“ソウル大学をまともに卒業した唯一の大統領” 尹錫悦登場の意味

韓国で尹錫悦(ユン・ソンヨル)政権が誕生して1ヵ月。韓国側から日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)早期正常化など、関係改善に前向きな声が出てくる一方、文在寅の“負の遺産”に苦しんでいる様子も伺えるようです。そんなユン大統領に対し韓国国内ではどのような声が出ているのでしょうか。無料メルマガ『キムチパワー』で、韓国在住歴30年を超える日本人著者が新聞のコラムを引用して紹介します。

鳥は左右の羽で飛ぶ

メルマガ筆者がよく引用するのが朝鮮日報のコラムニスト「金大中コラム」だ。今回も、80歳を越えてますます元気な金大中氏のコラムからの引用である。

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朴正熙(パク・チョンヒ)が軍事クーデターで政権をとった「5・16クーデター」(1961.5.16)。その混沌の時代に韓国社会に「革命勢力」と言えるのは軍と大学だけだった。大学は4・19革命(1960.4.19=学生らが李承晩を大統領の座から引きずりおろした)で民主党政府を作った。

しかし1年後、軍部に権力を奪われた。大学は組織化された勢力ではなく、軍は組織化された勢力だった。結局、組織された力が勝った。政治権力というものは、その時代必然の産物だという話だ。目覚めた意識、組織の力、権力欲、国民的要求、このようなことが相まみれて権力を掌握させるということだろう。

軍部は、貧困から脱しようとする国民的欲求と効率的な政府を望む政治的要請を背景に組織的推進力、そして構成員の権力欲をうまく組み合わせて政権獲得に成功し約30年間権力を維持した。

そしてそれからさらに25年後、大学の左派運動圏を組織化した586勢力がついに韓国の政治権力を掌握した。文在寅左派政権の登場がそれだ。

それでは、尹錫悦(ユン・ソンヨル)政権の誕生はいかに説明できるだろうか。尹大統領が政界出身ではなく、検察の首長でシンデレラのように登場したのは、どのような時代的要請と論理で説明できるだろうか。

尹大統領自身がそれを説明している。彼は公正と法治を前面に押し出した。自由と民主の価値を力説した。そして、国家安保と国の理念的アイデンティティの回復を強調した。

運動圏政権のネーロナンブル、幼児独裁的不正を査定せよという国民の要請が拡大していった。それで検察という司直機関の首長が清掃専門家(?)として登場したのだ。

尹大統領は清掃任務を達成するために検察出身者を大挙起用して野党から「検察共和国」という攻撃を受けているが、彼の行動は時代的・国民的要請に応じたものだ。

ただ、その清掃作業が終われば、おそらく尹錫悦第2期は、違う面貌を見せるだろうし、またそうしなければならない。

Appleの次世代「CarPlay」に日産やホンダも乗ることになったワケ

米Appleが開発者向けのイベント「WWDC22」をオンラインで開催。M2チップ搭載の新型「MacBook Air」などが発表され話題となっているなか、「Windows95を設計した日本人」として知られる世界的エンジニアの中島聡さんが注目したのは、次世代「CarPlay」でした。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』で中島さんは、ソフトウェア開発を自社でしてこなかった日本の自動車メーカーの問題点を指摘。次世代「CarPlay」の参加メーカーとして日産とホンダの名前があるのも、「走るコンピュータ」となりつつあるTeslaのEV車に対抗するためには、唯一の選択肢だったのだろうと伝えています。

 

私の目に止まった記事

Apple WWDC22

先週、AppleのWWDC(World Wide Developer Conference)が開かれました。このイベントは、以前はサンフランシスコで開かれており、私も何度か参加しました。新型コロナの影響で、オンライン開催になり、逆に参加しやすくなった点は大きなプラスです。

色々なものが発表されましたが、私がこれまでやって来たことと最も関係があるのが、CarPlayです。

Appleは、CarPlayの将来像として、カーナビだけでなく、スピードメーターやタコメーターなどを含めた装置クラスター全てのインターフェイスをAppleが提供する計画を発表しました。

私が創業したUIEvolution(後にXevoと改名)は、まさにこんな用途のために開発したUIEngineというユーザーインターフェイスの記述言語とそのエンジン(UIEngine)を自動車メーカーに提供して大きくなった会社です。

トヨタ自動車に向けて、車載機と呼ばれるカーナビ上で動くアプリケーションを提供するところまでは実現しましたが、装置クラスターを任せられるところまでは到達出来ませんでした(社内では、プロトタイプを作っていました)。

