中心位置にこだわるな。何が日本の「台風報道」をダメにしているのか?

強い勢力を保ったまま日本列島を縦断し、各地に大きな被害をもたらした台風14号。テレビ各局は長時間を割いて台風情報を伝え続けましたが、その報じ方については改善すべき点が多いようです。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では著者で米国在住作家の冷泉彰彦さんが、台風14号に関する報道を見て感じたという違和感を5つ指摘。それぞれについて詳細に検討するとともに、その解決法を提示しています。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2022年9月20日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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台風報道に見る、5つの違和感

台風14号の威力は恐ろしいほどで、とにかく上がる寸前まで915hpaとか、上がっても930とか、延々と陸上を移動してもまだ980だとか、モンスターだとしか言いようがありません。そうなのですが、遠くから日本の報道を見ていると、違和感ばかりが目に付きます。5点、議論したいと思います。

1)報道に切迫感がありません。とにかく、大した風も吹いていないのに、ホテルの部屋から「安全なところからお伝えしています」などと断りを入れて生中継するのは止めていただきたいです。

昭和の昔がいいとは言いませんが、報道関係者には危機回避のノウハウは残っているのですから、多少キツくても雨に濡れ、風に吹かれて「視聴者の危機感を喚起する」映像を届けて欲しいと思います。

働き方改革の問題があったり、そもそもメディアが資金力を失っている、あるいは雲仙岳の悲惨な事故以来は厳しい事情があるのはわかります。ですが、仮にそうであっても、もっとリアルな映像で危機感を喚起する、そのためには無人ドローンでも、遠隔のカメラでもいいわけで、とにかく「百聞は一見にしかず」なのですから、工夫していただきたいと思います。

大きな理由としては、「マスゴミが危険を冒して報道すると、社会に迷惑をかける」という種類の理不尽な視聴者からのカスハラで、これで疲弊している面はあると思います。ですが、これも信念があればバッサリできるはずです。

2)昔から気になっているのですが、「命を守る行動を」という言い方には違和感があります。とにかく、そんな日本語はないし、そもそも人間には危機回避本能があるのですが、その本能を刺激「しない」言葉だと思うからです。自分の命に危険が迫るのは「怖い」、という感覚を刺激しないのです。

どういうことかというと、危険が切迫していて命に関わるのだが、「お前はそこまでの切迫感を感じていないだろう」という、見下した上から目線が薄っすらと感じられる一方で、それに「迷惑だから死なないでくれ」的な身勝手さが乗っかっているからです。そのくせ、初期にはあった「違和感が刺激になる」効果が消えて、日本語に特に多くある「強く言えば言うほど陳腐化が加速する」という現象も出てきているようです。

そういえば、「土砂崩れ」を「土砂災害」と言い換えているのも気に入りません。どう考えても「土砂崩れ」のほうが怖いので、注意喚起になるはずです。もしかしたら、過去の被災経験者のPTSDなどを配慮する必要があるのかもしれませんが、それで表現をソフトにして、逃げ遅れた人が死んだら元も子もありません。

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「親ガチャ」って本当にあるの?遺伝と教育が子に与える影響は

 日本ではすっかり定着してしまった「親ガチャ」という言葉。生まれ持った容姿や性格、家庭環境によって、その後の人生が左右されてしまうという意味ですが、果たしてそれはどこまで正しいのでしょうか。今回は、メルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』の中で、「双生児法」の研究者がその真実を突きつける一冊を紹介しています。

親ガチャは正しいか?⇒『生まれが9割の世界をどう生きるか』

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生まれが9割の世界をどう生きるか

安藤寿康・著 SBクリエイティブ

こんにちは、土井英司です。

本日ご紹介する一冊は、行動遺伝学の専門家であり、『日本人の9割が知らない遺伝の真実』の著者、安藤寿康さんによる新刊。

※ 参考『日本人の9割が知らない遺伝の真実

すっかり定着した「親ガチャ」という言葉がどこまで正しいのか、教育はどこまで子どもの未来に影響を及ぼせるのか、教師や親に厳しい現実を突きつける、注目の一冊です。

著者は、一卵性双生児と二卵性双生児の比較をし、遺伝の影響を見極める「双生児法」の研究者。

本書では、この研究により得られた知見をもとに、何が遺伝で、何がそうでないか、何が変えられなくて何が変えられるか、リアルな見解を示しています。

本書によると、身長や体重の遺伝率は90数パーセント、神経質さや外向性、勤勉性、新奇性といったパーソナリティについては、遺伝率は50パーセント程度。統合失調症、自閉症、ADHDに関しては、80パーセント程度が遺伝で、反社会的な問題行動に関しては、60パーセント程度の遺伝率だそうです。

