5倍、運動ニューロン病は4倍、パーキンソン病は4倍の発症リスクがあることもわかっているという。その一方で、心臓病や肺がんなどの一部のがん、その他の病気での死亡する可能性は一般人よりも低いという結果も出ているという。もちろんこれらも因果関係はわかっていない。

専門化は「過度に不安になる必要はないが、ヘディングが脳に与える影響について、日本でも議論を始めるきっかけにしてほしい」と話している読売新聞は伝えている。

日本も報復の対象か?イランが米軍に弾道ミサイル攻撃

NHKによると、アメリカ軍がイランの精鋭部隊の司令官を殺害し、緊張が高まるなか、アメリカ国防総省は声明を発表し、日本時間の8日午前7時半ごろ、イランが弾道ミサイルをイラクに駐留するアメリカ軍などに対して発射したと明らかにしました。
そのうえで、「これらのミサイルがイランから、少なくとも2か所のアメリカ軍が駐留する基地を狙って発射されたことは明らかだ。現在、被害状況を確認するとともに、駐留するアメリカ軍関係者の保護にあたっている」としています。
イラクに駐留するアメリカ軍と有志連合に対して発射した弾道ミサイルは十数発とみられ、米国防総省は各基地が既に警戒態勢に入ったと発表。アメリカ軍からの報復については言及していません。
一方、イランの国営テレビは、イランの革命防衛隊が、アル・アサド基地を複数のミサイルで攻撃したとし、攻撃の名前は「殉教者ソレイマニ」だと伝えているといいます。
また、「国営イラン放送によると、革命防衛隊は声明で、米国の同盟国に対し、各国の領土が米国による攻撃に使われた場合、イランの反撃の標的になると警告した」と共同通信が伝えています。
米国の同盟国とは日本も含まれるものと見られ、この戦火がどのように飛び火するのか、周辺国では緊張が一気に高まっています。

トランプ大統領は対応協議中

NHKによると、ホワイトハウスのグリシャム報道官は、「イラクにあるアメリカ軍施設への攻撃についての報道は承知している。トランプ大統領は説明を受け、状況を注視しつつ対応を協議している」とコメントしました。
アメリカの野党・民主党のペロシ下院議長は、「アメリカ軍を標的にしたイラクでの攻撃の状況を注視している。われわれは、アメリカ軍関係者を守るためにイランに攻撃の中止を求めると同時に、トランプ政権にも不必要な挑発をやめさせなければならない。戦争をしている余裕は、アメリカにも世界にもない」という声明を出しました。
一方、イランは「われわれは傲慢なアメリカに警告する。アメリカがさらなる挑発行為をとれば、一層激しく、破壊的な報復に直面することになる」としてアメリカをけん制したほか、イランと敵対し、アメリカの後ろ盾を受けるイスラエルも軍事攻撃の対象となるとしています。

禁煙化で止まらぬ客離れ。串カツ田中を襲う創業以来の深刻な危機

2018年6月、大手居酒屋チェーンとしては初の禁煙施策をスタートさせ注目を集めていた串カツ田中ですが、現在、創業以来の深刻な危機に陥っているようです。禁煙導入から3ヶ月目には「客数12%増」を実現させた同社に、一体何が起こっているのでしょうか。フリー・エディター&ライターでジャーナリストの長浜淳之介さんが、その原因を探ります。

プロフィール:長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)、『バカ売れ法則大全』(SBクリエイティブ、行列研究所名儀)など。

串カツ田中を襲う創業以来の深刻な危機

初の禁煙居酒屋チェーンとして知られる、串カツ専門店「串カツ田中」を展開する、串カツ田中ホールディングスが既存店の集客減に悩まされている。同社直営店の既存店売上高は、今年11月で9ヶ月連続の前年割れとなった。しかも11月は最低の前年同月比88.1%にとどまり、11.9%減と上場以来初の2桁減収になってますます悪化している。

既存店とは新規開店した月を除き18ヶ月以上を経過した店舗を指すが、同社直営店の既存店売上高は今年3月に99.6%となって前年を割って以来、一度も前年同月を上回っていない。創業以来の深刻な危機に陥りつつある。

不振の要因は、喫煙者の顧客離れの加速に対して、非喫煙者の集客の伸び悩みに尽きる。「串カツ田中」は2018年6月に居酒屋チェーンとしては初めて、一部の立ち飲み店舗を除く、店内の全席禁煙・フロア分煙に踏み切った。しばらくは好調に推移していたが、突如変調をきたした。

既存店客数も4月以降は、8月に101.7%と一時的に回復した以外はずっとマイナスなのである。11月の既存店客数は9.2%減とやはり上場以来最悪の落ち込みで、3ヶ月連続の前年割れだ。顧客単価も下がっており、過去1年で既存店単価が前年を上回ったのは9月の100.9%のみだ。過去1年で3.3%減っている

もっとも出店を重ねて、全店の売上高と客数は、今も2桁以上の高い水準で、前年同月を上回り続けている。18年11月に218店だった店舗数は、19年11月には273店に増えた。1年で55店の増加だ。そろそろ飽和に近づいているのかもしれない。

もちろん、同社の経営陣が無策だったわけではなく、毎月のように串カツ100円セールを実施したり、3世代で楽しめるように子供向けのメニューを充実させたりと、集客浮揚策を打っているが一向に燃えない。

マニアックな嫌煙家たちばかりが、串カツ田中を支持したわけでもない。望まない煙草の煙を吸って肺癌などを発症する健康を害するリスクがない居酒屋チェーンができたと、健康増進への意識が高い良心的な医療関係者、知識層にも絶賛されていた。実際、受動喫煙に対して健康への影響が大きい、子供たちを守る観点から、ファミリーで利用する飲食店を禁煙にするのは、必要な措置である。意識が高い人たちが継続的に利用してくれれば良かったのだが、一体どこに消えてしまったのか。

2020年4月になると、健康増進法が一部改正されて、飲食店は原則屋内禁煙になり、喫煙専用室内でのみ喫煙可となる。資本金5,000万円以下の中小企業(大企業の系列でない)が経営する、客席面積100㎡以下の既存店ならば、喫煙可と掲示の上、20歳未満の顧客と従業員が立ち入れないという条件で、喫煙可にできるといった抜け穴はある。しかし、名だたる飲食企業の居酒屋チェーンは、全て禁煙になるわけだ。違反者には最高で50万円の罰金が科される。そうなると、禁煙が売りであった、「串カツ田中」の競争優位性がなくなってしまう懸念がある。

同社の2019年11月期第2四半期決算説明会で、貫啓二社長は「来年4月になると、条件が同じになるので率先して禁煙化に取り組んだ弊社は有利になる」などと自信を示していたが、それどころか一斉にどの居酒屋チェーンも原則禁煙になってしまったら、埋没してますます売上が落ちるのではないだろうか。