その一番の理由は、日本の自動車が、数多くのベンダーから調達した部品を組み合わせて作る設計になっているため、ほとんどの場合、カーナビを提供するベンダーと、装置クラスターを提供するベンダーが異なり、その枠組みをまたいで統合的なUIを作るなど全く現実的ではなかったことにあります。

にも関わらず、日産やホンダまでもこのAppleの提案に乗ることになったのは、圧倒的なソフトウェア・エンジニア不足と、Teslaが猛烈な勢いで起こしているEVシフトのためです。

日本の自動車メーカーは、自らはソフトウェア・エンジニアを雇わず、仕様だけ決めてカーナビや装置クラスターのハードウェアをソフトウェア込みで(デンソーやパナソニックなどの)ハードウェア・ベンダーから調達する形で開発して来ました。

しかし、それらのハードウェア・メーカーも自らソフトウェア・エンジニアを雇わず、ソフトウェア開発は、さらに下の下請けに丸投げし、その下請け会社は、派遣会社から派遣社員を雇って人月工数で働かせる、という形で開発を進めて来ました。

そんな体制で長年自動車を開発して来たため、自動車会社にはソフトウェアが作れる人材がいないどころか、ソフトウェアのことが理解出来る経営陣すらいないのが現状です。

しかし、Teslaが台風の目となって、誰も予測しえなかったスピードでEV化が進み、自動車が「走るコンピュータ」に進化を遂げつつある中で、これまで通りの作り方では、戦えないことが明確になって来たのです。

AppleのCarPlayは、その自動車メーカーのニーズに応える見事なソリューションであり、多くの自動車メーカーにとっては唯一の選択肢となったのです。

ライバルとしては、GoogleのAndroid Autoがありますが、Googleのビジネスは、あくまで広告ビジネスであるため、所有者のプライバシーを守る面でも、ユーザー体験の面でも、Appleと比べると大きく見劣りするのです。(『週刊 Life is beautiful』2022年6月14日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみ下さい。初月無料です)

 

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日本人の年収は、なぜ25年で「550万円」が「372万円」まで下がったのか?

毎日のように様々な物の値上げや値上げ予定のニュースが伝えられていますが、一部の大企業を除けば、政府が目指す賃金上昇の気配は見えてきません。そもそも日本人の年収の中央値は、この25年で「550万円」が「372万円」になったというデータがあり、激減した理由を3つの要因に求めるのは、メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』著者で健康社会学者の河合薫さんです。河合さんは、「残業」「米国」「投資」というキーワードで日本の経営者による間違った方針を指摘。働いても楽にならない現状を変えるには「人への投資」が必要と訴えています。

 

働けど働けど賃金上がらず

値上げラッシュが止まりません。国内の主な食品や飲料メーカーの、すでに値上げしたか、今後値上げする予定の商品が、8300品目以上に上ることが民間の信用調査会社の調べで分かりました。

値上げ予定の商品は6月と7月だけで3000品目を超え、最も多い加工食品では平均13%、調味料は平均10%、酒類・飲料は平均15%の値上げになっているそうです。

ガス代や電気代もいつの間にか上がっているし、どれもこれも生活必需品なので厳しい。一方で、賃金は一部の大企業以外、上がる見込みがほとんどありません。

日経平均株価が一時、600円以上値下がりする~なんて報道もありましたが、14日の終値は2万6629円86銭です。2017年11月9日に、2万3000円をうわまったとき、約26年ぶりだ!高度成長期の「いざなぎ景気」を超えた!とメディアは大はしゃぎしましたが、その2万3000円より高いのです。

何度も書いてますが、日本国内の富裕層と超富裕層の割合は、「アベノミクス」が始まった2013年以降、広がり続け、日本の超富裕層(純資産5000万米ドル超)は世界最大の伸び率を記録しています。

これは日本が格差社会よりはるかにシビアな「階層社会」に突入したことを意味し、「現代版カースト」ともいえる理不尽な世界の始まりでもあります。

そもそもなぜ、日本の賃金は上がらないのか?いや、上がらないどころか下がっているのはなぜか?バブル崩壊後の1994年から2019年までの25年間で年収の中央値が「550万円から372万円へ」と著しく減少し、年齢別では、“働き盛り”である30代後半~50代前半までの世帯の年収が激減しているのは、なぜ?