驚いたのは、優秀な親と優秀な親の組み合わせだと、子どもの知能の平均は両親の中間より、集団全体の平均に近づく確率が高くなるということ。

また、先生や親にとっては残念なことに、子育てや教育の影響というのは、思ったほど大きくないことも示されています。

では、一体何が子どもの成功に影響するのか。それこそが、本書の最大の読みどころです。

本文を読む気のない親御さんには、「静かで落ち着いた雰囲気の中で、きちんとした生活をさせること」と「本の読み聞かせをすること」だけをおすすめしておきましょう。

しっかり学びたい方は、買っていただいた方がいいと思いますが、まずは本文のなかから、気になったところを赤ペンチェックして行きましょう。

日本企業を牛耳る「経団連」の中身が“老人クラブ”と揶揄される理由

日本には上場企業の利益を代表する団体「経団連」という組織があります。その組織を「田舎のロータリークラブ」と揶揄するのは、メルマガ『サラリーマンで年収1000万円を目指せ。』の著者・佐藤しょ~おんさん。佐藤さんが、そのように指摘する理由と現状について詳しく語っています。

日本を支配する老人クラブ

経団連という組織が日本にはありまして、正式名称を日本経済団体連合会といいます。この組織は、日本の代表的な会社、それはつまり上場企業を指すわけですが、これらの会社の利益を代表する団体として、かつては自民党の政治家とも太いパイプを持っていて、経済に関する政策にあれこれと注文を付けていたわけです。

ところがこの団体で理事、監事となっている人の名簿を見ると、

一般社団法人 日本経済団体連合会 理事・監事

25人中、女性が二人だけなんですね。25人もいて、女性か二人だけ。しかも男性のほぼ全員が、その会社に新卒で採用されて純粋培養で育てられて出世してきた人たちなんですね。「ほぼ」と書いたのは一人だけ例外がいて、それが副会長・理事唯一の女性のDeNAの創業者南場智子氏です。それ以外の人は、全員が有名大学を卒業して、それからひたすら順調に階段を駆け上がった人ばかりで、転職経験がある人もいなければ、起業家、創業者もいないサラリーマン社長だけという、異様な均質性を持つ団体なんですね。

つまり社長とはいえ、ただのサラリーマンで、会社の創業者でもなく、株をたくさん持っているわけでもない、社内で立身出世してエラくなった「だけ」の人たちが、日本の経済政策に提言をする組織を動かしているんですね。

唐突ですが、生物には多様性というモノが必要なんだと思います。例えば、これはネズミなどの小動物も同じなんですけど、たくさん生まれた子供の中にごく一部(5%から10%くらい)、他の子供と全く違う変な子が混じるんですよ。そんな子供は異端なので、普段は爪弾きにされるというか、全く目立たないのですが、いざ環境が変化して組織に大きな危機が来た場合、その異端がリーダーになって生き残りを図ったりするんです。

ところが日本の経済を主導しているリーダーたちは、揃いも揃って金太郎飴みたいな人ばかりなんですよ。笑っちゃうことに学歴という面でも、ほとんどの人が学士でして、これは世界の常識から見たら非常に低学歴なんですよ(高卒のお前が言うなって言われそうですが、これは事実だから仕方ありません)。

海外だとCxOという人たちは、最低でも修士、多くが博士号を持っていて、下手したらダブルメジャーとか、博士プラスMBAなんて人がゴロゴロいるモノですが、日本では東大、京大を出ていたらもうこれでアガリみたいな感じになっているわけです。

そんな人たちが、自分たちの会社を守るために組織した団体が経団連なわけで、彼らは決して日本の経済に関して代表たる資格を持っている人たちではないんです。日本医師会が医者の代表ではないのと構図は近いですね。

パワハラ、セクハラで信頼を失ったUberが「再構築」できたワケ

一度失った信頼を取り戻すというのはとても難しいことです。信頼の失墜は、企業の話であれば「死活問題」にもなり得ます。そこで、今回のメルマガ『尾原のアフターデジタル時代の成長論』では、著者で、Google、マッキンゼー、リクルート、楽天の執行役員などを経て、現在はIT批評家として活躍されている尾原和啓さんが、 一度失った信頼を再構築したUberのスピーチを紹介しています。

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パワハラ・セクハラ問題で信頼が失墜したUberはどうやって信頼を再構築したか?