「経営者がきちんと経営をしてこなかった」という一言に尽きるのですが、それは「残業」「米国」「投資」の3つの要因に大きくわけることができます。

 

「ハートカクテル」に酔いしれて。漫画家・わたせせいぞうが今も“手描き”にこだわるワケ

1983年から1989年まで漫画雑誌『モーニング』(講談社)に毎号カラー4ページで連載され、カリスマ的な人気を誇った漫画「ハートカクテル」。作品に描かれた、まるでアメリカ西海岸やリゾート地を思わせるオシャレな世界観と映画のような男女の恋愛物語は、当時の若者たちの憧れの的となりました。のちにアニメ化やドラマ化もされるなど、日本中で一大ブームを巻き起こした「ハートカクテル」の作者が、今も第一線で活躍する漫画家・イラストレーター、わたせせいぞうさん(77)です。6月16日から大丸東京店にて「わたせせいぞう展 〜ハートフルな東京日和〜」が開催され、全6冊が刊行予定の『わたせせいぞう自選集 ハートカクテル』(小学館クリエイティブ)の新シリーズ、ミュージック&クルーズ「サンライズ」編も発売されたわたせ先生に、漫画家をめざしたキッカケから「ハートカクテル」制作秘話、そして大好きな音楽や近況まで、いろいろとお話をおうかがいしました。(於:わたせせいぞうギャラリー白金台  港区白金台5丁目22-11ソフトタウン白金1階)

突然開いた「漫画家への扉」

──本日は、お忙しい中お時間をいただきありがとうございます。わたせ先生といえば、40代以上の人にとって漫画「ハートカクテル」の印象が強くあります。洗練された画風のみならず、漫画の中に登場する街中の看板や小物まで、すべてがオシャレで新鮮でした。そもそも、わたせ先生が漫画家を志そうと思うようになったきっかけは何だったのでしょうか?

わたせせいぞう(以下、わたせ):本日は宜しくお願いいたします。実は、もともと漫画家になろうとは思っていなかったんですよ。ただ、小さい時から絵を描くことは好きで、幼稚園の年長から小学一年生にかけての2年間、絵の家庭教師をしていた父の友人から絵を習っていました。父が画家志望だったので、私を絵が好きな子供に育てたかったんでしょうね。そのときに、基礎となる物を観察することや遠近法を学んだんです。その後もずっと絵を描くことが好きで、絵のコンクールがあると応募して入賞したりして、先生も絵を認めてくれました。それが小、中学生の頃です。

ところが、高校生になったときに美術部へは入らず「書道部」に入ったんです。なぜかというと、「前衛書道」というものを見たときに「これは絵だな」って思ったんですよ。絵のような感覚で、白と黒の領域の比率があることが面白くて。高校生の頃は、漫画家よりも新聞記者に憧れていました。当時は文章を書くことの方が好きだったんですね。早稲田大学に進学した後も小説の同人誌を作ったりして、文章を書くことに興味がありました。だから漫画を描くということはあまり考えていなかったんですね。

──では、どのタイミングで「漫画家」になろうと決心されたのでしょうか?

わたせ:大学を出たあと損害保険会社に就職したんですが、まだ心のどこかで新聞記者のような「モノを作る世界」に憧れていたんですね。そして入社して3年目くらいのときに、直木賞作家の永井路子さんの講演を聞きに行ったとき、その途中休憩で永井先生と10分くらい直接お話しできる機会があったんです。そのとき僕は、短い時間にいきなり小説を見せるのは失礼だと思って、自分で書いていた小説は持っていかずに、ケント紙2枚に描いた擬人化された猫の4コマ漫画をお見せしたんですよ。そうしたら永井先生が「渡瀬さん、漫画家になりたいんだ!」と言われまして。そこから「漫画家への扉」がパッと開いたんです。

──そのとき小説をお見せしていたら、まったく違った人生になっていたのかもしれませんね。ここで初めて「漫画家」への道を意識されたということでしょうか?

わたせ:そうですね、「そういう道もあるのか」と。もちろん絵や漫画を描くことは小さな頃から好きでしたよ。最初は永井先生に自分のことを印象づけるためのサプライズとして持っていっただけなんです。でも、永井先生にそう言われて初めて漫画家ということを意識しました。その後、永井先生が雑誌社を紹介してくださって、サラリーマンとして働きながら、描いた漫画を持ち込んだりするようになりました。雑誌社からは「必ず賞に応募した方がいいよ」と言われたので、応募した作品で新人賞を獲ったりするようになったんです。

──1974年に小学館の「第13回ビックコミック賞」に入選されていますが、これは漫画を描き始めてからどのくらい経った頃だったのでしょうか?

わたせ:あまり間を置かずに入選しましたね。その前になりますが、実業之日本社の『週刊漫画サンデー』という漫画雑誌の編集長が永井先生と知り合いで「まず彼のところへ行ってごらん」と紹介されました。そこで『ギャートルズ』の園山俊二さんを紹介されて、線の引き方とか「漫画のイロハ」を教えてもらったんです。

──あの園山俊二さんから教わったんですね。その後、数多くの作品を発表することになりますが、影響を受けた作品や漫画家さんはいらっしゃいますでしょうか?

わたせ:子供の頃に好きだった漫画家で言うと手塚治虫さん、石ノ森章太郎さんの作品ですね。もう一人、おませだったので、エロティックな女性の漫画で有名な小島功さんの漫画が好きでした。大人になったときに「小島さんのような線で女性を表現できればなあ」と、漠然とした憧れを抱いていましたね。

──小島功さんの漫画は「これぞ大人の漫画」という感じで、女性のボディラインを本当に美しく描かれていましたよね。わたせ先生が漫画家として作品を発表し始めた当時は、損害保険会社のサラリーマンと漫画家という「二足の草鞋(わらじ)」生活だったと聞いています。その頃の大変だったエピソード、逆に嬉しかったエピソードは何でしょうか?

わたせ:営業部の勤務でしたから、「毎月どれだけ予算を達成しているか」という評価なんですよ。「二足の草鞋」生活が始まった頃は、まだ普通の社員だったんです。ところが、『モーニング』で「ハートカクテル」の連載が始まった1983年の少し前くらいから、東京の足立支社長を任されるようになりました。そうなると急に責任が重くなって大変でしたね。上司に「漫画なんか描いているから予算が達成しなかったんじゃないか?」と言わせたくなかったので、プレッシャーがかかりました。「成績が落ちたら漫画を描くのはやめろ」と、パワハラみたいなことも上司に言われていましたから。精神的なハードさもありましたが、「ハートカクテル」の連載が始まると身体的にも辛かったですね。月曜から金曜までは会社の仕事に集中、しかも営業マンですからお得意先との飲み会やカラオケまで行くことも多かったんです。そして、会社が休みの土日だけ漫画の仕事をすることにしていました。ところが、平日も休日も両方の仕事がタイトになってきまして、赤信号を待っているときに「この間だけでも少し寝られるかな」と思ってしまうくらい、体力的にも限界がきていたんです。

プーチンも驚愕。前線の兵を殲滅させる米国供与の「恐ろしい兵器」

東部戦線でのロシア軍優勢が伝えられるウクライナ戦争。しかしその状況は、「一時的」なものに終わる公算も高いようです。今回のメルマガ『uttiiジャーナル』では著者でジャーナリストの内田誠さんが、刻々と変化する戦況について解説を交えつつ詳しく紹介。さらにアメリカが新たにウクライナへの供与を決めた2つの兵器がこの戦争の質を変え、米国が目的としている「ロシアの弱体化」以上のことが起こる可能性を指摘しています。

 

「デモくらジオ」(6月10日)から:いま「ロシア弱体化」以上のことが起ころうとしているウクライナ戦争

現在ただいまのウクライナの情勢というのは、みなさんご承知の通り、東部にロシア軍が戦力・兵力を集中して、非常に激しい戦いが、特に最後の要衝といわれるセベロドネツクというところで行われてきた。おそらく市街戦のような形に最後はなっていたのではないかなと、想像に過ぎませんけれど。

なんとも血なまぐさい話なのですが、どうやらロシア軍がセベロドネツクの支配権を100%確保したのではないか、という情報が多くなってきています。ですが、これで終わるのかというと、ルガンスク州に関してはもう一カ所、ロシア軍が抑え切れていない場所があって、それはセベロドネツクから川を渡った先のところらしいのです。ここをロシア軍から見て落とすためには川を渡らなければならない。

ところが渡河作戦というのはこの間3回ですかね、ロシア軍は大失敗をしていて、ものすごい数の兵員をそこで失っているんですね。でも、ロシア軍は常に大軍で押し寄せてきていますから、委細かまわず前に失敗したのと同じやり方でトライして、やはり同じようにやられてしまうということがあった。さすがに3回失敗していると、次はどうなるのかと。ここの攻防に関してこれからしばらくの間、色々な情報がでてくるのかもしれません。そんなところですね。