「Trustの作り方」という有名な話が2018年のTEDの中にあります。

これは、パワハラ・セクハラ問題で信頼が失墜したUberに、あるチーフマーケティングオフィサーの方が入られて、どうやって信頼を再構築していったかという素晴らしいスピーチがあるので、その話をしたいと思います。

このスピーチは、僕はカナダのバンクーバーに行って観ていたんですけど、動画には日本字幕もあるので、ぜひ時間のある方は見ていただくとすごく良いです。

How to build (and rebuild) trust | Frances Frei

今日はこれをざっくり分かりやすく解説したうえで、「なぜオンライン時代に必要なのか?」も含めて話をしていきたいと思います。

信頼を作るための3つの要素とは?

彼女が言っている「信頼(Trust))の作り方」というのは3つあって、

1. 共感(Compassion)
2. 論理(Logic)
3. 真正性(Authenticity)

この3つが大事だという話をしているんですね。

ここで、何かを考える時に、大事なのは「逆を考える」と分かりやすいんですよね。どういう人間が信頼できないんだろう?と考えると、信頼は「信」じて「頼」れるという事なので、つまり何かのときに知らない人の車に乗せてもらっても大丈夫、という、人が移動する瞬間を信じて頼るわけですから、疑う気持ちが入るとダメなんですね。

そうすると、逆に「信じて頼れない」というのは、「何かあったときに、こいつって自分の事とか別の事を優先するやつなんだろうな」と思えちゃうと、信じて頼れないわけです。

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中島聡氏「ガチャは悪徳商法、結婚は現実世界への扉」世界的エンジニアが語る技術・仕事・人生の答え

Windows95を設計した日本人として知られる世界的エンジニア・中島聡氏のメルマガ『週刊 Life is beautiful』より、毎号大好評の読者Q&Aコーナーを再構成してご紹介します。仕事術からテクノロジー、はたまた結婚まで、中島氏の頭の中を覗いてみませんか。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

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世界的エンジニアの中島聡氏が「ビジネスから結婚生活まで」読者の疑問に全部お答えしますスペシャル

【読者からの質問】

中島さんはNTT研究所を経てマイクロソフトに転職され、その後UIEなどを起業されたかと思いますが、独立(起業)しようと思われたきっかけ、動機などをお聞かせいただけないでしょうか。

マイクロソフト時代もWindowsの開発などで十分実績を残され、そのままマイクロソフトに在籍されていても、さらにご活躍され、将来を約束されていたのではと思ってしまいます。(むしろ会社としては辞めてほしくなかったのでは?)

ずっと以前から、いつかは起業という想いをお持ちだったのか、マイクロソフトでずっと働くという選択肢はなかったのか、起業に際して、不安に思うことなどなかったのかなど、ぜひ、ご参考にさせていただきたく。

【中島氏の回答】

マイクロソフトを辞めて独立した一番の理由は、会社が大きくなりすぎて、ソフトウェア・エンジニアとして「全力で走ること(もの凄い勢いでプログラミンをすること)」が難しくなったことにあります。

同時に、会社の中での自分の地位があまりにも安定したものであったため、そのまま会社に残ると「エンジニアとしては不満足だけど、待遇だけはやたら良い」という、会社と私のどちらにとっても好ましくない状況に陥ることが目に見えていました。

私のように、少数精鋭で猛スピードでものづくりをしたいエンジニアにとっては、大会社は居心地が悪い、というのが私が至った結論で、その決断は今でも正しかったと思います。

 

【読者からの質問】

個人開発した Web サービスの集客に関して「どういった方向でやっていくべきか・もしくはやらないべきか」を悩んでいます。

Web サービスの主な集客方法としては、SNS・SEO 対策・広告(Web 広告・SNS広告)・コンテンツマーケティングが挙げられると思いますが、個人開発のサービスの場合どういった道筋で頑張っていけばよいのか悩んでいます。(Webや書籍に何冊で調べてみても、なかなかプロモーションのよい策が見えてきません…ただ現時点では、技術記事などのアウトプットを通して長い目でSNS 上でプレゼンスを獲得していくのがよいかと考えています。)

もしくは、開発者個人では頑張らず Web マーケティングが得意な人を探して、その人と協業するといった策を取るべきでしょうか?