それ以外にメディアで語られていることは、一つはウクライナからの穀物輸出を巡って、世界の広い範囲で飢餓が起こるのではないかという。これも責任のありかに関しては、ロシアを非難する声が最も多く、ロシアが黒海を事実上封鎖しているということ。穀物を積んだ船がウクライナから外に出られないのは、ロシアの黒海艦隊のせいだというふうに考えられますし、ロシア側から見ると、そうではなくて、あれはウクライナが封鎖しているのだという、もう何か、マジですかといいたくなる屁理屈だけれど、そんな理屈もあるのでしょう。ここにものすごく大きな問題がある。

それからルガンスク州を全部落とすことの意味は…。6月12日は「ロシアの日」というのだそうですね。ロシアの建国記念日になっている。6月12日の式典の前にしかるべき戦果を上げて、それを手土産にと言ったらなんですが、その日に発表・報告できるようにしたいというロシア政府の意向があるのではないかという議論がある。いや、そんなの関係ないですよという議論もあり得ますけれど、彼らの目論見通りに達成されれば、大きく喧伝するでしょうね、きっと。それは間違いないことだと思うのです。

それからプーチンさんの体制の歴史的な意味について色々な研究者の見方などがこの間メディアの中でずいぶん出てきています。で、そこで一つ鍵になるのはかつてスターリンというとんでもない指導者がいたわけですけれど、大粛清を敢行した人で、自分の権力維持のためにごく近い人を含めて、1千万人くらいが犠牲になったのではないかといわれるくらい。ロシア共産党ソビエト共産党の内部も外部も含めて「人民の敵」ということになると、すぐに処刑なんですよね。そういう世界があったということ。ただスターリン率いるソ連軍がナチスドイツを破って第二次大戦に勝利したので。その間には2,700万人の犠牲者が出てもいるのですが、そういう戦いに勝利した英雄としてのスターリン。これにも、そうではないという議論が出てきていますが、そのスターリンを再評価する動きが非常に強まっていて、粛清の犠牲者についての議論(復権)もしにくい状況になっているようですね。

 

自民党政権を批判する国民を監視。侮辱罪の厳罰化で“言えなくなること”

公人・私人を問わず自由な発言が可能である反面、昨今は行き過ぎと思わざるを得ない言葉が飛び交うネット空間。そんなネット上の誹謗中傷対策として先日、侮辱罪を厳罰化する改正刑法が可決・成立しましたが、不穏な動きもあるようです。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、厳罰化された侮辱罪を自民党政権が自らの権力維持に利用しないはずがないと断言。現役自民議員のSNS上の発言等を取り上げつつ、政治家に対する「侮辱発言」が今後どう扱われようとしているかについて考察しています。

 

侮辱罪の厳罰化という政権批判封じ

「インターネット上の誹謗中傷対策」という大義名分を盾に、自民党が推し進めて来た「侮辱罪の厳罰化」を含む改正刑法が6月13日、与党などの賛成多数により、参議院の本会議で可決・成立してしまいました。これで、自民党政権を批判する国民を監視するため、萎縮させるための悪法が強行採決されたのは、2013年11月の「特定秘密保護法」、2017年6月の「共謀罪を含む改正組織的犯罪処罰法」に次いで、3本目となりました。

また、今回の法案は、三原じゅん子参議院議員が座長をつとめる自民党プロジェクトチームが政府へ提言書を提出したのが2020年6月なので、3本すべて安倍政権下で提言された悪法ということになります。

さて、今回の「侮辱罪の厳罰化」の発端となったのは、女子プロレスラーの木村花さんが、インターネット上の誹謗中傷を苦に、2020年5月に自殺してしまった事件だと言われています。その後、木村花さんへの誹謗中傷を行なっていた者は数多くいたのに、実際に立件できたのは2件だけで、その罰も僅か9,000円の科料だったことから、厳罰化への声が高まりました。

事実、木村花さんのお母さまも、当初から「侮辱罪の厳罰化」に支持を表明していましたし、今回の成立を受けての記者会見では「これまでの侮辱罪では抑止力にならなかった。私の中では『やっと』という思いが強い。(支持してくれた人たちに)感謝の思いでいっぱい」と述べました。

これまでの侮辱罪の刑罰は「30日未満の拘留又は1万円未満の科料」だったため、この「9,000円の科料」は上限ギリギリのものでした。しかし、人の命を奪ったのに、これでは軽すぎるということで、今回「1年以下の懲役と禁錮(拘禁刑)、30万円以下の罰金」という法定刑に変更され、事実上の厳罰化となりました。犯罪の刑罰には「犯罪抑止」という側面もありますので、今回の厳罰化には一定の抑止効果も期待できると思います。

これだけであれば、あたしもこの改正法案に賛成していました。しかし、常に「国民の権利など二の次」という自民党政権が、こんな美味しい法案を自分たちの権力維持に利用しないはずがありません。以下、今回の改正法案を推進した自民党プロジェクトチームの座長をつとめた三原じゅん子参議院議員と、映画評論家の町山智浩氏との当時のツイッターでのやり取りです。


三原じゅん子 @miharajunco
インターネット上の匿名での誹謗中傷の人権侵害に対して、政治家として動き出します。
午後1:02 2020年5月25日


町山智浩 @TomoMachi
木村花さんを政治に対する批判封じ込めに利用しないで欲しいです。
午前8:43 2020年5月26日


三原じゅん子 @miharajunco
何度も書いていますが、批判と誹謗中傷の違いを皆さんにまず理解して頂く事が大切。
まして政治批判とは検討を加え判定・評価する事です。何の問題も無い。ご安心を。
しかし、政治家であれ著名人であれ、批判でなく口汚い言葉での人格否定や人権侵害は許されるものでは無いですよね。
午前9:05 2020年5月26日

 

有能な人々はロシアから既に脱出。崩れた「プーチン失脚」のシナリオ

ウクライナ東部でロシア軍の攻勢が伝えられるものの、ウクライナの激しい抵抗により、戦争の終わりは見えてきません。戦争の長期化で経済制裁が功を奏し、プーチンが失脚するという欧米のシナリオは既に崩れたと見ているのは、CX系「ホンマでっか!?TV」でもおなじみの池田清彦教授です。今回のメルマガ『池田清彦のやせ我慢日記』では、その理由として、有能な人々が政権中枢から退けられたか国を脱出していることをあげます。そしていまのロシアはミッドウェー海戦後の日本のようだと評し、無能な指導者のせいで悲惨な末路を迎えるロシアを憂い、「日本も気を付けた方がいいよ」と意味深な言葉を綴っています。

 

ウクライナ紛争と穀物価格の高騰

ウクライナ紛争は杳として終結の兆しが見えない。ロシアはウクライナの首都キーウの奪取に失敗し、東部に戦力を集中しているが、ウクライナの抵抗も激しく、一進一退の攻防が続いていると報じられている。ロシアが攻勢を強めるといった報道があるたびに、西側からウクライナに強力な武器が供給され、この紛争はロシア対西側の戦闘といった様相を呈しており、西側は面子にかけてもロシアの一方的な勝利を許さないだろう。

戦闘を続けるには戦費が必要だが、ロシアは、欧米諸国の経済制裁によって、経済的に追い込まれており、長期的には戦争を継続できなくなると思われるが、それが1年先か2年先か5年先かは分からない。

紛争前にロシアにいた優秀な人材、例えばIT技術者などの科学者、起業家、資産家はすでにロシアを離れている。独立系ロシアメディア「ノーバヤ・ガゼータ・ヨーロッパ」が5月9日に報じたところによると、2022年1~3月に388万人がロシアから出国したという。現在、この数はもっと大きくなっているだろう。

プーチンに批判的な官僚や軍人は左遷されたか、国外に脱出したか、しているだろうから、政権中枢に残っているのはプーチンに忠誠を誓う以外に生き延びる術がないと思っている無能な人々だけだと思う。

西側が経済制裁を始めた直後は、ロシアの人々は日々の生活に困って、プーチンの始めた戦争を怨んで、プーチンは遠からず失脚して、新しい政権とウクライナの間で停戦が成立して紛争は終結するだろう、との希望的観測が一部で流れていた。

プーチンが失脚した後の新生ロシアとしては、紛争の原因を一人プーチンに負わせて、和解交渉が成立すれば、紛争によるロシアのダメージを最小限に抑えられるし、惨めに敗北するよりも、はるかにロシア全体としての面子も保てる。西側としてもプーチンが失脚して、とりあえず紛争が収まれば、ロシアを経済制裁する必要もなくなる。天然ガスや原油などの化石エネルギーをロシアから自由に輸入することもできるようになり、双方にとってウィンウィンになるというシナリオだ。

しかし、このシナリオが成立するのは、プーチンのやり方を快く思わない有能な人々が、政権の中枢に残っている限りにおいてなのだ。恐らく今は状況が異なっていて、例えプーチンが死んでも、残った政権中枢の人々は、プーチンに洗脳されている(というよりもプーチンに賛成して戦争路線を擁護していた自分の意見を変えることが難しい)ので、プーチンの引いた戦争路線をクラッシュするまで走るしか選択肢がないという状況だと思う。太平洋戦争の半ばに、ミッドウェー海戦で大敗北を喫した後の日本みたいなものだ。