【中島氏の回答】

個人開発サービスに限ったわけではありませんが、何よりも大切なことは、そのサービスが十分な価値を使う人に対して提供することです。なので、まず最初にすべきことは、少人数でもよいので、サービスを使ってもらい、そこに価値を見出してもらえることを確かめることです。マーケティングにお金や労力をかけるのは、その後で十分です。

特に個人サービスの場合、マーケティングにそれほど大きなコストをかけられるわけではないので、実際に使っているユーザーからの「口コミ」が何よりも大切で、そんな形のバイラル・マーケティングが自然に起こるような形を作ることに開発労力を割くべきだと私は思います。

市場によっては、「ある程度の数のユーザーがいないと価値が生まれない」ものもありますが、その手の市場は大資本の会社が圧倒的に有利なので、そこは個人が戦うべき市場ではないと思います。

 

【読者からの質問】

ウォルマートやコストコなど小売業界の未来の展望があれば知りたいです。

もう一つ質問があります、中島さんは将来この企業が上場したら株を買いたいと思うとこはありますか。

【中島氏の回答】

小売業界は私の専門ではないので、なんとも言えませんが、コストコに対するメンバーの信頼度は非常に高いものがあり(私もメンバーの一人です)、Amazon がいくら頑張っても、コストコから全てを奪うことは不可能だと思います。

ウォルマートに関しては、私自身は好きでもないし利用することはほとんどありませんが、それなりのターゲットセグメントは(コストコと同様に)しっかりと掴んでいると私は理解しています。

未上場の株で、是非とも株を欲しいと感じているのは、SpaceX、Sprite、OpenSea、Dyson の4社です。それぞれの魅力を説明していると長くなるので、ここでは割愛しますが、どこも非常に魅力的な会社です。

 

【読者からの質問】

私は、GameFiやパチンコ等のギャンブルビジネスにかなり否定的です。理由は、何の生産性もない業界を作り、搾取ビジネスをしているだけではないか?と感じるからです。もちろん、ビジネスとしてではなく娯楽として楽しみたいのであれば、否定はしません。

また、YouTube等で広告費を稼ぐビジネスモデルにも懐疑的です。結局は、テック企業や広告主が儲け、そこで稼ぐ日本人プレーヤーが増えれば増えるほど、日本の生産性は減って自分達で弱い国にしているのではないかと考えました。

仕事とは、誰かに価値を提供し、その対価をもらう。とてもシンプルなものだと思うのです。中島さんにとっての仕事はどのようなものか、教えて頂きたいと思いました。

【中島氏の回答】

私もGameFi ・ガチャ・パチンコには否定的です。ねずみ講やマルチ商法と同じ類の、楽して儲けたいと考える「人の弱さ」に付け込んだ悪徳商法だとすら思います。

広告ビジネスに関しては、それほど否定的ではありませんが、そんな会社にとっては、顧客は広告主であり、ユーザーではないという点が「ユーザー体験」の面でマイナスになると感じています。FacebookやGoogleが、いつまでたってもユーザー体験で Apple に追いつけないのは、そこに理由があります。他でも書きましたが、GPT-3(言語AI)のようなビジネスに足元を救われてしまう可能性すらあると思います。

私にとっての仕事は、プログラミングにしろメルマガにしろ、「世の中に価値を提供すること」「人々に喜んでもらうこと」に尽きます。より多くの人に私のソフトウェアを使ってもらうこと、メルマガを読んでもらうことが、私にとっての「生きがい」であり喜びです。

 

【読者からの質問】

もし中島さんがプログラミングスキルがない状態でUnreal Engineを使ってゲームを作ろうと思ったら、どのような学習をしてからUnreal Engineでゲームを作りますか?