 

コロナ前より売上UPの衝撃。客単価を大幅に上げた鳥居酒屋に学ぶ「3つの取り組み」

仕事の後などにお酒を飲む習慣はなかなか戻らず、いまだに苦しむお店が多くあります。そんな中でも、コロナ前と比較して売上をアップさせている企業はあり、鳥居酒屋業態中心の企業のケースを紹介するのは、船井総合研究所で史上最年少のフード部マネージャー職に就き、現在は京都で外食・中食業態を複数経営しつつ、多くの企業をサポートする堀部太一さんです。今回のメルマガ『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』で堀部さんは、売上アップのために重視した方程式の各項目のうち、客単価(組単価)をアップさせるための3つの取り組みを詳しく解説しています。

 

コロナ禍前比でも売上をプラスに戻した企業で行った3つの取り組み

月の売上データがまとまってくる中で、嬉しいことに売上が戻ってきたところが多く、また新たにコロナ前比でプラスにしたところも。

全体的にはまだまだ外食は厳しいなか、企業別だと良い事例も増えています。今日はその一つを深掘りしていき、参考になりましたら幸いです。

今回重視した売上の方程式

売上の方程式。たくさんある中で今回重視したのは下記です。

売上=有効顧客数×年間平均利用回数×組単価

掛け算ですのでそれぞれが上手く掛け合わさると必ず売上は向上します。

組単価(客単価)増に向けて

コストプッシュなので値上げをする。これ自体は普通のことですし、今値上げせずいつするのか?とも思っています。また大切なのは「粗利率」です。コストプッシュ分を値上げしただけだと、今後も継続するコストプッシュをクッション出来ません。

こちらは鳥居酒屋業態が中心なのですが、客単価はこのように変化しました。
2019年:3,800円
2022年:4,750円(125%)
粗利率も「1.5%」改善しているため、収益性もちゃんと向上しています。

ただ値上げするにはその分「価値」も重要です。上述の通り「メリハリ消費」なのであれば、そこの強化を行うようにしました。

名物の出数構成比率を80%以上に

元々60%台だったのものを80%以上に!をKPIとし、結果的に90%弱まで注文されるようになりました。商品としては「盛り合わせ」なのですが、

  • 初期注文時に対話とおすすめの徹底
  • 提供時のプレゼンテーションの徹底
  • 商品完成までは劇場型の要素を強化(目の前完成)
  • 追加商品は限定訴求

上記によって粗利率もよく単価の高い名物が出ることが最も影響が大きかったです。

〆料理の名物開発

居酒屋での可食重量は「500g」程度です。それで考えると、〆料理があっても魅力があれば出る。これを前提に名物商品を強化しました。

鳥業態であれば親子丼などが多いですが、そこは差別化し辛いと判断し避けました(商品には追加しましたが名物ではない)。

「卵」を中心に設計して居酒屋の枠外から人気メニューをピックアップして強化。これが刺さって組数対比ではありますが、50%くらいが出るようになりました。

〆は単品としての原価率は20%前半なので、ここでも単価を上げつつ粗利率も改善。

 

力こそ正義?習近平は中国共産党と台湾の関係をどう考えているのか

先日シンガポールで開催されたアジア安全保障会議の席上、戦争も辞さないとして台湾の独立阻止に強い姿勢を見せた中国代表。かつて習近平氏も武力による台湾併合を口に話題となりましたが、独裁体制を強める中国の指導者はどのような「台湾観」と歴史認識を持っているのでしょうか。今回のメルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』ではジャーナリスト・作家として活躍中の宇田川敬介さんが、習近平氏のこれまでの発言の分析を通して、その解明を試みています。

【関連】中国の横暴。何を根拠に「台湾は自国の不可分の領土」と言うのか?

 

風雲急を告げていた中国の台湾侵略計画の新たな展開 2 習近平国家主席の歴史認識を考える

前回は中国共産党の支配する「中華人民共和国」と、中国国民党の支配する「台湾(中華民国といってよいかどうかは微妙)」の関係をかなり簡単にお話してきました。

【関連】中国の横暴。何を根拠に「台湾は自国の不可分の領土」と言うのか?