僕はゲーム(シューティング系)を作りたいと強く思っているのですが、どうすれば成果物を作れるのか参考にしたいです。

【中島氏の回答】

プログラミングの経験なしに Unreal Engine でゲームを作るのは無理です。それでもどうしてもゲームを作りたいのであれば、今ならRobloxがオススメです。Unreal EngineやUnityと比べると、はるかに敷居は低いので、プログラミング経験のない人にはとても良い開発環境です。

 

【読者からの質問】

以前に中島さんは、「起業→VCから資金調達→上場や買収でエグジット、という回り道をせずに、開発→デプロイ→継続的な収入、というストレートな道が開けるのがWeb3だと考えていただいて良いと思います」と仰っていました。

この「継続的な収入」とは、例えばスマートコントラクト上にサービスの手数料として5%のETH(イーサリアム)が設計者のアドレスに振り込まれるようにコードを書いておくみたいなイメージで合っていますでしょうか?

【中島氏の回答】

はい、その通りです。NFTの二次流通における手数料が良い例で、その仕組みにより人気のあるNFTを作った開発者はアーティストには継続的な収入が入ります。

NounsDAO が採用している、「オークションで9個売れるたびに、1個のNFTを開発者に配布する」仕組みも、とてもよく出来ていると思います。今の相場だと、開発者一人当たり、年間5千万〜1億円相当のNFTが配布されている計算になります。

ちなみに、私が先日リリースした Pride Squiggle は無料ミントで配布した上に、二次流通における手数料はすべてチャリティに寄付する設計になっていますが、ミントのプロセスで20個に1個は開発者である私のWalletに配布される仕組みになっています。

Pride Squiggleの時価総額が最終的にどのくらいの規模になるかは分かりませんが、その5%が私に対する成功報酬、という設計です。

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かつてナチスに用いた戦術。ウクライナから「ロシア軍一時撤退」が意味するもの

ウクライナ軍による反転攻勢で、数日の間に戦況が大きく動いたウクライナ紛争。ロシア軍の占領地域からの撤退に沸いた西側諸国ですが、その裏にはプーチン大統領が描くシナリオが存在するという見方もあるようです。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では元国連紛争調停官の島田さんが、ロシア軍の一時撤退が彼らの言うところの「再配置」であった場合に考えうる今後の展開を解説。すでにウクライナから引くことができなくなっているプーチン大統領が、戦術核兵器や生物・化学兵器を投入する可能性を指摘しています。

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再度動き始めた国際情勢と今後

「ウクライナ軍がロシア軍によって占領されていた北東部を奪還・解放した」

「南部(へルソン州)でもウクライナ軍が押し返し、ロシア軍の撤退が見られる」

連日、ゼレンスキー大統領がウクライナ軍による戦果を発表し、「ロシアに奪われた土地を取り戻すまで、我々は戦い続ける」と固い決意を述べて鼓舞する姿が報じられました。

アメリカのWar Instituteや英国の情報機関も、内容に若干の差異はあるものの、ウクライナ軍によるウクライナ北東部の要衝の奪還(ハリコフ州イジュームなど)に言及しています。

ロシアも、表現は“再配置”という言い方になっていますが、ハリコフ州からの撤退を認めており、いろいろな憶測が飛び交っています。

欧米諸国(特にアメリカ)からウクライナに供与された武器・弾薬は確かにロシア軍の補給路を断ち、多くの戦車や火薬庫を破壊し、大きな戦果をあげる助けになっていることは事実で、その勢いは南部戦線にも及んでいるとされています。

「数千平方キロメートルの領土を奪還し、行政的な機能も復活させる」

そうゼレンスキー大統領は宣言していますが、これまでに戦争で破壊され尽くしたインフラと街、そして人々の心と自信を再興するにはかなりの年月を要することでしょう。

それに加えて、東部の州で進軍を続け、ロシア軍が撤退を繰り返すうちに、ロシア軍が後方支援を受けやすい地域に入ることを意味するため、今後、ウクライナ軍による反転攻勢もどのような事態になるのかは予測しづらい状況であることを軽視できないことと、南部へルソン州などでの奪還作戦も、激しいロシア軍からの攻撃に晒される状況に変わりはなく、戦況はまだまだ楽観できないというのが実情のようです。

ところで今回のロシア軍の“再編成・再配置”または“撤退”は、実際に何を意味するのでしょうか?

まずオーソドックスな見方をすると、ウクライナがアメリカなどの助けを得ながら展開した情報戦の勝利の結果と言えます。

8月29日だったかと思いますが、ゼレンスキー大統領は「南部の奪還に注力する」と発表し、ロシア軍の守備勢力を南に再配置させ、東部の守りを手薄にした上で、反転攻勢を東部ハリコフ州などにかけたというものです。

多くの専門家の方々がこの考えを持ってらっしゃいますが、果たしてどうでしょうか?

アメリカから提供されたハイマースなどの高性能な武器が機能し、ウクライナ南部および北東部でロシア軍に甚大な被害を与えているのは事実のようですし、それが今回の奇襲作戦を支えたことも事実だと考えます。

双方にとっての補給路の要衝であるハリコフ州イジュームを奪還したというのは、ウクライナ人を鼓舞し、戦う気持ちに再点火するにはいいニュースですが、そのまま勢いに乗って東部の深くまで(ロシア国境に向けて)進むにつれ、十分に補給経路を確保できるロシア軍の激しい抵抗にあうことになります。

ここでロシア軍に大敗を喫することになった場合、逆のベクトルが働く可能性は否めません。

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感情論は抜きで議論せよ。安倍氏「国葬」の是非を冷静に考察する

賛成派・反対派ともに一歩も譲る気配のない、安倍元首相の国葬の是非を巡る論争。岸田首相の閉会中審査での説明にも国民の多くが納得せず、内閣支持率も危険水域一歩手前となっています。そもそも何がこのような状況を招いてしまったのでしょうか。今回、立命館大学政策科学部教授で政治学者の上久保誠人さんは、生前の安倍元首相の政治姿勢にその原因があると指摘。さらに岸田首相が挙げた「安倍氏の国葬を実施する4つの理由」を丁寧に検証した上で、安倍元首相を国葬で送ることが妥当か否かについての見解を記しています。

プロフィール:上久保誠人(かみくぼ・まさと)
立命館大学政策科学部教授。1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。主な業績は、『逆説の地政学』(晃洋書房)。

安倍氏「国葬」問題。賛成派も反対派も冷静な議論が必要だ

安倍晋三元首相の「国葬」実施を巡り、世論が二分されている。元首相が死去し、岸田文雄首相が国葬実施を決定した直後は「開催賛成」が多かった。だが、次第に「国葬反対」が増えている。メディア各社の世論調査で、「反対」「評価しない」が多数という結果が相次いでいる。

「国葬」を巡って国論が二分している状況は、「政治家・安倍元首相」を象徴しているように思う。安倍元首相は、「お友達」と「敵」をはっきりと分ける政治家だったからだ。

安倍元首相を知る人は口々に絶賛する。「優しい人だった」「よく人の話を聞いてくれた」「困った時に助けてくれた」という人柄を評価する声がある。「アベノミクスで日本経済を救った救世主だ」「憲法改正、安全保障政策に取り組み日本を守ろうとした」「世界中の指導者に慕われた。日本の世界におけるプレゼンスを高めた」などという経済、外交、安全保障などの成果を評価する声もある。

安倍元首相を手放しで絶賛する「お友達」にとっては、「国葬」の実施は疑うべきことのないものだ。岸田首相自身が元々どんな考えだったかはわからない。だが、少なくとも首相に対して「お友達」が「国葬」実施を強く働きかけた結果なのは間違いない。

一方、安倍元首相は「敵」に対しては徹底的に厳しかった。国会で、民主党政権を「悪夢」だったと発言して憚らず、発言撤回を求められると「私にも言論の自由はある」と拒否した。選挙演説では「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と野党支持者に罵声を浴びせた。「日教組」など野党の支持団体に「反日」と言わんばかりの激しい批判を展開し続けた。首相としては、いささか行きすぎた「敵視」だった。

安倍元首相に「敵」とされた人たちは言う。政策的にも、アベノミクスは大企業、富裕層のみに恩恵があり、格差を拡大した。外交も確たる成果がなかった。復古的な軍国主義を進めようとした。彼らは、安倍元首相に「憎悪」といってもいい感情を持つ。「国葬」の実施に激しく反対している。

野党だけでない。自民党内や官僚組織内という身内でさえも、「非主流派」は人事で徹底的に干し上げた。身内からも安倍政権を批判する自由闊達な議論が消えた。官僚組織には「忖度」が横行した。彼らは沈黙を守っているが、心の中では「国葬」に反対している。

「賛成派」と「反対派」は、安倍元首相に対する評価が極端に分かれている。双方に一致する点がまったくなく、歩み寄ることがない「水掛け論」となっている。論争ではなく、感情のぶつかり合いだ。まさに、国民が「分断」している状況といえる。