実際に、その歴史にとらわれるような書き方はしたくありません。

そのような歴史の話ばかりをしても、あまり意味はありませんし、また、そのような話は様々なところで見聞きすることであると思います。

そこで、「習近平国家主席の考え方」ということと、人民解放軍の動きそして、それに対する国際情勢の動きということに焦点を当てて話をしてみたいと思います。

もちろんその中で「歴史」にかかわりがあることは、見てゆきたいと思います。

さて、まずは習近平国家主席の考え方ということを解明してみたいと思います。

もちろん、現在の段階で習近平国家主席の考え方は「私が推測する」ということしかないので、この内容が正確であるかどうかは不明でしかないということになります。

もちろん、私のように習近平国家主席の周辺の人にも嫌われている場合、様々な人との会話で大体の事を推察することもできませんので、より正確性はおちてゆくということになります。

そのような場合は、習近平国家主席の基本的な性格と、一方で様々な発言や出来事から変化する心を推測し、どのようなことになっているのか調べるしかないということになります。

さて、たった今「歴史」は関係ないといったばかりですが、このように習近平国家主席の思考を追うためには、最低限、「習近平国家主席が中国共産党と台湾の関係や歴史をどのように認識しているのか」ということを見なければならないということになります。

そこで、その一つの指針となる内容を見てみましょう。

昨年、2021年の10月9日に、辛亥革命100年の記念式典がありました。

その中で習近平国家主席は、「平和的な方法」での統一が「台湾の同胞を含む中華民族全体の利益に最も合致する」と述べています。

ただ、「国家の主権と領土保全を守るという中国国民の固い決意と確固たる意志、高い能力を誰1人として過小評価すべきではない」とも付け加えています。

「祖国の完全統一という歴史的課題は必ず果たされなければならないし、必ず果たされるだろう」ということを言っているのです。

これは、習近平国家主席が、当初は平和的な手段で国家統一を図るということを目指しますが、最終的には軍事的な威圧または手段を厭わないということを主張しているということになります。

それ以前の7月1日の演説を解析すると、習近平国家主席の考え方はこのようになっているということが見えてきます。

 

こんな祖国に誰がした。日本を30年間停滞させた戦犯たちの正体

誰もが右肩上がりの経済成長を信じていた昭和時代から一転、低成長に喘ぎ、息苦しい空気ばかりが充満していた平成の30年間。なぜあれだけ光り輝いていた日本は、ここまで悲惨な状態に陥ってしまったのでしょうか。その原因を専門家や政府、メディアに求めるのは、中部大学元教授の武田邦彦さん。武田さんは自身のメルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』で今回、彼らが犯したミスを指摘・断罪しています。

 

日本人が大損害。1990年の迷走政策が変えた暗い日本社会

日本の未来は明るい。

でも、現在のような報道と政策が続けば暗くなる。つまり、状態は悪くないが、故意に日本をリードする立場の人たちが暗い方向に進めているということだから、ちょっと工夫すれば明るい未来が待っている。それも現在の日本の力をそのまま活かせばよい(インフラも人材も今のままで十分に明るくなる)。

例えば1990年を考えてみよう。

日本では高度成長が終わり、バブルが崩壊した。時代の変化はさまざまな要因で起こるので、世界ではベルリンの壁の崩壊、ソ連邦の終焉があり、世界も日本も大きく変化した。変化自体は時代の流れだから止めることはできない。ただ、人間のできることは「変化にめげないこと」である。

アメリカは変化にめげずにITソフトの分野に出て、GAFAと言われるグーグル、アマゾン、フェイスブック、アップルなどの主要なネットビジネスは、そのほとんどが5年後の1995年頃に創業した。アメリカの強さは資本力やお金を儲けたいという強い意志に加えて、常に前向きである点だ。

中国は発展途上だったので、それを利用してITハードを急激に発展させ、それを助力したのが日本だった。

それに対して日本の政策は迷走していた。アジアの小国から高度成長期に一気に世界の2番目のGDP、国民の平均所得も一流国とほぼ同じになったのに、「これで十分、もう発展する必要はない」とメディアがキャンペーンを打った。そればかりではない。「ゴミが溢れる」「環境ホルモンなどが拡散している」と人々の不安を煽る社会となり、日本だけがグーグル、ユーチューブ、スマホなどとは全く違う方向に進んだ。

30年前の日本の考え方が間違っていたかどうかは結果を見ればわかるが、この30年間で、日本人の年収は全く増えず、アメリカが3倍、中国の沿岸部は5倍以上の伸びであった。今になってわかることでもあるが、「ゴミが溢れる」とか「環境ホルモン」などはすべて「ウソ」であったし、それに惑わされた専門家や政府、それにメディアが不見識だったと言えるだろう。その不見識のために日本人は大損害を受けたのである。