この「分断」は安倍政権期に起こったさまざまな問題によって広がってきたものだ。だから、「国葬」を巡る現在の状況は、「政治家・安倍晋三」を、よくも悪くも象徴していると思うのだ。

「大型で非常に強い台風」で電気代が安く?日本が暴風雨を克服する未来

シルバーウィークの日本列島を直撃中の台風14号は、18日夜から19日にかけて九州に接近・上陸する見込み。気象庁では、数十年に一度レベルの大規模な災害が発生する恐れがあるとして最大級の警戒を呼びかけています
近年、豪雨や台風の被害が拡大している災害大国の日本ですが、下町ベンチャーが「台風発電」に挑戦していることをご存じでしょうか。メルマガ『浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』の著者で国際政治経済学者の浜田和幸さんが、若手ベンチャー企業経営者の熱き挑戦を紹介します。

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プロフィール:浜田和幸(はまだ かずゆき) 国際政治経済学者。前参議院議員。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。『ヘッジファンド』『未来ビジネスを読む』等のベストセラー作家。総務大臣政務官、外務大臣政務官、2020年東京オリンピック・パラリンピック招致委員会委員、米戦略国際問題研究所主任研究員、米議会調査局コンサルタントを歴任。日本では数少ないフューチャリスト(未来予測家)としても知られる。

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夢の「台風発電」で災害大国日本がエネルギー大国に

わが国で進む「台風」の研究

ぶっちゃけ、このところ日本を襲う台風は数も規模も急増中だ。各地で被害が拡大している。 実は、すでにわが国には20年以上も前に「台風を消滅させる技術」を開発し、特許も取得している企業がある。大阪発の元祖ベンチャー企業で、今では世界的な評価を得ている素材メーカーであるが、実際に台風を消滅させるには膨大な費用がかかり、ビジネスとしては成り立っていない。

墨田区の下町ベンチャーが「台風発電」に挑戦中

その一方で、東京都墨田区の新たな下町ベンチャーが「台風発電」に挑戦している。これまた世界初となる「垂直軸型マグナス風力発電機」の開発に日夜取り組んでいるのである。

何しろ、国土交通省の試算では「台風1つで日本の電力需要を50年分賄うエネルギーを秘めている」とのこと。原発などに依存しなくとも、資源に乏しい日本にとってはもってこいのエネルギー源になる可能性があるわけだ。

このベンチャーを率いるのは清水敦史(あつし)氏。若きエンジニアだ。

かつては産業用センサー機器の大手企業でセンサーの開発に従事していたが、東日本大震災を機に、再生エネルギーの必要性に目覚め、風力、なかでも台風に着目し、2014年に「チャレナジー」というベンチャー企業を立ち上げた。

従来のプロペラではなく、円筒を気流の中で自転させたときに発生する「マグナス力」で動く発電機を発明。台風が1番多く押し寄せる沖縄に実験機を設置し、実証実験を繰り返している。

風速80メートルでも壊れないように設計された発電機でデータを集め、下町テクノロジーの代表的存在の浜野製作所とも連携し、商用機の販売にたどり着くのが目標という。

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なぜ香川照之は許されてしまうのか?セクハラに甘すぎる日本芸能界の闇

アメリカをはじめ、海外では盛り上がっていた#MeToo運動ですが、日本にはほとんど無縁でした。セクハラなどが起こっている現実があるにもかかわらず、日本人はなぜ#MeToo運動に参加しなかったのでしょうか。今回のメルマガ『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』では著者でジャーナリストの伊東森さんが、 報道された香川照之のスキャンダルから、海外と日本の人権の扱いの違いについて語り、日本の芸能界の闇にも迫っています。

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香川照之の性加害スキャンダルにみる 日本の芸能界の闇 所詮はCM=本業 テレビ・ドラマ出演=副業という現実

香川照之のスキャンダル報道が収まらない。「デイリー新潮」の第1報後、香川の所属事務所はすぐに謝罪コメントをリリース。香川もMCを務めるTBS系の『THE TIME』で謝罪。

スキャンダル自体は極めて悪質ではあるものの、しかし3年前のことであり、性被害者が訴えたのは香川ではなく銀座のクラブであり、被害者との示談も成立していたため、その後、数日間は、やや報道がトーンダウンした様子も。

しかし、8月31日に再び、「デイリー新潮」が新しい証拠として、当時の写真を掲載。さらにそれを追うように「文春オンライン」も報じたことで、空気は一変する。

TBSは『THE TIME』の降板を発表。NHKも『香川照之の昆虫すごいぜ!』(NHK Eテレ)の今後の放送と再放送の予定がないことを発表。

トヨタ自動車とセゾン自動車火災保険は出演CMの放送見合わせを発表、他の企業も続いた。

他方で、香川は、これまで酒席での様子を報じられたことがあり、酒癖に関する噂話を業界内で何度もあったのにも関わらず、香川がこれまで「野放し」であったことの社会的責任も重い。

2010年代後半、海外では#MeToo運動が盛り上がったのにもかかわらず、日本だけが無縁だったのは、所詮は“人権後進国”ニッポンの現れ。

香川は元より、香川を重宝し続けた、テレビ局、そしてCMに出演させ続けた企業も同様に罪がある。

目次

・アメリカの場合 ハリウッドの大物プロデューサーがセクハラ80件で禁錮23年 #MeTooへ
・違約金「5億円」は本当か?
・CM=本業 テレビ・ドラマ出演=副業という日本の芸能界の現実

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「第3次政権に向け始動」安倍晋三氏が生前、御用記者に漏らしていた意欲

異なる意見に対して一切の聞く耳を持たず、時に異常なまでの攻撃性を露わにした安倍元首相。憲政史上最長の首相在任期間を記録した安倍氏ですが、彼には決定的に欠けていたものがあると指摘する識者もいます。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では著者で評論家の佐高信さんが、過去の優れた経営者が備えていたという、安倍氏に不足していた「考え方やものの見方」について考察。そんな安倍氏が3度目の首相登板を視野に入れていたという情報を、驚きと呆れを持って伝えています。

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安倍晋三に欠けていた左派的見解

『文藝春秋』の10月号に元NHKの記者で安倍晋三の代弁者と言われた岩田明子が、安倍は3度目の総理登板を考えていたと書いている。

退陣から1ヵ月ばかりの一昨年の9月30日、安倍は岩田にこう言ったというのである。

「第3次政権に向けて、そろそろ始動という感じかな」

そして今度の参院選で、安倍の秘書官だった井上義行が統一教会に「祝福」を受けたとの情報について尋ねると、安倍は「私自身はさほど関与していないから…」と答えたという。

第3次政権を考えていたというのにも驚くが、「さほど」にも、その自覚のなさに愕然となる。

野上忠興の『安倍晋三 沈黙の仮面』(小学館)によれば、安倍は学生時代、真っ赤なアルファロメオで通学していた。

成蹊大学を出て南カリフォルニア大に留学した安倍は極端なホームシックにかかり、コレクトコールで毎晩のように実家に電話をかけてきた。それが月に10万円にもなるので、父の晋太郎が怒って「何を甘えているんだ。それなら日本に戻せ」と声を荒げたとか。

こんなボンボンが2度も首相をやり、3度目をも考えていたという日本はどんな国なのだろうか。よほど人材がいないのか。

安倍に決定的に欠けているのは左派的見解である。生活困窮者の姿が見えていないから仕方ないのかもしれないが、例えば経営者でも秀れた人はそれを備えていた。例えば岩井産業(現双日)の岩井雄二郎や南海電鉄の川勝伝である。

戦後まもなく、中国の延安から日本共産党の野坂参三が帰って来て、中国問題の懇談会を開いた。その大阪での会合に、岩井は川勝らと共に出席している。50人ほどの参加者のほとんどが共産党の関係者で、財界人は5人ほどだった。

クラレの大原総一郎を含めて、これらの人たちは「財界左派」などと呼ばれたが、川勝は平気で私にこう言った。

「左派的見解がないと、この世の中の動きを判断できないでしょう」

自分に反対する者たちを「あんな人たち」と呼んだ安倍に「左派的見解」はない。

岩井はこんなことも言っている。

「私は自由貿易思想というより、反ケイジアン思想です。いよいよここにきて、ケインズ先生何を言っているのか、と言いたくなります。むしろ、マルクス派の先生方、例えば大内力氏とか、木村禧八郎さんなんか、僕は非常に考え方が合いますね」

木村は社会党の議員もやった。

岩井によれば、フランスでは、社長室の本棚にマラルメの詩集やカミュの小説が並んでいる。残念ながら、この国ではそんなことはない。せいぜい、社史などが並んでいるだけである。

※ 文中敬称略

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